(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像処理手段(13)は、前記内容物領域の画像を前記内容物の整列方向と直交する方向に縮小し、この縮小した画像と前記内容物領域の画像との差分画像から前記凸部領域を分離して抽出することを特徴とする請求項1記載のX線検査装置。
前記画像処理手段(13)は、前記内容物領域の画像を、予め前記内容物の整列方向と直交する方向の凸部の形状に合わせて設定される形状認識パターンと照合して前記凸部領域を抽出することを特徴とする請求項1記載のX線検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のX線透過画像を用いた検査では、被検査体の収容体内で内容物が傾いていたり、内容物同士が重なっていたりすると、内容物を1個1個認識できず、内容物の個数検査を正確に行うことができなかった。また、作業者による内容物の目視検査では、製造ラインに目視用に作業者を配置する必要があった。しかも、中身が透けて見える収容体内に内容物が包装され、作業者が収容体内の内容物を外部から確認できることが必要不可欠であった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、目視用の作業者を必要とせず、従来に比べて被検査体の内容物の個数を正確に検査することができるX線検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載されたX線検査装置は、
搬送部2を有し、内容物が縦詰め
され前記搬送部の搬送面に対して平行に整列
して収容された被検査体Wを順次搬送させながら
該被検査体に対して前記搬送部の搬送面と直交する方向からX線を照射し、このX線の照射に伴うX線濃度データからなるX線透過画像に基づいて前記被検査体を検査するX線検査装置1において、
前記X線透過画像から前記内容物に相当する内容物領域を
予め設定されたリミット値で二値化して抽出し、さらに抽出した内容物領域から前記内容物の整列方向と直交する方向の該内容物の凸部領域を抽出して計数する画像処理手段13と、
前記画像処理手段による前記凸部領域の計数値に基づいて前記内容物の個数を判別する判別手段14とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載されたX線検査装置は、請求項1のX線検査装置において、
前記画像処理手段13は、前記内容物領域の画像を前記内容物の整列方向と直交する方向に縮小し、この縮小した画像と前記内容物領域の画像との差分画像から前記凸部領域を分離して抽出することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載されたX線検査装置は、請求項1のX線検査装置において、
前記画像処理手段13は、前記内容物領域の画像を、予め前記内容物の整列方向と直交する方向の凸部の形状に合わせて設定される形状認識パターンと照合して前記凸部領域を抽出することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載されたX線検査装置は、請求項1〜3の何れかのX線検査装置において、
前記判別手段14の判別結果に基づく前記内容物の個数を表示する表示装置7を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、内容物の重なりの影響を受けずに内容物の個数を検査することができ、従来に比べて安定した内容物の個数検査が可能になる。しかも、内容物の個数を検査するための目視用の作業者が不要になり、目視用に製造ラインに配置していた人員を削減することができる。また、内容物の個数検査の結果を表示により目視で容易に確認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。尚、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者などによりなされる実施可能な他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれる。
【0015】
図1は本発明に係るX線検査装置のブロック構成図、
図2(a),(b)は本発明に係るX線検査装置で使用される形状認識パターンの例を示す図、
図3(a)〜(f)は本発明に係るX線検査装置による内容物個数検査処理の流れの一例を示す説明図、
図4(a)〜(e)は本発明に係るX線検査装置による内容物個数検査処理の流れの他の一例を示す説明図である。
【0016】
