特許第5739901号(P5739901)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5739901複数のキャリアを介したデータ送信のための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5739901
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】複数のキャリアを介したデータ送信のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20150604BHJP
   H04W 52/34 20090101ALI20150604BHJP
【FI】
   H04W72/04 111
   H04W52/34
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-542581(P2012-542581)
(86)(22)【出願日】2010年12月14日
(65)【公表番号】特表2013-513985(P2013-513985A)
(43)【公表日】2013年4月22日
(86)【国際出願番号】EP2010069630
(87)【国際公開番号】WO2011073191
(87)【国際公開日】20110623
【審査請求日】2013年11月14日
(31)【優先権主張番号】61/286,335
(32)【優先日】2009年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】バルデマイル, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ゲルステンベルガー, ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ラーション, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーマン, ヘニング
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−508538(JP,A)
【文献】 特開2010−226720(JP,A)
【文献】 特表2013−509074(JP,A)
【文献】 ZTE,Considerations on scheduling in carrier aggregation[online], 3GPP TSG-RAN WG2♯66bis R2-093886,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_66bis/Docs/R2-093886.zip>,2009年 7月 3日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキャリア(32、42)を介したデータ伝送の方法であって、
ユーザ装置(10)が、媒体アクセス制御プロトコルの制御要素(00、700、820)であって、前記複数のキャリア(32、42)に関連する制御要素(00、700、820)を判定するステップと、
前記ユーザ装置(10)が、前記制御要素(00、700、820)が関連する前記複数のキャリア(32、42)のそれぞれに対する個別の識別子を、前記制御要素に付与するステップと、
前記ユーザ装置(10)が、前記識別子を伴う前記制御要素(00、700、820)を、前記複数のキャリア(32、42)のうち1つにおいて送信するステップと、
を有し、
前記制御要素(00、700、820)は、当該制御要素(00、700、820)が関連する前記複数のキャリア(32、42)のそれぞれに関する個別の電力ヘッドルーム報告を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記識別子は、前記制御要素(00、700、820)のビットフィールドにより形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のキャリア(32、42)のうち、前記制御要素(00、700、820)が関連する前記複数のキャリア(32、42)のうちの1つと、当該制御要素(00、700、820)が送信されるキャリアは、異なる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
複数のキャリア(32、42)を介したデータ伝送の方法であって、
無線基地局(100)が、前記複数のキャリア(32、42)の1つから、媒体アクセス制御プロトコルの制御要素(00、700、820)を受信するステップであって、前記制御要素(600、700、800)は前記複数のキャリア(32、42)に関連し、当該関連する複数のキャリア(32、42)のそれぞれに対する個別の識別子が前記制御要素(600、700、800)に付与されている、ステップと、
前記無線基地局(100)が、前記制御要素(00、700、820)に伴って受信された前記個別の識別子から、前記複数のキャリア(32、42)のいずれに当該制御要素(00、700、820)が関連するかを判定するステップと、
