(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の「回動式電子機器」(特許文献1)や、「車載用ディスプレイの収納装置」(特許文献2)は、構造が複雑で、部品点数が多く、コストが高く、又、重量が増加してしまうという問題点があった。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を目的とする。
【0006】
すなわち、請求項1に記載の発明は、蓋体のアーム部の一部に従節部を形成し、当該従節部を本体に軸止されたドラムに当接させ、ドラムを回動操作することで、アーム部の回動範囲を規制し、蓋体とコンバイナとを連結するリンクを介して、コンバイナの傾斜角度を調整することができるようにしたものである。
請求項1に記載の発明によれば、コンバイナの傾斜角度の調整機構の構造を簡便化することができ、部品点数を減少することができるばかりでなく、安価で且つ軽量に構成することができるようにしたものである。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0007】
すなわち、請求項2に記載の発明は、従節部と当接する偏心したカム部を備えたドラムを用いることで、コンバイナの傾斜角度の調整機構の構造を、一層、安価で且つ軽量に構成することができるようにしたものである。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0008】
すなわち、請求項3に記載の発明は、ドラムの操作部とカム部とを本体内に配置し、操作部の一部を孔部を貫通させて、フランジ部の上部に突出させることで、見栄えが良く、操作性の良いコンバイナの傾斜角度の調整機構を提供することができるようにしたものである。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0009】
すなわち、請求項4に記載の発明は、従節部を曲面形状に形成することで、ドラムの回動により、アーム部がスムーズに動くようにすることができるようにしたものである。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した
請求項3に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0010】
すなわち、請求項5に記載の発明は、操作部の周囲に凹凸部を形成することで、ドラムの操作性を向上することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0012】
第1に、ディスプレイ装置(10)には、例えば
図1〜10に示すように、次の構成を備える。
(1)本体(20)
本体(20)は、例えば
図1に示すように、上面に開口部(21)を備え、コンバイナ(30)を収納可能な収納部(22)を備えたものである。
【0013】
(2)コンバイナ(30)
コンバイナ(30)は、例えば
図1及び
図3〜8に示すように、本体(20)に回動可能に軸止され、収納部(22)に収納された収納位置(例えば
図2、
図4及び
図9参照)、及び当該収納位置から回動し、開口部(21)を通して突出する使用位置(例えば
図1、
図3及び
図7)とを取り得るものである。
【0014】
(3)蓋体(40)
蓋体(40)は、例えば
図1、
図2及び
図7〜10に示すように、本体(20)に回動可能に軸止され、開口部(21)を開閉するものである。
(4)リンク(例えば第1リンク140)
リンク(例えば第1リンク140)は、例えば
図2〜6に示すように、コンバイナ(30)と蓋体(40)とを連結させるものである。
【0015】
第2に、蓋体(40)には、次の構成を備える。
(5)アーム部(例えば第1アーム部121)
アーム部(例えば第1アーム部121)は、例えば
図2〜6に示すように、第1リッド(120)の一端部に位置し、本体(20)に回動可能に軸止されたものである。
(6)従節部(124)
従節部(124)は、例えば
図2〜6及び
図26に示すように、アーム部(例えば第1アーム部121)の端部に位置し、当該アーム部(例えば第1アーム部121)と一体的に回動するものである。
【0016】
第3に、本体(20)には、例えば
図26に示すように、操作者が操作可能であり、本体(20)に回動可能に軸止され、従節部(124)の回動軌跡内に突出することで、アーム部(例えば第1アーム部121)の回動範囲を規制し、リンク(例えば第1リンク140)を介してコンバイナ(30)の傾斜角度を調整可能なドラム(180)を備えている。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0017】
すなわち、ドラム(180)は、例えば
図26に示すように、従節部(124)と当接する偏心したカム部(183)を備えている。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0018】
