【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的は、本願の請求項1に係る圧力センサによって実現される。従属項は、前記圧力センサの改良品に関するものである。
【0005】
圧力センサは、電気部品に接触接続される導体トラックを有する基板を備えることを特徴としている。該圧力センサは、機械的に測定された変数あるいは電気的な中間変数を記録し、該変数を電気信号に変換する測定素子を備える。該圧力センサは、前記測定素子から出力される電気信号をさらに処理する信号変換器を備える。該信号変換器は、例えば、温度補償を計算して、測定信号を標準化し、測定トランスデューサからの信号を増幅するために使用される。該圧力センサの基板と第1のダイアフラムは、第1の閉鎖空洞を形成し、この閉鎖空洞には、例えば、オイルなどの不活性な封入媒体が含まれる。
【0006】
圧力センサの測定素子の少なくとも一方の側には、アクティブ表面があって、前記アクティブ表面を持つ側は、前記第1の空洞内において前記封入媒体と直に接触する。前記信号変換器は、集積回路を備える不被覆のチップ(ダイ)(unhoused chip(die))の形で、圧力センサの基板上に配置されるのが好ましい。好適な一実施形態では、前記信号変換器の一方の側、つまり、集積回路あるいはスイッチ構造を有するシリコンチップが、圧力センサの基板と直に接触すると好ましい。そのため、前記信号変換器の寸法は、例えば、SMD型をなす被覆されたチップよりも相当に小さい。SMD型チップは、例えば、プラスチックあるいはセラミックのハウジングで囲まれており、集積型の導体トラックを備えるシリコンチップは、その内部において外部接点と結合されている。シリコンチップの寸法を小さくすれば、例えば、前記信号変換器を基板の窪み内に配置できる。
【0007】
好適な実施形態の1つでは、前記信号変換器は、基板の窪み内に配置される。
【0008】
集積回路を備えるシリコン材料を含む信号変換器を、機械的損傷や有害な環境影響あるいは腐食から保護するために、信号変換器の少なくとも一部は、弾性材あるいは、好ましくは軟弾性材によって覆われる。
【0009】
別の実施形態では、信号変換器の少なくとも一部は、封入媒体と直に接触している。
【0010】
好適な実施形態の1つでは、弾性材と封入媒体は、同一の物質からなる。
【0011】
別の実施形態では、第1の圧力センサは、第1のダイアフラムと基板の間の部分に、中間層を備える。中間層は、ハンダ付けあるいは溶接によって、基板に接続されると好ましい。中間層の熱膨張係数は、基板の熱膨張係数と一致すると好ましい。好適な実施形態の1つでは、中間層はリング状をなしており、該中間層には、第1のダイアフラムが接触される。好適な実施形態の1つでは、中間層にコバール(Kovar)が含まれる。
【0012】
ほとんどの金属の熱膨張係数よりも低い熱膨張係数を有する金属合金を、一般にコバールと呼ぶ。このようなコバール合金の熱膨張係数は、約5ppm/Kである。この場合、基板、ダイアフラムおよび圧力センサの接続処理部の熱膨張係数の違いが、コバール製の中間層によって補償されるので、張力は可能な限り小さくなる。
【0013】
好適な実施形態の1つでは、ダイアフラムは金属で構成されており、この場合、ステンレス鋼が、ダイアフラムの材料として特に適している。
【0014】
好適な実施形態の1つでは、ダイアフラムは、例えば、同心円状に広がる波形の模様を表面に備えて構成されている。ダイアフラムは、例えば、ハンダ付けまたは溶接によって中間層に接続される。
【0015】
別の実施形態では、媒体の周囲の雰囲気に対する相対的な圧力を測定するために、圧力センサの測定素子の背面側は、周囲の雰囲気と直に接触する。この目的のため、圧力センサの基板は、例えば、測定素子の背面側の領域で切り欠かれている。第1の空洞は、測定素子によって、周囲の雰囲気から隔離されていると好ましい。
【0016】
別の実施形態では、相対的な媒体(relative medium)の圧力、例えば空気の圧力を、第2の測定素子を用いて測定できる。
【0017】
別の実施形態では、圧力センサが使用されて、圧力センサに接触する2つの媒体間の差圧が測定される。この場合、基板と第2の金属ダイアフラムによって、不活性な封入媒体を含む第2の閉鎖空洞が形成される。第1の空洞と第2の空洞は、互いに基板の反対側に配置されるのが好ましい。
【0018】
差圧を測定する場合、測定素子の背面側は、第2の空洞内の封入媒体と直に接触する。測定素子のアクティブ側は、第1の空洞内の封入媒体と直に接触する。
【0019】
好適な実施形態の1つでは、基板はセラミックで構成され、該セラミックは複数の層から構成されると好ましい。この場合、セラミックは、例えば、HTCC(高温同時焼成セラミック)、酸化アルミニウムセラミック、あるいはLTCC(低温同時焼成セラミック)、酸化ケイ素、あるいは酸化リチウムセラミックであってもよい。
【0020】
圧力センサの測定素子と信号変換器は、基板の導体トラックを介して接触接続されると好ましい。ボンディングワイヤを使用して、信号変換器が接触接続されると好ましい。
【0021】
圧力センサを外部に接触接続するために、基板の導体トラックは、第1の空洞および/または第2の空洞の外部に配置され、外部から接触接続できる領域を少なくとも1つ有する。その結果、信号変換器モジュールからの信号を直に出力したり、あるいは、該信号に更なる処理を加えることができる。
【0022】
その圧力を測定しようとする媒体を封入したチューブに、圧力センサを締結するために、圧力センサの少なくとも一方の側には、チューブ状の接続部が備えられる。圧力を測定される媒体は、チューブ状の接続部によって、圧力センサの第1あるいは第2のダイアフラムと直に接触する。一実施形態では、圧力センサによって、2つの媒体間の差圧が測定される。圧力センサには、空洞側に、各チューブに固定する接続部がそれぞれ備えられる。圧力センサは、例えば、圧力センサ接続部とチューブの間に接着体を用いて、測定される媒体を含むチューブに締結されてもよい。
【0023】
圧力センサ接続部は、第1のダイアフラムおよび/または第2のダイアフラムの外部に配置されると好ましい。接続部と圧力センサの間を気密に接続するために、該接続部は、例えば、Oリングを用いて封止される。
【0024】
一実施形態では、接続部は、チューブ状、ネジ接続、ハトメ形態であってもよく、あるいは、いわゆるホースコネクション形態であってもよい。
【0025】
圧力センサは、媒体の絶対圧あるいは相対圧の測定、あるいは媒体間の差圧の測定に適していると好ましい。
【0026】
上述の主題は、以下の図面と例示的な実施形態を用いて、さらに詳細に説明される。
【0027】
以下で説明する図面は、実寸大であると解釈されるべきではない。むしろ、より分かり易く図示するために、各寸法は、拡大、縮小、あるいは歪められている。互いに類似する要素あるいは同じ機能を担う要素は、同一の参照符号を用いて表示される。