(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記把持手段(6)が、前記外側表面(9)に形成されるとともに、前記底部(4)の近位にある第1の領域で第1の角度で延び、かつ前記頂部(3)の近位にある第2の領域で第2の角度で延びる凸面(20)を少なくとも1つ備え、前記把持手段(6)及び前記本体(2)の両方を横断する軸に対して平行である軸に対してなす前記第1の角度が、前記第2の角度よりも大きい、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吹込成形物品(1)。
前記把持手段(6)が、前記把持手段(6)及び前記本体(2)の両方を横断する軸に対して平行に延びる対称線(21)に対して対称であり、前記遷移表面(7)が少なくとも1つの凹部(22)を形成し、所望により、前記凹部(22)と前記対称軸(21)との間の角度θが40°〜50°である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吹込成形物品(1)。
前記把持手段(6)が、2つの最内表面(23、23’)を備え、前記把持手段(6)は、前記2つの最内表面(23、23’)の頂点が前記把持手段(6)及び前記本体(2)の両方を横断する軸に平行な方向に軸方向にずれるように位置付けられた、2つの非対称半閉鎖性陥凹部(24、24’)を形成する、請求項1〜9に記載の吹込成形物品(1)。
前記2つの最内表面(23、23’)が、前記把持手段(6)及び前記本体(2)の両方を横断する軸及びこれらに対して垂直である軸に平行な方向に軸方向にずれて配置される、請求項11に記載の吹込成形物品(1)。
【背景技術】
【0002】
成形物品の上に一体型ハンドルを形成することは非常に望ましく、その技術には、このようなハンドルによってもたらされる特有の問題を解決するための試みが多数含まれており、他よりも成功を収めている。一体成形されたハンドルは、概ね製造費用が安く、例えば、クリップ式ハンドルと比較して耐久性が高い。このようなハンドルを製造するための多数の方法が開示されているが、最も成功しているのは、物品の本体に対向する陥凹部又は空洞を形成して、ハンドルの構造的基盤を形成する方法であった。陥凹部は、次いで共に溶接され、溶接部によって包囲される中央区分は、指及び/若しくは親指を挿入して通すことができる、完全に開放された空間(「貫通」ハンドル)を形成するように除去することができるか、又は別の方法としては、簡単に把持部(「非貫通」ハンドル)を形成するために残されるかのいずれかであり得る。
【0003】
一体型ハンドルの人間工学性の向上について多数の研究が行われてきた。詳細には、溶接の除去という費用の高い製造工程、並びに材料費及びこのような「貫通」ハンドルを備える物品の移動に付随する物流費など他の欠点を有さずに、「貫通」ハンドルに匹敵する人間工学的設計を有する一体型ハンドルを製造するための研究が行われてきた。
【0004】
1つの方法は、対向し、互いから離間されている2つのフックを製造するなど、通常、ユーザーの手のひらと接触するであろうハンドルの表面を本質的に除去することである。したがって、ユーザーは、親指及び人さし指で上フックを把持し、小指で下フックを把持することになるだろう。このような方法の例は、米国特許第4368827号に例示されている。このような方法の欠点は、当業者には明らかであり、実際、この構造は、ユーザーの手首への過度の負担及び物品の全重量を支えるユーザーの指への不快感だけではなく、多数のボトルが互いに引っ掛かり、これらを分離するために何らかの操作が必要になり得るという製造ライン上の欠点をももたらす。
【0005】
より成功を収めた方法は、内側に移動するプラグが容器本体に陥凹部を製造して一体型ハンドルを形成する、変形工程を含むプロセスによって「非貫通」ハンドルを製造することであった。2つの対向し、かつ離間した陥凹領域が製造されて、ユーザーの指を受け入れる。このような方法の例は、国際公開第2006/084214号に例示されている。この方法は、製造費及び物流費に関して利点をもたらすが、それでもなお、必要な人間工学性に欠けている。
【0006】
