(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レール上を走行する走行機体に俯仰及び旋回可能にブームを支持するとともに、この走行機体にトリッパを連結してなるスタッカ・リクレーマにおける、当該トリッパの連結・分離装置であって、
前記レール上の走行機体の位置を検出する走行機体位置検出手段と、
前記走行機体にトリッパを分離可能に連結する連結器と、
前記トリッパを前記レール上の係留位置に保持するトリッパ保持手段と、
前記トリッパ保持手段によってトリッパが保持されていることを検出するトリッパ保持検出手段と、を備えることを特徴とするトリッパの連結・分離装置。
前記トリッパ保持検出手段によって前記トリッパの保持状態が検出されていないときは、前記連結器の分離動作を禁止して前記走行機体からのトリッパの分離を規制する、トリッパ分離規制手段をさらに備える、請求項1に記載のトリッパの連結・分離装置。
前記ブーム位置検出手段によってブームが前記所定位置にあることが検出されたとき、前記トリッパの分離されている前記走行機体が前記係留位置から所定距離内に進入することを許容する一方、ブームが前記所定位置になければ前記走行機体が前記所定距離内に進入することを禁止してトリッパとの連結を規制する、トリッパ連結規制手段をさらに備える請求項3に記載の連結・分離装置。
前記走行機体位置検出手段は、前記走行機体の車輪の回転角を検出する回転角センサと、前記レールの長手方向に所定間隔で設けられた被検知対象を検知する検知センサと、を備えている請求項1〜6のいずれか1つに記載の連結・分離装置。
レール上を走行する走行機体に俯仰及び旋回可能にブームを支持するとともに、この走行機体にトリッパを連結してなるスタッカ・リクレーマにおける、当該トリッパの連結・分離方法であって、
前記トリッパが前記レール上の係留位置に保持されていることを検出するトリッパ保持検出手段を準備し、
まず、前記レール上の走行機体の位置を検出しながら該走行機体を走行させて、これに連結されているトリッパを前記係留位置に位置づけ、
次に前記トリッパを前記係留位置に保持し、この保持状態が前記トリッパ保持検出手段によって検出されるまでは、当該トリッパを走行機体から分離せず、トリッパの係留位置での保持状態が検出されれば、当該トリッパを走行機体から分離する、ことを特徴とするトリッパの連結・分離方法。
前記ブーム位置検出手段によってブームが前記所定位置にあることが検出された後に、前記トリッパの分離されている前記走行機体を前記係留位置に向けて走行させ、当該係留位置から所定距離内まで進入させる、請求項10に記載の連結・分離方法。
【背景技術】
【0002】
従来より例えば埠頭の荷役設備や製鉄所等において、搬入される鉱石や石炭等のバラ物をヤードに山積みにして貯留することが行われており、この積付に用いるスタッカとバラ物搬送物を払出すためのリクレーマとを兼用する、いわゆるスタッカ・リクレーマが広く知られている。スタッカ・リクレーマは、ヤードに沿って延びるレール上を走行する走行機体と、その上に旋回可能に設けられた旋回体と、この旋回体に俯仰可能に支持されたブームとを備え、ブームの先端にはバケットホイール等が取り付けられている。
【0003】
また、レールの間には搬入ないし搬出のためのコンベヤが敷設され、このコンベヤのベルトを斜め上方に引き上げて、その上端からバラ物搬送物を落下させるようにトリッパが設けられている。トリッパは前記走行機体に連結されて、バラ物搬送物をブームコンベヤに移し替えるためのものであり、こうしてブームコンベヤに移し替えられたバラ物搬送物はブームの先端側まで搬送されてヤードに投下され、台形状若しくは三角形状に山積みされる。
【0004】
一方、払出の際はブームの先端のバケットホイール等によりバラ物搬送物を山から取り崩し、ブームコンベヤにより今度はブームの基端側に搬送してその下方のホッパに投下する。ホッパの下端は前記の搬入ないし搬出コンベヤの上方に位置し、バラ物搬送物はコンベヤによって外部に搬出される。
【0005】
そのように払出の際には使用しないトリッパを、走行機体に連結して牽引していると、このトリッパにおいて特にベルトコンベヤの上端付近がブームと干渉するおそれがある。そこで、一般には干渉を阻止するようにブームの俯仰、旋回可能な範囲が制限されており、作業効率の低下を招いていた。
【0006】
また、払出の際は使用しないトリッパを走行機体から切り離すことも行われているが、その分離・連結の作業に手間が掛かるとともに、重量物が移動するにも拘らず衝突の回避を全て作業者の目視確認に頼っているのが実情で、作業者の疲労や天候によって衝突の起きるおそれがあった。
【0007】
これに対し例えば特許文献1のものでは、走行機体からトリッパに向けて長尺の連結フレームを延設し、これをトリッパの台車フレームの下方にまで延在させるとともに、この台車フレームを連結フレームの長手方向に相互に離れた二位置で切換えて連結するようにしている。すなわち、トリッパを使用しないときには、これをできるだけブームから離した待避位置にて走行機体と連結するのである。
【0008】
