特許第5739617号(P5739617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5739617ハウジングカバーに電子監視装置を一体化して設けたバッテリーパック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5739617
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】ハウジングカバーに電子監視装置を一体化して設けたバッテリーパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20150604BHJP
   A01G 3/08 20060101ALI20150604BHJP
   A01G 3/04 20060101ALI20150604BHJP
   A01D 34/78 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   A01G3/08 503C
   A01G3/04 501C
   A01D34/78 Z
【請求項の数】19
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-38565(P2010-38565)
(22)【出願日】2010年2月24日
(65)【公開番号】特開2010-205726(P2010-205726A)
(43)【公開日】2010年9月16日
【審査請求日】2013年1月30日
(31)【優先権主張番号】10 2009 012 176.5
(32)【優先日】2009年2月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598052609
【氏名又は名称】アンドレアス シュティール アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー レーバー
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−066773(JP,A)
【文献】 特開2006−164655(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/021964(WO,A2)
【文献】 特開2007−311706(JP,A)
【文献】 特開平10−223185(JP,A)
【文献】 特開2008−066001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
A01D 34/78
A01G 3/04
A01G 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングカバー(3)を備えたハウジング(2)と、該ハウジング(2)内に配置され、互いに電気的に導通接続されている複数個の蓄電池(4)と、取り付けボード(22)上に配置される、前記蓄電池(4)の作動パラメータを監視するための回路とを備えた、電気作業機用のバッテリーパックにおいて、
前記ハウジングカバー(3)が、前記蓄電池(4)側の内面(12)に、外側のシェルエッジ(13)により画成されている受容シェル(11)を有していること、
前記取り付けボード(22)が前記受容シェル(11)内に受容されており、該取り付けボード(22)の取り付けボードエッジ(28,29)が、前記シェルエッジ(13)とともに、スリット(30)を画成し、前記取り付けボード(22)は前記受容シェル(11)の底部(25)に対し間隔(a)を有し、前記取り付けボード(22)と前記受容シェル(11)の前記底部(25)と前記シェルエッジ(13)との間に充填空間(31)が画成されていること、
前記充填空間(31)は、前記取り付けボード(22)の前記エッジ取り付けボードエッジ(28,29)の領域にあって開口しているすべての管路が閉鎖されるほどに前記スリット(30)内を上昇するまで、硬化した注封材(35)で充填されていること、
を特徴とするバッテリーパック。
【請求項2】
前記充填空間(31)内に、電子回路の、前記取り付けボード(22)によって担持される電子部品(23)があることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記取り付けボード(22)が、前記電子部品(23)を有している取り付けボード装備面(24)でもって、前記受容シェル(11)の前記底部(25)に対向していることを特徴とする、請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記取り付けボード(22)が、スペーサー(26)により、前記受容シェル(11)の前記底部(25)に対し間隔(a)をもって保持されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記スペーサー(26)がその自由端(49)でもって前記取り付けボード(22)の位置決め穴(27)に係合していることを特徴とする、請求項4に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記シェルエッジ(13)が前記ハウジングカバー(3)のカバーエッジ(16)の周の一部分によって形成されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項7】
