(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5739620
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】ホーム柵装置
(51)【国際特許分類】
B61B 1/02 20060101AFI20150604BHJP
【FI】
B61B1/02
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-90107(P2010-90107)
(22)【出願日】2010年4月9日
(65)【公開番号】特開2011-218958(P2011-218958A)
(43)【公開日】2011年11月4日
【審査請求日】2013年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 力男
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 孝信
【審査官】
黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−045664(JP,A)
【文献】
特許第3850549(JP,B2)
【文献】
登録実用新案第3097235(JP,U)
【文献】
特開2001−233198(JP,A)
【文献】
特開2001−233201(JP,A)
【文献】
特開2010−241429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅のプラットホーム上に設置され一側から進退動作される扉体を備えたホーム柵本体と、
前記ホーム柵本体の内部に設けられた内部フレームの一側面に着脱自在に取付けられたブロック取付金具と、
隣り合う前記ホーム柵本体の間に配置されるブロック柵と、
前記ブロック柵の両側面に取付けられ前記ブロック取付金具に着脱自在に固定されるブロック取付板と、
を備え、
前記ブロック取付金具に、前記ブロック柵に取付けられた前記ブロック取付板を取り付けることにより、前記ホーム柵の間に前記ブロック柵を設置することを特徴とするホーム柵装置。
【請求項2】
前記ホーム柵本体の一側面を被覆するように着脱自在に装着される側面カバー部材を備え、前記側面カバー部材には、前記ブロック取付金具の一部を露出させるためのスリットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のホーム柵装置。
【請求項3】
前記ブロック柵の一側部は、前記ブロック取付板に蝶番を介して回動自在に取付けられ、前記ブロック柵は、隣り合う前記ホーム柵本体の間で開閉自在に取付けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホーム柵装置。
【請求項4】
前記ブロック柵の他側部には、前記ブロック柵を係合により閉じた状態に保持するとともに、係合を解除して開放自在とするカギ機構が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のホーム柵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホーム柵装置に係り、特に、設置工事を行うことなく、ホーム柵本体の間にブロック柵を容易に設置することを可能としたホーム柵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、駅のプラットホームにおいては、通過列車の風圧により乗客が線路側に転落する等の不測の事故を防止するために、列車の乗降ドアと連動して開閉動作されるホーム柵装置が設置されている。
【0003】
このような従来のホーム柵装置としては、例えば、戸袋の線路側の側壁および線路と反対側の側壁のうちのいずれか一方の側壁と戸袋内に後退した扉体との間に形成される空間部に、扉体の側面を片持ち支持して扉体を進退自在に案内するレール部材と、扉体を進退移動させる駆動装置と、駆動装置を制御する電気制御機器とを上下方向に並べて設けるようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3850549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術においては、ホーム柵装置のホーム柵本体は、列車の乗降ドアに対応する位置に設置されるものであり、例えば、列車の連結部などの乗降ドアのない位置には、ホーム柵本体は設置されないものである。そのため、従来からホーム柵本体の間を、ホーム柵本体と同様の形状を有するブロック柵により埋めるようにしていた。このようなブロック柵を設置する場合は、ホーム柵本体と同様に、プラットホームにアンカーボルトを設置して固定するようになっており、そのため、設置工事が必要であり、設置作業に手間がかかるとともに、設置コストが高くなってしまうという問題を有している。
【0006】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、設置工事を行うことなく、ホーム柵本体の間にブロック柵を容易に設置することのできるホーム柵装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1の発明に係るホーム柵装置は、駅のプラットホーム上に設置され一側から進退動作される扉体を備えたホーム柵本体と、
前記ホーム柵本体の内部に設けられた内部フレームの一側面に着脱自在に取付けられたブロック取付金具と、
隣り合う前記ホーム柵本体の間に配置されるブロック柵と、
