(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
該1種またはそれを超える抗微生物剤の少なくとも1種が、クエン酸亜鉛、酸化亜鉛、塩化第一スズ、テトラヒドロクルクミン、塩化セチルピリジニウムおよびトリクロサンよりなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
該口腔の炎症性の疾病または症状が、歯肉炎、歯周炎、口内炎、好中球減少症による歯の剥離、歯内の病原菌(pathoses)およびその後遺症、口腔粘膜の急性および慢性の潰瘍形成、破骨細胞/破歯細胞媒介性の吸収病斑、う歯、遅い傷の治癒、歯槽骨損傷、ならびに下顎骨の急性および慢性の骨髄炎から選択される、請求項11記載の使用。
該口腔の炎症性の疾病または症状が、歯肉炎、歯周炎、口内炎、好中球減少症による歯の剥離、歯内の病原菌(pathoses)およびその後遺症、口腔粘膜の急性および慢性の潰瘍形成、破骨細胞/破歯細胞媒介性の吸収病斑、う歯、遅い傷の治癒、歯槽骨損傷、ならびに下顎骨の急性および慢性の骨髄炎から選択される、請求項15記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0006】
別段指摘しない限り、本明細書中に記載するすべてのパーセントおよび量は、重量%をいうと理解すべきである。記載する量は、材料の活性重量に基づく。
【0007】
キノン、例えば、TBHQの抗微生物活性は、公知の抗微生物剤、例えば、トリクロサンおよび塩化セチルピリジニウム(「CPC」)のものよりも各々20〜60倍低い。3種の一般的な病原菌に対するTBHQのMICを表1に示す。
【表1】
【0008】
しかしながら、本発明者らは、キノンと1種またはそれを超える抗細菌剤とを組合せると、抗微生物活性における相乗的な増大を提供する組合せを提供し得ることを見出した。
【0009】
本明細書で用いる「抗微生物活性における相乗的な増大」なる句は、独立して剤によって示される抗微生物活性の見地から、2種またはそれを超える剤の組合せから予想される相加的な効果を超える抗微生物活性の増大をいう。幾つかの実施形態において、抗微生物活性の相乗的な増大は、例えば、対応する生物を阻害するおよび/または死滅させるのに要するより低濃度の化合物(またはその複数)、および/またはディスク拡散アッセイにおけるより大きな阻害ゾーン、および/または微生物を阻害するまたは死滅させるより迅速な速度、によって明らかにし得る。
【0010】
幾つかの実施形態において、本発明は、アルキル置換型ベンゾキノン、ハロ置換型ベンゾキノン、アルキル置換型ヒドロキノンおよびハロ置換型ヒドロキノンよりなる群から選択されるキノン;および、亜鉛含有化合物、スズ含有化合物、テトラヒドロクルクミン、第4級アンモニウム化合物、クロロフェノール、およびそれらの2種またはそれを超える組合せよりなる群から選択される1種またはそれを超える抗微生物剤を含む組成物を提供し;ここに、キノンは抗微生物活性における相乗的な増大を提供するのに有効な量で提供される。
【0011】
さらなる実施形態において、少なくとも1つの前記の1種またはそれを超える抗微生物剤は、クエン酸亜鉛、酸化亜鉛、塩化第一スズ、テトラヒドロクルクミン、塩化セチルピリジニウムおよびトリクロサンよりなる群から選択される。他の実施形態において、少なくとも1つの前記の1種またはそれを超える抗微生物剤は、約0.025ppm〜約100ppmの濃度で存在する。幾つかの実施形態において、キノンはTBHQである。
【0012】
幾つかの実施形態において、組成物はオーラルケア組成物である。幾つかの実施形態において、本発明の口腔用組成物は、マウスウォッシュ、含嗽剤、歯磨剤、抗−歯垢組成物または一般的な防腐剤組成物の形態、例えば、義歯洗浄用のタブレットまたは液剤の形態とし得る。幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、練歯磨剤、ジェル歯磨剤、歯磨粉、義歯洗浄用のタブレット、チューインガム、または固形トローチなどのような半−固形または固形の形態で存在する。
【0013】
幾つかの実施形態は、本明細書に記載する組成物を口腔の疾病または症状の治療を必要とする対象の口腔表面に適用することを含む、該疾病または症状を治療する方法を提供する。他の実施形態は、口腔の疾病または症状を治療する医薬を製造するための、本明細書に記載する組成物の使用を提供する。幾つかの実施形態において、口腔の疾病または症状は、口腔の悪臭、歯垢、歯肉炎および歯周病から選択される。
【0014】
幾つかの実施形態において、本発明は、それを必要とする対象の口腔中の微生物の存在を減少する組成物および方法を提供する。
【0015】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載する組成物は、活性な口腔衛生機能を有するかまたは支援機能を提供し、かつ、有効成分の機能を妨害しない1種またはそれを超える構成成分を含む。例えば、有効成分には、歯牙ホワイトニング剤、抗細菌剤、研磨剤または磨き剤、脱感作剤などが含まれる。例えば、支援する構成成分には、界面活性剤、甘味剤、保存料、湿潤剤、粘結剤などが含まれる。
