特許第5739566号(P5739566)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5739566
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】冷却ロータシャフトを有する電気機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20150604BHJP
【FI】
   H02K9/19 B
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-93363(P2014-93363)
(22)【出願日】2014年4月30日
(65)【公開番号】特開2014-220996(P2014-220996A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2014年5月1日
(31)【優先権主張番号】10 2013 104 711.4
(32)【優先日】2013年5月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ノブロック
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/113456(WO,A1)
【文献】 特開2007−43817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータシャフト(3)と、前記ロータシャフト(3)の冷却用装置(12)とを有する電気機械(1)であって、前記ロータシャフトが中空シャフトとして構成される電気機械(1)において、前記冷却装置(12)が、前記中空シャフト(3)を軸方向に貫通する固定冷却ランス(13)を有し、前記冷却ランス(13)が、冷媒用の入口(16)及び出口(17)と、前記冷却ランス(13)を通じて前記冷媒を案内するための冷却ダクト(18)とを有し、前記冷却ダクト(18)は前記入口(16)及び前記出口(17)に接続され、且つ前記冷却ランス(13)を軸方向に貫通し、前記冷却ランス(13)が、オイル用の入口(24)及び出口(25)と、前記冷却ランス(13)を通じて前記オイルを案内するためのオイルダクト(26)とを有し、前記オイルダクト(26)は前記オイル入口(24)及び前記オイル出口(25)に接続され、且つ前記冷却ランス(13)を軸方向に貫通し、前記オイル用の前記出口(25)が、前記冷却ランス(13)と前記ロータシャフト(3)との間に形成される環状空間(27)に接続され、前記環状空間(27)が前記オイル用の開口(28)を有することを特徴とする電気機械。
【請求項2】
前記冷却ランス(13)がトランスミッションハウジング(9)に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の電気機械。
【請求項3】
前記トランスミッションハウジング(9)がハウジングフィン(14)を有し、前記ハウジングフィン(14)が、前記冷却ランス(13)の前記オイル入口(24)に接続するオイルダクト(29)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気機械。
【請求項4】
前記冷却ランス(13)が前記トランスミッションハウジング(9)を外側まで貫通し、且つ前記冷却ダクト入口(16)及び前記冷却ダクト出口(17)を前記トランスミッションハウジング(9)の外側に有することを特徴とする請求項2又は3に記載の電気機械。
【請求項5】
前記冷却ダクト(18)が、前記ロータシャフト(3)の前記軸(19)の方向に配置された2つのダクト部(20、21)を有し、前記冷却ランス(13)の同じ端部の領域において、一方のダクト部(20)が前記冷却ダクト入口(16)を有し、他方のダクト部(21)が前記冷却ダクト出口(17)を有し、前記2つのダクト部(20、21)が、それぞれ前記冷却ダクト入口(16)及び前記冷却ダクト出口(17)と反対側にあるそれらの端部の領域において、さらなるダクト部(22)によって互いに接続されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項6】
前記冷却ダクト(18)が、実質的に前記冷却ランス(13)の全軸方向長さにわたり延在することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項7】
