特許第5739134号(P5739134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5739134
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】ブラックマトリックス用着色組成物
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20150604BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20150604BHJP
   C09B 67/22 20060101ALI20150604BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
   C09B67/20 F
   C09B67/20 L
   C09B67/22 B
   C09B67/46 B
【請求項の数】6
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2010-236816(P2010-236816)
(22)【出願日】2010年10月21日
(65)【公開番号】特開2011-118367(P2011-118367A)
(43)【公開日】2011年6月16日
【審査請求日】2013年10月9日
(31)【優先権主張番号】特願2009-245495(P2009-245495)
(32)【優先日】2009年10月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 孝司
(72)【発明者】
【氏名】森川 佳之
(72)【発明者】
【氏名】北岡 直幸
(72)【発明者】
【氏名】前田 寛仁
(72)【発明者】
【氏名】辻 康人
【審査官】 大竹 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−175613(JP,A)
【文献】 特開2008−310000(JP,A)
【文献】 特開平09−302265(JP,A)
【文献】 特開2007−279668(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/041312(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/060255(WO,A2)
【文献】 特許第5442960(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色、紫色、黄色、赤色及び橙色の5色の有機顔料の中から選択された2色以上の有機顔料を組合せて疑似黒色化したブラックマトリックス用着色組成物において、
更に、顔料分散剤(ただし、塩基性基を有する顔料分散剤を除く)、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される顔料分散助剤、バインダー樹脂、並びに、有機溶剤を含有し、
前記顔料分散剤は、
(16)分子内にイソシアヌレート環を有するイソアネート化合物のイソシアネート基と、分子内に活性水素を有し、かつ、カルバゾール環及び/又はアゾベンゼン骨格を有する化合物の活性水素基とを反応させて得られる化合物であって、該化合物の分子内の、イソシアヌレート環を有するイソシアネート化合物に由来するイソシアネート基と、イソシアネート基と活性水素基との反応により生じたウレタン結合及び尿素結合との合計に対するカルバゾール環とアゾベンゼン骨格との数が15〜85%である顔料分散剤、及び、
(17)顔料親和性基を有するセグメントとバインダー相溶性基を有するセグメントとからなるアクリル系ブロック共重合体
のいずれかである
ことを特徴とするブラックマトリックス用着色組成物。
【化1】
〔式中、X及びYは、同一若しくは異なって、F、Cl、Br、NO、CH又はOCHで置換されていてもよいフェニル基を表す。Mは、H、Na、K、NH又はNR(R、R、R及びRは、同一若しくは異なって、他の置換基で置換されていてもよい炭素数1〜10の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基、又は、他の置換基で置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。)を表す。mは、1以上の整数を表す。〕
【請求項2】
Xが2,5−ジクロロフェニル基であり、Yがフェニル基である請求項1記載のブラックマトリックス用着色組成物。
【請求項3】
青色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6及びC.I.ピグメントブルー60からなる群より選択される少なくとも1種であり、
紫色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントバイオレット19及び/又はC.I.ピグメントバイオレット23であり、
黄色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180及びC.I.ピグメントイエロー181からなる群より選択される少なくとも1種であり、
橙色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ69、C.I.ピグメントオレンジ71及びC.I.ピグメントオレンジ73からなる群より選択される少なくとも1種であり、
赤色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264及びC.I.ピグメントレッド272からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記5色の有機顔料の中から2色以上の有機顔料が選択され、さらに選択された各色の有機顔料に属する1種以上の顔料を組合せて疑似黒色化した請求項1又は2記載のブラックマトリックス用着色組成物。
【請求項4】
青色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4及びC.I.ピグメントブルー15:6からなる群より選択される少なくとも1種であり、
紫色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントバイオレット23であり、
黄色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントイエロー83及び/又はC.I.ピグメントイエロー139であり、
橙色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントオレンジ43及び/又はC.I.ピグメントオレンジ64であり、
赤色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントレッド254である
請求項3記載のブラックマトリックス用着色組成物。
【請求項5】
青色の有機顔料と、黄色の有機顔料及び橙色の有機顔料から選ばれる少なくとも1種とを必須成分とした請求項1〜4のいずれかに記載のブラックマトリックス用着色組成物。
【請求項6】
青色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントブルー15:6であり、
