特許第5739511号(P5739511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5739511
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】電気機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/20 20060101AFI20150604BHJP
   H02K 9/06 20060101ALI20150604BHJP
   H02K 9/19 20060101ALN20150604BHJP
【FI】
   H02K5/20
   H02K9/06 C
   !H02K9/19 A
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-263746(P2013-263746)
(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公開番号】特開2014-124087(P2014-124087A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2013年12月24日
(31)【優先権主張番号】10 2012 112 923.1
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー シーク
(72)【発明者】
【氏名】オーデン シネイ
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−022148(JP,A)
【文献】 特開2012−157107(JP,A)
【文献】 実開昭62−140867(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/20
H02K 9/06
H02K 9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却の目的で空気が供給される電気機械であって、冷却空気用の冷却管路を有するハウジング(40)を備える電気機械において、共通の空気供給管路(70)から延びる空気分配管路(71)が前記ハウジング(40)内に形成されており、
前記空気供給管路(70)が周方向に延在していることを特徴とする電気機械。
【請求項2】
前記空気供給管路(70)が、楕円形の空気供給断面を有することを特徴とする請求項1に記載の電気機械。
【請求項3】
前記空気分配管路(71)が、軸方向に延在することを特徴とする請求項1または2に記載の電気機械。
【請求項4】
前記空気分配管路(71)が、カップ状の前記ハウジング(40)の内側底面(80)を窪ませて形成してある空気分配ポケット(73〜79)に連通していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項5】
前記電気機械の回転子の第1の軸方向端面が、前記空気分配ポケット(73〜79)に面することを特徴とする請求項4に記載の電気機械。
【請求項6】
前記回転子の第2の軸方向端面が、ファンホイール(50)と共に回転するように、ファンホイール(50)に接続されることを特徴とする請求項5に記載の電気機械。
【請求項7】
前記ファンホイール(50)の領域内に空気排出管路(81〜86)が配置されることを特徴とする請求項6に記載の電気機械。
【請求項8】
前記空気排出管路(81〜86)が径方向外側に延在することを特徴とする請求項7に記載の電気機械。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の電気機械(5)を備える自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却の目的で空気が供給される電気機械であって、冷却空気用の冷却管路を有するハウジングを備える電気機械に関する。さらに、本発明は、上記タイプの電気機械を備える自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
(特許文献1)には、ハウジングを備える電気機械が開示されている。上記ハウジングは2つの端面を有し、これらの端面によって、ハウジングはハウジング内部を軸方向に画定される。ここで、上記ハウジングは、横方向面を有し、この横方向面によって、ハウジングはハウジング内部を径方向に画定される。ここで、積層回転子コアが、軸方向に延びる冷却管路と、径方向に延びる冷却管路とを有する。積層回転子コアの径方向に延びる冷却管路は、径方向外側では開いており、径方向内側では、少なくとも、軸方向に延びる冷却管路の位置まで延在している。ここで、軸方向リブが、積層固定子コアを支持し、当該積層固定子コアは、積層回転子コアと電気的に相互作用する。積層回転子コアは、径方向に延びる冷却管路を有し、当該冷却管路は、径方向内側および径方向外側に開いており、積層回転子コアの径方向に延びる冷却管路と相互作用する。(特許文献2)には、プレートからなる電気モータのためのパワー調整システムが開示されている。上記プレートの第1の表面が少なくとも1つの電子構成要素を支持し、プレートの第2の表面には冷却リブが設けられており、冷却リブの周りを空気流が流れることができる。ここで、冷却リブは、1つの入口管(ここに空気流を供給することができる)と2つの出口管とが形成されるように配置される。