(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5739035
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】無線通信システムにおける端末から使用可能送信電力情報報告を受信する方法及び基地局
(51)【国際特許分類】
H04W 52/30 20090101AFI20150604BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20150604BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20150604BHJP
【FI】
H04W52/30
H04W72/04
H04W24/10
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-57860(P2014-57860)
(22)【出願日】2014年3月20日
(62)【分割の表示】特願2013-68470(P2013-68470)の分割
【原出願日】2010年3月17日
(65)【公開番号】特開2014-135759(P2014-135759A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2014年3月20日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0022719
(32)【優先日】2009年3月17日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503447036
【氏名又は名称】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ソン−フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒムケ・ファン・デル・ヴェルデ
【審査官】
冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/131902(WO,A1)
【文献】
Ericsson,Miscellaneous corrections to MAC[online], 3GPP TSG-RAN WG2♯65 R2-091659,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_65/Docs/R2-091659.zip>,2009年 2月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおける端末(UE)の送信方法であって、
MAC(Medium Access Control)リセットが発生した後、新たな送信のために割り当てられた1番目のアップリンクリソースを受信すると、予め定められた周期的タイマーを駆動させるステップと、
前記タイマーが満了すると、パワーヘッドルーム報告(PHR)をトリガリングするステップとを含むことを特徴とする送信方法。
【請求項2】
前記PHRは、MACレイヤメッセージを通して基地局に報告されることを特徴とする請求項1に記載の送信方法。
【請求項3】
無線通信システムにおける基地局の受信方法であって、
端末(UE)に新たな送信のための1番目のアップリンクリソースを割り当てるステップと、MAC(Medium Access Control)リセットが発生した後に前記1番目のアップリンクリソースに対する情報を受信した前記UEがトリガリングした予め定められた周期的タイマーが満了すると、前記UEからパワーヘッドルーム報告(PHR)を受信するステップとを含むことを特徴とする受信方法。
【請求項4】
前記PHRは、MACレイヤメッセージを通して受信されることを特徴とする請求項3に記載の受信方法。
【請求項5】
無線通信システムにおける端末(UE)であって、
MAC(Medium Access Control)リセットが発生した後、新たな送信のために割り当てられた1番目のアップリンクリソースを受信する受信部と、
前記受信部が前記1番目のアップリンクリソースを受信することを認知すると、予め定められた周期的タイマーを駆動させ、前記タイマーが満了すると、パワーヘッドルーム報告(PHR)をトリガリングする制御部とを含むことを特徴とする端末。
【請求項6】
前記PHRは、MACレイヤメッセージを通して基地局に報告されることを特徴とする請求項5に記載の端末。
【請求項7】
無線通信システムにおける基地局であって、
