【文献】
Robert H. Carter, Hong Zhao, Ximeng Liu, et al.,Expression and Occupancy of BAFF-R on B Cells in Systemic Lupus Erythemadosus,Arthritis and Rheumatism,米国,2005年,Vol. 52, No. 12, pp 3943-3954
【文献】
Min Yang, Hdenori Hase, Diana Legarda-Addison, et al.,B Cell Maturation Antigen, the Receptor for a Proliferation-Inducing Ligand and B Cell-Activating Factor of the TNF Family, Induces Antigen Presentation in B Cells,The Journal of Immunology,米国,2005年,Vol. 175: 2814-2824
【文献】
Lai Guan Ng, Andrew P. R. Sutherland, Rebecca Newton, et al.,B Cell-Activating Factor Belonging to the TNF Family (BAFF)-R is the Principal BAFF Receptor Facilitating BAFF Costimulation of Circulating T and B Cells,The Journal of Immunology,米国,2004年,Vol. 173: 807-817
【文献】
松下貴史 佐藤伸一,The role of BAFF in autoimmune diseases,日本臨床免疫学会会誌,日本,2005年,Vol. 28, No. 5 333-342
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
全身性エリテマトーデス(SLE)に対する薬物治療に反応する患者の可能性を予測する方法であって、患者の末梢血メモリーB細胞上のBCMAタンパク質発現レベルを測定することを含み、ここで上昇したBCMAタンパク質発現レベルの存在が、SLEに対する薬物治療に反応する患者の可能性の予測となることを特徴とする方法。
試験管内において、全身性エリテマトーデス(SLE)に関連する症状を有する個体の末梢血メモリーB細胞表面上の増加したBCMAタンパク質発現を検出する方法であって:
個体由来のテスト用生体試料中の末梢血メモリーB細胞表面上のBCMAタンパク質発現レベルを測定し、
そのレベルと健常対照群由来の試料中の末梢血メモリーB細胞表面上のBCMAのタンパク質発現レベルとを比較し;そして
テスト用生体試料中の末梢血メモリーB細胞表面上のBCMAタンパク質発現レベルが対照試料中のレベルと比較して、増加しているかどうかを測定することを含んで成り、ここで増加したBCMAタンパク質発現が、SLEに関係することを特徴とする方法。
試験管内において全身性エリテマトーデス(SLE)に対する薬物治療に反応する患者の可能性を予測する方法であって、患者由来の試料中の末梢血メモリーB細胞表面上のBCMA発現レベルを測定することを含んで成り、ここで上昇した末梢血メモリーB細胞のBCMAレベルの存在が、SLEに対する薬物治療に反応する患者の可能性の予測となることを特徴とする方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】ナイーブB細胞、メモリーB細胞及び形質芽球表面上に存在するBAFF‐R、TACI、及びBCMAのレベルを示す。
【
図1B】全B細胞、ナイーブB細胞、メモリー細胞及び形質芽球におけるBAFF−Rの蛍光強度中央値(MFI)を、健常対照群(HC)とエリテマトーデス患者(SLE)とで比較したものをグラフに示す。
【
図1C】全B細胞、ナイーブB細胞、メモリー細胞及び形質芽球におけるTACIの蛍光強度中央値(MFI)を、健常対照群(HC)とエリテマトーデス患者(SLE)とで比較したものをグラフに示す。
【
図1D】全B細胞、ナイーブB細胞、メモリー細胞及び形質芽球におけるBCMAの蛍光強度中央値(MFI)を、健常対照群(HC)とエリテマトーデス患者(SLE)で比較したものをグラフに示す。
【
図2】
図2の上段は全B細胞上のBAFF‐R発現と血清BAFF(BCMA)との間の反比例関係をグラフに示すが、BAFF‐R発現と、血清IgG抗dsDNA並びにSLEDAIスコア(疾患活動性)との間に統計学的に有意な相関関係はない。
図2の下段は血清IgG抗dsDNAとの間の反比例関係、及び血清BAFF(BCMA)並びにSLEDAIスコア(疾患活動性)との間の相関関係の欠如をグラフに示す。
【
図3A】健常対照群とエリテマトーデス患者におけるBCMA+及びBCMA−B細胞のMFIとして測定された前方散乱光(FSC)をグラフに示す。FSCはB細胞活性化の指標である。
【
図3B】健常対照群(HC)とエリテマトーデス患者の両方において、BCMAのMFI検出のためにCD19high及びCD19lowB細胞の比較結果を示す。
【
図4A】BCMA+細胞はIgD+且つIgM+であり、従ってクラススイッチを受けていないことを意味する結果を示す。エリテマトーデス患者のBCMA+細胞で見られるより高レベルのCD86、及び健常対照群とエリテマトーデス患者の両方で見られる相対的に低レベルのCD80も図示する。
【
図4B】健常対照群に較べて、エリテマトーデス患者に見られるより高パーセンテージのIgD+B細胞をグラフに示す。
【
図5A】健常対照群及びエリテマトーデス患者の末梢血単核細胞(PBMC)を5‐カルボキシフルオセイン二酢酸サクシニミジルエステル(CSFE)で標識し、リガンドの存在下又は非存在下でCpGとインキュベートした結果を示す。上段は形質芽球誘導(CD27high)を示し、下段はBCMA誘導を示す。
【
図5B】5Aで開示された実験をグラフに示すが、増殖結果に焦点を当てている。
【
図5C】上段はBCMA増加を伴うCD27high細胞の増加を図示する5Aの実験から得られた結果をグラフに示す。下段は本実験で種々の誘導を行ったエリテマトーデス患者と健常対照群のBCMAのMFIを示す。
【
図5D】5Aで開示された実験で保存されたB細胞のIgG及びIgM産生を開示する。
【
図6A】ナイーブB細胞(CD27neg)、メモリー細胞(CD27pos)、及び形質芽球(CD27high)において、健常対照群とエリテマトーデス患者を比較して、BCMA陽性細胞のパーセンテージをグラフに示す。
【
図6B】健常対照群とエリテマトーデス患者の細胞表面上でのCD27high(形質芽球)対BCMAをグラフに示す。
【
図7】健常対照群対患者の、CD27pos及びCD27neg細胞のFSCのMFIを記載する。
【
図8A】ナイーブB細胞(CD27neg)、メモリー細胞(CD27pos)及び形質芽球(CD27high)において、健常対照群(HC)とエリテマトーデス患者(SLE)で見られたCD19highB細胞のパーセンテージを示す。
【
図8B】健常対照群とエリテマトーデス患者についてのCD19highB細胞及びCD19lowB細胞のMFIのチャートである。
【
図9】健常対照群及びエリテマトーデス患者のCD19high及びCD19lowB細胞表面の上の(MFIによる)BAFF‐Rレベルを示す。
【
図10】健常対照群及びエリテマトーデス患者のMFICD19high及びCD19lowB細胞表面の上の(MFIによる)TACIレベルを示す。
【0017】
発明の詳細な説明
本発明はB細胞表面上のTNFRファミリーメンバーをスクリーニングするための方法、及び自己免疫疾患の存在の予測、並びに患者がBLySアンタゴニスト治療に反応する可能性を予測するための情報の使用を提供する。本発明はB細胞表面上のBCMAタンパク質発現レベルが上昇し、BLySアンタゴニストが選択的に前記細胞によるIgG産生を中和するという発見に基づく。この結果により、B細胞表面上のBCMAの増加を検出する診断アッセイの開発が可能となり、ここでより高レベルのBCMAがSLEのような自己免疫疾患を伴い、そしてB細胞、つまりBLyS及び/又はAPRILアンタゴニストのように中和する治療方法に、個体が良く反応するという可能性も予測され得る。
【0018】
本発明を説明する前に、本発明は記載された特定の実施態様に限定されず、当然のことながら、そのようなものとしての変更も可能であるということを理解すべきである。本明細書中で使用された専門用語は特定の実施態様のみを説明することを目的としており、限定されるもではないことを理解するべきである。何故なら、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定されるからである。
【0019】
特に断りのない限り、本明細書中で使用された技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有することを理解すべきである。本明細書中に記載されたものと同様か又は等価の方法及び材料のどれも、本発明の実施又は試験で使用され得るが、好ましい方法及び材料は、これから記載される。本明細書中で言及された文献の全ては、該文献が引用される方法及び/又は材料に関して、開示或いは記載するために参照することで本明細書に組み込まれる。
【0020】
本明細書中又は添付の請求項で使用されたように、単数形である「1つ(“a”)」、「及び(“and”)」、そして「その(“the”)」は、文脈中で明らかに別の指示がない限り、複数の指示対象を含む。このように、例えば、「1つの多型という表現は、このような複数の多型を含み、「1つの核酸分子」という表現は、このような複数の核酸分子を含み、そして「その方法」という表現は、1つ又は複数の方法、方法の工程、及びこれらに相当し、当該技術分野の当業者にとって既知のもの等を含む。
【0021】
本明細書中で論じられる文献は、それらが本願の出願日前に公開されたということだけで記載されている。本明細書中には、本発明は先行技術であるという理由で、これらの文献に先行する資格が与えられないみなされるものではない。更に、記載された文献の日付は実際の発行日とは異なる可能性があり、独立に確認する必要があるかもしれない。
【0022】
定義
本明細書中で使用されたように、「BCMA」という用語は、特に断りのない限り、一般的に遺伝子配列の野生型及び変位型の両方を指すものである。当該技術分野で一般的に使用される時、「遺伝子」という用語は5’非翻訳領域(UTR)、エクソン、イントロン、及び3’UTRを包含するゲノム領域について指すものである。個々のセグメントは、具体的には、例えば、プロモーター、コード領域等を指す。完全なBCMAタンパク質を提供するようなセグメントの組み合わせは、一般的にタンパク質コード領域を指す。BCMAの核酸配列は公的に入手可能である(GenBank Accession number BC058291)。ヒトゲノムには4種の主要なハプロタイプのBCMA遺伝子があり、本発明の開示では、「BCMA」という用語は4種全てを包含することを意味する(Kawasaki et al.,Genes Immun.2:276−9,2001)。
【0023】
「多型」という用語は、本明細書中で使用されるように、所定の領域のヌクレオチド又はアミノ酸配列を、別の個体の相同領域のヌクレオチド又はアミノ酸配列と比較した時の相違を指し、特に、同種個体間同士における所定領域のアミノ酸配列のヌクレオチドの相違を指す。多型は一般的に参照配列との関係で定義される。多型は単一ヌクレオチドの相違、2つ以上のヌクレオチド配列の相違、そして単一または複数のヌクレオチドの挿入、逆位及び欠失;同様に、単一アミノ酸の相違、2つ以上のアミノ酸配列の相違、そして単一または複数のアミノ酸の挿入、逆位及び欠失を含む。
【0024】
「ポリヌクレオチド」及び「核酸分子」という用語は、本明細書中では同じ意味に用いられ、あらゆる長さのヌクレオチドの重合体を指す。ポリヌクレオチドはデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、及び/又はそれらの類似体を含んでも良い。ヌクレオチドは、どのような三次元構造を有しても良く、既知又は未知のあらゆる機能を有しても良い。「ポリヌクレオチド」という用語は、1本、2本及び3本の螺旋状分子を含む。「オリゴヌクレオチド」は一般的に、1本鎖又は2本鎖DNAの約5から約100ヌクレオチドの間のポリヌクレオチドを指す。しかし、本願開示の目的のために、オリゴヌクレオチドの長さに対する上限はない。オリゴヌクレオチドはオリゴマー又はオリゴとしても知られ、遺伝子から単離されても良い。又は、当該技術分野の既知の方法により、化学的に合成されても良い。
【0025】
下記は、ポリヌクレオチドの非限定的な実施態様である:遺伝子、又は遺伝子フラグメント、エクソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボゾーム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、あらゆる配列の単離DNA、あらゆる配列の単離RNA、核酸プローブ及びプライマー。核酸分子は改変核酸分子、例えばメチル化核酸分子及び核酸分子類似体を含んでも良い。プリンおよびプリミジンの類似体は当該技術分野で知られている。核酸は天然に生じるもの、例えばDNA又はRNAでも良く、又は当該技術分野では既知の合成類似体でも良い。このような類似体は、アッセイ条件下で優れた安定性のためにプローブとして使用することが好ましい。骨格、糖又はヘテロ環塩基の変更を含む天然構造の改変は、細胞内安定性及び結合親和性を増加することが示されてきた。骨格化学の有用な変更にはホスホロチオエートがある;両方の非架橋酸素が、硫黄に置換されたホスホロジチオエート;ホスホロアミダイト;アルキルホスホトリエステル及びボラノリン酸塩。アキラルリン酸塩誘導体は3’‐O’‐5’‐S‐ホスホロチオエート、3’‐S‐5’‐O‐ホスホロチオエート、3’‐CH2‐5’‐O‐ホスホン酸塩及び3’‐NH‐5’‐O‐ホスホロアミダイトを含む。ぺプチド核酸は全体のリボースリン酸ジエステル骨格をペプチド結合と置換する。
【0026】
糖修飾も安定性と親和性の増強のためにも利用される。デオキシリボースのαアノマーを使用しても良く、そしてその塩基は天然のβアノマーに関しては反転される。リボース糖の2’‐OHは2’‐O-メチル又は2’‐O-アリル糖を形成するために変更されてもよく、これらは親和性を含むことなく分解抵抗性をもたらす。
【0027】
へテロ環塩基の修飾は、適当な塩基対を維持しなければならない。いくつかの有用な置換には、デオキシチミジンのデオキシウリジンへの置換が含まれる;デオキシシチジンの5‐メチル‐2’‐デオキシシチジン及び5‐ブロモ‐2’‐デオキシシチジンへの置換が含まれる。5‐プロピニル‐2’‐デオキシウリジン及び5‐プロピニル‐2’‐デオキシシチジンはデオキシチミジン及びデオキシシチジンと、それぞれ置換されると、親和性及び生物活性を増加することが示されてきた。
【0028】
本明細書中で同様に使われている「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、あらゆる長さのアミノ酸の重合体を指し、これらの重合体はコード又は非コードのアミノ酸、化学的又は生化学的に修飾又は誘導体化されたアミノ酸及び修飾ペプチド骨格を有するポリペプチドを含み得る。この用語は異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質、N末にメチオニン残基を有するか又は有さない異種及び同種リーダー配列を有する融合物を含むが、これに限定されない融合タンパク質;免疫学的タグを付けたタンパク質;及び同様なものを含む。
