(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
アルファ−オレフィン、特に約6〜約20個の炭素原子を含有するアルファ−オレフィンは、洗浄剤または他のタイプの市販製品の製造における中間体として使用されている。また、このようなアルファ−オレフィンは、特に線状低密度ポリエチレンのコモノマーとして使用されている。商業用に製造されているアルファ−オレフィンは、一般に、エチレンをオリゴマー化することによって生成される。ビニル末端ポリエチレンなどのより長い鎖長のアルファ−オレフィンも公知であり、官能化後の構成成分として、またはマクロモノマーとして有用な場合もある。
また、一般には重合反応における枝分かれとして使用するために、アリル末端を有する、エチレンまたはプロピレンの低分子量の固体および液体が生成されている。例えば、Rulhoff, SaschaおよびKaminsky("Synthesis and Characterization of Defined Branched Poly(propylene)s with Different Microstructures by Copolymerization of Propylene and Linear Ethylene Oligomers (C
n=26-28) with Metallocenes/MAO Catalysts", Macromolecules, 16, 2006, pp. 1450-1460)、ならびにKaneyoshi, Hiromu et al.("Synthesis of Block and Graft Copolymers with Linear Polyethylene Segments by Combination of Degenerative Transfer Coordination Polymerization and Atom Transfer Radical Polymerization", Macromolecules, 38, 2005, pp. 5425-5435)を参照されたい。
さらに、米国特許第4,814,540号は、2〜10の低い重合度を有するアリル性ビニル末端プロピレンホモオリゴマーを生成するための、水素を伴うまたは伴わない、トルエンまたはヘキサン中メチルアルモキサンを伴うビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドおよびビス(テトラメチルn−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリドを開示している。これらのオリゴマーは、Mnが高くなく、アリル性ビニル不飽和を少なくとも93%も有してはいない。同様に、これらのオリゴマーは、コモノマーを有しておらず、大過剰のアルモキサン(モル比≧600のAl/M;M=Zr、Hf)を用いても、低い生産性で生成される。さらに、60重量%以上(溶媒+プロピレンに基づく)の溶媒が、これらの例のすべてに存在する。
【0004】
Teubenet al. (J. Mol. Catal., 62, 1990, pp. 277-287)は、[Cp
*2MMe(THT)]+[BPh
4](M=ZrおよびHf、Cp
*=ペンタメチルシクロペンタジエニル、Me=メチル、Ph=フェニル、THT=テトラヒドロチオフェン)を使用して、プロピレンオリゴマーを生成することを開示している。M=Zrでは、最大C
24のオリゴマー(数平均分子量(Mn)は336)を有する広範な生成物分布が、室温で得られた。一方、M=Hfでは、二量体4−メチル−1−ペンテンおよび三量体4,6−ジメチル−1−ヘプテンだけが形成された。主な停止機構は、重水素標識研究によって実証されている通り、ベータ−メチルが成長鎖から金属中心に戻ることであると思われる。
【0005】
X. Yang et al. (Angew. Chem. Intl. Ed. Engl., 31, 1992, pg. 1375)は、反応が低い活性を示す低温で生成された非晶質の低分子量ポリプロピレン、および
1H NMRによってすべての不飽和に対して90%のアリル性ビニルを有する生成物を開示している。その後、Resconi et al. (J. Am. Chem. Soc., 114, 1992, pp. 1025-1032)は、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムおよびビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムを使用してプロピレンを重合し、得られたベータ−メチルを停止させることにより、「主にアリル末端およびイソ−ブチル末端」鎖を有するオリゴマーおよび低分子量ポリマーを得ることを開示している。米国特許第4,814,540号の場合と同様に、生成されたオリゴマーは、アリル鎖末端を少なくとも93%も有してはおらず、また約500〜約20,000g/molのMn(
1H NMRによって測定)も有しておらず、触媒は生産性が低い(1〜12,620g/mmolメタロセン/時間、生成物中、>3000wppmのAl)。
同様に、SmallおよびBrookhart, (Macromolecules, 32, 1999, pg. 2322)は、低温重合においてピリジルビスアミド(pyridylbisamido)鉄触媒を使用して、優勢なまたは排他的な2,1鎖の成長、ベータ−水素化物の脱離による連鎖停止、および多量のビニル末端基を明らかに有する低分子量の非晶質プロピレン材料を生成することを開示している。
【0006】
Weng et al. (Macromol Rapid Comm. 2000, 21, pp. 1103-1107)は、トルエン中、ジメチルシリルビス(2−メチル,4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロリドおよびメチルアルモキサンを約120℃で使用して生成した、最大約81パーセントのビニル終端を有する材料を開示している。この材料は、約12,300のMn(
1H NMRで測定)および約143℃の融点を有する。
Macromolecules, 33, 2000, pp. 8541-8548は、ビニル末端ポリエチレンを再度組み込むことによって生成される、枝分かれブロックのエチレン−ブテンポリマーの調製を開示しており、前記枝分かれブロックポリマーは、メチルアルモキサンで活性化されたCp
2ZrCL
2と(C
5Me
4SiMe
2NC
12H
23)TiCl
2の組合せによって生成される。
Moscardi et al. (Organometallics, 20, 2001, pg. 1918)は、プロピレンのバッチ重合においてrac−ジメチルシリルメチレンビス(3−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリドとメチルアルモキサンを使用して、「アリル末端基が、任意の[プロペン]において他のいずれの末端基よりも常に優先する」材料を生成することを開示している。これらの反応では、形態制御は制限され、鎖末端のおよそ60%がアリル性である。
Coates et al. (Macromolecules, 38, 2005, pg. 6259)は、修飾メチルアルモキサン(MMAO;Al/Tiモル比=200)で活性化されたビス(フェノキシイミン)チタンジクロリド((PHI)
2TiCl
2)を用いて、バッチ重合を−20℃〜+20℃で4時間実施し、約100%がアリル末端基である低分子量シンジオタクチックポリプロピレン([rrrr]=0.46〜0.93)を調製することを開示している。これらの重合では、プロピレンをトルエンに溶解して、1.65Mトルエン溶液を生成した。触媒生産性は、非常に低かった(0.95〜1.14g/mmolTi/時間)。
【0007】
特開2005−336092号公報は、H
2SO
4で処理したモンモリロナイト、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウムなどの材料を使用して、ビニル末端プロピレンポリマーを製造することを開示しており、この場合、液体プロピレンは、トルエン中の触媒スラリーに供給される。この方法は、非晶質材料の量が少なく、実質的にアイソタクチックなマクロモノマーを生成する。
【0008】
Rose et al. (Macromolecules, 41, 2008, pp. 559-567)は、イソ−ブチル鎖末端の量が少ないポリ(エチレン−co−プロピレン)マクロモノマーを開示している。これらは、セミバッチ重合で、修飾メチルアルモキサン(MMAO;Al/Tiモル比の範囲150〜292)で活性化されたビス(フェノキシイミン)チタンジクロリド((PHI)
2TiCl
2)を用いて生成された(30psiのプロピレンをトルエンに0℃で30分間かけて添加し、その後、エチレンガスを32psiの超過圧力で約0℃において重合時間2.3〜4時間にわたって流して、Mn約4,800〜23,300を有するE−Pコポリマーを生成した)。報告されている4つの共重合では、おおむね以下の等式に従って、エチレンの組込みが増大するにつれて、アリル性鎖末端は減少した。
アリル性鎖末端(%)(すべての不飽和の)=−0.95(組み込まれたエチレン(mol%))+100
例えば、29mol%のエチレンを含有するE−Pコポリマーでは、65%(すべての不飽和と比較して)のアリルが報告された。これは、達成された中で最高のアリル母集団である。エチレンが64mol%組み込まれる場合、不飽和のわずか42%がアリル性である。これらの重合生産性は、0.78×10
2g/mmolTi/時間〜4.62×10
2g/mmolTi/時間の範囲であった。
【0009】
この研究以前に、Zhuらは、B(C
6F
5)
3およびMMAOで活性化された拘束幾何構造のメタロセン触媒[C
5Me
4(SiMe
2N−tert−ブチル)TiMe
2]を用いて、ごく少量の(約38%)ビニル末端を有するエチレン−プロピレンコポリマーが生成されたことを報告している(Macromolecules, 35, 2002, pp. 10062-10070およびMacromolecules Rap. Commun., 24, 2003, pp. 311-315)。
JaniakおよびBlankは、オレフィンのオリゴマー化に関する様々な研究を概説している(Macromol. Symp., 236, 2006, pp. 14-22)。
【0010】
しかし、アリル末端高級オレフィンコポリマーを生成するための高級オレフィンの重合は、知られていない。したがって、広範な分子量および高い触媒活性を有するアリル末端高級オレフィンコポリマーを、特に高収量で生成する新しい触媒が必要である。さらに、広範な分子量にわたって制御され、多量に存在するアリル終端を有し(40%以上)、商業的な温度で生成することができ、商業的な速度(5,000g/mmol/時間以上の生産性)で生成することができる高級オレフィンコポリマーのマクロモノマーが必要である。さらに、官能化することができ、かつ添加剤適用において使用でき、またはポリ(マクロモノマー)の合成のためのマクロモノマーとして使用できる、アリル終端を有する高級オレフィンコポリマー反応性材料が必要である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明者らは、驚くべきことに、新しいクラスのビニル末端ポリマーを発見した。本明細書では、ビニル末端高級オレフィンコポリマー、このようなビニル末端高級オレフィンコポリマーを生成する方法、およびビニル末端高級オレフィンコポリマーを含む組成物を記載する。これらのビニル末端高級オレフィンコポリマーは、ポリ(マクロモノマー)、ブロックコポリマーを合成するためのマクロモノマーとして、また添加剤として、例えば潤滑剤への添加剤としての実用性を見出すことができる。有利には、これらのビニル末端コポリマーのビニル基は、官能化への経路を提供する。これらの官能化コポリマーは、潤滑剤などにおける添加剤として有用な場合もある。
【0032】
本明細書で使用される場合、「分子量」は、別段指定されない限り、数平均分子量(Mn)を意味する。
本発明および添付の特許請求の範囲の目的では、CHEMICAL AND ENGINEERING NEWS, 63(5), pg. 27 (1985)に見られる通り、周期表の族の新しいナンバリングスキームが使用される。したがって、「第4族金属」は、周期表の第4族の元素である。
【0033】
「触媒活性」は、触媒(cat)Wgを含む重合触媒を使用して、T時間にわたってどれぐらいのポリマー(P)(グラム)が生成されるかの測定基準であり、式P/(T×W)によって表すことができ、単位gPgcat
-1hr
-1で表すことができる。「触媒生産性」は、触媒(cat)Wgを含む重合触媒を使用して、T時間にわたってどれぐらいのポリマー(P)(グラム)が生成されるかの測定基準であり、式P/(T×W)によって表すことができ、単位gPgcat
-1hr
-1で表すことができる。変換は、ポリマー生成物に変換されるモノマーの量であり、mol%として報告され、ポリマー収量および反応器に供給されるモノマーの量に基づいて算出される。
【0034】
「オレフィン」は、あるいは「アルケン」とも呼ばれ、少なくとも1つの二重結合を有する、炭素と水素の直鎖、分岐または環式の化合物である。本明細書および添付の特許請求の範囲の目的では、ポリマーまたはコポリマーが、それに限定されるものではないが、エチレン、プロピレンおよびブテンを含むオレフィンを含むとみなされる場合、このようなポリマーまたはコポリマー内に存在するオレフィンは、オレフィンの重合形態である。例えば、コポリマーが、35重量%〜55重量%の「エチレン」含量を有するとされる場合、コポリマーのmer単位は、重合反応においてエチレンから導出され、前記導出された単位は、コポリマーの重量に対して35重量%〜55重量%で存在するものと理解される。「ポリマー」は、同じまたは異なるmer単位を2個以上有する。本明細書で使用される場合、用語「ポリマー」には、オリゴマー(最大100mer単位)、およびより大きいポリマー(100mer単位超)が含まれる。「ホモポリマー」は、同じmer単位を有するポリマーである。「コポリマー」は、互いに異なる2種以上のmer単位を有するポリマーである。「ターポリマー」は、互いに異なる3種のmer単位を有するポリマーである。「異なる」とは、mer単位に言及して使用される場合、mer単位が、少なくとも1つの原子によって互いに異なっており、または異性体により異なっていることを示す。したがって、本明細書で使用される場合、コポリマーの定義には、ターポリマー等が含まれる。
「高級オレフィン」は、本明細書で使用される場合、C
4−C
40オレフィン、好ましくはC
5−C
30α−オレフィン、より好ましくはC
5−C
20α−オレフィン、またはさらにより好ましくはC
5−C
12α−オレフィンを意味する。「高級オレフィンコポリマー」は、少なくとも1つが高級オレフィンモノマー単位である2種以上の異なるモノマー単位を含むポリマーである(異なるとは、モノマー単位が、少なくとも1つの原子によって異なっていることを意味する)。
【0035】
本明細書で使用される場合、Mnは、数平均分子量であり(別段記載されない限り、
1H NMRによって測定)、Mwは、重量平均分子量であり(ゲル浸透クロマトグラフィー、GPCによって測定)、Mzは、z平均分子量であり(GPCによって測定)、重量%は重量パーセントであり、mol%はモルパーセントであり、体積%は体積パーセントであり、molはモルである。分子量分布(MWD)は、Mw(GPCによって測定)をMn(GPCによって測定)で割ったもの、すなわちMw/Mnと定義される。別段示されない限り、すべての分子量(例えば、Mw、Mn、Mz)は、単位g/molを有する。
【0036】
ビニル末端コポリマー
好ましい一実施形態では、本明細書に記載されるビニル末端高級オレフィン(VT−HO)コポリマーは、200g/mol超のMn(好ましくは300〜60,000g/mol、400〜50,000g/mol、500〜35,000g/mol、300〜15,000g/mol、400〜12,000g/mol、または750〜10,000g/mol)(
1H NMRによって測定)を有し、(i)約20〜99.9mol%の少なくとも1つのC
5−C
40(好ましくはC
6−C
20)高級オレフィン(好ましくは約25〜約90mol%、約30〜約85mol%、約35〜約80mol%、約40〜約75mol%、または約50〜約95mol%)、および(ii)約0.1〜80mol%のプロピレン(好ましくは約5mol%〜70mol%、約10〜約65mol%、約15〜約55mol%、約25〜約50mol%、または約30〜約80mol%)を含み、すべての不飽和に対して、アリル鎖末端を少なくとも40%(好ましくはアリル鎖末端を少なくとも50%、アリル鎖末端を少なくとも60%、アリル鎖末端を少なくとも70%、またはアリル鎖末端を少なくとも80%、アリル鎖末端を少なくとも90%、アリル鎖末端を少なくとも95%)有し、場合によっては、イソブチル鎖末端対アリル鎖末端の比が、0.70:1未満、0.65:1未満、0.60:1未満、0.50:1未満、または0.25:1未満であり、さらに場合によっては、アリル鎖末端対ビニリデン鎖末端の比が、2:1超であり(好ましくは2.5:1超、3:1超、5:1超、または10:1超)、またさらに場合によっては、アリル鎖末端対ビニレンの比が、1:1超である(好ましくは2:1超、または5:1超)。
【0037】
別の実施形態では、高級オレフィンコポリマーは、300g/mol以上のMn(
1H NMRによって測定、好ましくは300〜60,000g/mol、400〜50,000g/mol、500〜35,000g/mol、300〜15,000g/mol、400〜12,000g/mol、または750〜10,000g/mol)を有し、
(i)約80〜約99.9mol%、好ましくは約85〜約99.9mol%、より好ましくは約90〜約99.9mol%の少なくとも1つのC
4オレフィン、
(ii)約0.1〜約20mol%、好ましくは約0.1〜約15mol%、より好ましくは約0.1〜約10mol%のプロピレン
を含み、
すべての不飽和に対して、アリル鎖末端を少なくとも40%(好ましくはアリル鎖末端を少なくとも50%、アリル鎖末端を少なくとも60%、アリル鎖末端を少なくとも70%、またはアリル鎖末端を少なくとも80%、アリル鎖末端を少なくとも90%、アリル鎖末端を少なくとも95%)有し、いくつかの実施形態では、イソブチル鎖末端対アリル鎖末端の比が、0.70:1未満、0.65:1未満、0.60:1未満、0.50:1未満、または0.25:1未満であり、さらなる実施形態では、アリル鎖末端対ビニリデン基の比が、2:1超、2.5:1超、3:1超、5:1超、または10:1超である。
【0038】
VT−HOポリマーは、コポリマー、ターポリマー等であってもよい。
VT−HOコポリマーは、一般に、飽和鎖末端(または終端)、および/または不飽和鎖末端もしくは終端を有する。本発明のコポリマーの不飽和鎖末端は、「アリル鎖末端」を含む。アリル鎖末端は、次式
【0039】
【化13】
(Mは、コポリマー鎖を表す)で示される通り、CH
2CH−CH
2−によって表される。「アリル性ビニル基」、「アリル鎖末端」、「ビニル鎖末端」、「ビニル終端」、「アリル性ビニル基」および「ビニル末端」は、以下の説明では互換的に使用される。
【0040】
アリル鎖末端、ビニリデン鎖末端およびビニレン鎖末端の数は、
1H NMRを使用し、重水素化されたテトラクロロエタンを溶媒として使用して、120℃で、少なくとも250MHzのNMR分光計で決定され、選択された場合には、
13C NMRによって確認される。Resconiは、J. American Chemical Soc, 114, 1992, pp. 1025-1032において、本明細書でも有用な、ビニル末端プロピレンオリゴマーのプロトンと炭素の帰属を報告している(プロトンスペクトルは、純粋な過重水素化テトラクロロエタンを使用し、炭素スペクトルは、通常のテトラクロロエタンと過重水素化テトラクロロエタンの50:50混合物を使用した。プロトンについては500MHzで、炭素については125MHzでBruker分光計を操作して、すべてのスペクトルを100℃で記録した)。アリル鎖末端は、不飽和基の総モル数のモル百分率として報告される(すなわち、アリル鎖末端、ビニリデン鎖末端、ビニレン鎖末端等の合計)。
【0041】
別の実施形態では、本明細書に記載されているか、または本明細書で有用なビニル末端ポリオレフィンのいずれかは、「3−アルキル鎖末端」または「3−アルキルビニル終端」とも呼ばれる、次式によって表される3−アルキルビニル末端基(アルキルは、C