取り付けボードエッジ(28,29)と前記シェルエッジ(13)との間に画成されている前記スリット(30)が、周回するように延在するスリットであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記シェルエッジ(13)が前記取り付けボード(22)から突出していることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記シェルエッジ(13)に、前記取り付けボードエッジ(29)とオーバーラップする押さえ部材(17)が設けられていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記受容シェル(11)が、前記取り付けボードエッジ(29)とオーバーラップするロックフック(18)を有していることを特徴とする、請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記ロックフック(18)と前記押さえ部材(17)とが互いに対向しあっている前記取り付けボードエッジ(29)に係合していることを特徴とする、請求項10に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記受容シェル(11)の前記底部(25)に、表示要素(37)および/または操作要素(38)が配置され、該表示要素(37)および/または操作要素(38)が、前記充填空間(31)の高さ(a)を越えて延在する密封要素(21)によって取り囲まれていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記密封要素(21)が発泡材から成っていることを特徴とする、請求項12に記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記密封要素(21)が位置固定部分(40)によって前記シェルエッジ(13)の凹部(20)に係合していることを特徴とする、請求項12または13に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
前記密封要素(21)が前記取り付けボード(22)と前記受容シェル(11)の前記底部(25)との間で締め付け固定されていることを特徴とする、請求項12から14までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項16】
前記取り付けボード装備面(24)に、接続導線(43)を備えた接続プラグ(42)が設けられ、該接続プラグ(42)が前記接続導線(43)とともに、硬化した前記注封材(35)によって取り囲まれていることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項17】
前記受容シェル(11)が外側の溢流溝(48)を有していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項18】
前記注封材(35)が前記取り付けボード(22)を完全に取り囲んでいることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項19】
前記取り付けボード(22)に、前記注封材(35)のための注入穴(33)および/または通風穴(32)が形成されていることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の電気作業機用バッテリーパック、特に刈り込みばさみ、パワーチェーンソー、研削切断機、刈払い機等の手で操縦される作業機用のバッテリーパックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
バッテリーパックは周知であり、バッテリーパックハウジング内に配置される多数の蓄電池から構成されている。これらの蓄電池は、所望のバッテリーパック電圧またはバッテリーパックパワーを調達できるように適当に互いに並列または直列に電気結合されている。
【0003】
蓄電池としては、該蓄電池によって作動される機器の長い作動時間が得られるように、リチウム・イオン電池、リチウム・ポリマー電池等の電池が使用される。
【0004】
リチウムをベースとした蓄電池は、一方では電池を破壊させるトータルディスチャージを確実に阻止するため、他方では過電流または高温の場合に電池を切って保護するため、監視回路が必要である。この種の保護回路は、取り付けボード上に配置される電子部品から構成され、蓄電池とともにバッテリーパックのハウジング内に配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、請求項1の上位概念に記載の電気作業機用バッテリーパックにおいて、監視回路が振動がないように且つ周囲の影響から保護されてバッテリーパック内に簡単に保持されるように、前記電気作業機用バッテリーパック構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴ある構成によって解決される。
【0007】