【0029】
広義には、本明細書中で使用されるように「自己免疫疾患」という用語は、患者の免疫システムが1つ又は複数の患者自身タンパク質に対して好ましからざる免疫反応を生じる疾患を指す。自己免疫疾患の代表的な例は、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎(LN)、ウェゲナー病、炎症性腸疾患、 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性血小板減少症、多発性硬化症、乾癬、IgA腎症、IgM多発性神経炎、重症筋無力症、血管炎、 糖尿病、レイノー症候群、シェーグレン症候群及び糸球体腎炎を含む。
【0030】
「実質的に単離された」又は「単離された」ポリヌクレオチドは、天然では関与する配列が実質的に存在しないものである。実質的にないという意味は、天然で関与する物質の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、そして更に好ましくは少なくとも90%が存在しないことを意味する。本明細書中で使用されるように、「単離された」ポリヌクレオチドは組換えポリヌクレオチドも意味し、その由来又は操作により:(1)天然で関与するポリヌクレオチドの全て又は一部関与しない、(2)天然で連結されているポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドに連結されるか、又は(3)天然では生じないものである。
【0031】
ハイブリダイゼーション反応は異なる「ストリンジェンシー」条件下で行われることが可能である。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを強める条件は、当該技術分野では周知であり公表されている。例えば、Sambrook et al.(1989)を参照のこと。適切な条件の例(ストリンジェンシーを強めるため)では、インンキュベーション温度は25°C、37°C、50°C及び68°C;バッファー濃度は、10XSSC、6XSSC、1XSSC、0.1XSSC(SSCは0.15M NaC1及び15mMクエン酸バッファー)及びその他のバッファーシステムを用いる同等なもの;ホルムアミド濃度が0%,25%、50%、及び75%;インキュベーション時間は5分から24時間;1、2回又はそれ以上の洗浄工程;洗浄インキュベーション時間は1、2又は15分間;そして6XSSC、1XSSC、0.1XSSC又は脱イオン水の洗浄液を含む。ストリンジェント条件の例では、ハイブリダイゼーション及び洗浄は、50°C又はそれ以上で0.1XSSC(9mM NaCl/0.9mMクエン酸ナトリウム)中で行う。
【0032】
「T
m」はワトソン‐クリックの塩基対により逆平行方向に水素結合された相補鎖で作られたポリヌクレオチド二本鎖の50%が、実験条件下で一本鎖に解離する摂氏度における温度である。T
mは標準式に従って予想してもよい:例えば、[X
+]はmol/Lで表されるカチオン濃度(通常ナトリウムイオン、Na
+);(%G/C)は二本鎖中の総残基に対するパーセントとしてのG及びC残基;(%F)は溶液中に存在するホルムアミド(wt/vol);及びLは二本鎖の各鎖に存在するヌクレオチドの数。
【0033】
DNA/DNA及びDNA/RNAハイブリダイゼーションの両方のためのストリジェント条件はSambrook et al.(Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)に記載され、参照することで本明細書中に組み込まれる。例えばSambrook et al.の752頁を参照のこと。
【0034】
「宿主細胞」という用語は、個体の細胞又は本発明のあらゆる組換えベクター又は単離されたポリヌクレオチドのレシピエントになり得るか又はレシピエントである細胞培養を含む。宿主細胞は単一宿主細胞の子孫を含み、その子孫は天然の、偶然の又は計画的な変異及び/又は変化による本来の親細胞に対して完全に同一(形態又は完全なDNA相補体において)である必要はない。宿主細胞は生体内又は試験管内で、本発明の組換えベクター又はポリヌクレオチドでトランスフェクト又は感染させた細胞を含む。本発明の組換えベクターを含む宿主細胞は「組換え宿主細胞」である。
【0035】
「特異的に結合する」という用語は、抗体結合の文脈において、特異的ポリペプチド、即ち、多型性BCMAポリペプチドのエピトープに対する抗体の高結合力及び/又は高親和性結合を指す。特異的な多型性BCMAポリペプチド上のエピトープ(本明細書中で「多型性のBCMAエピトープ」とも言われる)への抗体結合は、同じ抗体のその他のどのエピトープ、特に、対象となる特異的ポリペプチドとして関連する分子中又は同一試料中に存在し得るエピトープへの結合よりも強いことが好ましく、例えば、特異的BCMA多型性エピトープを、別のBCMAエピトープよりも強く結合するので、結合条件を調節することにより、抗体は殆ど例外なく特異的BCMA多型性エピトープに結合するが、その他のBCMAエピトープ及び多型性のエピトープを含まないその他のどのようなBCMAポリペプチドにも結合しない。対象となるポリペプチドに特異的に結合する抗体は、弱いがそれでも検出可能なレべル(例えば、対象となるポリペプチドに対して示される結合の10%又はそれ以下)で、他のポリペプチドに結合することが可能である。このような弱い結合、又はバックグラウンド結合は、例えば適切な対照を用いることで、対象となる化合物又はポリペプチドに対する特異的抗体結合と容易に区別できる。一般に、10
7モル/l又はそれ以上、好ましくは10
8モル/l又はそれ以上の結合親和性を有する特異的BCMAポリペプチドに結合する本発明の抗体が、特異的BCMAポリペプチドに特異的に結合すると言われている。一般に、10
6モル/l又はそれ以下の結合親和性を有する抗体は、現在使用されている従来方法を用いる検出可能なレベルでは抗原を結合しないという点で有用ではない。
【0036】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書中で使用されるように実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を意味する。すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、少量存在するかもしれない天然に生じる可能性のある変異を除いて同一である。
【0037】
モノクローナル抗体は非常に特異的であり、単一の抗原部位に対して抗体が作られる。更に、一般的に異なる決定基(エピトープ)に対して作られた異なる抗体を含む従来の(ポリクローナル)抗体調製とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一決定基に対して抗体が作られる。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマの培養によって合成され、他の免疫グロブリンの混入がない点で有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な集団から得られた抗体としての特徴を示し、特別な方法による抗体の産生を必要とするものとしてみなされない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体はKohler et al.,Nature,256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法で作成されても良いし、又は組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)で作成されても良い。「モノクローナ抗体」は、例えば、Clackson et al.,Nature,352:624−628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.,222:581−597(1991)に記載された技術を用いるファージ抗体ライブラリから単離しても良い。
【0038】
本明細書中のモノクローナル抗体は、具体的には「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を含み、その中で重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種に由来する抗体中の、対応する配列と同一か又は相同であるか、或いは特定の抗体クラス又はサブクラスに属する。一方、望ましい生物活性を示す限り、鎖の残りの部分は別の種に由来する抗体の対応する配列と同一か又は相同であるか、或いは別の抗体クラス又はサブクラス、及びこのような抗体のフラグメントに属する(米国特許第4,816,567号;Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984))。キメラ抗体の作成方法は当該技術分野では既知である。
【0039】
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形はキメラ免疫グロブリン、それらの免疫グロブリン鎖又はフラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2又は他の抗体の抗原結合配列)であり、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含む。
【0040】
ヒト化抗体は殆どの部分においてヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、その中のレシピエントの相補性決定領域(CDR)残基は所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット又はウサギのような非ヒト種(ドナー抗体)由来のCDR残基と置換される。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は対応する非ヒト残基によって置換される。更に、ヒト化抗体はレシピエント抗体や移入されたCDRには見られない残基を含むか、或いはフレームワーク配列を含んでも良い。これらの変更は抗体の能力を更に改善し、そして最大化するために行われる。一般にヒト化抗体は実質的に、少なくとも1つ、そして一般的には2つの可変領域の全てを含み、この中の全て又は実質的に全ての超可変ループは非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに相当し、そして全て又は実質的に全てのFR領域はヒト免疫グロブリン配列のFR領域に相当するが、このFR領域は結合親和性を改善する1つ又は複数のアミノ酸置換を含んでも良い。FR中のこれらのアミノ酸置換の数は一般に、H鎖では6個以上にはならず、L鎖では3個以上にならない。ヒト化抗体は最適には免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、通常はヒト免疫グロブリンの定常領域も含む。更に詳細は、Jones et al.,Nature,321:522−525(1986);Reichmann et al.,Nature,332:323−329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593−596(1992)を参照のこと。ヒト化抗体はPRIMATIZED抗体を含み、ここで抗体の抗原結合領域は、例えば、マカクザルを対象となる抗原で免疫することで産生された抗体に由来する。ヒト化抗体作成方法は、当該技術分野では既知である。
【0041】
ヒト抗体は、ファージ‐ディスプレイライブラリを含む当該技術分野の既知の種々の技術を用いて産生することができる。Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991)。Cole et al.及びBoerner et al.の技術もヒトモノクローナル抗体の調製に利用可できる。Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985);Boerner et al.,J.Immunol.,147(1):86−95(1991)。
【0042】
本発明の結合抗体の「機能的フラグメント」はBLyS、TACI、BAFF‐R、又はBCMAへの結合を保持するフラグメントであり、実質的に、それらが由来する無傷の完全鎖分子と同じ親和性を有し、そして本明細書中で記載されるような試験管内又は生体内でのアッセイで測定されるようにB細胞を枯渇させても良い。
【0043】
抗体の「エフェクター機能」は抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異Fc領域)に起因するこれらの生物活性を指し、抗体のアイソタイプによって異なる。抗体のエフェクター機能の例には:Clq結合と補体依存性細胞傷害性;Fc受容体結合;抗体依存性細胞細胞媒介細胞傷害性(ADCC);貪食;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御;そしてB細胞活性が含まれる。
【0044】
「抗体依存性細胞媒介細胞傷害性」又は「ADCC」は細胞傷害性の形態を指し、ここである種の細胞傷害性細胞(例えばナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcRs)に結合した分泌性Igは、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が特異的に抗原保持標的細胞結合し、そしてその結果標的細胞を細胞毒で殺すことを可能にする。抗体は細胞傷害性細胞を「武装」させ、そしてこのような細胞殺傷には必ず必要である。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞は、FcyRIIIのみを発現する。一方、単球はFcyRI、FcyRII及びFcyRIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現はRavetch and Kinet,Ann.Rev.Immunol 9:457−92(1991)の464頁の表3に要約されている。対象となる分子のADCC活性を評価するために、試験管内でのADCCアッセイを、例えば米国特許第5,500,362号又は同第5,821,337号に記載されているように行ってもよい。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末消血単核細胞(PBMC)及びチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。代わりに或いは追加で、対象となる分子のADCC活性を、Clynes et al.PNAS(USA)95:652‐656(1998)に開示されているような動物モデルのように生体内で評価してもよい良い。
【0045】
「補体依存性細胞傷害性」又は「CDC」は補体の存在下での標的細胞の溶解を指す。古典的補体経路の活性化による溶解は、補体系(Clq)の第一成分がそれらの同種抗原に結合される抗体(適当なサブクラス)へ結合されることによって開始される。補対活性を評価するために、例えばGazzano−Santoroetal.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されているように、CDCアッセイを行ってもよい。
【0046】
