(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5739466
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】製品分配中の抗微生物化合物量の低減
(51)【国際特許分類】
A62D 3/30 20070101AFI20150604BHJP
A62D 101/28 20070101ALN20150604BHJP
【FI】
A62D3/30
A62D101:28
【請求項の数】2
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-53150(P2013-53150)
(22)【出願日】2013年3月15日
(62)【分割の表示】特願2010-94927(P2010-94927)の分割
【原出願日】2010年4月16日
(65)【公開番号】特開2013-154184(P2013-154184A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2013年3月15日
(31)【優先権主張番号】09290301.2
(32)【優先日】2009年4月23日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】10290144.4
(32)【優先日】2010年3月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イオアナ・アニス
(72)【発明者】
【氏名】ピエリーネ・ブレル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・フェラーロ
(72)【発明者】
【氏名】ティエリ・ラクール
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・レビ
(72)【発明者】
【氏名】イブ・バンデンバーグ
【審査官】
川島 明子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−215909(JP,A)
【文献】
特開2002−206001(JP,A)
【文献】
特開昭58−177139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62D 3/00− 3/34
C02F 1/42
C02F 1/58
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
B01J 20/00−20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チオール、チオ尿素もしくはチオアミド官能基を含有する樹脂または第三級アミン官能化スチレンジビニルベンゼン樹脂と、液体組成物とを接触させることを含む、液体組成物中の3−ヨードプロピニルブチルカルバマートの量を低減させる方法。
【請求項2】
チオール、チオ尿素もしくはチオアミド官能基を含有する樹脂またはポリエチレンイミンで覆われたシリカゲルビーズと、液体組成物とを接触させることを含む、液体組成物中のホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド放出性化合物の量を低減させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品中の微生物の成長を妨げるために使用されるイソチアゾリン−3−オンおよび他の抗微生物化合物と使用者が接触するのを最小限にするために、分配中に製品からイソチアゾリン−3−オンおよび他の抗微生物化合物を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品中の微生物の成長を制御するために様々な抗微生物化合物が使用される。ある場合には、特定の最終用途環境において微生物の制御をもたらすために塩素化イソチアゾリン−3−オンが使用される。しかし、塩素化イソチアゾロン−3−オンは感作物質として働く場合があり、場合によっては、製品、特に皮膚に直接接触することが意図されるパーソナルケア製品中の望ましくない成分であると見なされる。これらの化合物と皮膚との接触を最小限にするために、分配中にイソチアゾリン−3−オンおよび他の潜在的に刺激性の抗微生物化合物の量を低減する方法が望まれる。
【0003】
イソチアゾリン−3−オンを分解する方法が知られている。例えば、米国特許第5,641,411号は、イソチアゾリン−3−オンを含む産業排出物を、水可溶性有機チオール化合物と接触させることによりこの排出物を無毒化する方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,641,411号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、その場で製品を処理して、製品に他の好ましくない化合物を導入することなくイソチアゾリン−3−オンの量を低減する方法についての必要性が存在している。本発明によって取り組まれる課題は、抗微生物化合物のその場での低減のためのこのような方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、イソチアゾリン−3−オン、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、2−ブロモ−2−ニトロプロパンジオール(BNPD)、ジチオ−2,2’−ビス(ベンズメチルアミド)(DTBMA)、ヘキセチジン、クロルフェネシンおよびC
