【実施例】
【0034】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0035】
図1〜28に示す本実施例は、遊技店の遊技機の島S(島ID=08)の前後それぞれに、一定間隔で配置された20台程の貸機K(計40台程)を紙幣投入装置とするものであり、前後の貸機Kの間にプラスチック製ダクト1を配置していて、同ダクト1は島Sの先端で折り返して貸機Kの間に配置され、しかも折り返したダクト部分は直線的で上下二段に重ねられ、上下二段の直線ダクト部1u,1dとなっていて、しかも直線ダクト部1u,1dは一体成型で隔壁を介して上段と下段に分れて形成されている。しかも、各直線ダクト部1u,1dの断面形状は上下反転しても上下・左右は同一形状寸法となるように上下左右対称に成型されている。島Sの先端で直線ダクト部1uと直線ダクト部1dとは湾曲ダクト部1aの湾曲ガイド1a
1で、キャリアCを下段の直線ダクト部1dから上段の直線ダクト部1uへ上下反転させて移行できるように接続されている。
【0036】
直線ダクト部1u,1dの島Sの基端側終端に強固で破壊しにくく、遠隔監視された紙幣保管室Hと紙幣分離キャリア戻し部1bを設けている。同紙幣分離キャリア戻し部1bには上段の直線ダクト部1uの終端のガイド12と、下段の直線ダクト部1dの始端のガイド12とは湾曲ガイド1b
1によって連結されて、キャリアCは上段の直線ダクト部1uから下段の直線ダクト部1dに移動できるようになっている。湾曲ガイド1b
1の途中に待機位置1b
3が設けられ、この紙幣分離キャリア戻し部1bの直前の上段の直線ダクト部1uの終端部にブレーキ装置1b
5を設け、湾曲ガイド1b
1の途中にキャリアCの停止待機と発進を切換える電動ストッパ1b
4を設けている。
【0037】
更に、島Sの前後にある全部の貸機Kの紙幣挿入手段1nは、上段の直線ダクト部1uの紙幣通路に紙幣を挿入するようにしている。そして、下段の直線ダクト部1d及び湾曲ダクト部1aの紙幣通路はキャリアCのみしか送られず、紙幣は送られないキャリア送路専用としている。
【0038】
更に、本実施例のキャリアCの受圧部C2はV字状に後方に拡がった羽根部C21を有し、しかもこの羽根部C21を弾性変形する羽根部としている。又、キャリアCとのガイド12には上下二段の直線ダクト部1u,1dの中間の高さで二段に棚状に形成されていて、しかも直線ダクト部1u,1dの断面形状は上下反転しても上下対称で上下左右同形状寸法となるようになっている。キャリアCはこのガイド12に係合する上下二段のスリット状のガイド溝の案内部C11,22を搬送方向に向って左右対称に設けている。左右一対のガイド12の先端12a間の空間が紙幣通路10となっている。
【0039】
本実施例の制御部CONは、ダクト部1u内の紙幣通路10の紙幣挿入位置に紙幣が置かれてないことを紙幣検出センサー1Sによって感知し、且つキャリア戻り検出センサー1b
6でキャリアCが戻って待機位置1b
3にあることを各センサーからの信号の入力で確認すれば、送出順番の紙幣の紙幣挿入手段1nのローラー駆動部1n
3のみ作動させ、他のローラー駆動部1n
3は作動停止状態にする。作動されたローラー駆動部1n
3によって一時停止していた紙幣が開口部13から変向ガイド1n
2に案内されて挿入され、紙幣通路10に置かれて、紙幣検出センサー1Sが紙幣通路10の紙幣1枚を感知すれば、待機位置1b
3にある1台のキャリアCを電動ストッパ1b