出口管が、入口管に接続されて、空気流を分岐することができ、それにより、空気流がY形状の断面に沿ってプレートに対して接線方向に循環する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許第10 2008 033 959 B4号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第195 46 040 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、請求項1の前提部に記載の電気機械の冷却を改良および/または単純化することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、冷却の目的で空気が供給される電気機械であって、冷却空気用の冷却管路を有するハウジングを備え、共通の空気供給管路から延びる空気分配管路がハウジング内に形成された電気機械によって達成される。冷却空気の体積流が、共通の空気供給管路を通して電気機械に供給される。冷却空気は、空気分配管路を通して分配されて、ハウジング内部に伝達される。
【0006】
上記電気機械の好ましい例示的実施形態は、空気供給管路が、楕円形の空気供給断面を有することを特徴とする。その結果、利用可能な構造空間を最適に使用することができる。ここで、空気供給断面は、実質的に楕円形状であり、当該楕円の主軸は、実質的に径方向に配置される。用語「径方向」は、電気機械の回転子の回転軸に対する方向を表す。径方向は、回転子の回転軸に対して横方向を示す。
【0007】
上記電気機械のさらなる好ましい例示的実施形態は、空気供給管路が、実質的に周方向に延在することを特徴とする。同様に、用語「周方向」も、回転子の回転軸に対する方向を表す。空気供給管路は、実質的に円弧形状である。
【0008】
上記電気機械のさらなる好ましい例示的実施形態は、空気分配管路が空気分配ポケット内に連通することを特徴とする。冷却空気は、空気供給管路から、空気分配管路を通って、複数の空気分配ポケット内に進む。有利には、各空気分配ポケットに、空気分配管路が割り当てられる。
【0009】
前記電気機械のさらなる好ましい例示的実施形態は、空気分配ポケットが、カップ形状のハウジングの内側底面で窪んでいることを特徴とする。空気分配ポケットは、例えば鋳造機にコアを挿入することによって、基礎成形により製造することができる。
【0010】
上記電気機械のさらなる好ましい例示的実施形態は、回転子の第1の軸方向端面が空気分配ポケットに面することを特徴とする。これにより、回転子に冷却空気を最適に供給することができるようになる。
【0011】
上記電気機械のさらなる好ましい例示的実施形態は、回転子の第2の軸方向端面が、ファンホイールと共に回転するようにファンホイールに接続されることを特徴とする。ファンホイールは、有利には、空気分配ポケットを通して供給される空気が回転子の第1の軸方向端面から回転子の第2の軸方向端面に回転子に沿って流れるように設計および配置される。
【0012】
上記電気機械のさらなる好ましい例示的実施形態は、ファンホイールの領域内に空気排出管路が配置されることを特徴とする。冷却空気は、有利には、ファンホイールを通して排出される。
【0013】
上記電気機械のさらなる好ましい例示的実施形態は、空気排出管路が、径方向外側に延在することを特徴とする。これにより、冷却空気が、実質的に障害なく、径方向に外部に出ることができるという利点が得られる。
【0014】
本発明はさらに、上述した電気機械を備える自動車に関する。上記自動車は、例えば、自動車を駆動するために電気機械を使用することができる電気自動車またはハイブリッド車である。
【0015】
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細は、図面を参照しながら様々な例示的実施形態を詳細に述べる以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】冷却の目的で空気が供給される電気機械を備える自動車の簡略斜視図である。
図2】向きを変えた、図1の電気機械の拡大図である。
図3図2の電気機械の斜視断面図である。
図4】空気供給デバイスを備える図2の電気機械を示す図である。
図5】別の空気供給デバイスを備える図2の電気機械を示す同様の図である。
図6】別の空気供給デバイスを備える図2の電気機械を示す同様の図である。
図7図3の拡大詳細図である。
図8】電気機械のハウジングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、冷却空気を用いて電気機械5を冷却するための冷却デバイス1の斜視図である。冷却空気は、空気入口6を通して電気機械5に供給される。冷却空気は、電気機械5の動作中に加熱される。加熱された冷却空気は、空気出口8で電気機械から出る。
【0018】
有利には、電気機械5は、回転するファンホイールを備え、ファンホイールによって、空気入口6を通して冷却空気を吸引することができる。矢印11は、冷却デバイス1を備えた自動車22の走行方向を示す。空気流15として空気入口6に供給される走行風が、別の矢印12によって示されている。
【0019】
空気流15は、自動車22のボディ部分20に設けられた空気入口開口18を通ってエアボックス24内に流れる。空気流は、エアボックス24から出て、清浄空気シェル25および冷却空気接続機構26を通って、電気機械5の空気入口6に流れる。
【0020】
