【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 大電株式会社発行 第6回 CHAdeMO協議会 整備部会資料 「CHAdeMO方式 EV急速充電器用リードケーブル付きコネクタ」(平成23年1月26日発行)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 〔刊行物等〕 http://www.dyden.co.jp/topics/data/pdf/evkyusoku4p.pdf(掲載年月日 平成23年2月4日)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 〔刊行物等〕 http://www.dyden.co.jp/topics/data/pdf/evkyusoku4p.pdf(掲載年月日 平成23年2月4日)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 〔刊行物等〕 http://www.dyden.co.jp/topics/data/110516.html(掲載年月日 平成23年5月16日)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 〔刊行物等〕 http://www.dyden.co.jp/topics/data/pdf/evkyusoku18p.pdf(掲載年月日 平成23年5月16日)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素の排出削減が義務化され、モーターを主動力又は補助動力とする電気自動車(いわゆるハイブリッド自動車、電池自動車を含む意味で使用しており、以下単に「電気自動車」という。)の生産又は生産計画が各所で進行している。
【0003】
このような電気自動車のうちモーターの動力源として二次電池を搭載するものについては、出先で蓄電量が低下して充電の必要が生じる場合がある。
蓄電量が低下した場合は急速充電器を備えた設備において充電することになるが、当該設備で使用する電気自動車用充電器の接触式コネクタ(以下、接触式コネクタのうち、充電器側のコネクタを「給電用コネクタ」と、電気自動車側のコネクタを「受電用コネクタ」という。)は、その重要な部品の一つである。
【0004】
給電用コネクタとしては、例えば、下記特許文献1の
図1に記載された給電用コネクタが提案されている。前記給電用コネクタは、電気自動車側に設けられた受電用コネクタと組み合わせて使用するものであり、機械的な接続を行う爪と、電気的な接続を行うピンコンタクトと、電気的な接続を行うための接続用レバーと、電気的接続と機械的接続を解除する解除用レバーを備えている。
【0005】
特許文献1の給電用コネクタは、充電するにあたり、電気自動車側に設けられた受電用コネクタへ給電用コネクタを挿入すると、前記爪により機械的な接続が行われ、ピンコンタクトにより電気的な接続が行われる。充電終了後、給電用コネクタを外して一連の作業は完了する。給電用コネクタは電気自動車を急速充電するためには高出力を要するので、前記給電用コネクタは安全性確保の観点から二重のロック機構を有しており、給電用コネクタの取り外しは接続用レバーと解除用レバーのそれぞれを解除して行うものである。
【0006】
給電用コネクタAには、回動操作するレバー3を1次ロックする解除レバー5と該解除レバー5を2次ロックする電磁コイル6が内装され、解除レバー5によるレバー3の1次ロックと、解除レバー5のロック孔5c1に電磁コイル6のプランジャ6aが進入して解除レバー5をロックする2次ロックの二重ロックにより、給電時に受電用コネクタからの離脱を防止するようになっている。
【0007】
充電後の給電用コネクタAと受電用コネクタBのロック解除及び離脱は、電磁コイル6の消磁によりプランジャ6aがコイルスプリング6bにより瞬間的に復帰してロック孔5c1から離れ、解除レバー5の2次ロックが解除され、その後1次ロックが解除されるようになっている(段落〔0021〕、〔0022〕)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
充電中は給電用コネクタと受電用コネクタとの間では、例えば500V100Aのような大きな充電電流が流れている。したがって前記のように、充電中は1次ロックと2次ロックという機械的に作動する二重のロック手段によって給電用コネクタは、受電用コネクタから離脱できないようになっている。
【0010】
しかしながら、何らかの理由で機械的ロック手段が作動しないか、作動しても十分でない場合は、誤って充電中に給電用コネクタを受電用コネクタから離脱する可能性があり、離脱するとアーク放電などを引き起こし、受電用コネクタの溶解破損や火傷、感電などのおそれがある課題がある。