端末(UE)に新たな送信のための1番目のアップリンクリソースを割り当て、MAC(Medium Access Control)リセットが発生した後に前記1番目のアップリンクリソースに対する情報を受信した前記UEがトリガリングした予め定められた周期的タイマーが満了すると、送受信部を通して前記UEからパワーヘッドルーム報告(PHR)を受信する制御部を含むことを特徴とする基地局。
【請求項8】
前記PHRは、MACレイヤメッセージを通して受信されることを特徴とする請求項7に記載の基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムにおける端末(User Equipment:以下、“UE”と称する)がスケジューリング情報を送信する方法及び装置に関し、特に、無線通信システムにおける端末が使用可能送信電力情報(すなわち、パワーヘッドルーム報告)を送信する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユニバーサル移動通信サービス(Universal Mobile Telecommunication Service:以下、“UMTS”と称する)システムは、非同期通信システムである移動通信用グローバルシステム(Global System for Mobile Communications:GSM(登録商標))及び汎用パケット無線サービス(General Packet Radio Services:GPRS)に基づいており、広帯域符号分割多元接続(Wideband Code Division Multiple Access:以下、“WCDMA(登録商標)”と称する。)を使用する第3世代の無線通信システムである。以前にUMTSシステムの標準化を担当している第3世代パートナーシッププロジェクト(3
rd Generation Partnership Project:以下、“3GPP”と称する)においては、UMTSシステムを改良した無線通信システムとしてダウンリンクで最大10Mbps程度の送信速度をサポートすることができる高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)/高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)システムを提案している。また、HSDPA/HSUPAシステムは、現在商用化されており、サービスを提供している。
【0003】
HSDPA/HSUPAシステムが提案された後に、3GPPでは、もっと最近に、進化した次世代無線通信システムとしてロングタームエボルーション(Long Term Evolution:以下、“LTE”と称する)システムを提案した。LTEシステムは、最大100Mbps程度の送信速度を有する高速パケット基盤通信を実現し得る。したがって、LTEシステムの商用化のための多くの研究がなされている。
【0004】
3GPPで提案したHSDPA/HSUPAシステム及びLTEシステムの両方では、基地局(Node B or Evolved Node B)(以下、“ENB”と称する)がUEへの送信リソースの割り当てをスケジューリングするためにスケジューリング情報をUEから受信する。このスケジューリング情報は、例えば、UEのバッファ状態情報及び使用可能送信電力情報などを含み得る。
【0005】
このバッファ状態情報は、UEの送信バッファに送信しなければならないデータがどのくらいあるかをUEがENBに通知する情報である。この使用可能送信電力情報は、UEがアップリンク送信のために使用可能な電力量がどのくらいであるかをENBに通知する情報である。この使用可能送信電力情報を受信したENBは、UEの最大出力制限によるスケジューリングエラーを避けるためにスケジューリングを実行する。
【0006】
図1は、LTEシステムの構造を示す図である。
【0007】
図1を参照すると、次世代無線アクセスネットワーク(Evolved Radio Access Network:以下、“E-RAN”と称する)110及び112は、ENB120、122、124、126、及び128と、上位ノード(アクセスゲートウェイとも呼ばれる)130及び132とを含む2ノード構造に簡素化される。UE101は、E-RAN110及び112を介してインターネットプロトコル(Internet Protocol:IP)ネットワーク114にアクセスする。ENB120乃至128は、既存のUMTSシステムのレガシーノードBに対応する。ENB120乃至128の各々は、無線チャネルによりUE101に接続され、レガシーノードBにより実行される機能と比較した際に複雑な機能を実行する。
【0008】
LTEシステムにおいて、インターネットプロトコルに基づくVoIP(Voice over IP)のようなリアルタイムサービスを含むすべてのユーザトラフィックが共用チャネル(shared channel)を介してサービスされるので、UEの状況情報を集めることによりスケジューリングを実行する装置が必要であり、このようなスケジューリングは、ENB120乃至128により管理される。通常、ENB120乃至128の中の1つは、複数のセルを制御する。