このような問題を解決するための試みは、保持手段の把持部の外周に特に注意を払いつつ、所定の把持部設計を有する「非貫通」ハンドルを製造するために上述のプロセスを適合させることであった。このような方法の例は、欧州特許第2103413号に例示されている。しかし、それでもなお、「非貫通」ハンドルの多くの利点を獲得しつつも、「貫通」ハンドルの快適性を実現するために、最適な人間工学性を備える「非貫通」ハンドルを有する物品に対するニーズは存在する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用される「人間工学性又は人間工学的」という用語は、機能、又は互いに相互作用する複数の機能がユーザーの労力及び不快感を最小化するように設計されていることを意味する。
【0013】
本明細書で使用される「z軸」は、物品の中心線である。
【0014】
本明細書で使用される「x軸」は、z軸に対して垂直であり、物品の把持手段及び本体の両方に実質的に平行である。
【0015】
本明細書で使用される「x−y」平面は、z軸に対して実質的に垂直である平面である。
【0016】
本明細書で使用される「x−z」平面は、z軸に実質的に平行であり、物品の把持手段及び本体の両方を横断する軸に実質的に平行な1つの側面を有する平面である。
【0017】
本明細書で使用される「丸みを帯びた断面」という用語は、鋭角を持たない、連続的かつ平滑な輪郭を有する断面である。
【0018】
本明細書で使用される「凹状」という用語は、表面が内側(つまり、z軸方向)に丸く曲げられて、鋭角を持たない丸みを帯びた表面を形成することを意味する。
【0019】
本明細書で使用される「非貫通ハンドル」という用語は、少なくとも物品の一部に少なくとも1つの半閉鎖性陥凹部を形成するハンドルである。
【0020】
本明細書で使用される「半閉鎖性陥凹部」という用語は、1つの開口部のみを有し、すべての他の側面が閉鎖されている陥凹部である。該開口部は、物品の把持手段の最内表面からそこに直交する方向に延びている。
【0021】
本明細書で使用される「一体型又は一体化」という用語は、単一の部品を形成すると見なされる特徴又は要素である。このような特徴及び要素も単一部品として形成される。
【0022】
「把持又は把持位置」という用語は、ユーザーが、z軸に対して実質的に垂直である軸の周りで回転させることができる手の位置を指す。
【0023】
「持ち上げ又は持ち上げ位置」という用語は、ユーザーが、重力に反して、z軸に実質的に平行な方向に物品を持ち上げるときの指の位置を指す。この位置においてユーザーは、一体型把持手段の少なくとも一部に少なくとも2本の指(通常、親指及び人さし指)を快適に配置する。少なくとも一部とは、通常、把持手段の上端部である。
【0024】
本明細書で使用される「主把持位置」という用語は、該把持手段を把持したときのユーザーの人さし指及び親指の位置と一致する、物品の把持手段上の位置を指す。該主把持位置は、把持手段の上端部の近位に配置される。
【0025】
本明細書で使用される「プリフォーム」という用語は、膨張させて完成した物品を形成する前に生成される、成形された要素である。プリフォームは、必然的に、完成した吹込物品よりも幾分小さい。プリフォームは、一般に、例えば、溶解温度を超える高温での射出成形によって生成される。
【0026】
本明細書で使用される「延伸吹込成形」という用語は、プリフォームがそれらのガラス転移温度を上回るまで加熱され、次いで、高圧媒体、好ましくは空気を使用して金型中に吹込まれて、容器のような中空の物品を形成する方法である。通常、プリフォームは、方法の一部として、延伸ロッドを用いて延伸される。
【0027】
本明細書で使用される「再生利用」材料は、消費者使用後再生利用(PCR)材料、産業使用後再生利用(PIR)材料、及びそれらの混合物を包含する。
【0028】
本明細書で使用される「リグラインド」材料は、破砕又は造粒によって回収された、スプル、ランナ、過剰のパリソン材料、並びに射出成形や吹込成形及び押出し操作からの不良品のようなサーモプラスチック廃棄材料である。
【0029】
本明細書で使用される接頭辞「バイオ(bio-)」は、再生可能資源に由来した材料を指定するように使用される。
【0030】
本発明は、人間工学的な一体型ハンドル、より詳細には非貫通ハンドルを備える吹込成形物品を目的とする。
【0031】
