特許第5739064号(P5739064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5739064皮膚接触要素を有するかみそりカートリッジ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5739064
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】皮膚接触要素を有するかみそりカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B26B 21/22 20060101AFI20150604BHJP
   B26B 21/14 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   B26B21/22 Z
   B26B21/14 A
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-517106(P2014-517106)
(86)(22)【出願日】2012年6月20日
(65)【公表番号】特表2014-524790(P2014-524790A)
(43)【公表日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】US2012043211
(87)【国際公開番号】WO2012177677
(87)【国際公開日】20121227
【審査請求日】2013年12月18日
(31)【優先権主張番号】11170574.5
(32)【優先日】2011年6月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593093249
【氏名又は名称】ザ ジレット カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】オリバー、デイビッド、オグレスビー
(72)【発明者】
【氏名】マーク、ピーターソン
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−511682(JP,A)
【文献】 特表2012−504033(JP,A)
【文献】 特表平09−511939(JP,A)
【文献】 特表2007−525310(JP,A)
【文献】 特表2008−543374(JP,A)
【文献】 特表2013−514145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/00 − 21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かみそりカートリッジであって、
a)ハウジング(19)と、
b)前記ハウジングの前部に位置するガード(16)と、
c)前記ハウジングの後部に位置するキャップ(17)と、
d)前記ハウジング内の前記ガードと前記キャップとの間に配設される2枚以上のかみそり刃(12)と、
e)前記かみそり刃のうちの2枚の間で前記ハウジングを横切って延びる皮膚接触要素(14、50)であって、かみそり刃要素を含んでいない皮膚接触要素と、
f)前記皮膚接触要素の基部(52)から延び、それぞれが皮膚接触面(54)を有し、かつ前記皮膚接触要素の長さに沿って離間配置される複数の突出部(51)であって、隣接する突出部の間に最大で2mmまでのピッチ(53)が存在し、前記皮膚接触面は、前記ピッチの最大で35%まで延びる幅(w)を有する、という突出部(51)と、
を備えるかみそりカートリッジ。
【請求項2】
前記皮膚接触要素は、15〜150個の突出部を含む、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項3】
前記皮膚接触面の幅(w)が、0.10mm〜0.70mmである、請求項1又は2に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項4】
前記皮膚接触面の幅は、前記ピッチの最大で25%まで延びている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項5】
隣接する突出部の間にスロット(55)を備え、当該スロットは、0.19mm〜1.3mmの幅を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項6】
各突出部は、0.3mm〜2.5mmの奥行きを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項7】
前記突出部は、最大長さ0.3mmまでの湾曲区分(59)を含み、前記突出部は、前記上面(58)上に最大長さ0.6mmまでの実質的に平らな部分を備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項8】
2枚の隣接するかみそり刃先の間の距離が1.0mm未満である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項9】
前記突出部は、0.25mm〜1.00mmの高さを有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項10】
前記皮膚接触要素の後ろの前記かみそり刃の接線角度(48)が、25度〜40度の範囲である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項11】
前記皮膚接触要素の前後にリンス通り抜けギャップ(23)が設けられている、請求項1〜10のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項12】
前記皮膚接触要素は、支持要素(15)を介して、前記ハウジング内に配置されている、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項13】