図1において、ENB122が制御ENBであると仮定する。
【0009】
最大100Mbpsの送信速度を実現するために、LTEシステムは、最大20MHz帯域幅で直交周波数分割多重方式(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:以下、“OFDM”と称する)を無線接続技術として使用する。また、LTEシステムは、UEのチャネル状態に応じて変調方式(modulation scheme)及びチャネル符号化率を決定するために適応変調符号化(Adaptive Modulation & Coding:以下、“AMC”と称する)方式を使用する。
【0010】
例えば、ENB122は、送信リソースをUE101に割り当てる動作、すなわちスケジューリング動作を実行するためにUE101から様々なスケジューリング情報に関する報告を受信する。このようなスケジューリング情報の例は、UE101が送信バッファに格納しているデータの量及び種類に関するバッファ状態情報(Buffer Status Report:以下、“BSR”と称する)と、UE101の使用可能送信電力に関する使用可能送信電力情報とを含む。
【0011】
BSRは、アップリンク送信のためにUE101が送信バッファに格納しているデータの量を優先順位別に示す情報である。特定の条件を満足する場合に、UE101は、BSRを生成し、これをENB122に送信する。例えば、このような特定の条件は、データを格納していないUE101に現在送信する新たなデータが発生したか、又は以前にBSRを送信した後に所定の時間が経過した状況などを含み得る。
【0012】
この使用可能送信電力情報は、UE101の現在のチャネル状況に基づいて、UE101がアップリンクデータ送信のために使用することができる使用可能電力を示す情報である。この使用可能送信電力情報は、メディアアクセス制御(MAC)レイヤのメッセージを用いてUE101からENB122に送信され、通常、アップリンクパワーヘッドルーム(Uplink Power Headroom:UPH)又はパワーヘッドルーム報告(Power Headroom Report:PHR)と呼ばれる。下記の説明において、この使用可能送信電力情報は、PHRと呼ばれる。
【0013】
より具体的に、PHRは、UE101がENB122からの割り当てを受けた送信リソース及び変調符号化方式(Modulation Coding Scheme:以下、“MCS”と称する)を用いてアップリンク送信を実行する際に、アップリンク送信のために要求される要求送信電力とUE101の最大送信電力間の差として定義される。このPHRを計算する方式は、システムの条件により適切に変形され得る。
【0014】
次のような特定の条件が満足する場合には、UE101は、PHRを生成した後に、これをENB122に送信する。
【0015】
条件1)UE101が測定する経路損失の変化は、所定のしきい値を超過する。
条件2)UE101がPHRを送信した後に所定の時間が経過した。
アップリンク送信を実行する前に、UE101は、上述した2つの条件の中のいずれか1つが満足するか否かを検査し、1つの条件でも満足する場合には、送信の間にアップリンク送信パケットにPHRを含ませる。LTEシステムにおいて、PHRを運搬するパケットは、MACプロトコルデータユニット(PDU)を含む。
【0016】
通常、上述した条件1)により発生したPHRは、正規PHR(regular PHR)と呼ばれ、上述した条件2)により発生したPHRは、周期的PHR(periodic PHR)と呼ばれる。
【0017】
LTEシステムにおいて、この周期的PHRの生成は、タイマー、すなわち、PHR周期的タイマーにより制御される。UE101は、周期的PHRを送信した後にPHR周期的タイマーを駆動し、このPHR周期的タイマーが満了した際に、UE101は、送信される1番目のMAC PDU内に次の周期的PHRを含ませ、PHR周期的タイマーを再駆動する。UE101は、このような動作を繰り返す。
【0018】
付加的に、UE101は、ソースセルのENBからハンドオーバ命令を受信するためにMACをリセットする。MACリセット過程において、UE101は、現在駆動中であるPHR周期的タイマーを含むすべてのタイマーを中止させる。このPHR周期的タイマーは、PHRが生成された場合のみに再駆動されるために、新たなPHRがターゲットセルで生成されない限り、この中止されたPHR周期的タイマーも再駆動されない。
【0019】