こうしてトリッパを二つの位置で切換えて走行機体に連結するのであれば、両者の位置関係が常に定まっているので、不測の衝突を回避することができる上に、二つの位置の間隔に相当する分、両者を相互に移動させることによって、位置の切換えを遠隔操作で行うことも可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来例のようにトリッパをブームから離れた待避位置において走行機体に連結するためには、走行機体からトリッパに向けて延設する連結フレームをかなり長くしなくてはならない。この連結フレームには相応の強度、剛性が要求されるため、走行機体の重量が大幅に増大してしまい、消費電力の増大を招くこととなる。
【0011】
かかる点に鑑みて本発明の目的は、前記従来例のような走行機体の重量増を招かないように、スタッカ・リクレーマにおいてトリッパを分離可能に構成するとともに、その連結・分離を作業者の目視確認に頼らず安全、確実に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するための本発明は、レール上を走行する走行機体に俯仰及び旋回可能にブームを支持するとともに、この走行機体にトリッパを連結してなるスタッカ・リクレーマにおいて、当該トリッパを連結・分離する装置が対象である。
【0013】
そして、本発明では、前記レール上の走行機体の位置を検出する走行機体位置検出手段と、該走行機体にトリッパを分離可能に連結する連結器と、トリッパを前記レール上の係留位置に保持するトリッパ保持手段と、このトリッパ保持手段によってトリッパが保持されていることを検出するトリッパ保持検出手段と、を備えている。係留位置は予め設定しておいてもよいし、任意に選択してもよい。
【0014】
前記の構成により、スタッカ・リクレーマの走行機体にトリッパを連結したままレール上を走行させれば、バラ物搬送物の積付を行うことができる一方、バラ物を払出すときには、ブームの動作の邪魔になり得るトリッパを分離して係留位置に保持することができる。この際、まず、走行機体位置検出手段によってレール上の走行機体の位置を検出しながら該走行機体を走行させて、これに連結されているトリッパを係留位置に位置づける。
【0015】
そして、前記トリッパ保持手段によりトリッパを係留位置に保持する。こうするとトリッパの保持状態がトリッパ保持検出手段によって検出されるので、この検出結果に応じて前記連結器を分離動作させることができる。つまり、作業者の目視確認に頼らずトリッパの分離を安全、確実に行える。こうして走行機体からトリッパを分離すれば、ブームの動作の邪魔にならない。
【0016】
一方、前記トリッパの保持状態が検出されていないときには、それを走行機体から分離しない。言い換えると、走行機体から分離されているときトリッパは、必ず係留位置に保持されていて、その位置が変化することがない。よって、その後、走行機体のレール上の位置の検出結果に基づいてトリッパとの連結作業を行うときにも作業者の目視確認に頼ることなく、不測の衝突を回避することができる。
【0017】
好ましくは、前記トリッパの保持状態が検出されていないときには、前記連結器の分離動作を禁止して前記走行機体からのトリッパの分離を規制する、トリッパ分離規制手段を備えてもよい。こうすれば、トリッパが係留位置に保持されていないにも関わらず作業者が誤って連結器を操作しても、これが分離動作することはない。
【0018】
また、前記ブームの俯仰及び旋回位置を検出するブーム位置検出手段を備え、これによりブームが前記トリッパと干渉しない所定位置にあることが検出されたときに、はじめて前記連結器の分離動作を許容するようにしてもよい。こうすれば、トリッパを分離するときやその直後にブームと干渉する心配もない。
【0019】
さらに、前記ブーム位置検出手段によってブームが前記所定位置にあることが検出されたときに、トリッパの分離されている走行機体を係留位置に向けて走行させ、該係留位置から所定距離内に進入することを許容する一方、ブームが前記所定位置になければ走行機体が前記所定距離内に進入することを禁止して、トリッパとの連結を規制するようにしてもよい。こうすれば、トリッパを連結するときにもブームとの干渉を防止できる。
【0020】
前記連結器の構成としては、前記走行機体及びトリッパのいずれか一方に設けられた係止部と、他方に設けられて該係止部に係脱されるようアクチュエータにより動作される係合部材と、前記走行機体及びトリッパの間隔が所定値以下の近接状態において前記係合部材が当接可能で且つこの係合部材を前記係止部へ案内する案内部と、を備えてもよい。こうすれば、走行機体及びトリッパの近接状態において係合部材が案内部に当接し、これにより係止部へ案内される。
【0021】
好ましくは、前記走行機体及びトリッパの前記近接状態を検出する近接状態検出手段と、これにより近接状態であることが検出されたとき、係留位置に近づくように走行している走行機体を一時停止させる停止制御手段と、を備えてもよい。こうすれば、トリッパとの近接状態において走行機体が一時停止されるので、その後に連結器を動作させて係合部材をガイド部に当接させることができる。