紫色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントバイオレット23であり、
橙色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントオレンジ64である
請求項3〜5のいずれかに記載のブラックマトリックス用着色組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高絶縁性、低誘電率で、光学濃度が高い新規なブラックマトリックス用着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子のカラーフィルターに設けられた赤色、緑色及び青色画素の端部近傍には、色の重なった部分や着色されていない部分があり、この部分を光が透過すると、ディスプレイ上に映る画像のコントラストの低下や色のにじみの現象が起こる。そこで、これらの現象が起こらないように、上記画素の端部近傍には光の透過を防止するブラックマトリックスが形成される。そして、従来、種々の黒色着色剤と樹脂を配合して得られた黒色組成物を用いて、ブラックマトリックスを形成する研究が進められている。
【0003】
ブラックマトリックスでは、光の透過を防止する機能が基本性能となるため、とりわけ、光の遮蔽効果の高い黒色着色剤としてカーボンブラックを用い、また、顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、有機溶剤を含むブラックマトリックス用レジスト組成物が利用されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
ところで、ブラックマトリックスの形成には、赤色、緑色及び青色の画素パターンと共にカラーフィルター側に形成させる方法と、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ基盤側に形成させる方法等があり、後者の方法は各画素パターンの開効率を上げることができるという利点を有する。
しかし、TFTアレイ基盤側にブラックマトリックスが設けられた場合は、直接、ブラックマトリックスが画素電極及びTFTに接触するため、該ブラックマトリックスには、高絶縁性、低誘電率が要求される。
【0005】
そうすると、導電性を有するカーボンブラックをそのまま使用したブラックマトリックス用レジスト組成物では、高い絶縁性や低誘電率の皮膜を形成することができない。そこで、この問題を解決するために、本出願人は、絶縁性材料であるカルボジイミド化合物で表面を被覆処理したカーボンブラックを、ブラックマトリックス用レジスト組成物に利用する技術を提案している(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。この方法により、ブラックマトリックスの絶縁性はある程度改善されるが、最近ではさらに高絶縁性タイプのものが要求されており、カーボンブラックを利用した系では実現は相当に困難である。
【0006】
それに対して、有機顔料は高い絶縁性を有し、また、色の混合により黒色の色相とする(疑似黒色化)ことも可能である。この様な性能を利用した、有機顔料、顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、有機溶剤からなる擬似黒色化した色相のブラックマトリックス用レジスト組成物の使用(例えば、特許文献5、特許文献6参照)も提案されている。しかしながら、複数の有機顔料を使用する場合は、顔料表面の特性が異なることなどに起因して、良好な分散性が得られにくいといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−082908号公報
【特許文献2】特開2000−227654号公報
【特許文献3】特再表WO03/076527号公報
【特許文献4】特再表WO04/000950号公報
【特許文献5】特開平04−013106号公報
【特許文献6】特開平09−302265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、含有する有機顔料の分散性に優れ、高絶縁性、低誘電率で、光学濃度が高い新規なブラックマトリックス用着色組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討した結果、疑似黒色化するために複数の有機顔料を使用する際に、顔料分散剤と、特定の顔料分散助剤で分散させることにより、良好な顔料分散性が得られ、上記の課題を全て解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、青色、紫色、黄色、赤色及び橙色の5色の有機顔料の中から選択された2色以上の有機顔料を組合せて疑似黒色化したブラックマトリックス用着色組成物において、顔料分散剤(ただし、塩基性基を有する顔料分散剤を除く)、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される顔料分散助剤、バインダー樹脂、並びに、有機溶剤を含有し、上記顔料分散剤は、(16)分子内にイソシアヌレート環を有するイソアネート化合物のイソシアネート基と、分子内に活性水素を有し、かつ、カルバゾール環及び/又はアゾベンゼン骨格を有する化合物の活性水素基とを反応させて得られる化合物であって、該化合物の分子内の、イソシアヌレート環を有するイソシアネート化合物に由来するイソシアネート基と、イソシアネート基と活性水素基との反応により生じたウレタン結合及び尿素結合との合計に対するカルバゾール環とアゾベンゼン骨格との数が15〜85%である顔料分散剤、及び、(17)顔料親和性基を有するセグメントとバインダー相溶性基を有するセグメントとからなるアクリル系ブロック共重合体のいずれかであることを特徴とするブラックマトリックス用着色組成物に関する。
【0011】
【化1】
【0012】
〔式中、X及びYは、同一若しくは異なって、F、Cl、Br、NO、CH又はOCHで置換されていてもよいフェニル基を表す。Mは、H、Na、K、NH又はNR(R、R、R及びRは、同一若しくは異なって、他の置換基で置換されていてもよい炭素数1〜10の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基、又は、他の置換基で置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。)を表す。mは、1以上の整数を表す。〕
【0013】
上記一般式(1)及び/又は(2)で表される顔料分散助剤において、Xが2,5−ジクロロフェニル基であり、Yがフェニル基であることが好ましい。