したがって、正規PHRを除外し、周期的PHRだけがUEに設定されている場合に、この新たなPHRは、PHR周期的タイマーの満了のみで生成される。しかしながら、上述したように、MACリセットにより、このPHR周期的タイマーが中止され再駆動されないために、UEがターゲットセルにハンドオーバした後に周期的PHRをこれ以上生成しないという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、少なくとも上述した問題点及び/又は不都合に取り組み、少なくとも以下の便宜を提供することにある。すなわち、本発明の目的は、無線通信システムにおいてUEがENBに送信したスケジューリング情報の送信中断を防止するための方法及び装置を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、無線通信システムにおいてUEがENBに送信した使用可能送信電力情報の送信中断を防止するための方法及び装置を提供することにある。
【0022】
本発明のまた他の目的は、無線通信システムにおいてMACリセットの発生の際にUEの使用可能送信電力情報を報告するための方法及び装置を提供することにある。
【0023】
本発明のさらなる他の目的は、無線通信システムにおいてMACリセットの発生の際にUEの使用可能送信電力情報の送信を再開するための方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記のような目的を達成するために、本発明の実施形態の一態様によれば、無線通信システムにおける端末(UE)が使用可能送信電力情報を基地局に報告する方法を提供する。上記方法は、上記端末がアップリンクリソースを受信するステップと、上記アップリンクリソースがメディアアクセス制御(MAC)リセットの後に新たな送信のために割り当てられた1番目のアップリンクリソースであるか否かを判定するステップと、上記割り当てられたアップリンクリソースが上記メディアアクセス制御リセットの後に上記新たな送信のために割り当てられた上記1番目のアップリンクリソースである場合に、上記使用可能送信電力情報を報告するためのタイマーを駆動するステップと、上記タイマーの満了の際に上記使用可能送信電力情報を報告するステップとを含む。
【0025】
本発明の実施形態の他の態様によれば、無線通信システムにおける基地局に使用可能送信電力情報を報告する端末(UE)装置を提供する。上記端末装置は、無線チャネルを通してメッセージを送受信する送受信部と、上記基地局との通信のためのメディアアクセス制御(MAC)処理を実行するメディアアクセス制御処理部と、メディアアクセス制御リセットの後に受信されるアップリンクリソースが新たな送信のために割り当てられた1番目のアップリンクリソースであるか否かに基づいて上記使用可能送信電力情報の周期的送信を制御する制御部とを含む。
【0026】
本発明のさらに他の態様によれば、無線通信システムにおける端末が使用可能送信電力情報を基地局に報告する方法を提供する。上記方法は、上記端末がアップリンクリソースを受信するステップと、上記アップリンクリソースがメディアアクセス制御(MAC)リセットの後に新たな送信のために割り当てられた1番目のアップリンクリソースであるか否かを判定するステップと、上記割り当てられたアップリンクリソースが上記メディアアクセス制御リセットの後に上記新たな送信のために割り当てられた1番目のアップリンクリソースである場合に、上記使用可能送信電力情報を生成し、上記基地局に送信するステップとを含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、UEは、MACリセットの発生の際に周期的な使用可能送信電力情報の送信中断を防止することができる。同様に、UEは、新たなセルにハンドオーバした後に周期的な使用可能送信電力報告の中断を防止することもできる。
【0028】
本発明の一実施形態の目的、特性、及び長所は、添付した図面と共に以下の説明により、さらに明確になるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】本発明の実施形態によるUEの動作を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態によるUEの動作を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態によるUEの動作を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態によるUEの動作を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態によるUE装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。下記の説明において、明瞭性と簡潔性の観点から、本発明に関連した公知の機能や構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、後述する用語は、本発明の機能を考慮して定義されたものであって、ユーザー、運用者の意図、又は慣例によって変わり得る。したがって、上記用語は、本明細書の全体内容に基づいて定義されなければならない。