「単離された」抗体は、自然環境の成分から同定され、分離され及び/又は回収されたものである。自然環境の混入成分は、抗体の診断又は治療用途を妨げる物質である。そして、酵素、ホルモン及びその他のタンパク性又は非タンパク質性溶質を含み得る。好ましい実施態様において、抗体は(1)Lowryの方法で測定されるように、抗体の95重量%以上、そして最も好ましく99重量%以上、(2)スピニングカップシークエネータの使用によりN末又は内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、又は(3)クマーシーブルー又は好ましくは銀染色を用いて還元又は非還元条件下でSDS‐PAGにより等質になるまで精製される。単離された抗体は、抗体の自然環境の少なくとも一成分が存在しないので、insituで組換え細胞内に抗体を含む。しかし、単離された抗体は、通常、少なくとも1つの精製工程により調製される。
【0047】
「検出可能な標識化抗体」という用語は、結合された検出可能な標識を有する抗体(又はBCMAポリペプチド又はエピトープに対する結合特異性を保持する抗体フラグメント)を指す。検出可能な標識は、通常、化学結合で結合されるが、標識がポリペプチドである場合、別な方法として遺伝子工学技術により結合することが可能である。検出可能な標識化タンパク質の製造方法は、当該技術分野では既知である。検出可能な標識は、このように当該技術分野では既知の様々な標識から選択され、放射性同位体、蛍光色素分子、常磁性体標識、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、又は検出可能な信号(例えば放射線、蛍光色)又は標識の基質に暴露後検出可能な信号を発するその他の成分又は化合物を含むが、これに限定されない。各種の検出可能な標識/基質の組み合わせ(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ/ジアミノベンジジン、アビジン/ストレプトアビジン、ルシフェラーゼ/ルシフェリン)抗体標識化方法、及び標識化抗体を用いる方法は、当該技術分野では周知である(例えば、Harlow and Lane, eds.(Antibodies:A Laboratory Manual(1988)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.)を参照のこと)。
【0048】
「生体試料」は個体から得た各種の試料を包含し、そして診断又は監視アッセイで使用され得る。その定義として、血液及びその他の生体由来の液体試料、固体試料、例えば生検標本又はそれに由来する組織培養或いは細胞、そしてそれらの子孫を包含する。又、入手後、試薬による処理、可溶化、又はポリヌクレオチドのようなある成分の濃縮等のように、あらゆる方法で処理された試料も含む。「生体試料」という用語は臨床試料を包含し、培養細胞、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生体液、及び組織試料も含む。
【0049】
本明細書中で使用されるように,「治療(treatment)」、「処置(treating)」等の用語は、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを指す。その効果は疾病又は症状を完全に若しくは部分的に防ぐという点では予防的であり、及び/又は疾病及び/又は疾病に起因する副作用を部分的若しくは完全に治すという点では治療的である。本明細書中で使用されるように「治療」は哺乳類、特にヒトのあらゆる疾病に対する治療に及び、そして:(a)疾病に罹患しやすいが、罹患したという診断がまだされていない被検体において、その疾病が発症するのを防ぐこと;(b)疾病を抑制、即ち、その進行を止めること;そして(c)疾病を軽減、即ち、退行させることを含む。
【0050】
「免疫抑制薬」は免疫システムを妨げるあらゆる分子であり、そして外来又は自己抗原に対する反応を鈍らせる。シクロホスファミド(CYC)及びミコフェノール酸モフェチル(MMF)の2つが、そのような分子である。この用語は、免疫システムを下方制御する治療薬として有用なあらゆる薬物又は分子を包含することを意味する。
【0051】
「融合タンパク質」及び「融合ポリペプチド」は共有結合で結合された2つの部分を有するポリペプチドを指し、その部分は異なる特性を有するポリペプチドである。その特性は、試験管内又は生体内での活性のような生物学的な特性でもよく、又、標的分子への結合、反応の触媒など単純な化学又は物理的特性でも良い。この2つの部分は1つのペプチド結合によって、又は1つ若しくは複数のアミノ酸残基を含むペプチドリンカーを介して直接連結されてもよい。通常、この2つの部分とリンカーは、お互いにリーディングフレーム内にある。
【0052】
「複合体」は、融合タンパク質を含むあらゆるハイブリッド分子、及びアミノ酸又はタンパク質部分並びに非タンパク質部分の両方を含む分子を指す。複合体は、例えば、組換えDNA技術、固相合成、液相合成、有機化学合成技術、又はこれらの技術の組み合わせを含む当分野において、様々な既知の技術により合成される。合成の選択は、生成される特定分子による。例えば、実際は全てが「タンパク質」ではないハイブリッド分子は、組換え技術と液相技術の組み合わせにより合成されてもよい。
【0053】
本明細書中で使用されるように、「Fc融合タンパク質」という用語は、異種タンパク質の結合特性と免疫グロブリン定常領域のエフェクター機能とを組み合わせた抗体様分子を指す。構造的に、Fc融合タンパク質は、抗体の抗原認識及び結合部位(即ち、「異種」)以外であり、そして免疫グロブリン定常領域である所望の結合特性を有するアミノ酸配列を含む。Fc融合タンパク質分子は通常、少なくとも受容体又はリガンドの結合部位を含む連続したアミノ酸配列を含む。Fc融タンパク質中の免疫グロブリン定常領域の配列はあらゆる免疫グロブリン、例えばIgG‐1、IgG‐2、IgG‐3、又はIgG‐4サブタイプ、IgA(IgA‐1及びIgA‐2を含む)、IgE、IgD又はIgMから得られる。例えば、本発明による有用なFc融合タンパク質はポリペプチドであり、該ペプチドはBLyS受容体の膜貫通部又は細胞質配列を有さない、BLyS受容体のBLyS結合部分を含む。一実施態様において、BAFF‐R、TACI又はBCMAの細胞外ドメインは、免疫グロブリン配列の定常領域に融合される。
【0054】
本明細書中で殆ど同じ意味で使用される「個体」、「被検体」、及び「患者」という用語は哺乳類を指し、マウス、サル、ヒト、哺乳類の飼育動物(farm animal)、哺乳類のスポーツ動物、及び哺乳類のペットが含まれるが、これに限定されない。
【0055】
「哺乳類」は、哺乳類として分類されるあらゆる動物を指し、ヒト、家畜及び飼育動物、ならびに動物園動物、スポーツ動物又ペット動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシ等を含む。好ましくは、本明細書中の哺乳類はヒトである。
【0056】
BCMAポリペプチドの検出
本発明は、BCMAポリペプチドの検出を可能にする。「BCMAポリペプチド」という用語は、既知のBCMAポリヌクレオチドのオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされたアミノ酸配列を包含し、全長の天然ポリペプチド及びそれらのフラグメント、特に生物学的に活性なフラグメント及び/又は、例えば生物学的活性等を有する領域又はドメインのような機能的ドメインに相当するフラグメント;それらの抗原性フラグメント、及び本ポリペプチドと別のタンパク質又はそれらの一部との融合物を含む。BCMAポリペプチドのアミノ酸配列が開示されている。(例えばLaabi et al.,Nucleic Acids Research 22:1147−1154,1994;Laabi et al.,EMBO J.,11:3897−3904(1992);Gras et al.,Int.Immunology,7:1093−1106(1995);及びMadry et al.,Int.Immunology,10:1693−1702(1998)を参照のこと。本発明のBCMAポリペプチドは様々な材料、例えばヒト組織から、又は別の材料から、又は組換え及び/又は合成法により調製される材料から単離可能である。BCMAポリペプチドの多型性は、一般的に参照配列と比較して定義づけられる。
【0057】
本明細書中で使用されるように「多型性のBCMAポリペプチド」は、i)天然の多型性BCMAポリペプチド、ii)多型性BCMAポリペプチドフラグメント、iii)多型性BCMAポリペプチドのポリペプチド類似体、iv)多型性BCMA ポリペプチドの変異体、v)多型性BCMAポリペプチドの免疫学的に活性なフラグメント;及びvi)多型性BCMAポリペプチドを含む融合タンパク質のアミノ酸配列を有する、組換え又は非組換えポリペプチドのアミノ酸配列を指す。本発明の多型性BCMAポリペプチドは、生体試料から又は天然、合成、半合成又は組換えのあらゆる材料から得ることができる。
【0058】
「多型性BCMAポリペプチド」又は「BCMAポリペプチド」という用語は、少なくとも約5アミノ酸、少なくとも10アミノ酸、少なくとも約15アミノ酸、少なくとも約25アミノ酸、少なくとも約50アミノ酸、少なくとも約75アミノ酸、少なくとも約100アミノ酸、少なくとも約200アミノ酸、少なくとも約300アミノ酸、少なくとも約400アミノ酸、又は最大で多型性BCMAポリペプチドのポリペプチド全てを含むポリペプチドを包含する。いくつかの実施態様において、多型性BCMAポリペプチドは、例えばB細胞の増殖及び試験管内アッセイでの免疫グロブリン産生を引き起こすポリペプチドのような生物活性を示す。BCMA生物活性のためのその他のアッセイは当該技術分野では既知であり、多型性BCMAポリペプチドが生物活性を示すかどうかを測定するために使用可能であり、そしてもし必要であれば、BCMA生物活性を定量するために使用できる。BCMAの生物学的アッセイは種々の文献、例えば、Moore et al., supra.に記載されている。
【0059】
BCMAポリペプチドは、あらゆる既知の方法又はそのような方法の組み合わせにより得ることが可能であり、これらには天然の材料からの単離;化学合成による産生;及び標準組換え技術による産生が含まれる。BCMAポリペプチドは、例えば、固体支持体上で固定化されたBCMAポリペプチド特異的抗体を用いるアフィニティークロマトグラフィーを用い、生物材料から単離することができる。ポリペプチドは従来通り、発現目的によって原核生物又は真核生物中で発現されうる。タンパク質の大規模生産では、E.coli、B.subtilis、S.cerevisiaeのような単細胞生物、バキュロウイルスベクターと併用する昆虫細胞、又は脊椎動物、特に哺乳類、例えばCOS7細胞、CHO細胞、HEK293細胞等のより高等な生物の細胞が発現宿主細胞として使用されうる。場合によっては、タンパク質が天然の折りたたみと翻訳後修飾の恩恵を受ける真核細胞で遺伝子を発現することが望ましい。ポリペプチドは、細胞培養上清又は細胞溶解物から、上記のアフィニティークロマトグラフィー方法又はアニオン交換/サイズ排除クロマトグラフィー方法を用いて、単離することができる。
【0060】
発現宿主の使用によって多量のタンパク質又はそれらのフラグメントが使用できるようになると共に、タンパク質が単離され、そして従来の方法に従って精製されうる。溶解物が発現宿主から調製され、HPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィー、又はその他の精製技術により精製される。単離されたタンパク質は抗体を産生するのに使用してもよく、その抗体は同様に、ELISA又はFACS解析等の標準アッセイシステムを用いて、そのタンパク質の存在を検出するのに使用することもできる。
【0061】
BCMAポリペプチドの調製
以下のセクションでより詳細に説明される複数の使用法に加えて、BCMA核酸組成物はBCMAポリペプチドの全て又は一部を調製するのに使用される。ポリヌクレオチド(cDNA又は全長の遺伝子を含む)は部分的又は完全な遺伝子産物を発現するために使用される。本ポリヌクレオチドを含むコンストラクトは合成により作成することができる。別な方法として、多数のオリゴデオキシリボヌクレオチドからなる遺伝子と完全なプラスミドの一段階アッセンブリ(single‐step assembly)が、例えば、Stemmer et at.,Gene(Amsterdam)(1995)164(1):49−53により記載されている。この方法では、アセンブリPCR(多数のオリゴデオキシリボヌクレオチド(オリゴ)からの長いDNA配列の合成)が記載されている。この方法はDNAシャフリング(Stemmer,Nature(1994)370:389−391)に由来し、そしてDNAリガーセに依存しないが、代わりにDNAポリメラーゼに依存して、アセンブリ工程の間に次第により長いDNAフラグメントを形成する。適切なポリヌクレオチドのコンストラクトは、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,(1989)Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,に記載されている標準組換えDNA技術を用いて、および組換えDNA研究に関する米国HHS、国立衛生研究所(NIH)指針に記載されている現行規則の下で精製される。
【0062】
本明細書中で提供されるポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド分子は、ベクター中にその分子を置くことで増殖させる。プラスミドを含む、ウイルス及び非ウイルスベクターが使用される。プラスミドの選択は、増殖が望まれる細胞の種類と増殖の目的による。ある種のベクターは所望のDNA配列を大量に増幅し作成するのに有用である。他のベクターは培養細胞での発現に適する。更に、他のベクターは、無傷の動物又は人の細胞内への導入や発現に適する。適切なベクターの選択は十分当該技術分野の技術にはいる。このような-ベクターの多くは市販されている。部分的又は全長のポリヌクレオチドは、一般的にベクター中の切断された制限酵素部位へDNAのリガーゼ結合によってベクターに挿入される。別の方法として所望のヌクレオチド配列は、生体内での相同組み換えによって挿入される。一般的に、これはベクターと相同な領域を所望のヌクレオチド配列に隣接して結合することで達成される。相同領域は、オリゴヌクレオチドのライゲーションによって、又は例えば、相同領域と所望のヌクレオチド配列の両方を含むプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応により、付加される。
【0063】
発現のために、発現カセット又は発現システムを用いてもよい。本発明のポリヌクレオチドによりコードされる遺伝子産物は、例えば、細菌、酵母、昆虫、両生類及び哺乳類類を含むあらゆる簡便な発現システムで発現される。適切なベクター及び宿主細胞は米国特許第5,654,173に記載されている。発現ベクターでは、BCMAポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、所望の発現タンパク質を得るのに適当な制御配列に連結される。これらはプロモーター(センス鎖の5’末端又はアンチセンス鎖の3’末端のどちらかに連結される)、エンハンサー、ターミネーター、オペレーター、リプレッサー、及びインデューサーを含み得る。プロモーターは制御的又は構成的でもよい。場合によっては、組織特異的又は発生段階特異的プロモーターのように、条件的活性化プロモーターを使用することが望ましい。これらはベクターへ連結するために、上記技術を用いて所望のヌクレオチド配列に連結される。当該技術分野で既知のあらゆる技術が使用され得る。つまり、発現ベクターは誘導性又は構成的でもよい転写及び翻訳開始領域を提供し、そのコード領域が転写開始領域の転写制御下、及び転写及び翻訳停止領域下に操作可能に連結されている。これらの制御領域はBCMA遺伝子にとって天然のもの又は外来性のものでもよい。