前記ブロック柵の両側面に取付けられ前記ブロック取付金具に着脱自在に固定されるブロック取付板と、を備え
、
前記ブロック取付金具に、前記ブロック柵に取付けられた前記ブロック取付板を取り付けることにより、前記ホーム柵の間に前記ブロック柵を設置することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記ホーム柵本体の一側面を被覆するように着脱自在に装着される側面カバー部材を備え、前記側面カバー部材には、前記ブロック取付金具の一部を露出させるためのスリットが形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2において、前記ブロック柵は、前記ブロック取付板に蝶番を介して回動自在に取付けられ、前記ブロック
柵は、隣り合う前記ホーム柵本体の間で開閉自在に取付けられることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、
請求項3において、前記ブロック柵の他側部には、前記ブロック柵を係合により閉じた状態に保持するとともに、係合を解除して開放自在とするカギ機構が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、ホーム柵本体の内部フレームにブロック取付金具を取付けるとともに、このブロック取付金具に、ブロック柵に取付けられたブロック取付板を取付けるようにしているので、設置工事を行うことなく、ホーム柵本体の間に容易にブロック柵を設置することができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、ホーム柵本体の一側面を被覆するように着脱自在に装着される側面カバー部材に、ブロック取付金具の一部を露出させるためのスリットを形成するようにしているので、ブロック取付金具の一部を露出させてブロック取付板を容易に取付けることができ、しかも、側面カバー部材をホーム柵本体に着脱自在に装着するようにしているので、ホーム柵本体の一側部にブロック柵を設置する必要がない場合は、スリットが形成されていない側面カバー部材を装着することにより、ホーム柵本体の一側面を外観上きれいに被覆することができるものである。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、ブロック柵をブロック取付板に蝶番を介して回動自在に取付け、ブロック
柵を隣り合うホーム柵本体の間で開閉自在に取付けられ
ているので、ブロック柵を開閉扉として利用することができる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、ブロック柵の他側部にカギ機構を設けるようにしているので、ブロック柵を係合により閉じた状態に保持することができるとともに、係合を解除して開放自在とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るホーム柵装置の第1実施形態を示す正面図である。
【
図2】本発明に係るホーム柵装置の第1実施形態を示す
図1のA−A線における断面図である。
【
図3】本発明に係るホーム柵装置の第1実施形態を示す
図2のB−B線における断面図である。
【
図4】本発明に係るホーム柵装置の第2実施形態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明に係るホーム柵装置の第1実施形態を示す正面図である。本実施形態においては、ホーム柵装置1は、列車に乗客が乗降するためのプラットホーム2の床面の線路側に設けられるものであり、ホーム柵装置1は、プラットホーム2に沿うように形成された箱型のホーム柵本体3と、列車がプラットホーム2の定位置に停車したときに、列車の乗降ドアと連動してホーム柵本体3の一側から開閉動作される扉体4を備えている。
【0018】
また、各ホーム柵本体3は、その扉体4が列車5の乗降ドア6に対応する位置に配置されるものであり、列車5の車両連結部7に対応する位置には、ホーム柵本体3は設けられていない。そのため、本実施形態においては、列車5の車両連結部7に対応する位置には、ブロック柵8が配置されるように構成されている。このブロック柵8の内部には、図示しないが、例えば、駅係員が所定のドア操作を行うための操作部や電気配線の分電盤などが設置されるようになっている。
【0019】
また、ホーム柵本体3は、内部フレーム9を備えており、ホーム柵本体3の側面には、内部フレーム9の外側に装着される側面カバー部材10が着脱自在に設けられている。側面カバー部材10には、上下方向に延在するスリット11が形成されており、ホーム柵本体3の内部フレーム9には、断面形状L字状を有するブロック取付金具12がその一辺が側面カバー部材10のスリット11から突出するように取付ねじ13により取付けられている。
【0020】
一方、ブロック柵8のホーム柵本体3の側面に対向する面には、断面形状L字状のブロック取付板14が取付けられており、このブロック取付板14は、ブロック取付金具12に取付ねじ15により締め付け固定されている。
【0021】
ここで、本実施形態においては、ブロック柵8の厚さ寸法は、ホーム柵本体3の厚さ寸法より小さく形成されているとともに、ブロック柵8の高さ寸法は、ホーム柵本体3の高さ寸法より小さく形成されている。
【0022】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0023】
本実施形態においてブロック柵8を取付ける場合は、まず、ホーム柵本体3から側面カバー部材10を取り外し、内部フレーム9の側面にブロック取付金具12を取付ける。その後、スリット11が形成された側面カバー部材10をホーム柵本体3に装着する。