【0011】
また、2次ロック手段に、電磁コイルの励磁によりプランジャが突き出て後退状態にある前記ロック解除手段の前進を阻止するソレノイド装置を使用した場合、プランジャを復帰させるコイルスプリングは小さく、その弾力も小さい。したがって、プランジャが飛び出ている状態でプランジャの表面に傷が入ったり、何らかの理由でピンそのものが曲がると、プランジャが復帰できない場合が生じる。
そうすると、充電が終わっても、給電用コネクタが受電用コネクタから離脱できなくなる。例えば受電用コネクタが自動車に設置されている場合は、自動車を利用できなくなる課題がある。
【0012】
(発明の目的)
本発明の目的は、受電用コネクタから給電用コネクタを取り外す際に、充電器側からの充電電流を確実に遮断して、充電作業が安全に行いうる給電用コネクタを提供することにある。
本発明の他の目的は、突き出たプランジャがスプリングの力では復帰しない場合でも、外部からの操作で復帰できるようにした給電用コネクタを提供することにある。
本発明のその他の目的は、以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決し、目的を達成するために講じた本発明の手段は次のとおりである。
(1)本発明は、
車体などに設けられる受電用コネクタに接続する給電用コネクタであって、
ボディと、
該ボディの前部側にあり、端子を収容したプラグ部と、
前記ボディの後部側にあるハンドルと、
前記ボディ内にあり、前記受電用コネクタと前記プラグ部とが正常に接続すると作動する1次ロック手段と、
中間部を前記ボディ内に有し、作用部が前記1次ロック手段側にあり、該操作部が前記ボディの外側から操作できる箇所にあり、該操作部の操作により前記1次ロック手段のロックを解除する1次ロック解除手段と、
受電用コネクタとの接続時には、接点が閉合して充電器側からプラグ部の端子に充電電流が流れ、前記1次ロック解除手段の作動により受電用コネクタからプラグ部が離脱可能なときは、接点が開放して充電器側に前記端子に流れている充電電流を遮断する信号を送る電気スイッチを前記ボディ内に有する、
給電用コネクタである。
【0014】
(2)本発明は、
電気スイッチがマイクロスイッチであり、1次ロック解除手段は、前進又は後退して1次ロック手段のロック解放又はロックを行うものであり、前記1次ロック解除手段の作動は、前記マイクロスイッチが検出する、
前記(1)の発明に係る給電用コネクタである。
【0015】
(3)本発明は、
ボディ内にあり、電磁コイルの励磁によりプランジャが突き出て後退状態にあるロック解除手段の前進を阻止する2次ロック手段と、
前記ボディを貫通して進退し、作用部がボディ内にあり、操作部がボディの外側にある、前記2次ロック手段とは別に設けられている2次ロック解除手段と、
備え、
電磁コイルを消磁しても前記プランジャが引き戻る復帰状態とならないときに、前記操作部を操作してボディ内の作用部でプランジャを復帰させる、
前記(1)又は(2)の発明に係る給電用コネクタである。
【0016】
(4)本発明は、
充電器と給電用コネクタと接続しているケーブルの電線は、漏電検出被覆材で被覆されており、電線を被覆している絶縁物の絶縁低下は漏電検出被覆材で検出されて充電器側に送られる,
前記(1)1乃至3のいずれかの一に記載の給電コネクタである。
【0017】
ボディを形成する素材としては、例えば、ポリエチレン混合物等の合成樹脂、繊維等を混入して強化したFRP、アルミニウム合金,その他合金等が挙げられる。また、ボディは、単一の素材により形成されたもののみならず、複数の素材を組み合わせたものにより形成してもよい。
電気スイッチとしては、マイクロスイッチの他に、近接スイッチ、赤外線スイッチなど公知の検出器を使用することもできる。動作の安定性からは、マイクロスイッチが推奨される。
1次ロック解除手段の操作部は、後記実施の形態ではボタン状のものを例示しているが、レバー状のものでもよい。いずれにしても1次ロック手段を解除できるようなものであれば形状、構造などは限定されない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、受電用コネクタから給電用コネクタを離脱する際には、充電器側からの充電電流が遮断される。したがって、機械的なロックが行われないか不十分なときに誤って給電用コネクタを受電用コネクタから離脱してもアークは発生せず、充電作業を安全に行える給電用コネクタを提供できる。
【0019】