【0064】
発現ベクターは通常、プロモーター配列付近に位置する好都合な制限部位を有し、異種タンパク質をコードする核酸配列の挿入を可能にする。発現宿主で作動する選択マーカーが存在してもよい。発現ベクターは融合タンパク質産生に使用されてもよく、ここで外来性融合ペプチドは付加的な機能性、即ち、タンパク質合成の増加、安定性、規定の抗血清との反応性、例えばβ-ガラクトシダーゼの酵素マーカー等をもたらす。
【0065】
発現カセットは転写開始領域、遺伝子又はそれらのフラグメント及び、転写停止領域を含めて調製してもよい。特に対象となるのは機能的エピトープ又はドメインの発現を可能にする配列の使用であり、一般的に少なくとも約8アミノ酸の長さ、より一般的には少なくとも長さ約15アミノ酸から約25アミノ酸まで、そして最長で遺伝子の完全なオープンリーディングフレームまでである。DNAの導入後、コンストラクトを含む細胞は選択マーカーで選択され、増殖され、それから発現に使用される。
【0066】
BCMAポリペプチドは、発現の目的によって従来方法に従い、原核生物又は真核生物で発現させてもよい。タンパク質の大規模産生では、E.coli、B.subtilis、S.cerevisiaeのような単細胞生物、バキュロウイルスベクターと併用する昆虫細胞、又は脊椎動物、特に哺乳類、例えばCOS7細胞、HEK293細胞、CHO、アフリカツメガエル卵母細胞等のより高等な生物の細胞が発現宿主細胞として使用されてもよい。場合によっては、多型性BCMAタンパク質が天然の折りたたみと翻訳後修飾の恩恵を受ける、真核細胞の多型性BCMAの核酸分子を発現することが望ましい。小さなペプチドは研究室で合成可能である。完全なBCMA配列のサブセットであるポリペプチドは、機能に重要なタンパク質部分を同定し、研究するために使用してもよい。
【0067】
対象となる特異的発現システムは、発現システム由来の細菌、酵母、昆虫細胞及び哺乳類細胞を含む。これらの各カテゴリーの代表的システムを以下に示す:
【0068】
細菌.細菌の発現システムは、Chang et al.,Nature(1978)275:615; Goeddel et al.,Nature(1979) 281:544; Goeddel et al.,Nucleic Acids Res.(1980)8:4057; EP0 036,776;米国特許第4,551,433号; DeBoer et al.,Proc.Natl. Acad. SCI.(USA)(1983) 80:21−25;及びSiebenlist et al.,Cell(1980)20:269に記載されたものを含む。
【0069】
酵母.酵母の発現システムは、Hinnen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1978)75:1929;Ito et al.,J. Bacteriol.(1983)153:163; Kurtz et al.,Mol. Cell. Biol.(1986)6:142;Kunze et al.,J. Basic Microbiol.(1985)25:141;Gleeson et al.,J.Gen.Microbiol.(1986)132:3459;Roggenkamp et al.,Mol. Gen.Genet.(1986)202:302; Das et al.,J.Bacteriol.(1984)158:1165;De Louvencourt et al.,J.Bacteriol.(1983)154:737; Van den Berg et al.,Bio/Technology(1990)8:135;Kunze et al.,J.Basic Microbiol.(1985)25:141;Cregg et al.,Mol.Cell.Biol.(1985)5:3376;米国特許第4,837,148号及び同第4,929,555号;Beach and Nurse,Nature(1981)300:706;Davidow et al.,Curr.Genet.(1985)10:380;Gaillardin et al.,Curr.Genet:(1985)10:49;Balance et al.,Bioochem Biophys.Res.Commun.(1983)112:284−289;Tilburn et al.,Gene(1983) 26:205−221;Yelton et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1984)81:1470−1474;Kelly and Hynes,EMBO J.(1985)4:475479;EP 0 244,234;及びWO91/00357に記載されたものを含む。
【0070】
昆虫細胞.昆虫の異種遺伝子の発現は、米国特許第4,745,051号;Friesen et al.,「The Regulation of Baculovirus Gene Expression」,in:The Molecular Biology Of Baculoviruses(1986)(W. Doerfier,ed.);EP 0 127,839;EP 0 155,476;及びVlak et al.,J. Gen. Virol.(1988)69:765−776;Miller et al.,Ann.Rev.Microbiol.(1988)42:177;Carbonell et al.,Gene(1988)73:409;Maeda et al.,Nature(1985)315:592−594;Lebacq−Verheyden et al.,Mol.Cell.Biol.(1988)8:3129;Smith et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1985)82:8844;Miyajima et al.,Gene(1987)58:273;及びMartin et al.,DNA(1988)7:99に記載されたように達成される。多数のバキュロウイルス株及び変異体、並びに対応する宿主由来の許容昆虫宿主細胞が、Luckow et al.,Bio/Technology(1988)6:47−55,Miller et al.,Generic Engineering(1986)8:277−279及びMaeda et al.,Nature(1985)315:592−594に記載されている。
【0071】
哺乳類細胞.哺乳類の発現は、Dijkema et al.,EMBO J.(1985)4:761,Gorman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1982)79:6777,Boshart et al.,Cell(1985)41:521及び米国特許第4,399,216号に記載されたように達成される。哺乳類発現の別の特徴は、Ham and Wallace,Meth. Enz.(1979)58:44,Barnes and Sato,Anal. Biochem.(1980)102:255,米国特許第4,767,704号,同第4,657,866号,同第4,927,762号,同第4,560,655号,WO90/103430,WO87/00195及び米国再発行特許第30,985号に記載されたように助長される。
【0072】
上記宿主細胞、又は他の適当な宿主細胞或いは生物の何れも、本発明のポリヌクレオチド又は核酸を複製及び/又は発現するために使用されると、その結果の複製された核酸、RNA、発現されたタンパク質又はポリペプチドは宿主細胞又は生物の生産物として本発明の範囲内に含まれる。産生物は当該技術分野で既知の適当な手段で回収される。
【0073】
選択されたポリヌクレオチドに一致する遺伝子が同定されると、その発現はその遺伝子が本来存在する細胞内で制御され得る。例えば、細胞の内因性遺伝子は、細胞内での遺伝子発現を少なくとも強化するのに十分な位置で細胞ゲノムに挿入された外来性制御配列で制御され得る。制御配列は、米国特許第5,641,670号及び同第5,733,761号に記載されるように相同組み換えによりゲノム内に組み込まれるように設計されてもよく、そしてこれらの開示は参照することにより本明細書中に組み込まれるか、又はWO99/15650に記載されるように非相同組み換によりゲノム内で組みこまれるように設計されてもよく、そしてこれらの開示は参照することにより本明細書中に組み込まれる。本発明にはこのようなものとして、コードしている核酸それ自体の操作を伴わないBCMAタンパク質の産生も包含されるが、しかしその代わりに、上記の組み込まれた特許文献に記載されるように、所望のタンパク質をコードする遺伝子がすでに含まれる細胞ゲノム内への制御配列の組み込みを介する。
【0074】
BCMAポリペプチに特異的な抗体の調製
本発明は更に抗体、特にBCMAポリペプチドに特異的な単離された抗体の使用を包含し得る。本発明の抗体は、以下により詳細に記載されるように、各種の診断アッセイ又は治療において有用である。例えば、抗体は生体試料中のBCMAポリペプチドレベルを検出及び/又は測定するために使用できる。
【0075】
本発明の単離されたBCMAポリペプチドは抗体産生に有用であり、ここで短いフラグメントは特定のポリペプチドに特異的な抗体を提供し、そして大きなフラグメント又はタンパク質全体はポリペプチド表面全体への抗体産生を可能にする。従って、本発明の方法はBCMAポリペプチド、又はその抗原性フラグメントを特異的に結合する単離された抗体を利用することができる。抗体は野生型又は変異体種に対して産生され得る。抗体は、これらのドメインに相当する単離されたペプチド又は天然タンパク質に対して産生され得る。抗体はあらゆる哺乳類のBCMAポリペプチド及び/又はペプチドフラグメントに対して産生され得る。1つの限定されない例として、酵素免疫吸着アッセイ(ELISA)は、BCMAポリペプチドに対する所与のモノクローナル抗体の特異性を測定するのに使用できる。
【0076】
BCMAポリペプチドは抗体産生に有用であり、ここでショートフラグメントは特定のポリペプチドに特異的な抗体を提供し、そして大フラグメント又はタンパク質全体はポリペプチド表面全体への抗体産生を可能にする。 本明細書中で使用されるように、「抗体」という用語はあらゆるアイソタイプの抗体、抗原への特異的結合を保持する抗体フラグメントを含み、これらはFab、Fv、scFv、及びFdフラグメント、このような抗体フラグメントを含む融合タンパク質、検出可能な標識化抗体、及びキメラ抗体を含むが、これに限定されない。抗体‐抗原相互作用の文脈において、「抗体特異性」は当該技術分野では十分に理解された用語であり、そして所与の抗体が所与の抗原に結合すること意味し、その結合は抗体により認識される抗原又はそのエピトープにより阻害され得るが、実質的に関連のない抗原には結合しない。特異的抗体結合を測定する方法は、当該技術分野の当業者には周知であり、そしてBCMAポリペプチドの抗体特異性を測定するのに使用dきる。具体的な実施態様では、BCMA抗体はBCMAの細胞外ドメインに結合する。 例えば、Carter et al.(2007) Mol Can Ther 6:3009−18を参照のこと。更に別の実施態様では、BCMA抗体はBCMA細胞外ドメインに結合し、更にBCMA活性を阻害する。BCMA抗体がBCMA活性を阻害するかどうかを決定する方法が知られている。
【0077】
抗体は従来方法に従って調製され、ここで発現されたものはポリペプチド又はタンパク質であり、それ自体又はKLH、pre‐SHBsAg、その他のウイルス性又は真核性タンパク質等の既知の免疫源キャリアーとの複合体により免疫源として使用される。各種のアジュバントも一連の注射とともに、適切なものとして用いられる。モノクローナル抗体のために、1回又は複数回のブースター注射の後、脾臓が単離され、リンパ球は細胞融合によって不死化され、そして高親和性抗体結合に対するスクリーニングが行われる。不死化細胞、すなわち、所望の抗体を産生するハイブリドーマが増殖される。更に詳細はMonoclonal Antibodies:A Laboratory Manual,Harlow and Lane eds.,Cold Spring Harbor Laboatories,Cold Spring Harbor,N.Y.,1988を参照のこと。必要に応じて、重鎖及び軽鎖をコードするmRNAが単離され、そしてE.coli中でクローニングすることで突然変異を起こさせてもよく、そして重鎖及び軽鎖を混合して、更に抗体親和性を増強する。抗体を産生させる方法として生体内での免疫化に代わるものには、通常、試験管内での親和性成熟を伴うファージディスプレイライブラリに対する結合が含まれる。
【0078】
抗体は直接又は間接的(例えばリンカー分子を介して)に、生体試料中のBCMAポリペプチドの存在を決定及び/又は測定する診断アッセイに使用するための固体支持体に結合される。結合は通常共有結合であるが、それである必要はない。固体支持体はビーズ(例えば、ポリスチレンビーズ、磁性ビーズ等);プラスチック表面(例えば、ポリスチレン又はELISA又はラジオイムノアッセイ(RIA)で一般的に使用されるポリカーボネートマルチウェルプレート等);ナイロン、ニトロセルロース等のシート;及びチップ、例えば、マイクロアレイで使用されるようなSi0
2チップを含むが、これに限定されない。従って、本発明は更に、固体支持体に結合された抗体を含むアッセイ装置を提供する。
【0079】
単一抗体又は一連の異なる抗体は、アッセイデバイスを作成するために使用され得る。そのようなアッセイ装置は、当該技術分野の当業者に既知の従来技術を用いて調製することができる。抗体は既知の技術を用いて精製、単離され、既知の手順を用いて支持体表面に結合され得る。その結果、その上に結合された抗体を有する表面は、例えば生体試料などのテスト試料を、1種又は複数種のBCMAポリペプチドを含むかどうかを決定するために生体外で使用され得る。例えば、特異的BCMAエピトープにのみ結合する抗体は、物質の表面に結合され得る。或いは、複数の特異的抗体は、2つ又はそれ以上の異なるBCMAエピトープに特異的な抗体が固体支持体に結合されるアレイに配列されても良く、この特異的抗体を使用することができる。テスト用試料は物質表面に結合された抗体と接触させる。特異的結合はあらゆる既知の方法で検出可能である。もし特異的結合が検出されなければ、試料は特異的BCMAエピトープを含んでいないと推定できる。特異的結合がどのように検出され得るのかという1つの限定されない例として、テスト用試料を固体支持体に結合された抗体と接触させたら、2番目の検出可能な標識化抗が添加され、固体支持体結合抗体により認識されるエピトープとは異なるBCMAエピトープを認識する。
【0080】
各種の試薬は、本明細書中に記載されたBCMAポリペプチド検出のために、アッセイに含まれてもよい。これらには、塩類、例えばアルブミンのような中性タンパク質、界面活性剤等のような試薬が含まれ、最適なタンパク質‐タンパク質結合を促進、及び/又は非特異的又はバックグラウンドの相互作用を減らすために使用される。アッセイの効率を改善する試薬、例えば、プロテアーセ阻害剤、抗菌剤等を使用してもよい。成分は、必要な結合を与えるためのあらゆる順番で添加される。インキュベーションは一般的に4°Cから40°Cの間の、適切なあらゆる温度で行われる。インキュベーション時間は最適活性のために選択されるが、高速ハイスループットスクリーニングを促進するために最適化してもよい。一般的に、0.1から1時間の間で十分であろう。