第1に、本体(20)には、例えば
図1及び
図2に示すように、開口部(21)に沿うフランジ部(23)を設けている。
第2に、ドラム(180)は、例えば
図26及び
図29に示すように、次の構成を備える。
(1)操作部(182)
操作部(182)は、操作者が操作可能であり、例えば
図26及び
図29に示すように、本体(20)に回動可能に軸止されたものである。
【0019】
(2)カム部(183)
カム部(183)は、例えば
図26及び
図29に示すように、操作部(182)に連接し、当該操作部(182)の回動軸(例えばドラム軸181)に対して偏心し、従節部(124)と当接する偏心したものである。
第3に、操作部(182)及びカム部(183)は、例えば
図26及び
図29に示すように、本体(20)内に配置されている。
【0020】
第4に、フランジ部(23)には、例えば
図1及び
図26に示すように、本体(20)の内外に貫通し、操作部(182)の一部が突出可能な孔部(24)を設けている。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0021】
すなわち、従節部(124)は、例えば
図3〜6及び
図26に示すように、曲面形状に形成されている。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した
請求項3に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0022】
すなわち、操作部(182)の周囲には、例えば
図1及び
図26に示すように、凹凸部を形成している。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。(請求項1)
請求項1に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、蓋体のアーム部の一部に従節部を形成し、当該従節部を本体に軸止されたドラムに当接させ、ドラムを回動操作することで、アーム部の回動範囲を規制し、蓋体とコンバイナとを連結するリンクを介して、コンバイナの傾斜角度を調整することができる。
【0024】
請求項1に記載の発明によれば、コンバイナの傾斜角度の調整機構の構造を簡便化することができ、部品点数を減少することができるばかりでなく、安価で且つ軽量に構成することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0025】
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、従節部と当接する偏心したカム部を備えたドラムを用いることで、コンバイナの傾斜角度の調整機構の構造を、一層、安価で且つ軽量に構成することができる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0026】
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、ドラムの操作部とカム部とを本体内に配置し、操作部の一部を孔部を貫通させて、フランジ部の上部に突出させることで、見栄えが良く、操作性の良いコンバイナの傾斜角度の調整機構を提供することができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明によれば、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0027】
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、従節部を曲面形状に形成することで、ドラムの回動により、アーム部がスムーズに動くようにすることができる。
(請求項5)
請求項5に記載の発明によれば、上記した
請求項3に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0028】
すなわち、請求項5に記載の発明によれば、操作部の周囲に凹凸部を形成することで、ドラムの操作性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1〜10中、10は、ヘッドアップディスプレイ装置を示し、当該装置10は、図示しないが、自動車のインストルメントパネルの上部に埋設状に固定され、開放操作により、
図1、
図3、
図5、
図7及び
図8に示すように、コンバイナ30(表示部)が上方に直立状に開く構造となっている。
装置10は、
図1〜10に示すように、大別すると、次のパーツ及び機構を備える。
【0031】
(1)本体20
(2)コンバイナ30
(3)蓋体40
(4)リンク機構50(リンク構造)
(5)駆動用スプリング60(
図27及び
図28参照)
(6)ロック機構70(
図21及び
図22参照)
(7)角度調整機構80(
図26参照)
(8)ダンパー機構90(
