【実施例1】
【0021】
図面に基づき、この発明の実施例を説明する。
【0022】
1.スペーサー1の構成(
図1)
【0023】
巾D
1の帯状の鋼板を水平に配置して、上下に波状に屈曲して、両端に水平部2、2が形成され、水平部2、2の間に凸部4、4が5つ形成されたスペーサー1を構成する。スペーサー1は、波状の凸部4は上端部が曲面状に凸となっており、隣接する凸部4、4の間に凹部8が形成され、凹部8の底(下端)に水平部9が形成される。
【0024】
両端部の水平部2、2と凹部8の水平部9、9は、同一平面状に形成され、全ての凸部4、4の頂点5、5も同一高さに形成される(
図1(a))。各水平部2、9には、溶接などに使用する透孔11、11を穿設する。
【0025】
また、水平部2の下面3、水平部9の下面1
0を結ぶ面と、凸部4、4の下面6、6と基材下面15との間の隙間に、開口13、13が形成される。したがって、凸部4の頂点5の直下(鉛直下方)に開口13が形成される。
【0026】
前記において、例えば、以下のような寸法で形成される。
スペーサー1の高さ(凸部の高さ)H
1 15mm
スペーサー1の巾D
1 19mm
スペーサー1の凸部4の連続方向の長さL
1 230mm
凸部4、4の間隔L
0 45mm
【0027】
また、前記において、帯状の鋼板の上面(凸部4の上面、凹部8の上面、水平部2の上面、水平部9の上面)が基材上面14を構成する。また、帯状の鋼板の下面(凸部4の下面6、凹部8の下面、水平部2の下面3、水平部9の下面10)が基材下面を構成する(
図1(a))。
【0028】
また、このように帯状の鋼板を波状に屈曲して、スペーサー1を構成する場合、このスペーサー自体がモルタル版の補強や割れの防止に寄与できる。したがって、使用する格子鉄筋20の構成鉄筋21、22の径を小さくしり、構成鉄筋21、22の間隔を広くして格子枠の大きさを大きくすることもできる。したがって、格子鉄筋20で使用する鉄筋量を軽減できる。
【0029】
2.配筋構造
【0030】
(1) 使用する格子鉄筋20は、例えば、径5mmの鉄筋をX方向(構成鉄筋21)及びY方向(X方向と直交。構成鉄筋22)に組み、格子の大きさ50mm×50mm程度に組んで構成する。
【0031】
(2) 鉄骨階段30は、階段状の段板部31の両側(階段巾方向)と、段板部31の上下に踊り場部33、33を形成し、段板部31と踊り場部33の両側をささら桁35で挟んで構成する。段板部31には、ささら桁35と協同して、1段の踏板部分に、モルタルを充填するための凹状成形枠32、32が形成されている。また、踊り場部33にもささら桁35と協同して、モルタルを充填するための凹状成形枠34、34が形成されている。
【0032】
(3) 続いて、鉄骨階段30の凹状成形枠32、32の平坦な底32a、凹条成形枠34、34の平坦な底34aに、夫々スペーサー1を4つ配置する。この場合、
・凹状成形枠に階段巾方向に、格子鉄筋30のX方向が沿い
・階段巾方向に直角な方向に、格子鉄筋30のY方向が沿い
となるように、格子鉄筋30を配置する予定であるので、スペーサー1は、凹状成形枠32、34の底32a、34aに、格子鉄筋30のX方向(階段の巾方向)と角度θ(θ=45度程度)となるように、中心線(巾方向に二分する線)41から一側に2つスペーサー1A、1A、他側に2つのスペーサー1B、1Bを夫々配置する。一側のスペーサー1A、1Aは互いに平行で、他側の2つのスペーサー1B、1Bも互いに平行に配置され、4つのスペーサー1A、1B全体で、中心線41で線対称となるように配置される(
図4、
図2)。
スペーサー1の長さ方向の両端(水平部2の端縁)は、凹状成形枠32、34の側壁から所定距離(コンクリートかぶり厚相当)離して配置される。また、配置したスペーサー1(1A、1B)は、透孔11又は水平部2、9の周縁の一方又は両方で溶接して、スペーサー1(1A、1B)が凹状成形枠32、34内で動かないようにする。
【0033】