前記無線基地局(100)が、前記制御要素(00、700、820)により表示されるパラメータに基づいて、当該制御要素(00、700、820)が関連する前記複数のキャリア(32、42)のそれぞれに関する個別の電力ヘッドルーム報告を判定するステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項5】
前記識別子は、前記制御要素(00、700、820)のビットフィールドにより形成される、
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のキャリア(32、42)のうち、前記制御要素(00、700、820)が関連する前記複数のキャリア(32、42)のうちの1つと、当該制御要素(00、700、820)が受信されるキャリアは、異なる、
ことを特徴とする請求項又はに記載の方法。
【請求項7】
複数のキャリア(32、42)を介したデータ伝送のためのユーザ装置(10、310)であって、
媒体アクセス制御プロトコルの制御要素(00、700、820)であって、前記複数のキャリア(32、42)に関連する制御要素(00、700、820)を判定すると共に、当該制御要素(00、700、820)が関連する前記複数のキャリア(32、42)のそれぞれに対する個別の識別子を、当該制御要素(00、700、820)に付与するように構成される処理システム(312)と、
前記識別子を伴う前記制御要素(00、700、820)を、前記複数のキャリア(32、42)のうち1つにおいて送信するように構成される送信器(314)と、
を有し、
前記制御要素(00、700、820)は当該制御要素(00、700、820)が関連する前記複数のキャリア(32、42)のそれぞれに関する個別の電力ヘッドルーム報告を含む、
ことを特徴とするユーザ装置。
【請求項8】
前記ユーザ装置(10、310)は、請求項1からのいずれか1項に記載の方法に従って動作するように構成される、
ことを特徴とする請求項に記載のユーザ装置。
【請求項9】
複数のキャリア(32、42)を介したデータ伝送のための無線基地局(100、320)であって、
前記複数のキャリア(32、42)の少なくとも1つから、媒体アクセス制御プロトコルの制御要素(00、700、820)を受信するように構成される受信器(322)であって、前記制御要素(600、700、800)は前記複数のキャリア(32、42)に関連し、当該関連する複数のキャリア(32、42)のそれぞれに対する個別の識別子が前記制御要素(600、700、800)に付与されている、受信器(322)と、
前記制御要素(00、700、820)に伴って受信された前記個別の識別子から、前記複数のキャリア(32、42)のいずれに当該制御要素(00、700、820)が関連するかを判定すると共に、当該制御要素(00、700、820)により表示されるパラメータに基づいて、当該制御要素(00、700、820)が関連する前記複数のキャリア(32、42)のそれぞれに関する個別の電力ヘッドルーム報告を判定するように構成される処理システム(324)と、
を有することを特徴とする無線基地局。
【請求項10】
前記無線基地局(100、320)は、請求項からのいずれか1項に記載の方法に従って動作するように構成される、
ことを特徴とする請求項に記載の無線基地局。
【請求項11】
複数のキャリア(32、42)を介したデータ伝送のための通信システムであって、
媒体アクセス制御プロトコルの制御要素(00、700、820)であって、前記複数のキャリア(32、42)に関連する制御要素(00、700、820)を判定し、当該制御要素(00、700、820)が関連する前記複数のキャリア(32、42)のそれぞれに対する個別の識別子を、当該制御要素(00、700、820)に付与し、前記識別子を伴う当該制御要素(00、700、820)を、前記複数のキャリアのうち1つにおいて送信するように構成されるユーザ装置(10、310)であって、前記制御要素(00、700、820)は、当該制御要素(00、700、820)が関連する前記複数のキャリア(32、42)のそれぞれに関する個別の電力ヘッドルーム報告を含むユーザ装置(10、310)と、
前記制御要素(00、700、820)を受信し、当該制御要素に伴って受信された前記個別の識別子から、前記制御要素(00、700、820)が関連する前記複数のキャリア(32、42)を判定し、前記制御要素(00、700、820)により表示されるパラメータに基づいて、当該制御要素(00、700、820)が関連する前記複数のキャリア(32、42)のそれぞれに関する前記個別の電力ヘッドルーム報告を判定するように構成される無線基地局(100、320)と、
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項12】
前記通信システムは、請求項1からのいずれか1項に記載の方法に従って動作するように構成される、