図13及び
図18参照)
(9)リンク保護機構100(
図23参照)
(10)遮蔽板110
なお、装置10のパーツ及び機構は、上記した(1)〜(10)に限定されない。
(本体20)
本体20は、
図1及び
図16に示すように、上面が開口した中空箱形に形成され、図示しないが、インストルメントパネルの上部に埋設状に固定される。
【0032】
本体20には、
図1及び
図16に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、本体20の各部は、次の(1)〜(4)に限定されない。
(1)開口部21
開口部21は、
図1及び
図16に示すように、本体20の上面に位置し、コンバイナ30が回動して通過可能なものであり、例えば方形に形成されている。
【0033】
(2)収納部22
収納部22は、
図1及び
図16に示すように、本体20の中空部内に位置し、コンバイナ30が収納可能なものである。
(3)フランジ部23
フランジ部23は、
図1及び
図16に示すように、開口部21の周囲を縁取るものである。
【0034】
(4)孔部24
孔部24は、
図1及び
図16に示すように、上下に貫通し、開角度調整機構80の後述するドラム180の一部、すなわち上端部が突出可能なものである。
(コンバイナ30)
コンバイナ30は、運転者の前方視認性を確保した状態で、運転席の各種計器類からの情報を表示可能なものであり、表示部を構成する。
【0035】
具体的には、コンバイナ30は、図示しないが、装置10の内外に装着された表示器からの表示光が照射され、虚像の表示を運転者が視認可能なものである。
なお、表示部として、コンバイナ30を例示したが、これに限定されず、例えば液晶ディスプレイを用いても良い。
コンバイナ30には、
図1〜8に示すように、次の各部を備える。
【0036】
(1)表示用アーム部31
表示用アーム部31は、
図3及び
図4に示すように、コンバイナ30の一端部に位置し、コンバイナ30の幅方向の左右両側に一対形成されている。表示用アーム部31は、本体20の開口部21に臨む相対向する左右の側面にアーム軸32を介してそれぞれ軸止され、後述するリンク機構50を介して蓋体40に連結される。
【0037】
図示しないが、インストルメントパネルのフロントウインドウ側を、進行方向の前方とし、運転席側を後方とし、このとき、表示用アーム部31は、開口部21の前方寄りに軸止され、コンバイナ30は、その自由端部を後方に向けとともに、その反射面を下方に向かって伏せた状態で本体20の収納部22内に収納される(
図2、
図4及び
図6参照、以下、「収納位置」ともいう。)。これに対し、表示用アーム部31がアーム軸32を中心に回動すると、
図1、
図3、
図5、
図7及び
図8に示すように、開口部21から突出するように略直立し、その反射面が車両の進行方向の後方、すなわち運転者の方向に向く(以下、「使用状態」ともいう。)。
(蓋体40)
蓋体40は、
図1〜10に示すように、本体20に回動可能に軸止され、開口部21を開閉するものである。
【0038】
蓋体40は、
図1〜10に示すように、大別すると、次のパーツを備える。
なお、次の(1)及び(2)については後述する。
(1)第1リッド120
(2)第2リッド130
なお、蓋体40を、2個の第1、第2リッド120,130から構成したが、これらに限定されず、1個のリッドから構成したり、或いは3個以上のリッドから構成しても良い。
(第1リッド120)
第1リッド120は、
図3〜6に示すように、本体20の開口部21の片半部、すなわち進行方向の後方側(運転者側)に位置し、後方側の片半部を開閉するものであり、後述するリンク機構50を介してコンバイナ30及び後述する第2リッド130に連結されている。これに対し、後述する第2リッド130は、
図1、
図2、
図7、
図9及び
図10に示すように、本体20の開口部21の他の片半部、すなわち前方側(フロントウインドウ側)に位置し、前方側の片半部を開閉するためのものであり、後述するリンク機構50を介して第1リッド120に連結されている。
【0039】
すなわち、第1リッド120は、
図1〜10に示すように、一端部に位置する後述する第1アーム部121が開口部21の後方側に軸止され、又、第2リッド130は、
図1、
図2及び
図7〜10に示すように、一端部に位置する後述する第2アーム部131が開口部21の前方側に軸止される。第1、第2リッド120,130は、
図2、
図9及び
図10に示すように、閉じた状態で、両者の自由端部が開口部21の前後の略中央部で互いに突き合う。
【0040】
第1リッド120には、
図1〜10に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(5)については、後述する。
(1)第1アーム部121
(2)ガイド孔122
(3)カム溝123
(4)従節部124
(5)歯車部125
なお、第1リッド120の各部は、上記した(1)〜(5)に限定されない。