ハウジングカバー内に形成される受容シェルはバッテリーパックハウジングの内部空間内にあり、監視回路の取り付けボードを受容している。取り付けボードはハウジングカバーの端面に対しほぼ平行に且つ受容シェルの底部に対し間隔をもって位置しており、その結果取り付けボードと受容シェルの底部と外側のシェルエッジとの間には充填空間が画成されている。合目的には、取り付けボードによって担持される電子監視装置の部品がこの充填空間内にあり、よって蓄電池とは逆の側にあるのがよい。この場合、充填空間は硬化した注封材によって充填されている。
【0008】
受容シェルをハウジングカバー内に形成することにより、監視回路の電子部品の確実で完全な封緘が保障され、その結果これら部品はハウジングカバーと機械的に堅固に結合され、周囲の影響から完全に保護されている。
【0009】
取り付けボードは、スペーサーを介して受容シェルの底部に対し所定の間隔をもって保持され、この場合、スペーサーがその自由端でもって取り付けボードの位置決め穴に遊びなしに係合して、取り付けボードを受容シェル内のその位置に関しアライニングするのが合目的である。これにより、充填空間を充填した後、監視回路の電子部品が完全に取り囲まれるよう保障されるような所定の充填空間が提供されている。
【0010】
有利には、シェルエッジがハウジングカバーのカバーエッジの周の一部分によって形成されているのがよい。この場合、取り付けボードエッジは、シェルエッジとともに、好ましくは周回するように延在するスリットを画成する。シェルエッジは取り付けボードから突出していてよく、この場合シェルエッジには、取り付けボードエッジとオーバーラップする押さえ部材が設けられている。好ましくは反対側の取り付けボードエッジに、該取り付けボードエッジとオーバーラップする、特に弾性のあるロックフックが設けられている。これにより、取り付けボードは受容シェル内で挟持されて固定され、注封材を充填する際に取り付けボードが浮くことが押さえ部材とロックフックとにより確実に阻止されている。排出される空気と注封材とは、取り付けボードエッジとシェルエッジとの間に形成されたスリットを介して流出することができる。取り付けボード装備面上での個々の部品の緊密な完全な取り囲みが保証されている。
【0011】
合目的には、受容シェルの底部に、充填空間の全高にわたって延在する密封要素により取り囲まれる表示要素および/または操作要素が設けられているのがよい。密封要素は発泡材、特に微孔性ゴムから成り、取り付けボードと受容シェルの底部との間で締め付け保持される。これにより密封要素の確実な位置決めが保証されているので、注封材を流し込む際に該密封要素の位置は変化しない。
【0012】
本発明の他の構成では、取り付けボード装備面に、接続導線用の少なくとも1つの接続プラグが設けられている。その結果、注封材が硬化した後、接続プラグは接続導線とともに、硬化した注封材のなかにある。したがってプラグ結合部自体は腐食等の周囲の影響から保護されているので、厳しい使用条件でも、プラグの電気接触が保証される。
【0013】
本発明の他の構成は他の請求項、以下の説明および図面から明らかである。図面には、以下に詳細に述べる本発明の実施形態が図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】カバーを備えたバッテリーパックハウジングを有するバッテリーパックの斜視図である。
図2図1のカバーの平面図である。
図3図1の切断面III−IIIによるカバーの部分断面図である。
図4図2のカバーの内部構成図である。
図5図4の切断面V−Vによる断面図である。
図6図4の切断面VI−VIによる断面図である。
図7】取り付けボードと受容シェルの底部との間にあって注封材により充填される充填空間の図6による断面図である。
図8】注封材で完全に充填された受容シェルの図6による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1はバッテリーパック1の概略斜視図である。この種のバッテリーパックは電気作業機、特にパワーチェーンソー、刈り込みばさみ、切断研削機、刈払い機、縁刈り機、丸太カッター、送風機、噴霧機、掃除機、地下穿孔機、多機能アタッチメント用コンビネーションモータ装置、清掃機、電動くわ、ロータリー耕うん機、高圧クリーナー、芝刈り機、土掻き機、チッパー、湿式または乾式吸引機等の電気作業機、好ましくは携帯可能な作業機用のエネルギー源として用いられる。
【0016】
バッテリーパック1は、ハウジング2と、ハウジング2を密閉しているハウジングカバー3とから成り、バッテリーハウジング2の内部には多数の個々の蓄電池4が縦置きまたは横置きで配置されている。これらの蓄電池4は、リチウム・イオン電池、リチウム・ポリマー電池、或いは燐酸鉄電池を使用して、3ボルトと5ボルトの間の電池電圧で、特に3.6ボルトと3.7ボルトの間の電池電圧で、たとえば2.2アンペア時のパワーにおいてたとえば36ボルトのバッテリーパックの電圧が得られるように、互いに電気的に導通されている。蓄電池4相互の結線を変更することにより、同じパワーまたはより高いパワーでより低い電圧またはより高い電圧を得ることができる。
【0017】
本実施形態では、バッテリーパック1のハウジングカバー3は、固定ねじ5を用いてバッテリーハウジング2に固定されている。リベット結合、ロック結合、接着、溶接等の他の固定態様でも合目的である。適当に固定したハウジングカバー3の端面6には、表示操作域7が形成されている。図示した実施形態では、表示操作域7は4つの表示窓8と1つの操作域9とから構成されている。表示操作域7は可撓性のフィルム10でマスキングされており、その結果周囲に対し完全に密封されている。