キノン
【0016】
本明細書中で用いる「キノン」なる用語は、シクロヘキサジエン−1,4−ジオンジオン、または2個またはそれを超えるC−O基を不飽和環中に有するいずれか同様の化合物を意味する。キノンは、1個またはそれを超えるC=O基がC−OH基として代わりに存在するヒドロキノン(ヒドロキシキノン)の形態で、または1個またはそれを超えるC=O基がC−O*として存在する基として存在し得る。それは、2個またはそれを超えるこれらの形態の混合物、例えば、ベンゾキノンとその対応するヒドロキノンの等量混合物として存在し得る。
【0017】
(ヒドロ)キノンの2個のC=O基またはC−OH基は互いにオルト、メタまたはパラに位置し、好ましくはオルトまたはパラのいずれかに位置し、より好ましくはパラに位置する。
【0018】
キノンは、例えば、所望により置換されていてもよい不飽和6−員の炭素環、典型的には2個またはそれを超える−OH基で置換されたフェニル環を有する化合物を意味する、例えばベンゾキノン(所望により置換されていてもよいシクロヘキサジエンジオン、典型的にはシクロヘキサジエン−1,4−ジオンまたはシクロヘキサジエン−1,2−ジオン)またはその対応するヒドロキノンとし得る。幾つかの実施形態において、キノンは所望により置換されていてもよいヒドロキノンである。上記したように、ヒドロキノンは、1個またはそれを超えるC−OH基がC−O
*として存在する基の形態で存在し得る。
【0019】
かかる化合物は、アルキル基(具体的には、C
1〜C
6またはC
1〜C
4のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピルまたはt−ブチル基);アルコキシ基(具体的には、メトキシもしくはエトキシのようなC
1〜C
6またはC
1〜C
4アルコキシ基);フッ化物、塩化物または臭化物のようなハロゲン化物;ニトロ基−NO
2;およびアミン基−NR
2(式中、各Rは独立して水素またはヒドロカルビルである)、特にNH
2、から選択されるものような1種またはそれを超える他の基で置換されていてもよい。キノンは、特にアルキル置換型ヒドロキノンまたはアルキル置換型ベンゾキノンとし得る。それは4個までのかかる置換基を含み得るが、特にかかる基でモノ−またはジ−置換され得る。
【0020】
本発明に係る処方においては、キノンは、非置換型ベンゾキノン(具体的には、p−ベンゾキノン)、非置換型ヒドロキノン(具体的には、p−ヒドロキノン)、アルキル置換型ベンゾキノンおよびアルキル置換型ヒドロキノンよりなる群から選択される。キノンは、非置換型ヒドロキノンでないことが好ましい場合がある。
【0021】
幾つかの実施形態において、キノンは、アルキル置換型ベンゾキノンまたはアルキル置換型ヒドロキノン、またはアルキル置換型ベンゾキノンおよびその対応するヒドロキノンの混合物のいずれかである。他の実施形態において、キノンはアルキル置換型ヒドロキノンである。
【0022】
ヒドロキノンは、1個またはそれを超えるアルキル基で置換されていてもよい。アルキル基は、直鎖または分枝鎖のアルキル基のいずれかとし得る。それはシクロアルキル基であるかまたはそれを含み得る。例えば、それは、1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜8個の炭素原子を含み得る。具体的に好ましいアルキル基は、C
1〜C
6のアルキル基、より好ましくはC
1〜C
5のアルキル基、なおより好ましくはC
1〜C
4のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピルまたはt−ブチル基から選択されるものである。
【0023】
アルキル基は、シクロヘキシル環の炭素原子または酸素原子(したがって、シクロヘキシル環上のヒドロキシル基の水素原子を置換する)に結合し得る。幾つかの実施形態において、それは炭素原子に結合している。
【0024】
幾つかの実施形態において、ヒドロキノンは6個までのアルキル基で置換されている。幾つかの実施形態において、ヒドロキノンは4個までのアルキル基で置換されている。他の実施形態において、ヒドロキノンはモノ−またはジ−アルキルヒドロキノンである。なお他の実施形態において、ヒドロキノンはモノ−アルキルヒドロキノンである。
【0025】
ヒドロキノンは、好ましくは2位に存在する、1個のブチル基で置換されていてもよいが;しかし、1個を超えるブチル基、例えば2個または3個のまたは4個のまたは5個ものブチル基で置換されていてもよい。ブチル基は好ましくはt−ブチル基である。
【0026】
ヒドロキノンは、好ましくは2および5位を占める2個のブチル基で置換されていてもよい。ここでも、ブチル基は好ましくはt−ブチル基である。
【0027】
