(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5739172
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】モータおよび航空機の舵面駆動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 21/14 20060101AFI20150604BHJP
H02K 1/16 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
H02K21/14 M
H02K1/16 C
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-10036(P2011-10036)
(22)【出願日】2011年1月20日
(65)【公開番号】特開2012-152062(P2012-152062A)
(43)【公開日】2012年8月9日
【審査請求日】2013年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】白井 康行
【審査官】
田村 耕作
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2000/062400(WO,A1)
【文献】
特開2005−042632(JP,A)
【文献】
特開2004−353521(JP,A)
【文献】
実公昭15−012046(JP,Y1)
【文献】
国際公開第2007/010934(WO,A1)
【文献】
特開平04−340338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 21/14
H02K 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の芯部に跨るように巻き付けられたコイルが、磁極を有するロータの軸心を通る仮想第1平面を基準として、この仮想第1平面からロータ回転方向及びその反対方向に所定角度回動した方向の仮想第2平面までの範囲内にのみ配置され、
複数の芯部のうち、前記仮想第2平面側の少なくともいずれかの端部に配置された芯部には、補助コイルが巻き付けられ、
前記補助コイルには、複数の芯部に跨るように巻き付けられた第1補助コイルと、この第1補助コイルよりも少ない数の芯部に巻き付けられた第2補助コイルとが含まれているモータ。
【請求項2】
前記仮想第2平面側であって、前記ロータ回転方向の端部および前記反対方向の端部に配置された芯部に前記補助コイルが巻き付けられている請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記コイルには、第1相の電流が流れる第1コイルと、第2相の電流が流れる第2コイルと、第3相の電流が流れる第3コイルと、が含まれ、
前記第1コイル、前記第2コイル及び前記第3コイルは、何れも、互いに隣接する複数の芯部に跨って巻き付けられている請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記複数の芯部には、前記コイル及び前記補助コイルの双方が巻き付けられた芯部が含まれている請求項1から3の何れか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記複数の芯部には、前記第1補助コイルと前記第2補助コイルの双方が巻き付けられた芯部が含まれている請求項1から4の何れか1項に記載のモータ。
【請求項6】
ステータ及び前記ロータを収容するケースを備えており、
前記ケースは、前記仮想第1平面に直交する方向の長さが、前記仮想第1平面に平行な方向の長さよりも短い請求項1から5の何れか1項に記載のモータ。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載のモータと、動翼に結合され、前記モータの回転力を直線運動に変換する直動機構とを備えた航空機の舵面駆動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は
、モータ
および航空機の舵面駆動アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、モータで駆動されるアクチュエータが知られている。
