【0012】
本発明に従うグリットは、以下の任意的な特徴の1以上をもまた有している。
− 好ましくは、Y
2O
3/SiO
2の質量比は、1.00超、好ましくは1.10超、及び/又は1.80未満、好ましくは1.50未満、好ましくは1.40未満、より好ましくは1.30未満であり、
− 好ましくは、正方晶系のジルコニアは、ジルコニアの質量の70%超、及び/又は85%未満であり、
− 好ましくは、ZrO
2の含有は、40%超であり、
− 好ましくは、シリカの含有量は、0.3%超、好ましくは0.35%であり、
− 酸化チタンTiO
2の質量含有量は1.30%超であり及び/又は1.70%未満であり、
− 好ましくは、酸化物の形で表わされたその他の元素は、0.50%未満であり、特に
MgO:<0.30%,好ましくは<0.10%,好ましくは<0.05%であり、及び/又は
CaO:<0.30%,好ましくは<0.20%,好ましくは<0.10%,及び/又は
Na
2O:<0.10%,好ましくは<0.05%であり、そして
− 酸化物の形で表わされたその他の元素は不純物である。
【実施例】
【0025】
以下の非制限的な実施例は本発明を説明する目的のために与えられる。
【0026】
実施例として与えられ得る製品は、以下の原料から製造された:
− 0.4%未満のソーダ含有量を有する、Alcanにより名前AR75で販売されているアルミナ粉末。
− 85%超のジルコニア+ハフニウムの平均含有量を有し、平均で5%のシリカ、10%未満のアルミナ含有量、及び0.7%未満の他の元素の含有量を含むジルコニア粉末。
− 99.99%超のY
2O
3含有量を有し、3〜6ミクロンの間のメジアン直径を有する、Altichemにより名前「酸化イットリウム99.99 LY」で販売されている酸化イットリウムの粉末。
− 95%超のTiO
2含有量を有し、約125ミクロンのメジアン直径を有する、Europe Mineralsにより販売されている「ルチル砂」チタン粉末、及び
− 1〜4mmのサイズを有する、Solutia Incorporatedにより販売されている石油コーク。
【0027】
グリットは、当業者に周知の以下の慣用の方法を使用して製造された:
a')炉の状態に依存して、少なくとも0.5%(3%まで)の石油コークの添加と共に、原料が混合される。
b')0.8mの直径の炉のタンク、105〜150Vの電圧、1500〜2500Aの電流、及び2.1〜2.8kWh/kgの供給される特定電気エネルギーの充電で、黒鉛電極を有するHeroultタイプの単相の電気アーク炉において、原料が溶融される。
c')次に、溶融された物質は、薄い金属の板の間にそれを注ぐためのデバイス、例えば米国特許第3993119号に示されているデバイスにより突然、冷却されて、固体の物質を構成する、完全に固体のスラブを得る。
d')段階c')において冷却された該固体の物質は粉砕されて、グリットの混合物を得る、及び
e')該グリットは500〜600μmになるようにスクリーニングにより選択される。
【0028】
グリット混合物の性能及び寿命を評価するために、各実施例のグリット、1グラムを含む直径12.7cmの砥石車が製造された。
【0029】
次に、304ステンレススチールでできている、大きさが20.3cm×7.6cm×5.1cmである板の表面が、12.7μmの一定の切断深さ及び3600rpmの砥石車の回転速度を保ちながら、これらの砥石車を使用して一定の速度における往復運動する動きで、機械加工された。機械加工の間に該砥石車により引かれる最大の力(power)Pmaxが記録された。
【0030】
砥石車が完全に磨滅した後に、機械加工されたスチールの質量(即ち、研磨操作により除去されたスチールの質量)「Ma」及び消費された砥石車の質量「Mm」が測定された。比Sは比Ma/Mmである。
【0031】
切断の効率は、機械試験の間の砥石車により引かれる最大の力P
max,砥石車の寿命t
maxを測定することにより測定された。砥石車の寿命は砥石車の全てのグリットが消費されたときに到達されると考えられる。
【0032】
表1は、試験された種々のグリット混合物の化学組成及び正方晶系のジルコニアの割合を与える。表2は、これらの混合物で得られた結果を与える。
【0033】
比Sにおける百分率の改良は、以下の式により計算される:100×(関連する実施例の製品の比S−参照例の製品の比S)/(参照例の製品の比S)、ここで参照例は比較例1*又は比較例2*である。比Sの百分率の改良の高い正の値が所望される。
【0034】
試験の間に砥石車により引かれる最大の力P
maxの百分率の減少は、以下の式により計算される:
100×(参照例の製品でのP
max−関連する実施例の製品でのP
max)/(参照例の製品のP
max)、ここで参照例は比較例1
*又は比較例2
*である。試験の間に砥石車に引かれる最大の力P
maxの百分率の減少の高い正の値が所望される。
【0035】