その代わりまたはそれに加えて、ヒドロキノンは、好ましくは例えば、1−ヒドロキシ基の水素原子を置換するO−置換型ヘキシル基である、1個のヘキシル基で置換されていてもよい。しかしながら、ヒドロキノンは、1個を超えるヘキシル基、例えば、2個または3個または4個ものヘキシル基で置換されていてもよい。ヘキシル基は、好ましくは直鎖型ヘキシル基である。
【0028】
その代わりまたはそれに加えて、ヒドロキノンは、例えば、2または5位に存在し得る1個のメチル基で置換されていてもよいが;しかし、1個を超えるメチル基、例えば、2個または3個または4個または5個ものメチル基で置換されていてもよい。それは、例えば、好ましくは2、3および5位に存在する3個のメチル基で置換されていてもよい。
【0029】
その代わりにまたはそれに加えて、ヒドロキノンは、1個のプロピル基、好適には好ましくは2位に存在するイソ−プロピル基で置換されていてもよい。しかしながら、ヒドロキノンは、1個を超える、例えば2個、3個、4個または5個ものプロピル基で置換されていてもよい。ここでも、プロピル基は好適にはイソ−プロピル基である。
【0030】
その代わりにまたはそれに加えて、ヒドロキノンは、1個、2個、3個、4個または5個ものエチル基で置換されていてもよい。
【0031】
その代わりにまたはそれに加えて、ヒドロキノンは、1個、2個、3個または4個ものペンチル(好ましくはt−アミル)基で置換されていてもよい。
【0032】
特に、ヒドロキノンは、3個のメチル基および1個のヘキシル基で置換されていてもよく、ヘキシル基は好ましくは1−ヒドロキシ基の水素原子を置き換え、3個のメチル基は好ましくは2、3および5位を占める。
【0033】
「ヒドロキノン」なる語は、6員の炭化水素環に結合した1個のみの−OH基を有するフェノールを包含しないことを意図する。
【0034】
かかる化合物は、1個またはそれを超えるアルキル基、特にC
1〜C
6またはC
1〜C
4のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピルまたはt−ブチル基で置換されていてもよい。その代わりにまたはそれに加えて、それらは1個またはそれを超えるハロ基で置換されていてもよい。一般的に、それらは、他の非−アルキルおよび非−ハロ置換基、具体的にはメトキシル基のようなアルコキシル基で置換されない。
【0035】
キノンは、アルキル置換型ベンゾキノンまたはアルキル置換型ヒドロキノンのいずれか、あるいはアルキル置換型ベンゾキノンおよびアルキル置換型ヒドロキノンの混合物とし得る。より好ましくは、それはアルキル置換型ヒドロキノンである。
【0036】
アルキル置換型ヒドロキノンにおいて、アルキル置換基は、シクロヘキシル環の炭素原子または酸素原子(したがって、シクロヘキシル環上のヒドロキシル基の水素原子を置換する)に結合し得る。幾つかの実施形態において、それは炭素原子に結合する。
【0037】
ある種の実施形態において、ヒドロキノンは、3個のメチル基および1個のヘキシル基で置換されていてもよく、ヘキシル基は好ましくはヒドロキシル基の水素原子を置き換え、3個のメチル基は好ましくは2、3および5位を占める。
【0038】
ヒドロキノンは、1個のメチルおよび1個のイソ−プロピル基で置換されていてもよく、好ましくはそれらは各々5および2位を占める。
【0039】
特に、ヒドロキノンは、好ましくは2位に存在する1個だけのt−ブチル基で置換されていてもよい。あるいは、ヒドロキノンは、好ましくは2および5位を占める2個のブチル基で置換されていてもよい。両方の場合とも、ブチル基は好ましくはt−ブチル基である。
【0040】
ヒドロキノンについては、C
6〜C
9アルキル−置換型レソルシノール、特にn−ヘキシルレソルシノールでないことが好ましい場合がある。
【0041】
ハロ置換型ヒドロキノンは、4個までのハロ基、より好ましくは3個までのハロ基で置換されていてもよいが、特にモノ−またはジ−ハロヒドロキノンとし得る。ハロ基は、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードのいずれか、好適にはクロロまたはフルオロのいずれか、より好適にはクロロとし得る。ヒドロキノンは、1個またはそれを超えるハロ基およびそれに加えて前記したタイプの1個またはそれを超えるアルキル基で置換されていてもよい。
【0042】
アルキルまたはハロ置換型のヒドロキノンは、2−t−ブチル−p−ヒドロキノン(TBHQ)、2,5−ジ−t−ブチル−p−ヒドロキノン、2,5−ジ−t−ペンチル−p−ヒドロキノン、2−イソプロピル−p−ヒドロキノン、2−エチル−ジ−ヒドロキノン、2−メチル−p−ヒドロキノン、4−ヘキシルレソルシノールおよびそれらの混合物から選択し得る。場合によっては、2−位でイソプロピル基でおよび5−位でメチル基で置換されたパラ−ヒドロキノンであるチモヒドロキノンとし得る。場合によっては、2,3−ジフルオロ−/−ヒドロキノンとし得る。それは、TBHQ、2,5−ジ−t−ブチル−p−ヒドロキノン、2−エチル−p−ヒドロキノン、2−メチル−p−ヒドロキノン、2,5−ジ−t−ペンチル−p−ヒドロキノン、チモヒドロキノン、4−ヘキシルレソルシノール、2,3−ジフルオロ−p−ヒドロキノンおよびそれらの混合物よりなる群から選択し得る。それは、特にTBHQ、すなわち2位でt−ブチル基で置換されたパラ−ヒドロキノンとし得る。