【0081】
二重特異性抗体は、抗体少なくとも2つの異なるエピトープに対する特異的結合を有する抗体である。典型的な二重特異性抗体は、B細胞表面マーカーの2つの異なるエピトープに結合する。別のこのような抗体は、第1のB細胞マーカーに結合し、更に第2のB細胞表面マーカーに結合し得る。或いは、抗B細胞マーカー結合腕は、細胞の防御機能をB細胞に集中させるために、T‐細胞受容体分子(例えばCD2又はCD3)、又はFcyRI(CD64)、FcyRII(CD32)及びFcyRIII(CD16)のようなIgG(FcyR)のためのFc受容体のような白血球上のトリガー分子と結合する腕と組み合わされても良い。二重特異性抗体はB細胞に対する細胞傷害性薬剤を局在化するために使用しても良い。これらの抗体はB細胞マーカー結合腕及び細胞傷害性薬剤(例えばサポニン、抗インターフェロン、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキセート又は放射性同位元素ハプテン)を結合する腕を有する。
【0082】
二重特異性抗体は、全長の抗体又は抗体フラグメント(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)として調製され得る。二重特異性抗体を作成する方法は当該技術分野では知られている。全長の二重特異性抗体の、従来の製造は2つの免疫グロブリン重鎖‐軽鎖対の同時発現に基づいており、この2本の鎖は異なる特異性を有する(Millstein et al.,Nature,305:537−539(1983))。
【0083】
免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖のランダムな取り合わせのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10の異なる抗体分子の潜在的な混合物を産生し、これらのうちただ1つのみが正しい二重特異性構造を有する。正しい分子の精製は、通常、アフィニティークロマトグラフィーの工程で処理されるが、むしろ扱いにくく、産生量は少ない。同様な手順がWO93/08829、及びTraunecker et al.,EMBO J.,10:3655−3659(1991)に開示されている。
【0084】
別のアプローチによると、所望の結合特異性(抗体‐抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインは、免疫グロブリン定常領域配列に融合される。融合は好ましくは免疫グロブリン重鎖定常領域内にあり、少なくともヒンジ部、CH2、及びCH3領域を含む。少なくとも1つの融合物内に存在する、軽鎖結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物、及び、必要であれば、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAが別々の発現ベクターに挿入され、そして適切な宿主生物に同時導入(co−transfected)される。コンストラクト中で使用される3つのポリペプチド鎖が同等でない割合で最大の収量を与える時、これにより実施態様で3つのポリペプチドフラグメントの相互比率を調節するための大きな柔軟性がもたらされる。しかし、少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現が同等の割合で高収量になる時又はその割合が特に重要ではない時、2又は3つ全てのポリペプチド鎖をコードする配列を1つの発現ベクターに挿入することは可能である。
【0085】
このアプローチの好ましい実施態様では、二重特異性抗体は、1つの腕に第一の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、及び他方の腕にハイブリッド免疫グロブリンの重鎖‐軽鎖対(第二の結合特異性を与える)からなる。二重特異性分子の半分にのみ免疫グロブリン軽鎖が存在することで、容易な分離方法を提供できることから、この非対称構造は望ましくない免疫グロブリン鎖の組み合わせから所望の二重特異性化合物の分離を促進することが分かった。このアプローチはWO94/04690に開示されている。二重特異性の抗体の作成について更に詳細には、例えば、Suresh et al.,Methods in Enzymology,121:210(1986)を参照のこと。米国特許第5,731,168号に記載された、別のアプローチによると、抗体分子対の間のインターフェースは、組み換え細胞培養から回収されるヘテロダイマーのパーセンテージを最大化するように変更され得る。好ましいインターフェースは、少なくとも抗体定常領域のCH3ドメインの一部を含む。この方法において、第一抗体分子のインターフェース由来の1つ又は複数の小さなアミノ酸側鎖は、より大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と置換される。大きな側鎖に対して同一又は同様なサイズの補正的「穴」は、大きなアミノ酸側鎖をより小さな物(例えばアラニン又はスレオニン)と置換することにより、第二抗体分子のインターフェース上に作成される。これによって、ホモダイマーのような望ましくない最終生成物に対して、ヘテロダイマーの収量を増加させる機作を提供する。
【0086】
二重特異性抗体は架橋した又は「異種複合体」抗体を含む。例えば、異種複合体の抗体の1つはアビジンに、もう一方はビオチンに連結可能である。このような抗体は、例えば、免疫システム細胞が望ましくない細胞を標的とするため(米国特許第4,676,980号)、そしてHIV感染治療のために(WO91/00360、WO92/200373及びEP 03089)提唱されてきた。異種複合体抗体は、どのような利便な架橋結合方法を用いて作成されてもよい。適切な架橋剤は当該技術分野では周知であり、米国特許第4,676,980号に多くの架橋結合技術と共に開示されている。
【0087】
抗体フラグメントから二重特異性抗体を作成する技術は、論文にも記載されている。例えば、二重特異性抗体は化学結合を用いて調製できる。Brennan et al,Science,229:81(1985)は無傷の抗体をタンパク質分解により開裂し、F(ab’)2フラグメントを生成する手順を記載している。これらのフラグメントは、ジチオール錯化剤、亜ヒ酸ナトリウム存在下で還元され、近接するジチオールを安定化し、そして分子間ジスルフィド形成を抑制する。生成されたFab’フラグメントは、それからチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換される。Fab’‐TNB誘導体はそれからメルカプトエタノールアミンで還元され、Fab’‐チオールに再変換される。そして等モル量の別のFab’‐TNB誘導体と混合され、二重特異性抗体を形成する。産生された二重特異性抗は、酵素の選択的固定のための薬剤として使用され得る。
【0088】
近年の進展により、化学的に結合され、二重特異性抗体を形成できるE.coliからFab’‐SHフラグメントを直接回収することが容易になった。Shalaby et al.,J.Exp. Med.,175:217‐225(1992)には、完全ヒト化二重特異性抗体F(ab’)2分子の産生が記載されている。各Fab’フラグメントはE.coliから別々に分泌され、そして生体外で直接化学結合され、二重特異性抗体を形成する。このように形成された二重特異性抗体はErbB2受容体過剰発現細胞及び正常ヒトT細胞に結合し、そしてヒト乳房腫瘍標的に対してヒト細胞傷害性リンパ球の細胞溶解活性を引き起こすことができた。
【0089】
二重特異性抗体フラグメントを組換え細胞培養から直接作成し単離する各種の技術も記載されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを用いて産生することが可能である。Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547−1553(1992)。Fos及びJunタンパク質のロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合によって2つの異なる抗体のFab’部分に連結された。
【0090】
抗体ホモダイマーはヒンジ領域で還元されてモノマーを形成し、そしてそれから再酸化されて抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法は抗体ホモダイマー生産にも利用可能である。
【0091】
Hollinger et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993)により記載された「二特異性抗体(diabody)」技術は、二重特異性抗体フラグメントを作成する別の機作を提供している。フラグメントは、あまりにも短いので同一鎖上で2つの領域間での対を形成できないリンカーにより、軽鎖可変領域(VL)に連結された重鎖可変領域(VH)を含む。従って、1つのフラグメントのVH及びVLドメインと、別なフラグメントの相補的VH及びVLドメインとの間に強制的に対が形成され、それによって2つの抗原結合部位を形成する。単一鎖Fv(sFv)ダイマーの使用により、二重特異性抗体フラグメントを作成する別の戦略も報告されている。Gruber et al.,J.Immunology,152:5368(1994)を参照。2価を上回る抗体も考えられている。例えば、三重特異性抗体も調製化の可能である。Tuttet al.,J.Immunol.147:60(1991)。
【0092】
診断アッセイ
本発明は更に、生体試料中のBCMAmRNAの存在及び/又はレベルを検出する方法;そして、生体試料中のBCMAポリペプチドの存在及び/又はレベルを検出する方法を提供する。
【0093】
他の実施態様において、個体由来の生体試料中のBCMAmRNAのレベルを検出するための方法が提供され、BCMAポリペプチドをコードするmRNAレベルのために、個体由来のポリヌクレオチド試料を解析することを含む。BCMAmRNAレベルは自己免疫疾患に関与する可能性がある。更に別の実施態様において、生体試料中のBCMAポリペプチドの存在及び/又はレベルを検出する方法を提供する。
【0094】
例えば、特定試料中のBCMAmRNA、又はBCMAポリペプチド等、BCMA核酸分子の発現レベルを測定するために、多くの方法が利用できる。患者試料中の正常又は異常なBCMAmRNAの非存在又は存在又は変化量を測定するために、多くの方法で診断は行うことができる。例えば、検出は従来の方法に従って行われる、標識化抗体による細胞又は組織切片の染色を利用してもよい。細胞は細胞質分子を染色するために透過処理される。対象の抗体は細胞試料に添加され、エピトープへ結合するのに十分な時間、通常少なくとも約10分間インキュベーションされる。抗体は放射性同位体、酵素、蛍光体、化学発光体、又は直接検出するための、その他の標識体で標識してもよい。又は、第二ステージの抗体又は試薬がシグナルを増幅するために使用される。このような試薬は当該技術分野では周知である。例えば、一次抗体はビオチンと結合させてもよく、そして第二ステージの試薬として西洋ワサビペルオキシダーゼ結合アビジンが添加される。或いは、二次抗体は蛍光化合物、例えば フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、等に結合させた。最終検出はペルオキシダーゼ存在下で色が変化する基質を使用する。抗体結合の有無は、解離細胞のフローサイトメトリー、顕微鏡検査、X線写真、シンチレーション計測等を含む様々な方法で検出してもよい。BCMAポリペプチドレベルの存在及び/又はレベルは当業者の知るどのような方法で検出及び/又は定量されてもよい。
【0095】
加えて、テストにはBCMAmRNAの発現測定も含まれる。BCMAコード領域又は制御領域の配列多型性が疾病に関与するかどうかを決定するために、生化学的調査を行ってもよい。
【0096】
多型性を伴う疾病には、遺伝子の欠失又は短縮化、発現レベルを変える変異、タンパク質活性に影響する変異等が含まれうる。
【0097】
BCMA発現レベルに影響し得るプロモーター又はエンハンサー配列の変化は、当該技術分野で既知の様々な方法により正常アレルの発現レベルと比較できる。プロモーター又はエンハンサー強度を測定する方法には、発現された天然タンパク質の定量;例えば、β‐ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ等、簡便な定量法を提供するレポーター遺伝子を有するベクターへの変異体調節エレメントの挿入等;及びその他等が含まれる。
【0098】
BCMA遺伝子発現レベルが対象となる本発明の診断方法は、通常、対象のBCMA核酸又はタンパク質量と対照の値とを比較して、あらゆる相対的差異を測定することを含み、ここで、試料中の差異は定性的及び/又は定量的であり、その差異は異常なBCMA遺伝子発現パターンの存在の有無に関わる。試料中の核酸の存在を測定するための各種の異なる方法は当該技術分野の当業者には既知であり、対象となる特定の方法は:Pietu et al.,Genome Res.(June 1996)6:492−503;Zhao et al.,Gene(Apr. 24,1995)156:207−213;Soares,Curr.Opin.Biotechnol.(October 1997)8:542‐546;Raval, J.Pharmacol Toxicol Methods(November 1994)32:125−127;Chalifour et al.,Anal.Biochem(Feb.1,1994)216:299−304;Stolz & Tuan,Mol.Biotechnol.(December 19960 6:225‐230;Hong et al.,Bioscience Reports(1982)2:907;そして、McGraw,Anal.Biochem.(1984)143:298に記載されたものを含む。又、対象となるのはWO97/27317に記載された方法であり、その開示は、参照することにより本明細書中に組み込まれる。
【0099】
特定の生理的状態と「関連する」か又は「関わる」遺伝子の発現レベルにより、遺伝子の発現が統計的に生理的状態と有意な相関を有することが示される。異なった形で発現される遺伝子の発現レベルと特定の生理的状態の有無との間の相関は、統計的優位性検定によって決定され得る。異なった形で発現される遺伝子レベルと、統計学的スコアを前記相関に割り当てた特定の生理的状態との相関の強さを決定する方法は、Holloway et al.(2002)Nature Genetics Suppl.32:481−89,Churchill(2002)Nature Genetics Suppl.32:490−95,Quackenbush(2002)Nature Genetics Suppl.32:496−501;Slonim(2002)Nature Genetics Suppl.32:502−08;及びChuaqui et al.(2002)Nature Genetics Suppl.32:509−514;で概説され、これらはその全体を参照することにより、本明細書中に組み込まれる。
【0100】