【0018】
図3ないし図6が示すように、ハウジングカバー3は、蓄電池4側の内面12に、受容シェル11を備えている。受容シェル11は(図3および図4を参照)外側のシェルエッジ13によって画成されている。シェルエッジ13は、ほぼ長方形のハウジングカバー3の幅側14では堅牢に形成されているが、長手側15では一部がカバーエッジ16によって形成されている。したがって、周回するように延在している閉じたシェルエッジ13はハウジングカバー3のカバーエッジ16の全周の一部にわたって形成されている。
【0019】
一方の長手側16には、シェルエッジ13に、該シェルエッジ13を越えて受容シェル11内へ突出している押さえ部材17が複数個形成されている。反対側の長手側15には、矢印方向19において弾性的に後退することができ、好ましくは受容シェル11内にあるロックフック18が設けられている。ロックフック18は受容シェル11の底部25で保持されている。
【0020】
シェルエッジ13には、複数個の押さえ部材17の間に位置するように凹部20が形成されている。凹部20は密封要素21を位置正確に位置決めするために用いる。
【0021】
受容シェル11内には取り付けボード22が受容されている。取り付けボード22は、バッテリーパック1に取り付けられている蓄電池4を監視する監視および/または制御回路を担持している。取り付けボード装備面24には前記回路の電子部品23がある。取り付けボード装備面24は受容シェル11の底部25側にあり、この場合取り付けボード22を受容シェル11内で位置決めするためにスペーサー26が設けられている。スペーサー26の自由端49は位置決め心棒として取り付けボード22の複数個の位置決め穴27に係合している。図示した実施形態では、取り付けボード22は2つの位置決め穴27によって受容シェル11内に位置正確にアライメントされており、この場合位置決め穴27は取り付けボード22の反対側の端部に設けられている。
【0022】
スペーサー26の、ほとんど遊びなしに、好ましくは緊密に位置決め穴27に嵌合している端部49は、取り付けボード装備面24に当接しており、その結果取り付けボード22は受容シェル11の底部25に対し所定の間隔aで位置決めされている。間隔aは、どの電子部品23も受容シェル11の底部25に当接しないように選定されている。
【0023】
スペーサー26によって位置正確に受容シェル11内に位置決めされる取り付けボード22は、その取り付けボードエッジ28,29がシェルエッジ13に対し間隔sを有しており、これにより、取り付けボードエッジ28と29の間に(好ましくは周回するように延在して)スリット30が形成されている。前記間隔sはほぼ0.5mmないし3mm、好ましくはほぼ1.5mmの最大サイズを有している。
【0024】
シェルエッジ13は、特に図5が示すように、張出し量vだけ取り付けボード22または取り付けボート背面46から突出している。この張出し量vはほぼ0.5mmないし2.5mmの範囲、特にほぼ1.6mmである。
【0025】
受容シェル11とシェルエッジ13との上記構成および受容シェル11に挿着されている取り付けボード22により、充填空間31が形成されている。この充填空間31は、実質的に最小高さaを有し、合目的には、周回するように延在しているスリット30を介して通気される。
【0026】
合目的には、取り付けボード22の適当な箇所に通気穴32を設け、且つ、充填空間31を硬化した注封材35で充填させるための注入穴33を(できるだけ中心部に)設けるのが合目的である。注封材35は熱伝導性があるのが有利である。取り付けボード装備面24には、(表示窓28に対向して)たとえばLEDのような照射手段36が配置されている。照射手段36は表示窓8を介して外部から確認することができる。取り付けボード22には、さらに、操作域9を介して外部から操作されるキー34が保持されている。表示要素37として利用されるLED36と操作要素38とが注封材35によって使用不能にならないよう保証するため、密封要素21が設けられている。密封要素21は成形部材として、たとえばパッキンフレームとして、パッキンエッジまたはパッキンリップ等を適当に備えている。本実施形態では、密封要素21は成形部材であり、好ましくは発泡材、特に微孔性ゴムから成っている。密封要素21は表示要素37または操作要素38を完全に取り囲んでおり、その結果、このようにして分離された空間は注封材の侵入を受けない。密封要素21は(図6を参照)充填空間31の全高aにわたって延在しており、取り付けボード22と受容シェル11の底部25との間に好ましくは締め付け保持されている。図6からわかるように、密封要素21はその高さがほぼ30%ないし50%だけ押しつぶされ、または圧縮され、特にほぼ40%押しつぶされ、または圧縮される。これは本実施形態ではほぼ1.2mmの寸法に相当している。充填空間31の高さaは0.5mmないし3mmの範囲であり、好ましくは高さaの最小値はほぼ1.8mmである。種々の高さaは受容シェル11の底部25での高さずれzによって生じる。
【0027】