本発明に係るX線検査装置は、製造ラインの一部に設けられ、ベルトコンベアなどの搬送手段を介して順次搬送される被検査体にX線を照射し、このX線の照射に伴って被検査体を透過したX線透過量に基づくX線濃度データからなるX線透過画像により被検査体の各種検査(内容物個数検査、異物混入検査)を行うものである。
【0017】
本例のX線異物検出装置1は、
図1に示すように、搬送部2、X線発生部3、X線検出部4、操作部5、信号処理部6、表示装置7を備えて概略構成される。
【0018】
尚、以下では、表示装置7が操作部5と別体に構成される例について説明するが、表示装置7を操作部5の操作パネルに組み込んで一体化した構成としても良い。
【0019】
搬送部2は、被検査体Wを1つずつ所定間隔をおいて順次搬送するもので、例えば装置本体に対して水平に配置されたベルトコンベアで構成される。搬送部2は、
図1に示す駆動モータMの駆動により予め設定された一定の搬送速度で搬入口から搬入された被検査体Wを搬出口側に向けて搬送させる(
図1の搬送方向X)。尚、搬送部2は、ベルトコンベアに限定されるものではなく、被検査体の種類に応じて適宜選択される。
【0020】
検査対象となる被検査体Wは、同一品種の内容物が収容体(内容物の個数に応じて仕切りが設けられたトレイ、袋状の包装体、包装体とトレイの組み合わせ)内に密着して縦詰めして整列収容された製品である。具体的には、例えばクッキー、ビスケット、チョコレートなどを内容物とし、区分けされたトレイに対し、同一品種の複数の内容物を密着して縦に整列させて包装体の中に詰め込んだもの、同一品種の複数の内容物を直接包装体の中に一列に密着して縦詰めしたものなどがある。
【0021】
X線発生部3は、搬送部2の上方に所定高さ離れて設けられる。X線発生部3は、金属製の箱体内部に設けられる円筒状のX線管を不図示の絶縁油により浸漬した構成であり、X線管の陰極からの電子ビームを陽極ターゲットに照射させてX線を生成している。X線管は、その長手方向が被検査体Wの搬送方向(X方向)となるように配置されている。X線管により生成されたX線は、下方のX線検出部4に向けて、不図示のスリットにより略三角形状のスクリーン状となって搬送方向(X方向)を横切るように照射されるようになっている。
【0022】
X線検出部4は、搬送部2の下方にX線発生部3と対向して設けられ、被検査体WへのX線の照射領域平面上で被検査体Wの搬送方向Xと直交するY方向に複数の素子が一直線上に配置されたラインセンサで構成される。ラインセンサは、ライン状に整列して配設された複数のフォトダイオードと、ライン状のフォトダイオード上に設けられたシンチレータとからなり、被検査体WへのX線の照射に伴って被検査体Wを透過してくるX線をシンチレータで受けて光に変換し、この変換された光を対応するフォトダイオードで受光し、受光した光を電気信号に変換し、1ライン毎のX線濃度データ(X線透過量)として出力する。
【0023】
すなわち、X線検出部4は、受けたX線の強さに対応したレベルを有する電気信号を出力するものであり、Y方向に直線状に配置された複数の素子を1ラインとして各素子毎に被検査体Wを透過するX線を検出し、各素子が検出したX線透過量を1ラインのX線濃度データとして、被検査体Wの搬送に伴って1ライン毎に順次出力を繰り返している。
【0024】
図1に示すように、搬送部2の搬入口側には、被検査体Wの通過を検出するための位置検出手段11が設けられている。位置検出手段11は、搬送部2としてのベルトコンベアの入口側に設けられる一対の投受光器からなるフォトセンサで構成される。位置検出手段11は、被検査体Wがフォトセンサの前を通過している間だけオン信号を出力している。そして、このオン信号がタイミング信号として信号処理部6に入力される。
【0025】
操作部5は、例えば複数の操作ボタンや操作キーなどを備えた操作パネルからなる。操作部5は、ユーザの入力操作により、表示装置7に不図示の設定入力画面を表示させ、搬送部2上を搬送される被検査体W(トレイ、包装体、内容物)の種類、X線検出部4からX線濃度データを取得するためのサンプリング周期、搬送速度などの検査に必要な各種条件設定を行っている。
【0026】
信号処理部6は、CPUやメモリなどで構成され、位置検出手段11が被検査体Wを検出したときのオン信号をタイミング信号とし、位置検出手段11がオン信号を出力している期間を被検査体Wの長さと判断し、操作部5からの操作情報に応じてX線検出部4からの電気信号によるX線濃度データを取り込み、追って
図3や
図4を参照しながら説明する内容物個数検査処理を含む各種信号処理を行っている。
【0027】
信号処理部6は、
図1に示すように、画像記憶手段(データメモリ)12、画像処理手段13、判別手段14を備えている。
【0028】