上記ブラックマトリックス用着色組成物において、青色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6及びC.I.ピグメントブルー60からなる群より選択される少なくとも1種であり、紫色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントバイオレット19及び/又はC.I.ピグメントバイオレット23であり、黄色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180及びC.I.ピグメントイエロー181からなる群より選択される少なくとも1種であり、橙色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ69、C.I.ピグメントオレンジ71及びC.I.ピグメントオレンジ73からなる群より選択される少なくとも1種であり、赤色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264及びC.I.ピグメントレッド272からなる群より選択される少なくとも1種であり、上記5色の有機顔料の中から2色以上の有機顔料が選択され、さらに選択された各色の有機顔料に属する1種以上の顔料を組合せて疑似黒色化したものであることが好ましい。
【0014】
また、上記ブラックマトリックス用着色組成物において、青色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4及びC.I.ピグメントブルー15:6からなる群より選択される少なくとも1種であり、紫色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントバイオレット23であり、黄色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントイエロー83及び/又はC.I.ピグメントイエロー139であり、橙色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントオレンジ43及び/又はC.I.ピグメントオレンジ64であり、赤色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントレッド254であることが好ましい。
【0015】
また、上記ブラックマトリックス用着色組成物は、青色の有機顔料と、黄色の有機顔料及び橙色の有機顔料から選ばれる少なくとも1種とを必須成分としたものであることが好ましい。
また、上記ブラックマトリックス用着色組成物において、青色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントブルー15:6であり、紫色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントバイオレット23であり、橙色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントオレンジ64であることが好ましい
【0016】
ブラックマトリックス用着色組成物(以下、単に「着色組成物」ともいう)について更に詳細に説明する。
本発明の着色組成物は、有機顔料、顔料分散剤、顔料分散助剤、バインダー樹脂及び有機溶剤を含むものであり、以下、先ずその構成材料について説明する。
【0017】
<着色組成物の構成材料>
(有機顔料)
本発明における有機顔料としては、基本的に青色、紫色、黄色、赤色、橙色の5色の有機顔料の中から選択された色相のものを使用する。
本発明のブラックマトリックス用着色組成物では、上記5色の有機顔料の中から2色以上の有機顔料を組合せることにより、擬似黒色化された色相を有するものである。ここで「擬似黒色化された色相」とは、理想的には黒色であるが、液晶表示素子のカラーフィルターに用いられるブラックマトリックスとして許容される色相であれば良い。例えば、ブラックマトリックス自体に赤色の色相がみられる場合、画像表示装置上に形成される画像は赤みを帯びてしまうことになる。したがって、ブラックマトリックスとしては、余分な色みが付加されないよう、基本的には無彩色であることが必要となる。さらに、ブラックマトリックスから光が漏れると、画像のコントラストが低下することから、各色光を全て吸収するという点で、上記の通り黒色が理想的である。しかし、完全な無彩色でなくても、画像に余分な色みが付加されない色相の範囲であればよく、また、コントラストを維持するために必要な光を吸収できる色相は、擬似黒色化された色相の範囲に含まれるものである。
さらに、本発明において、上記「擬似黒色化された色相を有するブラックマトリックス用着色組成物」としては、具体的には、例えば、上記5色の有機顔料の中から2色以上の有機顔料を組合せて、後述するブラックマトリックス用レジスト組成物を調製したときに、該ブラックマトリックス用レジスト組成物を、スピンコーターにて膜厚1μmとなるようにガラス基板上に塗布し、ベタ部のみで形成したブラックレジストバターンについて、マクベス濃度計(TD−931、マクベス社製)を用いて測定した、光学濃度(OD値)が1.35以上であることが必要である。
【0018】
その一つの目安として、総有機顔料に対する各色相の有機顔料の比率(質量比)が、好ましくは、以下の範囲であれば、概ね擬似黒色化した色相ということができる。
(青色の有機顔料)/(黄色の有機顔料+橙色の有機顔料)/(赤色の有機顔料+紫色の有機顔料)=(30〜60%)/(25〜50%)/(5〜40%)
【0019】
上記5色の有機顔料としては、従来から使用されている公知のものが使用できる。
好ましい有機顔料としては、青色の有機顔料に属する顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6及びC.I.ピグメントブルー60からなる群より選択される少なくとも1種を挙げることができる。
紫色の有機顔料に属する顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット19及び/又はC.I.ピグメントバイオレット23を挙げることができる。
黄色の有機顔料に属する顔料としては、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180及びC.I.ピグメントイエロー181からなる群より選択される少なくとも1種を挙げることができる。
橙色の有機顔料に属する顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ69、C.I.ピグメントオレンジ71及びC.I.ピグメントオレンジ73からなる群より選択される少なくとも1種を挙げることができる。
赤色の有機顔料に属する顔料としては、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264及びC.I.ピグメントレッド272からなる群より選択される少なくとも1種を挙げることができる。
本発明においては、これらの5色の有機顔料の中から2色以上が選択され、さらに選択された各色に属する1種以上の顔料を組合せて擬似黒色化したものであることが好ましい。
【0020】
本発明の着色組成物においては、なかでも、青色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4及びC.I.ピグメントブルー15:6からなる群より選択される少なくとも1種であり、紫色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントバイオレット23であり、黄色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントイエロー83及び/又はC.I.ピグメントイエロー139であり、橙色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントオレンジ43及び/又はC.I.ピグメントオレンジ64であり、赤色の有機顔料に属する顔料がC.I.ピグメントレッド254であることが好ましい。