かみそり刃が前記支持要素(15)から延出していない、請求項12に記載のかみそりカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は剃毛かみそりに関し、より詳細には、2枚のかみそり刃の間に配設された皮膚接触要素を有する剃毛かみそりカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、市場に出回っているウェットシェービング用の多数のかみそりは、ハンドルに操作可能に結合されたかみそりカートリッジ内に1枚以上のかみそり刃(多くは3枚〜6枚のかみそり刃を有する)を有し、一部のかみそりは使い捨てであり、一部のかみそりは再使用可能なハンドルを有する。複数枚のかみそり刃を有するかみそりカートリッジが、例えば、2005年2月24日に公開された米国特許公開第2005/0039337A1号に記載されており、そのようなかみそりカートリッジが、ジレット社によって5枚刃のフュージョン(商標)かみそりとして商品化されてきた。
【0003】
複数枚のかみそり刃は深剃りを改善するが、一般に、いくつかの性能上の問題を依然として生じ得る。第1に、何らかの不快感が剃毛の間にユーザーに実感され得る。第2に、見逃される毛があること、及び首などの問題の多い領域を剃毛する際の難しさが原因で、剃毛は依然として、比較的緩慢でかつ非効率的なプロセスである。剃毛する人の多くは、毛の大半が切断されているにもかかわらず、相当な量の毛が見逃されていることを認識している(例えば、毛が全く切断されない、あるいは毛が皮膚の近くで又は皮膚線にて切断されないこと)。
【0004】
加えて、いくつかの領域(例えば、首、顎、及び/又は顔)は特に剃毛が困難であることが示されてきた。これらの領域は一般に、多くの場合に種々の方向付けられる、低く横たわる毛を有している。これらの低く横たわる毛は、皮膚に対して近接するか、密接するか、あるいは同じ高さをなし得る。多くの事例において、ユーザーは、切断されていないかあるいは十分に皮膚に近接して切断されていない毛を切断しようと試みて、同じ領域を繰り返し剃毛しなければならず、結果として、皮膚の刺激を増大させることになる。
【0005】
この不快な状況は、特に3枚以上の鋭いかみそり刃先を有するカートリッジにおいて、刃の枚数及び鋭さが増すこと、並びに皮膚に対する力又は負荷が累積されることに起因し得るものである。
【0006】
安全性と接近性を維持すると同時に不快感を軽減しようと試みる従来技術の解決策は、いくつかの属性の中でも特に、しばしばかみそり刃先端部スパンと呼ばれる、かみそり刃の先端部同士の縮小されたスパンを与えるものである。そのような縮小は一般に、かみそり刃同士の間における皮膚の突き出しを低減することによって、より良好な皮膚の管理をもたらすことが一般に知られているが、スパンが狭くなるとかみそり刃間のリンス通り抜けギャップの寸法が減じられるので、かみそり刃間に存在する、切り取られた髪、皮膚の粒子、シェービングクリーム、及び/又は他の細片の水洗能力が低下することも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許公開第2005/0039337A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かみそり刃荷重を低減することにより不快感を軽減することに対する従来技術の代替的な解決策は、かみそり刃の枚数を増やすことであった。従来技術の応用例は、かみそり刃に取り付けられた追加のかみそり刃又は要素を取り入れている。しかしながら、こうした追加のかみそり刃又は要素は、かみそり刃が毛に噛み合うときに毛が最適な切断位置からずれるように、毛と相互作用する。かみそり刃荷重を軽減する方法、及び毛とのあらゆる相互作用を最小限にしながら皮膚の突き出しに対処する方法については考慮されていない。当該技術分野において開示されているもののような、大きな皮膚接触面積を含む固体刃間要素又は刃間要素では、毛が閉じ込められることになり、結果的に切断の効率が悪くなり、より大きな刺激をもたらし得る。したがって、毛の相互作用を伴わずに皮膚の管理を改善する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ハウジングと、ハウジングの前部に位置するガードと、ハウジングの後部に位置するキャップと、ハウジング内のガードとキャップとの間に配設される2枚以上のかみそり刃と、かみそり刃のうちの2枚の間でハウジングを横切って延びる皮膚接触要素と、皮膚接触要素の基部から延び、それぞれが皮膚接触面を有し、かつ皮膚接触要素の長さに沿って離間配置される複数の突出部であって、隣接する突出部の間に最大で2mmまでのピッチが存在し、皮膚接触面は、ピッチの35%まで延びる幅(w)を有する、という突出部と、を備えるかみそりカートリッジを提供する。
【0010】
皮膚接触要素にわたる突出部の頻度は、剃毛される表面との接触点を提供する。皮膚接触面はピッチの35%まで延びるので、毛が皮膚接触要素を通過するのに十分なスペースを依然として提供しながら、十分な支持及び制御が皮膚にもたらされる。したがって、本発明は、剃毛される毛に対する影響を最小限にしながら、追加のかみそり刃を付け加えることなくかみそりカートリッジにかかる負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書は、本発明を構成するとみなされる主題を具体的に指摘しかつ明確に主張する特許請求の範囲を結論とするが、本発明は、添付の図面と関連してなされた以下の説明によって更に理解されると考えられる。添付の図面において同様の参照符号が、実質的に同一の要素を示すために用いられている。
図1】本発明による、中にある皮膚接触要素を示すかみそりカートリッジの斜視図である。
図1A】ハンドルに取り付けて示された図1のかみそりカートリッジの斜視図である。
図2図1のかみそりカートリッジの横断面図である。
図3A】本発明による皮膚接触要素の可能な実施形態の斜視図である。
図3B】本発明による皮膚接触要素の可能な実施形態の斜視図である。
図3C】本発明による皮膚接触要素の可能な実施形態の斜視図である。
図3D】本発明による皮膚接触要素の可能な実施形態の斜視図である。
図3E】本発明による皮膚接触要素の可能な実施形態の斜視図である。
図3F】本発明による皮膚接触要素の可能な実施形態の斜視図である。
図4A】本発明のかみそりカートリッジの代替実施形態の断面図である。
図4B】本発明のかみそりカートリッジの代替実施形態の断面図である。