自己免疫疾患の重症度又は進行に関わる別のテストと、上記のBCMAテストを組み合わせて完全な診断又は予後の見込みを提供することが可能である。
【0101】
例えば米国リューマチ学会はSLEを診断するために11の基準を作り、これは皮膚、全身性、及び臨床試験においてSLEの臨床スペクトラムを測定する。これらの基準には頬部発疹、円盤状発疹、日光過敏症、,口腔内潰瘍、関節炎、漿膜炎、腎臓及び中枢神経系炎症、血液変化、及び抗核抗体の存在が含まれる。患者は、SLE患者として分類されるためには、これらの基準の4つを満たさなければならない(Tan et al.(1982)Arthritis Rheumatol.25:1271−1277)。SLEは一般に抗核抗体を検出する血液検査;腎機能を評価する血液及び尿検査;SLEにしばしば関与する低レベルの補対を検出するための補体検査;炎症レベルを測定するための沈降速度(ESR)又はC反応性タンパク質(CRP);肺損傷を評価するためのX線及び心臓損傷を評価するためのEKGを含むが、これに限定されない検査により確認される。
【0102】
薬物治療のモニタリング効果
発現又はBCMAタンパク質(例えば、転写活性の調節)への薬物(例えば、薬物、化合物)の効果のモニタリングは、基本的な薬物スクリーニングのみならず、臨床試験にも適用できる。例えば、BCMA遺伝子発現、又はタンパク質レベルを減少する本明細書中に記載されるようなスクリーニングアッセイで測定される薬物の効果は、BCMA遺伝子発現又はタンパク質レベルの減少を示す被検体の臨床試験でモニターすることができる。このような臨床試験において、BCMA遺伝子の発現又は活性、そして好ましくは、例えば、BCMAタンパク質レベルが関わる疾患に関係するとみなされるその他の遺伝子は、特定の細胞、この場合はB細胞の表現型の「読み取り」又はマーカーとして使用され得る。
【0103】
ある実施態様では、本発明は薬物(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣薬、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、又は他の薬物)による被検体の治療効果をモニタリングする方法を提供し、該方法は(i)薬物投与前の被検体から、投与前試料を得る;(ii)投与前試料中のBCMAタンパク質又はmRNAの発現レベルを検出する;(iii)被検体から1つ又は複数の投与後試料を得る;(iv)投与後試料中のBCMAタンパク質又はmRNAの発現又は活性レベルを検出する;(v)投与前試料中のBCMAタンパク質又はmRNAの発現又は活性レベルと、投与後試料中のBCMAタンパク質又はmRNAを比較する;そして(vi)薬物の投与をその被検体に応じて、変更することを含む。このような実施態様によると、観察可能な表現型反応がなくても、BCMAの発現又は活性は薬物効果の指標として使用され得る。
【0104】
異なる組織でのBCMAの基礎発現レベルは、特異的多型性の存在の有無により分類された個体からの組織試料を解析して測定されてもよい。どのような簡便な方法、例えば、タンパク質定量のためのELISA、RIA等、mRNA定量のためのノーザンブロット又は他のハイブリダイゼーション解析、定量的RT‐PCR等を使用してもよい。組織特異的発現は、遺伝子型と相関する。
【0105】
修飾因子に対する反応におけるBCMA発現の変化は、候補修飾因子を投与するか又は、例えば、動物、細胞、生体外での転写アッセイ等の発現システムとを組み合わせることにより、決定され得る。BCMA転写及び/又は定常状態のmRNAレベルに対する修飾因子の効果が測定される。基礎発現レベルの様に、組織特異的相互作用が対象となる。BCMAレベルに作用する発現修飾因子の能力と与えられた多型性の存在との間に相関が形成される。異なる修飾因子、細胞種類等のパネルは、多数の異なる条件下での影響を決定するためにスクリーニングされ得る。
【0106】
治療方法
本発明はB細胞表面上のBCMAレベル増加を伴う疾患として、臨床的に診断された個体を治療する方法を提供する。該方法は一般に、生体試料を解析してBCMAレベルを測定し、そして健常対照群におけるこのようなレベルと比較することを含む。自己免疫疾患のようなBCMAレベル増加を伴う疾患を有するとして臨床的に診断された個体に最も有効な治療計画が、それから選択される。このように、本発明は更に、BCMAレベル増加を伴う疾患の薬物治療に反応する患者の可能性を予測する方法を提供する。該方法は患者のBCMA遺伝子発現を測定することを含み、ここでBCMAレベル増加の存在はSLEのような自己免疫疾患を伴い、そしてその疾患のための薬物治療に反応する患者の可能性を予測する。
【0107】
このように、本発明の別の局面は、個体の薬物反応性に応じた個体のBCMA発現のオーダーメイド治療処置を行う方法を提供する。薬理ゲノミクスにより、臨床家又は内科医はこの治療により最も恩恵を受ける患者への予防的又は治療的処置を目標とし、そして毒性の高い薬物関連の副作用に悩む患者の治療を避けることが可能である。
【0108】
自己免疫疾患
以下に、現在開示されているBCMA測定アッセイを使用することで、その治療に役立つ可能性のある自己免疫疾患を列記するが、これに限定されない。B細胞調節性自己免疫疾患には、関節炎(関節リウマチ、若年性関節リウマチ、骨関節炎、乾癬性関節炎)、乾癬、アトピー性皮膚炎を含む皮膚炎;慢性自己免疫性蕁麻疹、多発性筋炎/皮膚筋炎、中毒性表皮剥離症、全身性強皮症及び硬化、炎症性腸疾患(IBD)(クローン病、潰瘍性大腸炎)関連反応、呼吸窮迫症候群、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、髄膜炎、アレルギー性鼻炎、脳炎、ブドウ膜炎、大腸炎、糸球体腎炎、アレルギー性疾患、湿疹、喘息、T細胞浸潤性疾患及び慢性炎症性反応、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性心筋炎、白血球接着不全症、全身性エリテマトーデス(SLE)、紅斑性狼瘡(腎炎、非腎性、円盤状、脱毛症を含む)、若年型糖尿病、多発性硬化症、アレルギー性脳脊髄炎、急性及び遅延性のサイトカイン及びTリンパ球介在過敏症に関連する免疫反応、結核、サルコイドーシス、ウェゲナー肉芽腫症を含む肉芽腫症、無顆粒球症、血管炎(ANCAを含む)、無形成性貧血、クームス陽性貧血、ダイモンド・ブラックファン貧血、自己免疫溶性血性貧血(AIHA)を含む免疫溶性血性貧血、悪性貧血、赤芽球ろう(PRCA)、第VIII因子欠乏症、血友病A、自己免疫性好中球減少症、汎血球減少、白血球減少、白血球漏出を含む疾患、CNS炎症性疾患、多発性臓器損傷シンドローム、重症筋無力症、抗原‐抗体複合体媒介疾患、抗糸球体基底膜疾患、抗リン脂質抗体症候群、アレルギー性神経炎、ベーチェット病、キャッスルマン症候群、グッドパスチャー症候群、Lambert‐Eaton筋無力症候群、レイノー症候群、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、固形臓器移植拒絶(パネル反応性抗体価高値に対する前治療、組織内のIgA沈着などを含む)、移植片対宿主病(GVHD)、水疱性類天疱瘡、天疱瘡(尋常性、落葉状を含む全て)、自己免疫性多内分泌腺症、ライター病、全身強直症候群、巨細胞性動脈炎、免疫複合体腎炎、IgA腎症、IgM多発ニューロパシーまたはIgM介在性ニューロパシー、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性の精巣炎と卵巣炎など精巣および卵巣の自己免疫性疾患、原発性甲状腺機能低下症;自己免疫性甲状腺炎、慢性甲状腺炎(橋本病)、亜急性甲状腺炎、特発性甲状腺機能低下症、アジソン病、グレーブス病、自己免疫性多腺性症候群(または多腺性内分泌障害症候群)、インスリン依存性糖尿病(IDDM)とも呼ぶI型糖尿病、ならびにシーハン症候群などの自己免疫性内分泌疾患;自己免疫性肝炎、リンパ球様間質性肺炎(HIV)、NSIPに対する閉塞性細気管支炎(非移植)、ギラン・バレー症候群、大血管の血管炎(リウマチ性多発筋痛症及び巨細胞性(高安)動脈炎を含む)、中血管の血管炎(川崎病、結節性多発動脈炎を含む)、強直性脊椎炎、ベルジェ病(IgA腎症)、急速進行性糸球体腎炎、原発性胆汁性肝硬変、セリアックスプルー(グルテン腸症)、クリオグロブリン血症、ALS、そして冠動脈疾患が含まれる。
【0109】
BLyS及び/又はAPRILアンタゴニスト
自己免疫疾患に罹る患者のB細胞表面上のBCMAタンパク質発現レベルが高ければ、患者のBLyS及び/又はAPRIの阻害反応が有望である可能性を示唆するものである。このように、本発明は自己免疫疾患の治療に使用されるBLyS及び/又はAPRILアンタゴニストを含み、該患者はB細胞表面上のBCMAタンパク質の発現レベルが増加している。以下に、このような患者の治療するために利用され得るBLyS及び/又はAPRILアンタゴニストの代表的な例を示す。BLyS及び/又はAPRILアンタゴニストとして、機能するために、TNFRファミリー受容体のどの細胞外ドメインも、BLySを結合する能力を一般的に保持する膜貫通又は細胞質ドメインのポリペプチドは本質的に存在しない。具体的には、TACIの細胞外ドメインは、TACIポリペプチド配列(SEQ ID NO:2)のアミノ酸1から154を含む。加えて、ECDはvon Bulow et al.,supra,WO98/39361,WO00/40716,WO01/85782,WO01/87979、及びWO01/81417に記載されるように、TACIのECD形のようなフラグメント又はこの配列の変異体でもよい。特に、これらECD形はSEQ ID NO:2のアミノ酸1‐106、SEQ ID NO:2のアミノ酸1‐142、SEQ ID NO:2のアミノ酸30‐154、SEQ ID NO:2のアミノ酸30‐106、SEQ ID NO:2のアミノ酸30‐110、SEQ ID NO:2のアミノ酸30‐119、SEQ ID NO:2のアミノ酸1‐166、SEQ ID NO:2のアミノ酸1‐165、SEQ ID NO:2のアミノ酸1‐114、SEQ ID NO:2のアミノ酸1‐119、SEQ ID NO:2のアミノ酸1‐120、そしてSEQ ID NO:2のアミノ酸1‐126を含むことができる。更に、TACIECDは、システインリッチドメインを1つだけ有するこれらの分子を含むことができる。
【0110】
BAFF‐RのECD形はBAFF‐Rポリペプチド配列(SEQ ID NO:4)のアミノ酸1‐71を含有するものを含む。更にECDはWO02/24909、WO03/14294及びWO02/38766に記載されるように、BAFF‐RのECD形のようなフラグメント又はこの配列の変異体でもよい。特に、これらECD形はSEQ ID NO:4のアミノ酸1‐77、SEQ ID NO:4のアミノ酸7−77、SEQ ID NO:4のアミノ酸1‐69、SEQ ID NO:4のアミノ酸7‐69、SEQ ID NO:4のアミノ酸2‐62、SEQ ID NO:4のアミノ酸2‐71、SEQ ID NO:4のアミノ酸1‐61及びSEQ ID NO:4のアミノ酸2‐63、SEQ ID NO:4のアミノ酸1‐45、SEQ ID NO:4のアミノ酸1‐39、SEQ ID NO:4のアミノ酸7‐39、SEQ ID NO:4のアミノ酸1‐17、SEQ ID NO:4のアミノ酸39‐64、SEQ ID NO:4のアミノ酸19‐35、及びSEQ ID NO:4のアミノ酸17‐42を含むことができる。更にBAFF‐RのECDはシステインリッチドメインを1つ有するこれらの分子を含むことができる。
【0111】
BCMAのECD形はBCMAポリペプチド配列(SEQ ID NO:6)のアミノ酸1‐48を含有するものを含む。ポリペプチド配列(SEQ ID NO:6)のアミノ酸1‐71を含有するものを含む。更にECDはWO00/40716及びWO05/075511に記載されるように、BCMAのECD形のようなフラグメント又はこの配列の変異体でもよい。特に、これらECD形は、SEQ ID NO:6のアミノ酸1‐150、SEQ ID NO:6のアミノ酸1‐48、SEQ ID NO:6のアミノ酸1‐41、SEQ ID NO:6のアミノ酸8‐41、SEQ ID NO:6のアミノ酸8‐37、SEQ ID NO:6のアミノ酸8‐88、SEQ ID NO:6のアミノ酸41‐88、SEQ ID NO:6のアミノ酸1‐54、SEQ ID NO:6のアミノ酸4‐55、SEQ ID NO:6のアミノ酸4‐51、及びSEQ ID NO:6のアミノ酸21‐53を含むことができる。更にBCMAのECDは部分的なシステインリッチドメインだけを有するこれらの分子を含むことができる。
【0112】
更に実施態様において、BLyS受容体(例えば、BAFF‐R、BCMA又はTACIの細胞外ドメイン又はそれらのフラグメント)のBLyS結合領域は免疫グロブリン分子のFc部へ融合され、生体内でその溶解性を促進する。ある実施態様によると、BLyS及び/又はAPRILアンタゴニストは、100nM又はそれより小さい結合親和性を有するBLySポリペプチドに結合する。別の実施態様によると、BLyS及び/又はAPRILアンタゴニストは10nM又はそれより小さい結合親和性を有するBLySポリペプチドに結合する。更に別の実施態様によると、BLyS及び/又はAPRILアンタゴニストは1nM又はそれより小さい結合親和性を有するBLySポリペプチドに結合する。
【0113】
別の例では、BLyS及び/又は APRILアンタゴニストは、本来の配列はないBLyS結合ポリペプチド又その変異体を含む。このようなポリペプチドのいくつかの例は、WO05/000351に記載されるように、式I、式II、式IIIの配列を有するものである。特に、いくつかの結合ポリペプチドは、ECFDLLVRAWVPCSVLK(SEQ ID NO:13)ECFDLLVRHWVPCGLLR(SEQ ID NO:14)、ECFDLLVRRWVPCEMLG(SEQ ID NO:15)、ECFDLLVRSWVPCHMLR(SEQ ID NO:16)、ECFDLLVRHWVACGLLR(SEQ ID NO:17)、又はWO05/000351の図.32に列挙された配列を含む。
【0114】
或いは、BLyS及び/又はAPRILアンタゴニストは本来の配列TACI、BAFF‐R、又はBCMAの細胞外ドメインをそのBLyS結合領域で結合し、試験管内で、in situ又は生体内で部分的又は完全にBLyS結合を阻害、抑制又は中和することができる。例えば、このような間接的アンタゴニストは、BLyS結合が立体的に障害されるようなTACIの領域で結合するTACI抗体である。例えば、アミノ酸72‐109又はその近辺の領域での結合は、BLyS結合を阻害すると考えられている。この分子へのAPRIL結合はアミノ酸82‐222の領域で生じると考えられており、これを阻害することも有利であろう。別のBLyS及び/又はAPRILアンタゴニストはヒトBAFF−RのBLySへの結合が立体的に障害されるようなBAFF−Rの領域で結合するBAFF‐R抗体である。例えば、アミノ酸23‐38又はアミノ酸17‐42又は近隣領域での結合は、BLyS結合を阻害すると考えられている。最終的に、更に間接的なアンタゴニストはBLySの結合が立体的に障害されるようなBCMAの領域で結合するBCMA抗体だろう。例えばアミノ酸5‐43又は近隣領域での結合は、BLyS(又はAPRIL)結合を阻害すると考えられている。
【0115】