これらの有機顔料を用いた着色組成物は、色相及び光学濃度(OD値)に優れたものとなる。
【0021】
疑似黒色化を得るための好ましい有機顔料の組合せとしては、青色の有機顔料と、黄色の有機顔料及び橙色の有機顔料から選ばれる少なくとも1種との組合せが好ましく、更に、これらの有機顔料と、赤色の有機顔料及び紫色の有機顔料から選ばれる少なくとも1種との有機顔料の組合せが好適である。具体的な各色の有機顔料に属する顔料の組合せとしては、例えば、C.I.ピグメントブルー15:4とC.I.ピグメントイエロー139とC.I.ピグメントレッド254との組合せや、C.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメントオレンジ64とC.I.ピグメントバイオレット23との組合せや、C.I.ピグメントブルー15:4又は15:3とC.I.ピグメントイエロー83とC.I.ピグメントバイオレット23とC.I.ピグメントレッド254との組合せ等を挙げることができる。
【0022】
本発明の着色組成物においては、さらに必要に応じて、他の色相の顔料を併用しても良い。特に光の遮蔽効果の高いC.I.ピグメントブラック7(カーボンブラック)などを、絶縁性が低下しない範囲で併用すると、より薄い皮膜のブラックマトリックスを設けることができる。
【0023】
上記有機顔料の使用量は、該有機顔料を用いて後述するブラックマトリックス用レジスト組成物としたときに、上記ブラックマトリックス用レジスト組成物の全固形分に対して質量分率で、使用する有機顔料の合計量で好ましくは20〜90質量%、より好ましくは40〜70質量%の範囲である。20質量%未満であると、充分に光の遮蔽効果を有するブラックマトリックスを形成できないことがある。90質量%を超えると、有機顔料の分散性が低下し均一な分散体とすることができないことがある。
【0024】
(顔料分散剤)
本発明の着色組成物において、上記顔料分散剤は、上記有機顔料を分散させるために用いられる。
上記顔料分散剤としては、カラーフィルター用着色組成物で使用されている高分子顔料分散剤が使用でき、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)ポリアミン化合物(例えば、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンポリイミン等のポリ(低級アルキレンアミン)等)のアミノ基及び/又はイミノ基と、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド及びポリエステルアミドからなる群より選択される少なくとも1種との反応生成物(特開2001−59906号公報)、
(2)分子内にポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖及びポリアクリル側鎖からなる群より選択される少なくとも1種の側鎖を有するカルボジイミド系化合物(国際公開WO03/076527号公報、国際公開WO04/000950号公報)、
(3)ポリ(低級)アルキレンイミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の低分子アミノ化合物と、遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応生成物(特開昭54−37082号公報、特開平01−311177号公報)、
(4)ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に、メトキシポリエチレングリコール等のアルコール類やカプロラクトンポリステル等の水酸基を1個有するポリエステル類、2〜3個のイソシアネート基反応性官能基を有する化合物、イソシアネート基反応性官能基と第3級アミノ基とを有する脂肪族又は複素環式炭化水素化合物を順次反応させてなる反応生成物(特開平02−612号公報)、
(5)アルコール性水酸基を有するアクリレートの重合物にポリイソシアネート化合物とアミノ基を有する炭化水素化合物とを反応させた反応生成物、
(6)低分子アミノ化合物にポリエーテル鎖を付加させてなる反応生成物、
(7)イソシアネート基を有する化合物にアミノ基を有する化合物を反応させてなる反応生成物(特開平04−210220号公報)、
(8)ポリエポキシ化合物に遊離のカルボキシル基を有する線状ポリマー及び2級アミノ基を1個有する有機アミン化合物を反応させた反応生成物(特開平09−87537号公報)、
(9)片末端にアミノ基と反応し得る官能基を有するポリカーボネート化合物とポリアミン化合物との反応生成物(特開09−194585号公報)、
(10)メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベンジルアクリレート等のメタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルから選択される少なくとも1種と、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアミド、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、アミノ基とポリカプロラクトン骨格を有するモノマー等の塩基性基含有重合性モノマーの少なくとも1種と、スチレン、スチレン誘導体、その他の重合性モノマーの少なくとも1種との共重合体(特開平01−164429号公報)、
(11)3級アミノ基、4級アンモニウム塩基等の塩基性基を有するブロックと塩基性官能基を有していないブロックとからなるアクリル系ブロック共重合体等(特開2005−55814号公報の明細書中に記載のアクリル系ブロック共重合体の説明欄等)、
(12)ポリアリルアミンにポリカーボネート化合物をマイケル付加反応させて得られる顔料分散剤(特開平09−194585号公報)、
(13)ポリブタジエン鎖と塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物(特開2006−257243号公報)、
(14)分子内にアミド基を有する側鎖と、塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物(特開2006−176657号公報)、
(15)エチレンオキサイド鎖とプロピレンオキサイド鎖を有する構成単位を有し、且つ四級化剤により四級化されたアミノ基を有するポリウレタン樹脂(特開平10−246812号公報、特願2008−16404号)、
(16)分子内にイソシアヌレート環を有するイソアネート化合物のイソシアネート基と、分子内に活性水素を有し、かつ、カルバゾール環及び/又はアゾベンゼン骨格を有する化合物の活性水素基とを反応させて得られる化合物であって、該化合物の分子内の、イソシアヌレート環を有するイソシアネート化合物に由来するイソシアネート基と、イソシアネート基と活性水素基との反応により生じたウレタン結合及び尿素結合との合計に対するカルバゾール環とアゾベンゼン骨格との数が15〜85%である顔料分散剤(特願2009−330836号)、