【0022】
また、前記走行機体位置検出手段は、前記走行機体の車輪の回転角を検出する回転角センサと、前記レールの長手方向に所定間隔で設けられた被検知対象を検知する検知センサと、を備えていてもよい。こうすれば、回転角センサからの信号により走行機体の位置を連続的に検出できるとともに、その過程で積算される誤差を検知センサからの信号に基づいて解消できるので、走行機体の位置の検出精度が向上する。
【0023】
さらに前記トリッパには、その位置を記憶するための記憶装置と、この記憶装置の動作に用いられる電源と、を備えてもよい。こうすれば、トリッパをレール上の任意の係留位置に保持した状態で走行機体から分離しても、その係留位置が記憶装置により記憶されるので、走行機体との相対的な位置を検出可能になる。
【発明の効果】
【0024】
以上、説明したように本発明によれば、スタッカ・リクレーマにおいて走行機体からトリッパを分離するときに、このトリッパが係留位置に保持されていることが、トリッパ保持検出手段によって検出されるので、作業者の目視確認に頼らずトリッパの分離を安全、確実に行える。また、そうして係留位置にトリッパが保持されていることを確認した上で分離するので、その位置が変化する心配がなく、その後、トリッパを再び連結する際の不測の衝突事故を回避できる。つまり、トリッパの連結も作業者の目視確認に頼らずに安全、確実に行える。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は実施の形態に係るスタッカ・リクレーマ1の全体構成図であり、このスタッカ・リクレーマ1は一例として製鉄所の石炭原料ヤードにおいて、コンベヤ搬送されてくる石炭(バラ物搬送物)を積付するスタッカと、山積みされている石炭を取り崩して払出するリクレーマと、を兼用するものである。
【0027】
−全体構成−
本実施形態に係るスタッカ・リクレーマ1の基本的な構造は従来公知のものであり、
図1の左右に延びるように石炭原料ヤードに沿って敷設された一対のレール2上を、往復走行する走行ガーダ3(走行機体)を備えている。なお、説明の便宜上、以下ではレール2の延びる方向を前後方向とし、
図1の左側を前側、右側を後側と呼ぶ。
【0028】
前記の走行ガーダ3は、複数の車輪を有する走行装置31が取り付けられた台車30と、この台車30を停止させた後に動かないように保持すべく、レール2を挟み込むレールクランプ32と、を備えている。また、台車30には、上下方向の軸線Zの周りを旋回可能に旋回タワー4が支持されており、これに隣接して、作業者が運転操作を行うための運転室33が設けられるとともに、作業者のための歩廊や階段等も設けられている。
【0029】
旋回タワー4にはブーム5が俯仰可能に支持されており、ブーム5は、走行ガーダ3に対して俯仰、旋回可能になっている。また、ブーム5の先端(図の左端)にはバケットホイール50が取り付けられ、積み山から石炭を連続的に取り崩すことができる。このバケットホイール50やブーム5の重量とバランスをとるために、旋回タワー4を挟んでブーム5の反対側に延びるアーム51にカウンタウエイト52が取り付けられている。
【0030】
また、ブーム5の長手方向のほぼ全体に亘ってブームコンベヤ53が配設されており、バケットホイール50によって取り崩された石炭をブーム5の先端側から基端側に向かって搬送することができる。ブームコンベヤ53を逆向きに動作させれば、以下に述べるように外部から搬送されてきた石炭をブーム5の基端側から先端側に搬送して、ヤードに投下することができる。
【0031】
すなわち、前記一対のレール2の間には、石炭の積付及び払出に用いられるベルトコンベヤ20が敷設されている。詳細は図示しないが、本実施形態では一例として2本のベルトコンベヤ20が敷設されており(1本であってもよい)、そのうちの一方は積付及び払出の双方に用いられ、他方は払出のみに用いられる。そして、積付及び払出用のベルトコンベヤ20のベルトを斜め上方に持ち上げて、その上端部から石炭をブームコンベヤ53に移し替えるように、トリッパ6が設けられている。
【0032】
トリッパ6は、走行ガーダ3の台車30に隣接してレール2上に走行可能に載置された台車フレーム60と、その上方に支持されてローラ等によりベルトコンベヤ20のベルトを斜め上方に案内する傾斜フレーム61とを備え、図示のように側方から見ると全体として楔状をなしている。台車フレーム60には複数の車輪62が配設されているとともに、それを地面に対し固定して保持するストームアンカ63(トリッパ保持手段)も配設されている。
【0033】
一方、傾斜フレーム61は、台車フレーム60の後端(図の右端)から前側(図の左側)に向かって立ち上がり、当該台車フレーム60の前端を超えて、さらに斜め上方に向かって延びている。この傾斜フレーム61の上端でベルトコンベヤ20のベルトが反転し、折り返されて下方に延びた後に、台車フレーム60の下部に配置されたローラにより再び前方に向かうように折り返されている。
【0034】