いくつかの実施態様において、本発明に係るBLyS及び/又はAPRILアンタゴニストは、BLyS抗体を含む。「抗体」という用語は最も広い意味で用いられ、そして具体的には、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多抗原決定基特異性を有する抗体、一本鎖抗体及び抗体フラグメントを含む。いくつかの実施体様によると、本発明のポリペプチドプチドは、抗体が結合し、そしてTACI、BAFF‐R又はBCMAへのBLyS結合を阻害できるか又はBLySシグナルを阻害するような、例えば可変領域又はCDR中の抗体フレームワーク、に融合される。本発明のポリペプチドを含む抗体は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体でもよい。本発明のポリペプチドを含む抗体は抗体フラグメントでもよい。又は本発明の抗体は、本発明のポリペプチドを有する動物を免疫することで産生されうる。このように、本発明のポリペプチドに対する抗体が検討される。
【0116】
特に、ヒトBLyS(SEQ ID NO:8)の領域内で結合するBLyS特異的抗体は、ヒトBLySの162−275残基及び/又は162、163、206、211、231、233、264及び265からなる群から選択されるアミノ酸の近隣のアミノ酸を含み、これらが検討される。この抗体結合とは、抗体が、1つ又は複数のその受容体へのBLyS結合を立体的に障害するようなものである。このような抗体はWO02/02641及びWO03/055979に記載されている。特に好ましい抗体はLymphostat−B(Baker et al.(2003)Arthritis Rheum,48,3253−3265)として記載されたようなものである。
【0117】
その他の免疫抑制剤
本発明の方法は、免疫抑制剤を単一又はBLyS、APRIL又はBCMA阻害剤との組み合わせのどちらかでの使用が考慮されている。これらのその他の薬剤は、カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリンA又はFK506)、ステロイド(例えば、メチルプレドニゾン又はプレドニゾン)のような免疫抑制剤又は免疫細胞の成長を阻む免疫抑制剤(例えば、ラパマイシン)、及び抗CD40経路阻害剤(例えば、抗CD40抗体、抗CD40リガンド抗体及び抗CD40経路の小分子阻害剤)、移植サルベージ経路阻害剤(例えば、ミコフェノール酸モフェチル(MMF))、IL−2受容体アンタゴニスト(例えば、Hoffmann−la Roche Inc.のZeonpax(著作権)及びNovartis,Inc.のSimulet)又はその類似体、シクロフォスファミド、サリドマイド、アザチオプリン、モノクローナル抗体(例えば、ダクリズマブ(抗インターロイキン(IL)−2)、インフリキシマブ(抗腫瘍壊死因子)、MEDI−205(抗CD2)、abx−cbl(抗CD 47))、及びポリクローナル抗体(例えば、ATG(抗胸腺細胞グロブリン))を含むが、これに限定されない。
【0118】
一実施態様において、BCMAアンタゴニスト(BCMA細胞外ドメインに結合する抗体など)の治療有効量は、治療有効量のリツキシマブと組み合わせて、被検体に投与してもよい。このような方法により、前記被検体のB細胞からの枯渇及び/又は中和の改善が可能になる。このような化合物の同時投与は同時又は連続的に、そしてあらゆる効果的な投与経路を介して行われる。
【0119】
本明細書中で使用されるように、対象となる薬剤の「治療有効量」は、被検体に投与された時、 その組成物で処理される被検体のB細胞の枯渇及び/又は中和のような所望の効果を十分に達成する量である。
【0120】
ある実施態様において、BCMAアンタゴニスト又はリツキシマブのような抗CD20薬剤を含む医薬組成物の「治療有効量」又は「効果量」は、単回投与又は分割投与で約0.1から約200mg/kg体重である;例えば約1から約100mg/kg、約2から約50mg/kg、約3から約25mg/kg、又は約5から約10mg/kgである。動物アッセイが用いられる時、投薬量は動物アッセイで効果的であると示されたのと同じ標的組織濃度となるように投与される。治療方法はBCMAアンタゴニスト(BCMAの細胞外ドメインに結合する抗体など)及びリツキシマブのような抗CD20薬剤の治療有効量の単回投与又は治療有効量の反復投与を含むことが認められている。
【0121】
「抗CD20薬剤」という用語はCD20を結合するいかなる分子も包含し、そして最も好ましい態様では殺傷のためにCD20タンパク質に関与する細胞を標的とする。このような分子には、リツキサン(登録商標)のような抗CD20抗体及びその後続の薬剤、そのヒト化抗体のocrelizumab、ofatumumbab(HuMax−CD20(登録商標)、完全ヒト抗CD20抗原)、DXL625(第二世代の抗CD20モノクローナル)、GA101(変更されたFc領域を有する第二世代の抗CD20薬剤)、米国出願第20060121032号に記載された抗CD20分子、米国出願第200700202059号に記載された抗CD20分子、米国出願第20070014720号に記載された抗CD20分子、米国出願第20060251652号に記載された抗CD20分子、米国出願第20050069545号に記載された抗CD20分子、米国出願第20040167319号に記載された抗CD20分子、TRU−015(CD20を標的とする小免疫医薬分子)、及びibritumomab(ゼヴァリン(登録商標))のような複合分子が含まれる。
【0122】
製剤処方
本発明に従って使用されるBLyS結合抗体のようなBLyS及び/又はAPRILアンタゴニストの治療製剤は、医薬的に許容可能な担体、賦形剤又は安定剤(Remitgtorz’sPhamamaceutical Science 16th edition,Osol, A. Ed.(1980))を任意に伴い、所望の程度までに精製された抗体を混合し、凍結乾燥製剤又は水溶液の形で保存される。許容可能な担体、賦形剤又は安定剤は、使用される用量及び濃度でレシピエントに毒性がなく、そしてリン酸塩、クエン酸塩、及びその他の有機酸のようなバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンのような抗酸化剤;保存剤(例えば、オクタデシルチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド);ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベンのようなアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3‐ペンタノール;及びm‐クレゾール);低分子量(約10残基より少ない)ポリペプチド;血清、アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジンのようなアミノ酸;単糖、二糖、及びグルコース、マンノース又はデキストリンを含むその他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;サッカロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールのような糖類;ナトリウムのような塩形成対イオン;金属複合体(例えば Zn‐タンパク質複合体);及び/又は非イオン性界面活性剤TWEEN、PLURONICS(商標)又はポリエチレングリコール(PEG))を含む。
【0123】
本明細書中の製剤は治療されるべき特定の症状に必要とされる複数の活性化合物、好ましくは相互に悪影響を及ぼさない補完的な活性を有するものも、含んでも良い。例えば、更に細胞傷害性薬剤、化学療法剤、サイトカイン又は免疫抑制剤(例えば、シクロスポリンのようにT細胞に作用するもの、又は例えば、LFA−1を結合するようなT細胞に結合する抗体)を提供することが望ましい。 このような、その他の薬剤の有効量は、処方中に存在する抗体の量、疾病又は疾患又は治療の種類、及び上記で検討されたその他の因子による。これらは一般に同じ用量且つ本明細書中で記載された投与経路、又はこれまでに用いられた用量の約1から99%で使用される。
【0124】
活性成分は作成されたマイクロカプセル中に、例えば液滴形成技術により、又は、例えばヒドロキメチルセルロース又はセラチン‐マイクロカプセル及びポリ‐(メチルメタクリレート)マイクロカプセルがそれぞれ、コロイド薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン、ミクロスフェア、ミクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルジョンの中で界面重合することにより、封入される。このような技術はRemington‘s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol, A.Ed.(1980)に記載される。
【0125】
持続性放出製剤も調製され得る。持続性放出製剤の適切な例には、アンタゴニストを含む固形疎水性ポリマーの半透過性基材が含まれ、基材は例えば、フィルム又はマイクロカプセルのような形成品の形である。持続性放出製剤の例には、ポリエステル、ヒドロゲル、(例えば、ポリ(2‐ヒドロキシエチル‐メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L‐グルタミン酸及びエチル‐L‐グルタミン酸塩のコポリマー、非崩壊性エチレン‐ビニルアセテート、崩壊性乳酸‐グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(乳酸‐グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能なマイクロスフェア)、及びポリ‐D‐(−)‐3‐ヒドロキシ酪酸が含まれる。
【0126】
生体内投与のために使用される製剤は滅菌されなければならない。これは滅菌濾過膜で濾過することにより、容易に達成される。
【実施例】
【0127】
以下の実施例は当該技術分野の当業者に対し、本発明をどのように完成し、そして使用するかを完全に開示し記載するために提示されものであって、これらは発明者が発明者自身の発明として考える本発明の範囲を制限するものでなく、又は下記実験が全てではないし、又は行われた実験のみを示すものではない。使用された数値(例えば量及び温度等)に関して正確さを期する努力を行ったが、幾つかの実験誤差及び偏差があることは考慮すべきである。他に指定がない限り、部(parts)は重量部、分子量は重量平均分子量、温度は摂氏温度、そして圧力は大気圧又は大気圧近辺を意味する。
【0128】
実施例1
自己免疫患者のB細胞上のBCMAレベル測定
末梢血B細胞が16人の健常対照群(HC)及び患者の疾患活動性がSLEDAI解析により評価された15人のSLE患者からのネガティブ選択により得られた。B細胞はCD19+CD27−(ナイーブ)、CD19+CD27+(メモリー)及びCD19+CD27high(形質芽球)としてサブグループ分けされた。BAFF‐R、TACI、及びBCMA発現はSLE由来のB細胞の各サブセット上のフローサイトメトリーにより比較され、そして健常対照群(HC)はフローサイトメトリーにより比較された。血清BAFFBLyS、APRIL及び自己抗体レベルがELISAによって定量された。幾つかの実験では、BCMA‐陽性及び‐陰性B細胞はフローサイトメトリーソーティングにより選別された。
【0129】
ヒト末梢血B細胞中のヒトBAFF‐R、TACI及びBCMAの発現パターン
末梢血B細胞は抗BAFF‐R、抗TACI及び抗BCMA抗体で染色された。BAFF−受容体発現はB細胞成熟に伴って変化することが示された;それ故、ナイーブ(CD27−)、メモリーB細胞(CD27+)及び形質芽球(CD27high)が全て別々に解析された。BAFF‐R及びTACIは全てのサブセットで検出されるが、BAFF‐R発現は形質芽球で低く、TACI発現はナイーブB細胞(
図1A)ではより低い。BCMA発現が形質細胞及び胚中心B細胞においてのみ限定されていることが報告されているとしても、末消血由来のナイーブ及びメモリーB細胞におけるBCMA+集団も観察することができる(
図1A)。この差は、BCMAは選択的スプライシングの結果である5つの転写変異体を有するとして報告されたので、様々な転写変異体に対する抗体の異なる特異性によるものかもしれない。BCMA+B細胞の平均はナイーブB細胞で24%、そしてメモリーB細胞で20.8%であり、これは形質芽球より低い(37.9%)(
図6A)。
【0130】
対照及及びSLE患者のB細胞上のBAFF‐R、TACI及びBCMA発現
15人のSLE患者及び16人の非自己免疫個体からのB細胞は、BAFF受容体発現のために検査された。該SLE患者及び対照群のBAFF‐R発現解析では、SLE患者は、B細胞の3つのサブセット全てにおいてBAFF‐R発現の有意な減少を示した(対照対SLEのMFI、ナイーブ=1387対929、p=0.002;メモリー=1290対840、p=0.003;形質芽球=130対85、p=0.077、
図1B)。両グループのTACI発現は3つのサブセットにおいて有意に異ならない(対照対SLEのMFI、ナイーブ=18.8対24.4、p=0.144;メモリー=73.2対60.4、p=0.121;形質芽球=39.0対32.1、p=0.110、
図1C)。
【0131】
SLE由来のB細胞は正常対照より高い表面BCMA発現を示した(対照対SLEのMFI−17.8対27.9、p=0.038;
図1D)。メモリーB細胞におけるSLEのBCMA発現は正常の対照より高い(ナイーブB細胞のBCMAMFI=19.5対29.5、p=0.008、
図1D)。しかし、ナイーブ及び形質芽球のBCMA発現は、有意に異ならない。
【0132】
BAFF受容体及び血清BAFF/APRILレベル、自己抗体、疾患活動性との関係
全B細胞のBAFF‐R発現と血清BAFFとの間に逆相関があった(p=0.0491)が、しかしAFF−R発現及び血清APRILとの間に有意な相関はなかった(
図2)。BAFF‐R発現は、抗dsDNAと弱い逆相関(p=0.064)を示したが、統計学的には有意ではなかった。BAFF‐RとSLEDAIスコアにより評価された疾患活動性との間に何ら相関はなかった(p=0.342、
図2)。
たとえBCMA及び疾患活動性(SLEDAI)又は血清BAFFレベルとの間に有意な相関はなくても、BCMA陽性メモリー細胞のMFIは、血清IgG抗dsDNA抗体レベルと逆相関を示す(p=0.0119、
図2)。
【0133】
BCMA陽性B細胞の特徴
エリテマトーデス患者は、ナイーブ及びメモリーB細胞のBCMA発現が増する。私たちはBCMA+B細胞の特徴を検査して、自己免疫との関連を調べた。各B細胞サブセットのBCMA+及びBCMA−細胞の中間FSCが最初に解析された。特に、エリテマトーデス患者は正常対照より高い中間FSCを有し、予想通りエリテマトーデスでは、活性化B細胞の割合の増加をしていることを示す。BCMA+B細胞は、エリテマトーデス及び健常対照群両方に由来するナイーブB細胞におけるBCMA−B細胞より高い中間FSCを示した(
図3A)。メモリーB細胞において、健常対照群及びエリテマトーデス患者由来のBCMA+B細胞はBCMA−B細胞より有意に高い中間FSCを示した(
図3A)。これらのデータはナイーブ及びメモリーB細胞のBCMA陽性B細胞は、BCMA陰性B細胞より活性化されたB細胞であることを示す。これは、正常及びSLE患者の両方において本当であり、そして両者の間に違いはなかった。
【0134】
エリテマトーデス患者の間で増加しているとして報告されたCD19high集団でのBCMA発現も解析した。我々の研究ではCD19high集団において、健常対照群及びエリテマトーデス患者との間で有意な差は見つからなかった(Sup.