【0031】
上述したように、本発明は、ターゲットセルへのハンドオーバを実行した後にMACリセットによりターゲットセルでこれ以上PHRを生成しない周期的PHRだけが設定されている通常のUEで発生する問題点を解決するための方法及び装置を提供する。したがって、以下、本明細書において、特別な言及がない限り、用語“PHR”は、“周期的PHR”として解釈される。
【0032】
本発明の実施形態は、
図1に図示し説明したLTEシステムと関連して説明されるが、UEに対応する移動局(mobile station)がENBに対応する基地局(base station)に使用可能送信電力情報又は周期的な送信が必要なスケジューリング情報を送信するシステムである場合に、同一の方式で適用され得る。すなわち、本発明は、UEがスケジューリング情報の送信のためのタイマーを駆動し、UEのハンドオーバの際にそのタイマーがリセットされるシステムである場合に、同一の方式で適用され得る。
【0033】
本発明の実施形態に従って、UEでMACリセットが発生した後に、UEは、PHRの生成と関連したタイマーを除いたすべてのタイマーを中止させる。
【0034】
本発明の他の実施形態に従って、UEでMACリセットが発生した後に、UEは、すべてのタイマーを中止させ、MACリセットが完了する際にPHRの生成と関連したタイマーを再駆動させる。
【0035】
本発明の他の実施形態に従って、UEでMACリセットが発生した後に、UEは、ENBから1番目のアップリンクグラント(uplink grant)を受信した後に、PHRの生成と関連したタイマーを再駆動させる。
【0036】
本発明の他の実施形態に従って、UEでMACリセットが発生した後に、UEは、ENBから1番目のアップリンクグラントを受信した後にPHRを生成する。
【0037】
以下、上述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。UEのハンドオーバの際に、UEでMACリセットが発生することを仮定する。しかしながら、本発明の実施形態は、MACリセットが他の理由で発生した場合にも適用され得る。
【0038】
図2は、本発明の実施形態によるUEの動作を示すフローチャートであり、MACリセットの発生の際に、UEは、PHR周期的タイマーを制御する。
【0039】
上述したように、MACリセットの際に、UEがPHR生成のためのPHR周期的タイマーの駆動を中止させるために、本発明により解決される問題が発生する。したがって、このような問題を解決するために、本発明の実施形態に従って、
図2に示すように、UEは、PHR周期的タイマーを除いたすべてのタイマーを中止させる。UEでMACリセットの際に、PHR周期的タイマーを除き、中止されるすべてのタイマーは、3GPP TS 36.321,セクション5.4.5を参照する。
【0040】
図2を参照すると、ステップ205で、UEのハンドオーバの前にMACリセットが発生する。MACリセットは、一般的にハンドオーバを開始する前に実行され、UEは、ENBからハンドオーバ命令を受信する際にMACをリセットする。
【0041】
ステップ210で、UEは、MACリセットの間に、PHR周期的タイマーが駆動中であるか否かを検査する。このPHR周期的タイマーが駆動中である場合に、UEは、ステップ215で、このPHR周期的タイマーを除いたすべてのタイマーを中止させる。しかしながら、ステップ210で、このPHR周期的タイマーがMACリセットの間に駆動中でない場合、例えば、このPHR周期的タイマーが設定されていない場合に、UEは、ステップ220で、UE内のすべてのタイマーを中止させる。
【0042】
図3は、本発明の他の実施形態によるUEの動作を示すフローチャートであり、MACリセットの発生の際に、UEは、PHR周期的タイマーを中止させ、MACリセットが完了した後にPHR周期的タイマーを再駆動させる。MACリセットが完了した後にPHR周期的タイマーを再駆動させることにより、周期的PHRは、MACリセットの後にも継続して発生することができる。
【0043】