画像記憶手段12は、位置検出手段11からのタイミング信号のタイミングにより、被検査体W毎のX線濃度データを格納している。X線濃度データは、X線検出部4からの電気信号を不図示のA/D変換器によりA/D変換したデータを位置検出手段11の検出タイミングで取り込むことにより得られる。さらに説明すると、画像記憶手段12には、1つの被検査体Wの検査を行う毎に、X線検出部4の1ライン(
図1のY方向)あたり例えば640個のX線濃度データが、少なくとも搬送される被検査体Wの搬送方向の長さ(前端から後端までの検出期間に相当)に対応した所定ライン数(480ライン)だけ格納される。
【0029】
画像処理手段13は、画像記憶手段12に格納された1つの被検査体WのX線濃度データからなるX線透過画像に基づいて各種画像処理を行うもので、内容物領域抽出手段21、凸部領域抽出手段22、凸部領域計数手段23を備えている。
【0030】
内容物領域抽出手段21は、画像記憶手段12に格納された1つの被検査体WのX線濃度データに基づくX線透過画像において、予め設定される検出リミット値により被検査体Wの内容物のみの画像を二値化して抽出している。この内容物のみの画像を二値化して抽出する際には、予め操作部5より収容体と内容物の各X線透過量の略中間レベル付近に検出リミット値を設定しておく。一般に、内容物の方が収容体よりもX線透過量が低い。このため、内容物領域抽出手段21は、画像記憶手段12のX線濃度データに基づくX線透過画像において、予め設定される検出リミット値より低い領域を内容物と判定し、この内容物のみの画像を二値化して抽出する。
【0031】
凸部領域抽出手段22は、内容物領域抽出手段21が二値化して抽出した内容物のみの画像(以下、内容物抽出画像とも言う)に画像処理を施し、内容物毎の凸部領域を抽出している。この凸部領域を抽出する際には、内容物領域抽出手段21が二値化して抽出した内容物抽出画像を内容物の整列方向(被検査体Wの搬送方向)と直交する方向に縮小し、この縮小した縮小画像の反転画像と元の内容物抽出画像とを重ね合わせる(縮小画像と元の内容物抽出画像との差分画像を得る)。そして、重ね合わせ画像から内容物の整列方向と直交する方向の上下端の編曲点である凸部領域を抽出し、重ね合わせ画像を1個1個の内容物の領域に対応した複数の分離領域に分離する。
【0032】
また、凸部領域抽出手段22は、内容物抽出画像において、
図2(a),(b)に示すような形状認識パターンと略一致する領域を凸部領域として抽出することもできる。形状認識パターンは、被検査体Wの内容物の整列方向と直交する方向の凸部の形状に合わせ、予め検査前に凸部領域抽出手段14aに被検査体W毎に設定記憶される。
【0033】
図2(a)の形状認識パターンは、例えば
図3(a)に示すように、内容物の中心部分の縦断面が紡錘形状をなすとともに(同図(a)参照)、平面視した形状が円形をなす6個の内容物がトレイ上に縦詰めして整列された被検査体Wの内容物の個数検査に用いられる。また、
図2(b)の形状認識パターンは、例えば
図4(a)に示すように、内容物の縦断面が長方形状をなすとともに(同図(a)参照)、平面視した形状が方形をなす8個の内容物がトレイ上に縦詰めして整列された被検査体Wの内容物の個数検査に用いられる。
【0034】
凸部領域計数手段23は、凸部領域抽出手段22が抽出した凸部領域(分離領域)の個数を計数している。また、凸部領域計数手段23は、凸部領域の全体個数だけでなく、上端の凸部領域と下端の凸部領域とにそれぞれ分けて個数を計数しても良い。さらに、凸部領域計数手段23は、被検査体Wの内容物毎に基準長(内容物1個当たりの基準になる整列方向の長さ)を予め設定しておき、凸部領域の整列方向の長さを基準長で除算して得られる値を凸部領域の個数として計数しても良い。
【0035】
判別手段14は、
図1に示すように、個数判別手段14a、異物判別手段14b、良品判別手段14cを備えている。
【0036】
個数判別手段14aは、凸部領域計数手段23が計数した凸部領域の計数値に基づいて被検査体Wの収容体内の内容物の個数を判別し、判別した個数を判別信号として良品判別手段14cに出力している。さらに説明すると、個数判別手段14aは、凸部領域計数手段23が1個の内容物の上下端それぞれに相当する凸部領域を計数するので、凸部領域の計数値を2で除算した値を内容物の個数として判別し、その個数を判別信号としている。
【0037】
なお、隣接する内容物の上端又は下端が重なるなどにより、凸部領域計数手段23による凸部領域の計数値が奇数のときは、(1)凸部領域の計数値を2で除算して四捨五入した値、(2)凸部領域の計数値に1を加算した後に2で除算した値、(3)凸部領域の上下端で多い方の計数値を内容物の個数として判別するようにしても良い。