4を作動させて発進可能とし、キャリアCを送風機の送風による空気力で移動させて下段の直線ダクト部1d・その先端の湾曲ダクト部1aから上段の直線ダクト部1uへ移動させ、上段の直線ダクト部1uの1枚の紙幣を捕捉して紙幣保管室まで搬送して格納するようにしている。尚、送風機の送風は処理済みでない送出順番の紙幣が2枚以上あるときは「送風状態」を維持するようにしている。又、紙幣検出センサー1Sで感知された紙幣は、送風で紙幣通路10を下流方向に流されても支障なく、キャリアCで紙幣を確実に捕捉して搬送できる。
【0040】
(図面の符号説明)
図1〜
図28は実施例の図面である。図中Kは遊技店の島S(ID=08)にある紙幣投入装置となる貸機、Pは島Sの貸機Kの間に設けられる遊技ゲーム機(図面中では大部分省略している)、Bは送風機、ダクトの途中に設けたBBは補助送風機、Hは紙幣保管室、Sは遊技店の島、Cはキャリアである。
【0041】
図24は実施例に使用したコンピュータのハードとソフト構成と、その周辺機器との接続状態を示す説明図である。
図21中、COM1はコンピュータ、COM2はそのCPU、COM3はコンピュータCOM1に接続された周辺機器との入出力の信号の授受を行うインターフェース、CONは制御部、CON1は記憶部、CON2は順番決めソフト、CON4は種々のセンサーの信号からの情報に基づいて機器の作動・停止を制御する送出制御部、CON5はキャリアCの待機位置に戻ったときの次の送出順番を次の処理済みでない若い送出順番のものにする順番繰り上げ部である。
【0042】
又、図中1はプラスチック製ダクトで、前後の貸機Kの間に設けた上下二段の直線ダクト部1u,1dの一体成型部分と、島Sの先端の湾曲ダクト部1aとからなる。10は同ダクト内の紙幣通路、11はダクト外壁、12はダクト外壁11の内壁から中央に向けて突出したガイド、1aは下段の直線ダクト部1dと上段の直線ダクト部1uとをキャリアCが通過できるように連結する湾曲ダクト部、1a
1はその湾曲ガイド、1bはダクト1の始端とダクト1の終端とを連結する紙幣分離キャリア戻し部、1b
1は同紙幣分離キャリア戻し部1bの湾曲ガイド、1b
2は紙幣分離キャリア戻し部1bのケーシング、1b
3はキャリアCの待機位置、1b
4はキャリアCの停止及び発進を制御する電動ストッパであり、1b
41はキャリアCを停止させるストッパピン、1b
42は同ストッパピンを頭部中央に突設させた鉄製の進退ボディ、1b
43は同進退ボディのケーシング1b
2側の頭部に張り出したスプリング1b
44を受ける鍔部、1b
44はストッパピン1b
41及び進退ボディ1b
42をケーシング1b
2の内部方向に付勢するスプリング、1b
45は鉄製の進退ボディ1b
42を外側方向に引き寄せる常時非通電の電磁石、1b
46は電動ストッパ1b
4のストッパケース、1b
47はスプリング1b
44の受座を形成し、進退ボディ1b
42を進退できるように開口を設けた中間壁である。1b
5はブレーキ装置、1b
51はL字状に折曲したキャリア係止部1b
52を備えたキャリアCを係止できる係合部材、1b
53は同係合部材1b
51をダクト1内に向けて付勢するスプリング、1b
54はキャリアCの紙幣捕捉部C1の先端と接触してキャリアCの速度を減速する表面摩擦が高い摩擦部材、1b
55は係合部材1b
51の一端に固着された電磁石、1b
56は同電磁石で吸引される係合部材1b
51の一端に取付けた鉄片、1b
57は係合部材1b
51の揺動支点である。1b
58はキャリアCの存在を検出する係合部材1b
51近くに設けたキャリア進入検出センサーで、常時はOFFでキャリアCが進入して係合部材1b
51で係止して一旦停止すると検出信号を出力し、タイムラグスイッチ1b
59をONする。1b