1−C
38アルキルである)を有する。
【0042】
【化14】
式中、「・・・・」は、ポリオレフィン鎖を表し、R
bは、C
1−C
38アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル(docecyl)などのC
1−C
20アルキル基である。3−アルキル鎖末端の量は、下記の通り
13C NMRを使用して決定される。
【0043】
好ましい一実施形態では、本明細書に記載されているか、または本明細書で有用なビニル末端ポリオレフィンのいずれかは、すべての不飽和に対して、3−アルキル鎖末端を少なくとも5%(好ましくは3−アルキル鎖末端を少なくとも10%、3−アルキル鎖末端を少なくとも20%、3−アルキル鎖末端を少なくとも30%、3−アルキル鎖末端を少なくとも40%、3−アルキル鎖末端を少なくとも50%、3−アルキル鎖末端を少なくとも60%、3−アルキル鎖末端を少なくとも70%、3−アルキル鎖末端を少なくとも80%、3−アルキル鎖末端を少なくとも90%、3−アルキル鎖末端を少なくとも95%)有する。
好ましい一実施形態では、本明細書に記載されているか、または本明細書で有用なビニル末端ポリオレフィンのいずれかは、すべての不飽和に対して、3−アルキル+アリル鎖末端(例えば、すべての3−アルキル鎖末端と、すべてのアリル鎖末端)を少なくとも5%、好ましくは3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも10%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも20%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも30%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも40%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも50%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも60%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも70%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも80%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも90%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも95%有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、VT−HOコポリマーは、アリル鎖末端を少なくとも40%(アリル鎖末端を少なくとも50%、アリル鎖末端を少なくとも60%、アリル鎖末端を少なくとも70%、アリル鎖末端を少なくとも80%、アリル鎖末端を少なくとも90%、またはアリル鎖末端を少なくとも95%)有する。
別の実施形態では、本明細書に記載されているか、または本明細書で有用なビニル末端ポリオレフィンのいずれかは、「3−アルキル鎖末端」または「3−アルキルビニル終端」とも呼ばれる、次式によって表される3−アルキルビニル末端基(アルキルは、C
1−C
38アルキルである)を有する。
【0045】
【化15】
式中、「・・・・」は、ポリオレフィン鎖を表し、R
bは、C
1−C
38アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどのC
1−C
20アルキル基である。3−アルキル鎖末端の数は、下記の通り
13C NMRを使用して決定される。
【0046】
好ましい一実施形態では、本明細書に記載されているか、または本明細書で有用なビニル末端ポリオレフィンのいずれかは、すべての不飽和に対して、3−アルキル鎖末端を少なくとも5%(好ましくは3−アルキル鎖末端を少なくとも10%、3−アルキル鎖末端を少なくとも20%、3−アルキル鎖末端を少なくとも30%、3−アルキル鎖末端を少なくとも40%、3−アルキル鎖末端を少なくとも50%、3−アルキル鎖末端を少なくとも60%、3−アルキル鎖末端を少なくとも70%、3−アルキル鎖末端を少なくとも80%、3−アルキル鎖末端を少なくとも90%、3−アルキル鎖末端を少なくとも95%)有する。
好ましい一実施形態では、本明細書に記載されているか、または本明細書で有用なビニル末端ポリオレフィンのいずれかは、すべての不飽和に対して、3−アルキル+アリル鎖末端(例えば、すべての3−アルキル鎖末端と、すべてのアリル鎖末端)を少なくとも5%、好ましくは3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも10%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも20%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも30%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも40%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも50%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも60%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも70%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも80%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも90%、3−アルキル+アリル鎖末端を少なくとも95%有する。
【0047】
「アリル鎖末端対ビニリデン鎖末端の比」は、アリル鎖末端の百分率対ビニリデン鎖末端の百分率の比と定義される。いくつかの実施形態では、アリル鎖末端対ビニリデン鎖末端の比は、2:1超である(好ましくは2.5:1超、3:1超、5:1超、または10:1超)。いくつかの実施形態では、アリル鎖末端対ビニリデン鎖末端の比は、約10:1〜約2:1の範囲である(好ましくは約5:1〜約2:1または10:1〜約2.5:1)。
「アリル鎖末端対ビニレン鎖末端の比」は、アリル鎖末端の百分率対ビニレン鎖末端の百分率の比と定義される。いくつかの実施形態では、アリル鎖末端対ビニレンの比は、1:1超である(好ましくは2:1超、または5:1超)。
【0048】
VT−HOコポリマーはまた、イソブチル鎖末端または高級オレフィン鎖末端を含むことができる飽和鎖末端を有する。プロピレン/高級オレフィンの共重合では、ポリマー鎖は、プロピレンモノマーの成長を開始し、それによってイソブチル鎖の飽和鎖末端を生成することができる。あるいは、ポリマー鎖は、高級オレフィンモノマーの成長を開始し、高級オレフィン鎖飽和末端を生成することができる。
「イソブチル鎖末端」は、次式で示す通りに表される、ポリマーの末端または終端と定義される。
【0049】
【化16】
Mは、ポリマー鎖を表す。
「高級オレフィン鎖末端」は、次式で示す通りに表される、ポリマーの末端または終端と定義される。
【0050】
【化17】
Mは、ポリマー鎖を表し、nは、4〜40から選択される整数である。
飽和鎖末端近くのコポリマーの構造は、使用されるモノマーのタイプおよび量、ならびに重合プロセス中の挿入方法に応じて変わり得る。いくつかの好ましい実施形態では、イソブチル鎖末端の4個の炭素内のポリマー構造は、次式の1つによって表される。
【0051】
【化18】
Mは、ポリマー鎖の残りを表し、C
mは、重合高級オレフィンモノマーを表し、各C
mは、同じでも異なっていてもよく、mは、整数2〜38である。
【0052】
イソブチル鎖末端の百分率は、
13C NMRを使用し(例部分で記載される通り)、100%プロピレンオリゴマーについてはResconi et al., J. Am. Chem. Soc. 114, 1992, pp. 1025-1032の化学シフトの帰属を使用し、VT−HOコポリマーについては本明細書で報告される化学シフトの帰属を使用して決定する。
【0053】
「イソブチル鎖末端対アリル鎖末端の比」は、イソブチル鎖末端の百分率対アリル鎖末端の百分率の比と定義される。いくつかの実施形態では、イソブチル鎖末端とアリル鎖末端は、0.70:1未満である(好ましくは0.65:1未満、0.60:1未満、0.50:1未満、または0.25:1未満)。いくつかの実施形態では、イソブチル鎖末端対アリル鎖末端の比は、約0.01:1〜約0.70:1の範囲である(好ましくは約0.05:1〜約0.65:1または0.1:1〜約0.60:1)。
【0054】
VT−HOコポリマーは、好ましくは、
1H NMRによって決定される場合、300g/mol以上のMnを有する(好ましくは約300〜60,000g/mol、400〜50,000g/mol、好ましくは500〜35,000g/mol、好ましくは300〜15,000g/mol、好ましくは400〜12,000g/mol、または好ましくは750〜10,000g/mol)。さらに、望ましい分子量範囲は、前述の任意の分子量上限と、任意の分子量下限の任意の組合せであり得る。本明細書で使用される場合、Mnは、数平均分子量であり(別段記載されない限り、
1H NMRによって測定)、Mwは、重量平均分子量であり(ゲル浸透クロマトグラフィー、GPCによって測定)、Mzは、z平均分子量であり(GPCによって測定)、分子量分布(MWD、Mw/Mn)は、Mw(GPCによって測定)をMn(GPCによって測定)で割ったものと定義される。Mn(
1H NMR)は、下記の例部分のNMR法に従って決定される。Mnはまた、下記のGPC−DRI法を使用して決定することができる。特許請求の範囲の目的では、Mnは、
1H NMRによって決定される。
【0055】
別の実施形態では、本明細書に記載されるVT−HOコポリマーは、1,000g/mol以上のMw(好ましくは約1,000〜約400,000g/mol、好ましくは約2,000〜300,000g/mol、好ましくは約3,000〜200,000g/mol)(下記の通りGPC−DRI法を使用して測定)、および/または約1,700〜約150,000g/mol、もしくは好ましくは約800〜100,000g/molの範囲のMz、および/または約1.2〜20(あるいは約1.7〜10、あるいは約1.8〜5.5)の範囲のMw/Mnを有する。
特定の実施形態では、VT−HOコポリマーは、300g/mol以上のMn(好ましくは約300〜約60,000g/mol、約400〜約50,000g/mol、約500〜約35,000g/mol、約300〜約15,000g/mol、約400〜約12,000g/mol、または約750〜約10,000g/mol)、1,000以上のMw(好ましくは約1,000〜約400,000g/mol、約2,000〜300,000g/mol、または約3,000〜200,000g/mol)、および約1,700〜約150,000g/mol、または好ましくは約800〜100,000g/molのMzを有する。
【0056】
Mn、MwおよびMzは、GPC−DRI法によって、示差屈折率検出器(DRI)を備えた高温サイズ排除クロマトグラフ(Waters Corporation製またはPolymer Laboratories製のいずれかのSEC(あるタイプのゲル浸透クロマトグラフィー、GPC))を使用して測定する。実験の詳細は、T. Sun, P. Brant, R. R. ChanceおよびW. W. Graessley, Macromolecules, Volume 34, Number 19, pp. 6812-6820, (2001)およびそれに引用された参考文献に記載されている。Polymer Laboratories PLgel製の3本の10mm Mixed−Bカラムを使用する。名目上の流速は0.5cm
3/分であり、名目上の注入体積は300μLである。様々な移送ライン、カラムおよび示差屈折率計(DRI検出器)を、135℃に維持したオーブンに入れる。SEC実験のための溶媒は、抗酸化剤としてのブチル化ヒドロキシトルエン6グラムを、Aldrichの試薬グレード1,2,4トリクロロベンゼン(TCB)4リットルに溶解することによって調製する。次に、TCB混合物を0.7μmのガラスプレフィルターで濾過し、その後、0.1μmのTeflonフィルターで濾過する。次に、TBCを、オンライン脱気装置で脱気した後、SECに入れる。乾燥ポリマーをガラス容器に入れ、所望の量のTCBを添加し、次に混合物を持続的に撹拌しながら160℃で約2時間加熱することによって、ポリマー溶液を調製する。すべての量を、重量測定により測定する。ポリマー濃度を表すために使用したTCB密度(単位は質量/体積)は、室温で1.463g/mLであり、135℃で1.324g/mLである。注入濃度は、1.0〜2.0mg/mLであり、高分子量の試料では低濃度を使用する。各試料を流す前に、DRI検出器および注入器をパージする。次に、装置内の流速を0.5mL/分に増大し、DRIを8〜9時間静置して安定にした後、最初の試料を注入する。クロマトグラムの各点における濃度cを、以下の等式を使用して、ベースラインを差し引いたDRI信号であるI
DRIから算出する。
c=K
DRII
DRI/(dn/dc)
式中、K
DRIは、DRIの較正によって決定される定数であり、(dn/dc)は、その系の屈折率の増分である。TCBについては、135℃およびλ=690nmにおいて屈折率n=1.500である。本発明および添付の特許請求の範囲の目的では、プロピレンポリマーについては(dn/dc)=0.104であり、その他については0.1である。このSEC法の説明を通して使用されるパラメータの単位は、以下の通りである。濃度はg/cm
3で表し、分子量はg/molで表し、固有粘度はdL/gで表す。
【0057】
本明細書の実施形態では、VT−HOコポリマーは、約20〜約99.9mol%の少なくとも1つの(好ましくは2種以上、3種以上、4種以上等の)C
5−C
40(好ましくはC
5−C
30、C
6−C
20、またはC
8−C
12)高級オレフィンモノマーを含む(好ましくは約25〜約90mol%、約30〜約85mol%、約35〜約80mol%、約40〜約75mol%、または約50〜約95mol%)。他の実施形態では、VT−HOコポリマーは、20mol%を超えるC
5−C
40(好ましくはC
5−C
30、C
6−C
20、またはC
8−C
12)高級オレフィンモノマーを含む(好ましくは30mol%を超え、40mol%を超え、45mol%を超え、50mol%を超え、65mol%を超え、75mol%を超え、または85mol%を超える)。さらなる他の実施形態では、VT−HOコポリマーは、99.9mol%未満のC
5−C
40高級オレフィンモノマーを含む(好ましくは85mol%未満、75mol%未満、65mol%未満、50mol%未満、35mol%未満、または25mol%未満)。
【0058】
本明細書の実施形態では、VT−HOコポリマーは、約0.1〜約80mol%のプロピレンを含む(好ましくは約5mol%〜約70mol%、約10〜約65mol%、約15〜約55mol%、約25〜約50mol%、または約30〜約80mol%)。他の実施形態では、VT−HOコポリマーは、5mol%を超えるプロピレンを含む(好ましくは10mol%を超え、20mol%を超え、35mol%を超え、50mol%を超え、65mol%を超え、または75mol%を超える)。さらなる他の実施形態では、VT−HOコポリマーは、80mol%未満のプロピレンを含む(好ましくは75mol%未満、70mol%未満、65mol%未満、50mol%未満、35mol%未満、20mol%未満、または10mol%未満)。
【0059】
本明細書のVT−HOコポリマーは、少なくとも1つのC
5−C
40高級オレフィンおよびプロピレンを含む。いくつかの実施形態では、VT−HOコポリマーは、2種以上の異なるC
5−C
40高級オレフィンモノマー、3種以上の異なるC
5−C
40高級オレフィンモノマー、または4種以上の異なるC
5−C
40高級オレフィンモノマーを含む。いくつかの実施形態では、VT−HOコポリマーは、エチレンおよび/またはブテンも含む。
【0060】
ブテンがターモノマーである実施形態では、高級オレフィンコポリマーは、300g/mol以上、好ましくは300〜60,000g/molのMn(
1H NMRによって測定)を有し、(i)約80〜約99.9mol%の少なくとも1つのC
4オレフィン(好ましくは約85〜約99.9mol%、より好ましくは約90〜約99.9mol%)、および(ii)約0.1〜約20mol%のプロピレン(好ましくは約0.1〜約15mol%、または約0.1〜約10mol%)を含み、アリル鎖末端を少なくとも40%有し(好ましくはアリル鎖末端を少なくとも50%、アリル鎖末端を少なくとも60%、アリル鎖末端を少なくとも70%、またはアリル鎖末端を少なくとも80%)、いくつかの実施形態では、イソブチル鎖末端対アリル鎖末端の比が、0.70:1未満であり(好ましくは0.65:1未満、0.60:1未満、0.50:1未満、または0.25:1未満)、さらなる実施形態では、アリル鎖末端対ビニリデン基の比が、2:1超である(好ましくは2.5:1超、3:1超、5:1超、または10:1超)。
好ましい一実施形態では、VT−HOコポリマーは、コポリマーの重量に対して3重量%未満(好ましくは2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満、または0重量%)の、水酸化物、アリールおよび置換アリール、ハロゲン、アルコキシ、カルボキシレート、エステル、アクリレート、酸素、窒素、ならびにカルボキシルから選択される官能基を含む。
【0061】
別の実施形態では、VT−HOコポリマーは、
1H NMRによって測定して、鎖1個当たり1個の不飽和を仮定して、少なくとも36個の炭素原子(好ましくは少なくとも51個の炭素原子、または少なくとも102個の炭素原子)を有するオレフィンを、コポリマー組成物の重量に対して少なくとも50重量%含む(好ましくは少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも90重量%)。
【0062】
別の実施形態では、VT−HOコポリマーは、GCによって測定して、20重量%未満の二量体および三量体を含む(コポリマー組成物の重量に対して、好ましくは10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは2重量%未満)。「二量体」(および「三量体」)は、2個の(または3個の)モノマー単位を有するコポリマーと定義され、この場合、モノマー単位は、互いに同じでも異なっていてもよい(ここで、「異なる」とは、少なくとも1つの炭素が異なっていることを意味する)。ヘリウムをキャリアガスとして38cm/秒で使用して、生成物を、GC(自動注入器を備えたAgilent 6890N)によって分析した。水素炎イオン化型検出器(FID)を備えた、長さ60mのカラム(J&W Scientific DB−1、60m×0.25mmI.D.×1.0μmのフィルム厚さ)、注入器温度250℃および検出器温度250℃を使用した。試料をカラムに注入し、70℃のオーブンに入れ、次に22分かけて275℃に加熱した(ランプ速度は、100℃までは10℃/分、275℃までは30℃/分を保持した)。得られた二量体または三量体生成物の量を導出するのに、内部標準、通常はモノマーを使用する。二量体および三量体生成物の収量は、分光計で記録したデータから算出する。二量体または三量体生成物の量は、内部標準に対して、GC曲線の関連するピーク下面積から算出する。
【0063】
別の実施形態では、VT−HOコポリマーは、生成されるポリマーの収量および用いられる触媒の質量に対して、25ppm未満のハフニウムまたはジルコニウム、好ましくは10ppm未満のハフニウムまたはジルコニウム、好ましくは5ppm未満のハフニウムまたはジルコニウムを含有する。材料における元素の量を決定するのに、J. W. Olesik, "Inductively Coupled Plasma-Optical Emission Spectroscopy", in the Encyclopedia of Materials Characterization, C. R. Brundle, C. A. Evans, Jr. and S. Wilson, eds., Butterworth-Heinemann, Boston, Mass., 1992, pp. 633-644に記載されているICPES(誘導結合プラズマ発光分析)を使用する。