物品
本発明による物品は、容器、装置、ハンドル、器具、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。好ましい物品は、多様な分野において使用するための容器である。そのような分野の非限定的例としては、ボディーソープ、シャンプー、及びコンディショナー用の容器のような美容製品;織物及び/若しくは硬面を洗浄する及び/若しくは調湿するための洗剤若しくは他の洗浄調製物用の容器のような、家庭内及び/又は家庭用製品、マウスウォッシュ用の容器のような口腔ケア製品等がある。
【0032】
好ましい容器は、少なくとも1.5リットル、好ましくは少なくとも2リットル、より好ましくは2リットル〜5リットル、更により好ましくは2リットル〜4リットル、最も好ましくは2〜3リットルの液体組成物、固体組成物、ゲル組成物、及びこれらの混合物からなる群から選択される物質を収容する大きさの容器である。好ましくは、該組成物は洗剤組成物である。
【0033】
本発明による物品は、任意の好適なプラスチック樹脂材料で作製され得る。本発明において使用するのに好ましいプラスチック樹脂材料は、ポリオレフィン(PP及びPEのような)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ乳酸(PLA)又はポリエチレンテレフタレート(PET)であり得る。一実施形態では、プラスチック樹脂材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。あるいは、本発明による物品は、再生可能材料、再生材料、リグラインド材料、及びこれらの混合物からなる群から選択される持続可能な材料で作製されてもよい。
【0034】
「再生可能材料」の例としては、バイオポリエチレン、バイオポリエチレンテレフタレート、及びバイオポリプロピレンが挙げられる。本明細書で使用されるとき、特に明記しない限り、「ポリエチレン」は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、及び超低密度ポリエチレン(ULDPE)を包含する。本明細書で使用されるとき、特に明記しない限り、「ポリプロピレン」は、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、及びブロックコポリマーポリプロピレンを包含する。
【0035】
図1a、1b、及び2を参照すると、本発明による物品(1)は、頂部(3)及び底部(4)を有する本体(2)と、該頂部(3)の近位にある開口部(5)と、通常、人間工学的であって、該本体(2)の少なくとも片側に一体的に配置され、該頂部(3)と該底部(4)との間に位置付けられた把持手段(6)と、を備える。把持手段(6)は、少なくとも1つの最内表面(8)と、1つの外側表面(9)と、少なくとも1つの遷移表面(7)と、を備える。遷移表面(7)は、最内表面(8)と外側表面(9)との間に位置付けられる。少なくとも1つの半閉鎖性陥凹部(10)を形成する把持手段(6)は、外側表面(9)と本体(2)との間に位置付けられる。
【0036】
図3bを参照すると、把持手段(6)の断面は、半径「r」が少なくとも1つの遷移表面(7)と外側表面(9)との間に形成されるように丸みを帯びており、半径「r」は7.5mm超、好ましくは10mm、より好ましくは15mm超、更により好ましくは18mm超、最も好ましくは10mm〜20mmである。このような半径「r」は、ユーザーによる把持手段(6)の快適な把持に寄与し、物品持ち上げ位置から物品把持位置への転移を支援する。理論に束縛されるものではないが、このような半径を導入することにより、ユーザーの手の上に生じる圧迫点を減少させ、したがって、把持快適性及び該転移の容易さを向上できると考えられる。
【0037】
図3aを参照すると、把持手段(6)の最大幅「w」は50mm〜60mm、好ましくは50mm〜55mmである。このような幅「w」は、ユーザーによる把持手段(6)の快適な把持に寄与する。理論に束縛されるものではないが、把持手段(6)の最大幅(つまり、全幅)は、ユーザーが自然かつ快適な方法で物品を把持できるようにするために重要であると考えられる。全幅が小さすぎる場合、把持手段(6)とユーザーの手のひらとの境界面での接触領域が限定され、ユーザーの指が把持手段(6)をしっかり把持できなくなり、ユーザーの手首に負担をもたらす場合がある。一方、大きすぎる場合、ユーザーは、指に過度の負担がかかるであろう。更に、60mmを超える全幅は、物品の持ち上げと物品の把持との間の転移をより困難にするであろう。これは必然的に、消費者が持ち上げ可能な重量にも影響し、したがって物品の寸法及びその内容物に影響する。