59はキャリア進入検出センサー1b
58の検出信号でその検出信号入力後0.5秒の遅延タイム後に電磁石1b
55に通電(ON)するタイムラグスイッチ、1b
6は待機位置にキャリアCがあることを検出するキャリア戻り検出センサー、1xはダクト1内の空気圧力を調整する圧力開放弁である。
【0043】
又、
図9〜12中Cはプラスチック製のキャリア,C1はその略V字の紙幣捕捉部、C11は紙幣捕捉部C1に設けたガイド溝で案内部、C2はキャリアCの略V字状に後方に拡がる受圧部、C21は受圧部の弾性変形可能な羽根部、C22はダクト1のガイド12と接習するためのガイド溝で羽根部C21に形成した案内部である。
【0044】
又、
図13中1nは紙幣挿入手段、1n
1は同紙幣挿入手段の紙幣受取部、1n
2は各紙幣挿入手段毎に設けたダクト外壁11の縦長のスリット状の開口部13の周縁に取付けた変向ガイド、1n
3は貸機Kから送り出される紙幣の取り込みを行い、一時停止させ、又紙幣挿入の信号でダクト1の開口部13へ送り出すローラー駆動部、1n
4は紙幣受取部1n
1へ貸機Kから送られてくる紙幣を感知すると、ローラー駆動部1n
3を少し作動させて紙幣を少し取り込んで、一時停止位置でその紙幣を停止して待機させて、紙幣の存在の信号を制御部CONへ出力する受取検出センサーである。
CONはコンピュータを用いた制御部、CON1は島Sの番号とその起動月日の情報で定まる値を有する区分値で区分しながら紙幣受取の時刻をそのローラー駆動部1n
3のIDとともに記憶する記憶部、CON2は送出順番を決める順番決めソフト、CON4は送出制御部、CON5は順位繰り上げ部(ソフト)である。制御部CONには、年月日のカレンダー及び時刻の情報を利用でき、年月日・時刻を出力できるようになっている。本実施例では島番号08と起動月日を2月11日とすると、区分は08−211のコードで一日同一区分としている。記憶部CON1の状態例を
図28に示している。又、制御部CONのフローチャートは
図25〜27に示している。
【0045】
(実施例の動作)
この実施例では、遊技店の遊技装置の島S毎に一つの盗難しにくく盗難防止処理した紙幣保管室Hを設け、島Sには紙幣投入装置である貸機Kが島の前後面それぞれに20台程設けられている。紙幣を貸機Kから紙幣保管室Hへ送るダクト1の下段・上段の直線ダクト部1d,1uは、島Sの前後にある貸機Kの中間に配置されている。
【0046】
この貸機Kに千円札が投入されると投入された千円札の真偽を判定した後、真札であれば貸機Kの紙幣送りローラー装置K1によって、その千円札は紙幣挿入手段1nの紙幣受取部1n
1へ送られ、その受取検出センサー1n
4が紙幣を感知するとローラー駆動部1n
3を作動して、紙幣を一時停止位置まで送って停止させる。一時停止後に受取検出センサー1n
4は、紙幣検出信号を制御部CONの記憶部CON1へ出力する。貸機K毎にその背後に設けた紙幣挿入手段1nは貸機Kの数だけ存在し、千円札が投入された貸機Kの背後の紙幣挿入手段1nの受取検出センサー1n
4から、検出信号が制御部CONへ出力されていく。
【0047】
制御部CONに紙幣受取部1n
1の受取検出センサー1n
4から紙幣(受取)検出信号が入力されると、
図25,28に示すようにその記憶部CON1にその検出信号の入力時刻とその出力してきたローラー駆動部1n
3(紙幣挿入手段1n,紙幣受取部1n
1,貸機Kとも同じID)のID(識別番号)とを関連付けて記憶する。ローラー駆動部1n
3が送る紙幣はダクトの直線ダクト部1u内に挿入されたか否かを紙幣検出センサー1Sが検出する。紙幣検出センサー1Sも前記と同じID(識別番号)を有するようにしている。