図7に示すように、特許文献1に開示されたアクチュエータでは、駆動軸61aが水平になるように配置されたモータ61の下方にボールスクリュー63が水平に配置され、モータ61の駆動軸61aとボールスクリュー63とが減速機構65を介して連結されている。そして、ボールスクリュー63はモータ61の回転数に対して所定比率で減速された回転数で回転し、これにより、被駆動部を駆動する。アクチュエータが航空機の舵面を駆動するためのアクチュエータである場合には、被駆動部が舵面若しくは舵面に連結された機構となる。
【0003】
アクチュエータを駆動するモータとして、例えば下記特許文献2に開示されているように、インナーロータ型の直流三相モータが知られている。この直流三相モータは、円環状をなすステータの内側にロータが回転可能に配置された構成のモータである。ステータは、径方向内側に向けて延びるティースが周方向に等間隔に設けられる構成となっており、この各芯部(ティース)にそれぞれコイルが巻き付けられている。これらのコイルは、U相、V相、W相のコイルが順に配置される構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0093694号明細書
【特許文献2】特開2010−142006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献2に開示されたようなインナーロータ型の直流三相モータを航空機の舵面を駆動するためのアクチュエータに用いる場合、アクチュエータを収容する翼部の厚みを薄型化するには限界がある。すなわち、モータのステータが円環状となっているため、アクチュエータを収容する翼部は、ステータの直径分の厚みが少なくとも必要とな
る。
【0006】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは
、翼部の薄型化に寄与す
るモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明は、
複数の芯部に跨るように巻き付けられたコイル
が、
磁極を有するロータの軸心を通る仮想第1平面を基準として、この仮想第1平面からロータ回転方向及びその反対方向に所定角度回動した方向の仮想第2平面までの範囲内にのみ配置され
、複数の芯部のうち
、前記仮想第2平面側の少なくともいずれかの端部に配置された芯部には、補助コイルが巻き付けられ、前記補助コイルには、複数の芯部に巻き付けられた第1補助コイルと、この第1補助コイルよりも少ない数の芯部に巻き付けられた第2補助コイルとが含まれてい
るモータである。
【0008】
本発明では
、コイルが仮想第1平面からロータ回転方向及びその反対方向に所定角度回転した方向の仮想第2平面までの範囲内にのみ配置される構成なので、コイルがロータの全周に亘って配置される構成に比べ、仮想第1平面と直交する方向のステータの幅を小さくすることができる。この結果
、モータの厚みを薄くすることが可能となる。
そして、仮想第2平面側の少なくともいずれかの端部に配置された芯部に補助コイルが巻き付けられ、補助コイルには第1補助コイルと第2補助コイルとが含まれている。したがって、外径を大きくすることなく、モータトルクを増加させることができる。
【0009】
ここで、
前記仮想第2平面側であって、前記ロータ回転方向の端部および前記反対方向の端部に配置された芯部に前記補助コイルが巻き付けられていてもよい。
また、前
記コイル
に、第1相の電流が流れる第1コイルと、第2相の電流が流れる第2コイルと、第3相の電流が流れる第3コイルと、が含まれる場合には、前記第1コイル、前記第2コイル及び前記第3コイルは、何れも、互いに隣接する複数の芯部に跨って巻き付けられ
る。
【0010】
この態様では、第1コイル、第2コイル及び第3コイルがそれぞれ複数の芯部に巻き付けられる、いわゆる分布巻きとなっている。したがって、トルクリップルの低下の為にティースやロータ形状や電流印加方法の特別な工夫をしなくても、比較的滑らかに駆動することができる。このため、振動及び騒音を低減でき、出力の大きなモータであっても振動及び騒音を低減できるとともに信頼性を向上することができる。
【0011】
前記複数の芯部
には、前記コイル及び前記補助コイルの双方が巻き付けられた芯部が含まれていてもよい。
前記複数の芯部には、前記第1補助コイルと前記第2補助コイルの双方が巻き付けられた芯部が含まれていてもよい。
【0012】
この態様では、ステータの外径を大きくすることなく、モータトルクを増加させることができる。
【0013】
前
記モータは
、ステータ及び前記ロータを収容するケースを備えていてもよく、この場合には、前記ケースは、前記仮想第1平面に直交する方向の長さが、前記仮想第1平面に平行な方向の長さよりも短くてもよい。この態様では、薄型のケースにステータ及びロータが収容された構成となる。
【0014】
