特許第5739070号(P5739070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5739070
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】バイパス蒸気ライン
(51)【国際特許分類】
   F01K 9/04 20060101AFI20150604BHJP
   F01K 7/24 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   F01K9/04 E
   F01K7/24 D
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-527565(P2014-527565)
(86)(22)【出願日】2012年8月2日
(65)【公表番号】特表2014-531550(P2014-531550A)
(43)【公表日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】EP2012065121
(87)【国際公開番号】WO2013029914
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2014年4月10日
(31)【優先権主張番号】11179513.4
(32)【優先日】2011年8月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ベレンブリンク
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ダイドヴィヒ
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー・ゲダニッツ
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・ハックリーデ
(72)【発明者】
【氏名】マリオ・ケーベー
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・プラデ
(72)【発明者】
【氏名】ホルスト・ウーヴェ・ラウ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・シェスターク
【審査官】 寺町 健司
(56)【参考文献】
【文献】 西独国特許出願公告第1177169(DE,B)
【文献】 独国特許発明第554162(DE,C2)
【文献】 独国特許発明第960354(DE,C2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 13/00−25/36
F01K 1/00−27/02
F02C 1/00−9/58
F23R 3/00−7/00
F22G 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れ媒体(3)を冷却媒体と混合するための混合ユニット(1)であって、
混合部(4)が流体的に連結されるパイプ導管部(2)を備え、
前記混合部(4)は、前記流れ媒体(3)が流れることができる複数のラバルノズル(5,5a,5b,…)を備え、
前記ラバルノズル(5,5a,5b,…)において噴射ダクト(6)が形成され、該噴射ダクトを通り前記冷却媒体が流れて、前記流れ媒体(3)と前記冷却媒体との混合が行われ、
互いに隣接するラバルノズル(5,5a,5b,…)は、前記流れ媒体(3)の流れ方向において(8)互いに対してオフセットするように配置される、混合ユニットにおいて、
前記ラバルノズル(5,5a,5b,…)は、移動装置に連結され、
運転中に、前記ラバルノズル(5,5a,5b,…)の移動が可能であることを特徴とする混合ユニット(1)。
【請求項2】
前記ラバルノズル(5,5a,5b,…)が互いに同一に設計される、請求項1に記載の混合ユニット(1)。
【請求項3】
前記噴射ダクト(6)が前記ラバルノズルの壁に対して斜めに形成される、請求項1または2に記載の混合ユニット(1)。
【請求項4】
前記流れ媒体(3)が蒸気である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の混合ユニット(1)。
【請求項5】
前記冷却媒体が水である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の混合ユニット(1)。
【請求項6】
電気または液圧手段によって移動が行われる、請求項1に記載の混合ユニット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流れ媒体を冷却媒体と混合するための混合ユニットに関連し、該混合ユニットは、混合部が流体的に連結されたパイプ導管部を備え、混合部は、複数のラバルノズルを備え、それらを通り流れ媒体が流れることができ、冷却媒体が流れる噴射ダクトがラバルノズルに形成され、それにより流れ媒体と冷却媒体の混合が行われる。
【背景技術】
【0002】
蒸気発電所において、蒸気が蒸気発生器で生成され、蒸気発生器に流体的に連結されたターボセットで蒸気の熱エネルギーを回転エネルギーに変換する。回転エネルギーは、最後に電気エネルギーに変換される。蒸気発電所が連続的に運転し、かつ発電機への負荷が比較的一定である限り、熱力学的条件は、長期間にわたり比較的一定である。
【0003】
しかし、蒸気発電所が負荷状態を迅速に変更するよう適合されなければならないという状況がある。例えばある事態が発生し、かつネットワークから発電機が突然分離されなければならないということがある。また蒸気発電所が予期せず全負荷から部分負荷に変更しなければならないということが起こる場合がある。このような負荷変化は、蒸気発電所全体を制御するための技術に対する挑戦である。負荷変化の状況に迅速に従う、または対抗する1つの可能性は、蒸気発生器によって発生し、かつ連続運転または全負荷運転中に高圧サブタービンに直接流れる蒸気を、バイパスステーションを介して凝縮器に直接送るということである。このバイパスステーションにおいて、非常に熱い蒸気を水と混合し、それにより蒸気の熱力学的条件を変更する装置が設けられる。従来技術によると、これは、水が蒸気に噴出される噴射ダクトを有するラバルノズルに配置されるバイパスステーションにおいて行われる。
【0004】
しかしこれにより、騒音放射が比較的高いということが示される。さらに、温度分配が十分な一様でなく、それにより部分負荷下において非最適な運転状態をまねくことが示されている。
【0005】