(第1アーム部121)
第1アーム部121は、
図3〜6に示すように、第1リッド120の一端部に位置し、第1リッド120の幅方向の左右両側に一対形成されている。第1アーム部121は、開口部21の後方側に位置し、本体20の開口部21に臨む相対向する左右の側面に第1軸121aを介してそれぞれ軸止され、後述するリンク機構50を介してコンバイナ30及び第2リッド130に連結される。
(ガイド孔122)
ガイド孔122は、
図3〜6及び
図21〜23に示すように、片側(左側)の第1アーム部121に位置し、リンク機構50の後述する第1リンク140の一端部に位置するリンクピン142が移動可能にはまり込むものである。
【0041】
ガイド孔122は、第1アーム部121の表裏面に貫通し、第1軸121aを中心とした円弧状に形成されている。
(カム溝123)
カム溝123は、
図21及び
図22に示すように、片側(左側)の第1アーム部121の第1軸121aを中心に円弧状に形成され、ロック機構70の後述するトレースピン160に係合し、第1リッド120を閉位置にロックするためのものである。カム溝123は、後述するトレースピン160とともにロック機構70を構成する。なお、カム溝123の構造については、ロック機構70の欄において後述する。
(従節部124)
従節部124は、
図26に示すように、片側(左側)の第1アーム部121の端部に位置し、角度調整機構80のドラム180に係合し、直立した使用位置にあるコンバイナ30の開き角度を調整するためのものである。従節部124は、後述するドラム180とともに角度調整機構80を構成する。なお、従節部124の構造については、角度調整機構80の欄において後述する。
(歯車部125)
歯車部125は、
図3、
図5、
図13及び
図18に示すように、他の片側(右側)の第1アーム部121に位置し、第1軸121aを中心に円弧状に形成され、ダンパー機構90の後述する回転ダンパー91に固定された歯車とかみ合い、第1リッド120の開閉の動きを制動するためのものである。
(第2リッド130)
第2リッド130は、
図1、
図2及び
図7〜10に示すように、本体20の開口部21の他の片半部、すなわち前方側(フロントウインドウ側)に位置し、前方側の片半部を開閉するためのものであり、後述するリンク機構50を介して第1リッド120に連結されている。
【0042】
第2リッド130は、
図1、
図2及び
図7〜10に示すように、大別すると、次の各部を備える。
(1)第2アーム部131
(2)傾斜面132
(3)連結孔133
(4)第2リンク用バネ134
なお、第2リッド130の各部は、上記した(1)〜(4)に限定されない。
【0043】
なお、次の(1)〜(4)については、後述する。
(第2アーム部131)
第2アーム部131は、
図1、
図2及び
図7〜10に示すように、第2リッド130の一端部に位置し、第2リッド130の幅方向の左右両側に一対形成されている。第2アーム部131は、開口部21の前方側に位置し、本体20の開口部21に臨む相対向する左右の側面に第2軸131aを介してそれぞれ軸止され、後述するリンク機構50を介して第1リッド120に連結される。
(傾斜面132)
傾斜面132は、
図7〜10に示すように、第2リッド130の自由端部に位置し、開口部21に臨む裏面を第2アーム部131に向かって傾斜させて形成している。すなわち、傾斜面132は、第2リッド130の自由端部の肉厚を、先端の端面に向かって徐々に減少させることで形成している。
【0044】
図9及び
図10に示すように、第1、第2リッド120,130を閉じた状態において、後述するロック機構70のロック状態を解除すべく、第1リッド120の自由端部を開口部21に向かって押し込んだ際に、当該自由端部が第2リッド130の傾斜面132の下側に潜り込むように回動することで、第1、第2リッド120,130の突き合う自由端部同士の干渉を防止している。
(連結孔133)
連結孔133は、
図24及び
図25に示すように、片側(左側)の第2アーム部131に位置し、リンク機構50の後述する第2リンク150の一端部に位置する可動軸152が移動可能にはまり込むものである。
【0045】
連結孔133には、第1リッド120の押圧操作によるロック解除により、可動軸152の移動を許容し、回転力の伝達を断つクリアランス、すなわち後述する大径部133bが形成されている。
なお、クリアランスを、大径部133bより形成したが、これに限定されない。
連結孔133は、第2アーム部131の表裏面に貫通し、大小二つの互いに連通した円から形成され、略ダルマ形に形成されている。
【0046】
具体的には、連結孔133には、
図24及び
図25に示すように、次の各部を備える。
なお、連結孔133の各部は、次の(1)及び(2)に限定されない。
(1)小径部133a
小径部133aは、
図24及び
図25に示すように、後述する第2リンク用バネ134により付勢された可動軸152が位置するものである。