さらなる他の実施形態では、VT−HOコポリマーは、25℃で液体である。
【0064】
別の実施形態では、本明細書に記載されているVT−HOコポリマーは、60〜130℃、あるいは50〜100℃の範囲の融解温度(T
m、DSCの最初の融解)を有する。別の実施形態では、本明細書に記載されているコポリマーは、周囲温度(23℃)で少なくとも48時間保存した後、DSCによって検出可能な融解温度をもたない。VT−HOコポリマーは、好ましくは、0℃以下(下記の通り、示差走査熱量測定によって決定)、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下、より好ましくは−30℃以下、より好ましくは−50℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する。融解温度(T
m)およびガラス転移温度(Tg)は、TA Instruments 2920 DSCなどの市販の装置を使用して、示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定する。一般に、室温で少なくとも48時間保存しておいた試料6〜10mgを、アルミニウム容器に入れて封止し、室温で機器に搭載する。試料を25℃で平衡化し、次に冷却速度10℃/分で−80℃に冷却する。試料を−80℃で5分間保持し、次に加熱速度10℃/分で25℃に加熱する。ガラス転移温度を、加熱サイクルから測定する。あるいは、試料を25℃で平衡化し、次に加熱速度10℃/分で150℃に加熱する。吸熱性融解転移が存在する場合には、転移の開始およびピーク温度について分析する。報告された融解温度は、別段特定されない限り、最初の加熱によるピーク融解温度である。複数のピークを示す試料については、融点(または融解温度)は、DSC融解曲線のピーク融解温度(すなわち、その温度範囲において最大の吸熱性熱量測定応答に関連する)と定義される。
【0065】
別の実施形態では、本明細書で記載したVT−HOコポリマーは、60℃で1,000cPを超え、12,000cPを超え、または100,000cPを超える粘度を有する。他の実施形態では、VT−HOコポリマーは、200,000cP未満、150,000cP未満、または100,000cP未満の粘度を有する。粘度は、流れ抵抗性と定義され、これは、ブルックフィールド粘度計を使用して高温で測定される。
いくつかの実施形態では、VT−HOポリマーは、プロピレン/ヘキセンコポリマー、プロピレン/オクテンコポリマー、プロピレン/デセンコポリマー、プロピレン/ドデセンコポリマー、プロピレン/ヘキセン/オクテンターポリマー、プロピレン/ヘキセン/デセンターポリマー、プロピレン/ヘキセン/ドデセンターポリマー、プロピレン/オクテン/デセンターポリマー、プロピレン/オクテン/ドデセンターポリマー、プロピレン/デセン/ドデセンターポリマー等である。
【0066】
ビニル末端高級オレフィンコポリマーの使用
本明細書で調製されるビニル末端ポリマーは、触媒を用いて、または用いずに、ヘテロ原子含有基をポリマーのアリル基と反応させることによって、官能化することができる。その例には、フリーラジカル発生剤(例えば、過酸化物)などの活性化剤を用いる、または用いない、触媒作用によるヒドロシリル化、ヒドロホルミル化、ヒドロホウ素化、エポキシ化、水和、ジヒドロキシル化、ヒドロアミノ化またはマレイン化が含まれる。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書で生成されるビニル末端ポリマーは、米国特許第6,022,929号、A. Toyota, T. Tsutsui, and N. Kashiwa, Polymer Bulletin 48, pp. 213-219, 2002、J. Am. Chem. Soc., 1990, 112, pp. 7433-7434および2009年6月19日出願の米国特許出願第12/487,739号に記載の通り、官能化される。
官能化ポリマーは、油への添加(oil additivation)および多くの他の適用において使用することができる。好ましい使用には、滑沢剤および/または燃料のための添加剤が含まれる。好ましいヘテロ原子含有基には、アミン、アルデヒド、アルコール、酸、コハク酸、マレイン酸および無水マレイン酸が含まれる。
本明細書の特定の実施形態では、本明細書に開示されているビニル末端ポリマー、またはその官能化類似体は、添加剤として有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されているビニル末端ポリマー、またはその官能化類似体は、潤滑剤への添加剤として有用である。特定の実施形態は、本明細書に開示されているビニル末端ポリマー、またはその官能化類似体を含む潤滑剤に関する。
【0068】
他の実施形態では、本明細書に開示されているビニル末端ポリマーは、ポリマー生成物を調製するためのモノマーとして使用することができる。これらのポリマー生成物を調製するために使用できる方法には、配位重合および酸触媒重合が含まれる。いくつかの実施形態では、ポリマー生成物は、ホモポリマーであってよい。例えば、ビニル末端ポリマー(A)がモノマーとして使用される場合、配合物(A)
n(nは、重合度である)のホモポリマー生成物を形成することが可能である。
他の実施形態では、モノマーのビニル末端ポリマーの混合物から形成されたポリマー生成物は、それぞれ異なる2個以上の繰り返し単位を含む混合ポリマーであり得る。例えば、ビニル末端ポリマー(A)および異なるビニル末端ポリマー(B)が共重合する場合、配合(A)
n(B)
m(nは、混合ポリマー生成物中に存在するビニル末端ポリマー(A)のモル当量の数であり、mは、混合ポリマー生成物中に存在するビニル末端ポリマー(B)のモル当量の数である)の混合ポリマー生成物を形成することが可能である。
【0069】
さらなる他の実施形態では、ポリマー生成物は、ビニル末端ポリマーと別のアルケンの混合物から形成することができる。例えば、ビニル末端ポリマー(A)およびアルケン(B)が共重合する場合、配合(A)
n(B)
m(nは、混合ポリマー生成物中に存在するビニル末端ポリマーのモル当量の数であり、mは、混合ポリマー生成物中に存在するアルケンのモル当量の数である)の混合ポリマー生成物を形成することが可能である。
【0070】
本明細書の特定の実施形態では、本発明は、300g/mol以上、好ましくは300〜60,000g/mol(
1H NMRによって測定)、400〜50,000g/mol、好ましくは500〜35,000g/mol、好ましくは300〜15,000g/mol、好ましくは400〜12,000g/mol、または好ましくは750〜10,000g/molのMnを有し、(i)約20〜99.9mol%、約25〜約90mol%、約30〜約85mol%、約35〜約80mol%、約40〜約75mol%、または約50〜約95mol%の少なくとも1つのC
5−C
40高級オレフィン、および(ii)約0.1〜約80mol%、約5mol%〜約70mol%、約10〜約65mol%、約15〜約55mol%、約25〜約50mol%、または約30〜約80mol%のプロピレンを含むVT−HOコポリマーであって、アリル鎖末端を少なくとも40%、アリル鎖末端を少なくとも50%、アリル鎖末端を少なくとも60%、アリル鎖末端を少なくとも70%、またはアリル鎖末端を少なくとも80%有し、場合によっては、イソブチル鎖末端対アリル鎖末端の比が、0.70:1未満、0.65:1未満、0.60:1未満、0.50:1未満、または0.25:1未満であり、さらに場合によっては、アリル鎖末端対ビニリデン基の比が、2:1超、2.5:1超、3:1超、5:1超、または10:1超であるVT−HOコポリマーを含む組成物に関する。
【0071】
他の実施形態では、本発明は、300g/mol以上、好ましくは300〜60,000g/molのMn(
1H NMRによって測定)を有し、(i)約80〜約99.9mol%、好ましくは約85〜約99.9mol%、より好ましくは約90〜約99.9mol%の少なくとも1つのC
4オレフィン、および(ii)約0.1〜約20mol%、好ましくは約0.1〜約15mol%、より好ましくは約0.1〜約10mol%のプロピレンを含むVT−HOコポリマーであって、アリル鎖末端を少なくとも40%、好ましくはアリル鎖末端を少なくとも50%、好ましくはアリル鎖末端を少なくとも60%、好ましくはアリル鎖末端を少なくとも70%、または好ましくはアリル鎖末端を少なくとも80%を有し、いくつかの実施形態では、イソブチル鎖末端とアリル鎖末端の比が、0.70:1未満、0.65:1未満、0.60:1未満、0.50:1未満、または0.25:1未満であり、さらなる実施形態では、アリル鎖末端対ビニリデン基の比が、2:1超、2.5:1超、3:1超、5:1超、または10:1超であるVT−HOコポリマーを含む組成物を使用することに関する。
いくつかの実施形態では、組成物は、潤滑剤ブレンドである。
いくつかの実施形態では、本発明は、組成物を潤滑剤ブレンドとして使用することに関する。
【0072】
ビニル末端−高級オレフィンコポリマーを生成する方法
本発明はまた、0〜250℃(好ましくは35〜150℃、好ましくは40〜120℃、好ましくは45〜80℃)の温度で、(i)約20〜約99.9mol%の少なくとも1つのC
5−C
40高級オレフィンと(好ましくは約25〜約90mol%、約30〜約85mol%、約35〜約80mol%、約40〜約75mol%、または約50〜約95mol%)、(ii)約0.1〜約80mol%のプロピレンと(好ましくは約5mol%〜約70mol%、約10〜約65mol%、約15〜約55mol%、約25〜約50mol%、または約30〜約80mol%)を接触させることを含む、高級オレフィンコポリマーを生成する方法であって、その接触が、活性化剤、および次式の少なくとも1つによって表される少なくとも1つのメタロセン化合物を含む触媒系の存在下で起こる方法に関する。
(i)
【0074】
【化20】
式II
または(iii)
【0075】
【化21】
式III
または(iv)
【0077】
[式中、Mは、ハフニウムまたはジルコニウムであり、各Xは、独立に、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、水素化物、アミド、アルコキシド、スルフィド、リン化物、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルおよびその組合せからなる群から選択され(2個のXは、縮合環または環系の一部を形成していてもよい)、各Qは、独立に、炭素またはヘテロ原子であり、各R
1は、独立に、C
1−C
8アルキル基であり、R
1は、R
2と同じでも異なっていてもよく、各R
2は、独立に、C
1−C
8アルキル基であり、各R
3は、独立に、水素であり、または1〜8個の炭素原子を有する置換もしくは非置換ヒドロカルビル基であり、ただし、少なくとも3個のR
3基は、水素ではなく、各R
4は、独立に、水素、または置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、もしくはヘテロ原子含有基であり、R
5は、水素またはC
1−C
8アルキル基であり、R
6は、水素またはC
1−C
8アルキル基であり、各R
7は、独立に、水素またはC
1−C
8アルキル基であり、ただし、少なくとも7個のR
7基は、水素ではなく、R
2aTは、架橋基であり、Tは、第14族の元素(好ましくはC、SiまたはGe、好ましくはSi)であり、各R
aは、独立に、水素、ハロゲンまたはC
1−C
20ヒドロカルビルであり、2個のR
aは、芳香族の、部分的に飽和の、または飽和の環式または縮合環系を含む環式構造を形成していてもよく、ただしさらに、任意の2個の隣接するR基は、縮合環または多中心性の縮合環系を形成していてもよく、その環は、芳香族であってもよく、部分的に飽和しているか、または飽和していてもよい]、
または(v)
【0079】
[式中、Mは、ハフニウムまたはジルコニウムであり、各Xは、独立に、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、水素化物、アミド、アルコキシド、スルフィド、リン化物、ハロゲン化物、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルおよびその組合せからなる群から選択され(2個のXは、縮合環または環系の一部を形成していてもよい)、各R
8は、独立に、C
1−C
10アルキル基であり、各R
9は、独立に、C
1−C
10アルキル基であり、各R
10は、水素であり、各R
11、R
12およびR
13は、独立に、水素、または置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、もしくはヘテロ原子含有基であり、Tは、架橋基(前述のR
2aTなど)であり、ただしさらに、隣接するR
11、R
12およびR
13基のいずれかは、縮合環または多中心性の縮合環系を形成していてもよく、その環は、芳香族であってもよく、部分的に飽和しているか、または飽和していてもよい]、
または(vi)
【0081】
[式中、Mは、ハフニウムまたはジルコニウムであり、各Xは、独立に、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、水素化物、アミド、アルコキシド、スルフィド、リン化物、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルまたはその組合せからなる群から選択され、各R
15およびR
17は、独立に、C
1−C
8アルキル基であり、各R
16、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27およびR
28は、独立に、水素であり、または1〜8個の炭素原子を有する置換もしくは非置換ヒドロカルビル基である]
【0082】
本発明はまた、(i)約80〜約99.9mol%、好ましくは約85〜約99.9mol%、より好ましくは約90〜約99.9mol%の少なくとも1つのC
4オレフィンと、(ii)約0.1〜約20mol%、好ましくは約0.1〜約15mol%、より好ましくは約0.1〜約10mol%のプロピレンとを重合条件下で接触させることを含む、高級オレフィンコポリマーを生成する方法であって、その接触が、活性化剤、および次式の少なくとも1つによって表される少なくとも1つのメタロセン化合物を含む触媒系の存在下で起こる方法に関する。
(i)
【0084】
【化26】
式II
または(iii)
【0085】
【化27】
式III
または(iv)
【0087】
[式中、Mは、ハフニウムまたはジルコニウムであり、各Xは、独立に、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、水素化物、アミド、アルコキシド、スルフィド、リン化物、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルおよびその組合せからなる群から選択され(2個のXは、縮合環または環系の一部を形成していてもよい)、各Qは、独立に、炭素またはヘテロ原子であり、各R
1は、独立に、C
1−C
8アルキル基であり、R
1は、R
2と同じでも異なっていてもよく、各R
2は、独立に、C
1−C
8アルキル基であり、各R
3は、独立に、水素であり、または1〜8個の炭素原子を有する置換もしくは非置換ヒドロカルビル基であり、ただし、少なくとも3個のR
3基は、水素ではなく、各R
4は、独立に、水素、または置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、もしくはヘテロ原子含有基であり、R
5は、水素またはC
1−C
8アルキル基であり、R
6は、水素またはC
1−C
8アルキル基であり、各R
7は、独立に、水素またはC
1−C
8アルキル基であり、ただし、少なくとも7個のR
7基は、水素ではなく、R
2aTは、架橋基であり、Tは、第14族の元素(好ましくはC、SiまたはGe、好ましくはSi)であり、各R
aは、独立に、水素、ハロゲンまたはC
1−C
20ヒドロカルビルであり、2個のR
aは、芳香族の、部分的に飽和の、または飽和の環式または縮合環系を含む環式構造を形成していてもよく、ただしさらに、任意の2個の隣接するR基は、縮合環または多中心性の縮合環系を形成していてもよく、その環は、芳香族であってもよく、部分的に飽和しているか、または飽和していてもよい]、
または(v)
【0089】
[式中、Mは、ハフニウムまたはジルコニウムであり、各Xは、独立に、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、水素化物、アミド、アルコキシド、スルフィド、リン化物、ハロゲン化物、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルおよびその組合せからなる群から選択され(2個のXは、縮合環または環系の一部を形成していてもよい)、各R
8は、独立に、C
1−C
10アルキル基であり、各R
9は、独立に、C
1−C
10アルキル基であり、各R
10は、水素であり、各R
11、R
12およびR
13は、独立に、水素、または置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、もしくはヘテロ原子含有基であり、Tは、架橋基(前述のR
2aTなど)であり、ただしさらに、隣接するR
11、R
12およびR
13基のいずれかは、縮合環または多中心性の縮合環系を形成していてもよく、その環は、芳香族であってもよく、部分的に飽和しているか、または飽和していてもよい]、
または(vi)
【0091】
[式中、Mは、ハフニウムまたはジルコニウムであり、各Xは、独立に、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、水素化物、アミド、アルコキシド、スルフィド、リン化物、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルまたはその組合せからなる群から選択され、各R
15およびR
17は、独立に、C
1−C
8アルキル基であり、各R
16、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27およびR
28は、独立に、水素であり、または1〜8個の炭素原子を有する置換もしくは非置換ヒドロカルビル基である]
【0092】
一般に、本明細書に記載のVT−HOコポリマーを生成するために、(i)1つまたは複数の高級オレフィンモノマーと、(ii)プロピレンモノマーとを接触させることによって、プロピレンと高級オレフィンモノマー(ヘキセンまたはオクテンなど)を共重合させることができ、その接触は、触媒系(1つまたは複数のメタロセン化合物と、下記の1つまたは複数の活性化剤を含む)の存在下で起こる。所望に応じて、他の添加剤、例えば1つまたは複数の捕捉剤、促進剤、調整剤、還元剤、酸化剤、水素、アルミニウムアルキルまたはシランを使用することもできる。好ましい一実施形態では、VT−HOコポリマーを生成する方法では、捕捉剤はほとんど使用されず、または全く使用されない。好ましくは、捕捉剤は、0mol%で存在し、あるいは捕捉剤は、100:1未満、好ましくは50:1未満、好ましくは15:1未満、好ましくは10:1未満の捕捉剤金属と遷移金属のモル比で存在する。
【0093】
本明細書で有用な高級オレフィンモノマーは、C
4−C
40オレフィン、好ましくはC
5−C
30オレフィン、好ましくはC
6−C
20オレフィン、または好ましくはC
8−C
12オレフィンである。ブテンがコモノマーである場合、ブテン供給源は、ブテンの様々な異性体を含む混合ブテンストリームであってよい。1−ブテンモノマーは、重合プロセスによって優先的に消費されると予測される。
【0094】
高級オレフィンモノマーは、直鎖または環式であってよい。高級オレフィンの環式オレフィンは、歪みを有するまたは歪みを有していない単環式または多環式であってよく、ヘテロ原子および/または1つもしくは複数の官能基を含んでいてもよい。例示的な高級オレフィンモノマーには、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロドデセン、7−オキサノルボルネン、その置換誘導体、およびその異性体、好ましくはヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、シクロオクテン、1−ヒドロキシ−4−シクロオクテン、1−アセトキシ−4−シクロオクテン、シクロペンテン、ノルボルネン、ならびにそれらのそれぞれの同族体および誘導体が含まれる。