1−C
4アルキル−4−ヒドロキシベンゾアート(アルキルパラベン)から選択される少なくとも1種の抗微生物化合物を含む液体組成物中の抗微生物化合物の量を低減させる方法に関する。本方法は、チオール、チオ尿素、またはチオアミド官能基を含む架橋樹脂と、前記液体組成物とを接触させることを含む。
本発明はさらに液体組成物中の3−ヨードプロピニルブチルカルバマート(IPBC)の量を低減させる方法に関する。この方法は、チオール、チオ尿素、チオアミドまたはアミノ官能基を含有する架橋樹脂と、前記液体組成物とを接触させることを含む。
本発明はさらに液体組成物中のホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド放出性化合物の量を低減させる方法に関する。この方法は、チオール、チオ尿素、チオアミドまたはアミノ官能基を含有する架橋樹脂と、前記液体組成物とを接触させることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0007】
他に特定されない限りは、温度は摂氏度(℃)であり、パーセンテージに関する言及は重量基準(重量%)であり、「ppm」に関する言及は重量基準で100万あたりの、活性成分(抗微生物化合物)の部数(重量/重量)である。他に特定されない限りは、実施例は20℃〜25℃の温度で行われた。他に特定されないかぎりは、樹脂の重量および官能性は乾燥基準である。本明細書において言及される粘度は、測定される粘度範囲に好適なスピンドルを用いて約25℃の温度で操作するブルックフィールド粘度計を用いて測定される粘度である。「MIT」は2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンであり、2−メチル−3−イソチアゾロンの名称でも表される。「CMIT」は5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンである。「OIT」は2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンである。「DCOIT」は4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンである。「BIT」は1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンである。液体組成物は25℃で連続した液相を構成するものである。液相は水性、水中油エマルション、または油ベースであることができ、好ましくは水性である。組成物は不溶性固体も含むことができ、この不溶性固体は分散、懸濁または乳化されうる。ホルムアルデヒド放出性化合物は、水性溶液中に遊離のホルムアルデヒドを生じさせる化合物である。ホルムアルデヒド放出性化合物の例には、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−アゾニアアダマンタン(CTAC)、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチル−2,4−ジオキソイミダゾリジン(DMDMH)、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−1−(1,3,4−トリス(ヒドロキシメチル)−2,5−ジオキソイミダゾリジン−4−イル)尿素(ジアゾリジニル尿素)、1,1’−メチレンビス{3−[1−(ヒドロキシメチル)−2,5−ジオキソイミダゾリジン−4−イル]尿素(イミダゾリジニル尿素)、ナトリウムヒドロキシメチルグリシナート、4,4−ジメチルオキサゾリジン、および7−エチルビシクロオキサゾリジンが挙げられる。特に好ましいホルムアルデヒド放出性化合物には、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−アゾニアアダマンタン、および1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチル−2,4−ジオキソイミダゾリジンが挙げられる。
【0008】
本明細書において使用される場合、次の用語は、他に文脈が明確に示さない限りは、特定された定義を有する。用語「抗微生物化合物」とは、対象における微生物の増殖を抑制または増殖を制御することができる化合物をいい、抗微生物化合物には、適用される投与量、システム条件および望まれる微生物制御の水準に応じて、殺バクテリア剤、静バクテリア剤、殺真菌剤、静真菌剤、殺藻剤および静藻剤が挙げられる。用語「微生物」には、例えば、真菌(例えば、酵母およびカビ)、バクテリア、および藻類が挙げられる。
【0009】