そうして反転するベルトコンベヤ20のベルトから落下する石炭を受け入れるように傾斜フレーム61の上端にはシュート64が配設されている。このシュート64は、図示のようにトリッパ6が走行ガーダ3に連結された状態でブーム5の基端部の近傍、より詳しくはブームコンベヤ53の基端側においてその上方に位置づけられている。
【0035】
これにより、外部から石炭を搬入するときには、前記のようにベルトコンベヤ20により搬送されてきた石炭がシュート64を介してブームコンベヤ53の基端側に投下され、このブームコンベヤ53によりブーム5の先端側に搬送されてヤードに投下され、台形状に山積みされる。一方、払出の際はバケットホイール50により石炭の山を取り崩し、ブームコンベヤ53により今度はブーム5の基端側に搬送して、下方のホッパ54に投下する。この石炭は走行ガーダ3の下方に位置するベルトコンベヤ20によって搬出される。
【0036】
本実施形態では走行ガーダ3にトリッパ6が連結されて牽引され、レール2上を一体になって走行するようになっている。すなわち、走行ガーダ3の台車30には、後方のトリッパ6に向かうように延出部が設けられていて、その後端部とトリッパ6の台車フレーム60の前端部とが、
図1に符号Sとして示す部位において、以下に説明する連結ユニット7により分離可能に連結されている。
【0037】
図2に示すように連結部位を拡大して上方から見ると、走行ガーダ3の台車30の後端部とトリッパ6の台車フレーム60の前端部との間には、左右両側に分かれて一対の連結ユニット7が設けられている。この連結ユニット7には、以下に説明する連結器70の他に、連結の際の衝撃を緩和するための緩衝器75が含まれる。また、連結器70の連結動作に先立ち、走行ガーダ3とトリッパ6とが所定値以下の非常に小さな間隔(一例として30〜50cmくらい)にまで近接したことを検出する近接状態検出手段として、リミットスイッチ77及びセンサロッド78からなる近接状態検出器が含まれている。
【0038】
詳しくは
図3に側方から見て示すように、連結器70は、トリッパ6の台車フレーム60に設けられた固定フック71と、走行ガーダ3の台車30に上下に揺動可能に取り付けられた可動フック72(係合部材)と、この可動フック72を上下に揺動させて、前記固定フック71と係脱させる電動シリンダ73とを備えている。固定フック71は、
図2に示すように台車フレーム60の前端部から前方に延びる円柱状の支持部60aの先端に取り付けられ、そこからさらに前方に延びている。
【0039】
固定フック71の上部には、長手方向の中央部よりもやや後側に凹部71a(係止部)が形成され、
図3(a)に示す連結時には可動フック72の先端の凸部72aを係止するようになっている。一方、同図(b)に示すように電動シリンダ73が分離動作し、そのロッド73aが後退すると、これにより吊り上げられて可動フック72が上方に揺動し、その先端の凸部72aが固定フック71の凹部71aから離脱する(分離時)。このような連結器70の連結・分離はリミットスイッチ74によって検出される。
【0040】
また、固定フック71の上部には、前記の凹部71aよりも先端側でほぼ平坦に前後に延びる面71bが形成されており、
図10を参照して後述するが、連結器70の連結動作の際に前記の近接状態において電動シリンダ73のロッド73aが進出すると、下方に揺動した可動フック72の先端の凸部72aが当接するようになる。その平坦面71bは、後側に連なる凹部72aに向かうよう可動フック72の凸部72aを案内する案内部として機能するので、以下、案内部71bと呼ぶ。
【0041】
なお、図の例では電動シリンダ73は、走行ガーダ3の台車30の後端部から一旦、上方に延びた後に折れ曲がって後方に延びるL字状の支柱30aの後端に揺動可能に支持されている。電動シリンダ73は、ロッド73aの伸縮によってその下端に吊り下げた可動フック72を上下に揺動させるが、この可動フック72の揺動に伴い吊り下げ位置が前後に変位するので、これに対応するように電動シリンダ73及びロッド73aも揺動するようにしている。
【0042】
かかる構成の連結器70の内側には
図4に示すように、連結の際に発生し得る衝撃を吸収し緩和する緩衝器75が設けられている。この緩衝器75は、図の例では走行ガーダ3の台車30の後端部から後方に延びる円柱状の支持部75aに、例えばウレタン製のリング状緩衝材75bを前後方向に重ねて取り付けてなる。この緩衝材75bの後方に対向して、トリッパ6の台車フレーム60の前端部から前方に向かって支柱76が延びており、衝突の際には緩衝材75bを前後方向に圧縮して、衝撃を吸収するようになっている。
【0043】
その支柱76の前端には当接板76aが設けられており、その前方に対向する緩衝材75bとの間には、前記
図3(a)に示す連結器70の連結状態において僅かな(例えば5cm以下の)隙間が形成されるようになっている。また、連結に先立つ前記の近接状態で緩衝材75bと当接板76aとの間隔は30〜50cmくらいの非常に小さな間隔になる。そして、この近接状態を検出する検出器としてリミットスイッチ77が緩衝器75の下方に設けられている。
【0044】
すなわち、