また本発明は、前記モータと、動翼に結合され、前記モータの回転力を直線運動に変換する直動機構とを備えた航空機の舵面駆動アクチュエータ
である。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、翼部の薄型化に寄与することができ、他のモータトルクとのトルク合成が不要である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る直流三相モータが設けられた舵面駆動アクチュエータを概略的に示す図である。
【
図3】前記直流三相モータに設けられるステータを示す図である。
【
図6】補助コイルを有しない態様の直流三相モータの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
本実施形態に係る直流三相モータは、舵面駆動アクチュエータの駆動源として構成されたモータであり、インナーロータ型の直流三相モータである。舵面駆動アクチュエータは、例えば航空機の翼部の中に収容され、エルロン、エレベーター、ラダー等の動翼を駆動するために用いられる。
【0019】
図1に示すように、舵面駆動アクチュエータ10は、本実施形態に係る直流三相モータ(以下、駆動モータ12と称する)と、この駆動モータ12の駆動軸12aの回転数を所定の比率で減速する減速機構14と、減速機構14によって減速された回転駆動力を直線運動に変換する直動機構16と、を備えている。直動機構16は、例えばボールねじによって構成されており、減速機構14の伝達軸14aに固定されたナット16aと、このナット16aに螺合する雄ねじシャフト16bとを備えている。ナット16aは、減速機構14の伝達軸14aと一体的に回転する。雄ねじシャフト16bは、ナット16aの回転に伴って直線運動する。雄ねじシャフト16bの先端部は、動翼20にピン結合されている。
【0020】
減速機構14は、駆動モータ12の駆動軸12aに固定された駆動ギア14bの回転数を減速する第1減速ギア14cと、この第1減速ギア14cの回転数をさらに減速する第2減速ギア14dとを有し、この第2減速ギア14dには前記伝達軸14aが突設されている。
【0021】
或いは、伝達軸14aに固定された螺合する雄ねじシャフト16bを回転させ、雄ねじシャフト16bに螺合するナット16aを直線運動させてもよい。
【0022】
駆動モータ12は、モータ本体22とこのモータ本体22から延出された駆動軸12aとを有する。駆動軸12aは、例えば直動機構16の雄ねじシャフト16bと平行になるように配置されていてもよい。駆動モータ12は、例えば水平尾翼24の中に配設される場合には、駆動軸12aは例えば水平向きになるように配置されていてもよい。なお、上から見た時に、駆動軸12a及び雄ねじシャフト16bが同じ方向になるように配置される構成であってもよく、或いは異なる方向に配置される構成であってもよい。
【0023】
図2は、駆動モータ12のモータ本体22を駆動軸12a方向に見たときの概略図である。
図2は一例としてロータ磁極数を8極としたものである。
図2に示すように、モータ本体22は、ケース26と、このケース26の中に配設されたステータ28及びロータ30とを備えている。
【0024】
ケース26は、軸方向に直交する方向の断面が一方向(
図2では左右方向)に長い形状に形成されており、ケース26は、長手方向の端に位置する一対の長手側端部26aと、この両長手側端部26aを互いに接続する一対の平行部26bと、を備えている。平行部26bは何れも平板状に形成されていて互いに平行となっており、長手側端部26aの両端部(
図2における上側端部及び下側端部)に接続されている。したがって、両平行部26b同士の間隔は、長手側端部26a同士の間隔よりも小さくなっている。本実施形態のように、駆動軸12aが例えば水平になるように配置される場合には、一方の平行部26bがケース26の上壁となり、他方の平行部26bがケース26の底壁となる。なお、長手側端部26aは、
図2のように、中間の箇所で折れ曲がり、複数の平坦部を接続した形状に限られるものではなく、円弧状に形成されていてもよい。
【0025】
ステータ28は、一対のステータ部32を備えている。ステータ部32は、ロータ30を挟んで両側に配置されており、各ステータ部32は、それぞれケース26の長手側端部26aの内面に固定されている。ステータ28は一体的に形成されている。すなわち、
図3にも示すように、ステータ28が、両ステータ部32の間に配置される連結部33を備え、この連結部33によって両ステータ部23を連結することにより、ステータ28が一体的に形成される構成となっている。なお、
図4又は