【0043】
アルキル置換型ベンゾキノンは、1個またはそれを超えるアルキル基で置換されていてもよく、アルキル基は前記定義に同じである。幾つかの実施形態において、ベンゾキノン上の置換基はシクロヘキシル環の炭素原子に結合する。
【0044】
ベンゾキノンは、4個までのアルキル基で置換されていてもよいが、特にモノ−またはジ−アルキルベンゾキノンとなり得、好ましくは前者となり得る。
【0045】
かかるベンゾキノンは、好ましくは2位または5位のいずれかに存在する1個のメチル基で置換されており;それは、1個を超える、例えば2個または3個または4個ものメチル基で置換されていてもよい。
【0046】
その代わりにまたはそれに加えて、ベンゾキノンは、好ましくは2位に存在する1個のプロピル基で置換されており;それは、1個を超える、例えば2個または3個または4個ものプロピル基で置換されていてもよい。プロピル基は、好ましくはイソ−プロピル基である。
【0047】
特に、ベンゾキノンは、好ましくは各々5位および2位を占める、1個のメチル基および1個のイソ−プロピル基で置換されていてもよい。
【0048】
ベンゾキノンは、1個のブチル基(例えば、2位の)、または1個を超える(例えば、2個、3個または4個の)ブチル基で置換されていてもよい。
【0049】
ベンゾキノンは、2個のブチル基で置換されていてもよく、そのいずれかまたは好ましくは両方はt−ブチル基である。これらは、例えば、2位および5位を占め、特にその場合、ベンゾキノンはパラ−ベンゾキノンである。あるいは、それらは3位および5位を占め、特にその場合、ベンゾキノンはオルト−ベンゾキノンである。
【0050】
その代わりにまたはそれに加えて、ベンゾキノンは、好ましくは、好ましくは2位に存在する1個のエチル基で置換されていてもよく;それは、1個を超える、例えば2個または3個または4個ものエチル基で置換されていてもよい。
【0051】
その代わりにまたはそれに加えて、ベンゾキノンは、1個、2個、3個または4個ものペンチル(好ましくはt−アミル)基で置換されていてもよい。
【0052】
その代わりにまたはそれに加えて、ベンゾキノンは、1個、2個、3個または4個ものヘキシル基で置換されていてもよい。
【0053】
ハロ置換型ベンゾキノンは、4個までのハロ基、より好ましくは3個までのハロ基で置換されていてもよいが、特にモノ−またはジ−ハロヒドロキノンで置換されていてもよい。ハロ基は、例えばフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードのいずれか、好適にはクロロまたはフルオロのいずれか、より好適にはクロロとし得る。ベンゾキノンは、1個またはそれを超えるハロ基およびそれに加えて前記したタイプの1個またはそれを超えるアルキル基で置換されていてもよい。
【0054】
アルキル−またはハロ−置換型ベンゾキノンは、2−t−ブチル−p−ベンゾキノン(単にt−ブチルベンゾキノン、またはTBBQとしても知られている)、2,5−ジ−t−ブチル−p−ベンゾキノン、2−エチル−p−ベンゾキノン、2−メチル−p−ベンゾキノンおよびそれらの混合物よりなる群から選択し得る。それは2−位でイソ−プロピル基および5−位でメチル基で置換されたパラ−ベンゾキノンであるチモキノンとし得る。それは2−クロロ−5−メチル−p−ベンゾキノンとし得る。それは、TBBQ、2−エチル−p−ベンゾキノン、2−メチル−p−ベンゾキノン、チモキノン、2−クロロ−5−メチル−p−ベンゾキノンおよびそれらの混合物よりなる群から選択し得る。それは特にTBBQとし得る。
【0055】
本発明の実施形態において、キノンはアルキル置換型ベンゾキノン、ヒドロキノンまたはそれらの混合物である。もう1つの実施形態において、キノンはTBHQ、TBBQおよびそれらの混合物から選択される。
【0056】
本発明の実施形態において、それはチモキノンまたはチモヒドロキノンではなく、キノンが好ましい場合がある。
【0057】
本明細書の文脈において、アルキル−またはハロ−置換型キノンは、ダイマー、オリゴマーまたはポリマーの形態で存在し得、そのモノマーユニットは前記定義したアルキル−またはハロ−置換型キノンである。それは、医薬上許容し得る(この用語は、獣医学的な使用に許容し得ることを含む)誘導体、例えば、塩、錯体または溶媒和物の形態、あるいは投与時または投与後の適当な時点に対応する化合物の活性な形態に復帰するいわゆる「プロドラッグ」形態または保護形態とし得る。しかしながら、好ましくは、キノンは単独の非誘導化キノン分子の形態で存在する。
【0058】