ブテンがコモノマーであるいくつかの実施形態では、ブテン供給源は、ブテンの様々な異性体を含む混合ブテンストリームであってよい。1−ブテンモノマーは、重合プロセスによって優先的に消費されると予測される。このような混合ブテンストリームは、精製プロセスから生じる廃棄物ストリーム、例えばC
4抽残液ストリームであることが多く、したがって純粋な1−ブテンよりも実質的に費用がかからない場合があるので、これらの混合ブテンストリームを使用することは、経済的な利益になる。
【0095】
本発明の方法は、当技術分野で公知の任意の方式で実施することができる。当技術分野で公知の任意の懸濁、均一バルク、溶液、スラリーまたは気相重合法を使用することができる。このような方法は、バッチ、セミバッチまたは連続様式で実施することができる。均一重合法およびスラリーが好ましい。(均一重合法は、生成物の少なくとも90重量%が反応媒体に溶ける方法と定義される)。均一バルク法が、特に好ましい。(バルク法は、反応器へのすべての供給物におけるモノマー濃度が70体積%以上である方法と定義される)。あるいは、反応媒体には、溶媒または希釈剤が全く存在せず、または添加されない(ただし、触媒系もしくは他の添加剤のキャリアとして使用される少量の溶媒もしくは希釈剤、またはモノマーに一般に見出される量の溶媒もしくは希釈剤、例えばプロピレン中のプロパンを除く)。
【0096】
別の実施形態では、該方法は、スラリー法である。本明細書で使用される場合、用語「スラリー重合法」は、担持触媒が用いられ、モノマーが担持触媒粒子上で重合する重合法を意味する。担持触媒から導出される少なくとも95重量%のポリマー生成物は、粒状形態で固体粒子として存在する(希釈剤には溶解していない)。
【0097】
重合に適した希釈剤/溶媒には、非配位性の不活性な液体が含まれる。その例には、直鎖および分岐鎖の炭化水素、例えばイソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカンおよびその混合物;環式および脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタンおよびその混合物、例えば市販製品(Isopar(商標));過ハロゲン化炭化水素、例えば全フッ素置換C
4-10アルカン、クロロベンゼン、ならびに芳香族およびアルキル置換芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、メシチレンおよびキシレンが含まれる。適切な溶媒には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンおよびその混合物を含む、モノマーまたはコモノマーとして作用し得る液体オレフィンも含まれる。好ましい一実施形態では、脂肪族炭化水素溶媒、例えばイソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカンおよびその混合物;環式および脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、およびその混合物が、溶媒として使用される。別の実施形態では、溶媒は、芳香族ではなく、好ましくは芳香族は、溶媒中に、溶媒の重量に対して1重量%未満、好ましくは0.5重量%、好ましくは0重量%で存在する。
【0098】
好ましい一実施形態では、重合のための溶媒の供給濃度は、供給ストリームの総体積に対して、60体積%以下、好ましくは40体積%以下、または好ましくは20体積%以下、好ましくは0体積%である。好ましくは、重合は、バルク法で実施される。
いくつかの実施形態では、生産性は、4,500g/mmol/時間以上、好ましくは5,000g/mmol/時間以上、好ましくは10,000g/mmol/時間以上、好ましくは50,000g/mmol/時間以上である。他の実施形態では、生産性は、少なくとも80,000g/mmol/時間、好ましくは少なくとも150,000g/mmol/時間、好ましくは少なくとも200,000g/mmol/時間、好ましくは少なくとも250,000g/mmol/時間、好ましくは少なくとも300,000g/mmol/時間である。別の実施形態では、触媒の活性は、少なくとも50g/mmol/時間、好ましくは500g/mmol/時間以上、好ましくは5,000g/mmol/時間以上、好ましくは50,000g/mmol/時間以上である。別の実施形態では、オレフィンモノマーの変換率は、ポリマー収量および反応帯域に入るモノマーの重量に対して、少なくとも10%、好ましくは20%以上、好ましくは30%以上、好ましくは50%以上、好ましくは80%以上である。
【0099】
好ましい重合は、所望のVT−HOコポリマーを得るのに適した任意の温度および/または圧力で実施することができる。一般的な温度および/または圧力は、例えば、約0℃〜250℃(好ましくは35℃〜150℃、40℃〜120℃、45℃〜80℃)の範囲の温度であり、約0.35〜10MPa(好ましくは0.45〜6MPaまたは0.5〜4MPa)の範囲の圧力である。
一般的な重合では、反応の実施時間は、最大300分、好ましくは約5〜250分、または好ましくは約10〜120分の範囲である。
【0100】
好ましい一実施形態では、水素は、重合反応器内に部分圧0.001〜50psig(0.007〜345kPa)、好ましくは0.01〜25psig(0.07〜172kPa)、より好ましくは0.1〜10psig(0.7〜70kPa)で存在する。本発明の系では、水素を使用すると、触媒がアリル性鎖末端を生成する能力を著しく損なうことなく高い活性を提供できることが見出された。好ましくは、触媒活性(g/mmol触媒/時間として算出)は、水素が存在しない同じ反応よりも、少なくとも20%高く、好ましくは少なくとも50%高く、好ましくは少なくとも100%高い。
好ましい一実施形態では、ビニル末端ポリマーを生成するための方法では、アルモキサンはほとんどまたは全く使用されない。好ましくは、アルモキサンは0mol%で存在し、あるいはアルモキサンは、500:1未満、好ましくは300:1未満、好ましくは100:1未満、好ましくは1:1未満のアルミニウム対遷移金属のモル比で存在する。
【0101】
別の実施形態では、ビニル末端ポリマーを生成するためにアルモキサンが使用される場合、アルモキサンを予め処理して、遊離アルキルアルミニウム化合物、特にトリメチルアルミニウムを除去する。
さらに、好ましい一実施形態では、ビニル末端ポリマーを生成するために本明細書で使用される活性化剤は、本明細書で定義の通り嵩高活性化剤であり、別個のものである。
好ましい一実施形態では、ビニル末端ポリマーを生成するための方法では、捕捉剤はほとんどまたは全く使用されない。好ましくは、捕捉剤(トリアルキルアルミニウムなど)は0mol%で存在し、あるいは捕捉剤は、100:1未満、好ましくは50:1未満、好ましくは15:1未満、好ましくは10:1未満の捕捉剤金属対遷移金属のモル比で存在する。
【0102】
好ましい一実施形態では、重合は、1)0〜300℃の温度で実施され(好ましくは25〜150℃、好ましくは40〜120℃、好ましくは45〜80℃)、2)10MPaの大気圧で実施され(好ましくは0.35〜10MPa、好ましくは0.45〜6MPa、好ましくは0.5〜4MPa)、3)脂肪族炭化水素溶媒中で実施され(例えば、イソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカンおよびその混合物;環式および脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタンおよびその混合物。ここで好ましくは、芳香族は、溶媒中に溶媒の重量に対して1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0重量%で存在する)、4)重合で使用される触媒系は、0.5mol%未満、好ましくは0mol%のアルモキサンを含み、あるいはアルモキサンは、500:1未満、好ましくは300:1未満、好ましくは100:1未満、好ましくは1:1未満のアルミニウム対遷移金属のモル比で存在し、5)重合は、1つの反応帯域内で生じ、6)触媒化合物の生産性は、少なくとも80,000g/mmol/時間であり(好ましくは少なくとも150,000g/mmol/時間、好ましくは少なくとも200,000g/mmol/時間、好ましくは少なくとも250,000g/mmol/時間、好ましくは少なくとも300,000g/mmol/時間)、7)場合によっては、捕捉剤(トリアルキルアルミニウム化合物など)は存在せず(例えば、0mol%で存在し、あるいは捕捉剤は、100:1未満、好ましくは50:1未満、好ましくは15:1未満、好ましくは10:1未満の捕捉剤金属対遷移金属のモル比で存在する)、8)場合によっては、水素は、重合反応器内に部分圧0.001〜50psig(0.007〜345kPa)で存在する(好ましくは0.01〜25psig(0.07〜172kPa)、より好ましくは0.1〜10psig(0.7〜70kPa))。好ましい実施形態では、重合で使用される触媒系は、わずか1種類の触媒化合物を含む。「反応帯域」は、「重合帯域」とも呼ばれ、重合が行われる容器、例えばバッチ反応器である。複数の反応器が、直列または並列の配置で使用される場合、各反応器は、別々の重合帯域とみなされる。バッチ反応器および連続反応器の両方における多段階重合については、各重合段階は、別々の重合帯域とみなされる。好ましい一実施形態では、重合は、1つの反応帯域内で生じる。室温は、別段示されない限り23℃である。
【0103】
触媒系
本明細書の実施形態では、本発明は、活性化剤、および以下に示す少なくとも1つのメタロセン化合物を含む触媒系の存在下で、プロピレンと高級オレフィンモノマーを接触させることを含む、高級オレフィンコポリマーを生成する方法に関する。
【0104】
本明細書の説明では、メタロセン触媒は、触媒前駆体、プレ触媒化合物または遷移金属化合物と説明することができ、これらの用語は、互換的に使用される。重合触媒系は、モノマーを重合してポリマーにすることができる触媒系である。「触媒系」は、少なくとも1つの触媒化合物、少なくとも1つの活性化剤、任意選択の共活性化剤、および任意選択の担持材料の組合せである。「アニオン性配位子」は、1つまたは複数の電子対を金属イオンに供与する、負に帯電した配位子である。「中性ドナー配位子」は、1つまたは複数の電子対を金属イオンに供与する、中性に帯電した配位子である。
本発明および添付の特許請求の範囲の目的では、触媒系が、成分の安定な中性形態を含むと説明される場合、成分のイオン形態は、モノマーと反応してポリマーを生成する形態であることを、当業者は十分に理解されよう。
【0105】
メタロセン触媒は、π結合した少なくとも1つのシクロペンタジエニル部分(または置換シクロペンタジエニル部分)を有し、さらにはπ結合した2個のシクロペンタジエニル部分または置換部分を有することが多い有機金属化合物と定義される。これには、インデニルまたはフルオレニルまたはその誘導体などの他のπ結合した部分が含まれる。
メタロセン、活性化剤、任意選択の共活性化剤、および触媒系の任意選択の担持体成分を、以下に論じる。
【0106】
(a)メタロセン成分
用語「置換」は、水素基が、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、またはヘテロ原子含有基で置き換えられていることを意味する。例えば、メチルシクロペンタジエン(Cp)は、メチル基で置換されているCp基であり、エチルアルコールは、−OH基で置換されているエチル基であり、「置換ヒドロカルビル」は、少なくとも1つの水素がヘテロ原子によって置き換えられている炭素および水素から生成されたラジカルである。
本発明および添付の特許請求の範囲の目的では、「アルコキシド」には、アルキル基がC
1−C
10ヒドロカルビルであるものが含まれる。アルキル基は、直鎖、分岐または環式であってよい。アルキル基は、飽和または不飽和であってよい。いくつかの実施形態では、アルキル基は、少なくとも1つの芳香族基を含むことができる。
触媒系のメタロセン成分は、式I、II、III、IV、VまたはVIの少なくとも1つによって表される。
(i)式I、II、IIIおよびIV
いくつかの実施形態では、メタロセン化合物は、式I、II、IIIおよびIVの少なくとも1つによって表される。
(i)
【0108】
【化32】
式II
または(iii)
【0109】
【化33】
式III
または(iv)
【0111】
[式中、Mは、ハフニウムまたはジルコニウムであり、
各Xは、独立に、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、水素化物、アミド、アルコキシド、スルフィド、リン化物、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルまたはその組合せ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、塩化物、臭化物、ヨウ化物からなる群から選択され(あるいは2個のXは、縮合環または環系の一部を形成していてもよい)、
各Qは、独立に、炭素またはヘテロ原子、好ましくはC、N、P、Sであり(好ましくは少なくとも1つのQは、ヘテロ原子であり、あるいは少なくとも2個のQは、同じかまたは異なるヘテロ原子であり、あるいは少なくとも3個のQは、同じかまたは異なるヘテロ原子であり、あるいは少なくとも4個のQは、同じかまたは異なるヘテロ原子である)、
各R
1は、独立に、水素、またはC
1−C
8アルキル基、好ましくはC
1−C
8直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルもしくはオクチルであり、R
1は、R
2と同じでも異なっていてもよく、
各R
2は、独立に、水素、またはC
1−C
8アルキル基、好ましくはC
1−C
8直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルもしくはオクチルであり、ただしR
1またはR
2の少なくとも1つは水素ではなく、好ましくはR
1およびR
2の両方は水素ではなく、好ましくはR
1および/またはR
2は分岐しておらず、
【0112】
各R
3は、独立に、水素であり、または1〜8個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、好ましくは置換もしくは非置換C
1−C
8直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルであり、ただし、少なくとも3個のR
3基は、水素ではなく(あるいは4個のR
3基は水素ではなく、あるいは5個のR
3基は水素ではない)、
各R
4は、独立に、水素であり、または置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、もしくはヘテロ原子含有基、好ましくは1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子を有する置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、好ましくは置換もしくは非置換C
1−C
8直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、置換フェニル(プロピルフェニルなど)、フェニル、シリル、置換シリル(CH
2SiR’など。R’は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニルなどのC
1−C
12ヒドロカルビルである)であり、
R
5は、水素またはC
1−C
8アルキル基、好ましくはC
1−C
8直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルもしくはオクチルであり、
R
6は、水素またはC
1−C
8アルキル基、好ましくはC
1−C
8直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルもしくはオクチルであり、
各R
7は、独立に、水素またはC
1−C
8アルキル基、好ましくはC
1−C
8直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルもしくはオクチルであり、ただし、少なくとも7個のR
7基は、水素ではなく、あるいは少なくとも8個のR
7基は、水素ではなく、あるいはすべてのR
7基は、水素ではなく(好ましくは、式IVの各Cp環上の3位および4位におけるR
7基は、水素ではない)、
R
2aTは、架橋基であり、好ましくはTは、C、SiまたはGe、好ましくはSiであり、
各R
aは、独立に、水素、ハロゲンまたはC
1−C
20ヒドロカルビル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、フェニル、ベンジル、置換フェニルであり、2個のR
aは、芳香族の、部分的に飽和の、または飽和の環式または縮合環系を含む環式構造を形成していてもよく、
ただしさらに、任意の2個の隣接するR基は、縮合環または多中心性の縮合環系を形成していてもよく、その環は、芳香族であってもよく、部分的に飽和しているか、または飽和していてもよい]
【0113】
別の実施形態では、少なくとも1つのR
4基は、水素ではなく、あるいは少なくとも2個のR
4基は、水素ではなく、あるいは少なくとも3個のR
4基は、水素ではなく、あるいは少なくとも4個のR
4基は、水素ではなく、あるいはすべてのR
4基は、水素ではない。
【0114】
いくつかの実施形態では、架橋基R
2aTには、しばしば二価の部分と呼ばれる少なくとも1つの第13族〜第16族の原子、例えばそれに限定されるものではないが、炭素、酸素、窒素、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、ゲルマニウムおよびスズ原子の少なくとも1つ、またはその組合せを含有する架橋基が含まれる。好ましくは、架橋基Tは、炭素、ケイ素またはゲルマニウム原子を含有し、最も好ましくは、Tは、少なくとも1つのケイ素原子または少なくとも1つの炭素原子を含有する。架橋基Tはまた、ハロゲンおよび鉄を含む以下に定義する置換基R
*を含有することができる。
【0115】
置換基R
*の非限定的な例には、水素、または直鎖もしくは分岐アルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルケニルラジカル、シクロアルキルラジカル、アリールラジカル、アシルラジカル、アリールラジカル、アルコキシラジカル、アリールオキシラジカル、アルキルチオラジカル、ジアルキルアミノラジカル、アルコキシカルボニルラジカル、アリールオキシカルボニルラジカル、カルバモイル(carbomoyl)ラジカル、アルキル−もしくはジアルキル−カルバモイルラジカル、アシルオキシラジカル、アシルアミノラジカル、アリールアミノラジカル、またはその組合せから選択される基の1つまたは複数が含まれる。好ましい一実施形態では、置換基R
*は、最大50個の非水素原子、好ましくは1〜30個の炭素を有し、これらはハロゲンまたはヘテロ原子等で置換されていてもよい。アルキル置換基R
*の非限定的な例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジルまたはフェニル基等、ならびにすべてのそれらの異性体、例えば第3級ブチル、イソプロピル等が含まれる。他のヒドロカルビルラジカルには、フルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、ヨードプロピル、ブロモヘキシル、クロロベンジル、およびトリメチルシリル、トリメチルゲルミル、メチルジエチルシリル等を含むヒドロカルビル置換有機メタロイドラジカル;ならびにトリス(トリフルオロメチル)シリル、メチル−ビス(ジフルオロメチル)シリル、ブロモメチルジメチルゲルミル等を含む、ハロカルビル置換有機メタロイドラジカル;ならびに例えばジメチルホウ素を含む二置換ホウ素ラジカル;ならびにジメチルアミン、ジメチルホスフィン、ジフェニルアミン、メチルフェニルホスフィンを含む二置換プニクトゲンラジカル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、フェノキシ、メチルスルフィドおよびエチルスルフィドを含むカルコゲンラジカルが含まれる。非水素置換基R
*には、炭素、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、窒素、リン、酸素、スズ、硫黄、ゲルマニウム等の原子、ならびにそれに限定されるものではないが、ビニル末端配位子、例えばブタ−3−エニル、プロパ−2−エニル、ヘキサ−5−エニル等を含むオレフィン性不飽和置換基などのオレフィンが含まれる。また、いくつかの実施形態では、少なくとも2個のR