【0038】
異物判別手段14bは、被検査体Wの収容体内の領域において、濃淡レベルが他と違う部分を異物として判断している。さらに説明すると、異物判別手段14bは、記憶手段12に格納された被検査体WのX線濃度データから異物を強調する処理を施して異物強調画像を生成し、この異物強調画像の濃淡レベルと、操作部5により予め設定された異物検出リミット値とを比較し、異物強調画像の濃淡レベルが異物検出リミット値を越えたときに、その被検査体Wに異物が混入していると判別している。このときの判別結果は、判別信号(OK信号、又はNG信号)として良否判別手段14cに出力される。なお、異物検出リミット値は、被検査体W毎に操作部5から適宜設定可能とされている。
【0039】
良品判別手段14cは、個数判別手段14aからの判別信号と異物判別手段14bからの判別信号に基づき、その被検査体Wが正常又は不良を示す選別信号を外部出力している。すなわち、良否判別手段14cは、個数判別手段14a及び異物判別手段14bの両方から正常を示す判別信号(OK信号)が入力されると、その被検査体Wに欠品及び異物混入無しと判別し、正常を示す選別信号を外部出力する。これに対し、個数判別手段14aから欠品を示す判別信号(NG信号)が入力されるか、異物判別手段14bから異物混入を示す判別信号(NG信号)が入力されると、被検査体Wに欠品及び/又は異物混入有りと判別し、不良を示す選別信号を外部出力する。
【0040】
表示装置7は、操作部5からの所定のキー操作により、不図示の設定入力画面の表示の他、判別手段14の判別結果に基づき、搬送部2上に搬送される被検査体Wを平面視したX線透過画像、1個の被検査体Wの収容体内の内容物の個数、「OK」や「NG」の良否判別結果、総検査数、良品数、NG総数などの検査結果を表示している。
【0041】
次に、上記構成によるX線検査装置1を用いて被検査体Wの内容物の個数を検査する場合の信号処理部6による内容物個数検査処理の一例について
図3を参照しながら説明する。
【0042】
尚、
図3の被検査体Wは、内容物の中心部分の縦断面が紡錘形状をなすとともに(同図(a)参照)、平面視した形状が円形をなしており、6個の内容物がトレイ上に縦詰めして整列されたものである。また、
図3(b)〜(f)は内容物の平面視画像を示している。さらに、
図3の例では、被検査体Wの内容物の整列方向が被検査体Wの搬送方向Xと同方向であり、搬送方向Xと直交する方向をYとしている。
【0043】
搬送部2によって順次搬送される被検査体W毎のX線濃度データ(
図3(b)参照)は、位置検出手段11の検出タイミングで信号処理部6の画像記憶手段(データメモリ)12に逐次格納される。そして、内容物領域抽出手段21は、画像記憶手段12に格納されたX線濃度データに基づくX線透過画像において、予め設定される検出リミット値により被検査体Wの内容物のみの画像を二値化して抽出する(
図3(c)参照)。尚、
図3(b)では、被検査体Wの内容物が重なり合っており、特に図示はしないが、整列方向と直交する方向で内容物の内側が端部よりもX線透過量が小さい(濃度が低い)X線透過画像となっている。続いて、凸部領域抽出手段22は、内容物領域抽出手段21が二値化して抽出した内容物のみの画像に画像処理を施し、内容物毎の凸部領域を抽出する。さらに説明すると、内容物領域抽出手段21が抽出した画像を内容物の整列方向と直交する方向に縮小し、この縮小した縮小画像の反転画像と元の画像とを重ね合わせる(
図3(d)参照)。そして、重ね合わせ画像から内容物の整列方向と直交する方向の上下端の編曲点である凸部領域を抽出し(
図3(e)参照)、重ね合わせ画像を1個1個の内容物の領域に対応した複数の凸部領域に分離する(
図3(f)参照)。続いて、凸部領域計数手段23は、凸部領域抽出手段22が抽出・分離した凸部領域の個数を計数し、その計数値を内容物判別手段14aに出力する。内容物判別手段14aは、凸部領域計数手段23が計数した凸部領域の計数値に基づいて被検査体Wの収容体内の内容物の個数を判別し、その判別した個数を判別信号として良品判別手段14cに出力する。
【0044】
また、上述した処理に並行して、異物判別手段14bは、画像記憶手段(データメモリ)12に格納されたX線濃度データに基づくX線透過画像から濃淡レベルが他と違う部分を異物として判別し、判別信号を良品判別手段14cに出力する。そして、良品判別手段14cは、個数判別手段14aからの判別信号と異物判別手段14bからの判別信号に基づき、その被検査体Wが正常又は不良を示す選別信号を外部出力する。また、表示装置7には、個数判別手段14aや異物判別手段14bの判別結果に基づき、搬送部2上に搬送される被検査体Wを平面視したX線透過画像、1個の被検査体Wの収容体内の内容物の個数、「OK」や「NG」の良否判別結果、総検査数、良品数、NG総数などの検査結果が表示される。