前記ロータシャフト(3)が一方の軸端の領域において閉鎖構造であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項8】
前記冷却ランス(13)が前記ロータシャフト(3)を実質的にその全軸方向長さにわたり貫通することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項9】
前記冷却ランス(13)がシリンダ形状であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項10】
前記ロータシャフト(3)にトランスミッションシャフト(6)が接続され、前記トランスミッションシャフト(6)の回転軸(19)が前記ロータシャフト(3)の回転軸と一致することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項11】
前記トランスミッションハウジング(9)に固定的に接続される前記冷却ランス(13)が、前記トランスミッションハウジング(9)と反対側の端部の領域で軸受(15)によって前記ロータシャフト(3)に取り付けられることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項12】
前記冷却ランス(13)を貫通する前記オイルダクト(26)が、前記ロータシャフト(3)の軸方向に配置された前記2つのダクト部(20、21)と平行に配置されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項13】
前記オイル用の前記開口(28)が、前記環状空間(27)からオイルを吐き出すための開口(28)であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項14】
前記環状空間(27)からの前記オイルの前記吐出開口(28)が、立ち上がり段差として構成されることを特徴とする請求項13に記載の電気機械。
【請求項15】
前記立ち上がり段差が、前記環状空間(27)から、前記トランスミッションシャフト(6)を貫通するオイルダクト(31)への移行部、詳細には軸受(8)及び/又はラジアルシャフトシールの領域で開放しているオイルダクトへの移行部によって形成されることを特徴とする請求項14に記載の電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータシャフトとロータシャフトの冷却用装置とを有する電気機械であって、ロータシャフトが中空シャフトとして構成される電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの電気機械は(特許文献1)により公知である。前記電気機械では、ロータシャフトがトランスミッションのトランスミッションオイルによって冷却される。トランスミッションの入力歯車はロータシャフトに固定的に接続され、従ってロータシャフトと共に回転する。トランスミッションオイルはクーラントとしてギヤボックスからロータシャフトに案内される。ロータシャフトからギヤボックスへと戻るトランスミッションオイルのリターンが行われる。
【0003】
この設計の電気機械は、ロータシャフトの冷却がトランスミッションオイルの体積流量及び温度に依存すること、並びにトランスミッションオイルがロータシャフトを通過する間に加熱されることが欠点である。さらに、概して、トランスミッションオイルを案内するロータシャフト領域に関して、ロータシャフトの領域に特別なシールを提供する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0 660 492 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ロータシャフトの最適な冷却及びロータシャフトの領域における最適なオイル送給が、オイルが実質的に加熱されることなく確実となるように、冒頭に記載したタイプの電気機械を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、冷却装置が、中空シャフトを軸方向に貫通する固定冷却ランスを有することによって実現される。冷却ランスは、冷媒用の入口及び出口と、冷却ランスを通じて冷媒を案内するための冷却ダクトとを有する。冷却ダクトは入口及び出口に接続しており、冷却ランスを軸方向に貫通する。冷却ランスは、オイル用の入口及び出口と、冷却ランスを通じてオイルを案内するためのオイルダクトとを有する。オイルダクトはオイル入口及びオイル出口に接続しており、且つ冷却ランスを軸方向に貫通する。この出口は、冷却ランスとロータシャフトとの間に形成される環状空間に接続される。環状空間はオイル用の開口を有する。