(17)顔料親和性基を有するセグメントとバインダー相溶性基を有するセグメントとからなるアクリル系ブロック共重合体(ビックケミー・ジャパン(株)ウェブページの技術資料の湿潤分散剤の欄参照)。
【0025】
本発明における顔料分散剤の使用量は、使用する全有機顔料100質量部に対して、1〜200質量部が好ましく、より好ましくは1〜60質量部である。顔料分散剤の使用量が1質量部未満では、顔料分散性が低下する場合がある。一方、全有機顔料100質量部に対して200質量部を超える場合は、現像性が低下する等のおそれがある。
【0026】
(顔料分散助剤)
本発明の着色組成物において、上記顔料分散助剤は、上記有機顔料を分散させるために用いられる。
本発明における顔料分散助剤は、上記一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物である。顔料分散時に、この顔料分散助剤と顔料分散剤とを併用することにより、着色組成物において、優れた流動性、分散安定性を得ることができる。また、上記着色組成物をブラックマトリックス用レジスト組成物として使用した場合、高い光学濃度を得ることが可能となる。
【0027】
上記一般式(1)、(2)中、X及びYは、同一若しくは異なって、F、Cl、Br、NO、CH又はOCHで置換されていてもよいフェニル基を表す。Mは、H、Na、K、NH又はNRを表す。
上記一般式(1)、(2)の「NR」(M)に関して、R、R、R及びRは、同一若しくは異なって、他の置換基で置換されていてもよい炭素数1〜10の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基、又は、他の置換基で置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。ここで、上記飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等のアルキニル基等が挙げられる。上記芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。また、上記他の置換基としては、水酸基、ハロゲン、カルボキシル基、アミノ基、低級アルキル基(炭素数1〜5)等が挙げられる。
なお、上記R、R、R及びRは、1個が他の置換基で置換されていても、2個以上が他の置換基で置換されていてもよい。
更に、上記一般式(1)、(2)の「m」は1以上の整数である。
【0028】
上記化合物(顔料分散助剤)において、上記一般式(1)で表される化合物がエノール型、上記一般式(2)で表される化合物がケト型の互変異性体であり、上記顔料分散助剤には両化合物が含まれる。即ち、上記顔料分散助剤には、上記一般式(1)又は(2)で表される化合物の場合、及び、上記一般式(1)及び(2)で表される化合物の両方からなる場合のいずれも含まれる。
【0029】
このような顔料分散助剤は、新規な化合物であり、例えば、下記式(3)〜(30)のモノアゾ化合物を濃硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸又はそれらの混合液に溶解し、室温ないし80〜90℃に加熱し、次いで多量の水で希釈して得た懸濁液を濾過後、水洗し、得られたフィルターケーキを乾燥、粉砕して製造することができ、市販品は存在しない。
【0030】
【化2】
【0031】
これらの顔料分散助剤の中でも、良好な流動性と分散安定性を有するとともに、光学濃度がより高いレベルにあるブラックマトリックス用レジスト組成物を得ることができる点から、上記一般式(1)及び/又は(2)のXが2,5−ジクロロフェニル基であり、Yがフェニル基である下記一般式(31)で表される化合物(上記式(3)のモノアゾ化合物を用い、上記製法等により得られる化合物:エノール型)及び/又は下記一般式(32)で表される化合物(上記式(4)のモノアゾ化合物を用い、上記製法等により得られる化合物:ケト型)が好適である。
【0032】
【化3】
【0033】
本発明における顔料分散助剤の使用量は、全有機顔料100質量部に対して、通常30質量部以下が好ましく、より好ましくは0.1〜20質量部である。顔料分散助剤の使用量が上記範囲を超えても、顔料分散効果がそれ以上向上されない傾向にある。
尚、有機顔料を分散させるために用いられる分散助剤としては、上記一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物であるが、他の顔料分散助剤も併用可能である。例えば、青色顔料を使用する場合は、青色顔料の分散助剤としてフタロシアニン誘導体を使用し、他の色の有機顔料の分散助剤として上記一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物を使用することもできる。
【0034】
(バインダー樹脂)
上記着色組成物において、上記バインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物(光重合性樹脂、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有するモノマー、オリゴマー等)等が挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して用いることができる。
【0035】
このようなバインダー樹脂は、上記着色組成物の全固形分に対して質量分率で、使用するバインダー樹脂の合計量で好ましくは5〜94質量%、より好ましくは10〜50質量%の範囲である。
【0036】
上記熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム、エポキシ樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
【0037】
上記光重合性化合物としての光重合性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等を介して、(メタ)アクリル化合物、ケイヒ酸等の光架橋性基を導入した樹脂が用いられる。スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化した重合物も用いられる。
【0038】
上記光重合性化合物としての光重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマーとしては、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルメタクリレート又はアクリレート;ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート等のアラルキルメタクリレート又はアクリレート;ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレート又はアクリレート;N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルメタクリレート又はアクリレート;ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;ヘキサエチレングリコールフェニルエーテル等のポリアルキレングリコールアリールエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;イソボニルメタクリレート又はアクリレート;グリセロールメタクリレート又はアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート又はアクリレート等が挙げられる。