*基、好ましくは2個の隣接するR基は、一緒になって、炭素、窒素、酸素、リン、ケイ素、ゲルマニウム、アルミニウム、ホウ素またはその組合せから選択される3〜30個の原子を有する環構造を形成する。他の実施形態では、R
*は、一方の末端でLに結合し、金属Mと炭素シグマ結合を形成するジラジカルであってもよい。特に好ましいR
*置換基には、C
1−C
30ヒドロカルビル、ヘテロ原子、またはヘテロ原子含有基(好ましくはメチル、エチル、プロピル(イソプロピル、sec−プロピルを含む)、ブチル(t−ブチルおよびsec−ブチルを含む)、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、フェニル、置換フェニル、ベンジル(置換ベンジルを含む)、シクロヘキシル、シクロドデシル、ノルボルニルおよびそのすべての異性体が含まれる。
【0116】
本明細書で有用な、式IIIの架橋基R
2aTまたは式Vの架橋基Tの例は、R’
2C、R’
2Si、R’
2Ge、R’
2CCR’
2、R’
2CCR’
2CR’
2、R’
2CCR’
2CR’
2CR’
2、R’C=CR’、R’C=CR’CR’
2、R’
2CCR’=CR’CR’
2、R’C=CR’CR’=CR’、R’C=CR’CR’
2CR’
2、R’
2CSiR’
2、R’
2SiSiR’
2、R
2CSiR’
2CR’
2、R’
2SiCR’
2SiR’
2、R’C=CR’SiR’
2、R’
2CGeR’
2、R’
2GeGeR’
2、R’
2CGeR’
2CR’
2、R’
2GeCR’
2GeR’
2、R’
2SiGeR’
2、R’C=CR’GeR’
2、R’B、R’
2C−BR’、R’
2C−BR’−CR’
2、R’
2C−O−CR’
2、R’
2CR’
2C−O−CR’
2CR’
2、R’
2C−O−CR’
2CR’
2、R’
2C−O−CR’=CR’、R’
2C−S−CR’
2、R’
2CR’
2C−S−CR’
2CR’
2、R’
2C−S−CR’
2CR’
2、R’
2C−S−CR’=CR’、R’
2C−Se−CR’
2、R’
2CR’
2C−Se−CR’
2CR’
2、R’
2C−Se−CR
2CR’
2、R’
2C−Se−CR’=CR’、R’
2C−N=CR’、R’
2C−NR’−CR’
2、R’
2C−NR’−CR’
2CR’
2、R’
2C−NR’−CR’=CR’、R’
2CR’
2C−NR’−CR’
2CR’
2、R’
2C−P=CR’、およびR’
2C−PR’−CR’
2によって表すことができ、式中、R’は、水素またはC
1−C
20含有ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビルまたはゲルミルカルビル置換基であり、場合によっては2個以上の隣接するR’は、一緒になって、置換または非置換の、飽和、部分的に不飽和、または芳香族の、環式または多環式置換基を形成することができる。好ましくは、架橋基は、ジアルキルシリルなどの炭素またはシリカを含み、好ましくは架橋基は、CH
2、CH
2CH
2、C(CH
3)
2、SiMe
2、SiPh
2、SiMePh、シリルシクロブチル(Si(CH
2)
3、(Ph)
2C、(p−(Et)
3SiPh)
2Cおよびシリルシクロペンチル(Si(CH
2)
4)から選択される。
【0117】
本発明において特に有用な触媒化合物には、以下の1つまたは複数が含まれる。
(1,3−ジメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3,4,7−テトラメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジメチルインデニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジエチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジプロピルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1−メチル,3−プロピルリンデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジメチルインデニル)(テトラメチルプロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,2,3−トリメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジメチルベンゾインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(2,7−ビスt−ブチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(9−メチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(2,7,9−トリメチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ジヒドロシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ジヒドロシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−プロピルトリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、および
ジシクロプロピルシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル。
【0118】
別の実施形態では、先の触媒化合物の一覧において、遷移金属の後の「ジメチル」は、特にアルモキサン活性化剤と共に使用するために、二ハロゲン化物(二塩化物または二フッ化物)またはビスフェノキシドで置き換えられる。
【0119】
(ii)式V
いくつかの実施形態では、メタロセンは、次式Vによって表すことができる。
【化35】
式V
【0120】
[式中、Mは、ハフニウムまたはジルコニウム、好ましくはハフニウムであり、
各Xは、独立に、1〜20個の炭素原子を有する置換または非置換ヒドロカルビルラジカル、水素化物、アミド、アルコキシド、スルフィド、リン化物、ハロゲン化物、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルおよびその組合せからなる群から選択され(2個のXは、縮合環または環系の一部を形成していてもよい)、好ましくは各Xは、独立に、ハロゲン化物およびC
1−C
6ヒドロカルビル基から選択され、好ましくは各Xは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、塩化物、臭化物またはヨウ化物であり、
各R
8は、独立に、置換または非置換C
1−C
10アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルまたはその異性体、好ましくはメチル、n−プロピルもしくはn−ブチル、または好ましくはメチルであり、
【0121】
各R
9は、独立に、置換または非置換C
1−C
10アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルまたはその異性体、好ましくはメチル、n−プロピルもしくはブチル、または好ましくはn−プロピルであり、
各R
10は、水素であり、
各R
11、R
12およびR
13は、独立に、水素、または置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、もしくはヘテロ原子含有基であり、好ましくは各R
11、R
12およびR
13は、水素であり、
Tは、式R
2aJによって表される架橋基であり、Jは、C、SiまたはGe、好ましくはSiであり、
各R
aは、独立に、水素、ハロゲンまたはC
1−C
20ヒドロカルビル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、フェニル、ベンジル、置換フェニルであり、2個のR
aは、芳香族の、部分的に飽和の、または飽和の環式または縮合環系を含む環式構造を形成していてもよく、
ただしさらに、任意の2個の隣接するR基は、縮合環または多中心性の縮合環系を形成していてもよく、その環は、芳香族であってもよく、部分的に飽和しているか、または飽和していてもよく、
Tは、R
2aTについて先に定義した架橋基であってもよく、
ただしさらに、隣接するR
11、R
12およびR
13基のいずれかは、縮合環または多中心性の縮合環系を形成していてもよく、その環は、芳香族であってもよく、部分的に飽和しているか、または飽和していてもよい]
【0122】
本発明において特に有用なメタロセン化合物には、以下の1つまたは複数が含まれる。
rac−ジメチルシリルビス(2−メチル,3−プロピルインデニル)ハフニウムジメチル、
rac−ジメチルシリルビス(2−メチル,3−プロピルインデニル)ジルコニウムジメチル、
rac−ジメチルシリルビス(2−エチル,3−プロピルインデニル)ハフニウムジメチル;
rac−ジメチルシリルビス(2−エチル,3−プロピルインデニル)ジルコニウムジメチル、
rac−ジメチルシリルビス(2−メチル,3−エチルインデニル)ハフニウムジメチル、
rac−ジメチルシリルビス(2−メチル,3−エチルインデニル)ジルコニウムジメチル、
rac−ジメチルシリルビス(2−メチル,3−イソプロピルインデニル)ハフニウムジメチル、
rac−ジメチルシリルビス(2−メチル,3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジメチル、
rac−ジメチルシリルビス(2−メチル,3−ブチルリンデニル)ハフニウムジメチル、
rac−ジメチルシリルビス(2−メチル,3−ブチルインデニル)ジルコニウムジメチル、
rac−ジメチルゲルマニルビス(2−メチル,3−プロピルインデニル)ハフニウムジメチル、
rac−ジメチルゲルマニルビス(2−メチル,3−プロピルインデニル)ジルコニウムジメチル、
rac−ジメチルゲルマニルビス(2−エチル,3−プロピルインデニル)ハフニウムジメチル、
rac−ジメチルゲルマニルビス(2−エチル,3−プロピルインデニル)ジルコニウムジメチル、
rac−ジメチルゲルマニルビス(2−メチル,3−エチルインデニル)ハフニウムジメチル、
rac−ジメチルゲルマニルビス(2−メチル,3−エチルインデニル)ジルコニウムジメチル、
rac−ジメチルゲルマニルビス(2−メチル,3−イソプロピルインデニル)ハフニウムジメチル、
rac−ジメチルゲルマニルビス(2−メチル,3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジメチル、
rac−ジメチルゲルマニルビス(2−メチル,3−ブチルリンデニル)ハフニウムジメチル、
rac−ジメチルゲルマニルビス(2−メチル,3−プロピルインデニル)ジルコニウムジメチル、
rac−ジメチルシリルビス(2−プロピル,3−メチルインデニル)ハフニウムジメチル、
rac−ジメチルシリルビス(2−プロピル,3−エチルインデニル)ハフニウムジメチル、
rac−ジメチルシリルビス(2−プロピル,3−ブチルインデニル)ハフニウムジメチル、
rac−ジメチルシリルビス(2−メチル,3−ブチルインデニル)ハフニウムジメチル、
rac−ジメチルゲルマニルビス(2,3−ジメチルインデニル)ハフニウムジメチル、
rac−ジメチルシリルビス(2,3−ジメチルインデニル)ハフニウムジメチル、および
rac−ジメチルシリルビス(2,3−ジエチルインデニル)ハフニウムジメチル。
【0123】
別の実施形態では、先の触媒化合物の一覧において、遷移金属の後の「ジメチル」は、特にアルモキサン活性化剤と共に使用するために、二ハロゲン化物(二塩化物または二フッ化物)またはビスフェノキシドで置き換えられる。
【0124】
特定の実施形態では、メタロセン化合物は、次式によって表されるrac−ジメチルシリルビス(2−メチル,3−プロピルインデニル)ハフニウムジメチル(V−I)、rac−ジメチルシリルビス(2−メチル,3−プロピルインデニル)ジルコニウムジメチル(V−II)である。
【0125】
【化36】
(iii)式VI
いくつかの実施形態では、メタロセンは、次式VIによって表すことができる。
【0127】
[式中、Mは、ハフニウムまたはジルコニウムであり、
各Xは、独立に、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、水素化物、アミド、アルコキシド、スルフィド、リン化物、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルまたはその組合せからなる群から選択され、
各R
15およびR
17は、独立に、C
1−C
8アルキル基、好ましくは、C
1−C
8直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルまたはオクチルであり、R
15は、R
17と同じでも異なっていてもよく、好ましくは、その両方がメチルであり、
【0128】
各R
16、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27およびR
28は、独立に、水素であり、または1〜8個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、好ましくは置換もしくは非置換C
1−C
8直鎖ヒドロカルビル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルもしくはオクチルであり、ただし、R
24〜R
28基の少なくとも3個は、水素ではなく(あるいは、R
24〜R
28基の4個は水素ではなく、あるいは、R
24〜R
28基の5個は水素ではない)、1)好ましくはR
24〜R
28の5個すべての基は、メチルであり、または2)R
24〜R
28基の4個は、水素ではなく、R
24〜R
28基の少なくとも1つは、C
2−C
8置換もしくは非置換ヒドロカルビルである(好ましくはR
24〜R
28基の少なくとも2個、3個、4個または5個は、C
2−C
8置換または非置換ヒドロカルビルである)]
一実施形態では、R
15およびR
17は、メチル基であり、R
16は、水素であり、R
18〜R
23は、すべて水素であり、R
24〜R
28は、すべてメチル基であり、各Xは、メチル基である。
【0129】
本発明において特に有用な触媒化合物には、(CpMe
5)(1,3−Me
2ベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
5)(1−メチル−3−n−プロピルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
5)(1−n−プロピル,3−メチルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
5)(1−メチル−3−n−ブチルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
5)(1−n−ブチル,3−メチルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
5)(1−エチル,3−メチルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
5)(1−メチル,3−エチルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
4n−プロピル)(1,3−Me
2ベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
4−n−プロピル)(1−メチル−3−n−プロピルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
4−n−プロピル)(1−n−プロピル,3−メチルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
4−n−プロピル)(1−メチル−3−n−ブチルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
4−n−プロピル)(1−n−ブチル,3−メチルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
4−n−プロピル)(1−エチル,3−メチルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
4−n−プロピル)(1−メチル,3−エチルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
4n−ブチル)(1,3−Me
2ベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
4n−ブチル)(1−メチル−3−n−プロピルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
4n−ブチル)(1−n−プロピル,3−メチルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
4n−ブチル)(1−メチル−3−n−ブチルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
4n−ブチル)(1−n−ブチル,3−メチルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
4n−ブチル)(1−エチル,3−メチルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、(CpMe
4n−ブチル)(1−メチル,3−エチルベンゾ[e]インデニル)HfMe
2、およびそのジルコニウム類似体が含まれる。
【0130】
別の実施形態では、先の触媒化合物の一覧において、遷移金属の後の「ジメチル」(Me
2)は、特にアルモキサン活性化剤と共に使用するために、二ハロゲン化物(二塩化物または二フッ化物)またはビスフェノキシドで置き換えられる。
【0131】
(b)触媒系の活性化剤成分
用語「共触媒」および「活性化剤」は、本明細書では互換的に使用され、中性触媒化合物を、触媒作用的に活性なカチオン性触媒化合物に変換させることによって、前述の触媒化合物のいずれか1つを活性化することができる任意の化合物と定義される。非限定的な活性化剤には、例えば、アルモキサン、アルミニウムアルキル、中性またはイオン性であってよいイオン化させる活性化剤、および従来型の共触媒が含まれる。好ましい活性化剤には、一般に、アルモキサン化合物、修飾アルモキサン化合物、およびイオン化させるアニオン前駆体化合物が含まれ、これらの前駆体化合物は、1個のσ結合した反応性金属配位子を引き抜いて金属錯体をカチオン性にし、電荷の平衡を保つ、非配位性または弱配位性アニオンを提供する。
【0132】
一実施形態では、アルモキサン活性化剤は、触媒組成物における活性化剤として利用される。アルモキサンは、一般に、−Al(R
1)−O−サブユニット(R
1はアルキル基である)を含有するオリゴマー性化合物である。アルモキサンの例には、メチルアルモキサン(MAO)、修飾メチルアルモキサン(MMAO)、エチルアルモキサンおよびイソブチルアルモキサンが含まれる。アルキルアルモキサンおよび修飾アルキルアルモキサンは、特に、引き抜かれる配位子がアルキル、ハロゲン化物、アルコキシドまたはアミドである場合に、触媒活性化剤として適している。異なるアルモキサンおよび修飾アルモキサンの混合物を使用することもできる。視覚的に透明なメチルアルモキサンを使用することが好ましい場合がある。濁ったまたはゲル化したアルモキサンを濾過して、透明な溶液を生成することができ、または濁った溶液をデカントして、透明なアルモキサンにすることができる。別のアルモキサンは、修飾メチルアルモキサン(MMAO)共触媒タイプ3Aである(Akzo Chemicals,Inc.から商標Modified Methylalumoxane type 3Aで市販されており、米国特許第5,041,584号でカバーされている)。
【0133】
活性化剤がアルモキサン(修飾または非修飾)である場合、いくつかの実施形態では、触媒前駆体に対して(金属触媒部位1つ当たり)5000倍モル過剰のAl/Mとなる最大量の活性化剤が選択される。活性化剤対触媒前駆体の最小モル比は、1:1である。別の好ましい範囲には、最大500:1、あるいは最大200:1、あるいは最大100:1、あるいは1:1〜50:1が含まれる。