図5A】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図である。
図5B】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図である。
図5C】本発明のかみそりカートリッジの別の実施形態の横断面図である。
図6】従来のかみそりカートリッジとそれぞれのかみそり刃露出部分の横断面図である。
図6A】中にある皮膚接触要素と本発明のそれぞれのかみそり刃露出部分を示す、かみそりカートリッジの断面図である。
図6B】中にある皮膚接触要素とそれぞれの刃の接線角度を示す、本発明のかみそりカートリッジの側面図である。
図6C】本発明の代替実施形態による、中にある皮膚接触要素とそれぞれの刃の接線角度を示すかみそりカートリッジの側面図である。
図7】本発明による皮膚接触要素の可能な実施形態の斜視図である。
図8】本発明による皮膚接触要素の可能な実施形態の斜視図である。
図9】本発明による皮膚接触要素の可能な実施形態の斜視図である。
図10】本発明による皮膚接触要素の可能な実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、かみそり刃アレイ内の2枚のかみそり刃の間に配設された皮膚接触要素を有する、ウェットシェービング用のかみそりの中のかみそりカートリッジに関する。本明細書で用いられる用語「皮膚接触要素」は、一般に毛又は皮膚を切断しないが、ユーザーの皮膚と接触し、係合し、該皮膚を制御し、強化し、揺り動かし、又は伸張して剃毛中の皮膚の管理(例えば、皮膚の突き出しの低減)を提供し、かつ複数の突出部を有する物理構造を意味する。本明細書で用いられる「かみそり刃アレイ」は、1枚以上のかみそり刃(例えば、一般に複数枚のかみそり刃)のアレイとして定義されており、各かみそり刃は刃先を有し、各刃先は一般に同じ方向に向いている。かみそり刃の刃先又はかみそり刃の縁部は、本明細書においてかみそり刃先端部と同じ意味で用いられてもよく、かみそり刃先端部は、かみそり刃の縁部上の一点を表してもよい。このかみそりカートリッジは、かみそり刃要素と皮膚接触要素がアレイ内に存在するという点で、混合した機能を備えた「混合型かみそり刃アレイ」を有するものと見なされてもよい。
【0013】
図1は、それぞれが対応の刃先13a、13b、13d、13eを有する4枚のかみそり刃12a、12b、12d、及び12eを備えるかみそり刃アレイ12と、2枚のかみそり刃12bと12dとの間に配設される皮膚接触要素14と、を有するかみそりカートリッジ10を示している。このように、該かみそりカートリッジは、切断要素と皮膚接触要素がアレイ内に存在するという点で、混合した機能を備えた「混合型かみそり刃アレイ」を有すると考えることができる。
【0014】
留意されたいこととして、一般に、カートリッジの前部に配設されたかみそりカートリッジ10のガード16(及び/又はガードバー16a)は、より高い摩擦力をカートリッジの前部に発生させて、剃毛プロセスの間に、かみそり刃の前方の皮膚を伸張し、望ましくは毛を支持又は整列することが知られているが、キャップ17は一般に、カートリッジの背部に位置する低摩擦要素であり、皮膚の伸張を維持するのを支援する一方で、皮膚がカートリッジの背部を越えて摺動できるようにするものであることが知られている。キャップはまた望ましくは、潤滑、滑らかな滑動又は他の皮膚の制御をもたらし得る。
【0015】
4枚のかみそり刃が図1に示されているが、それ以上又はそれ以下の任意の枚数のかみそり刃がカートリッジ10内に装着されてもよいことが理解されよう。通常のかみそりのハウジング19は、一般に、フレーム15と、ガード16及び/又はガードバー16aとを含む。かみそり刃12a、12b、12d、及び12e、並びに皮膚接触要素14は、クリップ18a及び18bでハウジング19内に固定されて示されている。皮膚接触要素14は、機械的(例えば、バネ荷重印加、圧嵌め)、熱的、化学的手段、又は当業者に知られている他の手段によって、ハウジング19のフレーム15内に固定、装着、又は他の形で結合されてもよいが、通常のかみそり刃と同じ方式で行われるのが望ましい。本発明の皮膚接触要素の他の組立方法についても、以下でより詳細に説明する。
【0016】
皮膚接触要素14は、有利には、標準的な又は一般的なかみそり刃(例えば、かみそり刃支持体を備えたかみそり刃若しくはベントブレード)と全く同じように装着されてもよく、又はばね上げ機能を有して装着されてもよい。
【0017】
図1は、ガード16からキャップ17に向かってカートリッジ10の幅方向に見た場合に、かみそり刃アレイ12の中間で、標準的な第3のかみそり刃の位置(又は図2に示すようなかみそり刃スロット15c)付近又は該位置に位置付けられた皮膚接触要素14を示す。一実施形態では、皮膚接触要素は、かみそり刃の1つに取って代わり、事実上、カートリッジを、それぞれ、皮膚接触要素14の前方にあるカートリッジユニット及び皮膚接触要素14の後方にあるカートリッジユニットである2つのユニット(カートリッジユニット10a及びカートリッジユニット10b)に分割する。皮膚接触要素14は、カートリッジユニット10a及び10bの両方に包含されてもよく、又は、一般に、カートリッジ10のキャップ17とガード16との間のどこに配設されてもよい。更に、皮膚接触要素は、一般的なかみそり刃アレイ以外に設けられてもよい。
【0018】
図1Aは、機能的なかみそり20をなすように、相互連結部材11aを介してハンドル11に動作可能に結合された図1のかみそりカートリッジ10を示している。本発明において、かみそりは全体として使い捨てであってもよく、あるいはかみそりは使い捨てカートリッジを有する再使用型ハンドルを含んでもよい。
【0019】
ここで図2を参照すると、図1の断面側面図が示されており、皮膚接触要素がスロット15c内に配設され得ること、及びかみそり刃アレイ12(例えば、又は「混合型」かみそり刃アレイ12)の中央に配置され得ることが分かる。実施形態では、皮膚接触要素14は単独の又は独立した要素であり、別のかみそり刃に取り付けられない。しかしながら、皮膚接触要素は、かみそり刃若しくはかみそり刃支持体に取り付けられてもよいこと、又はかみそり刃若しくはかみそり刃支持体の伸張された部分を形成してもよいことを理解されたい。
【0020】