【0039】
上記光重合性化合物としての光重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーとしては、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。
上記アルカリ可溶性樹脂については、後述のフォトリソグラフィー法のブラックマトリックス用レジスト組成物のところで詳述する。
【0040】
(有機溶剤)
本発明の着色組成物で使用する有機溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系有機溶剤;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、δ−ブチロラクトン等のケトン系有機溶剤;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、蟻酸n−アミル等のエステル系有機溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の含窒素系有機溶剤等を例示できる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0041】
本発明の着色組成物は、上述の有機顔料、顔料分散剤、顔料分散助剤、バインダー樹脂及び有機溶剤から主として構成され、これらの成分は、着色組成物中、通常90〜100質量%を占める。
【0042】
(必要に応じて添加できる添加剤)
着色組成物の製造法に応じて、光重合開始剤、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜使用することができる。上記光重合開始剤としては、例えば、後述するものを挙げることができる。
【0043】
<着色組成物の製造方法>
以上の材料を用いて着色組成物を製造する方法の例を説明する。
〔製造方法〕
(個々有機顔料を分散した後、疑似黒色化となるように有機顔料を混色)
有機顔料、顔料分散剤、顔料分散助剤、有機溶剤、必要に応じてバインダー樹脂、更に必要に応じて補色顔料、その他の添加剤からなる混合物を得る。得られた混合物を、ロールミル、ニーダー、高速攪拌装置、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、高圧分散機等の各種分散機を用いて、混練し、分散処理し、有機顔料分散組成物を得る。同様にして、他の有機顔料の顔料分散組成物を得る。
次いで、得られた各顔料分散組成物を疑似黒色化となるように配合し、必要に応じてバインダー樹脂、有機溶剤、その他の添加剤を加えて、高速撹拌機等の撹拌装置を用いて均一に混合した後、フィルターで濾過し、本発明の着色組成物を得る。上記製造方法において、バインダー樹脂は、顔料分散組成物の作製時に加えることができる。また、顔料分散組成物を作製後、着色組成物の作製時に加えることもできる。
【0044】
(共分散)
各顔料を疑似黒色化となるように配合した混色有機顔料、顔料分散剤、顔料分散助剤、有機溶剤、必要に応じてバインダー樹脂、更に必要に応じて補色顔料、その他の添加剤からなる混合物を得る。得られた混合物を、ロールミル、ニーダー、高速攪拌装置、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、高圧分散機等の各種分散機を用いて、混練し、分散処理し、顔料分散組成物を得る。
次いで、得られた顔料分散組成物に、必要に応じてバインダー樹脂、有機溶剤、その他の添加剤を加えて、高速撹拌機等の撹拌装置を用いて均一に混合した後、フィルターで濾過し、本発明の着色組成物を得る。上記製造方法において、バインダー樹脂は、顔料分散組成物の作製時に加えることができる。また、顔料分散組成物を作製後、着色組成物の作製時に加えることもできる。
【0045】
次に、本発明の着色組成物をフォトリソグラフィー法のブラックマトリックス用レジスト組成物(以下、単に「レジスト組成物」ともいう)として用いる例について説明する。
上記レジスト組成物としては、有機顔料として疑似黒色化した混色有機顔料、顔料分散剤、顔料分散助剤、バインダー樹脂、光重合開始剤及び有機溶剤から主として構成され、上記バインダー樹脂としてアルカリ可溶性樹脂及び光重合性化合物を含むものを挙げることができる。
【0046】
<レジスト組成物の構成材料>
(有機顔料)
有機顔料としての疑似黒色化した混色有機顔料は、上記着色組成物で記載したものと同じものを使用する。
有機顔料の使用量は、レジスト組成物の全固形分に対して質量分率で、使用する有機顔料の合計量で好ましくは20〜90質量%、より好ましくは40〜70質量%の範囲である。
【0047】
(顔料分散剤)
顔料分散剤としては、上記着色組成物で記載したものと同じものを使用する。
上記レジスト組成物において、顔料分散剤の使用量は、使用する全有機顔料100質量部に対して、通常1〜200質量部が好ましく、より好ましくは1〜60質量部である。顔料分散助剤の使用量が1質量部未満では、顔料分散性が低下する場合がある。一方、使用する全有機顔料100質量部に対して、200質量部を超える場合は、現像性が低下するおそれがある。
【0048】
(顔料分散助剤)
顔料分散助剤としては、上記着色組成物で記載したものと同じものを使用する。
上記レジスト組成物において、顔料分散助剤の使用量は、使用する全有機顔料100質量部に対して、通常30質量部以下が好ましく、より好ましくは0.1〜20質量部の範囲である。顔料分散助剤の使用量が上記範囲を超えても、顔料分散効果がそれ以上向上されない傾向にある。
【0049】
(バインダー樹脂としてのアルカリ可溶性樹脂)
アルカリ可溶性樹脂としては、有機顔料に対してバインダーとして作用し、かつカラーフィルターを製造する際に、その現像処理工程において用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に対して可溶性を有するものであれば、特に限定されるものではない。なかでも、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体が好ましい。
【0050】
具体的には、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能なスチレン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールメタクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー及びポリメチルメタクリレートマクロモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体との共重合体を挙げることができる。
【0051】
上記共重合体の酸価としては、50〜300mgKOH/gが好ましい。この場合、酸価が50mgKOH/g未満では、レジスト組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する傾向がある。一方300mgKOH/gを超えると、アルカリ現像液に対する溶解性が過大となり、アルカリ現像液により現像する際に、着色層の基板からの脱落や着色層表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