本発明に従って調製した処方に用いるキノン、特にチモキノン、ジチモキノンまたはチモヒドロキノンは、多数の異なる物質を含有する植物抽出物の一部分としてよりも、単離されたキノン(天然または合成で誘導したことは問わないが、好ましくは後者)の形態で理想的には用いる。
【0059】
幾つかの実施形態において、本発明に従って使用するキノンはTBHQ、TBBQおよびそれらの混合物から選択されるものである。幾つかの実施形態において、キノンはTBHQである。
【0060】
本明細書に記載するいずれの成分の抗微生物活性も、従来の方法、例えば以下の実施例に記載する試験を用いて評価し得る。
【0061】
幾つかの実施形態において、キノンは、組成物の約0.001〜約10%w/w、約0.005〜約5%w/w、約0.01〜約1%w/w、または約0.05%w/wの濃度で存在する。幾つかの実施形態において、キノンは約1〜約500ppm、約10ppm〜約100ppm、約12ppm、約25ppm〜約75ppm、または約50ppmの濃度で存在する。幾つかの実施形態において、キノンは約50ppmの濃度で組成物に存在する。
【0062】
口腔デリバリーに関して、キノンは、剤型−例えば、2mgまたはそれを超える、好ましくは5または10または20mgまたはそれを超える活性物質を含有するタブレットまたはカプセル剤に処方化し得る。かかる剤型は、250mgまでの、または場合によっては100mgまでの、例えば約2〜250mgまたは約10〜100mgの活性物質を含有し得る。
抗微生物剤
【0063】
非限定的な抗微生物剤化合物の例には、例えば、4−アリルカテコール、ベンジルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベンおよびプロピルパラベンを含むp−ヒドロキシ安息香酸エステル、2−ベンジルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、カプサイシン、カルバクロール、クレオソール、オイゲノール、グアイアコールを含むフェノール性化合物、ヘキサクロロフェンおよびブロモクロロフェン、4−ヘキシルレソルシノール、8−ヒドロキシキノリンおよびそれらの塩を含むハロゲン化ビスフェノール、サリチル酸メンチル、サリチル酸メチルおよびサリチル酸フェニルを含むサリチル酸エステル、フェノール、ピロカテコール、サリチルアニリド、チモール、トリクロサンおよびトリクロサン一リン酸が含まれる。抗微生物性のフェノール性化合物には、1の態様において、ハロゲン化ジフェニルエーテル、例えば、トリクロサン、トリクロサン一リン酸または2,2'−ジヒドロキシ−5,5'−ジブロモジフェニルエーテルが含まれる。
【0064】
他の好適な抗微生物剤には、限定するものではないが、塩化銅(II)、フッ化銅、硫酸銅および水酸化銅のような銅(II)化合物、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛およびクエン酸亜鉛ナトリウムのような亜鉛イオン源、フタル酸モノカリウムマグネシウムのようなフタル酸およびその塩、ヘキセチジン、オクテニジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、臭化ドミフェン、塩化セチルピリジニウム(CPC)(CPCと亜鉛および/または酵素との組合せを含む)、塩化テトラデシルピリジニウムおよび塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムのような塩化アルキルピリジニウム、ヨウ素、スルホンアミド、アレキシジン、クロルヘキシジンおよびクロルヘキシジンジグルコネートのようなビスビグアニド、デルモピノールおよびオクタピノ−ルのようなピペリジノ誘導体、マグノリア抽出物、ブドウ種子抽出物、メントール、ゲラニオール、シトラール、ユーカリプトール、オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、ネオマイシン、カナマイシンおよびクリンダマイシンなどの抗生物質が含まれる。さらに、有用な抗微生物剤の例示的なリストは、出典明示して本明細書の一部とみなす、Gaffarらに対する米国特許第5,776,435号に提供されている。
【0065】
幾つかの実施形態において、1種またはそれを超える抗微生物剤の少なくとも1つは、組成物の約0.005%〜約10%w/w、約0.05%〜約5%w/w、約0.1〜約2%w/w、または約0.3%w/wの濃度で存在する。他の実施形態において、1種またはそれを超える抗微生物剤の少なくとも1つは、約0.025〜約10,000ppm、約0.05〜約3000ppm、約2500ppm、約100ppm〜約2000ppm、約200ppm〜約1000ppm、約0.5〜約200ppm、約1〜約500ppm、約1ppm、約10〜約200ppm、約150ppm、約50〜約100ppm、約75ppm、約78ppmを送達するのに有効な濃度で組成物に存在する。幾つかの実施形態において、1種またはそれを超える抗微生物剤の少なくとも1つは、約2500ppmを超える濃度で存在する。