図5に示すように、連結部33が省略されることにより、ステータ28が、互いに離間した一対のステータ部28を備える構成としてもよい。このうち、
図4のステータ部32には、端に位置する芯部32bとの間にスロットを形成するとともにケース26にも固定される略三角形状の三角状部32cが設けられており、
図5のステータ部32では、三角状部32cが省略されている。
【0026】
両ステータ部32は、同じ形状に形成されている。各ステータ部32は、長手側端部26aの内面に沿う形状の本体部32aと、この本体部32aから内側に延出する複数(本実施形態は、7つ)の芯部32bとを有する。本体部32aは、外周面がケース26の長手側端部26aの内面に接合され、平坦な端面(
図2における上下方向の端面)がケース26の平行部26bの内面に接合されている。
【0027】
本体部32aの内周面は全体としてロータ30の外周面に沿う形状となっており、この内周面に前記複数の芯部32bが一体的に形成されている。芯部32bは、互いに所定の間隔をおいて配置されていて、各芯部32bは、ロータ30の半径方向又はその方向に対して少し傾斜した方向に長い形状である。
【0028】
ロータ30は、駆動軸12aの軸方向に所定長さを有する円筒状に形成されている。ロータ30は、磁極30aを有しており、この磁極30aは、径方向外側の面において、ロータ30の周方向に複数の磁極が現れるように着磁されている。
図2に示す「N」「S」は、それぞれ外面にN極の磁極、S極の磁極が現れていることを示している。なお、磁極30aは円筒状に形成された一体ものでもよく、あるいは、複数の磁石を組み付けて円筒状に形成した構成のものでもよく、必ずしも磁石が外表面にある必要は無い。
【0029】
芯部32bは、ロータ30の周方向の一部の範囲にのみ対向するように配置されている。具体的には、ロータ30の軸心Oを通る仮想第1平面P1を基準として、この仮想第1平面P1からロータ30回転方向及びその反対方向に所定角度回動した方向の2つの仮想第2平面P2までの範囲内にのみ芯部32bが配置されている。したがって、この範囲外の領域、すなわち仮想第1平面P1に直交する方向に対して所定角度範囲の領域には、芯部32bは配置されていない。ステータ28が連結部33を有しない構成のうち三角状部32cが設けられていない構成(
図5参照)においては、この領域はステータ28が配置されない空間となる。芯部32b(コイル)が所定角度範囲内の領域にのみ配置される構成では、ロータの全周にコイルが配設される構成に比べてモータトルクが低減される傾向となるため、それを補うべく、芯部32bの長さを仮想第1平面P1方向に長くして、その分コイルを多く巻くことができるようになっている。
【0030】
仮想第1平面P1は、ケース26の平行部26bに平行な平面であり、仮想第2平面P2は、ロータ30の軸心Oにおいて仮想第1平面P1と交差する平面である。仮想第1平面P1と仮想第2平面P2とのなす角度θは、特に制限ないが、例えば70度以下の範囲である。ケース26は、仮想第1平面P1に直交する方向の長さが、仮想第1平面P2に平行な方向の長さよりも短い形状となっている。
【0031】
本実施形態では、ロータ30の外面に8つの磁極が現れている。そして、1つの磁極に対して3つの芯部32bが対向している。1つの磁極はロータ30の軸心回りの45度に相当する幅となっており、各ステータ部32において、仮想第1平面P1を挟んで配置された芯部32bは、1つのS極と1つのN極に対向し得る。そして、5つの芯部32b(両端の芯部32bを除いた芯部32b)に三相の各相(U相、V相、W相)の電流が給電されるコイル35a,35b,35cが巻き付けられている。すなわち、仮想第1平面P1からロータの30回転方向及びその反対方向に所定角度回動した方向の2つの仮想第2平面P2までの範囲内にのみコイル35a,35b,35cが配置されている。また、後述する補助コイル35dもこの範囲内に配置されている。
【0032】
なお、ロータ30の外面に8つの磁極30aが現れる構成に限られるものではなく、例えば、6,10,12等、6以上の偶数個の磁極30aが現れる構成であればよい。また、1つの磁極30aに対して3つの芯部32bが対向する構成に限られるものではなく、1つの磁極30aに対して3の倍数個の芯部32b、すなわち、3N(N=1,2,・・)個の芯部32bが対向する構成であればよい。
【0033】