【0134】
別の実施形態では、VT−HOコポリマーを生成する方法において、アルモキサンはほとんど使用されず、または全く使用されない。好ましくは、アルモキサンは、0mol%で存在し、あるいはアルモキサンは、500:1未満、好ましくは300:1未満、好ましくは100:1未満、好ましくは1:1未満のアルミニウム対遷移金属のモル比で存在する。別の実施形態では、VT−HOコポリマーを生成するためにアルモキサンが使用される場合、アルモキサンを予め処理して、遊離アルキルアルミニウム化合物、特にトリメチルアルミニウムを除去する。さらに、好ましい一実施形態では、VT−HOコポリマーを生成するために本明細書で使用される活性化剤は、本明細書で定義の通り嵩高く、別個のものである。
【0135】
共活性化剤(または捕捉剤)として利用できるアルミニウムアルキルまたは有機アルミニウム化合物には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム等が含まれる。
【0136】
イオン化させる活性化剤
本発明の範囲には、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリスパーフルオロフェニルホウ素メタロイド前駆体またはトリスパーフルオロナフチルホウ素メタロイド前駆体、ポリハロゲン化ヘテロボランアニオン(国際公開第98/43983号)、ホウ酸(米国特許第5,942,459号)、またはその組合せなどの、中性またはイオン性の、イオン化させるか、または化学量論的な活性化剤の使用が含まれる。また本発明の範囲には、中性またはイオン性活性化剤を、単独で、またはアルモキサンもしくは修飾アルモキサン活性化剤と組み合わせて使用することが含まれる。好ましい活性化剤は、イオン性活性化剤である。
中性の化学量論的活性化剤の例には、三置換ホウ素、テルル、アルミニウム、ガリウムおよびインジウムまたはその混合物が含まれる。3個の置換基は、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、ハロゲン、置換アルキル、アリール、ハロゲン化アリール、アルコキシおよびハロゲン化物から選択される。好ましくは、3個の基は、独立に、ハロゲン、単環式または多環式(ハロ置換を含む)アリール、アルキル、アルケニル化合物およびその混合物から選択され、好ましいのは、1〜20個の炭素原子を有するアルケニル基、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基、および3〜20個の炭素原子を有するアリール基(置換アリールを含む)である。より好ましくは、3個の基は、1〜4個の炭素基を有するアルキル、フェニル、ナフチルまたはその混合物である。さらにより好ましくは、3個の基は、ハロゲン化、好ましくはフッ素化アリール基である。最も好ましくは、中性の化学量論的活性化剤は、トリスパーフルオロフェニルホウ素またはトリスパーフルオロナフチルホウ素である。
【0137】
イオン性の化学量論的活性化剤化合物は、活性なプロトンを含有することができ、またはイオン化させる化合物の残りのイオンに会合しているが配位していないか、もしくはごく緩やかに配位しているいくつかの他のカチオンを含有することができる。このような化合物等は、欧州特許出願公開第0 570 982号、同第0 520 732号、同第0 495 375号、同第0 500 944号、同第0 277 003号、同第0 277 004号、米国特許第5,153,157号、第5,198,401号、第5,066,741号、第5,206,197号、第5,241,025号、第5,384,299号、第5,502,124号、および1994年8月3日出願の米国特許出願第08/285,380号に記載されており、これらはすべて参照によって本明細書に完全に組み込まれる。
イオン性触媒は、遷移金属化合物を、B(C
6F
6)
3などのある種の中性ルイス酸と事前に反応させることができ、この中性ルイス酸は、遷移金属化合物の加水分解性配位子(X)と反応すると、([B(C
6F
5)
3(X)]
-)などのアニオンを形成し、それによって、反応から生成されたカチオン性遷移金属種が安定になる。この触媒は、イオン性の化合物または組成物である活性化剤成分を用いて調製することができ、好ましくはそのようにして調製される。
【0138】
本発明の方法で使用されるイオン性触媒系の調製における活性化剤成分として有用な化合物は、好ましくはプロトンを供与することができるブレンステッド酸であるカチオンと、活性触媒種(第4族カチオン)を安定にすることができ、2個の化合物が組み合わせられるときに形成される、相対的に大きい(嵩高い)適合性の非配位性アニオンとを含み、前記アニオンは、オレフィン性、ジオレフィン性およびアセチレン性不飽和基質、またはエーテル、アミンなどの他の中性ルイス塩基によって非常に置き換えられやすい状態にある。以下2種類の適合性の非配位性アニオンが、1988年に公開された欧州特許出願公開第0 277 003号および同第0 277 004号に開示されている。1)電荷を有する中心の金属またはメタロイドのコアに、共有結合により配位しており、かつそれを遮蔽している複数の親油性ラジカルを含むアニオン性配位錯体、ならびに2)カルボラン、メタラカルボランおよびボランなどの複数のホウ素原子を含むアニオン。
【0139】
好ましい一実施形態では、化学量論的活性化剤は、カチオンおよびアニオン成分を含み、次式によって表すことができる。
(L−H)
d+(A
d-) (14)
式中、Lは中性ルイス塩基であり、Hは水素であり、(L−H)
+はブレンステッド酸であり、A
d-は、電荷d−を有する非配位性アニオンであり、dは、1、2または3である。
カチオン成分(L−H)
d+には、プロトン化されたルイス塩基などのブレンステッド酸が含まれる場合があり、これは、遷移金属を含有する嵩高い配位子のメタロセン触媒前駆体のアルキルまたはアリールなどの部分をプロトン化し、それによってカチオン性遷移金属種をもたらすことができる。
【0140】
活性化カチオン(L−H)
d+は、プロトンを遷移金属触媒作用性の前駆体に供与し、それによって遷移金属カチオンをもたらすことができるブレンステッド酸であってよく、これには、アンモニウム、オキソニウム、ホスホニウム、シリリウムおよびその混合物、好ましくはメチルアミン、アニリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、メチルジフェニルアミン、ピリジン、p−ブロモN,N−ジメチルアニリン、p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリンのアンモニウム;トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンおよびジフェニルホスフィン由来のホスホニウム;ジメチルエーテル ジエチルエーテルなどのエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサン由来のオキソニウム;ジエチルチオエーテルなどのチオエーテルおよびテトラヒドロチオフェン由来のスルホニウム、ならびにその混合物が含まれる。
【0141】
アニオン成分A
d-には、式[M
k+Q
n]
d-を有するものが含まれ、ここで、kは、1、2または3であり、nは、2、3、4、5または6であり、n−k=dであり、Mは、元素周期表の第13族から選択される元素、好ましくはホウ素またはアルミニウムであり、Qは、独立に、水素化物、架橋または非架橋ジアルキルアミド、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビルおよびハロ置換ヒドロカルビルラジカルであり、前記Qは、最大20個の炭素原子を有し、ただし1以下の発生率でQはハロゲン化物である。好ましくは、各Qは、1〜20個の炭素原子を有するフッ素化ヒドロカルビル基であり、より好ましくは各Qは、フッ素化アリール基であり、最も好ましくは各Qは、ペンタフルオリル(pentafluoryl)アリール基である。適切なA
d-の例には、米国特許第5,447,895号に開示されているジボロン化合物も含まれ、この文書は参照によって本明細書に完全に組み込まれる。
【0142】
本発明の方法の触媒系の調製において活性化共触媒として使用できるホウ素化合物の例示的であるが非限定的な例は、三置換アンモニウム塩、例えばトリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、Ν,Ν−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラフェニルボレート、トロピリウム(tropillium)テトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート トリエチルシリリウムテトラフェニルボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(sec−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、Ν,Ν−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、Ν,Ν−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロ−フェニル)ボレート、ジメチル(t−ブチル)アンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、Ν,Ν−ジエチルアニリニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
【0143】
トリフェニルホスホニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、Ν,Ν−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、Ν,Ν−ジエチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トロピリウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、Ν,Ν−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、Ν,Ν−ジエチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、Ν,Ν−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、Ν,Ν−ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、
【0144】
N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、ならびにジアルキルアンモニウム塩、例えばジ−(i−プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートおよびジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ならびに追加の三置換ホスホニウム塩、例えばトリ(o−トリル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートおよびトリ(2,6−ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0145】
最も好ましくは、イオン性の化学量論的活性化剤(L−H)
d+(A
d-)は、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、Ν,Ν−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、またはトリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレートである。
一実施形態では、活性プロトンを含有していないが、嵩高い配位子のメタロセン触媒カチオンおよびそれらの非配位性アニオンを生成することができるイオン化させるイオン性化合物を使用する活性化方法も企図され、この化合物は、欧州特許出願公開第0 426 637号、同第0 573 403号および米国特許第5,387,568号に記載されており、これらの文書はすべて参照によって本明細書に組み込まれる。
【0146】
用語「非配位性アニオン」(NCA)は、前記カチオンには配位しないか、または前記カチオンにごく弱く配位し、それによって中性ルイス塩基によって非常に置き換えられやすい状態に保たれるアニオンを意味する。「適合性の」非配位性アニオンは、最初に形成された錯体が分解するときに、中性まで分解されないアニオンである。さらにこのアニオンは、アニオン性置換基またはフラグメントに、中性の4配位メタロセン化合物およびアニオン由来の中性副生成物を形成させるように、これらの置換基またはフラグメントをカチオンに移動させないようにする。本発明の有用な非配位性アニオンは、メタロセンカチオンのイオン電荷を+1の平衡に保つという意味でメタロセンカチオンを安定にし、さらには、重合中にエチレン性またはアセチレン性不飽和モノマーによって非常に置き換えられやすい状態に保たれる適合性アニオンである。これらの活性化剤化合物または共触媒に加えて、トリ−イソブチルアルミニウムまたはトリ−オクチルアルミニウムなどの捕捉剤が使用される。
【0147】
本発明の方法はまた、最初は中性ルイス酸であるが、本発明の化合物と反応すると、カチオン性金属錯体および非配位性アニオン、または双性イオン性錯体を形成する共触媒化合物または活性化剤化合物を用いることができる。例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素またはアルミニウムは、ヒドロカルビルまたは水素化物配位子を引き抜くように作用して、本発明のカチオン性金属錯体および安定化させる非配位性アニオンを生成する。類似の第4族メタロセン化合物の例については、欧州特許出願公開第0427 697号および同第0 520 732号を参照されたい。また、欧州特許出願第0 495 375号の方法および化合物を参照されたい。類似の第4族化合物を使用する双性イオン性錯体の形成については、米国特許第5,624,878号および同第5,486,632号および同第5,527,929号を参照されたい。
【0148】
イオンを形成する別の適切な活性化共触媒は、カチオン性酸化剤と、適合性の非配位性アニオンとの塩を含み、次式によって表される。
(OX
e+)
d(A
d-)
e (16)
式中、OX
e+は、電荷e+を有するカチオン性酸化剤であり、eは、1、2または3であり、A
d-は、電荷d−を有する非配位性アニオンであり、dは、1、2または3である。カチオン性酸化剤の例には、フェロセニウム、ヒドロカルビル置換フェロセニウム、Ag
+またはPb
+2が含まれる。A
d-の好ましい実施形態は、ブレンステッド酸を含有する活性化剤に関して既に定義されているアニオン、特にテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0149】
NCA活性化剤(または非アルモキサン活性化剤)対触媒の一般的な比は、1:1モル比である。他の好ましい範囲には、0.1:1〜100:1、あるいは0.5:1〜200:1、あるいは1:1〜500:1、あるいは1:1〜1000:1が含まれる。特に有用な範囲は、0.5:1〜10:1、好ましくは1:1〜5:1である。
【0150】
嵩高活性化剤
「嵩高活性化剤(bulky activator)」は、本明細書で使用される場合、次式によって表されるアニオン性活性化剤を指す。
【化38】
[式中、
各R
1は、独立に、ハロゲン化物、好ましくはフッ化物であり、
各R
2は、独立に、ハロゲン化物、C
6−C
20置換芳香族ヒドロカルビル基、または式−O−Si−R
a(式中、R
aは、C
1−C
20ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルシリル基である)のシロキシ基であり(好ましくはR
2は、フッ化物または全フッ素置換フェニル基である)、
各R
3は、ハロゲン化物、C
6−C
20置換芳香族ヒドロカルビル基、または式−O−Si−R
a(式中、R
aは、C
1−C
20ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルシリル基である)のシロキシ基であり(好ましくはR
3は、フッ化物またはC
6全フッ素置換芳香族ヒドロカルビル基である)、R
2およびR
3は、1つまたは複数の飽和または不飽和の、置換または非置換の環を形成することができ(好ましくはR
2およびR
3は、全フッ素置換フェニル環を形成する)、
Lは、中性ルイス塩基であり、(L−H)
+は、ブレンステッド酸であり、dは、1、2または3であり、
アニオンは、1020g/molを超える分子量を有し、
B原子上の置換基の少なくとも3個は、それぞれ、250立方Åを超える、あるいは300立方Åを超える、あるいは500立方Åを超える分子体積を有する]
【0151】
「分子体積」は、本明細書では、溶液中の活性化剤分子の空間立体的な嵩に類似するものとして使用される。異なる分子体積を有する置換基を比較すると、より小さい分子体積を有する置換基は、より大きい分子体積を有する置換基と比較して「嵩高くない」とみなすことができる。逆に、より大きい分子体積を有する置換基は、より小さい分子体積を有する置換基よりも「嵩高い」とみなすことができる。
【0152】
分子体積は、"A Simple "Back of the Envelope" Method for Estimating the Densities and Molecular Volumes of Liquids and Solids" Journal of Chemical Education, Vol. 71, No. 11, November 1994, pp. 962-964に報告されている通りに算出することができる。分子体積(MV)(単位は立方Å)は、式MV=8.3V
S(V
Sは、スケーリングされた体積である)を使用して算出される。V
Sは、構成要素である原子の相対的体積の合計であり、相対的体積の以下の表を使用して、置換基の分子式から算出される。縮合環については、V
Sは、縮合環1個当たり7.5%減少する。
【0153】
【表1】
本明細書に適した活性化剤の例示的な嵩高い置換基、ならびにそれらのそれぞれのスケーリングされた体積および分子体積を、以下の表に示す。点線の結合は、先の一般式と同様に、ホウ素との結合を示している。
【0155】
本明細書の触媒系において有用な、例示的な嵩高活性化剤には、トリメチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、Ν,Ν−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、Ν,Ν−ジエチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トロピリウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、Ν,Ν−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、Ν,Ν−ジエチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、[4−t−ブチル−PhNMe
2H][(C
6F
3(C
6F
5)
2)
4B]および米国特許第7,297,653号に開示されているタイプが含まれる。
【0156】
活性化剤の組合せ
本発明の範囲には、触媒化合物が、前述の1つまたは複数の活性化剤または活性化方法と組み合わせられ得ることが含まれる。例えば、活性化剤の組合せは、米国特許第5,153,157号、同第5,453,410号、欧州特許出願公開第0 573 120号、PCT国際公開第94/07928号および同第95/14044号に記載されている。これらの文書はすべて、アルモキサンを、イオン化させる活性化剤と組み合わせて使用することについて論じている。
【0157】
(iii)任意選択の共活性化剤および捕捉剤
これらの活性化剤化合物に加えて、捕捉剤または共活性化剤を使用することもできる。共活性化剤(または捕捉剤)として利用できるアルミニウムアルキルまたは有機アルミニウム化合物には、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、およびトリ−n−オクチルアルミニウムが含まれる。