【0038】
図4を参照すると、把持手段(6)は、本体(2)の頂部(3)及び底部(4)を横断する軸(すなわち、z軸)から50°以上、好ましくは60°以上、より好ましくは70°以上、最も好ましくは75°以上の角度「a」で延びる、かつ/又はこの軸の周りに延びる上面(11)を備える。通常、角度「a」は、本体(2)の頂部(3)の近位にあり、本体(2)の底部(4)の遠位にある、該軸の頂部から測定される。理論に束縛されるものではないが、十分に傾斜した上面(11)は、ユーザーが、該表面(11)の一部を固定し、そこに引っ掛けることができ、それと同時に、ユーザーの指によって加えることが必要な圧力の量を減らす必要な支持力を提供できるようにすると考えられる。しかし、傾斜が高すぎる場合(すなわち、「a」角度が低い場合)、ユーザーの指は滑る傾向にあり、物品を持ち上げるために加えることが必要な圧力は大きくなる。
【0039】
図3a及び4を参照すると、把持手段(6)は、把持手段(6)及び本体(2)の両方を横断する軸に実質的に平行に延び、かつ/又は本体(2)の頂部(3)及び底部(4)の両方を横断する軸に実質的に平行に延びる、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの最内表面(8)を有してもよい。ある好ましい実施形態では、把持手段(6)は、把持手段(6)及び本体(2)の両方を横断する軸に実質的に平行にそれぞれ延び、かつ本体(2)の頂部(3)及び底部(4)の両方を横断する軸に実質的に平行に垂直にそれぞれ延びる、2つの最内表面(8)を備える。
【0040】
ある好ましい実施形態では、把持手段(6)は、指が把持手段(6)の最内表面(8)に触れずに、ユーザーが物品(1)を把持できるような寸法である。ある実施形態では、最内表面(8)の頂点と該外側表面(9)上の遠位端(12)との間の距離「d」は、0mm〜60mm、好ましくは10mm〜50mm、より好ましくは15mm〜40mm、更により好ましくは20mm〜35mm、更により好ましくは20mm〜30mm、更により好ましくは25mm〜29mm、最も好ましくは20mm〜27mmである。この構造により、ユーザーの指が最内表面(8)に押し付けられないようにし、したがって貫通ハンドルの快適性という利点を実現するように、最大限大きい深さを生み出すことができる。理論に束縛されるものではないが、このような構造は、ユーザーが快適かつ強力な把持を適用できるようにし、したがって、より大きい、及び/又はより重い物品の持ち上げ及び把持を可能にすると考えられる。
【0041】
図2を参照すると、把持手段(6)は、主把持位置(13)を備えてもよい。主把持位置(13)は、満量状態で測定された、本体(2)の底部(4)からの重力中心の高さの1.3〜1.6倍、好ましくは1.4倍である高さ「H」にある。本明細書における「満量状態」とは、物品に収容された液体によって物品の総内部容積の85%〜95%、好ましくは88%〜93%、より好ましくは90〜93%が充填されていることを意味する。この構造により、ユーザーによってもたらされる分配動作中の物品(1)の軸の回転を、満量及び/又は半使用済み状態の該物品(1)の重力中心に最大限に近づけることができる。次にこれは、重力中心が回転の軸からずれている場合、特に物品がその最重量時に生じ得る更なるトルクをユーザーの手首が経験しないため、手首への負担に関する利点をもたらす。理論に束縛されるものではないが、この構造はすべてのトルクを減じ、更には実質的にトルクを排除するようにし、これはつまり、ユーザーの手首が経験する唯一の実質的な力が物品の重量によって生じた力であることを意味すると考えられる。
【0042】
図5を参照すると、把持手段(6)は、上端部(14)と、下端部(15)と、2つの側端部(16、16’)と、を備えてもよい。上端部(14)は、物品(1)の本体(2)の頂部(3)の近位に配置されてもよく、下端部(15)は、底部(4)の近位に配置されてもよい。2つの側端部(16、16’)は離間されていて、半閉鎖性陥凹部(10)の開口部を形成してもよい。