【0007】
この電気機械の本発明に係る構成により、オイルがロータシャフトの領域における潤滑に役立ち、冷媒がロータの冷却に役立つ。詳細には、高温の積層ロータ(これはロータシャフトに支持される)からロータシャフトに伝達される熱を、ひいては冷媒を用いて放出することができる。従って、オイルは単にロータと冷媒との間の熱ブリッジの機能を有するに過ぎない。特に、これによりオイルの体積流量及び温度に依存しない冷却が可能となり、場合によってはロータシャフト領域のシールを省くことができる。詳細には、クーラントとして水、例えば電気機械の通常のステータ冷却水が提供される。
【0008】
冷却ランスは、好ましくはトランスミッションハウジングに取り付けられる。前記トランスミッションハウジングは、詳細にはハウジングフィンを有し、このハウジングフィンの有するオイルダクトが、冷却ランスのオイル入口に接続される。
【0009】
冷却ランスがトランスミッションハウジングを外側まで貫通し、冷却ダクト入口及び冷却ダクト出口をトランスミッションハウジングの外側に有する場合、特に好都合であると考えられる。これにより、冷却回路を冷却ランスと単純に接続することが可能となる。
【0010】
冷却ダクトは、詳細には、ロータの軸の方向に配置された2つのダクト部を有するように設計される。冷却ランスの同じ端部の領域において、一方のダクト部が冷却ダクト入口を有し、他方のダクト部が冷却ダクト出口を有する。2つのダクト部は、それぞれ冷却ダクト入口及び冷却ダクト出口と反対側にあるそれらの端部の領域において、さらなるダクト部によって互いに接続される。従って冷媒は、冷却ダクト入口から、それに属するダクト部へと送られ、そこからさらなるダクト部に至り、そのさらなるダクト部から、冷却ダクト出口に属する他方の冷却ダクト部に至る。冷却ランスは固定的に取り付けられるため、冷却ダクト入口及び冷却ダクト出口の領域における冷媒のシールを単純な方法で実現することができる。
【0011】
冷却ダクトは、好ましくは実質的に冷却ランスの全軸方向長さにわたり延在する。従って冷却ランスは実質的にその全軸方向長さにわたり冷媒によって冷却される。
【0012】
ロータシャフトは、好ましくは一方の軸端の領域において閉鎖構造である。従って、ロータシャフトは一方の端部の領域のみ開放しており、前記端部から冷却ランスをロータシャフトに差し込むことができる。
【0013】
冷却ランスは、好ましくはロータシャフトを実質的にその全軸方向長さにわたり貫通する。従って、一方が閉鎖された軸端を有するロータシャフト構造の場合、冷却ランスは前記端部に近接するところまで案内される。
【0014】
冷却ランスは、シリンダ形状である場合には構造的に特に単純な設計となる。このタイプの冷却ランスには、特に単純な方法でオイルダクト及び冷却ダクトを導入することができる。当然ながら、他の断面形状の冷却ランス及び/又はオイル/冷却ダクトもまた可能である。例えば、流れ挙動及び/又は伝熱の点で冷却ランスの形を最適化することができる。
【0015】
電気機械のロータシャフトは、概してトランスミッションの歯車と相互作用する。具体的には、ロータシャフトは、歯車を有するトランスミッションシャフトに接続される。詳細には、トランスミッションシャフトの回転軸がロータシャフトの回転軸と同じである。
【0016】
冷却ランスは概して細長い構成部品であるため、それを一方の端部の領域で固定的な形で取り付ける、詳細にはそれをトランスミッションハウジングに取り付けるだけでなく、冷却ランスの他方の端部も支持することが有利である。このような背景から、冷却ランスが、固定的な取付け部又はトランスミッションハウジングと反対側のその端部の領域で軸受によってロータシャフトに取り付けられる場合、有利であると考えられる。
【0017】
冷却ランスを貫通するオイルダクトは、好ましくは、ロータの軸方向に配置された冷却ダクトの2つのダクト部と平行に配置される。
【0018】
オイル用の開口(環状空間が前記開口を有する)は、詳細には、環状空間からオイルを吐き出すための開口である。このオイル吐出用開口は、種々の方法で設計することができる。環状空間からのオイルの吐出開口が立ち上がり段差として構成される場合、特に有利であると考えられる。前記立ち上がり段差は、詳細には、環状空間から、トランスミッションシャフトを貫通するオイルダクトへの移行部、好ましくは軸受及び/又はラジアルシャフトシールの領域で開放しているオイルダクトへの移行部によって形成される。
【0019】