【0024】
対向するホーム柵本体3の各側面について、ブロック取付金具12を取り付けた後、ブロック柵8の両側面に、ブロック取付板14を取付け、このブロック取付板14をブロック取付金具12に取付けるようになっている。これにより、ブロック柵8は、各ホーム柵本体3の間で、浮いた状態で保持されることになり、プラットホーム2にアンカーボルトを設置するといった特別な設置工事を行うことなく、ブロック柵8を取付けることができるものである。
【0025】
なお、前記実施形態においては、側面カバー部材10には、スリット11が形成されているが、ホーム柵本体3の一側部にブロック柵8を設置する必要がない場合は、スリット11が形成されていない側面カバー部材10を装着することにより、ホーム柵本体3の一側面を外観上きれいに被覆することができるものである。
【0026】
以上述べたように、本実施形態においては、ホーム柵本体3の内部フレーム9にブロック取付金具12を取付けるとともに、このブロック取付金具12に、ブロック柵8に取付けられたブロック取付板14を取付けるようにしているので、設置工事を行うことなく、ホーム柵本体3の間に容易にブロック柵8を設置することができる。
【0027】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0028】
図4は本発明の第2実施形態を示したものであり、本実施形態においても前記第1実施形態と同様に、ホーム柵本体3の側面には、スリット11が形成された側面カバー部材10が着脱自在に設けられており、ホーム柵本体3の内部フレーム9には、断面形状L字状を有するブロック取付金具12がその一辺が側面カバー部材10のスリット11から突出するように取付けられている。また、ブロック柵8のホーム柵本体3の側面に対向する面には、断面形状L字状のブロック取付板14が取付けられており、このブロック取付板14は、ブロック取付金具12にボルトおよびナットにより締め付け固定されている。
【0029】
また、本実施形態においては、ブロック柵8は、その一側をブロック取付板14に対して蝶番16を介して取付けるようにしたものであり、ブロック柵8は、蝶番16を中心として回動自在に支持されている。
【0030】
また、ブロック柵8の他側には、カギ機構17が取付けられている。カギ機構17は、回動操作可能なシリンダ部18を備えており、シリンダ部18には、カギ板19が一体に取付けられている。ブロック柵8の他端には、ブロック柵8の厚さ寸法より小さく形成された突き当て部20が形成されており、ブロック柵8の端面には、カギ用開口21が形成されている。そして、カギ板19は、シリンダ部18の回動操作により回動動作され、カギ板19の先端部がカギ用開口21から突出、引き込みできるように構成されている。
【0031】
また、ブロック取付板14には、カギ板19の先端部を受け入れるための係合部22が形成されており、カギ板19の先端部が係合部22に係合されている状態で、ブロック柵8は閉じた状態に保持され、カギ板19を回動させて係合部22との係合を解除することにより、ブロック柵8は、蝶番16を中心として回動できるように構成されている。
【0032】
その他の構造は、前記第1実施形態と同様であるため同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0033】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0034】
本実施形態においても前記第1実施形態と同様に、ホーム柵本体3の内部フレーム9の側面にブロック取付金具12を取付けるとともに、側面カバー部材10をホーム柵本体3に装着する。
そして、ブロック柵8の両側面に、ブロック取付板14を取付け、このブロック取付板14をブロック取付金具12に取付けるようになっている。
【0035】
そして、本実施形態においては、ブロック柵8は、ブロック取付板14に対して蝶番16を介して取付けられているので、ブロック柵8は、蝶番16を中心として回動できるようになっている。そのため、シリンダ部18により回動動作されるカギ板19の先端部をブロック取付板14の係合部22に係合させた状態で、ブロック柵8は閉じた状態に保持され、カギ板19を回動させて係合部22との係合を解除することにより、ブロック柵8は、蝶番16を中心として回動させることができる。これにより、カギ板19を係合部22に係合または係合解除させることにより、ブロック柵8を開閉自在なドアとして使用することが可能となる。
【0036】
以上述べたように本実施形態においては、ホーム柵本体3の内部フレーム9にブロック取付金具12を取付けるとともに、このブロック取付金具12に、ブロック柵8に取付けられたブロック取付板14を取付けるようにしているので、設置工事を行うことなく、ホーム柵本体3の間に容易にブロック柵8を設置することができる。
【0037】
また、本実施形態においては、ブロック柵8にカギ機構17を設け、シリンダ部18の回動操作によりカギ板19をブロック取付板14に設けられた係合部22に係合または係合解除させることにより、ブロック柵8を開閉扉として利用することができる。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 ホーム柵装置
2 プラットホーム
3 ホーム柵本体
4 扉体
5 列車
6 乗降ドア
7 車両連結部
8 ブロック柵
9 内部フレーム
10 側面カバー部材
11 スリット
12 ブロック取付金具
13,15 取付ねじ
14 ブロック取付板
16 蝶番
17 カギ機構
18 シリンダ部
19 カギ板
20 突き当て部
21 カギ用開口
22 係合部