【0043】
図3a〜3cを参照すると、把持手段(6)は、最内表面(7)、外側表面(8)、及び遷移表面(9)のすべてを合わせて形成される把持部の全周(17)を有してもよい。ある実施形態では、把持部の外周(17)は、把持手段(6)及び本体(2)の両方を横断する軸に実質的に平行に延びる平面に沿って測定される。好ましくは、該把持部の全周(17)は、少なくとも190mm、好ましくは196mm超である。理論に束縛されるものではないが、最適な把持手段(6)の人間工学的形状は、半閉鎖性陥凹部(10)の三次元特徴に応じて異なる。究極的には、把持部の外周(17)が単一の次元における基本的な形状を画定することが判明している。把持部の外周が190mm未満の場合、ユーザーの自然な把持位置は歪められ、ユーザーの指は、おそらく把持手段の側端部の少なくとも1つの表面に抵触するであろう。
【0044】
図6を参照すると、上面(11)は、少なくとも1つ、好ましくは2つの最外端部(18)を備えてもよい。ある実施形態では、上面(11)は、本体(2)の頂部(3)及び底部(4)の両方に対して垂直である軸(y軸に平行)並びに把持手段(6)及び本体(2)を横断する軸に沿って軸方向にずれる、2つの最外端部(18、18’)を備える。最外端部(18、18’)は、該頂部(3)及び/又は該底部(4)からの距離が該最外端部(18、18’)の両方にとって同一であるように位置付けられてもよい。ある実施形態では、該最外端部(18、18’)は、把持手段(6)の上端部(14)上に上面端部(19、19’)を形成する。ある実施形態では、該上面端部(19、19’)は、15mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは0mm超かつ10mm未満、更に好ましくは2mm〜4mmの半径「R」を形成するように形成される。このような実施形態は、物品の荷重の一部が移転され、ユーザーの指関節の少なくとも一部に対する支持体をもたらす端部を設けるという利点を有する。理論に束縛されるものではないが、このような支持体は、指によって加えられる圧力の量を減らし、したがって、全体的な把持快適性に寄与すると考えられる。このような端部は、物品の持ち上げを支援するフックの形成にも寄与すると考えられる。更に、このような端部は、人間工学的特徴の視認にも寄与すると考えられる。
【0045】
好ましい実施形態では、半閉鎖性陥凹部(10)は細長い形状であってもよい。半閉鎖性陥凹部(10)は、その最長長さ(つまり、最長寸法)に沿って測定した場合、少なくとも90mmの高さを有してもよい。この構造の利点は、物品の内容物が使用され、重力中心が変化したときに、把持手段(6)の人間工学的な利点を著しく損なうことなく、新しい重力中心の近くに手を再配置するために手の位置を移行できるように、手により多くの空間が与えられることである。
【0046】
図1a及び2を参照すると、把持手段(6)は、好ましくは実質的に連続的なアーチ状の輪郭に沿っており、外側表面(9)の少なくとも一部の上に及び/又はこれに沿って形成され、本体(2)の底部(4)の近位にある第1の領域で第1の角度で延び、本体(2)の頂部(3)の近位にある第2の領域で第2の角度で延びる、少なくとも1つの凸面(20)を備えてもよい。好ましくは、把持手段(6)及び本体(2)の両方を横断する軸に対して実質的に平行である軸から時計回りになす第1の角度は、第2の角度よりも大きい。第1の角度は、80°〜95°、好ましくは85°〜90°、より好ましくは90°であってもよく、第2の角度は、45°〜90°、好ましくは65°〜85°、好ましくは60°〜80°、より好ましくは70°〜75°、より好ましくは75°である。この実施形態では、凸面(20)は、分配するための回転時にユーザーの手のひらを適切に支持し、また、持ち上げ位置から把持位置への転移を容易にする、角度の付いた輪郭をもたらす。
【0047】