ここで図3A図3Cを参照すると、本発明の範囲に含まれる皮膚接触要素50の様々な設計が示されている。
【0021】
図3A図3Cでは、皮膚接触要素50a、50b、50cは、基部52から延びる複数の突出部51a、51b、51cを含む。本発明は、それぞれの構造が似ていてもよい、いくつかの形態の突出部51a、51b、51cを企図する。
【0022】
図1から分かるように、皮膚接触要素は、カートリッジの長さを概ね横切って延びる。現在市場で入手可能なカートリッジは、30mm〜40mmの長さを有する。本発明の皮膚接触要素は、一般に、かみそり刃とほぼ同じ長さにわたって延在してもよい。
【0023】
隣接する突出部の間のピッチは、各突出部上の対応する点から、カートリッジに沿って長さ方向に測定される。突出部は、皮膚接触要素の長さにわたって最大で2mmまで、好ましくは最大で1.75mmまで、更により好ましくは最大で1.5mmまでのピッチ53a、53b、53cを有する。皮膚接触面がピッチの最大で35%まで、好ましくはピッチの最大で25%まで、更により好ましくはピッチの最大で15%まで延びるように、皮膚接触面54a、54b、54cの幅は、約0.10mm〜約0.70mm、望ましくは約0.2mm〜約0.3mmであってもよい。
【0024】
皮膚接触面は、皮膚との接触点を提供し、皮膚が制御されるのを可能にする。皮膚接触面はピッチの最大で35%まで延びるので、毛が皮膚接触要素を通過するのに十分なスペースを依然として提供しながら、十分な支持及び制御が皮膚にもたらされる。したがって、本発明は、剃毛される毛に対する影響を最小限にしながら、追加のかみそり刃を付け加えることなくかみそりカートリッジにかかる負荷を低減することができる。
【0025】
図3D図3Fの拡大図を参照すると、隣接する2個の突出部51d、51e、51fの詳細な斜視図が示されている。スロット55は、隣接する突出部51d、51e、51fの間に画成され、毛の自由な通過を可能にする幅を有し得る。皮膚接触要素は、剃毛中に皮膚を支持するのに十分なだけの皮膚接触面積を提供する。好ましくは、複数の突出部は、剃毛中の毛の自由な通過を可能にするために、0.19mm〜1.3mm、好ましくは約0.3mmの幅を有する複数のスロットをもたらす。
【0026】
前述の一対の隣接する突出部51d、51e、51fはスロット55を画定しており、スロット55は、毛との相互作用をほとんどあるいは全く伴わずに毛が通過できるように構成されており、そのため、毛が突出部51d、51e、51fによって捕捉されたり、閉じ込められたり、引っ張られたりすることがなく、それによって不快感が生じることもない。スロット55は、毛を妨げないように離間される。突出部51d、51e、51fはまた、突出部51d、51e、51fが過度に離間している場合に結果として生じ得る、スロット55内への皮膚の突き出し及びスロット55の端部の圧力点を減じるように構成されている。皮膚の突き出しは、かみそり刃先(例えば、特に不図示のかみそり刃12d)が不必要に皮膚を切断することにつながり、結果として不快感を生じることになり得る。皮膚接触要素50d、50e、50fの上の比較的多数の突出部51d、51e、51fは、カートリッジ10によって皮膚にかけられる力を分配する働きをする。スロット55の寸法は、皮膚接触要素のスロット55を通過する毛の数も増加させることができるので、例えば本発明の図1のように配置される場合、例えばかみそり刃12d(図示せず)のかみそり刃先13dによって適切に切断される毛の数を増加させることができる。
【0027】
各突出部は、前面56と、後面57と、上面58とを備える。上面は、皮膚接触面54d、54e、54fの少なくとも一部を形成するが、実施形態では、これは突出部51d、51e、51fの前面の上にも延びる。各突出部は、突出部51d、51e、51fの基部52から上面58まで測定される高さを有する。各突出部は、突出部の前面56から突出部の後面57まで測定される奥行きを有する。突出部51d、51e、51fの上面及び前面は、皮膚接触面54d、54e、54fの一部を形成し得る湾曲区分59によって接合されてもよい。突出部51d、51e、51fは、上面上に実質的に平らな部分を備えてもよい。各突出部は、後縁部57d’、57e’、57f’を有する。
【0028】
皮膚接触面54d、54e、54fは、約0.10mm〜約0.70mm、好ましくは約0.2mm〜約0.3mmの幅wを有し得る。突出部51d、51e、51fの基部52から上面58まで測定した場合の高さは、約0.25mm〜約1mm、好ましくは約0.50mmであり得る。各突出部は、一般に、突出部53の前面から突出部54の後面まで測定した場合に、約0.3mm〜約2.5mm、好ましくは約0.8mmの奥行きを有する。
【0029】
突出部51a、51b、51cは、前面と上面とを接合する長さ最大で0.3mmまでの湾曲区分59を含んでもよい。突出部51d、51e、51fは、長さが最大で0.6mmまでの実質的に平らな部分を上面上に備えてもよい。突出部51d、51e、51fの後縁部57’は、上面から基部まで測定した場合に、+45°〜−60°の角度θをなしてもよい。好ましくは、角度θは+10°〜−30°である。
【0030】
本発明の皮膚接触要素は、限定するものではないが、ポリマー材料、エラストマー材料、熱可塑性エラストマー材料、ウレタン材料、オレフィン材料、ゴム材料、金属材料、又はそれらの任意の組み合わせ等のいずれかの種類の材料から作製され得る。シリコーン、フルオロシリコーン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレンなどのエラストマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)系熱可塑性エラストマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)系熱可塑性エラストマー、ポリオキシエチレン−ポリウレタン系エラストマーなどのコポリマー、若しくは、ポリウレタン、ポリスチレン及びポリエチレンなどの他のポリマー、若しくは、アクリロニトリル−ブタジエン、ポリアクリラート及び天然ゴムなどのゴム、又はそれらの任意の組み合わせもまた、本発明において企図される。加えて、皮膚接触要素の材料は、上記の材料のうちの1種以上(例えば、ポリマー及びゴム、並びにそれらの複合材)を他の材料で改質したものを含んでもよい。