【0048】
実施例の制御部CONの順番決めソフトCON2は、1日1区分として入力時刻の早い方の順番で紙幣を紙幣通路10に1枚毎送り出すように送出順番を決めている。
【0049】
ダクトの紙幣通路10内に1枚の紙幣も置かれていないことを紙幣の置き位置に設けた全ての紙幣検出センサー1Sで確認し、且つキャリアCが待機位置にあることを確認(即ちキャリアCがダクト1の途中の紙幣通路10に存在しないことを確認)すると、順番決めソフトCON2によって、最初の送出順番(記憶部CON1の中で最も入力時刻が早いもの)のIDのローラー駆動部1n
3に起動信号を送出制御部CON4から発生させる。又、それ以外のローラー駆動部1n
3は送出を非作動(停止)状態とする(
図27参照)。
【0050】
上記手順での起動信号が与えられた1台のローラー駆動部1n
3は作動し、ここに紙面を縦にして一時停止していた紙幣をローラーで直線ダクト部1uの縦長のスリット状開口部13へ向けて送り出す。ここで、開口部13には湾曲した変向ガイド1n
2があり、垂直な紙幣はこの変向ガイド1n
2によって湾曲・変向しながら、開口部13内のガイド12のガイド先端12a間の紙幣通路10の空間内に垂直に挿入される。
挿入された紙幣は左右のガイド12によって左右に倒れたり、大きく変曲することなく略垂直の状態が保持される。
紙幣を送り出した後、ローラー駆動部1n
3は停止し、次の貸機Kからの紙幣の受け取り作動するまで待機の非作動のままとなる。
【0051】
このように、1枚の紙幣が上段の直線ダクト部1uの紙幣通路10に置かれると、そのダクト壁に設けた紙幣検出センサー1Sから紙幣検出信号を制御部CONの送出制御部CON4へ出力される。その信号を受けて、送出制御部CON4は送風機Bを作動させ(又は作動中であれば送風状態を維持し)、次に待機位置の電動ストッパ1b
4を作動し、待機した最上流のキャリアCを1台移動可能とする。
【0052】
送風機の起動は
図26,27に示すように、送出順番「1」の最初の紙幣がダクト1内に置かれて、紙幣検出センサー1Sがそれを感知すると起動する。送風機B,BBの起動時間は大略3秒で安定作動する。そして、この送風機の作動による空気流がダクト内を6秒程で周回した時点において待機位置で発進可能となったキャリアが約9秒後にダクト内を移動できるようになる。従って、送出順番「1」の紙幣の搬送時間は送風機の立上り時間と送風の一巡までの時間9秒程が経た後に、キャリアCは待機位置から発進可能となり、20秒程の長い紙幣の搬送時間を要する。
【0053】
一方、開店時刻の送出順番「2」以後の紙幣の搬送時間は、キャリアCが待機位置1b
3に戻った時点で、次の送出順番の紙幣が紙幣受取部1n
1で待機していることが多いので、送風機B,BBを停止させないで「送風状態」(送風機作動状態)のままにして、次の送出順番の紙幣のローラー駆動部1n
3へ作動信号を送る。従って、本実施例ではその作動信号の時刻から11秒後に紙幣は紙幣保管室Hに収納される。
このように、処理済みでない送出順番の紙幣が短時間に連続している場合は、紙幣は約11秒の間隔で紙幣を搬送する。
【0054】
遊技店の朝10時の開店時刻では、紙幣の貸機Kへの投入が短い秒間でなされるので、最初の紙幣を除いて紙幣は約11秒の間隔で搬送される。
昼等のように、紙幣の貸機Kへの投入間隔が平均23秒間隔と長くなると、送風機B,BBは紙幣搬送後一時作動停止させ、電力の消費を少なくできるようにしている。
【0055】