図4に示すように前記緩衝器75の支持部75aには、下方に延びるブラケット75cを介してリミットスイッチ77が取り付けられており、一方、前記支柱76には前後方向の所定範囲において下方に垂下する矩形状の支持枠76bが取り付けられ、この支持枠76bの下端側において前方に向かって延出するように、センサロッド78が支持されている。センサロッド78は、前記の近接状態において前端がリミットスイッチ77に接触するように位置づけられている。
【0045】
すなわち、
図4に示すようにセンサロッド78の長さは、前記の近接状態における緩衝器75の支持部75aと支柱76との間隔に対応づけて設定され、その前端部は、上側ほど前方に突出する傾斜形状とされており、図示のように近接状態になったときにリミットスイッチ77に接触してオン状態にさせるのである。
【0046】
図2に戻って、走行ガーダ3の台車30の後端部には、前記した連結器70の動作によってトリッパ6の台車フレーム60との連結・分離を行う際に、その連結器70等の動作を目視にて確認しながら走行ガーダ3の運転操作を行えるように、走行装置31やレールクランプ32、連結器70等の操作盤を有する現場操作箱34が設けられている。
【0047】
図の例では現場操作箱34は、作業者のための歩廊35に沿って配設されており、これから斜め後方に向かって延びる通信ケーブル36の先端には、トリッパ6側のシステムと接続するためのコネクタ36aが設けられている。なお、歩廊35は、トリッパ6側の歩廊65と繋がるように設けられている。
【0048】
−スタッカ・リクレーマの運転動作−
図5は、本実施形態のスタッカ・リクレーマ1の制御システムを模式的に表した機能ブロック図であり、一例として走行ガーダ3にコントローラ90を搭載した場合について示している。図示のようにコントローラ90には、少なくとも、ブーム5の俯仰、旋回角をそれぞれ検出するブーム俯仰角センサ91及びブーム旋回角センサ92からの信号と、走行装置31の車輪の回転角を検出する車輪回転角センサ93からの信号と、レール2上に所定の間隔で配設された被検知対象であるターゲット(図示せず)を検知する検知センサ94からの信号と、連結器70のリミットスイッチ(LS)74や近接状態検出器、即ちリミットスイッチ77からのオンオフ信号と、が入力する。
【0049】
また、コントローラ90は、運転室33や現場操作箱34の操作盤からの信号を入力して、旋回タワー4やブーム5及び走行装置31等の駆動回路95へ動作信号を出力して、走行ガーダ3の走行動作やブーム5の俯仰、旋回動作を制御するとともに、走行ガーダ3のブレーキ95やレールクランプ32にも動作信号を出力する。また、コントローラ90は、連結器70の電動シリンダ73(Act.)にも動作信号を出力し、それを連結・分離動作させる。さらに、コネクタ36aによって接続されたトリッパ6側からも、ストームアンカ63の動作状態を表すリミットスイッチ63a(トリッパ保持検出手段)からのオンオフ信号を入力する。
【0050】
例えば、上述したようにスタッカ・リクレーマ1によって石炭をヤードに積付る際には、トリッパ6を走行ガーダ3に連結したまま牽引し、ブーム5を俯仰、旋回させて、石炭をヤードに投下する。このときにはトリッパ6との干渉を避けるためにブーム5の旋回を制限し、それがトリッパ6の正反対の前方に向かって延びる位置を基準(旋回角度が0°)として、その旋回角度を±105〜110°くらいまでとする。
【0051】
一方、石炭の山を取り崩して払出す際にはトリッパ6を切り離して、レール2上に予め設定した係留位置に保持する。走行ガーダ3は単独でレール2上を走行しながらブーム5を俯仰、旋回させて、その先端のバケットホイール50により石炭の山を取り崩すことができる。こうしてトリッパ6を分離しその係留位置から所定以上、離れていれば、ブーム5を概ね自在に俯仰、旋回させることができる。
【0052】
但し、そうしてブーム5を大きく俯仰、旋回させたまま走行ガーダ3を係留位置に近づけることはできないし、係留位置から所定以上、離れていない場所ではブーム5の俯仰、旋回を制限しなくてはならない。このため、ブーム5の俯仰、旋回動作と走行ガーダ3の走行動作との間にはインタロックが設けられている。
【0053】
一例として
図6(a)に模式的に示すように、走行ガーダ3がトリッパ6から十分に離れた(例えば80〜100m以上離れた)常用域にあれば、ブーム5の俯仰、旋回はその機械的な制限を除いて殆ど自在に行えるとともに、常用域の境界である常用限までは走行ガーダ3も自在に走行可能とする。一方、同図(b)に示すように常用限を超えてトリッパ6に係留位置に近づくと、ブーム5の俯仰、旋回は禁止して、その角度を共に0°近傍に制限する。
【0054】
また、同図(c)に示すように常用域外においてブーム5の俯仰、旋回角度が0°近傍にない場合、進入禁止域には進入できず、進入禁止域内でなければブーム5を0°方向に旋回させることを禁止するとともに、トリッパ6へ近づくような走行ガーダ3の走行を禁止する。つまり、この場合は走行ガーダ3をトリッパ6から離れるように走行させて一旦、常用域に戻ってから、ブーム5を0°方向に旋回させる。