記載される本発明に係る電気機械は、記載される前記電気機械の有利な発展形態を含めて、多数の利点を有する。
ハウジングに固定される冷却ランスが、トランスミッションからトランスミッション入力シャフトを経て/それを通って電気機械のロータに入り込むところまで延在する。ここで冷却ランスは、オイル送給用及び冷媒案内用の手段又は装置を有する。オイルはトランスミッションから冷却ランスを経て、電気機械の中空シャフトへと移送又はポンプ圧送される。これは、オイルポンプを用いるか、又は例えば飛沫潤滑の場合、対応するオイル送給によって行うことができる。立ち上がり段差及び/又は封止システム又はシールを用いることで、電気機械のロータと冷却ランスとの間の環状間隙がオイルで充填され、結果としてロータが冷却ランスに熱的に接続される。冷却ランスは中に冷媒、詳細には冷却液が流れるため、冷却される。ロータシャフトの回転運動により、立ち上がり段差がオイルディストリビュータ表面の(軸方向に見たとき)均一なオイル濡れをもたらす。従ってロータの熱を、環状オイル間隙、冷却ランス及び冷媒を介して放出させることができる。
また、オイルが主として伝熱に役立つ。ひいては放熱へのオイルの関与は、それぞれのオイル体積流量に従う部分的な関与である。
また、冷却ランスを介した熱輸送のため、オイル体積流量が低い場合であっても、冷却ランスがないシステムの場合と比べてロータ内部の油温を低いレベルに保つことができる。
また、ロータシャフトとトランスミッションとの接合面において、ロータから流れてくるオイルを電気機械及び/又はトランスミッションの構成部品の潤滑に用いることができる。ここで、ロータシャフトの温度より低い、比較的低い油温が有利である。
また、冷却ロータシャフトを有する公知の電気機械と比較すると、冷却システムにラジアルシャフトシールなどの回転用シールが不要である。
そして、公知の油圧式冷却システムでロータ内部の冷却に必要とされるとおりの、冷媒循環用シールを、なくすことができる。
【0020】
本発明のさらなる特徴が、従属項、添付の図面及び図面に掲載される好ましい例示的実施形態の説明から導かれ、但しその例示的実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】電気機械及びそれと相互作用するトランスミッションの領域の長手方向中心断面を示し、特に、電気機械のロータシャフト及び冷却ランスに沿った断面を示す。冷却ランスはトランスミッションハウジングに取り付けられ、且つ中空構造のロータシャフトを貫通する。
図2】線A−Aの領域における冷却ランスに沿った断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
電気機械1の領域、及び電気機械1と直接相互作用するトランスミッション2の領域を図式的に示す。
【0023】
電気機械1は、中空シャフトとして構成されるロータシャフト3を有する。ロータシャフト3は、互いに反対側の端部の領域で転がり軸受4及び5に取り付けられる。ロータシャフト3は転がり軸受4の領域において開放構造であり、転がり軸受5の領域において閉鎖構造である。開放端の領域で、ロータシャフト3はトランスミッションシャフト6に接続される。トランスミッションシャフト6は転がり軸受7及び8に取り付けられる。トランスミッション2のトランスミッションハウジング9は、ラジアルシャフトシール10を用いて電気機械1に対して封止される。
【0024】
さらに、電気機械1に関して積層ロータ11が示される。積層ロータ11は電気機械1の動作中に昇温し、ロータシャフト3に支持されている。従って、積層ロータ11を介してロータシャフト3が昇温する。
【0025】
電気機械1は、ロータシャフト3を冷却するための冷却装置12を有する。冷却装置12は冷却ランス13を有する。冷却ランス13は固定されており、具体的にはトランスミッションハウジング9に取り付けられ、この場合はトランスミッションハウジング9を貫通している。トランスミッションハウジング9の格納スペースと反対側で、少なくとも冷却ランス13の領域において、トランスミッションハウジング9はハウジングフィン14を有する。
【0026】
冷却ランス13はシリンダ形状であり、ロータシャフト3(中空シャフトとして構成される)を軸方向に貫通する。ここで冷却ランス13は、冷却フィン14と反対側の端部の領域において、軸受15を用いてロータシャフト3に取り付けられる。
【0027】