【0047】
(2)大径部133b
大径部133bは、
図24及び
図25に示すように、小径部133aに連通し、当該小径部より内径が大きく、小径部133aとの間にクリアランスを発生させるためのものである。
(第2リンク用バネ134)
第2リンク用バネ134は、
図24及び
図25に示すように、片側(左側)の第2アーム部131に取り付けられ、連結孔133にはまり込む、リンク機構50の後述する第2リンク150の一端部に位置する可動軸152を、連結孔133の小径部133aに向かって付勢するものである。
(リンク機構50)
リンク機構50は、
図1〜10に示すように、コンバイナ30、第1リッド120、第2リッド130の三者を相互に連結するためのものである。
【0048】
リンク機構50は、
図1〜10に示すように、大別すると、次のパーツを備える。
なお、次の(1)及び(2)については後述する。
(1)第1リンク140
(2)第2リンク150
なお、リンク機構50を、2本の第1、第2リンク140,150から構成したが、これに限定されず、1本のリンクから構成したり、或いは3本以上のリンクから構成しても良い。
(第1リンク140)
第1リンク140は、
図3〜6、
図8及び
図10に示すように、コンバイナ30と第1リッド120とを相互に連結するものであり、長尺な板状に形成されている。
【0049】
第1リンク140は、
図3〜6、
図8及び
図10に示すように、次の各部を備える。
なお、第1リンク140の各部は、次の(1)及び(2)に限定されない。
(1)支持軸141
支持軸141は、
図3〜6、
図8及び
図10に示すように、第1リンク140の一端部に位置し、コンバイナ30の片側(左側)の表示用アーム部31に軸止されている。
【0050】
(2)リンクピン142
リンクピン142は、
図3〜6、
図8及び
図10に示すように、第1リンク140の他端部に位置し、第1リッド120の片側の第1アーム部121のガイド孔122を貫通し、リンク保護機構100の後述するストッパー190に係合する。
(第2リンク150)
第2リンク150は、
図1、
図2、
図7、
図9及び
図10に示すように、第1リッド120と第2リッド130とを相互に連結するものであり、長尺な板状に形成されている。
【0051】
第2リンク150は、
図1、
図2、
図7、
図9及び
図10に示すように、次の各部を備える。
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
(1)固定軸151
(2)可動軸152
なお、第2リンク150の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(固定軸151)
固定軸151は、
図1、
図2、
図7、
図9及び
図10に示すように、第2リンク150の一端部に位置し、第1リッド120の片側(左側)の第1アーム部121に軸止されている。
(可動軸152)
可動軸152は、
図24及び
図25に示すように、第2リンク150の他端部に位置し、第2リッド130の片側(左側)の第2アーム部131の連結孔133にはまり込む。
【0052】
可動軸152には、
図29に示すように、次の各部を備える。
なお、可動軸152の各部は、次の(1)〜(3)に限定されない。
(1)第1軸部153
第1軸部153は、
図29に示すように、軸方向の先端側に位置し、連結孔133の小径部133aの内径より外径が太く、大径部133bの内径以下の外径を有するものである。
【0053】
(2)第2軸部154
第2軸部154は、
図29に示すように、第1軸部153と隣接し、小径部133aの内径以下の外径を有するものである。
(3)第3軸部155
第3軸部155は、
図29に示すように、第2軸部154に隣接し、小径部133aの内径より外径の太いものである。
【0054】
一方、第2軸部154の軸方向の長さは、
図29に示すように、連結孔133の深さと、第2リンク用バネ134の線材の太さとの総和より大きく設定している。
可動軸152は、その先端部に位置する第1軸部153を、連結孔133の大径部133bに合わせて挿入し、第2軸部154を大径部133bを小径部133aに向かってスライドすることで、大径の第1軸部153が小径部133aから抜けなくなる。
【0055】
第2リンク用バネ134は、
図24、
図25及び
図29に示すように、第2軸部154にはめ込まれ、大径の第3軸部155と第2アーム部131との間に位置させる。
可動軸152は、
図24及び
図25に示すように、第2リンク用バネ134のバネ力により、小径部133aの行き止まった端部に向かって付勢される。
(駆動用スプリング60)
駆動用スプリング60は、
図27及び
図28に示すように、本体20の裏面側に取り付けられ、その圧縮復元力により、コンバイナ30を上方に向かって開いた使用位置に向かって付勢する。駆動用スプリング60は、その一端部を本体20の裏面側に掛け止め、他端部をコンバイナ30の片側の表示用アーム部31に掛け止めている。