なお、本発明書においては、酸価は理論酸価であり、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とその使用量に基づいて算術的に求めた値をいう。
【0052】
上記レジスト組成物において、アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、通常、1,000〜100,000が好ましい。アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が1,000未満では、アルカリ現像剤に対する溶解性が上がり現像特性が低下する場合がある。一方100,000を超える場合は、有機溶剤への溶解性が低下し、レジスト組成物の粘度が高くなる場合がある。
なお、上記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、GPCに基づいて得られるポリスチレン換算の重量平均分子量である。本発明において、装置としてはWater 2690(ウォーターズ社製)、カラムとしては PLgel 5μ MIXED−D(Polymer Laboratories社製)を用いる。
【0053】
上記レジスト組成物において、アルカリ可溶性樹脂の使用量は、使用する全有機顔料100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部が好ましく、より好ましくは10〜500質量部である。この場合、アルカリ可溶性樹脂の使用量が10質量部未満では、例えば、アルカリ現像性が低下したり、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れや膜残りが発生するおそれがある。一方1,000質量部を超えると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする光学濃度を達成することが困難となるおそれがある。
【0054】
(バインダー樹脂としての光重合性化合物)
光重合性化合物としては、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有するモノマー、オリゴマー等で、上記着色組成物で記載したものと同じものを使用する。
これらの光重合性化合物は、単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。光重合性化合物の使用量は、上記レジスト組成物中の全固形分に対して質量分率で、好ましくは3〜50質量%の範囲である。
【0055】
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリアジン系光重合開始剤等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を併用して用いることができる。
上記光重合開始剤の使用量は、上記レジスト組成物中の全固形分に対して質量分率で、好ましくは1〜20質量%の範囲である。
【0056】
(有機溶剤)
上記レジスト組成物で使用する有機溶剤としては、好ましくは、常圧(1.013×102kPa)における沸点が100〜220℃のエステル系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、エーテルエステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、芳香族炭化水素系有機溶剤、含窒素系有機溶剤等を挙げることができる。沸点が220℃を超える有機溶剤を多量に含有していると、塗布形成された塗膜をプレベークする際に有機溶剤が充分に蒸発せずに乾燥塗膜内に残存し、乾燥塗膜の耐熱性が低下するおそれがある。また、沸点100℃未満の有機溶剤を多量に含有していると、ムラなく均一に塗布することが困難になり、表面平滑性に優れた塗膜が得られなくなるおそれがある。
好ましい溶剤としては、具体的には、上記の有機溶剤と同様のものが挙げられる。
【0057】
これらの有機溶剤の中でも、溶解性、分散性、塗布性等の点で、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、蟻酸n−アミル等が好ましく、より好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
【0058】
更に、これらの有機溶剤は、上記アルカリ可溶性樹脂の溶解性、顔料分散性、塗布性の点から、上記レジスト組成物中、50質量%以上含有させることが好ましく、70質量%以上含有させることがより好ましい。
【0059】
上記レジスト組成物としては、有機顔料、顔料分散剤、顔料分散助剤、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤及び有機溶剤から主として構成されるのものが挙げられ、これらの成分は、レジスト組成物中、通常90〜100質量%を占める。
【0060】
(必要に応じて添加できる添加剤)
上記レジスト組成物には、必要に応じて、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜使用することができる。
【0061】
<レジスト組成物の製造方法>
以上の材料を用いてレジスト組成物を製造する方法の例を説明する。
〔製造方法〕
(個々分散した後、所定の疑似黒色化となるように配合)
有機顔料、顔料分散剤、顔料分散助剤、有機溶剤、必要に応じてアルカリ可溶性樹脂、補色顔料、その他の添加剤からなる混合物を得る。得られた混合物を、ロールミル、ニーダー、高速攪拌装置、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、高圧分散機等の各種分散機を用いて、混練し、分散処理し、顔料分散組成物を得る。同様にして、他の有機顔料の顔料分散組成物を得る。
次いで、得られた各顔料分散組成物を疑似黒色化となるように配合し、光重合性化合物、光重合開始剤、必要に応じてアルカリ可溶性樹脂、有機溶剤、その他の添加剤を加えて、高速撹拌機等の撹拌装置を用いて均一に混合した後、フィルターで濾過し、レジスト組成物を得る。上記製造方法において、アルカリ可溶性樹脂は、顔料分散組成物の作製時に加えることができる。また、顔料分散組成物を作製後、レジスト組成物の作製時に加えることもできる。
【0062】
(共分散)
各顔料を疑似黒色化となるように配合した混色有機顔料、顔料分散剤、顔料分散助剤、有機溶剤、必要に応じてアルカリ可溶性樹脂、更に必要に応じて補色顔料、その他の添加剤からなる混合物を得る。得られた混合物を、ロールミル、ニーダー、高速攪拌装置、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、高圧分散機等の各種分散機を用いて、混練し、分散処理し、顔料分散組成物を得る。
次いで、得られた顔料分散組成物に、光重合性化合物、光重合開始剤、必要に応じてアルカリ可溶性樹脂、有機溶剤、その他の添加剤を加えて、高速撹拌機等の撹拌装置を用いて均一に混合した後、フィルターで濾過し、レジスト組成物を得る。上記製造方法において、アルカリ可溶性樹脂は、着色組成物の作製時に加えることができる。また、着色組成物を作製後、レジスト組成物の作製時に加えることもできる。