砥石車の寿命t
maxにおける百分率の改良は以下の式により計算される。
100×(関連する実施例の製品のt
max−参照例の製品のt
max)/(参照例の製品のt
max)、ここで参照例は比較例1
*又は比較例2
*である。砥石車のt
maxの改良の百分率の高い正の値が所望される。
【0036】
ジルコニア中の百分率の正方晶系のジルコニアの質量含有量は、以下の方法で測定される:
試験されるグリットがペレットを構成するように樹脂で被覆される。600超のグリットを含むペレットの磨かれた部分について、銅の対陰極を有するブルッカーD5000回折計を使用して、X−線回折パターンが獲得される。該獲得は、25°〜37°の範囲の2θ角に亘って0.02°の段階でそして1段階ごとに4秒の時間で実行される。0.6mmの受光スリット(receiving slit)が使用され、試料は、好ましい方向の影響を制限するように、それ自身で回転される。獲得時間(acquisition time)は、よりよい統計学上の計数のために5の因子ずつ増加される。
【0037】
百分率の単斜晶系ジルコニア質量含有量は、TOPAS Pソフトウェアを使用する解析プロセッシング後に(解析機能は疑似−Voigt機能である)、以下の式に従って、安定化されたジルコニアの(111)ピーク面積に対する単斜晶系ジルコニアの
及び(111)のピーク面積の比から測定される。
ρモノは、単斜晶系ジルコニアの密度であり5.8g/cm
3に等しく、
ρ安定化は、安定化されたジルコニアの密度であり、6.1g/cm
3に等しい。
【0038】
安定化されたジルコニアの質量含有量の百分率は、以下の式により与えられる。
【0039】
本発明に従う、試験されたグリットにおいて、安定化されたジルコニアは完全に正方晶系の形であり、残りは、単斜晶系の形におけるジルコニアである。
【0040】
正方晶系のジルコニアの百分率含有量は、総結晶化ジルコニアに対して表わされる。
【0041】
下記の表1及び2は得られた結果をまとめる。
【0042】
比較例1
*は、特開昭59−22772号の実施例5の組成に近い組成を有するグリットであり、かつ比較例2
*は米国特許第4457767号に従うグリットである。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
− 比Sが、参照物質の製品と比較して少なくとも10%だけ改良され、
− 最大の引かれる力P
maxが参照例の製品と比較して少なくとも5%減少され、
− 砥石車の寿命t
maxが参照例の製品と比較して少なくとも6%改良されるとき、
発明者らは、比S、機械加工試験の間に砥石車により引かれる最大の力P
max及び砥石車の寿命t
maxの間に良好な妥協があると考える。
【0046】
好ましくは、比Sは少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%又は少なくとも30%さえ改良され、及び/又は最大の引かれる力Pmaxは少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、又は少なくとも20%さえ減少され、及び/又は砥石車の寿命は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、又は少なくとも20%さえ改良される。
【0047】
実施例10は、ジルコニアの質量の91%の正方晶系のジルコニアの含有量は、所望されるべき妥協が達成されないことを示す。
【0048】
実施例12及び14は、ジルコニアの質量のそれぞれ57%及び55%の正方晶系のジルコニア含有量が、所望される妥協を達成するためには不十分であることを示す。
【0049】
実施例11は、ジルコニアの質量の64%の正方晶系ジルコニアの含有量が、上記の妥協が達成されることを許すことを示す。
【0050】
実施例9は、0.66%のシリカ含有量は高すぎであり、上記の妥協が達成されることを可能にしないことを示す。実施例10は、0.20%未満のシリカ含有量は、上記の妥協が達成されることを可能にしないことを示す。
【0051】
実施例13は、適切な正方晶系ジルコニア及びシリカ含有にもかかわらず、酸化イットリウムの含有量が0.45%未満であり、かつTiO
2含有量が2%超であるならば、上記の妥協が達成されないことを示す。
【0052】
実施例10、12及び14は、0.80未満及び2.00超のY
2O
3/SiO
2比は該妥協が達成されることを可能にしないことを示す。
【0053】
全ての実施例の中で、実施例17が好ましい。
【0054】
今、明らかに見えるように、本発明は例外的な研磨の性能、例外的な耐久性、及び例外的な切断効率を有する、融解されたアルミナ−ジルコニア研磨グリットの混合物を提供する。
【0055】
しかし、もちろん、本発明は、記載され、そして示された実施態様に制限されず、これらは非制限的な、説明的な例として与えられている。