【0056】
駆動用スプリング60により、コンバイナ30を上方に向かって開いた使用位置に向かって付勢すると、当該付勢力は第1リンク140を介して第1リッド120に伝達され、第1リッド120は上方に向かって開く方向に付勢される。さらに、第1リッド120を上方に向かって開く付勢力は、第2リンク150を第2リッド130に伝達され、第2リッド130は上方に向かって開く方向に付勢される。
(ロック機構70)
ロック機構70は、
図21及び
図22に示すように、駆動用スプリング60による付勢力に抗して、蓋体40を閉位置にロックするためのものである。
【0057】
なお、ロック機構70は、本体20と第1リッド120との間に配置したが、これに限定されず、コンバイナ30、第1リッド120、第2リッド130の三者が相互に連結されていることから、本体20と第2リッド130との間、或いは本体20とコンバイナ30との間に配置しても良い。
ロック機構70は、ロック状態の解除機構を備え、操作者の解除操作により解除可能となっている。
【0058】
具体的には、閉状態の第1リッド120を、下向きに押し込むことで、ロック状態を解除可能としている。なお、ロック状態の解除操作を、第1リッド120の押し込みにより行ったが、これに限定されず、解除操作用のボタンを別設しても良い。
ロック機構70は、
図21及び
図22に示すように、大別すると、次のパーツを備える。
なお、ロック機構70のパーツは、次の(1)〜(3)に限定されない。
【0059】
(1)第1アーム部121のカム溝123
カム溝123は、
図21及び
図22に示すように、片側(左側)の第1アーム部121に形成され、大別すると、摺動部123aと、ロック部123bとを備える。
摺動部123aは、第1アーム部121の回転方向に沿って長く延びるものである。
ロック部123bは、第1アーム部121の先端部に位置し、後述するトレースピン160をロック可能なハートカム形状のものである。
【0060】
(2)トレースピン160
トレースピン160は、
図21及び
図22に示すように、一端部が本体20の側面に回動可能に軸止され、他端自由端部がカム溝123に突入し、当該カム溝123をトレースするものである。
(3)ピン押さえバネ170
ピン押さえバネ170は、
図21及び
図22に示すように、本体20の側面に取り付けられ、トレースピン160の他端自由端部がカム溝123の底に向かって付勢するものである。
(角度調整機構80)
角度調整機構80は、
図7及び
図8に示すように、直立して開いた使用位置のコンバイナ30の開き角度を調整するためのものである。
【0061】
角度調整機構80は、
図26及び
図29に示すように、大別すると、次のパーツを備える。
なお、開角度調整機構80のパーツは、次の(1)及び(2)に限定されない。
(1)ドラム180
ドラム180は、
図26及び
図29に示すように、本体20の側面にドラム軸181を介して回動可能に軸止されている。
【0062】
ドラム180は、大別すると、本体20の側面にドラム軸181を介して回動可能に軸止された略円形の操作部182と、操作部182と同軸で一体的に回転し、ドラム軸181に対して偏心し、第1アーム部121の従節部124と当接する円形のカム部183とを備える。
ドラム軸181、操作部182及びカム部183は、
図26に示すように、本体20の内部に位置し、操作部182の上部は、
図1及び
図26に示すように、フランジ部23の孔部24を通して、フランジ部23の上面に突出する。
【0063】
操作部182は、その周囲に円周方向に沿って凹凸部を交互に形成し、指で回動する際の滑り止めとしている。
(2)第1アーム部121の従節部124
従節部124は、
図26に示すように、片側(左側)の第1アーム部121に形成され、コンバイナ30を直立した使用位置に開いた状態で、ドラム180のカム部183に当接するものである。従節部124は、ドラム180に向かって略U字形の曲面形状に突出している。
【0064】
なお、従節部124を、略U字形の曲面形状に突出させたが、これに限定されず、略半円形や略C字形に突出させても良い。
(ダンパー機構90)
ダンパー機構90は、
図13及び
図18に示すように、駆動用スプリング60のバネ力により、コンバイナ30が急激に回動するのを防止するためのものである。
【0065】
ダンパー機構90は、大別すると、次のパーツを備える。
なお、ダンパー機構90のパーツは、次の(1)及び(2)に限定されない。
(1)回転ダンパー91
回転ダンパー91は、図示しないが、シリコンオイル等の粘性抵抗を利用したものであり、
図13及び
図18に示すように、本体20の側面に固定される。
【0066】
なお、回転ダンパー91として、オイル式ダンパーを例示したが、これに限定されず、機械式のガバナー等でも良い。また、ダンパー機構90として、回転ダンパー91を例示したが、これに限定されず、ピストン・シリンダー型のダンパーを用いても良い。