【0055】
さらに、例えば
図7(a)に模式的に示すように、ブーム5の俯仰、旋回角度がいずれも0°近傍であれば走行ガーダ3の走行には殆ど制限はなく、常用域は勿論、進入禁止域も走行可能である。但し、係留位置にあるトリッパ6との間隔が例えば2〜3mくらいの間隔になれば、運転室33での操作による走行ガーダ3の走行動作を禁止して、現場操作箱34でのみ操作を行えるようにする。
【0056】
また、同図(b)に示すようにブーム5の俯仰、旋回角度が0°近傍でない場合は、走行ガーダ3は常用限までは自由にトリッパ6に近づけるものの、それより先では制限があり、進入禁止域には進入できない。ブーム5の旋回角度が±90°以上であれば、カウンタウエイト52がトリッパ6とは反対側にあるので、常用域を超えて進入禁止域の手前までは走行可能とする。但し常用域外においては、前記
図6(c)に示したようにブーム5を±90°以下に旋回させることはできない(カウンタウエイト52がトリッパ6側にくるから)。
【0057】
この場合は走行ガーダ3は、トリッパ6から離れるように走行することはできるが、
図7(c)に示すようにブーム5が上向きになっていて、カウンタウエイト52がトリッパ6と干渉するおそれのある場合は、トリッパ6から離れるように走行することもできない。この場合は俯仰角が0°近傍になるようブーム5を下向きに動作させる必要がある。
【0058】
前記のようなインタロックがあるため、例えば、走行ガーダ3を係留位置に近づけてトリッパ6と連結する際にコントローラ90は、ブーム5の俯仰、旋回角度がいずれも0°近傍になっていることを確認してから、係留位置への走行を許容する。同様に、走行ガーダ3からトリッパ6を分離するときにもコントローラ90は、ブーム5の俯仰、旋回角度がいずれも0°近傍になっていることを確認する。そして、以下に述べるようにトリッパ6がストームアンカ63によって係留位置に保持されていることも確認した上で、それを分離する。
【0059】
−トリッパの連結及び分離動作−
以下に、この実施形態のスタッカ・リクレーマ1におけるトリッパ6の連結及び分離について
図8〜10を参照して詳細に説明する。
図8は、トリッパ6を分離するときのコントローラ90による制御手順の一例を示すフローチャートであり、
図9は、同じく連結時の制御手順の一例を示す。また、
図10は、トリッパ6の連結時における連結器70の動作を示す。
【0060】
まず、走行ガーダ3からトリッパ6を分離するとき作業者は、運転室33にて操作盤のジョイスティックを操作し、ブーム5を俯仰及び旋回角度がいずれも約0°になるように動作させる。また、走行ガーダ3を後方のトリッパ係留位置まで走行させる。このときコントローラ90は、ブーム俯仰角センサ91及びブーム旋回角センサ92からの信号によってブーム5の位置を検出する。また、車輪回転角センサ93及び検知センサ94からの信号によって走行ガーダ3の位置を検出して、トリッパ6が係留位置にあるかどうか判定する。
【0061】
すなわち、車輪回転角センサ93からの信号に基づいて走行ガーダ3の位置を連続的に検出するとともに、この計算の過程で積算される誤差を検知センサ94からの信号に基づいて解消するので、走行ガーダ3の位置の検出精度は極めて高い。車輪回転角センサ93、検知センサ94及びコントローラ90の位置演算部によって走行機体位置検出手段が構成される。
【0062】
そして、
図8のフローチャートに示すようにブーム5の俯仰及び旋回角度がいずれも0°近傍にあり、且つトリッパ6が係留位置にあれば(ステップSA1でYES)、コントローラ90は、運転室33のタッチパネル(操作盤)において連結・分離操作可ランプを点灯させる(ステップSA2)。このランプの点灯を確認して作業者は、運転室33を出て現場操作箱34の付近に移動し、トリッパ6のストームアンカ63を動作させる。
【0063】
これによりストームアンカ63によってトリッパ6が係留位置に保持されるとともに、ストームアンカ63の動作を検出するリミットスイッチ63a(トリッパ保持検出手段)がオンになり、その信号が通信ケーブル36を介してコントローラ90へ送られる。こうしてトリッパ6がストームアンカ63によって保持されていることが検出されると(ステップSA3でYES)、これにより連結器70の分離動作が可能になる。また、現場操作箱34に何らかの表示をしてもよい。
【0064】
そして、作業者は、現場操作箱34の付近にある通信ケーブル36のコネクタ36aを引き抜いた後に、現場操作箱34の操作盤において連結器70の分離操作を行う(ステップSA4でYES)。これを受けたコントローラ90は電動シリンダ73に動作信号を出力して、連結器70を分離動作させる(ステップSA5)。すなわち、
図3(b)のように連結器70の可動フック72が持ち上げられて、その先端の凸部72aが固定フック71の凹部71aから離脱する。これに伴いリミットスイッチ74がオフになり、その信号がコントローラ90へ送られる。
【0065】