図3を参照すると、MACリセットは、ステップ305で、UEのハンドオーバの前に開始する。UEは、ステップ310で、UEで駆動中であるすべてのタイマーを中止させる。UEは、ステップ315で、残りのMACリセット過程を実行する。この残りのMACリセット過程は、例えば、駆動中であるMAC過程を終了し、MACレイヤに割り当てられたリソースを解除する手順を含む。
【0044】
ステップ315で、MACリセット過程が完了した後に、UEは、ステップ320で、PHRの生成のためのPHR周期的タイマーがMACリセットの前に設定されたか否かを判定する。PHR周期的タイマーが前に設定された場合に、UEは、ステップ310で、PHR周期的タイマーがMACリセット過程で中止されたことを確認し、ステップ325で、PHR周期的タイマーを再駆動させた後に、ステップ330で、次の手順を進行する。この次の手順は、例えば、ターゲットセルでのランダムアクセス過程を含み得る。ステップ320で、PHR周期的タイマーが前に設定されていない場合に、UEは、ステップ330で次の手順を行う。
【0045】
図4は、本発明の他の実施形態によるUEの動作を示すフローチャートであり、UEは、MACリセット過程が完了した後に、1番目のアップリンクグラントを受信する際にPHR周期的タイマーを再駆動させる。このように、UEは、MACリセット過程の完了後に、PHR周期的タイマーを即座に再駆動させず、ターゲットセルのENBから受信される1番目のアップリンクグラントを待機する。その理由は、一般的に、UEがMACリセットの後に1番目のアップリンクグラントを通して割り当てられたリソースを用いて重要な制御メッセージ、例えば、ハンドオーバ完了メッセージを送信するためである。したがって、MACリセットが完了した後に、UEがPHR周期的タイマーを即座に再駆動させた場合に、UEは、1番目のアップリンクグラントを受信した後に、ターゲットセルのENBに重要な制御メッセージを送信する時点でPHR周期的タイマーが満了するため、この重要な制御メッセージ又は制御メッセージの一部の代わりにPHRを送信すべき場合が発生し得る。しかしながら、
図4に示すように、MACリセットが発生した後に、UEが1番目のアップリンクグラントを受信した際にPHR周期的タイマーを再駆動させる場合に、PHRが1番目のアップリンク送信の間に送信されることを防止することができる。
【0046】
図4を参照すると、UEは、ステップ405で、ターゲットセルのENBからターゲットセルで新たな送信のためのアップリンクリソースの割り当てを示すアップリンクグラントを受信する。UEは、ステップ410で、このアップリンクグラントが以前のMACリセットの後に受信される1番目のアップリンクグラントであるか否かを判定する。
【0047】
このMACリセットの後にはじめに受信されるアップリンクグラントは、UEがターゲットセルへのハンドオーバの後にはじめに受信するアップリンクグラントと同一である。基本的に、アップリンクグラントは、新たな送信のためのアップリンクグラント及び再送信のためのアップリンクグラントとして分類することができ、本発明において、アップリンクグラントは、新たな送信に対するアップリンクグラントとして解釈されなければならない。
【0048】
ステップ410で、このアップリンクグラントがMACリセットの後にはじめに受信されるアップリンクグラントである場合に、UEは、ステップ415で、PHR周期的タイマーを再駆動させる。したがって、UEは、MACリセットの後にも周期的PHRをターゲットセルのENBに送信することができる。
【0049】
しかしながら、ステップ410で、このアップリンクグラントがMACリセットの後にはじめに受信されるアップリンクグラントでない場合に、例えば、ステップ415での動作がすでに実行された場合に、UEは、ステップ420で、アップリンク送信過程を進める。
【0050】
図5は、本発明の他の実施形態によるUEの動作を示すフローチャートであり、ハンドオーバが行われた後、すなわち、MACリセットが完了した後にも、UEは、ターゲットセルで周期的PHRを送信し得る。特に、UEは、PHRが生成される際にPHR周期的タイマーが自動で再駆動されるために、MACリセット過程を完了した後にPHRを生成する。
【0051】
図5を参照すると、UEは、ステップ505で、アップリンクグラントをターゲットセルから受信する。ステップ510で、UEは、このアップリンクグラントが以前のMACリセットを実行した後に受信される1番目のアップリンクグラントであるか否かを判定する。このアップリンクグラントが1番目のアップリンクグラントである場合に、UEは、MACリセットの後にも周期的PHRを送信するためにステップ515でPHRを生成した後に、ステップ520でアップリンク送信過程を実行する。したがって、UEは、ハンドオーバの後にもターゲットセルで周期的PHRを送信することができる。しかしながら、ステップ510で、このアップリンクグラントが以前のMACリセット後に受信される1番目のアップリンクグラントでない場合、例えば、ステップ515の動作がすでに実行された場合に、UEは、ステップ520でアップリンク送信過程をすぐに実行する。