コイルとしては、第1相(例えばU相)の電流が流れる第1コイル35aと、第2相(例えばV相)の電流が流れる第2コイル35bと、第3相(例えばW相)の電流が流れる第3コイル35cとがある。第1コイル35a、第2コイル35b及び第3コイル35cは何れも、前記6つの芯部32bのうち、互いに隣接する3つの芯部32b(1磁極分)に跨って巻き付けられている。なお、芯部を増やした場合(N=2以上)、4つ以上の芯部を跨って巻きつけられる。そして、第1コイル35a、第2コイル35b及び第3コイル35cの順に、ロータ30の回転方向に1つの芯部32b(1/3極)ずつずれるように配置されている。
【0034】
なお、
図2では、コイル35a,35b,35cが芯部32bの一部に巻き付けられているかのように便宜上描かれているが、コイル35a,35b,35cは芯部32bの全体に巻き付けられている。
【0035】
両端の芯部32bには前記コイル35a,35b,35cが巻き付けられていないが、その代わり、両端の芯部32bには補助コイル35dが巻き付けられている。補助コイル35dは、前記コイル35a,35b,35c(3の倍数個設けられるコイル)以外に設けられるコイルであり、前記コイル35a,35b,35cのみの場合によるトルクを増大させるために設けられている。補助コイル35dは、端に配置された芯部32bを含む2つ又は3つ(N=2以上の場合、3つ以上または4つ以上)の芯部32bに跨るように装着されている。
図2の上側の補助コイル35dには、例えば、V相とW相の電流が流れ、
図2の下側の補助コイル35dには、例えば、U相とV相の電流が流れる。補助コイル35dを設けることにより、モータトルクを増大させることができる。なお、さらなる薄型化が要求される場合には、
図2の両端の芯部32bを省略して、補助コイル35dを装着しない構成にすることもできる。また、
図6に示すように、
図1のステータ28を用いつつ、補助コイル35dを装着しない構成としてもよい。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の駆動モータ12では、互いに隣接する3N個の芯部32bの内周面が、ロータ30に設けられた磁極30aの外側面の1つの磁極の幅に収まるように配置されているため、三相の各相の電流がコイル35a,35b,35cに印加された場合に、コイル35a,35b,35cの周囲に生じる磁束の流れに対するステータ28とロータ30との間の磁気的な作用力をロータ30の駆動力とすることができる。しかも、コイル35a,35b,35c,35dを有するステータ部32が仮想第1平面P1からロータ30の回転方向及びその反対方向に所定角度回転した方向の仮想第2平面P2までの範囲内にのみ配置される構成なので、ステータ部32及びコイル35a,35b,35cがロータ30の全周に亘って形成される構成に比べ、仮想第1平面P1と直交する方向のステータ28の幅を小さくすることができる。この結果、直流三相モータの厚みを薄くすることが可能となる。したがって、他のモータの出力と合成することなく、所望の出力を得ることができる。
【0037】
また本実施形態では、第1コイル35a、第2コイル35b及び第3コイル35cがそれぞれ複数の芯部32bに巻き付けられる、いわゆる分布巻きとなっている。したがって、トルクリップルの低下の為にティースやロータ形状や電流印加方法の特別な工夫をしなくても、比較的滑らかに駆動することができる。このため、振動及び騒音を低減でき、出力の大きなモータであっても振動及び騒音を低減できるとともに信頼性を向上することができる。
【0038】
また本実施形態では、複数の芯部32bのうち、仮想第2平面P2側の端部に配置された芯部32bには、補助コイル35dが巻き付けられているので、ステータ28の外径を大きくすることなく、モータトルクを増加させることができる。
【0039】
また本実施形態では、薄型のケース26にステータ28及びロータ30が収容された構成となっており、ケース26の平行部26bを設置面としても利用することができるため、モータを安定して設置しやすくなる。
【0040】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
【0041】
前記実施形態では、直動機構16と駆動モータ12とが上下方向に並んで配置される例を示したが、これに限られるものではない。例えば、直動機構16の軸方向に駆動モータ12が配置される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 舵面駆動アクチュエータ
12 駆動モータ
12a 駆動軸
22 モータ本体
26 ケース
26a 長手側端部
26b 平行部
28 ステータ
30 ロータ
30a 磁石
32 ステータ部
32a 本体部
32b 芯部
32c 内側部
32d 外側部
35a 第1コイル
35b 第2コイル
35c 第3コイル
35d 補助コイル
O 軸心
P1 仮想第1平面
P2 仮想第2平面