また、給電用コネクタが、電磁コイルの励磁によりプランジャが前進して後退状態にある1次ロック解除手段の前進を阻止する2次ロック手段を備える場合でも、突き出たプランジャがスプリングの力では復帰しない異常時が発生した場合でも、外部からプランジャの復帰操作ができ、給電用コネクタを受電用コネクタから取り外せる給電用コネクタを提供できる。
【0020】
更には、ケーブルの電線が漏電検出被覆材で被覆されていると、ケーブルの劣化がわかり、感電などの対策を早期に講じることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態を図面に基づき更に詳細に説明する。
図1を参照する。
給電用コネクタ1は、内部が空洞のボディ10と、ボディ10の後部側にあるハンドル11と、給電用コネクタと電源を繋ぐ電気ケーブルCを備える。
ボディ10の前部側には、後半部がボディ10内に収容され、前半部がボディ10から前方に突き出ている筒状のケース2を備える。
【0023】
ボディ10は、正面方向中央から縦方向に、相対する一対の割り型状に二分割して形成され、分割されたボディ部品を組み合わせることで、先端の開口部と、該開口部に続く空洞と、ハンドル11が形成される。
ボディ10の開口部は、内方に向けた突縁13を有する。突縁13は、後記のスライドカバー212の後部突縁212aと係合する。
【0024】
ケース2の前半部には、前方開口から挿入されて内部に収容されている円筒状の電極ユニットカバー211を有する。電極ユニットカバー211は、電気絶縁性のポリエチレン混合物等の合成樹脂、繊維等を混入して強化したFRPからなる円筒状の部材で、受電用コネクタ3と接続する端子214を有し、ケース2前半部の空洞部に装着されている。
【0025】
電極ユニットカバー211とケース2の前半部とでプラグ部21を構成する。ケース2は、後半部内部に1次ロック手段に係る機構を有している。
プラグ部21の形状は、必要に応じて任意に設計しうるが、日本電動車両協会の推進する標準規格による形状であることが互換性確保のためにも好ましい。
【0026】
電気ケーブルCは、一方側がハンドル11下端に設けられた孔(図示省略)からボディ10内へ導入され、ボディ10及びケース2内を通ってプラグ部21の端子214へ通電可能に接続されている。他方側は給電用コネクタ1に電力を供給する電源となる急速充電器(図示省略)へ繋がっている。
電気ケーブルCの電線は、漏電検出被覆材C1で被覆されており、電線を被覆している絶縁物の絶縁低下は漏電検出被覆材C1で検出されて充電器側に送られるようになっている。
【0027】
1次ロック手段に係る機構について、
図1乃至3を参照しながら説明する。
ケース2の前半部には、ケース2の外周面を摺動して進退するスライドカバー212を備える。ケース2内部には、前端部に係止爪221を備えた二本のロックアーム220を相対させた状態で備える。二本のロックアーム220と相対するケース2の周壁は、後端縁から前部側に向けて切欠されており、ロックアーム220及び係止爪221の動きを妨げないようになっている。
【0028】
<ロックアーム関連>
ロックアーム220は、所要長さの板体が、中程でケース2内面側に向けて直角に折り曲がり、所要長さを経て更にケース2内面と平行に前部側へ折り曲がったクランク状となっている。ロックアーム220の前端部には、ケース2の表面側に向けて突出した係止爪221が設けられている。
【0029】
ロックアーム220の基端部は、ボディ10に設けられたピン224に軸着されており、ロックアーム220は、軸着部を中心に、ケース2の外方及び内方に向けて回動できる。
【0030】
各ロックアーム220の基端部側近傍とボディ10の内面との間にコイルバネ223が圧縮状態で配置され、各ロックアーム220をボディ10の中心軸方向に付勢する。本実施の形態では、コイルバネを使用しているが、これに限定するものではなく、例えば、反発する作用を奏するものであれば、ねじりバネ(ねじりコイルバネ)等の公知の弾性体を使用してもよい。
【0031】
スライドカバー212の後部側への移動と、後記の操作リング231の後部側への移動によって、ロックアーム220は、係止爪221がケース2の表面から突出する方向に回動する。
ロックアーム220は、コイルバネ223によってボディ10の中心軸方向に付勢されており、操作リング231の前部側への移動によって、ボディ10の中心軸方向に回動する。
このロックアーム220は、1次ロック手段を構成する。
【0032】
<スライドカバー関連>
スライドカバー212は、内径がケース2の外径よりもやや径大の短い筒状に形成され、ケース2の外周面に嵌着されている。スライドカバー212後端には、後部突縁212aを有する。スライドカバー212は、ボディ10内面とケース2外面との間に圧縮状態で装着されたコイルバネ213によって後部突縁212aが押され、前部側へ向かって付勢されている。