【0052】
図6は、本発明の実施形態によるUE装置を示すブロック図である。
【0053】
図6を参照すると、UE600は、制御メッセージ処理部605と、レイヤ2(L2)処理部615と、PHR生成部610と、グラント処理部620と、送受信部625とを含む。
【0054】
制御メッセージ処理部605は、無線網を通して送受信される各種制御メッセージを処理する。この中で、制御メッセージ処理部605は、ENBから受信した制御メッセージがハンドオーバ命令を含む際にL2処理部615をリセットする。
【0055】
L2処理部615は、MAC処理部を含む。制御メッセージ処理部605からリセット命令を受信する際に、L2処理部615は、MACリセットによりMACレイヤのリセットをPHR生成部610に通知する。
【0056】
PHR生成部610は、周期的PHRの生成のためにPHR周期的タイマーを制御する。例えば、PHR生成部610は、PHR周期的タイマーが駆動、再駆動、及び中止を行うように制御する。
【0057】
制御メッセージ処理部605からMACリセット通知を受信する際に、PHR生成部610は、PHR周期的タイマーを中止させるか又は再駆動させ得る。特に、
図2に示すような本発明の実施形態に従って、MACリセットの発生の際に、PHR生成部610は、他のすべてのタイマーがUEで中止されてもPHR周期的タイマーの駆動を維持させる。
【0058】
図3に示すような本発明の実施形態に従って、PHR生成部610は、MACリセットの完了の後にPHR周期的タイマーを再駆動させる。
図4に示すような本発明の実施形態に従って、PHR生成部610は、MACリセットの完了の後に、1番目のアップリンクグラントを受信する際にPHR周期的タイマーを再駆動させる。
図5に示すような本発明の実施形態に従って、PHR生成部610は、MACリセットの完了の後に、1番目のアップリンクグラントを受信する際に周期的PHRを生成する。PHR生成部610は、この生成された周期的PHRをL2処理部615に伝達する。
【0059】
このPHR周期的タイマー(図示せず)は、PHR生成部610に含まれるか、又は個別のタイマーとして備えられ得る。
【0060】
無線リンク制御(RLC)装置又はMAC装置であるL2処理部615は、レイヤ3(L3)制御メッセージを含む上位レイヤデータを適切なサイズでフレーミングし、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)動作を適用し、多重化機能を提供することができる。また、L2処理部615は、送受信部625から伝達されたデータを元来の上位レイヤデータに復元し、これを適切な上位レイヤに伝達する。また、L2処理部615は、PHRのような特定の制御メッセージを多重化し、これを送受信部625に伝達する。
【0061】
グラント処理部620は、無線チャネルを通して受信したグラントを分析することにより割り当てられた送信リソースを認識する。グラント処理部620は、アップリンク送信が可能であることをPHR生成部610に通知し、この割り当てられた送信リソースを用いて無線チャネルを通してデータを送受信し得るように送受信部625を制御する。
【0062】
送受信部625は、無線チャネルを通してL2処理部615から伝達されたMAC PDUを送信する。また、送受信部625は、ダウンリンク及びアップリンク送信リソースを割り当てるためのダウンリンクグラント及びアップリンクグラントを、無線チャネルを通してENBから受信し、このグラントをグラント処理部620に伝達する。送受信部625は、無線チャネルを通して受信された信号を処理し、これらを適切な上位レイヤに伝達する。
【0063】
図6の実施形態では、制御メッセージ処理部605、L2処理部615、PHR生成部610、及びグラント処理部620の構成要素が個別の装置として図示されたが、この構成要素の一部又は全部を1つの制御部として実現することも可能である。
【0064】
以上、本発明を具体的な実施形態を参照して詳細に説明してきたが、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく様々な変更が可能であるということは、当業者には明らかであり、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものの範囲内で定められるべきである。
【符号の説明】
【0065】
600 UE
605 制御メッセージ処理部
610 PHR生成部
615 レイヤ2(L2)処理部
620 グラント処理部
625 送受信部