冷却ランス13は冷媒用の入口16と出口17とを有し、前記冷媒は、詳細には冷却液である。前記冷却液は、例えば電気機械の通常のステータ冷却の場合に提供される水であってもよい。冷却ランス13を軸方向に貫通する冷却ダクト18が、入口16及び出口17に接続される。前記冷却ダクト18は、冷却ランス13を通じて冷媒を案内する働きをする。
【0028】
具体的には、冷却ダクト18は、ロータシャフト3及びトランスミッションシャフト6の軸19の方向に配置される2つのダクト部20及び21と、さらに、さらなるダクト部22とを有する。さらなるダクト部22は、ダクト部20及び21を、それらがロータシャフト3の奥部23に対面する端部領域で接続する。従って、それぞれのダクト部20又は21の長さとの関連で、冷却ダクト18は実質的に冷却ランス13の全軸方向長さにわたり延在する。冷却ランス13はロータシャフト3を実質的にその全軸方向長さにわたり貫通する。
【0029】
さらに、冷却ランス13は、オイル用、特にトランスミッションオイル用の入口24及び出口25、並びに冷却ランス13を通じてオイルを案内するオイルダクト26を有する。オイルダクト26はオイル入口24及びオイル出口25に接続され、且つ冷却ランス13を貫通する。出口25は、冷却ランス13とロータシャフト3との間に形成される環状空間27又は環状間隙に接続される。前記環状空間27又は環状間隙は、オイル用の開口28を有する。
【0030】
ハウジングフィン14はオイルダクト29を有し、このオイルダクト29は冷却ランス13のオイル入口24に接続する。
【0031】
冷却ランス13を貫通するオイルダクト26は、ロータシャフト3の軸方向に配置された2つのダクト部20及び21と平行に配置される。ここで、図1の説明図にオイルダクト26に対するダクト部20及び21の配置が示されるが、これは専ら、冷却装置を有する電気機械の機能に関する理解を向上させる観点に基づく。冷却ランス13の断面に関して、2つの冷却部分20及び21とオイルダクト26との正確な配置は、図2の説明図によりもたらされる。
【0032】
開口28(ここから環状空間27のオイルが吐き出される)は、立ち上がり段差30により形成される。具体的には、立ち上がり段差30は、環状空間27からオイルダクト31への移行部によって形成される。オイルダクト31はトランスミッションシャフト3を貫通し、且つ軸受の領域、ここでの場合には転がり軸受8及び/又はラジアルシャフトシールの領域で開放している。
【0033】
従って冷却ランス13は、オイル送給用及び冷媒又は冷却液案内用の手段又は装置を有する。オイルはトランスミッション2から冷却ランス13を経て、電気機械1のロータシャフト3(このロータシャフト3は中空シャフトとして構成される)へと移送又はポンプ圧送される。これは、オイルポンプを用いるか、又は例えば飛沫潤滑の場合、対応するオイル送給によって行うことができる。立ち上がり段差30及び/又はシール又は封止システムを用いることで、ロータシャフト3と冷却ランス13との間の環状空間27又は環状間隙がオイルで充填され、結果としてロータシャフト3が冷却ランス13に熱的に接続される。冷却ランス13は中に冷却液又は冷媒が流れるため、冷却される。従ってロータシャフト3の熱が、環状空間27、冷却ランス13及び冷却ランス13の中を通って流れるクーラントを介して放出され得る。
【0034】
従ってオイルは、主として伝熱に役立つ。放熱については、オイルはそれぞれのオイル体積流量に従い部分的に関与するのみである。冷却ランス13を介した熱輸送のため、オイル体積流量が低い場合であっても、ロータシャフト3の内部の油温を低いレベルに保つことができる。オイルダクト31を出るオイルは油温が比較的低く、電気機械及びトランスミッションの構成部品の潤滑に用いることができる。
【0035】
矢印32は冷媒の流路を示し、矢印33はオイルの流路を示す。矢印34は、冷却ランス13及び冷媒による放熱(冷却)を明示する。
【符号の説明】
【0036】
1 電気機械
2 トランスミッション
3 ロータシャフト
4 転がり軸受
5 転がり軸受
6 トランスミッションシャフト
7 転がり軸受
8 転がり軸受
9 トランスミッションハウジング
10 ラジアルシャフトシール
11 積層ロータ
12 冷却装置
13 冷却ランス
14 ハウジングフィン
15 軸受
16 入口
17 出口
18 冷却ダクト
19 軸
20 ダクト部
21 ダクト部
22 ダクト部
23 奥部
24 入口
25 出口
26 オイルダクト
27 環状空間
28 開口
29 オイルダクト
30 立ち上がり段差
31 オイルダクト
32 冷媒の流路を示す矢印
33 オイルの流路を示す矢印
34 放熱(冷却)を明示する矢印
図1
図2