なお、本実施の形態では、バネとしてコイルバネを使用しているが、これに限定するものではなく、例えば、反発する作用を奏するものであれば、他の種類の公知の弾性体を使用してもよい。
【0033】
スライドカバー212は、ケース2の外周面に沿って前後方向に摺動する。スライドカバー212が前部側に位置しているときは、スライドカバー212の内側にロックアーム220の係止爪221が納まるように(その内面が係止爪221に当接して抑え、係止爪が外に露出して受電用コネクタ3と係合しないように)なっている。
【0034】
一方、受電用コネクタ3に接続したときは、スライドカバー212は、受電用コネクタ3側の部材によって押されて後部側に移動し、スライドカバー212の内側に納まった係止爪221がケース2の表面から突出し、受電用コネクタ3と係合する。
【0035】
<ロック及びロック解除機構関連>
1次ロック手段を解除する1次ロック解除手段23は、前部側に位置する短い筒状の操作リング231と、操作リング231から後部側に向けて延設された二股状の2本のロッド235と、2本のロッド235後端を横断方向に繋ぐ横架桿236と、横架桿236の中央から操作リング231と反対方向に突設された連結部232と、を備える。連結部232は、上方に向けて立設されている当接体25を有する。当接体25の前部側縁は、後記するプランジャ41が突き出たときに当接する当接部250となっている。連結部232と後記するトリガー要素24は、連結軸28で連結している。
【0036】
操作リング231は、外径がケース2内径よりもやや径小で、ケース2内に納められており、ケース2内面に沿って前後方向に移動する。
操作リング231は、表面の後端に、ボディ10の中心軸側に向かう傾斜角度を有する傾斜部231aを有する。
【0037】
1次ロック解除手段23が前部側にあり、ロックアーム220の前部端が傾斜部231a後端と係合しているときは、係止爪221はケース2の表面から突出していない。
受電用コネクタ3との接続時に、1次ロック解除手段23が後記のコイルバネ245に引っ張られて後部側に移動すると、操作リング231も後部側に向かって動き、傾斜部231aがロックアーム220の前部端から裏面側に入り込み、ロックアーム220の前部端裏面が傾斜部231a表面を摺動しながら操作リング231表面に乗り上がり、操作リング231表面とロックアーム220の前部端の内面側が当接し、係止爪221がケース2の表面から突き出て受電用コネクタ3と係合する。
【0038】
<トリガー要素関連>
1次ロック解除手段23は、連結部232と連結軸28で連結しているトリガー要素24を備える。トリガー要素24は、前後に長く形成された腕杆240と、腕杆240の後端にある解除ボタン26を備える。
本実施の形態では、腕杆240と解除ボタン26は一体に形成されているが、別々に形成されていても良い。
トリガー要素24は前後方向に動く。腕杆240は、トリガー要素24の前進及び後退の動きを妨げないような長孔241を有する。長孔241には、ボディ10内面に突設されている固定ピン12が貫通している。固定ピン12と連結軸28の間には、引っ張り方向に付勢するコイルバネ245を有する。コイルバネ245によって、1次ロック解除手段23及びトリガー要素24には、後部側へ引っ張られる付勢力が加えられている。
【0039】
トリガー要素24の後端にある解除ボタン26は、トリガー要素24が前方に移動しているときは、表面261がボディ10の後端面と略面一となっている。トリガー要素24が後方に移動しているときは、解除ボタン26は、表面261がボディ10の後端面から突出する位置にある。
解除ボタン26の表面261を、例えば指の腹で押すと、トリガー要素24と1次ロック解除手段23は、コイルバネ245の付勢力に抗しながら前部側へ移動する。
【0040】
トリガー要素24は、腕杆240の前方上部に突起部242を有する。腕杆240の中程から後部側にかけて低位縁243を有する。
【0041】
<1次ロック手段に係る機構の動き>
(1)1次ロック解除手段が前部側で停止している場合(給電前の状態)。
a.操作リング231は、ロックアーム220の前方位置にあり、コイルバネ245で後部側に引っ張られて傾斜部231aには、ロックアーム220の裏面側に入り込む力が加わっている。
b.スライドカバー212は、コイルバネ213の付勢力で押されて前部側位置にあり、後部突縁212aが突縁13と係合して停止している。この状態のスライドカバー212は、係止爪221を覆っているために、係止爪221はケース2の表面に突出することができない。このため、操作リング231は、ロックアーム220の裏面側に入り込めず、操作リング231後端の傾斜部231aとロックアーム220の先端とが係合し、操作リング231は移動しない。