組成物
【0066】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載する組成物には、口腔的に許容し得るビヒクルまたはキャリアが含まれる。幾つかの実施形態において、ビヒクルは、処方送達の望ましい部位および/または時間を標的化するために調製する。それは、例えば、処方を歯肉または歯牙または口腔内の他の領域に標的化し得る。それは、特定の時間にわたる処方の放出を遅延、その他、制御し得る。
【0067】
本発明に従って調製する処方には、不活性成分および/またはオーラルケア、医薬または獣医学的な処方に使用することが公知の標準的な不活性成分および/または他の添加剤が含まれ得る。それには、例えば香味剤、酸化防止剤、保存料、安定化剤、ゲル化剤および界面活性剤が含まれ;その他の成分は、前掲の"Oral Hygiene Products and Practice",1988に見出される。
【0068】
幾つかの実施形態において、ビヒクルは湿潤剤を含み得る。好適な湿潤剤には、グリセリン、ソルビトールおよびポリエチレングリコール、特にそれらの混合物が含まれる。ポリエチレングリコール湿潤剤は、例えば、約600のような200〜1000または400〜800の範囲の分子量を有する。湿潤剤は、歯磨剤組成物の約1.0%〜約75.0重量%の量で存在し得る。幾つかの実施形態において、湿潤剤は約10〜30重量%の量で存在する。他の実施形態において、湿潤剤は約15〜25重量%の量で存在する。さらなる実施形態において、湿潤剤は約22重量%の量で存在する。幾つかの実施形態において、湿潤剤はグリセリンである。
【0069】
練歯磨剤処方に使用する好適な粘結剤には、カラギーナン、キサンタンガムおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム、ならびにトラガカントガムのような天然または合成のガム類およびコロイド類;デンプン;ポリビニルピロリドン;ヒドロキシエチルプロピルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムまたはカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムのようなセルロースエーテルの水溶性塩のようなセルロース性粘結剤;およびカルボキシビニルポリマーが含まれる。好適な無機粘結剤には、コロイド状シリカ、コロイド状ケイ酸マグネシウムアルミニウム、微粒子シリカおよび合成ヘクトライトが含まれる。粘結剤の混合物も使用し得る。
【0070】
本明細書に記載する組成物に使用する好適な界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、双性イオン性、両性または両性電解質とし得る。幾つかの実施形態において、界面活性剤はアニオン性である。好適なアニオン性界面活性剤の例には、ラウリル硫酸ナトリウムのような高級アルキル硫酸塩、および1,2 ジヒドロキシプロパンスルホン酸の高級脂肪酸エステル酸エステルが含まれる。幾つかの実施形態において、界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。本発明に係る組成物に使用する他の好適な界面活性剤は当該技術分野で知られており、McCutcheon's Detergents and Emulsifiersに見出し得る。
【0071】
本発明の幾つかの実施形態において、組成物は練歯磨剤である。幾つかの実施形態において、練歯磨剤は研磨剤を含む。好適なかかる剤には、ケイ質材料(非晶質沈降ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコンルア(zirconlure)、シリカゲルおよびコロイド状シリカのようなゲルおよび沈降物を含む);炭酸カルシウムおよび重炭酸ナトリウムのような炭酸塩および重炭酸塩;メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、三リン酸カルシウム、オルトリン酸二カルシウム脱水和物、リン酸カルシウム二水和物、非晶質二リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム、オルトリン酸マグネシウム、リン酸三マグネシウムおよび不溶性ポリメタリン酸ナトリウムのようなリン酸塩;アルミナ三水和物;焼成アルミナ;ベントナイト;錯体非晶質アルカリ金属アルミノシリケート;および、尿素およびホルムアルデヒドの微粒子凝結生成物のような樹脂質の研磨剤材料が含まれる。かかる研磨剤の混合物も使用し得る。研磨剤は、歯牙のエナメル質または象牙質を過度に磨滅してはならない。幾つかの実施形態において、研磨剤はシリカ研磨剤である。
【0072】