本明細書において使用される場合、用語「(メタ)アクリル」とはアクリルまたはメタクリルをいう。用語「スチレン系」とは、少なくとも1種のスチレンモノマー(スチレンもしくは置換スチレン)および/または少なくとも1種の架橋剤を含み、スチレンモノマーと架橋剤との合計重量が全モノマー重量の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも90重量%である、モノマーまたはモノマーの混合物が重合されたコポリマーを示す。スチレンモノマーには、例えば、スチレン、α−メチルスチレンおよびエチルスチレンが挙げられる。架橋剤は、少なくとも2つの重合性炭素−炭素二重結合を含むモノマーであり、例えば、ジビニル芳香族;ジ−、トリ−およびテトラ−(メタ)アクリラートまたは(メタ)アクリルアミド;ジ−、トリ−およびテトラ−アリルエーテルおよびエステル;グリコールおよびポリオールのポリアリルおよびポリビニルエーテルである。好ましくは、架橋剤は2つの重合性炭素−炭素二重結合を有し、例えば、ジビニル芳香族架橋剤、例えば、ジビニルベンゼンである。ある実施形態においては、スチレンポリマーは、少なくとも75%のスチレンおよびジビニル芳香族架橋剤であるモノマーの混合物から、より好ましくは、少なくとも90%のスチレンおよびジビニル芳香族架橋剤であるモノマーの混合物から、および最も好ましくは、スチレンおよび少なくとも1種のジビニル芳香族架橋剤から本質的になるモノマーの混合物から製造される。他の実施形態においては、スチレンポリマーは少なくとも1種のジビニル芳香族架橋剤から本質的になるモノマー混合物から製造される。用語「アクリル系」は、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸、エステルまたはアミド、これと共に少なくとも1種の架橋剤を含むビニルモノマーの混合物から形成され、(メタ)アクリル酸、アミドまたはエステルと架橋剤との合計重量が全モノマー重量の少なくとも50重量パーセント、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%であり、最も好ましくは、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸またはエステルと少なくとも1種の架橋剤、好ましくは二官能性架橋剤、例えば、ジビニルベンゼンとから本質的になるモノマーの混合物から形成されるコポリマーを示す。樹脂は、典型的には、成分モノマーの重合後に官能化される。樹脂は1種より多い官能基を含むことができる。
【0010】
好ましくは、液体組成物は、上記抗微生物化合物を合計で1ppm〜100ppm、好ましくは少なくとも5ppm、好ましくは少なくとも10ppm、好ましくは少なくとも15ppm、好ましくは75ppm以下、好ましくは60ppm以下、好ましくは50ppm以下、好ましくは40ppm以下、好ましくは30ppm以下含む。好ましくは、抗微生物化合物はイソチアゾリン−3−オン、好ましくは、MIT、CMIT、OIT、DCOIT;BITおよびこのN−アルキル誘導体、特にN−メチル(MBIT)およびN−n−ブチル(BBIT);並びにこれらの組み合わせである。好ましくは、抗微生物化合物は、MIT、CMIT、BIT、MBIT、BBITおよびこれらの組み合わせから選択され;好ましくは、MIT、CMITおよびこれらの組み合わせから選択される。商業的に重要なある特定の混合物はMITおよびCMITを含み、好ましくはCMIT:MIT比は4:1〜1:1、好ましくは3.5:1〜2.5:1、好ましくは約3:1である。
【0011】
好ましくは、樹脂は、液体組成物のグラムあたり0.01〜1グラムの樹脂量で存在し、好ましくは少なくとも0.05、好ましくは少なくとも0.1、好ましくは少なくとも0.13、好ましくは少なくとも0.16、好ましくは0.75以下、好ましくは0.5以下、好ましくは0.25以下である。好ましくは、液体組成物は消費者用製品であり、製品が分配されるときに製品が樹脂を通るように、樹脂は製品容器内の空間内に収容される。例えば、製品容器のキャップ内のスクリーンもしくはフィルターの間に、または主たる製品容器の上方のべつの空間内、すなわち、製品が開口部を通って分配されるその開口部と主たる製品容器との間に樹脂が捕捉されていることができる。これは製品が塩素化イソチアゾリン−3−オンをはじめとする抗微生物化合物と共に保存されることを可能にし、一方で、製品使用者に接触しうる分配された製品が、抗微生物化合物を非常に低減された量しか有しないことを可能にする。好ましくは、スクリーンまたはフィルターは直径または最長寸法0.05mm〜0.25mm、好ましくは0.1mm〜0.25mm、好ましくは0.1mm〜0.22mm、好ましくは0.1mm〜0.2mmの開口部を有する。好ましくは、樹脂は、製品容器内の製品のグラムあたり、0.01〜1グラムの樹脂量で存在し、好ましくは少なくとも0.05グラムであり、好ましくは少なくとも0.1グラムであり、好ましくは少なくとも0.13グラムであり、好ましくは少なくとも0.16グラムであり、好ましくは0.75グラム以下であり、好ましくは0.5グラム以下であり、好ましくは0.25グラム以下である。
【0012】