電気機械5のファンホイールは、能動的な流れ生成要素を構成し、空冷手段を構成するために、走行風12の代わりに、またはそれに加えて使用することができる。走行風12により、空気入口開口18で正圧または動圧が生じ、その影響は、エアボックス24および清浄空気シェル25に伝達される。
【0021】
冷却空気接続機構26は、有利には、自動車22のボディからドライブトレイン振動および相対運動を切り離すために、エラストマーから形成される。代替として、冷却空気接続機構26は、例えばエラストマー/布地複合材でできた配管、または波形管もしくは可撓管を備えることもできる。
【0022】
図2および図3から分かるように、電気機械5は、空気入口6と空気出口8を有するハウジング40を備える。固定子41と回転子42が、ハウジング40内に配置される。回転子42は、固定子41の径方向外側に配置される。ねじり振動減衰器44および解放デバイス45が、固定子41の径方向内側に配置される。解放デバイス45は、切離機構46を作動させる働きをする。切離機構46は同様に電気機械5のハウジング40内に組み込まれている。
【0023】
上記空冷手段に加えて、電気機械5の冷却デバイス1は、水冷手段48を備える。水冷手段48は、例えば、固定子41の径方向内側に配置されたウォータージャケットを備える。空冷手段は、ファンホイール50を備える。ファンホイール50は、図示される例示的実施形態では、電気機械5の回転子42と共に回転するように電気機械5の回転子42に接続される。
【0024】
図4図6に、空気、特に走行風12を、様々な空気供給デバイス61、62、63によって電気機械5のハウジング40に供給することができる方法が示されている。図1に示される例示的実施形態と同様に、矢印11は、ここでも各図で走行方向を示す。矢印12は、走行風を表す。空気供給デバイス61〜63は、可撓性または剛性の空気接続ライン65を介して、電気機械5の空気入口6に接続される。
【0025】
図4に示される空気供給デバイス61は、走行風12に向かって開いている一種の漏斗を構成する。空気供給デバイス61は、例えば、電気機械5を備えた自動車のボディに組み込まれる。
【0026】
図5に示される空気供給デバイス62はスポイラの形態で設計される。上記スポイラによって、走行風12が約90度偏向される。空気供給デバイス62も同様に、有利には自動車のボディに組み込まれる。
【0027】
図6に示される空気供給デバイス63は、実質的に漏斗の形で設計され、電気機械5のハウジング40内に組み込まれる。ここで、空気供給デバイス63は、有利には回動可能となるように設計することができる。これにより、空気供給デバイス63を様々な取付け位置に迅速かつ単純に適合させることができるという利点が得られる。
【0028】
自動車と周囲空気との速度差がある場合、当該自動車に向かう空気流(矢印12によって示される)が、走行風によって生成される。自動車に向かう上記空気流を利用することによって、冷却空気がマスフローに対して大きく寄与することができるようになる。上記効果は、さらなる能動的な流れ生成要素とは別に、またはそれに加えて使用することができる。
【0029】
図7および図8から分かるように、冷却空気は、空気供給管路70を通してハウジング40に供給される。空気供給管路70は、空気入口6で楕円形の断面を有する。楕円形の断面により、既存の構造空間を最適に使用することができるようになる。
【0030】
空気分配管路71が、空気供給管路70から軸方向に延在する。用語「軸方向」は、回転子の回転軸に対する方向を表す。軸方向は、回転子の回転軸に平行、または回転軸の方向を示す。
【0031】
図7から分かるように、空気分配管路71は、空気分配ポケット73に連通している。空気分配ポケット73は、実質的にカップ形状のハウジング40の底面80で窪んでいる。
【0032】
図8から分かるように、複数の空気分配ポケット73〜79が、カップ状のハウジング40の底面80で窪んでいる。空気分配ポケット73〜79は、実質的に同じ径方向の広がりを有する。空気分配ポケット73〜79は、周方向に異なる広がりを有する。空気分配ポケット77が、周方向に最大の広がりを有する。
【0033】
回転子42の第1の軸方向端面は、空気分配ポケット73〜79に面する。回転子42の第2の軸方向端面は、空気分配ポケット73〜79とは反対側に面する。ファンホイール50は、回転子42と共に回転するように回転子42の第2の軸方向端面に接続される。
【0034】
ハウジング40は、ファンホイール50の領域内に空気排出管路81〜86を有する。空気排出管路81〜86は、ハウジング40を通って実質的に径方向外側に延在する。電気機械5の動作中に加熱された空気は、空気排出管路81〜86を通して排出される。
【符号の説明】
【0035】
1 冷却デバイス
5 電気機械
6 空気入口
8 空気出口
11 走行方向
12 走行風
15 空気流
18 空気入口開口
20 ボディ部分
22 自動車
24 エアボックス
25 清浄空気シェル
26 冷却空気接続機構
40 ハウジング
41 固定子
42 回転子
44 振動減衰器
45 解放デバイス
46 切離機構
48 水冷手段
50 ファンホイール
61〜63 空気供給デバイス
65 空気接続ライン
70 空気供給管路
71 空気分配管路
73〜79 空気分配ポケット
80 内側底面
81〜86 空気排出管路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8