(2)第1アーム部121の歯車部125
歯車部125は、
図3、
図5、
図13及び
図18に示すように、第1リッド120の他の片側(右側)の第1アーム部121に形成され、回転ダンパー91の歯車と噛み合うものである。歯車部125は、第1アーム部121の第1軸121aを中心として、その円周方向に沿って形成されている。
(リンク保護機構100)
リンク保護機構100は、
図21〜23に示すように、直立して開いた使用位置のコンバイナ30を無理に開こうとし、コンバイナ30に過荷重が掛かった場合に、リンク機構50による回転力の伝達を遮断することで、リンク機構50を保護するためのものである。
【0067】
リンク保護機構100は、
図23に示すように、大別すると、次のパーツを備える。
なお、リンク保護機構100のパーツは、次の(1)〜(3)に限定されない。
(1)ストッパー190
ストッパー190は、
図21〜23に示すように、第1リッド120の片側(左側)の第1アーム部121にストッパー軸191を介して回動可能に軸止され、
図21及び
図22に示すように、第1リンク140のリンクピン142に係合し、コンバイナ30と第1リッド120とを連結するとともに、使用状態のコンバイナ30を無理に開こうとし、コンバイナ30に過荷重が掛かった場合に、
図23に示すように、リンクピン142と係脱可能なものである。
【0068】
ストッパー190は、
図23に示すように、一端部がストッパー軸191を介して第1アーム部121に軸止され、他端自由端部には、リンクピン142がはまり込んで係合する係合部192を設けている。
係合部192は、一側面が開放した断面略L字に形成され、コンバイナ30を無理に開こうとする力が作用した際に、当該開放面から第1リンク140のリンクピン142が逃げ、その側面に沿って摺接しながらストッパー軸191の方向に移動可能に構成されている。
【0069】
ストッパー190の側面には、リンクピン142と係脱した状態において、リンクピン142を案内するためのテーパー形状193を形成している。テーパー形状193は、係合部192の開放端に臨み、斜面をストッパー軸191の方向に向けた断面略三角形状に突出している。
(2)ストッパー用バネ200
ストッパー用バネ200は、
図21〜23に示すように、ストッパー190の自由端部側に位置する係合部192をリンクピン142に接近する方向に付勢するものである。
【0070】
(3)第1リンク140のリンクピン142
第1リンク140のリンクピン142は、
図21〜23に示すように、ストッパー190の係合部192にはまり込んで係合し、ストッパー190を介して第1リンク140と第1リッド120の第1アーム部121とを相互に連結するものである。リンクピン142は、第1リッド120の第1アーム部121のガイド孔122にはまり込み、当該ガイド孔122に沿って係合部192から接離する方向に移動する。
(遮蔽板110)
遮蔽板110は、
図7、
図8、
図1及び
図16に示すように、コンバイナ30と第2リッド130との間に位置し、表示用アーム部31に遮蔽軸111を介して回動可能に軸止され、第2リッド130の開放状態において、当該第2リッド130と本体20との間の隙間を遮蔽するものである。
【0071】
遮蔽板110は、遮蔽板用バネ112により、開放方向に付勢されている。
(ヘッドアップディスプレイ装置10の使用方法)
つぎに、上記した構成を備えたヘッドアップディスプレイ装置10の使用方法について説明する。
図1、
図9及び
図10に示すように、蓋体40の閉状態では、コンバイナ30及び遮蔽板110は、本体20内に収納されている。
【0072】
コンバイナ30を使用する場合には、第1リッド120を本体20に向かって押し下げれば良い。
第1リッド120を押し上げると、ロック機構70のロック状態が解除される。
すなわち、カム溝123のハートカム形状のロック部123bに位置していたトレースピン160が、ロック部123bから抜け出て、第1アーム部121の回転方向に沿って長く延びる摺動部123aに進み、当該摺動部123aに沿って進む。
【0073】
このため、第1リッド120の回動が可能となり、第1リッド120と第1リンク140で連結されたコンバイナ30の回動が可能となる。
このため、コンバイナ30は、駆動用スプリング60のバネ力により、
図1、
図3、
図5、
図7及び
図8に示すように、本体20の開口部21から上方に突出し、直立して開いた使用位置に向かって回動する。
【0074】
このとき、第1リンク140を介して、第1リッド120が開放し、更に第2リンク150を介して第2リッド130が開放する。
同時に、第1リッド120が開方向に回動すると、
図13及び