図3a及び3bを参照すると、把持手段(6)は、把持手段(6)及び本体(2)の両方を横断する軸に平行に延びる対称線(つまり、対称軸)(21)に対して対称であってもよい。遷移表面(7)は、少なくとも1つの凹部(22)を形成してもよく、所望により、凹部(22)と対称軸(21)との間の角度θは、35°〜60°、好ましくは40°〜50°、最も好ましくは45°である。この実施形態では、把持手段(6)は、好ましくは2つの半閉鎖性陥凹部(10)と、2つの最内表面(8)と、を備え、それぞれ対称軸(21)に対して対称である。
【0048】
図7を参照すると、把持手段(6)は非対称であってもよく、2つの最内表面(23、23’)を備え、2つの最内表面(23、23’)の頂点が把持手段(6)及び本体(2)の両方を横断する軸に平行な方向に軸方向にずれるように位置付けられた、2つの非対称半閉鎖性陥凹部(24、24’)を形成する。2つの最内表面(23、23’)は、把持手段(6)及び本体(2)の両方を横断する軸及び/又はこれらに対して垂直である軸に平行な方向で軸方向にずれて配置されてもよい。このような構造により、より大きい凹部深さを備える把持手段(6)を形成して、ある半閉鎖性陥凹部から別の半閉鎖性陥凹部へとつながる開口部は存在しないものの、ユーザーが指を把持手段(6)に巻きつけることができるという点で、貫通ハンドルと同等の人間工学的利点をもたらすことができる。更なる利点は、このような構造では、ユーザーが把持手段(6)の上端部(14)をすべての指及び関節の上面に置くことができ、したがって、ユーザーが必要とする把持するための労力が少なくなる。
【0049】
好ましい実施形態(図示なし)では、物品は、1つ以上、好ましくは2つの非対称把持手段を備え、好ましくは、該非対称把持手段の1つは、他方の重ね合わせ不能な鏡像である。好ましい実施形態では、非対称把持手段は、物品の2つの反対端部に配置される。あるいは、非対称把持手段の1つが他方の上に位置付けられてもよい。あるいは、非対称把持手段は、上記の位置が組み合わされるように位置付けられてもよい。これらの構造は、ユーザーが、左手若しくは右手のいずれか及び/又は同時に両手で物品を把持できるという利点を有する。これは、典型的に3リットルよりも大きい物品で特に望ましくなる。
【0050】
好ましい実施形態では、ユーザーの指に滑らない表面をもたらすように、該把持手段(6)の少なくとも1つの部分が非平坦化される。ある実施形態では、滑らない表面をもたらすように、最内表面(8)、及び/又は外側表面(9)、及び/又は該遷移表面(7)の少なくとも一部が非平坦化される。この触感は、リブなど接触表面積を増加させる物理的特徴、及び/又は好適な基材の接着など表面特性の変化、収縮スリーブ、触覚面を有する/有さないラベル、直接的な物体印刷、並びにこれらの組み合わせによってもたらされてもよい。
【0051】
好ましい実施形態では、物品(1)は、把持手段(6)の近位に配置され、該把持手段(6)の人間工学的特徴の位置を視覚的に示すしるし(図示なし)を備える。好適なしるしは、着色、表面の手触り、ラベル、収縮スリーブ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。好ましいしるしは、樹脂中の染料及び/又は顔料及び/又は色材など一群のバルク着色、直接的な物体の着色印刷、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される着色である。理論に束縛されるものではないが、認識された人間工学性は、人間工学的特徴の成功を判断するうえで重要な要素である。その形状と組み合わせて、特徴の触覚的利点を視覚的に支援することは、向上した消費者の反応を引き出すことが判明している。別の利点は、ユーザーが把持すべき把持手段(6)の部分を迅速に識別できることである。
【0052】
方法
本発明による物品は、吹込成形、熱成形、射出成形、及びこれらの組み合わせなど任意の好適なプロセスによって作製される。好ましくは、本発明の物品は、吹込成形プロセスによって作製される。
【0053】
吹込成形は、容器、燃料タンク、ハンドル等のようなプラスチック物品の製作のための、周知の製造方法である。吹込成形工程は、プラスチックを溶解させ、それをパリソン又はプリフォームへと形成することから始まる。パリソン又はプリフォームは、次いで、成形型の中に固定され、次いで、加圧媒体(通常は空気)がその中に吹込まれるか、又は吸い込まれる。空気圧力は、プラスチックに、金型の周辺の外形に整合するよう強いる。一旦、プラスチックが冷却し、硬化すると、金型が開き、部品が排出される。