キャリアCは前方から広く左右に開いた略V字状の紙幣捕捉部C1と、後部には後方に向って拡がる羽根部C21を有する受圧部C2を備えている。そして、ダクト1の左右の側内面から水平に張り出した板状のガイド12を紙幣捕捉部C1のガイド溝の案内部C11に嵌挿し、又後部の受圧部C2のガイド溝の案内部C22に嵌挿して接習させている。キャリアCを案内部C11,C22に嵌挿したガイド12によって水平に保持し、キャリアCが上下・左右・前後に倒れることなく、常に同じ姿勢を保持させている。
特に受圧部C2の羽根部C21は弾性変形可能であり、羽根部C21によってガイド12,ダクト内壁と接触しても強い衝撃を与えずに軽く支持して、キャリアCの移動を円滑にしている。
【0056】
キャリアCの推進力は送風機B及び補助送風機BBによってダクト1内に送り込まれた空気流が受圧部C2に作用し、受圧部C2に空気力が発生し、キャリアCは待機位置から発進され、下段の直線ダクト部1d内を推進する。
【0057】
実施例のキャリアCの羽根部C21は弾性変形できるので、空気流を受けると左右方向に拡がって受圧面積を増大させ、高い空気力を発生してキャリアの移動速度を高める。キャリアCが島Sの先端に達すると湾曲ダクト部1aに進入し、キャリアCは直線状のガイド12から湾曲ガイド1a
1によって上下反転されて、上段の直線ダクト部1uへ移行する。直線ダクト部1u,1dは上下反転しても上下左右形状寸法を同じくするので、キャリアCは上下逆になって直線ダクト部1u内を送られる。
【0058】
次に、キャリアCの前部には前方に拡がった略V字状の紙幣捕捉部C1があり、しかもその紙幣捕捉部C1の拡がった左右の先端はガイド12のガイド先端12aよりダクト内壁側に近くなっている。
これによって、左右のガイド先端12a間の紙幣通路10の巾より紙幣捕捉部C1の先端間の方が巾広となって、上段の直線ダクト部1uの紙幣通路10に置かれた垂直な紙幣は確実に紙幣捕捉部C1によって捕捉され、その略V字状の内側に紙幣は納められる。
【0059】
ダクト内の紙幣はキャリアCによって捕捉された状態で、キャリアCは上段の直線ダクト部1u内を紙幣保管室Hの方の下流に向って移動する。
【0060】
そして、キャリアCがダクト1(上段の直線ダクト部1u)の下流の終端から紙幣分離キャリア戻し部1bへ到達すると、
図17〜20に示すようにこのブレーキ装置1b
5はスプリング1b
53によって摩擦部材1b
54がダクトの開口から紙幣通路10側へ斜め突出状態にあり、ここに進入してきたキャリアCの紙幣捕捉部C1の先端がこの摩擦部材1b
54にまず接触してキャリアCを大きく減速させ、更にキャリア係止部材1b
52と紙幣捕捉部C1の先端とが係止して一時停止される。この一時停止状態でキャリア進入検出センサー1b
58がONとなり、タイムラグスイッチ1b
59によって0.5秒一時停止後に、電磁石1b
55が働いて、鉄片1b
56・係合部材1b
51を揺動支点1b
57まわりに回転させ、キャリア係止部材1b
52を外方向に退却させて、キャリアCの係止を解除する。
一時停止して係止解除すると、キャリアCが空気流によってゆっくり湾曲ガイド1b
1に沿って回動する。これによって、キャリアCが捕捉していた紙幣Mをゆっくりと紙幣保管室Hへ送り出し、紙幣Mを紙幣保管室の開口から格納させる。キャリアCは湾曲ガイド1b
1に沿って待機位置1b
3へ向う。又、湾曲ガイド1b
1は下段の直線ダクト部1dの始端側ダクト1のガイド12と連結されて、キャリアCは湾曲ガイド1b
1で下段の直線ダクト部1dの始端部へ移動できるようになっている。
【0061】
このキャリアCがこの紙幣分離キャリア戻し部1bに到着して、ブレーキ装置1b