図18に示すように、第1リンク140の無い側の第1アーム部121に形成された歯車部125と、本体20の側面に固定された回転ダンパー91の歯車との噛み合いにより、回転ダンパー91が回転し、制動力が働く。制動力は、第1リンク140を介してコンバイナ30にも伝達され、コンバイナ30が静粛に、且つゆっくりと開放する。
【0075】
また、第2リッド130が開放する際に、
図1、
図7及び
図8に示すように、遮蔽板110も遮蔽板用バネ112により開放し、開放した第2リッド130と本体20との間の隙間を遮蔽する。
コンバイナ30の最大開放位置には、
図26に示すように、ドラム180の偏心したカム部183と、第1リッド120の第1アーム部121から略U字形の曲面形状に突出する従節部124とが当接した位置で規制される。
【0076】
使用位置のコンバイナ30には、図示しないが、装置10の内外に装着された表示器からの表示光が照射され、虚像の表示を運転者が視認可能となる。
(第1、第2リッド120,130の干渉防止動作)
ロック解除操作時に、第1リッド120を本体20に向かって押し下げるが、このとき、第2リンク150を介して連結された第2リッド130が回動しないようにしている。
【0077】
すなわち、第1リッド120を押し下げると、第2リンク150が移動するが、このとき、第2リンク150の可動軸152が、図示しないが、第2リッド130の第2アーム部131の連結孔133の小径部133aから大径部133b(クリアランス)に移動することで、第2リンク150と第2リッド130との間の回転力の伝達を遮断する。
このため、第1リッド120を押し下げた際に、第2リッド130の自由端部が動かない構造とすることで、第1リッド120の自由端部との干渉を防止できる。
(コンバイナ30の収納方法)
つぎに、使用位置のコンバイナ30を収納する際には、第1リッド120を手で閉じれば良い。
【0078】
第1リッド120を閉じると、第1リンク140を介して、コンバイナ30が閉方向に回動する。また、同時に、第2リンク150を介して第2リッド130が閉方向に回動する。
このとき、第2リッド130に押されて、遮蔽板110が閉方向に回動する。
第1リッド120を閉じた位置を少し行き過ぎるまで閉じると、
図21及び
図22に示すように、トレースピン160がカム溝123の摺動部123aから、ハートカム形状のロック部123bに進む。
【0079】
このとき、駆動用スプリング60のバネ力により、第1リンク140を介して、第1リッド120が少し押し戻され、
図22に示すように、トレースピン160がハートカム形状のロック部123bに係止され、ロック機構70がロック状態となる。
このため、コンバイナ30は、本体20の収納部22内に収納され、
図2、
図8及び
図9に示すように、開口部21が第1、第2リッド120,130により閉塞される。
(コンバイナ30の開き角度の調整方法)
直立して開いた使用位置において、コンバイナ30の開き角度を調整する際には、
図26に示すように、フランジ部23の上面から突出するドラム180の操作部182を回動すれば良い。
【0080】
操作部182を回動すると、偏心したカム部183が一体的に回動し、カム部183と第1リッド120の第1アーム部121から略U字形の曲面形状に突出する従節部124との当接位置が変更される。
すなわち、ドラム軸181から離隔したカム部183の周面に、従節部124が当接すると、第1リッド120が閉方向に回動し、第1リンク140を介してコンバイナ30が閉方向に回動し、コンバイナ30の開き角度が減少する。
【0081】
これに対し、ドラム軸181から接近したカム部183の周面に、従節部124が当接すると、第1リッド120が開方向に回動し、第1リンク140を介してコンバイナ30が開方向に回動し、コンバイナ30の開き角度が増加する。
なお、コンバイナ30の開き角度の調整範囲は、プラス・マイナス5度に設定されているが、これに限定されない。
(コンバイナ30の無理開きからの保護方法)
直立して開いた使用位置において、コンバイナ30を無理に開こうとすると、ストッパー190の係合部192にはまり込んで係合していた第1リンク140のリンクピン142が、
図23に示すように、当該係合部192から逃げる方向に移動し、その開放面から係脱する。
【0082】
このため、第1リンク140と第1リッド120との連結状態が外れ、コンバイナ30に加わった過荷重のリンク機構50への伝達が遮断される。
一方、コンバイナ30に加わった過荷重が開放されると、駆動用スプリング60のバネ力により、コンバイナ30が初期位置に戻ろうとする。このとき、ストッパー190も、ストッパー用バネ200によりリンクピン142に接近する方向に回動する。
【0083】
このため、リンクピン142は、ストッパー190の側面に摺接しながら、係合部192に向かって移動し、テーパー形状193を通解する際に、ストッパー190をストッパー用バネ200のバネ力に抗して少し押し戻すことで、
図21に示すように、係合部192に再度、はまり込んで係合する。このため、第1リンク140と第1リッド120との連結状態が復帰する。