本発明に従って調製した処方がマウスウォッシュまたは歯磨剤の形態をとる場合、それは、例えば水/アルコール(例えば、水/エチルアルコール)溶液、ならびに必要な場合には、例えば、香味剤、甘味剤、湿潤剤、界面活性剤、乳化剤およびそれらの混合物から選択される任意の1種またはそれを超える他の成分を含み得る。好適な湿潤剤には、前記したもの、特にグリセリンおよびソルビトールが含まれる。1種またはそれを超えるさらなる抗細菌剤も含ませ得る。
【0073】
好適なフッ化物イオン源には、水可溶性アルカリ金属またはアルカリ土類金属フッ化物、例えば、フッ化ナトリウム、カリウムおよびバリウム(特に、アルカリ金属フッ化物)のような水可溶性フッ化物;フッ化第一銅のような銅フッ化物;フッ化第一スズ;フルオロケイ酸ナトリウムまたはアンモニウムのようなフルオロケイ酸塩;フルオロジルコン酸ナトリウムまたはアンモニウムのようなフルオロジルコン酸塩;モノフルオロリン酸ナトリウムまたはカリウムのようなモノフルオロリン酸塩;フルオロリン酸一、二および三アルミニウム;およびフッ素化ピロリン酸ナトリウムカルシウムのようなフッ素化ピロリン酸が含まれる。幾つかの実施形態において、フッ化物イオン源は、モノフルオロリン酸ナトリウムである。
【0074】
本発明の口腔用組成物がマウスウォッシュのような溶液または液体である場合、口腔的に許容し得る不活性成分は、典型的に水−アルコール混合液である。一般的にアルコールに対する水の重量比は、約3:1〜20:1、好ましくは約4:1〜10:1の範囲にある。幾つかの実施形態において、アルコールはエタノールまたはイソプロパノールである。
【0075】
本発明の組成物は、塩化ストロンチウム、硝酸カリウムまたはクエン酸ナトリウム−クエン酸のような脱感作剤も含み得、それは約0.5%w/w〜約10%w/wの量で使用し得る。
【0076】
幾つかの実施形態において、キノンはTBHQであって、抗微生物剤は塩化第一スズである。他の実施形態において、キノンはTBHQであって、微生物剤はクエン酸亜鉛である。さらなる実施形態において、キノンはTBHQであって、抗微生物剤は酸化亜鉛である。いまださらなる実施形態は、キノンがTBHQであって抗微生物剤がCPCである組成物を提供する。なおさらなる実施形態は、TBHQを含み、抗微生物剤がテトラヒドロクルクミンである組成物を提供する。
【0077】
幾つかの実施形態において、組成物は二重−相または2−相のマウスウォッシュ組成物であり、その中でキノンは第1の相に存在し;1種またはそれを超える抗微生物剤は第2の相に存在する。
【0078】
本明細書中で用いる、「炎症」または「炎症症状」とは、一般的に、組織の傷害または崩壊によって誘起される局所化された保護的応答をいい、それは、傷害性の因子および障害した組織の両方を破壊し、希釈し、または隔離するように作用する。急性の形態においては、痛み、発熱、発赤、はれおよび機能の喪失によって特徴付けられ得る。慢性の炎症は、遅い過程であり、新しい結合組織の形成によって主に特徴付けられる。慢性の炎症は、急性の炎症の連続または長期の低レベルの形態の炎症(歯周炎または歯肉炎に関連するもののような)である場合もあり、通常は恒久的な組織の損傷を引き起こす。組織学的に、炎症には、高い浸透性および血流を伴う細動脈、毛細管および細静脈の拡大;血漿タンパク質を含む体液の滲出、および炎症部位への白血球移動を含む複合的な一連の事象が含まれる。炎症は、高いレベルの前−炎症性の細胞メディエータ、または抗原と抗体との相互作用の結果としてまたは感作したリンパ球と抗原との作用によって細胞から放出される物質に対応する。
【0079】
ある種の実施形態において、口腔用組成物が口腔組織と接触した場合、それは炎症を起こした口腔組織に対して鎮痛性の効果を与え、それによって哺乳動物対象における口腔組織における痛みおよび感度の知覚を減少する。特定の実施形態において、オーラルケア組成物を炎症を起こした口腔組織に接触させることは、一定の間隔で繰り返す。
【0080】
したがって、幾つかの実施形態において、本明細書に記載する組成物は、1種またはそれを超える炎症性の細胞メディエータの産生を減少する濃度で炎症を起こした口腔組織の部位に適用し得る。種々の実施形態において、本明細書に記載する組成物は、独立してまたは同時に、前−炎症性メディエータ、例えば、IL−1b、IL−6、PGE
2およびTNF−αの形成を阻害するか、または発現を低下する。
【0081】
一般的に、各々の対応するメディエータは疾病の病因に異なる機構を有する。したがって、特定の実施形態において、本明細書に記載する組成物は、細胞メディエータ分子の産生および活性にわたる結果として骨吸収の生来の効果および骨形成の阻害を相殺し得る。このようにして、本発明のある種の実施形態は、歯槽骨の消失、歯牙の消失、および外傷および/または炎症を経験している患者における感染症の結果としての下顎骨に対する損傷を減少する方法を提供する。
【0082】