(2)1次ロック解除手段が後部側に移動する場合(受電用コネクターとの結合)
a.スライドカバー212がコイルバネ213の付勢力に抗して後部側に移動すると、係止爪221が開放される。それに伴い、ロックアーム220は、ケース2の表面側に回動できるようになり、操作リング231は、コイルバネ245で引かれて移動を始める。
b.操作リング231の後部側移動により、傾斜部231aが係止爪221の下側(ロックアーム220裏面側)に入り込み、ロックアーム220先端が傾斜部231aを移動して操作リング231の上面に乗り上がる。
c.開放状態の係止爪221は、ケース2表面から突出し、突出した係止爪221後端は、スライドカバー212の前端と係合して、スライドカバー212が前部側に移動するのを阻止する。
(3)1次ロック解除手段が前部側に移動する場合(受電用コネクターからの離脱)
a.操作リング231の前部側移動に伴い、ロックアーム220の先端裏面が傾斜部231aに沿いながら操作リング231から離れる。
b.ロックアーム220は、コイルバネ223の付勢力でボディ10の中心軸方向に回動し、係止爪221はケース2の表面から引っ込み、スライドカバー212との係合状態を脱する。
c.スライドカバー212は、コイルバネ213の付勢力により前部側に移動し、係止爪221は、スライドカバー212で覆われ、前記(1)の状態に戻る。
【0042】
<給電遮断手段関連>
給電遮断手段は、トリガー要素24の前方上部に設けられた突起部242と、トリガー要素24の前進及び後退動を検出する検知器(本実施の形態では電気スイッチとしてのマイクロスイッチ6)で構成される。
マイクロスイッチ6は、開閉動作する接点機構がケースで覆われ、その外部にアクチュエータ61を備える一般的な構成を有する。
【0043】
マイクロスイッチ6は、アクチュエータ61がトリガー要素24の前方上部に設けられた突起部242と接触して作動するようにボディ10の内面に取り付けてある。
【0044】
トリガー要素24が後退しているときは、アクチュエータ61の先端は、突起部242と接触して突起部242の上に乗り上がっており、接点は閉路状態となって接点閉路の信号が充電器側に送られ、給電用コネクタ1に充電用の電気が供給される。
【0045】
1次ロック解除手段の一部を構成するトリガー要素24が、前進しているとき又は前進したときは、アクチュエータ61の先端は、腕杆240の低位縁243にあり、接点は開放状態となって接点開放の信号が充電器側に送られ、充電器側の給電遮断装置(図示省略)が働き、充電器側から給電用コネクタ1に電気は供給されない。
【0046】
このように、充電中に誤って受電用コネクタ3から給電用コネクタ1を離脱させようとした場合でも、アーク放電を引き起こす前に充電器側からの電気の供給が遮断され、充電を停止する。このため給電用コネクタ1安全に取り外すことができる。
【0047】
本実施例において、マイクロスイッチ6は、給電用コネクタ1の状態監視回線に組み込まれている。状態監視回線とは、2次ロック駆動電流やコネクタ接続等を監視する回線などであり、これらの回線は充電器により常時監視されている。電流低下や信号遮断が生じると、充電器側では、給電用コネクタ1が破損した又は抜けたと判断し、充電を停止する(充電を開始しない)仕組みとなっている。したがって、給電用コネクタ1側の異常発生は、同コネクタを引き抜く前(寸前)に確実に充電器に送られ、作業或いは操作の安全性が確保できる。
【0048】
<2次ロック手段関連>
図4を合わせて参照する。2次ロック手段は、ボディ10内部に設けられているソレノイド装置4で構成される。ソレノイド装置4は、電磁コイル(図示省略)と、電磁コイルの励磁によって突き出るプランジャ41と、突き出たプランジャ41を復帰させる(引き戻す)スプリング(図示省略)を備える。
【0049】
2次ロック解除手段5は、ボディ10を貫通して進退する解除ロッド51と、解除ロッド51を進退可能に保持する保持部52で構成される。
解除ロッド51は、作用部である押圧先端511がボディ10内にあり、操作部512がボディ10の外側にある。
保持部52はボディ10の一部であって、解除ロッド51の押圧先端511が、突き出たプランジャ41の先端と相対するような位置に設けられている。
【0050】
保持部52は、内面に雌ネジ(図示省略)を有し、保持部52で保持される解除ロッド51の外面は、前記雌ネジと螺合する雄ネジ(図示省略)を有するネジ構造となっている。
操作部512は、表面に工具T(
図1に図示)で回すための溝又は穴513が設けられている。溝又は穴513は、一般的な工具であるドライバーが嵌合できない形状が、いたずらを防止するうえから好ましい。