【発明の効果】
【0063】
本発明者等は、有機顔料として疑似黒色化となるように配合した混色有機顔料を使用し、顔料分散時に、特定の顔料分散助剤(特定のモノアゾ化合物をスルホン化して得られる顔料分散助剤等)を顔料分散剤と併用して使用することにより、流動性や分散安定性に優れ、且つ、高い光学濃度が得られる効果を見出した。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
【0065】
<顔料>
P.Y.139(C.I.ピグメントイエロー139)
P.Y.83(C.I.ピグメントイエロー83)
P.O.64(C.I.ピグメントオレンジ64)
P.R.254(C.I.ピグメントレッド254)
P.V.23(C.I.ピグメントバイオレット23)
P.B.15:4(C.I.ピグメントブルー15:4)
P.B.15:6(C.I.ピグメントブルー15:6)
【0066】
<顔料分散剤>
ソルスパース24000(会社名:アビシア社製)
BYK−LPN−21324(会社名:ビックケミー社製、顔料親和性基を有するセグメントとバインダー相溶性基を有するセグメントとからなるアクリル系ブロック共重合体)
顔料分散剤1
還流冷却管、窒素ガス導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、片末端に水酸基を有する分子量2000のポリカプロラクトン220部、片末端に水酸基を有する分子量1000のポリエチレングリコール(商品名:ユニオックスM−1000 日油(株)製)54.6部、トルエンジイソシアネート系ポリイソシアネートの酢酸ブチル50%溶液(商品名:コロネート2030 日本ポリウレタン工業(株)製)179.1部を仕込み、約80℃で3時間保持してイソシアネート基と水酸基とを反応させた。次いで、これに3−アミノ−9−エチルカルバゾール35.9部を仕込み、約90℃で1時間保持してイソシアネート基とアミノ基とを反応させ、次いでプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート510gを仕込んで顔料分散剤1(固形分40%)を得た。
【0067】
顔料分散剤2
還流冷却管、窒素ガス導入管、攪拌棒、温度計を備えた四つ口フラスコに、片末端に水酸基を有する分子量2000のポリカプロラクトン220部、片末端に水酸基を有する分子量1000のポリエチレングリコール(商品名:ユニオックスM−1000 日油(株)製)54.6部、トルエンジイソシアネート系ポリイソシアネートの酢酸ブチル50%溶液(商品名:コロネート2030 日本ポリウレタン工業(株)製)172.3部を仕込み、約80℃で3時間保持してイソシアネート基と水酸基とを反応させた。次いで、これに4−アミノベンゼン332.4部を仕込み、約90℃で1時間保持してイソシアネート基とアミノ基とを反応させ、次いでプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート475gを仕込んで顔料分散剤2(固形分40%)を得た。
【0068】
<顔料分散助剤>
(顔料分散助剤1)
100ml三角フラスコに濃硫酸を30ml仕込み、マグネチックスターラーで攪拌しながらピグメントレッド2(上記式(3)及び/又は(4)で表される化合物)を10g投入し、室温で30分攪拌した。1Lビーカーに水50gと氷50gの混合物を入れ、上記の反応物をこの氷水中に注ぎ、マグネチックスターラーで30分攪拌した。これを減圧下で濾過・水洗し、得られた固体を乾燥させて、目的物(上記一般式(31)及び/又は(32)で表される化合物:M=H)12gを得た。
(顔料分散助剤2)
フタロシアニン誘導体(商品名:ソルスパース5000、会社名:アビシア社製)
【0069】
<アルカリ可溶性樹脂>
BMM/MAA共重合体(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、理論酸価:120mgKOH/g、重量平均分子量:25,000)
<光重合性化合物>
DPEHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
<光重合開始剤>
イルガキュア907(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン)
<有機溶剤>
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0070】
参考例1〜4、8、実施例5〜7、9、10及び比較例1〜6
<ブラックマトリックス用着色組成物>
表1の組成の混合物を、ビーズミルで、40〜50℃の温度で3時間混練し、参考例1〜4、8、実施例5〜7、9、10及び比較例1〜6にかかる着色組成物を得た。尚、組成を表す数値の単位は、質量部である。
【0071】
参考例11〜14、18、実施例15〜17、19、20及び比較例7〜12
<ブラックマトリックス用レジスト組成物>
上記着色組成物と他の材料とを表2の組成になるように高速攪拌機を用いて均一に混合した後、孔径3μmのフィルターでろ過し、参考例11〜14、18、実施例15〜17、19、20及び比較例7〜12のブラックマトリックス用レジスト組成物を得た。
尚、組成を表す数値の単位は、質量部である。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
評価方法
下記評価を行い、結果を表1及び表2に示した。
<流動性>
上記実施例、比較例、参考例の着色組成物及びレジスト組成物について、それぞれガラス瓶に採り、密栓し室温で1日保存した後、B型粘度計(トキメック社製)を用いて25℃における粘度[mPa・s]を測定し、流動性を評価した。
【0075】
<分散安定性>
上記実施例、比較例、参考例の着色組成物及びレジスト組成物について、それぞれガラス瓶に採り、密栓し室温で1日保存した後の25℃の粘度[mPa・s]、40℃において7日保存した後の粘度[mPa・s]をB型粘度計(トキメック社製)を用いて測定した。分散安定性は、(40℃において7日保存した後の粘度)/(室温で1日保存した後の粘度)を求め、評価した。
【0076】
<レジストパターンの光学濃度(OD値)>
各レジスト組成物をスピンコーターにて膜厚1μmとなるようにガラス基板上に塗布し、100℃で3分間プレベークした後、高圧水銀灯で露光し、更に230℃で30分間ポストベークを行い、ベタ部のみで形成されたブラックレジストパターンを得た。得られた各ベタ部のブラックレジストパターンの光学濃度(OD値)をマクベス濃度計(TD−931、商品名、マクベス社製)で測定した。
【0077】
<レジストパターンの抵抗値>
上記の方法で得られたブラックレジストパターンの表面抵抗値を抵抗測定器(R8340/8340A、商品名、アドバンテスト社製)で測定した。
【0078】
<塗膜色相>
上記の方法で得られたブラックレジストパターンの色相を目視にて観察し、色相を評価した。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のブラックマトリックス用着色組成物は、液晶表示装置等のカラーフィルターのブラックマトリックス形成に好適に使用できる。