本発明において処理される液体組成物には、例えば、冷却塔水;鉱物スラリー;排水;バラスト水;パルプおよび紙加工用流体;エマルション;分散体;塗料;ラテックス;建築接着剤、例えば、セラミック接着剤、カーペット裏当て接着剤、および積層用接着剤;産業または消費者用接着剤;写真用化学品;印刷用流体;家庭用製品、例えば、浴室および台所洗浄剤;パーソナルケア製品、例えば、化粧品、洗面用化粧品、シャンプー並びに液体石けんおよび洗剤;産業用洗浄剤;床磨き剤;洗濯すすぎ水;金属加工用流体;コンベア潤滑剤;液圧流体;石油処理流体;燃料;油田用流体、例えば、注入水、破砕用流体および掘削泥水;並びにプールおよび温泉の水が挙げられうる。好ましくは、本発明の方法は、パーソナルケア製品、すなわち、直接人または動物の皮膚に適用されることが意図される製品における抗微生物化合物量を低減させるために使用される。パーソナルケア組成物において、他の成分には、UV線吸収剤、界面活性剤、レオロジー改変剤または増粘剤、香料、湿潤剤、保湿剤、皮膚軟化剤、コンディショニング剤、乳化剤、帯電防止剤、顔料、染料、毛髪染料、着色剤、酸化防止剤、還元剤および酸化剤が挙げられうる。
【0013】
好ましくは、液体組成物は、25℃で測定される粘度0.001〜100Pa・s、好ましくは、0.01〜50Pa・s、好ましくは、1〜10Pa・sを有する。好ましくは、25℃で測定される液体組成物のpHは3〜10、好ましくは、4.5〜8、好ましくは、5〜8、好ましくは、5.5〜7.5である。好ましくは、液体組成物は10℃〜40℃、好ましくは15℃〜35℃、好ましくは18℃〜30℃の温度で樹脂と接触させられる。
【0014】
好ましくは、樹脂中の架橋剤の量は0.5%〜20%、好ましくは1%〜12%である。ゲル樹脂は、好ましくは、0.5%〜4%の架橋剤量を有する。マクロ多孔質樹脂は、好ましくは、3%〜14%、好ましくは、5%〜12%の架橋剤量を有する。ある実施形態においては、樹脂はスチレン系樹脂であり、典型的には86%〜99.5%のスチレンモノマーのモノマー残基および0.5%〜14%の架橋剤の残基を含む。好ましくは、樹脂は実質的に球状のビーズの形態である。
【0015】
好ましくは、樹脂はマクロ多孔質樹脂であり、好ましくはマクロレティキュラー(macroreticular)樹脂であり、ゲル型樹脂ではない。マクロ多孔質樹脂は25m
2/g〜200m
2/gの表面積、および50Å〜500Åの平均孔直径を有する;好ましくは、30m
2/g〜80m
2/gの表面積、および100Å〜300Åの平均孔直径を有する樹脂である。好適なマクロ多孔質樹脂には、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂およびこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、ゲル型樹脂の調和平均粒子サイズは100μm〜2000μm、好ましくは250μm〜900μm、好ましくは300μm〜750μmである。調和平均の計算は当業者に周知なものである。好ましくは、少なくとも90体積パーセントの樹脂ビーズは、体積平均粒子直径の0.9〜1.1倍の粒子直径を有する。好ましくは、樹脂は相互侵入高分子網目(interpenetrating polymer network)を有する。本発明のある実施形態においては、樹脂はスチレンおよび架橋剤の官能化重合単位を含む。好ましくは、架橋剤はジエチレン性不飽和であり、例えば、ジビニルベンゼン(DVB)である。好ましくは、官能化樹脂は乾燥基準で1〜6meq/gの官能性、好ましくは、少なくとも2meq/g、好ましくは、少なくとも2.5meq/g、好ましくは、少なくとも3meq/gの官能性を有する。ある実施形態においては、官能化樹脂は5meq/g以下の官能性、好ましくは4meq/g以下の官能性を有する。好ましくは、樹脂はチオールまたはチオ尿素官能基、好ましくはチオール基を含有する。樹脂は1種より多い官能基を有することができる。
【0016】
好ましくは、IPBCは、チオール、チオ尿素もしくはチオアミド官能基を有する架橋樹脂、または弱塩基アニオン交換樹脂、例えば、第三級アミン官能化スチレンジビニルベンゼン樹脂と接触させられ、好ましくは、チオールまたは第三級アミン官能基である。好ましくは、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド放出性保存剤は、チオール、チオ尿素またはチオアミド官能基を有する架橋樹脂と接触させられるか、またはポリエチレンイミンで覆われたシリカゲルビーズと接触させられるか;好ましくは、チオール官能基を有する樹脂、またはポリエチレンイミンで覆われたシリカゲルビーズと接触させられる。
【0017】
好ましくは、樹脂は、樹脂床を形成するように、好ましくは、連続的な液体が樹脂粒子を通って流れるのを可能にする容器内に閉じこめられる。好ましくは、この容器はカラムまたは反応器である。チオール、チオ尿素またはチオアミド官能基を有する樹脂と組み合わせて、他の樹脂が使用されうる。好ましくは、抗微生物化合物、例えば、イソチアゾリン−3−オンが第1の樹脂のチオール、チオ尿素またはチオアミド官能基と接触するときに、典型的に起こるpHの低下を制御するために、チオール、チオ尿素またはチオアミド官能基を有する第1の樹脂と組み合わせて、少なくとも第2の樹脂が使用される。好ましくは、第2の樹脂は塩基性樹脂であり、より好ましくは、弱塩基イオン交換樹脂である。好ましくは、第2の樹脂はアミノ官能基、好ましくは第三級アミノ基を有する。第2の樹脂はゲル型樹脂またはマクロレティキュラー樹脂であることができる。第2の樹脂はアクリル系樹脂またはスチレン系樹脂であり得る。第1および第2の樹脂は混合されてよく、またはいずれかの順で複数層に分けられていてよい。