【0051】
1次ロック手段の作動により、トリガー要素24が後退しているときは、マイクロスイッチ6が接点閉路となり充電器側からの2次ロック駆動電流によりソレノイド装置4の電磁コイルが励磁され、当接体25の当接部250の直前にプランジャ41が突き出てトリガー要素24の前進を阻止する。
充電終了あるいは充電中止時には充電器側からの2次ロック駆動電流が停止され,電磁コイルが消磁され、突き出たプランジャ41は、スプリングによって引き戻されて復帰して2次ロックは解除され、引き続き1次ロック解除操作が行えるようになっている。
【0052】
しかし、何らかの異状の発生によりプランジャ41が復帰せず、2次ロックが解除されないときは、例えば自動車の車体に受電用コネクタ3が設けられていた場合、自動車を動かせない不都合が生じる。
その場合は、操作部512の溝又は穴513に工具Tの先端を嵌め入れて、解除ロッド51を回して前進させて、押圧先端511でプランジャ41の先端を押圧してプランジャ41を強制的に復帰させる。その後は解除ロッド51を逆回しして後退させて当接体25の進路をあける。これによってトリガー要素24はロック状態が解除され、その後は正常時と同様に機能する。
【0053】
(作 用)
本実施の形態に係る給電用コネクタ1の作用を説明する。なお、受電用コネクタ3に関しては、日本電動車両協会規格JEVS G 105-1993の電気自動車用エコ・ステーション急速充電システムのコネクタに準拠したものを用いて説明する。
【0054】
〔給電前〕
接続前の給電用コネクタ1は、以下の状態である。
(1)トリガー要素24と1次ロック解除手段23は前進して前部側に位置し、スライドカバー212も前部側に位置している。ロックアーム220の係止爪221はスライドカバー212で覆われている。
【0055】
〔給電時〕
(2)受電用コネクタ3の空間部300の奥まで給電用コネクタ1のプラグ部21を挿入する。プラグ部21の外周と空間部300の開口部内周は、嵌め入れできる程度にその径がほぼ等しく、プラグ部21の外周径よりも径大なスライドカバー212は、その先端が開口部縁部303に当接した後、給電用コネクタ1の後部側へ押されて後退する。
【0056】
(3)プラグ部21の挿入に伴ってスライドカバー212が後退すると、前記のように係止爪221が露出し、操作リング231は後部側に向かって動き、ロックアーム220の前部端が傾斜部231aから操作リング231表面に乗り上がり、操作リング231表面とロックアーム220の前記した前部端の内面側が当接し、係止爪221がケース2の表面から突出して受電用コネクタ3の空間部300内の爪係止部301と係合し、給電用コネクタ1を受電用コネクタ3から脱落しないようにロックする。
【0057】
端子214と受電用コネクタ端子が結合し、各端子を介して給電用コネクタ及び受電用コネクタに通電するように接続され、給電が開始される。
1次ロック解除手段23と共にトリガー要素24は後部側に移動し、解除ボタン26は、ボディ10表面から突出する。
【0058】
〔充電後〕
(4)給電用コネクタ1を受電用コネクタ3から取り外すときは、解除ボタン26を指の腹などで押す。
【0059】
解除ボタン26の動きはトリガー要素24に伝えられ、トリガー要素24とトリガー要素24と連結された1次ロック解除手段23も前部側へ移動する。1次ロック解除手段23が前部側へ移動すると操作リング231も前部側に移動し、操作リング231は、ロックアーム220の前部端から離れる。
これによってロックアーム220は、コイルバネ223でボディ10の中心軸方向に向かい、係止爪221もケース2の表面から内方へ引っ込む。
空間部300内の爪係止部301と係合していた係止爪221が引っ込むことによって、受電用コネクタ3へのロックが解除される。
【0060】
(5)ハンドル11を後方へ引いて、給電用コネクタ1を受電用コネクタ3から取り外す。取り外し後の給電用コネクタ1は、スライドカバー212がコイルバネ213によって前部側へ移動する。係止爪221は、スライドカバー212で覆われ、他のパーツ(1次ロック解除手段23、各ロックアーム220、トリガー要素24)も前記した〔給電前〕の状態に戻る。
【0061】
本実施の形態に係る給電用コネクタ1は、二次電池を備えた乗物への給電設備において好適に使用される。二次電池を備えた乗物としては、例えば、電気自動車、電池自動車、ハイブリッド自動車、電動バイク、電動スクーター、電動アシスト自転車、電動平行二輪車、遊具などの電動乗物、電動船外機を載せた船、その他のモーターを主動力又は補助動力とする乗物等が挙げられる。
【0062】
本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。