【0031】
ポリマー材料又は他のエラストマー材料から作製される場合、皮膚接触要素は射出成形されてもよい。アルミニウム又はステンレス鋼などの金属から作製される場合、皮膚接触要素は機械加工又はツール加工されてもよい。
【0032】
更に、皮膚接触要素用の材料としては、織物材料若しくは布材、天然材料(例えば、木材)、又は、エラストマー材料若しくはプラスチック材料でコーティングするかあるいはエラストマー材料若しくはプラスチック材料を組み込んだ金属を挙げることができる。
【0033】
皮膚接触要素は、潤滑性、剃毛補助、又は剥離能を有する材料を含んでもよい。本明細書で用いる用語「剃毛補助材料」は、皮膚及び/又は毛と共に使用するための任意の組成物を意味する。そのような組成物は、限定するものではないが、親水性ポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド/ポリスチレン、つまりPEO/PS)などの潤滑用の薬剤、又は、脱毛、洗浄、冷却、毛の成長の抑制若しくは促進、微生物の成長の抑制、引きずりの抑制、しわの抑制、保湿、皮膚の色合い若しくは状態の改善、医療目的、又はそれらの任意の組み合わせのための薬剤を含んでもよい。薬剤は、限定するものではないが、アロエ、ビタミンE、ラノリン、香料、又はグリコール酸などの成分を含んでもよい。
【0034】
かみそり刃が皮膚にどの程度差し出されるかに影響を及ぼす1つの要因は、露出量、つまりかみそり刃が皮膚に押し込まれる、あるいは皮膚から持ち上げられる距離であり、この距離は、皮膚にかかるかみそり刃荷重に影響を与える。かみそり刃が皮膚にどの程度差し出されるかに影響を及ぼす別の要因は、要素同士(例えば、かみそり刃同士など)の間のスパンであり、このスパンは、かみそり刃の前方に生じる皮膚の突き出しに影響を与え、また皮膚にかかるかみそり刃荷重にも影響を与える。露出量及びスパンに加えて、皮膚及び毛の管理はまた、かみそりカートリッジ内のかみそり刃の枚数、かみそり刃のタイプ、皮膚線に対するかみそり刃の角度など、相互に関連する多数の変数によって影響を及ぼされ得ることもまた、剃毛の技術分野において知られている。本発明の皮膚接触要素は、かみそり刃アレイにおいて、これらの相互に関連する変数を更に制御する能力を有し、皮膚の管理に影響を与えるものである。例えば、皮膚接触要素は、皮膚にかかるかみそり刃荷重に対する改善された制御点を提供する。
【0035】
図2において、「リンス通り抜けギャップ」(例えば、切断された毛及び細片が流れ込むためのものであり、一般にかみそり刃同士又はかみそり刃とガード若しくはキャップなどの固定点との間の最短距離を表すギャップ)が、第1のリンス通り抜けギャップ23a及び第2のリンス通り抜けギャップ23bのそれぞれにおいて示されるように皮膚接触要素14の前後に設けられている。第1のリンス通り抜けギャップ23aは、約0.05mm〜約0.5mm、望ましくは約0.1mm〜約0.2mmの範囲であってもく、第2のリンス通り抜けギャップ23bは、約0mm(図4A)〜約0.65mm(図4B)、望ましくは約0.2mm〜約0.5mmの範囲であってもよい。一般に、標準的なかみそり刃カートリッジは、約0.5mm幅であるリンス通り抜けギャップ(例えば、事実上、かみそり刃同士の間の最短距離)を有し、約0.65mmの第1かみそり刃スパン(例えば、ガード16から第1のかみそり刃12aまでの距離)を有する。皮膚接触要素14がカートリッジ10内に配設された状態では、リンス通り抜けギャップの間隔は、一般に、特にかみそり刃が互いに接近して設置される場合に狭くなり得る。皮膚接触要素の解放スロットは、改善されたリンス性能を提供し、したがって、かみそり刃同士の間の間隔を狭めることができる。
【0036】
第1のリンス通り抜けギャップ23aを皮膚接触要素14の前に配設することにより、第2のかみそり刃12bによって切断された過剰な毛又は他の細片は、このギャップ23aの中に流れ込むことができ、カートリッジ内の更に後ろにあるかみそり刃の目詰まりが回避される。更に、皮膚接触要素14の後ろに配設された第2のリンス通り抜けギャップ23bが、切断された毛(例えば、皮膚接触要素14のすぐ後方で第3のかみそり刃12dによって切断された毛)を流し込むための領域を提供することができる。
【0037】
第1のリンス通り抜けギャップ23aと第2のリンス通り抜けギャップ23bは同じ幅であってもよく、あるいは、一方のギャップは他方のギャップよりも幅の狭いものであってもよい。例えば、かみそり刃12eは、皮膚接触要素14とかみそり刃12eとの間に流れ込む、切断された毛と過剰な細片をより多量に有し得るので、第1のリンス通り抜けギャップ23aを、第2のリンス通り抜けギャップ23bよりも狭い幅を有するように設計するのが望ましくあり得る。
【0038】
図2に示すように、かみそり刃12bの刃先13bとかみそり刃12dの刃先13dとの間のかみそり刃先端部のスパン22は、それらの間に要素14が配設された状態で、約1.00mm〜約2.50mm、望ましくは約2.10mmの範囲である。したがって、スパン22は、従来のかみそり刃先端部のスパン、又は皮膚接触要素14を間に有さない隣接するかみそり刃同士の間のかみそり刃間スパン(例えば、約1.05mm、又は更にはより望ましくは約0.95mmであり得る、かみそり刃12aの刃先13aとかみそり刃13bの刃先13bとの間の図2のスパン24)の長さの約2倍となり得る。
【0039】
本発明の皮膚接触要素14は、図1では、5枚刃のかみそりカートリッジ10の第3つまり中央のかみそり刃位置に配設されて示されているが、2枚のかみそり刃の間に配設されるという条件で、任意の枚数のかみそり刃を有するかみそりカートリッジの任意の位置又はかみそり刃スロットに、その近くに、又はその中に配設されてもよい。5枚刃のかみそりカートリッジでは、皮膚接触要素14は、通常は5枚のかみそり刃のために利用されるかみそりカートリッジの第2、第3、又は第4の位置又はかみそり刃スロットのうちのいずれか、その近く、又はその中に配設されてもよく、残りのかみそり刃スロットはかみそり刃を有する。特に図5A及び図5Bを参照すると、本発明の皮膚接触要素14の他に考えられる位置が示されている。例えば、皮膚接触要素14は、図5Aに示されるようにスロット15bのある第2の位置(したがって2枚のかみそり刃12aと12cとの間)、又は、図5Bにおける第4の位置又はスロット15d(2枚のかみそり刃12cと12eとの間)に配設されてもよい。皮膚接触要素14は、図1に関して上述したように第3の位置又はスロット15c内(即ち2枚のかみそり刃であるかみそり刃12bとかみそり刃12dとの間)に配設されて示されている。