【0054】
吹込成形プラットホームの次の3つの主要な型が存在する:押出し吹込成形(EBM)、射出吹込成形(IBM)及び延伸吹込成形(SBM)。いくつかの適用では、形成されるべき物品の特性及び複雑性に応じて、射出延伸吹込成形(ISBM)のような、上述の吹込成形プラットホームの組み合わせがより適切であり得る。
【0055】
好ましい実施形態では、本発明による物品は、押出吹込成形、射出吹込成形、延伸吹込成形、及びこれらの組み合わせによって、好ましくは射出延伸吹込成形によって形成される。
【0056】
本発明による物品を製造するために好適なプロセスは、2009年9月24日公開の米国特許出願公開第2009/0236776号(段落0034〜0052)に記載されており、その内容を参照により本明細書に組み込んだものとする。
【0057】
様々な幅「w」を有する「非貫通」ハンドルの人間工学的評価
PA(ポリアミド)での焼結プロセス及びプラスタでの充填によって対称及び非対称「非貫通」ハンドルを調製する(合計で60個の対称ハンドル及び18個の非対称ハンドル)。60個の対称ハンドルのうち、(
図8に図示されるように)合計12種類の異なる形状を作製する。12種類の異なる形状のそれぞれについて、5種類の寸法を作製し、幅「w」を変化させる。各形状の幅「w」は、40mm、50mm、60mm、70mm、又は80mmである。同様に、18個の非対称ハンドルのうち、(
図8に図示されるように)合計6種類の異なる形状を作製する。6種類の異なる形状のそれぞれについて、3種類の寸法を作製し、幅「w」を変化させる。各形状の幅「w」は、40mm、60mm、又は80mmである。すべてのハンドルの重量は669グラム(±19g)であり、白色のプラスチックシートで被覆して、PETボトルの手触りを再現する。
【0058】
(
図9に図示されているように)異なるボトルの寸法及び形状をシミュレーションするために、調節可能な試験装置を作製する。合計14個の荷重試験装置を使用し、装置変換重量を使用して、2リットル、2.5リットル、3リットル、3.5リットル、又は4リットルの容量のボトルをシミュレーションする。
【0059】
様々な手の寸法、形状、指の爪の長さ、及び握力、並びに多様な年齢(19歳〜70歳)を有するように選択された12人で構成される、専門官能試験員を使用する。この選択は、手の長さ、手の幅、指の把持径、正方形縁部の把持、握力、及び身長など身体測定値に基づいている。
【0060】
各官能試験員には、各ハンドルの試験を行い、持ち上げ、注ぎ、及び快適性に基づいた全体的に好ましい把持に関して好ましいハンドルを選択するように依頼する。持ち上げは、高い棚及び低い棚、並びにテーブルの高さから行う。各ハンドルは、各荷重試験装置を使用して試験する。各荷重試験装置に対して、各官能試験員は好ましいハンドルを選択し、その選択内容を記録する。
【0061】
図10は、対称ハンドル及び非対称ハンドルの両方に対するこの試験の結果を説明する。このグラフは、試験を行ったすべての形状及び荷重試験装置の中で特定の幅「w」を有するハンドルに対する官能試験員の選好の総割合(%)を示している。
【0062】
図11は、各荷重試験装置に対する幅「w」の対称ハンドルに対する官能試験員の選好の総割合(%)を示している。
【実施例】
【0063】
(実施例1)
標準的なPET樹脂(Equipolymer C88、IV=0.76dl/g)のプリフォームを65℃の型温で延伸吹込成形して、3Lのボトルを形成する。同一機械内での直接容器搬送により、吹込空洞から第2の空洞に得られた中間容器を搬送する。中間容器の把持領域は、40〜60℃の温度に維持した。中間容器の第2の空洞を2MPa(20バール)まで加圧し、ステッピングモーター制御のピストンを使用して把持部を形成する。ピストンは、最終的な把持部の形状と一致している。ピストン及び第2の空洞を6℃で冷却する。把持部が室温(21℃)に達したら容器を通気させ、次いで取り出す。
【0064】
表1は、実施例1のプロセスで作製した容器の寸法を示す。
【0065】
【表1】
【0066】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。