【0158】
(iv)任意選択の担持材料
本明細書の実施形態では、触媒系は、不活性な担持材料を含むことができる。好ましくは、担持材料は、多孔質担持材料、例えばタルクおよび無機酸化物である。他の担持材料には、ゼオライト、粘土、有機粘土、または任意の他の有機もしくは無機担持材料等、またはその混合物が含まれる。
【0159】
好ましくは、担持材料は、微粉化形態の無機酸化物である。本明細書でメタロセン触媒系において使用するのに適した無機酸化物材料には、シリカ、アルミナなどの第2、第4、第13および第14族金属酸化物、ならびにその混合物が含まれる。単独で、またはシリカもしくはアルミナと組み合わせて用いることができる他の無機酸化物は、マグネシア、チタニア、ジルコニア等である。しかし、他の適切な担持材料、例えば微粉化ポリエチレンなどの微粉化した官能化ポリオレフィンを用いることもできる。特に有用な担持体には、マグネシア、チタニア、ジルコニア、モンモリロナイト、フィロシリケート、ゼオライト、タルク、粘土等が含まれる。また、これらの担持材料の組合せ、例えば、シリカ−クロム、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア等を使用することもできる。好ましい担持材料には、Al
2O
3、ΖrO
2、SiO
2およびその組合せ、より好ましくはSiO
2、Al
2O
3、またはSiO
2/Al
2O
3が含まれる。
【0160】
好ましくは担持材料、最も好ましくは無機酸化物は、約10〜約700m
2/gの範囲の表面積、約0.1〜約4.0cc/gの範囲の細孔容積、および約5〜約500μmの範囲の平均粒径を有する。より好ましくは、担持材料の表面積は、約50〜約500m
2/gの範囲でり、細孔容積は約0.5〜約3.5cc/gであり、平均粒径は約10〜約200μmである。最も好ましくは、担持材料の表面積は、約100〜約400m
2/gの範囲であり、細孔容積は約0.8〜約3.0cc/gであり、平均粒径は約5〜約100μmである。本発明において有用な担持材料の平均細孔は、10〜1000Å、好ましくは50〜約500Å、最も好ましくは75〜約350Åの範囲である。いくつかの実施形態では、担持材料は、表面積の大きい非晶質シリカであり(表面積=300m
2/gm、細孔容積1.65cm
3/gm)、その例は、W.R.Grace and CompanyのDavison Chemical Divisionから商標DAVISON 952またはDAVISON 955で市販されている。他の実施形態では、DAVIDSON 948が使用される。
【0161】
担持材料は、乾燥しているべきであり、すなわち水が吸収されていない状態にすべきである。担持材料の乾燥は、約100℃〜約1000℃、好ましくは少なくとも約600℃で加熱または焼成することによって行うことができる。担持材料がシリカである場合には、少なくとも200℃、好ましくは約200℃〜約850℃、最も好ましくは約600℃にして、約1分〜約100時間、約12時間〜約72時間、または約24時間〜約60時間加熱される。焼成された担持材料は、本発明の触媒系を生成するために、少なくともいくらかの反応性ヒドロキシル(OH)基を有していなければならない。次に、焼成された担持材料は、少なくとも1つのメタロセン化合物および活性化剤を含む少なくとも1つの重合触媒と接触させられる。
【0162】
担持触媒系の生成方法
反応性表面基、一般にヒドロキシル基を有する担持材料は、非極性溶媒中でスラリー化され、得られたスラリーは、メタロセン化合物および活性化剤の溶液と接触させられる。溶媒中の担持材料のスラリーは、担持材料を溶媒に導入し、その混合物を約0℃〜約70℃、好ましくは約25℃〜約60℃、好ましくは室温にして加熱することによって調製される。接触時間は、一般に、約0.5時間〜約24時間、約0.5時間〜約8時間、または約0.5時間〜約4時間の範囲である。
適切な非極性溶媒は、本明細書で使用される反応物、すなわち活性化剤およびメタロセン化合物のすべてを、少なくとも部分的に溶かし、反応温度で液体にする材料である。好ましい非極性溶媒は、アルカン、例えばイソペンタン、ヘキサン、n−ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカンであるが、シクロアルカン、例えばシクロヘキサン、芳香族、例えばベンゼン、トルエンおよびエチルベンゼンを含む様々な他の材料を用いることもできる。
【0163】
本明細書の実施形態では、担持材料上の反応基が滴定されるように、担持材料をメタロセン化合物および活性化剤の溶液と接触させて、担持重合触媒を形成する。メタロセン化合物、活性化剤および担持材料の接触時間は、担持材料上の反応基の滴定に必要な時間である。「滴定する」とは、担持材料の表面上の利用可能な反応基と反応させ、それによって表面のヒドロキシル基を、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%低減することを意味する。表面反応基の濃度は、焼成温度および使用される担持材料のタイプに応じて決定することができる。担持材料を焼成する温度は、メタロセン化合物および活性化剤との反応に利用可能な担持材料上の表面反応基の数に影響を及ぼし、乾燥温度が高いほど、その部位の数は少なくなる。例えば、担持材料がシリカである場合、最初の触媒系合成ステップにおいて使用する前に窒素と共に流動化させ、約600℃で16時間加熱することによって脱水すると、一般には、1グラム当たり約0.7ミリモル(mmol/gm)の表面のヒドロキシル基濃度が達成される。したがって、活性化剤と、キャリア上の表面反応基の正確なモル比は、変わることになる。好ましくは、このモル比は、過剰の活性化剤が溶液中に残らずに担持材料上に沈着するように、活性化剤の限定量のみが溶液に確実に添加されるように、個々の場合に応じて決定される。
【0164】
溶液中に過剰量が残らずに担持材料上に沈着する活性化剤の量は、例えば、活性化剤が、
1H NMRなどの当技術分野で公知の任意の技術によって溶媒中の溶液として検出されるまで、活性化剤を、溶媒中のキャリアのスラリーに添加すると同時に、そのスラリーを撹拌することによって、任意の従来の方式で決定することができる。例えば、約600℃で加熱されたシリカ担持材料については、スラリーに添加される活性化剤の量は、Bとシリカ上のヒドロキシル基(OH)のモル比が、約0.5:1〜約4:1、好ましくは約0.8:1〜約3:1、より好ましくは約0.9:1〜約2:1、最も好ましくは約1:1になるような量である。シリカ上のBの量は、Encyclopedia of Materials Characterization, C. R. Brundle, C. A. Evans, Jr. and S. Wilson, eds., Butterworth-Heinemann, Boston, Mass., 1992, pp. 633-644のJ. W. Olesik, "Inductively Coupled Plasma-Optical Emission Spectroscopy"に記載されているICPES(誘導結合プラズマ発光分析)を使用することによって決定することができる。別の実施形態では、担持体上に沈着する量を超過するような量の活性剤を添加し、次に、例えば濾過し、洗浄することによって任意の過剰の活性化剤を除去することも可能である。
【0165】
別の実施形態では、本発明は、以下に関する。
1.300g/mol以上のMn(
1H NMRによって測定)、好ましくは300〜60,000g/mol、好ましくは400〜50,000g/mol、好ましくは500〜35,000g/mol、好ましくは300〜15,000g/mol、好ましくは400〜12,000g/mol、または好ましくは750〜10,000g/molのMnを有し、
【0166】
(i)約20〜約99.9mol%の少なくとも1つのC
5−C
40高級オレフィン、約25〜約90mol%、約30〜約85mol%、約35〜約80mol%、約40〜約75mol%、または約50〜約95mol%の少なくとも1つのC
5−C
40高級オレフィン、好ましくは2種以上のC
5−C
40高級オレフィン(好ましくは、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロドデセン、7−オキサノルボルネン、7−オキサノルボルナジエン、その置換誘導体、およびその異性体から選択される)、および
(ii)約0.1〜約80mol%、約5mol%〜約70mol%、約10〜約65mol%、約15〜約55mol%、約25〜約50mol%、または約30〜約80mol%のプロピレンを含み、
アリル鎖末端を少なくとも40%、アリル鎖末端を少なくとも50%、アリル鎖末端を少なくとも60%、アリル鎖末端を少なくとも70%、またはアリル鎖末端を少なくとも80%、アリル鎖末端を少なくとも90%、アリル鎖末端を少なくとも95%有し、
いくつかの実施形態では、イソブチル鎖末端対アリル鎖末端の比が、0.70:1未満、0.65:1未満、0.60:1未満、0.50:1未満、または0.25:1未満であり、
他の実施形態では、アリル鎖末端対ビニリデン基の比が、2:1超、2.5:1超、3:1超、5:1超、または10:1超である、高級オレフィンコポリマー。
2.
1H NMRによって測定して、鎖1個当たり1個の不飽和を仮定して、少なくとも36個の炭素原子を有するオレフィンを、コポリマー組成物の重量に対して少なくとも50重量%含む、パラグラフ1の高級オレフィンコポリマー。
3.コポリマー組成物の重量に対して、20重量%未満、好ましくは10重量%未満、好ましくは5重量%未満、またはより好ましくは2重量%未満の二量体および三量体を含む、パラグラフ1および2の高級オレフィンコポリマー。
【0167】
4.60℃で1,000cP超、12,000cP超、または100,000cP超(あるいは、200,000cP:1未満50,000cP未満、または100,000cP未満)の粘度を有する、パラグラフ1〜3の高級オレフィンコポリマー。
5.300g/mol以上のMn(
1H NMRによって測定)、好ましくは300〜60,000g/molのMnを有し、(i)約80〜約99.9mol%、好ましくは約85〜約99.9mol%、より好ましくは約90〜約99.9mol%の少なくとも1つのC
4オレフィン、および(ii)約0.1〜約20mol%、好ましくは約0.1〜約15mol%、より好ましくは約0.1〜約10mol%のプロピレンを含み、アリル鎖末端を少なくとも40%、好ましくはアリル鎖末端を少なくとも50%、アリル鎖末端を少なくとも60%、アリル鎖末端を少なくとも70%、またはアリル鎖末端を少なくとも80%、アリル鎖末端を少なくとも90%、アリル鎖末端を少なくとも95%を有し、
いくつかの実施形態では、イソブチル鎖末端対アリル鎖末端の比が、0.70:1未満、0.65:1未満、0.60:1未満、0.50:1未満、または0.25:1未満であり、さらなる実施形態では、アリル鎖末端対ビニリデン基の比が、2:1超、2.5:1超、3:1超、5:1超、または10:1超である、高級オレフィンコポリマー。
6.(i)約20〜約99.9mol%(好ましくは約25〜約90mol%、約30〜約85mol%、約35〜約80mol%、約40〜約75mol%、または約50〜約95mol%)の少なくとも1つのC
5−C
40高級オレフィン、好ましくは2種以上のC
5−C
40高級オレフィン(好ましくは、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロドデセン、7−オキサノルボルネン、7−オキサノルボルナジエン、その置換誘導体、およびその異性体から選択される)と、
【0168】
(ii)約0.1〜約80mol%(好ましくは約5mol%〜約70mol%、約10〜約65mol%、約15〜約55mol%、約25〜約50mol%、または約30〜約80mol%)のプロピレンと、
(iii)場合によっては、エチレンと
を接触させることを含む、パラグラフ1〜4の高級オレフィンコポリマーを生成する方法であって、
その接触が、活性化剤、および次式の少なくとも1つによって表される少なくとも1つのメタロセン化合物を含む触媒系の存在下で起こる、方法。
(i)
【0170】
【化41】
式II
または(iii)
【0171】
【化42】
式III
または(iv)
【0172】
【化43】
式IV
[式中、
Mは、ハフニウムまたはジルコニウムであり、
各Xは、独立に、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、水素化物、アミド、アルコキシド、スルフィド、リン化物、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルおよびその組合せからなる群から選択され(2個のXは、縮合環または環系の一部を形成していてもよい)、
各Qは、独立に、炭素またはヘテロ原子であり、
各R
1は、独立に、C
1−C
8アルキル基であり、R
1は、R
2と同じでも異なっていてもよく、
【0173】
各R
2は、独立に、C
1−C
8アルキル基であり、
各R
3は、独立に、水素であり、または1〜8個の炭素原子を有する置換もしくは非置換ヒドロカルビル基であり、ただし、少なくとも3個のR
3基は、水素ではなく、
各R
4は、独立に、水素、または置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、もしくはヘテロ原子含有基であり、
R
5は、水素またはC
1−C
8アルキル基であり、
R
6は、水素またはC
1−C
8アルキル基であり、
各R
7は、独立に、水素またはC
1−C
8アルキル基であり、ただし、少なくとも7個のR
7基は、水素ではなく、
R
2aTは、架橋基であり、Tは、第14族の元素(好ましくはC、SiまたはGe)であり、
各R
aは、独立に、水素、ハロゲンまたはC
1−C
20ヒドロカルビルであり、
2個のR
aは、芳香族の、部分的に飽和の、または飽和の環式または縮合環系を含む環式構造を形成していてもよく、ただしさらに、任意の2個の隣接するR基は、縮合環または多中心性の縮合環系を形成していてもよく、その環は、芳香族であってもよく、部分的に飽和しているか、または飽和していてもよい]、
または(v)
【0175】
[式中、
Mは、ハフニウムまたはジルコニウムであり、
各Xは、独立に、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、水素化物、アミド、アルコキシド、スルフィド、リン化物、ハロゲン化物、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルおよびその組合せからなる群から選択され(2個のXは、縮合環または環系の一部を形成していてもよい)、
各R
8は、独立に、C
1−C
10アルキル基であり、
各R
9は、独立に、C
1−C
10アルキル基であり、
【0176】
各R
10は、水素であり、
各R
11、R
12およびR
13は、独立に、水素、または置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、もしくはヘテロ原子含有基であり、
Tは、好ましくは式R
2aJによって表される架橋基であり、Jは、第14族の元素(好ましくはC、SiまたはGe)であり、
各R
aは、独立に、水素、ハロゲンまたはC
1−C
20ヒドロカルビルであり、
2個のR
aは、芳香族の、部分的に飽和の、または飽和の環式または縮合環系を含む環式構造を形成していてもよく、ただしさらに、任意の2個の隣接するR基は、縮合環または多中心性の縮合環系を形成していてもよく、その環は、芳香族であってもよく、部分的に飽和しているか、または飽和していてもよく、
ただしさらに、隣接するR
11、R
12およびR
13基のいずれかは、縮合環または多中心性の縮合環系を形成していてもよく、その環は、芳香族であってもよく、部分的に飽和しているか、または飽和していてもよい]、
または(vi)
【0178】
[式中、
Mは、ハフニウムまたはジルコニウムであり、
各Xは、独立に、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、水素化物、アミド、アルコキシド、スルフィド、リン化物、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルまたはその組合せからなる群から選択され、
各R
15およびR
17は、独立に、C
1−C
8アルキル基であり、
各R
16、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27およびR
28は、独立に、水素であり、または1〜8個の炭素原子を有する置換もしくは非置換ヒドロカルビル基であり、C
5−C
40高級オレフィンは、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロドデセン、7−オキサノルボルネン、7−オキサノルボルナジエン、その置換誘導体、およびその異性体から選択される]
7.(i)約80〜約99.9mol%、好ましくは約85〜約99.9mol%、より好ましくは約90〜約99.9mol%の少なくとも1つのC
4オレフィン(好ましくは、1−ブテンを含む混合ブテンストリームが使用される)と、
(ii)約0.1〜約20mol%、好ましくは約0.1〜約15mol%、より好ましくは約0.1〜約10mol%のプロピレンと、
(iii)場合によっては、エチレンと
を接触させることを含む、パラグラフ1〜4の高級オレフィンコポリマーを生成する方法であって、
その接触が、活性化剤、および次式の少なくとも1つによって表される少なくとも1つのメタロセン化合物を含む触媒系の存在下で起こる、方法。
(i)
【0180】
【化47】
式II
または(iii)
【0181】
【化48】
式III
または(iv)
【0183】
[式中、
Mは、ハフニウムまたはジルコニウムであり、
各Xは、独立に、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、水素化物、アミド、アルコキシド、スルフィド、リン化物、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルおよびその組合せからなる群から選択され(2個のXは、縮合環または環系の一部を形成していてもよい)、
各Qは、独立に、炭素またはヘテロ原子であり、
各R
1は、独立に、C
1−C
8アルキル基であり、R
1は、R
2と同じでも異なっていてもよく、
【0184】
各R
2は、独立に、C
1−C
8アルキル基であり、
各R
3は、独立に、水素であり、または1〜8個の炭素原子を有する置換もしくは非置換ヒドロカルビル基であり、ただし、少なくとも3個のR
3基は、水素ではなく、
各R
4は、独立に、水素、または置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、もしくはヘテロ原子含有基であり、
R
5は、水素またはC
1−C
8アルキル基であり、
R
6は、水素またはC
1−C
8アルキル基であり、
各R
7は、独立に、水素またはC
1−C
8アルキル基であり、ただし、少なくとも7個のR
7基は、水素ではなく、
R
2aTは、架橋基であり、Tは、第14族の原子、好ましくはC、SiまたはGeであり、
各R
aは、独立に、水素、ハロゲンまたはC
1−C
20ヒドロカルビルであり、
2個のR
aは、芳香族の、部分的に飽和の、または飽和の環式または縮合環系を含む環式構造を形成していてもよく、ただしさらに、任意の2個の隣接するR基は、縮合環または多中心性の縮合環系を形成していてもよく、その環は、芳香族であってもよく、部分的に飽和しているか、または飽和していてもよい]、
または(v)
【0186】
[式中、
Mは、ハフニウムまたはジルコニウムであり、
各Xは、独立に、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、水素化物、アミド、アルコキシド、スルフィド、リン化物、ハロゲン化物、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルおよびその組合せからなる群から選択され(2個のXは、縮合環または環系の一部を形成していてもよい)、
各R
8は、独立に、C
1−C
10アルキル基であり、
各R
9は、独立に、C
1−C
10アルキル基であり、
各R
10は、水素であり、
【0187】
各R
11、R
12およびR
13は、独立に、水素、または置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、ヘテロ原子、もしくはヘテロ原子含有基であり、
Tは、好ましくは式R