今日使用されるバイパスステーションは、基本的にバイパス弁およびバイパス蒸気送込みから成る。バイパス蒸気送込みは、隔壁、水噴射装置および混合パイプを備える。蒸気発電所が起動する時、またはトリップの後、蒸気タービンにおいて生じる蒸気は、バイパスステーションを通り水の噴射によって冷却され、かつ凝縮器に直接導入される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、運転中の水と蒸気のより良好な混合と同時に騒音放射を低減することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、流れ媒体を冷却媒体と混合するための混合ユニットによって達成され、該混合ユニットは、混合部が流体的に連結されたパイプ導管部を備え、混合部は、それを通り流れ媒体が流れることができる複数のラバルノズルを備え、冷却媒体が流れる噴射ダクトがラバルノズルに形成され、それにより流れ媒体と冷却媒体の混合が行われ、互いに隣接するラバルノズルは、流れ媒体の流れ方向において互いに対してオフセットされるように配置される。
【0008】
好都合な発展形は、サブクレームに規定されている。
【0009】
したがって本発明は、蒸気が単一の隔壁開口部のみを通り流れるという既存の概念に反して、複数の隔壁開口部を用いる経路を達成しようとするものである。単一の隔壁開口部を使用することによって生じる欠点は、特に混合部の縁において混合が最適ではないということである。複数の隔壁開口部を用いることにより、より良好な混合および騒音放射の低減が達成される。
【0010】
本発明の必須の発想は、互いに隣接する2つのラバルノズルが、流れ方向において互いに対してオフセットするように配置されるということである。蒸気を冷却するために、バイパスモードにおいて水がバイパス蒸気ラインに射出される。水の良好な噴霧化を達成し、それにより冷却を有効にするために、混合される前の蒸気がラバルノズルを通り、または多孔隔壁を通り送られることにより、流速が急激に上昇するという結果になる。蒸気および水滴の間の相対的に速い速度は、良好な噴霧化につながるが、水滴が蒸気流のコアに到達せず、それにより蒸気流の内部または内部コアが十分冷却されないという欠点を有する。ラバルノズルは、この場合、流れ媒体の流れ方向において軸方向に移動する。流れがラバルノズルを通過すると、音波が発生する。音波は、ラバルノズルの後ろに発生する。ラバルノズルがそのうえ互いに対してある長さ分軸方向に移動することにより、互いに隣接する異なるラバルノズルの音波ピークおよび音波の谷は、互いに打ち消し合い、全体として音放射は著しく低減される。
【0011】
したがってここでの必須の機構は、互いに隣接して配置された個々のラバルノズルが軸方向に互いに移動するということである。
【0012】
ラバルノズルは、移動装置に連結され、運転中にラバルノズルの移動が可能である。したがって、電気的または液圧的に、または他の手段によって行うことが可能な能動的な移動を提供することが提案され、それにより運転中に異なる周波数帯が影響受けることができるようにラバルノズル平面が互いに対して移動することができる。したがって騒音放射は、異なる運転状態において積極的に低減されることができる。
【0013】
第1の好都合な発展形において、ラバルノズルは、互いに同一に設計される。これは、音波の谷および音波ピークのより良好な計算可能性につながり、したがってどのくらい軸方向移動を行わなければならないかを音放射からの計算によってより効果的に予め決定することができる。
【0014】
さらに好都合な発展形において、ラバルノズルは、移動装置に連結され、運転中のラバルノズルの移動が可能となる。したがって、電気的または液圧的、または他の手段によって行うことが可能な能動的な移動を提供することが提案され、それにより運転中に異なる周波数帯に影響を与えることができるようにラバルノズル平面が互いに対して移動することができる。したがって異なる運転状態においても騒音放射を積極的に低減することができる。
【0015】
そして本発明は、例示的な実施形態によってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来の混合ユニットの横断面図を示す。
図2】本発明による混合ユニットの横断面図を示す。
図3】混合ユニットの一部の横断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、従来技術による混合ユニット1を示す。このような混合ユニット1は、流れ媒体3が混合部4の方向に流れるパイプ導管部2によって特徴付けられる。この混合部4において、その中で流れ媒体が加速されるラバルノズル5が配置される。ラバルノズル5に配置されるのは、噴射ダクト6であり、これを通り水などの冷却媒体が流れる。冷却媒体は、混合ユニット4に流体的に接続されたパイプ部7において流れ媒体3と混合される。
【0018】
図2は、本発明による混合ユニット1の図を示す。図1による混合ユニット1との相違点は、混合部4において複数のラバルノズル5a,5b,5cが配置され、これらを通り流れ媒体3が流れ、かつ各ラバルノズルに噴射ダクト6が形成され、これによって水が流れ媒体に混合される。さらに、図1および図2の混合ユニット1の相違点は、軸方向と呼ばれることもできる流れ媒体方向8において、ラバルノズル5a,5b,5cが互いに対して移動することである。この移動の結果として、隣接するラバルノズルの音波ピークと一致する音波の谷が打ち消される。音放射の全体的な減少がそれにより達成される。最後に、より詳細には図示されていない凝縮器にパイプ部7が接続される。
【0019】
互いに対するラバルノズル5a,5b,5cの軸方向移動は、電気または液圧力による能動的な移動によって行うことができる。これは、異なる運転状態が生じる運転中に行うことができる。それにより異なる周波数帯が影響を受け、したがって運転中においても騒音放射が全体的に低減されることができる。
【0020】
周波数帯を運転中に測定することができ、かつ騒音放射が最小となるように隔壁が互いに対して移動することができる。発電所の試運転中にもっとも好ましい軸方向位置を各負荷点に対してあらかじめ決定することができ、かつこれらは、周波数スペクトルを積極的に測定することなく運転中に簡単に入力することができる。
【0021】
図3は、一例としてラバルノズル5aおよび5bの移動の図を示す。ラバルノズル5aは、ラバルノズル5bに対して長さLだけ移動している。1000Hzの音の周波数は、音速を約500m/sとすると、必要な長さ0.5mが得られる。この長さは、第1近似値として静的に設定することができ、または上述のように、運転中でも能動的な移動によって得ることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 混合ユニット
2 パイプ導管部
3 媒体
4 混合部
5 ラバルノズル
5a,5b,5c ラバルノズル
6 噴射ダクト
7 パイプ部
8 媒体方向
図1
図2
図3