図2)が、健常対照群及びエリテマトーデス患者の両方において、CD19highB細胞はCDl9lowB細胞よりはるかに高いBCMA発現を示す(
図3B)。CD19はBCRシグナル伝達及びCD21、CD40、CD38、CD72、VLA‐4及びFcyRIIBのような多受容体のパートナーを増強するBCRコレセプター受容体なので、BCMA+B細胞でのより高いCD19発現は、BCRシグナル伝達を含む多くの免疫反応に対するより高い感受性と関連するのかもしれない。
【0135】
BCM+B細胞の多くは、エリテマトーデス及び健常人の両方においてIgD+及びIgM+であり、BCMA+B細胞は、クラススイッチされていないことを意味する(
図4A)。それゆえ、CD27−BCMA+B細胞はナイーブB細胞集団に含まれるかもしれない。CD27+BCMA+B細胞はIgD+も示し、そしてこれらの細胞は非クラススイッチメモリーB細胞でもよい。更にエリテマトーデス患者は健常対照群より高いIgD+B細胞のパーセンテージを示す(
図4B)。
【0136】
エリテマトーデス患者のB細胞は通常、健常人より活性化されている。そしてCD86の発現は、エリテマトーデスB細胞ではるかに高いことが報告された。BCMA+B細胞のCD80及びCD86発現が、エリテマトーデス及び健常人で検査された。エリテマトーデス患者は、はるかに高いCD86発現を示し、そしてBCMA+細胞に対するCD86+細胞のパーセンテージは、BCMA−細胞より高い。健常対照群のCD86発現は低いが、BCMA+細胞上のCD86+細胞のパーセンテージは、BCMA−細胞より高い。CD80の発現は、エリテマトーデス及び健常対照群の両方で高くなかった(
図4A)。BAFF及びAPRILプラスCPGは、B細胞の全てのサブセット上でBCMAの発現を増加し、形質芽球及びナイーブB細胞の増殖を誘導した。
【0137】
エリテマトーデス患者及び健常対照群のPBMCから単離されたB細胞は、CFSE(カルボキシフルオレセインジアセテート)で標識化され、そしてBAFF、APRIL又はHTの存在下又は非存在下で、CPG(CpGモチーフを含むオリゴデオキシヌクレオチド)とインキュベーションした。4日間のインキュベーション後、B細胞の各サブセット上のBCMA発現及びそれらの増殖が、解析された(
図5A及び
図5C)。CPG単独ではBCMAの発現を増加しなかった。B細胞上の全てのサブセット上のBCMA発現は、CPG+BAFF及びCPG+HTによって増加され、特にCD27high形質芽球上で有意に増加された。CPG+APRILは、BCMA発現も僅かに増加させた。BAFF、APRIL、及びHTは、CD27highB細胞の強い増殖を誘導し、そしてCD27‐B細胞(
図5B)の適度な増殖を誘導した。しかし、CD27+集団は増殖されなかった。CD27+メモリーB集団の減少は、CD27+細胞がCD27high形質細胞へ分化されたた適めか又はCD27+B細胞の増殖が起きなかったためかもしれない。
【0138】
BCM+及びBCMA−B細胞によるIg分泌及び自己抗体産生
B細胞が磁気分離(B細胞濃縮キット、Stemcell、British Columbia、Canada)により、エリテマトーデス及び健常人のPBMCから単離される。BCMA+B細胞はFACSソーティングにより単離されたB細胞から選別される。選別されたBCMA+B細胞は96穴培養プレートで5日間、抗CD40/IL4、抗CD40/IL4/CPG、抗CD40/IL4/BCRの存在下又は非存在下でインキュベートされた。IgM及びIgG濃度並びに上清の抗dsDNA活性がELISAで測定された。
【0139】
結果の要約
SLEのB細胞上のBAFF‐R発現は、HCのB細胞上のレベルと比較して有意に低かった(対照対SLEのMFI、ナイーブ=1387対929、p=0.002;メモリー=1290対840、p=0.003)。その一方で、BCMA発現は実質的にSLEのB細胞上で、より高かった(対照対SLEのMFI:18対28、p=0.038)。これはメモリーB細胞サブセットにおいて最も明白であった(対照対SLEのMFI=19対29、p=0.008)。BCMAレベルは、疾病重症度(SLEDAI)又は血清BLyS又はAPRILレベルのどちらとも相関しなかった。BCMA+細胞は、BCMA陰性細胞よりも大型化する傾向があり、そして活性程度がより高いでことを意味する高CD19及び高CD86発現を示した。BCMAの差異発現の機能的関連性を調べるために、精製したBCMA陽性又はBCMA陰性B細胞をBLyS、APRIL又はBLyS/APRILヘテロトリマー(HT)と共に、TLR9刺激薬であるCpGの存在下又は非存在下でインキュベートした。どのリガンドもBCMA+B細胞上での増殖を誘導しなかったが、CpGと各リガンドとの組み合わせは、実質BCMA+B細胞の増殖を誘導した。
【0140】
結論:
SLE患者由来のB細胞上のBCMA発現は、特にメモリーB細胞上で有意に増加される。BCMA陽性細胞は、より活性化された表現型を有し、そしてより多量の免疫グロブリン及び自己抗体を産生する。3つの全てのリガンド、BLyS、APRIL又はHTは、CpG存在下で強くBCMA陽性細胞を活性化する。これらの知見はBLyS及びAPRIL存在下で観察されたDNA反応性のSLE B細胞の増殖を説明するのに役立つかもしれない。
【0141】
実施例2
ヒトCD20遺伝子組み換えマウスにおけるB細胞の枯渇及び/又は中和のためのBCMA抗体及びリツキシマブでの組み合わせ治療
BCMA発現は形質細胞の生存にとって重要である。遺伝子ターゲティングにより、形質細胞由来の長期生存骨髄はBCMA欠失マウスで減少されることが確認されている。CD20は骨髄中の長期生存形質細胞上で発現されないので、BCMAに対する阻害又は細胞傷害性抗体によるこれらの細胞のターゲティングが、SLE患者の抗CD20抵抗性自己免疫抗体産生細胞の重要な成分を与え得るこれらの細胞を枯渇させる。このような処置とリツキシマブとの組み合わせは、更に有効な結果をもたらすだろう。
【0142】
リツキシマブはマウスCD20に結合せず、それ故、正常マウスのB細胞を枯渇させるのに使用することができない。又、生体内でB細胞枯渇に有効な市販の抗マウスCD20mAbもない。Gong et al.(J.Immunol 174:817−826;2005)はヒトCD20遺伝子組み換えマウス系統(細菌人工染色体/BAC技術を用いて作成)を用いて、抗ヒトCD20mAb(リツキシマブ及びocrelizumab)で治療し、これらのmAbで治療されたヒトで観察されたのと同様なB細胞枯渇又は中和を誘導することができた。本例では、Ahuja et al.,J.Immunol179:3351−3361;2007で開示されたhCD20Tgマウス系統を用いる。
【0143】
一般方法:逐次又は組み合わせの何れかでの各治療薬(BCMA細胞外ドメイン及びリツキシマブに結合するBCMA抗体アンタゴニスト)の最適用量での使用、及びB細胞枯渇及び中和の評価
最適時点(3週)でのB細胞枯渇を評価するが、治療停止後継続するB細胞回復(〜20週)を評価する追加の群も含む。
【0144】
【表1】
【0145】
動物管理、順化、及び収容施設
室温は70〜74°F、そして湿度は30%〜70%に保たれる。暗サイクル中に研究関連活動を行うために室内照明灯をつける時以外は、12時間の明暗サイクルを用いる。各動物には齧歯類用餌(照射済5056、Pico Lab, Richmond,IN)及び水が適宜供給される。本研究の手順は動物に対して不快、ストレス、又は疼痛を与えないようにするが又は最小限にするように計画されている。実験動物の処置は、実験動物の管理と使用に関する指針(ILAR publication, 1996,National Academy Press)で特定された条件に従っている。動物は各種の処置グループにランダムに割り振られる。
【0146】
処置グループ:投薬期間は、投薬フェーズとして指定される。投薬初日を、「第1日」とする。第1日の前日を「−1日」とする。投薬フェーズ最後の屠殺処理の翌日が回復フェーズの初日である。
【表2】
【0147】
リツキシマブは腹腔内に投与される(IP)。BCMA抗体及び溶媒(PBS)は、週3回(全9回投与)肩甲骨下領域内に皮下注(SC)で投与される。第1回投与は第1日(D1)に投与される。組み合わせ治療のグループにおいて、関連する動物は全て、最初にIP注射を受け、それから60分以内にSC注射での投与が続く。グループ4:第一処理のリツキシマブ後、BCMA抗体;グループ5:第一処理のBCMA抗体後、リツキシマブ。投与量は個々の動物の体重によって毎週調節される。
【0148】
研究評価項目の概要:
・全血(150μL;EDTA)が収集され、そしてT及びB細胞サブセットに対してフローサイトメトリー解析が行われる。
・血清(血清分離チューブに入れられた〜100μLの全血)が後に行うLuminex assayによる総IgG
1、IgG
2a、IgM、IgE及びIgA解析のために、各時点で収集される。
・屠殺時に脾臓が収集され、フロー解析及び後のIHC/組織学ために処理される。脾臓摘出はイソフルレン麻酔下で全血収集前に行われる。脾臓全体が秤量され、そして切片作成前に記録される。
・屠殺時に、主要な末梢リンパ節(鼠径、腋窩、上腕、頸部、及び腸間膜)が今後可能なIHC及び組織学のために収集される。リンパ節がホルマリン又は亜鉛トリスバッファーで固定され、そして70%アルコール中で今後の使用のために保存される。
・組織学用:脾臓1/3及び1LLN(左LN)がZnTris中に置かれ、そして同じ組織(右LN)が10%NBF中で収集される。
グループ1〜5の全動物は血清(血清分離チューブ中の100μLの血液)及び全血(EDTAチューブ内の150μL)を−5日に後眼窩静脈からに収集する。
[血清収集:]最低100μLの全血を血清分離チューブ中に入れるか、又は最低15分間凝固させる。血液はそれから4000rpmで10分間遠心される。最低50μLの血清が第二容器に等分に分注され、
<60°Cで保存される。
【0149】
EDTA中での全血収集:最低150μLの血液をEDTA含有microtainerチューブに入れる。チューブは最低20回穏やかに反転させる。EDTAサンプル中の全血はフローサイトメトリーのために処理されるまで室温で保存される。
【0150】
屠殺される動物は全てイソフルオレンで麻酔される。屠殺される動物全ての血液、血清、脾臓、及び主要末梢リンパ節が収集される。脾臓は、脾臓細胞サブセットの変化を避けるために、血液試料前にイソフルオレン麻酔下で収集される。脾臓全体が秤量される。脾臓は3分割(頭部、中間部及び尾部)され、表3のように処理される。
【表3】
【0151】
[リンパ節収集:]主要末梢リンパ節(鼠径、腋窩、上腕、頸部、及び腸間膜)がカセット中で組織学/IHCために収集される。
【0152】
a.IHCのための左リンパ節(腸間膜LNを除く)を含むカセットが亜鉛トリスバッファー中に置かれる。
b.組織学のための右リンパ節(腸間膜LNを除く)を含むカセットが10%NBF中に置かれる。
c.腸間膜リンパ節を含むカセットが、全腸管(胃から直腸のすぐ上まで)を丸ごと取り、洗浄せずに10%NBF中で収集される。
【0153】
全試料は室温で保存される。
【表4】
【0154】
全血免疫表現型のタイピング:簡単には、全血がK
2EDTA抗凝固剤を含むBD Microtainer(商標)チューブに収集される。分注された全血50μLが適切に機能する抗体カクテル(表5参照)とインキュベートされ、そして赤血球が溶解される。フローサイトメトリーで試料を収集する前に、フローカウンター(商標)蛍光ミクロスフェアが細胞の絶対濃度計算のために各試料チューブに添加される。データ取得は488nmでのエミッションを有する15mW空冷アルゴンイオンレーザー及び635nmでのエッミッションを有する赤色ダイオードレーザーを備えたBD FACSCaliburフローサイトメーターで行われる。
【表5】
1.表現型[B220+/CD19+/huCD20−]はB220及びマウスCD19表面抗原の両方を発現するB細胞集団であるが、ヒトCD20導入遺伝子は含まない。
2.表現型[B220+/CD19+/huCD20+]は、B220及びヒトCD20導入遺伝子を含むマウスCD19表面抗原の両方を発現するB細胞集団である。
【0155】
脾臓の免疫表現型のタイピング:簡単には単一細胞が単離され、適切に機能する抗体カクテル(表6参照)とインキュベートされる。機器の較正とデータ取得は全血免疫表現型のタイピングと同様に行われる。
【表6】
【0156】
IHC解析
組織:テスト用組織は脾臓及びリンパ節の両方からの試料を含む。脾臓試料として、各動物からの脾臓の横断切片(頭部及び尾部片)が含まれる。脾臓の頭部切片(亜鉛トリス‐固定)はCD45R/B220、CD138、又はCD5単独に対するラットモノクローナル抗体で染色される。組織切片のサブセットは、陰性対照としてラットアイソタイプIgGでも染色される。脾臓の頭部切片(ホルマリン‐固定)はビオチン化PNA(視覚化が必要であれば、GC; H&Eで十分である)及びH&Eで染色される。組織切片のサブセットは、陰性対照としてビオチン化副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP)でも染色される。
【0157】
各動物で調べられたリンパ節は、鼠径、腋窩、上腕、頸部、及び腸間膜を含む。リンパ節はホルマリン又は亜鉛トリスで固定され、将来の使用される可能性のために70%アルコール中で保存される 。
【0158】
抗体: 使用される抗体には、マウスCD45R/B220(クローンRA3‐6B2,アイソタイプ:ラットIgG2a,k;0.5mg/mL,#557390,BD Biosciences,San Jose,CA)、CD5(Ly−1,clone 53‐7.3,0.5 mg/mL,#553017,BD Biosciences)及びCD138(クローンSyndecan−1, 0.5mg/mL,#553712,BD Biosciences)に対する3つのラットモノクローナル抗体が含まれていた。
【0159】
統計学的解析:臓器重量、B細胞数、及び免疫グロブリンレベルでの群間有意差のための統計解析は、分散分析(ANOVA)を用いて行われた。
【0160】
上記で概説したデータ収集では、測定されるべき所定の治療グループに対し、様々な時点でのマウス末梢血試料中のB細胞の絶対濃度のパーセント変化が与えられる。或いは、該データは陽性リンパ球又はB220+細胞のパーセント変化として表現され得る。このようなデータは、抗CD20薬剤と例えばリツキサン(登録商標)及びBCMA抗体等のBCMAアンタゴニストとの組み合わせは、多くの時点でリツキサン(登録商標)及びBCMAアンタゴニスト単独で用いた時の減少レベルと比べて、B細胞レベルの枯渇(いくつかの実施態様では相乗的枯渇)及び/又は中和をもたらすことを示す。
【0161】
本発明はその具体的実施態様に関して記載されているが、様々な変更がなされ、そして本発明の真の精神と範囲から逸脱しない範囲で同等なものは置換されてもよいことは、当該技術分野の当業者により理解されるべきである。更に、本発明の目的、精神及び範囲に適応させるために具体的な状況、材料、組成物、方法、方法の工程に対して変更がなされてもよい。このような変更の全ては、本明細書に添付された請求の範囲内であることが予定される。