2aJによって表される架橋基であり、Jは、第14族の元素(好ましくはC、SiまたはGe)であり、
各R
aは、独立に、水素、ハロゲンまたはC
1−C
20ヒドロカルビルであり、
2個のR
aは、芳香族の、部分的に飽和の、または飽和の環式または縮合環系を含む環式構造を形成していてもよく、ただしさらに、任意の2個の隣接するR基は、縮合環または多中心性の縮合環系を形成していてもよく、その環は、芳香族であってもよく、部分的に飽和しているか、または飽和していてもよく、
ただしさらに、隣接するR
11、R
12およびR
13基のいずれかは、縮合環または多中心性の縮合環系を形成していてもよく、その環は、芳香族であってもよく、部分的に飽和しているか、または飽和していてもよい]、
または(vi)
【0189】
[式中、
Mは、ハフニウムまたはジルコニウムであり、
各Xは、独立に、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、水素化物、アミド、アルコキシド、スルフィド、リン化物、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルまたはその組合せからなる群から選択され、
各R
15およびR
17は、独立に、C
1−C
8アルキル基であり、
各R
16、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、R
27およびR
28は、独立に、水素であり、または1〜8個の炭素原子を有する置換もしくは非置換ヒドロカルビル基である]
8.活性化剤が、次式によって表される嵩高活性化剤である、パラグラフ6または7の方法。
【0191】
[式中、
各R
1は、独立に、ハロゲン化物、好ましくはフッ化物であり、
各R
2は、独立に、ハロゲン化物、C
6−C
20置換芳香族ヒドロカルビル基、または式−O−Si−R
a(式中、R
aは、C
1−C
20ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルシリル基である)のシロキシ基であり、好ましくはフッ化物またはC
6全フッ素置換芳香族ヒドロカルビル基であり、
各R
3は、ハロゲン化物、C
6−C
20置換芳香族ヒドロカルビル基、または式−O−Si−R
a(式中、R
aは、C
1−C
20ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルシリル基である)のシロキシ基であり、好ましくはフッ化物またはC
6全フッ素置換芳香族ヒドロカルビル基であり、
Lは、中性ルイス塩基であり、
Hは、水素であり、
(L−H)
+は、ブレンステッド酸であり、
dは、1、2または3であり、
アニオンは、1020g/molを超える分子量を有し、
B原子上の置換基の少なくとも3個は、それぞれ、250立方Åを超える、あるいは300立方Åを超える、またはあるいは500立方Åを超える分子体積を有する]
【0192】
9.嵩高活性化剤が、トリメチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、Ν,Ν−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、Ν,Ν−ジエチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トロピリウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、Ν,Ν−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、Ν,Ν−ジエチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、[4−t−ブチル−PhNMe
2H][(C
6F
3(C
6F
5)
2)
4B](式中、Phはフェニルであり、Meはメチルである)の少なくとも1つである、パラグラフ6または7の方法。
10.パラグラフ1〜5の高級オレフィンコポリマー、またはパラグラフ6〜9の方法によって生成された高級オレフィンコポリマーを含み、好ましくは潤滑剤ブレンドである組成物。
11.パラグラフ10の組成物の、潤滑剤としての使用。
【実施例】
【0193】
生成物の特性の決定
生成物の特性を、
1H NMR、GPCおよび
13C NMRによって以下の通り決定した。
【0194】
GPC
Mn、MwおよびMzは、示差屈折率検出器(DRI)を備えた高温サイズ排除クロマトグラフ(SEC、Waters Corporation製またはPolymer Laboratories製のいずれか)を使用することによって測定した。T. Sun, P. Brant, R. R. ChanceおよびW. W. Graessley, Macromolecules, Volume 34, Number 19, pp. 6812-6820 (2001)およびそれに引用された参考文献に記載されている実験の詳細を使用した。Polymer Laboratories PLgel製の3本の10mm Mixed−Bカラムを使用した。名目上の流速は0.5cm
3/分であり、名目上の注入体積は300μLであった。様々な移送ライン、カラムおよび示差屈折率計(DRI検出器)を、135℃に維持したオーブンに入れた。SEC実験のための溶媒は、抗酸化剤としてのブチル化ヒドロキシトルエン6グラムを、Aldrichの試薬グレード1,2,4トリクロロベンゼン(TCB)4リットルに溶解することによって調製した。次に、TCB混合物を0.7μmのガラスプレフィルターで濾過し、その後、0.1μmのTeflonフィルターで濾過した。次に、TCBを、オンライン脱気装置で脱気した後、SECに入れた。乾燥ポリマーをガラス容器に入れ、所望の量のTCBを添加し、次に混合物を持続的に撹拌しながら160℃で約2時間加熱することによって、ポリマー溶液を調製した。すべての量を、重量測定により測定した。ポリマー濃度を表すために使用したTCB密度(単位は質量/体積)は、室温で1.463g/mLであり、135℃で1.324g/mLであった。注入濃度は、1.0〜2.0mg/mLであり、高分子量の試料では低濃度を使用した。各試料を流す前に、DRI検出器および注入器をパージした。次に、装置内の流速を0.5mL/分に増大し、DRIを8〜9時間静置して安定にした後、最初の試料を注入した。クロマトグラムの各点における濃度cを、以下の等式を使用して、ベースラインを差し引いたDRI信号であるI
DRIから算出した。
【0195】
c=K
DRII
DRI/(dn/dc)
式中、K
DRIは、DRIの較正によって決定される定数であり、(dn/dc)は、その系の屈折率の増分である。TCBについては、135℃およびλ=690nmにおいて屈折率n=1.500である。本発明および添付の特許請求の範囲の目的では、プロピレンポリマーについては(dn/dc)=0.104であり、その他については0.1である。このSEC法の説明を通して使用されるパラメータの単位は、以下の通りである。濃度はg/cm
3で表し、分子量はg/molで表し、固有粘度はdL/gで表した。
【0196】
13C NMR
13C NMRデータは、100MHzの
13C周波数で120℃において収集した。すべての取得期間中、ゲーティングなしに掃引矩形波変調を使用する連続的な広帯域プロトンデカップリングにより、90度パルス、0.1〜0.12Hzのデジタル分解能を与えるように調整された取得時間、少なくとも10秒パルスの取得遅延時間を用いた。対象となる信号を測定するのに適した信号対ノイズレベルをもたらす時間平均化により、スペクトルを取得した。試料を、テトラクロロエタン−d
2に濃度10重量%〜15重量%で溶解した後、分光計磁石に挿入した。
データ分析の前に、TCE溶媒信号の化学シフトを74.39ppmに設定することによって、スペクトルを参照した。
【0197】
鎖末端を、量子化のために以下の表に示した信号を使用して同定した。n−ブチルおよびn−プロピルは、以下の表に示した鎖末端に対して存在度が低かったので(5%未満)報告しなかった。
【表2】
【0198】
1H NMR
1H NMRデータは、Varian分光計により250MHz、400MHzまたは500MHzの
1H周波数を使用して(特許請求の範囲の目的では、プロトン周波数400mHzを使用した)、5mmのプローブ内で、室温または120℃のいずれかで収集した(特許請求の範囲の目的では、120℃が使用されるべきである)。最大パルス幅45℃、パルス間隔8秒、および120の過渡応答の信号平均化を使用して、データを記録した。スペクトル信号を統合し、炭素1000個当たりの不飽和タイプの数を、異なる基ごとに1000を掛け、その結果を炭素総数で割ることによって算出した。Mnは、不飽和種の総数を14,000で割ることによって算出した。単位はg/molである。
【0199】
オレフィンタイプごとの化学シフト領域は、以下のスペクトル領域間にあると定義される。
【表3】
【0200】
粘度
粘度は、ブルックフィールドデジタル粘度計を使用して測定した。
例で使用したメタロセン
以下のメタロセンを、以下の例で使用した。
【0201】
【化53】
使用した活性化剤
以下の活性化剤を、以下の例で使用した。
【0202】
【表4】
【0203】
例1〜6の重合条件
重合グレードのプロピレンを使用し、以下の一連のカラムに通過させることによってさらに精製した。Labclear(Oakland、CA)製の2250ccのOxyclearシリンダー、その後Aldrich Chemical Company(St.Louis、MI)から購入した乾燥した3Åモルのふるいを充填した2250ccカラム、Aldrich Chemical Companyから購入した乾燥した5Åモルのふるいを充填した2個の500ccカラム、Coastal Chemical Company(Abbeville、LA)から購入したALCOA Selexsorb CD(7×14メッシュ)を充填した1個の500ccカラム、およびCoastal Chemical Companyから購入したALCOA Selexsorb COS(7×14メッシュ)を充填した1個の500ccカラム。
【0204】
重合グレードのヘキサンを、一連のカラムに通過させることによってさらに精製した。Labclear製の2個の500ccのOxyclearシリンダー、その後Aldrich Chemical Companyから購入した乾燥した3Åモルのふるいを充填した2個の500ccカラム、およびAldrich Chemical Companyから購入した乾燥した5Åモルのふるいを充填した2個の500ccカラムを使用した。
【0205】
捕捉剤および共触媒
トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)を、Akzo Chemicals,Inc.(Chicago、IL)から得、さらなる精製なしに使用した。トリn−オクチルアルミニウム(TNOAL)を、Akzo Chemicals,Inc.から得、さらなる精製なしに使用した。
【0206】
反応器の説明および準備
重合は、不活性雰囲気(N
2)のドライボックス内で、温度制御のための外部ヒーター、ガラスインサート(反応器の内部容積=22.5mL)、セプタム導入部、窒素、プロピレンの調節供給源を備え、使い捨てのPEEK(ポリエーテルエーテルケトン) 機械的撹拌機(800RPM)を備えた48 Cell Parallel Pressure Reactors(PPR)を使用して実施した。PPRは、乾燥窒素を用いて150℃で5時間パージし、次に25℃で5時間パージすることによって、重合のために準備した。
(例1)メタロセンEおよびFを用いるデセン−プロピレン、ヘキセン−プロピレンおよびデセン−ヘキセン−プロピレンの重合
反応器を、前述の通り準備し、次に1−デセンおよび/または1−ヘキセンを充填した。反応器を25℃に加熱し、次にプロピレンを反応器に充填した。次に、捕捉剤/共触媒の溶液を、プロセス温度およびプロセス圧力でシリンジを介して反応器に添加した。反応器をプロセス温度(85℃)に加熱し、800RPMで撹拌した。
メタロセン触媒を活性化剤と混合し、トルエン中、周囲温度および周囲圧力で撹拌し、それを溶液としてシリンジを介して反応器に添加して(プロセス温度およびプロセス圧力で)、重合を開始させた。溶液はシリンジを介して添加されるので、ヘキサン溶液もそれらの添加に従って同じシリンジを介して注入して、シリンジ内に最小量の溶液が残るようにする。この手順は、捕捉剤/共触媒溶液ならびに触媒溶液を添加した後に適用する。
プロピレンを、調整器の使用により所望の圧力にした反応器に入れ、重合中に滴下させた。実施中は圧力制御を用いなかった。反応器の温度をモニタし、一般に+/−1℃の温度範囲内に維持した。およそ50psi(345kPa)デルタの工業用空気を約60秒間添加することによって、重合をクエンチした。重合は、所望の重合時間が経過した後にクエンチされた。反応器を冷却し、ベントした。残りの反応成分を減圧下で除去した後、ポリマーを単離した。報告した収量には、ポリマーおよび残りの触媒の総重量が含まれる。収量を以下の表1Aに列挙する。
【0207】
【表5】
セル生成物のいくつかの分析データを、以下の表2Bに示す。
【0208】
【表6】
【0209】
実施A1、A2およびA5は、メタロセンEおよび活性化剤IIIを使用するプロピレンおよびヘキセンの共重合である。実施E1およびE4は、メタロセンFおよび活性化剤IIを使用するプロピレンおよびヘキセンの共重合である。本発明者らは、プロピレン含量の増大と同時にビニル(%)が増大したことを観測した。また、プロピレン供給量が減少すると、おそらくはより高い分子量のヘキセンが多く組み込まれることにより、Mnが増大することを観測した。
【0210】
実施B1、B3およびB6は、メタロセンEおよび活性化剤IIIを使用するプロピレン、ヘキセンおよびデセンのターポリマー重合である。実施F1およびF3は、メタロセンFおよび活性化剤IIを使用するプロピレン、ヘキセンおよびデセンのターポリマー重合である。この場合も同様に、プロピレン含量の増大と同時にビニル(%)が増大したことを観測した。また、プロピレン供給量が減少すると、おそらくはより高い分子量のヘキセンおよびデセンが多く組み込まれることにより、Mnが増大することを観測した。
【0211】
(例2)メタロセンEおよびGによるオクテン−プロピレンの共重合
溶液の実施を、以下の通り行った。まず、プロピレンを反応セルに添加し、次にオクテンおよびイソヘキサンを添加して、溶液の総体積を5.0mLにした。TNOALを、捕捉剤として濃度1Mで使用した。まず、活性化剤IIIのトルエン溶液を添加した後、メタロセンEまたはFの溶液を添加して、活性化剤とメタロセンの比を1:1にした。セルを85℃に加熱し、反応を1時間進行させた。空気を用いて反応をクエンチし、未反応モノマーを減圧下で除去した。セル生成物のいくつかの分析を、表2Bに列挙する。
【0212】
【表7】
セル生成物のいくつかの分析データを、以下の表2Bに示す。
【0213】
【表8】
(例3)デセン−プロピレンの重合(メタロセンE対メタロセンDの比較)
実施時間は60分であり、活性化剤対メタロセンの比=1:1、反応温度は85℃であり、TNOAL=1.2×10−4mol/Lであった。
【0214】
【表9】
セル生成物のいくつかの分析データを、以下の表3Bに示す。
【0215】
【表10】
(例4)デセン−プロピレンの重合(メタロセンEと比較用メタロセンA、BおよびCの比較)
本発明のものではないメタロセンA、BおよびCを、本発明のメタロセンEと比較した。実施時間は60分であり、活性化剤対メタロセンの比=1:1、反応温度は85℃であり、TNOAL=1.2×10−4mol/Lであった。
【0216】
【表11】
セル生成物のいくつかの分析データを、以下の表4Bに示す。
【0217】
【表12】
【0218】
(例5)活性化剤I〜IIIの比較
実施時間を、表6に示した通りに変更した。活性化剤対メタロセンの比=1:1、反応温度は85℃であり、MCN=5×10
-5mol/L、TNOAL=1.2×10
-4mol/Lであった。溶液の総体積は、5mLであった。
【0219】
【表13】
セル生成物のいくつかの分析データを、以下の表5Bに示す。
【0220】
【表14】
(例6および7)重合条件
無水トルエンをSigma Aldrich(Chicago、IL)から購入し、不活性雰囲気において4Åの分子ふるい上でさらに乾燥させた。
【0221】
ドライボックス内で、トルエン10mLを使用して、1/1.1当量比のメタロセン/活性化剤を溶解した。溶液を30分間撹拌した。次に、溶液5mLを触媒チャージャーに移した。
高級オレフィンコモノマー(5g)を、トルエン5mLに溶解し、シリンジに充填した。捕捉剤(TIBAL)(1M溶液0.5mL)をシリンジに充填した。
【0222】
反応器の準備
2LのZipperオートクレーブ反応器を、窒素パージしながら120℃で1時間ベーキングした。次に、反応器を持続的に窒素パージしながら室温に冷却した。イソヘキサンおよびプロピレンの供給ラインを反応器ラインに連結させ、供給ストリームを分子ふるい乾燥機(4Åの分子ふるい)に通過させた後、サイトグラスに充填した。
【0223】
反応器の稼動手順
メタロセン/活性化剤の溶液を含有する触媒チャージャーを、反応器の入口ポートに結合した。高圧窒素ラインをチャージャーに結合して、触媒を適切な時間に反応器内に放出させた。
反応器へのベントラインを閉じた。反応器から1ポンド未満の圧力を抜き、高級オレフィンコモノマーを、シリンジにより第2のポートを使用して反応器の底部に入れた。次に、同じポートを使用して、捕捉剤を反応器に充填し、ポートを閉じた。反応器への窒素ラインを閉じた。イソヘキサンを反応器に添加した後、プロピレンを添加した。撹拌装置を800rpmで開始させ、反応器を、必要なプロセス温度に加熱した。
反応器の圧力が、必要なプロセス温度で安定になると、触媒を、反応器圧力よりも40lb高い窒素圧力を用いて、反応器に押し入れた。チャージャーポートを反応器から遮断し、反応器ソフトウェアを作動させて、反応器内の圧力損失および温度変化をモニタした。反応器を、所望の実施時間にわたって稼働させた。ソフトウェアを停止させたら、反応器をRTに冷却し、圧力をベントした。生成物および溶媒の溶液を、反応器からガラスビーカーに注ぎ移し、溶媒を窒素パージによって除去した。
【0224】
(例6)粘度研究のためのヘキセンおよびプロピレンの共重合
高級オレフィン(ヘキセン/プロピレン)コポリマーを、表7Aに示した条件で生成した。ドライボックス内で、トルエン10mLを使用して、1/1.1当量比のメタロセンE/活性化剤III(10.7mg/24.1mg)を溶解した。TIBAL(1M溶液0.5mL)をシリンジに充填した。イソヘキサンの体積は、600mLであった。実施条件を、以下の表6Aに示す。
【0225】
【表15】
実施1および2のVT−HOC
6/C
3コポリマーの粘度を、VT−HOアタクティックC
3ホモポリマーと比較したものを、以下の表6Bに報告し、
図1に示す。
【0226】
【表16】
【0227】
(例7)ノルボルネンおよびプロピレンの共重合
触媒、ノルボルネンおよび捕捉剤の調製
ドライボックス内で、トルエン10mLを使用して、それぞれ1/1.1当量比のメタロセンG/活性化剤III(13.7mg/30.9mg)を溶解した。溶液を30分間撹拌した。次に、5mLの溶液(3mg)を、触媒チャージャーに移した。ノルボルネン(5g)をトルエン5mLに溶解し、シリンジに充填した。TIBAL(1M溶液0.5mL)をシリンジに充填した。イソヘキサンの体積は、300mLであった。
【0228】
【表17】
【0229】
任意の優先権書類、関連出願および/または試験手順を含む本明細書に記載のあらゆる文書は、このような実施を可能にするあらゆる管轄権の目的により、本文と矛盾しない限り、参照によって本明細書に組み込まれる。ただし、先願の出願または出願書類において名称を与えられていない任意の優先権書類は、参照によって本明細書に組み込まれない。これまで本発明の形態を例示し、記載してきたが、先の概要および具体的な実施形態から明らかになる通り、本発明の精神および範囲から逸脱しない限り様々な変更を加えることができる。したがって、本発明はこれらの概要および実施形態によって制限されないものとする。同様に、用語「含む(comprising)」は、オーストラリア法の目的では、用語「含む(including)」と同義とみなされる。同様に、組成物、元素、または元素群に、移行句「含む」が先行している場合はいつでも、その組成物、元素または複数元素の列挙に先行する移行句「から本質的になる」、「からなる」、「からなる群から選択される」または「である(is)、」を伴う同じ組成物または元素群も企図され、また逆の場合も同じであることを理解されたい。