【0040】
本発明では、図5Cの例示的な実施形態に示されるように、2つ以上の皮膚接触要素14をカートリッジ10のかみそり刃アレイ12内に配設することが更に企図される。例えば、図5Cでは、2つの皮膚接触要素14a及び14bが、それぞれ第2及び第4の位置(つまりかみそり刃スロット15b及び15d)に配設されている。
【0041】
しかしながら、一般には、カートリッジ10又はハウジング19(ハウジングは一般にフレーム15とガード16とを含む)の構造にほとんど変更を加えることなく、かみそり刃の種類及び枚数を変更したもの並びに1つ以上の皮膚接触要素14が本発明において設けられてもよい。
【0042】
かみそり刃露出量は、かみそり刃にかかる皮膚荷重に影響を及ぼし得るものであり、皮膚荷重は、快適性、安全性及び効率などの剃毛特性に影響を与え得ることが知られている。したがって、ここで図6を参照すると、複数枚のかみそり刃又はかみそり刃アレイ12を有する従来のかみそり設計40(例えば、皮膚接触要素がかみそり刃アレイ12内に配設されていない)のかみそり刃露出量が、ガード16及び/又はガードバー16a並びにキャップ17に対する個々のかみそり刃(12a〜12e)の配置によって規定されるものとして示されており、ガード/ガードバー及びキャップはそれぞれ、皮膚に対する第1及び第2の制御点を提供する。したがって、露出量は、キャップ17とガード16を通るほとんど真っ直ぐな線44a(想像上の又は仮想の皮膚線)を引き、その真っ直ぐな線44aに対してかみそり刃先13a〜13e(又はかみそり刃先端部)が当たる位置に留意することによって決定されてもよい。
【0043】
図6において一緒に配置されているかみそり刃は、米国特許第6,212,777号及び同第6,216,349号に記載されているような進行性形状をもたらす。結果的に、当該技術分野で知られているように、皮膚は概して、平坦に、あるいは仮想的な皮膚線44aで示されるようにガードバー16aとキャップ17との間のほとんど真っ直ぐな線をなして横たわるという仮定に基づけば、このかみそり刃の配置が用いられると、かみそり刃12aがガードバー16aの高さの下方にあることによるかみそり刃12aにおける負のかみそり刃露出量43、かみそり刃12cがガードバー16a又はキャップ17と同じ高さ又は平面にあることによるかみそり刃12cにおける中立のかみそり刃露出量42、及びかみそり刃12eの先端部がキャップ17の上方にあることによるかみそり刃12eにおける正のかみそり刃露出量41、が生じ得る。加えて、仮想的な皮膚線44aと相対して、かみそり刃12bは負の露出量を、かみそり刃12dは正の露出量を有し得る。
【0044】
かみそり刃12a及び12bの負の露出量43は、望ましくは約−0.18mm〜約−0.01mmの範囲内にあり、より望ましくは約−0.07mmとなり得るが、かみそり刃12d及び12eの正の露出量41は、望ましくは約0.18mm〜約0.48mmの範囲内にあり、より望ましくは約0.33mmとなり得る。
【0045】
一般に、負の露出量を有するかみそり刃は、毛を最適に切断すると同時に皮膚を保護する上でより優れたものとなり得るが、正の露出量を有するかみそり刃は、閉じ込められた毛を解放する上でより優れたものとなり得るので、かみそり刃アレイ内に正の露出量と負の露出量を有することは好ましくあり得る。しかしながら、皮膚が単に表面をかすめられ、実質的にかみそり刃との接触が最小限となり、したがって快適性及び安全性などの剃毛特性が改善されるように、中立又はゼロの露出量をアレイ全体にわたって有することも好ましくあり得る。
【0046】
図から分かるように、図6におけるかみそり刃12eなどの正の方向に露出したかみそり刃は、皮膚線44bを押し上げて仮想的な線44aから離し、より大きなかみそり刃先端部の荷重を生じ得るが、図6におけるかみそり刃12aなどの負の方向に露出したかみそり刃は、一般に、かみそり刃12aが皮膚又は皮膚線44aを押し上げるのではなく、皮膚線44bがカートリッジの中に突き出てかみそり刃12a自体と接触することを利用し得る。この図は、ガード/ガードバーの付近で、また皮膚が流動する固定(又は制御)点を表すキャップの付近で皮膚の流動を制御する方がおそらくは容易となり得ることを実証するものである。一般に、これらの構想に従うと、この幾何学的制御は、かみそり刃がキャップ17又はガード16/ガードバー16aのいずれかから離れるにつれて、不正確となり得ることが分かるであろう。したがって、多くの場合、カートリッジ10の中間又はかみそり刃アレイ12の中心付近は、規定の皮膚制御が損なわれる可能性のある領域となり得る。
【0047】
従来のかみそりは、かみそりカートリッジ又はかみそり刃アレイの全体にわたって、皮膚及び毛の流動を適切に制御するが、以下で説明するように、(望ましくは、中央に配置された)1つ以上の皮膚接触要素をかみそり刃アレイ12内に加えることにより、有利にも、皮膚の制御点が少なくとも1つ以上挿入され、それにより、快適性及び毛の切断(例えば、接近性及び本数)を、したがって剃毛性能を更に改善するように、個々の又は少数のかみそり刃に対する幾何学的配置、皮膚の突き出しの微調整、露出量、そして更にはかみそり刃先端部の荷重をも更に制御することが可能となる。
【0048】
図5Cの上述した実施形態では、2つの皮膚接触要素14a及び14bがかみそり刃アレイに挿入されるが、ガード16及びキャップ17の制御点に加えて、これらの皮膚接触要素によって2つの補助的な制御点が設けられることに留意されたい。更に、本発明により、最小化された又は場合によっては存在しないガード16又はキャップ17の構造(図示せず)を有するかみそりカートリッジの実施形態を理論的に考えることができる。
【0049】