続いて作業者は、現場操作箱34の操作盤を操作して、レールクランプ32を開放した後に走行ガーダ3をトリッパ6から離れるように走行させる。これにより走行ガーダ3がトリッパ6との近接状態でなくなればリミットスイッチ77がオフになる。また、コントローラ90は、車輪回転角センサ93及び検知センサ94からの信号により走行ガーダ3の位置を検出し、トリッパ6の係留位置から所定距離(一例として2〜3m)離れたかどうか判定する(ステップSA6)。この判定がYESになるとコントローラ90は走行ガーダ3を一時停止させるとともに、運転室33での操作によって走行ガーダ3が走行できるようににする(ステップSA7)。
【0066】
そこで、作業者は運転室33に戻って引き続き走行ガーダ3を走行させる。コントローラ90は、車輪回転角センサ93及び検知センサ94からの信号により走行ガーダ3の位置を検出し、それが常用域に入ると(ステップSA8でYES)、運転室33のタッチパネルにおいてトリッパ分離ランプを点灯させる(ステップSA9)。これによりトリッパ6の分離が終了する。
【0067】
続いて、前記のように分離したトリッパ6を再び走行ガーダ3に連結する際の制御手順について
図9、10のフローチャートに基づき、
図11も参照して説明する。この連結作業の際に作業者は、まず、運転室33において操作盤を操作し、走行ガーダを常用域の境界(常用限)付近まで走行させるとともに、ブーム5を俯仰及び旋回角度がいずれも約0°になるように動作させる。コントローラ90は、
図9のフローチャートに示すようにブーム5の俯仰及び旋回角度がいずれも0°近傍にあれば(ステップSB1でYES)、タッチパネル(操作盤)において連結・分離操作可ランプを点灯させる(ステップSB2)。
【0068】
そのランプの点灯を確認して作業者は、走行ガーダ3をさらにトリッパ6の係留位置へ近づくように走行させる。このときコントローラ90は、車輪回転角センサ93及び検知センサ94からの信号により走行ガーダ3の位置を検出して、走行ガーダ3が常用限に到達すれば(ステップSB3でYES)一時停止させる(ステップSB4)。その後、走行ガーダ3がさらにトリッパ係留位置へ近づいて、トリッパ6との間隔が所定間隔(例えば2〜3m)になると(ステップSB5でYES)、コントローラ90は再び走行ガーダ3を一時停止させ、その走行動作を運転室33での操作で行えないようにする(ステップSB6)。
【0069】
このとき走行ガーダ3をレールクランプ32が固定するので、作業者は運転室33を出て現場操作箱34へ移動し、ここでの操作によってレールクランプ32を開放した後に、走行ガーダ3をゆっくりと走行させて、さらにトリッパ係留位置へと近づける。これにより走行ガーダ3とトリッパ6との間隔が所定間隔の近接状態になると、センサロッド78によりリミットスイッチ77がオン状態にされる。その信号を受けたコントローラ90は近接状態になったことを検出して(ステップSB7でYES)、走行ガーダ3を一時停止させる(ステップSB8)。
【0070】
こうして走行ガーダ3が停止した近接状態で作業者は、
図10のフローのステップSB9に示すように、現場操作箱34の操作盤で連結器70の連結操作を行う。これを受けてコントローラ90は連結器70の電動シリンダ73に動作信号を出力し、連結動作させる(ステップSB10)。すなわち、
図11(a)のように電動シリンダ73のロッドが進出し(ステップSB11でYES)、可動フック72が下降してその先端の凸部72aが固定フック71の案内部71bに当接する。
【0071】
この状態で作業者が、さらにトリッパ6に近づくようにゆっくりと走行ガーダ3を走行させると、可動フック72の先端の凸部72aは案内部71b上を滑っていって、
図11(b)に示すように固定フック71の凹部71aに嵌まり込む。すなわち、連結器70が連結し(ステップSB12でYES)リミットスイッチ74がオン状態になって、この信号を受けたコントローラ90が連結動作の終了を認知し、走行ガーダ3を停止させる(ステップSB13)。
【0072】
つまり、トリッパ6の連結直前の近接状態で走行ガーダ3が自動的に一時停止するようにしたから、作業者は走行ガーダ3が一時停止した後に連結器70を連結動作させるだけで容易且つ安全、確実にトリッパ6を連結することができる。
【0073】
こうしてトリッパ6の連結が終了すると作業者は、現場操作箱34の付近にある通信ケーブル36のコネクタ36aを接続し(ステップSB14でYES)、その後、ストームアンカ63を開放する。これによりストームアンカ63のリミットスイッチ63aがオフになり(ステップSB15でYES)、その信号を受けたコントローラ90は、トリッパ連結ランプを点灯させる(ステップSB16)。かくしてトリッパ6は、係留位置での保持状態から解除され、走行ガーダ3に牽引されてレール2上を走行するようになる。
【0074】
なお、前記
図8のフローチャートに示すステップSA3の手順は、ストームアンカ63によってトリッパ6が保持されていることを検出するトリッパ保持検出手段の機能を実現している。また、ステップSA3〜SA5の手順は、トリッパ6の保持状態が検出されていないときは連結器70の分離動作を禁止して、トリッパ6の分離を規制するというトリッパ分離規制手段の機能を実現している。本実施形態では、ステップSA1においてブーム5がトリッパ6と干渉しない所定位置、即ち0°近傍にあることが検出されたときに、連結器70の分離動作を許容する。