当業者には認識されるように、細胞メディエータの完全な抑制は哺乳動物対象に有害となり得るので、本発明の実施形態によれば、サイトカインの産生は完全には抑えられない。したがって、種々の実施形態において、本明細書に記載する組成物は、1種またはそれを超える炎症性メディエータの過剰発現を防ぐ(それは慢性疾病の本質的な機構を防ぐ)が、特定の望ましいメディエータ分子の十分な産生はなお許容して基底レベルのホメオスタシスおよび正常な細胞の機能を維持する。
【0083】
口腔組織炎症の発生源には、限定されるものではないが、細菌感染症、外科手術、局所傷害、外傷または壊死、種々の全身起源、または過度に攻撃的な口腔衛生習慣または不適当な口腔衛生習慣のような非−疾患関連病因が含まれる。炎症の細胞メディエータの高い活性と関連する口腔の疾病、症状および障害の非限定的な例には、歯肉炎、歯周炎、口内炎、好中球減少症による歯の剥離、歯内の病原菌(pathoses)およびその後遺症、口腔粘膜の急性および慢性の潰瘍形成、急性の壊死潰瘍性歯肉炎、破骨細胞/破歯細胞媒介性の吸収病斑、う歯、遅い傷の治癒、歯槽骨損傷ならびに下顎骨の急性および慢性の骨髄炎が含まれる。さらなる実施形態において、歯肉炎は急性の壊死性で潰瘍性の歯肉炎である。
【0084】
幾つかの実施形態は、この方法を必要とする対象の口腔表面に前記のいずれかの請求項に記載の組成物を適用することを含む、口腔の疾病または症状を治療または予防する方法を提供する。幾つかの実施形態において、口腔の疾病または症状は炎症性の疾病または症状である。幾つかの実施形態において、口腔の炎症性の疾病または症状は、歯肉炎、歯周炎、口内炎、好中球減少症による歯の剥離、歯内の病原菌およびその後遺症、口腔粘膜の急性および慢性の潰瘍形成、破骨細胞/破歯細胞媒介性の吸収病斑、う歯、遅い傷の治癒、歯槽骨損傷ならびに下顎骨の急性および慢性の骨髄炎から選択される。
【0085】
さらなる実施形態は、口腔の疾病または症状を治療または予防するための方法に使用するための薬剤を製造するための、本明細書に記載したいずれの組成物の使用を提供する。
【0086】
さらに、本発明を以下の実施例に記載する。実施例は単なる説明目的のものであって、いかなる場合においても本発明の範囲を記載し特許請求するものに限定するものではない。
【実施例】
【0087】
実施例1
TBHQおよび一連の有効剤を、単一種のA.viscosusバイオフィルムアッセイで試験した。表2および3(下記)に記載するデータは、対照区に対してバイオフィルムバイオマスの50%を超える減少が観察される最低濃度であるバイオフィルム抑制濃度(Biofilm Eradication Concentration)(BEC
50)として報告している。表2に記載するデータは、50ppm濃度のTBHQがバイオフィルムバイオマスの50%を超える減少は提供しないが;50ppm濃度のTBHQがクエン酸亜鉛、塩化第一スズ、テトラヒドロクルクミン、CPCおよびトリクロサンの抗微生物活性における予期せぬ増大を提供することを示している。
【表2】
【0088】
表3に記載するデータは、12.5ppmの濃度のTBHQがバイオフィルム・バイオマスの50%を超える減少は提供しないが;12.5ppmの濃度のTBHQが酸化亜鉛の抗微生物活性の予期せぬ増大を提供することを示している。
【表3】
実施例2
【0089】
本発明の例示的な組成物を表4および表5において以下に記載する。これらの組成物は、オーラルケア組成物を調製する公知の方法に従って調製し得る。例えば、不活性成分は、特に、適当な量の湿潤剤、界面活性剤、香味剤および水をミキサーにおいて合することによって調製し得る。ついで、望ましい量のキノンおよび抗細菌剤を不活性成分に添加し得る。
【0090】
表4(下記)に記載する組成物は、本発明の幾つかの実施形態に係る練歯磨剤処方の一例である。
【表4】
【0091】
表5(下記)に記載する組成物は、本発明の幾つかの実施形態に係る二重−相マウスウォッシュ処方の一例である。
【表5】
実施例3
【0092】
幾つかの炎症サイトカインに対する正味溶液中のTBHQの抗炎症剤効力を評価した。ヒト繊維芽(HEPM)細胞またはヒト・マクロファージ(U937)細胞をこれらの試験に使用した。高熱殺菌したP.gingivalis(HKPG)によって炎症を引き起こした。種々の用量のTBHQを、HKPGで処理した細胞と同時インキュベートし、炎症マーカーのレベルを観察した。
【0093】
表6(下記)は種々の濃度でのPGE2に対するTBHQの活性を示すデータを記載している。
【表6】
【0094】
表7(下記)は種々の濃度でのIL−1b、IL−6およびTNF−αに対するTBHQの活性を示すデータを記載している。
【表7】
【0095】
本明細書に記載する各特許、特許出願および印刷された刊行物(書籍を含む)は出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0096】
当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく本明細書に記載した実施形態に多数の変化および修飾をなし得ることを理解するであろう。かかる変化はすべて添付する特許請求の範囲に入ることを意図している。