5でキャリアCが減速して一時停止する。紙幣はその再始動又は減速されたキャリアCによってダクト1の延長方向にゆっくりと直線的に投げ出され、又はキャリアCで押されてそのまま紙幣保管室Hの縦長の開口へ移動して、紙幣保管室H内で収納保管される。紙幣保管室Hに移動した紙幣は、内部機構で紙幣を所定空間に重ねられて保管される(その内部機構は図示していない)。
【0062】
更に、
図21〜23に示すように紙幣を送った後キャリアCは湾曲ガイド1b
1で回転されながら移動する。湾曲ガイド1b
1の途中に電動ストッパ1b
4があり、ストッパピン1b
41はスプリング1b
44によって常時突出状態にあって、湾曲ガイド1b
1に沿って動いてくるキャリアCの紙幣捕捉部C1の先端部がこのストッパピン1b
41に係止されてキャリアCは停止する。
この停止位置が待機位置1b
3となる。そして、待機位置1b
3にキャリアCが停止すると、キャリア戻り検出センサー1b
6がキャリアCが待機していることを示す待機信号を制御部CONに送る。
【0063】
図21〜23に示す電動ストッパ1b
4について詳しく説明する。電動ストッパ1b
4は紙幣分離キャリア戻し部1bのケーシング1b
2から内部に向って出没自在なストッパピン1b
41を備えていて、同ストッパピン1b
41は鉄製の進退ボディ1b
42の頭部中央にケーシング1b
2内に向けて突設されている。同進退ボディ1b
42の頭部の鍔部1b
43とそれらを納めるストッパケース1b
46の中間壁1b
47との間に進退ボディ1b
42とストッパピン1b
41をケーシング内に向けて付勢するスプリング1b
44が配置されている。
【0064】
電磁石1b
45は常時非通電であり、ストッパピン1b
41はスプリング1b
44によって、ケーシング1b
2の内部に常時突出している(
図22,23(a),(b)参照)。そして、送出制御部CON4からの信号によって通電されるものであり、通電されると電磁石1b
45は鉄製の進退ボディ1b
42を磁力で吸引してストッパピン1b
41をケーシング1b
2の外側へ退却させて、キャリアCの係合を解いて発進可能となる(
図21,23(c)参照)。発進後、待機位置にキャリアCがいなくなると、キャリア戻り検出センサー1b
6がキャリアCの非検出信号となって制御部CONに入力され、この非検出信号を受けて電磁石1b
45は非通電状態となり、スプリング1b
44によってストッパピン1b
41は突出状態に戻る。
【0065】
キャリア戻り検出センサー1b
6がキャリアCの待機信号を制御部CONに送れば、順番繰り上げ部CON5が作動して順番決めソフトCON2に入力して、紙幣を送り出す送出順番を次の送出順番に繰り上げる(送出順番を「1」加えた送出順番とする)。又、送られた紙幣の搬送処理済み「*」を記憶部CON1に書き込む。
【0066】
制御部CONに入力されている全ての紙幣検出センサー1Sが紙幣なしの状態であれば、次の紙幣送りのサイクルに入る。
【0067】
順番決めソフトCON2によって決定されて記憶部CON1に書き込まれた次の送出順番(時刻順)のIDのローラー駆動部1n
3のみを駆動させる信号を送出制御部CON4に送り出す。
【0068】
すると、前記の通り次の送出順番の紙幣がダクト1内の紙幣通路10に送られ、その紙幣検出センサー1Sが紙幣を確認すると前記の如く、送風機を起動して又は送風機の送風状態を維持して待機位置の電動ストッパ1b
4の電磁石1b
45を作動し、そのストッパピン1b