ここで図6Aを参照すると、少なくとも1つの皮膚接触要素14を一般に図6のかみそり刃アレイ12の中央に加えることにより、中心又は第3の制御点が(それぞれ第1及び第2のガード及びキャップによる制御点に加えて)効果的に設けられ、それにより、単一又は一群のかみそり刃の皮膚荷重の望ましい、あるいはより優れた操作性が付与される。第3の制御点により、事実上、2本の皮膚線が存在し得る。例えば、図6Aでは、仮想皮膚線を参照すると、ガードバー16aから皮膚接触要素14へと向かう仮想的皮膚流線44a’と、皮膚接触要素14からキャップ17へと向かう仮想皮膚流線44a”が存在し得る。
【0050】
皮膚接触要素14は、かみそり刃アレイ12のかみそり刃12a、12b、12d、及び12eと同じ平面上に配置されても、異なる平面上に配置されても、それらの任意の組み合わせで配置されてもよい。皮膚接触要素14はまた、かみそり刃12b及び12dと同じ平面上であるが、かみそり刃12a又は12eの平面とは異なる平面上に配置されてもよい。後者の構成では、皮膚接触要素14に対して、かみそり刃12b及び12dの中立の露出がもたらされ、また、これらのかみそり刃は単に皮膚をかすめ得るものであるので、皮膚接触要素の領域付近では、皮膚にかかるかみそり刃先端部の荷重を低下させることができる。
【0051】
また、かみそり刃12dが皮膚接触要素14に対して負の露出量に設定されるように、かみそり刃の露出量を調節することが好ましくあり得る。例えば、図6Aから分かるように、かみそり刃アレイ12のかみそり刃12a、12b、12d、及び12eの露出量は、互いに対して、図6の露出量と同様に構成されているが、皮膚接触要素14がかみそり刃12bと12dとの間に存在し、かみそり刃12b又は12dの一方又は両方と比べてわずかに高く(好ましくは0.05mm高く)配設されていることにより、固定された制御点だけでなく、これらの下部のかみそり刃の負の露出量が与えられている。したがって、図6Aに示されるように、皮膚接触要素は、かみそり刃12bのすぐ後ろで、実際の皮膚線44bをその上面14aまで上昇させ、望ましくは毛Hが押し下げられるのを防止することができる。説明の目的で、1本の毛Hのみが図6Aに示されている。皮膚接触要素14に対するかみそり刃12dの負の露出量は、望ましくは約−0.2mmまでとなり得るが、この負の露出量により、剃毛行程が皮膚接触要素14を通過し、その後方のかみそり刃12dと接触するとき、望ましくはかみそり刃12dと皮膚44bとの接触が最小限となり、あるいは皮膚が効果的にマスクされ、かみそり刃12dの接触を実質的に毛Hとのみとすることができる。これにより、望ましくは、各毛の長さのうちのより多くが切断されるように、毛Hをより皮膚に近い点H1にて切断することが可能となり、見逃された毛が切断される範囲が改善され、更にまた、切断される見逃された毛の本数が増加され、したがって、ユーザーによる剃毛の成果の認識が高められる(例えば、皮膚は剃毛の直後はより滑らかに感じられる)。
【0052】
皮膚接触要素がかみそり刃アレイ内に存在すると、望ましくは、全てのかみそり刃が皮膚と接触することが実質的に防止され得るが(例えば、快適性、滑り、及び安全性が改善する)、かみそり刃が皮膚と最小限に接触するかあるいは接触しないことで(例えば、特に、上述のように皮膚接触要素14の後のかみそり刃12dにおいて)毛の切断が改善されることと相まって、毛の高さを上昇させることにより、かみそり刃の毛との接触が改善される。
【0053】
しかしながら、かみそり刃アレイ12内のかみそり刃のそれぞれに対して中立又はゼロのかみそり刃露出量が存在するように(例えば、かみそり刃と皮膚接触要素が単に皮膚をかすめるように)、図6Aの皮膚接触要素14が配設された場合、剃毛中の剃毛の快適性、滑り、及び安全性などの特性もまた改善される。
【0054】
更に、1つ以上の皮膚接触要素をかみそり刃アレイ内に配設することにより、有利にも、皮膚接触要素がなければ通常のかみそりでは過度に鋭利となるか(例えば、傷つける危険が非常に高い)あるいはユーザーにとって不快となり得る、より一層鋭利なかみそり刃(例えば、小さな切断力で)又は他のかみそり刃構成を利用することが可能となる。例えば、非常に鋭利なタイプのかみそり刃が、そのような皮膚接触要素のすぐ後方のかみそり刃の位置に配設されるのが望ましくあり得る(例えば、かみそり刃12d)。
【0055】
本発明のかみそり刃間のスパンは、約0.5mm〜約2mmの範囲であり得る。好ましくは、かみそり刃間のスパンは、0.95mm〜1.05mmである。
【0056】
例えば、中立又は負の露出量を有するかみそり刃は、実質的に皮膚と接触しなくてもよく、あるいは図6Aに示されるように皮膚をかすめるだけでもよいことが既知であるので、本発明の皮膚接触要素の後ろのかみそり刃はまた、従来のかみそり刃アレイと比べて、更に鋭利なかみそり刃及び/又はより大きな「かみそり刃接線角度(BTA)」を有するかみそり刃を有するように改良されてもよく、この後者の場合が図6Cに示されている。
【0057】
特に、このBTAに関して言えば、かみそり刃と皮膚線との間の角度を示すことが一般に公知である。また、この角度を増加させることにより、より一般的な第1の段、つまりカートリッジユニット10aが見逃した可能性のある毛を第2の段で捕捉することが可能となる。しかしながら、BTAを大きくすると接近性が改善され得るが(例えば、より多くの毛が切断される)、通常は快適性が失われ(例えば、かみそり刃が皮膚の上で引きずられ、皮膚に損傷を与えることがある)、対照的に、BTAを小さくすると快適性が改善されるが、通常は接近性が失われるので、BTAの調節は、設計において事前の計画を必要とする。
【0058】
BTAに関連して、図6B及び6Cは、本発明の2つの構成を示している。図6Bにおいて、かみそり刃接線角度47は、皮膚線44bから約10度〜24度の範囲であってもよく、望ましくは約22.5度であってもよい。図6Bは、図6Aの構成に見出すことができるBTAを表現し得るものである。
【0059】
図6Cにおいて、BTA 48は、皮膚線44bから約25度〜40度の範囲にであってもよく、望ましくは約28度であってもよい。加えて、図6Cは、図6Bのスパンと類似した狭いスパンを有して示されている。図6Bと比較して、図6Cに示すスパンは狭く、BTAは増大されていることにより、少なくともかみそり刃12dの負の露出量43と相まって、望ましくは、皮膚にかかるかみそり刃先端部の荷重が改善され、皮膚の損傷を伴わずに切断される毛の本数が増加し得る。