【0075】
一方、前記
図9のフローチャートに示すステップSB1の手順は、ブーム5が前記所定位置にあるときに走行ガーダ3がトリッパ係留位置から所定距離内(進入禁止域)に進入することを許容する一方、そうでなければ進入を禁止して、トリッパ6との連結を規制するトリッパ連結規制手段の機能を実現している。また、ステップSB8の手順は、近接状態であることが判定されたときに走行ガーダ3を一時停止させる停止制御手段の機能を実現している。
【0076】
そして、前記
図8〜10のフローチャートに示される制御手順は、コントローラ90が所定の制御プログラムを実行することによって具現化されるものであるから、この実施形態においてコントローラ90は、前記トリッパ保持検出手段、トリッパ分離規制手段、トリッパ連結規制手段、及び停止制御手段に相当する各制御部を、それぞれソフトウエアの態様で備えることになる。
【0077】
以上、説明した実施の形態に係るスタッカ・リクレーマ1によると、まず、石炭の積付を行う際には走行ガーダ3にトリッパ6を連結して牽引し、これによりブームコンベヤ53に移し替えられる石炭を、ブーム5の先端側からヤードに投下して山積みすることができる。一方、バケットホイール50により石炭の山を取り崩して払出すときには、ブーム5の動作の邪魔になるトリッパ6を分離して係留位置に保持することができる。
【0078】
すなわち、トリッパ6を係留位置に位置づけてストームアンカ63を動作させると、これによる保持状態がリミットスイッチ63aからの信号によって検出されるので、この検出結果に応じて連結器70を分離動作させることで、作業者の目視確認に頼らずトリッパ6の分離を安全、確実に行うことができる。
【0079】
一方、ストームアンカ63によるトリッパ6の保持状態が検出されていないときには、連結器70の分離動作が行えないので、トリッパ6を走行ガーダ3から分離することはできない。言い換えると、走行ガーダ3から分離されているときにトリッパ6は必ず係留位置に保持されていて、その位置が変化することがない。
【0080】
よって、その後、再び走行ガーダ3に連結するときにレール2上の走行ガーダ3の位置の検出結果に基づいて、不測の衝突を回避することができ、作業者の目視確認に頼ることなくトリッパ6の連結も安全、確実に行うことができる。
【0081】
また、前記トリッパ6の分離及び連結の際に、走行ガーダ3のブーム5の俯仰及び旋回角度が0°近傍にあることを条件として、連結器70の動作を許容するようにしており、その際にブーム5がトリッパ6と干渉するおそれもない。
【0082】
−他の実施形態−
なお、上述した実施形態の説明は例示に過ぎず、本発明、その適用物、或いはその用途を制限することを意図するものではない。例えば、前記実施形態においてはトリッパ6がストームアンカ63によって係留位置に保持されているときに、連結器70の分離動作が許容されるようになっているが、これに限らず、ストームアンカ63による保持状態を作業者に報知するだけであってもよい。
【0083】
また、トリッパ6の連結、分離の際に走行ガーダ3のブーム5の俯仰及び旋回角度は、必ずしも0°近傍でなくてもよく、例えば俯仰角度が0°近傍であれば旋回角度は±30°以内等、より広い範囲であってもよい。
【0084】
また、前記の実施形態ではトリッパ6のストームアンカ63は手動で動作させるものであるが、これを走行ガーダ3の現場操作箱34から操作できるようにしてもよい。そのためには、一例として
図12に示すようにトリッパ6にマイコン66を搭載し、ストームアンカ63に設けたアクチュエータ63b(Act.)を動作させるようにする。マイコン66は通信ケーブル36を介して走行ガーダ3のコントローラ90と通信可能とする。
【0085】
さらに、前記の実施形態ではトリッパ6を、予め設定した係留位置に保持して分離するようにしているが、これに限らずトリッパ6は、レール2上で任意に選択した係留位置に保持するようにしてもよい。この場合、トリッパ保持手段は、ストームアンカ63ではなく、例えばレール2を挟み込む走行ガーダ3のレールクランプ32のような機構とすればよい。
【0086】
また、その場合にはトリッパ6に、その位置を記憶するための記憶装置と、この記憶装置の動作に用いられるバッテリ(電源)と、を備えてもよい。こうすれば、トリッパ6をレール2上の任意の係留位置に保持した状態で走行ガーダ3から分離しても、その係留位置が記憶装置により記憶されるので、走行ガーダ3との相対的な位置を検出可能になる。なお、記憶装置としては前記
図12に示したマイコン66の内部記憶装置が利用可能である。
【0087】
さらにまた、本実施形態においては一例として、製鉄所の石炭原料ヤードにおいて石炭を積付、払出するスタッカ・リクレーマ1について説明したが、これに限定されないことは勿論であり、本発明は、埠頭や採石地等において鉱石等、種々のバラ物搬送物を積付、払出するスタッカ・リクレーマにも適用できる。