(4) 続いて、凹状成形枠32、34に格子鉄筋20を配置する。格子鉄筋20は、一側のスペーサー1A、1Aの10個の凸部4、4の頂点5の少なくとも2箇所と夫々当接し、他側のスペーサー1B、1Bの10個の凸部4、4の頂点5でも少なくとも2箇所で夫々当接する。したがって、格子鉄筋20は、凹状成形枠32、34の底面32a、34aから所定距離H
1で、ほぼ水平に配置される。
また、必要ならば、格子鉄筋20の構成鉄筋21、22と、当接した凸部4、4の頂点5とを結束線で連結する(図示していない)。この際、結束線は開口13を通過できるので、結束作業が容易にできる。また、工場で予め凹条成形枠32、34に格子鉄筋20、20を取り付ける場合など、当接した凸部4の頂点5と構成鉄筋21、22とを溶接することもできる。
【0034】
(5) 続いて、凹状成形枠32、34内にモルタル39を充填して、格子鉄筋20を凹条成形枠32、34内に埋設する。モルタル39が固化後に、固化モルタル39が踏板を構成し、踏板が一体の鉄骨階段30を構成する。格子鉄筋20は、固化モルタル39(踏板)の厚さ方向の中央付近に埋設される。
【0035】
(6) 前記において、凹条成形枠32、34内にスペーサー1A、1Bを配置し、スペーサー1A、1B上に格子鉄筋を載せた状態で、この発明の配筋構造を構成する。
【0036】
(7) 前記において、配置したスペーサー1、1で、階段巾方向(中心線41に直交する方向)で隣接するスペーサー1、1の間隔L
3は300mm程度に形成する。また、歩行方向(階段巾方向に直交する方向。中心線41の方向)で隣接するスペーサー1、1の間隔L
4は300mm程度に形成する(
図2)。通常踏み面巾が300mm程度であるので、支持間隔を同程度としたものである。この場合、L
3、L
4を300mmより大幅に広げると、格子鉄筋20配筋後に現場作業者が歩行に使用する場合や、モルタル打設時にモルタルの重量がかかった場合、配置した格子鉄筋20がたわむおそれがある。逆に、L
3、L
4を300mmより大幅に狭くした場合には、材料の無駄が生じるおそれがあった。
【0037】
(8) また、前記において、鉄骨階段30に適用したので、最適であるが、通常の鉄筋コンクリート構造のスラブの配筋など、略水平面にある程度の厚さの水平の版(モルタル製)を構築する際に使用することもできる。
【0038】
3.他の実施例
【0039】
(1) 前記実施例において、スペーサー1の凸部4は5つ形成したが、少なくとも3つ形成して有ればよい(図示していない)。
【0040】
(2) また、前記実施例において、帯状の鋼板を屈曲して形成したので、単独で安定して配置でき、かつ格子鉄筋20の構成鉄筋21、22が凸部4の頂点5とより多くの位置で当接するので、帯状が好ましい。しかし、同様に、凸部4、凹部8等が形成されれば、棒状の鉄筋などを使用することもできる(図示していない)。
【0041】
(3) また、前記実施例において、スペーサー1の水平部9に透孔11を形成したが、透孔11は主に溶接用の手段であるので、一部又は全部の水平部9で透孔11を省略することもできる(図示していない)。
【0042】
(4) また、前記実施例において、帯状の鋼板を波状に屈曲してスペーサー1を形成したので、少ない鋼材で充分な強度を有し、またモルタルとの定着も良く、製造も容易である利点を有するが、凸部4、4を3つ以上有し、かつ開口13を有する構造であれば、他の構成とすることもできる(
図5)。
例えば、帯状の鋼板を四角の波状に折り曲げて構成し(
図5(a))、また、三角形の波状に折り曲げて、スペーサー1を構成することもできる。また、パイプ(円筒)を半割にした部材17、17を凸部4を上にして、ベース板16に固定して、スペーサー1を構成することでもできる(
図5(c))。また、パイプ(円筒)からなる部材17をベース板16上に固定して、スペーサー1を構成することでもできる(
図5(d))。
また、パイプ(円筒)からなる部材17、17を並べて、鉄筋からなる連結材18で連結して、スペーサー1を構成することでもできる(
図5(e))。また、凸部4、4を有するブロック状の部材で、頂点5の直下に開口13を形成して、スペーサー1を構成することでもできる(
図5(f))。