【0060】
そのようなカートリッジは、本発明の皮膚接触要素の用途を有利に提供することができる。例えば、カートリッジは、中心に配置される皮膚接触要素の前後で異なる機能を有し、そのため種々のタイプの毛及び/又は種々の毛領域(例えば、首、顎、顔、体)を対象とするように多様な機能性を有するように選択肢豊富に設計され得る。例えば、切断困難で低く横たわる毛の切断は、図6Cの構成で改善され得る。
【0061】
したがって、本発明の皮膚接触要素を用いてカートリッジを構成して、概ね中心の制御点を設ける上で、皮膚接触要素、ガード、及びキャップなどの制御点に対して、かみそり刃のタイプ、角度、スパン、露出量、及びかみそり刃の枚数など、相互に関連する複数の変数の釣り合いをとることは一般に、毛を効果的に切断する一方で皮膚に損傷を与えることのない最適な設計をもたらすために重要となり得る。
【0062】
本発明の皮膚接触要素又は制御点が存在することにより、従来のかみそりカートリッジで可能となる範囲と比べて、これらの相互に関連する変数をより広範囲に微調整することが可能となり、それによって更に多くの利点がもたらされ得る。
【0063】
上述のように、望ましくは、かみそり刃の鋭利さ及び角度を増すことができ、スパンを縮小することができ、露出量を中立又は負にして、皮膚に損傷がないように、また(長さと本数の両方で)更に多くの毛を切断するようにすることができる。更に、皮膚接触要素は、望ましくは、高い摩擦力を発生させることなく皮膚と毛を通過させることになり、したがって、皮膚接触要素は、かみそり刃アレイ内の実質的に低摩擦の要素として維持される。
【0064】
図7は、望ましくは改良型又は機能拡張型のかみそり刃支持体として形成された皮膚接触要素50jを示しており、このかみそり刃支持体は、任意の材料で作製されるが、有利には、従来よりかみそり刃支持体に用いられてきた金属と同じ種類の金属からなるものである。図7における下向きの矢印は、皮膚接触要素50j並びにかみそり刃12a、12b、12d、及び12eをカートリッジ10へとトップダウン式で搭載することを示している。
【0065】
これまでに説明した皮膚接触要素は一般に、(例えば、かみそり刃の装着と同様に)かみそり刃位置又はスロットにかみそり刃アレイ又はカートリッジの頂部から装填又は装着されるものであるが、本発明は、皮膚接触要素を通常のかみそり刃位置又はかみそり刃スロットに設置することに限定されない。
【0066】
かみそり刃アレイ内に配置するための皮膚接触要素を製造する他の方法について、以下で説明する。
【0067】
本発明の皮膚接触要素は、図8に示されるように、例えば、カートリッジフレーム65の辺のうちの少なくとも1つに配置された少なくとも1つの孔、開口、又はスロット65aを通してかみそり刃アレイ62の中に装填され得る。孔65aは望ましくは、かみそり刃アレイ62内の、したがってかみそりカートリッジ60内の定位置に皮膚接触要素64を難なく挿入し、概ね保持することができるように、寸法及び構造を定められ得る。
【0068】
これまで、本発明の皮膚接触要素は、かみそり刃自体と同様に、独立した、単独の、又は分離可能な要素として説明されてきた。この要素が、刃先を有さない皮膚接触要素であることを考慮すれば、かみそりカートリッジ内にそのような皮膚接触要素を設けるための別の方法もまた、本発明の範囲に含まれ得る。本発明のそのような別の実施形態について、以下で説明する。
【0069】
ここで図9を参照すると、本発明のそのような1つの代表的な別の実施形態が示されており、図9にフレーム75の拡大図で示されるように、フレーム75の一部分として形成された少なくとも1つの皮膚接触要素74を有している。例えば、フレーム75は、図1図3に関連しておおまかに説明したように、望ましくはカートリッジ内の任意の位置に長さ方向に配置された少なくとも1つの膚接触要素74を有するように射出成形されてもよい。この皮膚接触要素はまた、スナップ嵌め又は他の既知の結合によってフレームに連結されてもよい。皮膚接触要素74は、当業者に知られている他の機械的、熱的、化学的方法を用いてフレーム75に連結されてもよい。皮膚接触要素は、フレームと共に形成されているが、かみそり刃に取り付けられたり、かみそり刃と一体化されたりすることが可能であることに留意されたい。皮膚接触要素は、カートリッジフレームの一部であるが、エラストマー材料又は他の材料のものであってもよい。
【0070】
更に図10において、別の代表的な代替的実施形態が皮膚接触要素84を示しており、この皮膚接触要84は、一体構造84aとしたクリップ88aと88bの双方の一部分として形成されており、したがって、クリップが装着されるときに必然的にフレーム(又はカートリッジ)に装着される。図示されていないが、本発明によれば、複数の皮膚接触要素がクリップの一部分として形成されてもよく、あるいは、皮膚接触要素はそれぞれ、単一の又は他のクリップ88a若しくは88bの一部分として形成されてもよい。そのような構造84aは、通常のクリップと同じ方法を用いて当業者によって作製され得るものであり、また、任意の実行可能な方式で、機械加工、成形、又は形成されてもよい。
【0071】
皮膚接触要素74はフレーム75の一部として形成されてもよく、皮膚接触要素84はクリップ88a、88bの一部として形成されてもよいが、両方とも別のかみそり構成要素の一部として形成されるものであり、皮膚接触要素は通常かみそり刃のいずれにも取り付けられないか、又はかみそり刃のいずれとも一体化されない、しかしながら、このことは本発明の範囲に含まれると考えられる。少なくとも1つの皮膚接触要素をかみそり刃アレイ内に有することに起因する剃毛の利点は、依然として不変である。
【0072】
加えて、本発明の皮膚接触要素は、いかなるタイプのかみそりカートリッジにおいても、したがって当然ながら男性用のかみそりと女性用のかみそりのいずれにおいても利用され得ることに留意されたい。
【0073】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
図1
図1A
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10