【0045】
次に、上記X線検査装置1を用いた内容物個数検査処理の他の例について
図4を参照しながら説明する。
【0046】
尚、
図4の被検査体Wは、内容物の縦断面が長方形状をなすとともに(同図(a)参照)、平面視した形状が方形をなしており、8個の内容物がトレイ上に縦詰めして整列されたものである。また、
図4(b)〜(e)は内容物の平面視画像を示している。さらに、
図4の例では、被検査体Wの内容物の整列方向が被検査体Wの搬送方向Xと同方向であり、搬送方向Xと直交する方向をYとしている。
【0047】
搬送部2によって順次搬送される被検査体W毎のX線濃度データ(
図4(b)参照)は、位置検出手段11の検出タイミングで信号処理部6の画像記憶手段(データメモリ)12に逐次格納される。そして、内容物領域抽出手段21は、画像記憶手段12に格納されたX線濃度データに基づくX線透過画像において、予め設定される検出リミット値により被検査体Wの内容物のみの画像を二値化して抽出する(
図4(c)参照)。尚、
図4(b)では、被検査体Wの内容物が重なり合っており、特に図示はしないが、整列方向と直交する方向で内容物の内側が端部よりもX線透過量が小さい(濃度が低い)X線透過画像となっている。続いて、凸部領域抽出手段22は、内容物領域抽出手段21が二値化して抽出した画像に画像処理を施し、内容物毎の凸部領域を抽出する。さらに説明すると、内容物領域抽出手段21が抽出した画像を内容物の整列方向と直交する方向に縮小し、この縮小した縮小画像の反転画像と元の画像とを重ね合わせる(
図4(d)参照)。そして、重ね合わせ画像から内容物の整列方向と直交する方向の上下端の編曲点である凸部領域を抽出し(
図4(e)参照)、重ね合わせ画像を1個1個の内容物の領域に対応した複数の凸部領域に分離する。ここまでの処理は、
図3(a)〜(f)の処理と同様である。その後、凸部領域計数手段23は、凸部領域の整列方向の長さを予め設定された基準長で除算して得られる値をその凸部領域の数量として凸部領域の個数を計数し、その計数値を内容物判別手段14aに出力する。これにより、凸部領域が整列方向の隣の凸部領域と分離できないときがあっても、個数を推定して計数することができ、特に、端部が角張っている形状の時に有効である。そして、内容物判別手段14aは、凸部領域計数手段23が計数した凸部領域の計数値に基づいて被検査体Wの収容体内の内容物の個数を判別し、その判別した個数を判別信号として良品判別手段14cに出力する。
【0048】
ところで、上述した凸部領域の抽出にあたっては、
図2(a),(b)に示す形状認識パターンを用いることもできる。この形状認識パターンを用いた場合、凸部領域抽出手段14aは、予め設定される検出リミット値により被検査体Wの内容物のみを二値化して抽出した内容物抽出画像に対し、
図2(a)や
図2(b)の形状認識パターンとのパターンマッチング処理を行い、内容物抽出画像から形状認識パターンに類似する領域を凸部領域として抽出する。そして、凸部領域計数手段23は、凸部領域抽出手段14aにより凸部領域が抽出されると、その個数を計数して計数値を内容物判別手段14aに出力する。内容物判別手段14aは、凸部領域計数手段23が計数した凸部領域の計数値に基づいて被検査体Wの収容体内の内容物の個数を判別し、その判別した個数を判別信号として良品判別手段14cに出力する。
【0049】
また、
図3及び
図4の例では、被検査体Wの搬送方向Xと内容物の整列方向が同じ場合を例にとって説明したが、被検査体Wの内容物の整列方向が搬送方向Xと直交していても同様の処理によって内容物の個数を検査することができる。すなわち、被検査体Wの内容物の整列方向と搬送方向は無関係である。
【0050】
このように、本例のX線検査装置1は、収容体に収容された内容物の端部分のX線濃度データが重なりの影響を受けにくい特徴を利用し、異物混入検査に用いられるX線濃度データに基づくX線透過画像を兼用して、包装体内での内容物の重なりの影響を受けずに内容物の個数を検査することができる。これにより、従来に比べて安定した内容物の個数検査を異物混入検査と並行して行うことができる。しかも、内容物の個数を検査するための目視用の作業者が不要になり、目視用に製造ラインに配置していた人員を削減して人件費を抑えることができる。
【0051】
また、上述した内容物個数検査の結果は、異物混入検査の結果とともに表示装置7に表示されるので、作業者は表示装置7の表示内容から検査結果を目視によって容易に確認することができる。