取り付けボード22に監視および/または制御回路を取り付けるため、取り付けボード装備面24を備えた取り付けボード22を前もって受容シェル11に挿着しておく。その際、まず取り付けボード縦エッジのうちの1つの取り付けボード縦エッジ29を押さえ部材17の下へ設置する。この場合、位置決め細条部39は受容シェル11内での取り付けボード22の精密なアライメントを容易にさせる。この時点で、取り付けボード22を、押さえ部材17の下にある取り付けボードエッジ29を中心にして受容シェル11の内側へ回動させる。その際、位置決め心棒としてのスペーサー26の自由端49が取り付けボード22の位置決め穴27に係合し、好ましくは緊密に嵌合する。ロックフック18が取り付けボードエッジを介してスナップバックできるようになるまで、ロックフック18を取り付けボードエッジにより弾性的に押し戻す。これにより取り付けボード22は受容シェル11内で位置正確に且つ紛失不能に保持される。
【0028】
取り付けボード22を受容シェル11に挿着する場合も、注封材35を充填空間31内へ充填する場合も、密封要素21がスリップしないよう保証するため、密封要素21は位置固定部分40によりハウジングカバー3の長手側15でシェルエッジ13の凹部20に係合する。凹部20は2つの押さえ部材17の間のほぼ中央にある。
【0029】
取り付けボード22を挟着させた後、密封要素21の密封材を寸法mだけ圧縮させる。これにより密封要素21は充填空間31内でさらに位置固定され、同時に密封が保証される。
この時点で、注入穴33を介して液状の注封材を充填空間31内へ充填させる。注封材は充填空間31内全体に分布し、電子部品23を完全に取り囲む。この場合、注封材がスリット30内で上昇するまで注封材を充填させる。図4図7は注封材で充填した充填空間31の断面図を示すもので、この場合注封材は、取り付けボード22のエッジ領域にあって開口しているすべての管路が確実に閉鎖されるほどの距離でスリット30内を上昇している。受容シェル11の充填レベルは、合目的には、取り付けボード22の背面46の高さにあり、一方取り付けボード22の背面46下方であっても有利である。
【0030】
前記注入穴とは択一的な注入穴として、或いは、前記注入穴に対し補助的な注入穴として、ロックフック18の両側に残っていて、取り付けボートエッジ29とカバーエッジ16との間にある自由部分44(図4)を利用することができる。密封要素21の位置固定部分40の領域にも同様に注封材35が充填されて、取り付けボードエッジ29の領域で開口している管路を閉鎖させるようになっている。
【0031】
取り付けボード22が液状注封材35上に浮く現象は、押さえ部材17とロックフック18によって効果的に阻止されている。取り付けボード22の面41内での位置変化は、位置決め穴27に係合しているスペーサー26の自由端49によって阻止されているとともに、取り付けボードエッジ28および29とシェルエッジ13との間のスリット30内にある位置決め細条部39によっても阻止されている。
【0032】
図3からわかるように、取り付けボード装備面24には、接続導線43のためのプラグ42またはブッシュが設けられている。プラグ42またはブッシュは充填空間31内にあるので、該プラグ42またはブッシュはその上に取り付けられるブッシュまたはプラグとともに注封され、その結果接続導線43はそのプラグまたはブッシュとともに注封材35に完全に封じ込められ、固定されている。
【0033】
図4が示すように、ロックフック18の両側には、接続導線43を案内するための自由部分44が設けられている。自由部分44は受容シェル11の内側にあり、よって注封材35を充填する場合には、同様に注封材で充填され、これによりロックフック18とカバーエッジ16との間にある自由空間45も充填される。これにより、そこで硬化した注封材35が遮断閂として、矢印方向19でのロックフック18の待避運動を阻止することが達成される。
【0034】
図4は注封材35で充填された充填空間31を示すものであるが、硬化した注封材はスリット30内へ侵入しているが、取り付けボード22の背面46はあふれていない。
【0035】
図8が示すように、取り付けボードの背面46も注封材35によって完全に覆われるほどの大量の注封材35を受容シェル11内に充填するのが合目的な場合がある。これにより受容シェル11はシェルエッジ31の上稜47に至るまで注封材で完全に充填されるので、取り付けボード22は硬化した注封材によって完全に封じ込められる。合目的には、特に受容シェル11の幅側14に、場合によっては侵入した注封材を受容するために用いるそれぞれ1つの溢流溝48を配置するのがよい。接続導線43を、適当な箇所で取り付けボードエッジ28,29とシェルエッジ13との間のスリット30から突出させて、バッテリーケース内部での導線の任意の長さを短くするのが合目的である。
【符号の説明】
【0036】
1 バッテリーパック
2 バッテリーパックハウジング
3 ハウジングカバー
4 蓄電池
11 受容シェル
12 ハウジングカバーの内面
13 シェルエッジ
17 押さえ部材
18 ロックフック
20 凹部
21 密封要素
22 取り付けボード
23 電子部品
24 取り付けボード装備面
25 受容シェルの底部
26 スペーサー
27 位置決め穴
28,29 取り付けボードエッジ
30 スリット
31 充填空間
35 注封材
37 表示要素
38 操作要素
40 位置固定部分
42 接続プラグ
43 接続導線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8