41を沈めてキャリアCを移動可能にする。キャリアCを受圧部C2に働く空気力で下段の直線ダクト部1d内を移動させる。前記同様、島Sの先端の湾曲ダクト部1aによって反転させて上段の直線ダクト部1u内を移動させて途中の紙幣を捕捉して、紙幣保管室Hへ送り込む。
【0069】
このように、紙幣を1枚毎ダクト1の紙幣通路10に置いてキャリアCを空気力で移動させ、紙幣1枚毎紙幣保管室Hへ送り込むことを繰り返すことで、貸機Kに投入された紙幣を迅速に且つ確実に安全な紙幣保管室へ短時間でその送出順番で移動されるようにした。
【0070】
このように、紙幣を貸機Kの中に残らないように迅速に安全な紙幣保管室へ移動されて紙幣は重ねられて保管されることで、紙幣の盗難を大巾に低減させることができる。その機構・構造は省略している。
【0071】
一方、紙幣を送った後キャリアCは湾曲ガイド1b
1で回転させられて、その途中で電動ストッパ1b
4の突出した出没自在のストッパピン1b
41でキャリアCを停止させる。この停止位置がキャリアCの待機位置1b
3となる。
キャリアCが待機位置1b
3に至れば、キャリア戻り検出センサー1b
6でキャリアCが待機位置1b
3で待機していることを示す待機信号を制御部CONに送る。
【0072】
キャリアの待機信号が制御部CONに送れば、順番繰り上げ部CON5が作動して、紙幣を送り出す送出順番を次の送出順番のものに繰り上げる。次の送出順番がない場合は、紙幣受取部1n
1の受取検出センサーからの紙幣受取信号を待つ。その場合は、送風機B,補助送風機BBともに停止する。
【0073】
制御部CONに入力されている全ての紙幣検出センサー1Sが紙幣なしの状態であれば、次の紙幣送りのサイクルに入る。
【0074】
紙幣なしで次の紙幣の投入を待ち、新しい紙幣が投入されると順番決めソフトCON2から紙幣を送り出す次の送出順番が決定し、その決定を受けて次の送出順番(時刻順)のIDのローラー駆動部1n
3のみを駆動させる信号を送出制御部CON4に送り出す。又は、次の送出順番の紙幣がある場合は、その次の順番のIDのローラー駆動部1n
3のみを作動させる。
【0075】
すると、前記の通り次の順番の紙幣が上段の直線ダクト部1u内の紙幣空間に送られ、ダクト1に設けた紙幣検出センサー1Sがその紙幣の挿入を確認すると待機位置の電動ストッパ1b
4を作動し、そのストッパピン1b
41を沈めてキャリアCを移動可能にし、キャリアCを受圧部C2に働く空気力でダクト内を移動させる。前記同様キャリアCを下段の直線ダクト部1dと湾曲ダクト部1a内に沿って移動させ、上段の直線ダクト部1uの途中で紙幣を捕捉して、紙幣保管室Hへ送り込む。
【0076】
このように、紙幣を1枚毎ダクトの上段の直線ダクト部1uの紙幣通路10に置いてキャリアCを空気力で移動させ、紙幣1枚毎紙幣保管室Hへ送り込むことを繰り返すことで、貸機Kに投入された紙幣を紙幣受取部1n
1に一時待機した後、安全な紙幣保管室Hへ約11秒程の搬送時間で移動できるようにした。
【0077】
紙幣を貸機Kの中に残さないように安全な紙幣保管室Hへ移動させることで、紙幣の盗難を大巾に低減させることができる。
【0078】
尚、上記実施例において、キャリアCの待機位置1b
3をダクト1の中間位置の湾曲ダクト部1aの前後に配置することもできる。この場合、ブレーキ装置1b
5・電動ストッパ1b
4及びキャリア戻り検出センサー1b
6もこの湾曲ダクト部1aの待機位置に更に配置し、キャリアを2台とする。この2個所の待機位置とすることで、湾曲ダクト部1aの待機位置のキャリアCは上段の直線ダクト部1uへ早期に移行し、紙幣を短時間に捕捉して紙幣分離キャリア戻し部へ送れる。一方、紙幣分離キャリア戻し部の別のキャリアCは湾曲ダクト部1aの待機位置に移動し、待機する。