本発明のある実施形態においては、第1の樹脂は、液体組成物の処理中にまず最初に液体組成物と遭遇する。好ましくは、第1の樹脂は全樹脂重量の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%である。好ましくは、第2の樹脂は全樹脂重量の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%である。好ましくは、樹脂床における液体組成物中の微生物の増殖を妨げるために、第1の樹脂と組み合わせて、抗微生物活性を有する樹脂が使用される。抗微生物活性を有する樹脂には、例えば、ポリラクタム粉体(米国特許第6,464、887号)、活性炭、銀イオンを含むアニオン交換樹脂(米国特許第4,076,622号および第7,306,777号)、ポリヨウ化物樹脂(米国特許第6,680,050号)、並びにガラス質抗微生物剤(米国特許第7,514,093)が挙げられる。
【実施例】
【0018】
実施例1:バルクでの速度論検討
樹脂ビーズ(3.20meq/gチオール官能基を有するマクロ多孔質スチレンコポリマー、1.1g/mL湿潤、0.5g乾燥重量)を、3:1=CMIT:MIT混合物30ppmの水溶液50mLに分散させ、残留するイソチアゾリン−3−オン濃度の測定がいくつかの時点で行われ、残っている元のものの量のパーセンテージが計算された。結果は以下の表1に示される。チオール官能基によるイソチアゾリン−3−オンの化学的分解によるH+の生成のために、溶液のpHは試験中に変化して最終値3〜3.5になった。
【0019】
【表1】
【0020】
実施例2:動的流れ検討
以下に示されるように、実施例1で使用された樹脂5mLまたは10mLを10mLのシリンジに充填した。水中3:1=CMIT:MIT混合物22.5ppmの3mLの第1の流れをシリンジ内の樹脂床に通した。第1のと同じ組成の第2の流れを同じシリンジに通した。2つの流出物中のイソチアゾリン−3−オン濃度を測定した。結果は以下の表2に示される。
【0021】
【表2】
nd=検出されず
【0022】
実施例3:動的流れ検討
10mLの樹脂、それぞれ3mLの15回の連続した流れを用いて、実施例2に記載された検討が繰り返された。結果は以下の表3に示される。
【0023】
【表3】
【0024】
実施例4:pH制御を伴う流れ検討
樹脂床の80%が実施例1において使用された樹脂(R1)であり、樹脂床の20%が架橋アクリル系ゲル型弱塩基樹脂(第三級アミン官能基)(R2)であった組み合わせ樹脂床10mLを10mLのシリンジに充填した。この組み合わせの樹脂床を通る殺生物剤溶液が最初にR1に接触して、次にR2に接触するように、このシリンジにおいては、R1とR2とが別々に充填された。水中3:1=CMIT:MIT混合物17ppmのそれぞれ3mLの18回の連続した流れをこの樹脂床に通した。流出物中のイソチアゾリン−3−オン濃度およびそのpHが測定された。結果は以下の表4に示される。
【0025】
【表4】
【0026】
実施例5:シャンプーを用いたpH制御を伴う流れ検討
表に記載されるような異なる比率で実施例4に記載される樹脂10mLを充填したシリンジに、15ppmの3:1=CMIT:MIT混合物を含むシャンプーを下向きに通した。流出物中のイソチアゾリン−3−オンの濃度およびそのpHを測定した。結果は以下の表5に示される。このシャンプーはそれぞれの場合において気泡のために白色であった。第2および第3の検討においては粘度が低下した。
【0027】
【表5】
【0028】
実施例6:非イソチアゾロン樹脂を使用するバルクでの速度論検討
示された殺生物剤の水溶液中に示されたタイプの樹脂ビーズが分散された(IPBCを溶解するためにプロピレングリコールが添加された)。実施例1からの樹脂1および2種類の追加の樹脂が、殺生物剤溶液10mLに対して2gの樹脂の割合で試験され、残っている殺生物剤濃度の測定がいくつかの時点で行われた。殺生物剤A、BおよびDの量は全ホルムアルデヒドを分析することにより得られた。殺生物剤BおよびDについては、遊離ホルムアルデヒドまたは残っている殺生物剤A、BもしくはDのいずれかを検出する条件下で、生じる全ての遊離のホルムアルデヒド(遊離ホルムアルデヒドおよび残っているホルムアルデヒド放出剤の双方を含む)が計算されて、殺生物剤BおよびDの濃度に戻される。結果は以下の表に示される。
【0029】
【表6】
【0030】
【表7】
【0031】
殺生物剤Aはホルムアルデヒドであり;殺生物剤Bは1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−アゾニアアダマンタンであり;殺生物剤Cは3−ヨードプロピニルブチルカルバマート(IPBC)であり;殺生物剤Dは1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチル−2,4−ジオキソイミダゾリジンである。殺生物剤BおよびDはホルムアルデヒド放出剤である。樹脂1は、3.20meq/gチオール官能基を有するマクロ多孔質スチレン系コポリマーであり;樹脂3は弱塩基アニオン交換樹脂(第三級アミン官能化スチレンジビニルベンゼン樹脂)であり;樹脂4はポリエチレンイミン官能化シリカゲルビーズ(ALDRICH#24674−3)である。