このようにすれば、下段の直線ダクト部1dの送り時間分だけ紙幣を捕捉して搬送する時間が短縮できる。
【0079】
図29〜31に示す湾曲ダクト部1aは前記実施例とは別の湾曲ダクト部1aの例である。この
図29〜31に示す湾曲ダクト部1aは下段の直線ダクト部1d及び上段の直線ダクト部1uとを90°ひねって横向きのダクト状態にし、上下の横向きダクトを円弧状ダクトで連結するものであり、キャリアCは上下反転して下段から上段へ送られるものである。
【0080】
(他の実施例)
図32〜39に示す他の実施例は、島Sの先端で折り返した二本の直線ダクト部1front,1backを前後の貸機Kの間に配置するとともに、一方の前方の直線ダクト部1frontを前方の貸機Kの背面に対向するように、他方の後方の直線ダクト部1backを後方の貸機Kの背面に対向するように前後に並列的に配置し、島Sの先端の平面的に円弧状に曲った湾曲ダクト部1aで前後の直線ダクト部1front,1backのガイド12と湾曲ガイド1a
1を接続して、一方の前の直線ダクト部1frontを上下をそのままで他方の後の直線ダクト部1backに連絡させ、キャリアCは上下反転せずに前方の直線ダクト部1front,湾曲ダクト部1a,後方の直線ダクト部1backへ送られ、紙幣分離キャリア戻し部1bへと送るものである。ここで、直線ダクト部1frontと直線ダクト部1backの断面形状は同一となっている。キャリアCは前実施例と同一形状のものを使っている。又、紙幣分離キャリア戻し部1bでは、後方の直線ダクト部1backから送られてくるキャリアCは、前記
図1〜28に示す実施例と同様に、ブレーキ装置1b
5で減速され一時停止した後に、紙幣を紙幣保管室Hへ送りながら少し前方側に捩った上下に円弧状の湾曲ガイド(図示せず)に沿って、前方の直線ダクト部1frontへ送られるものである。キャリアCは上下反転し、左右(キャリア進行方向に対しての左右)逆になって、前方の直線ダクト部1frontへ移行する。この途中に電動ストッパ1b
4と、待機位置1b
3、キャリア戻り検出センサー1b
6が設けられている。
【0081】
この例では、前方の貸機Kで投入された紙幣は前の直線ダクト部1frontの紙幣通路10へ紙幣挿入手段1nによって挿入される。又、後方の貸機Kで投入された紙幣は、後方の直線ダクト部1backの紙幣通路10へ挿入される。
【0082】
従って、前方の貸機Kで投入された紙幣は、前方の直線ダクト部1frontの紙幣通路10に置かれ、キャリアCは前方の直線ダクト部1frontの紙幣通路10の紙幣をキャリアCで捕捉し、湾曲ダクト部1aで後方の直線ダクト部1backへ移動して、紙幣を捕捉したまま後方の直線ダクト部1back内を搬送され、前記実施例と同様の構造の紙幣分離キャリア戻し部1bへ到り、ここで前記実施例と同様に紙幣を紙幣保管室へ送り込み、キャリアCを湾曲ガイド1b
1によって待機位置1b
3へ移動し、一時停止させて待機するものである。
【0083】
この例では、湾曲ダクト部1aの湾曲ガイド1a
1は平面的に円弧状に湾曲していて、直線ダクト部1front,1backを上下・左右逆にせずにキャリアCをそのままの姿勢で移行できるようにしている。
【0084】
又、前方の直線ダクト部1frontと1backとはプラスチック製で一体成型されている。
この例に湾曲ダクト部1aでは紙幣を捕捉したまま回転するので、キャリアCを高速にしにくいが、実用的には可能な構造となっている。
【0085】
他の構造・作用効果は、前の上段・下段の直線ダクト部1u,1dの実施例と同様となっている。