ことを特徴とする請求項11に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のキャリアを介したデータ送信のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)の技術仕様(TS)に従う移動通信ネットワークでは、異なる周波数チャネルで動作するいくつものキャリアを1つの無線リンクにおいて束ねることができる概念が導入されている。これらの概念は、キャリアアグリゲーションとも呼ばれる。
【0003】
例えば、以下でLTE Rel−10とも呼ばれる3GPPのロングタームエボリューション(LTE)リリース10では、キャリアアグリゲーションは、より狭い帯域幅の複数のコンポーネントキャリアのアグリゲーションを意味する。その結果、LTE端末に対して、各下位互換コンポーネントキャリアは、LTEキャリアの全ての機能として現れ、その全ての機能を備えるであろう。同時に、LTE Rel−10端末は、複数のキャリアの全体の集合体にアクセスすることができ、したがって、対応するより高いデータレートの可能性を伴う、全体としてより広い帯域幅を経験するであろう。キャリアアグリゲーションは、例えば5MHzキャリアのペアに対する、20MHz以下の全帯域幅に対して有用でありうることに留意されたい。場合によっては、コンポーネントキャリアは、セルとも呼ばれ、より具体的には、プライマリセル(Pcell)及びセカンダリセル(Scell)とも呼ばれる。
【0004】
統合される複数のコンポーネントキャリアは互いに隣接しうる。しかしながら、より一般的な表現では、キャリアアグリゲーションは、異なる周波数帯域におけるキャリアを含む、非隣接コンポーネントキャリア、又は隣接および非隣接キャリアの両方を考慮することが許されてもよい。したがって、LTE Rel−10の一部としてのキャリアアグリゲーションの導入は、スペクトラムアグリゲーション、すなわち、1つの移動体端末への下りリンク(DL)方向における、又は1つの移動体端末からの上りリンク(UL)方向における、通信のための、異なる非隣接の周波数の断片の同時使用を可能とする。
【0005】
以下でLTE Rel−8とも呼ばれる3GPP LTEリリース8では、エボルブドNodeB(eNB)と呼ばれる無線基地局と移動体端末とが、バッファ状態報告、電力ヘッドルーム報告及びその他のような制御情報を交換するために、媒体アクセス制御(MAC)プロトコルの制御要素(CE)を使用する。ここで参照することにより取り込まれる、非特許文献1の6.1.3節「Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA),Medium Access Control(MAC)protocol specification」において、MAC CEのリストが提供されている。しかしながら、これらの情報を交換する既知の方法は、複数の異なるキャリアに関して情報の交換が必要となるであろうLTE Rel−10のキャリアアグリゲーションのシナリオを取り扱うものではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS36.321
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、複数のキャリアを介してデータを送信しているノード間で制御情報を効率的に運ぶことを可能とする技術に対する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によれば、複数のキャリアを介したデータ送信の方法が提供される。本方法は、送信側の通信装置に実装されうる。本方法によれば、キャリアの1つに関連する制御要素が判定される。制御要素には、その制御要素が関連するキャリアを特定する識別子が付与される。識別子を伴う制御要素は1つのキャリア上で送信される。
【0009】
本発明のさらなる実施形態によれば、複数のキャリアを介したデータ送信の方法が提供される。本方法は、受信側の通信装置に実装されうる。本方法によれば、複数のキャリアの1つから制御要素が受信される。制御要素に伴って受信された識別子から、複数のキャリアのどのキャリアにその制御要素が関連するかが判定される。制御要素により表示されたパラメータに基づいて、その制御要素が関連するキャリアのデータ伝送特性が判定される。
【0010】
本発明のさらなる実施形態によれば、複数のキャリアを介するデータ送信のための通信装置が提供される。通信装置は、無線基地局又は移動体端末であってもよい。通信装置には、処理システムと送信器とが備えられる。処理システムは、キャリアの1つに関連する制御要素を判定すると共に、制御要素にその制御要素が関連するキャリアを特定する識別子を付与するように構成される。送信器は、複数のキャリアの1つにおいて、識別子を伴う制御要素を送信するように構成される。
【0011】
本発明のさらなる実施形態によれば、複数のキャリアを介するデータ送信のための通信装置が提供される。通信装置は、無線基地局又は移動体端末であってもよい。通信装置には、受信器と処理システムとが備えられる。受信器は、複数のキャリアの少なくとも1つから制御要素を受信するように構成される。処理システムは、制御要素に伴って受信された識別子から、複数のキャリアのうちどれにその制御要素が関連するかを判定するように構成される。さらに、処理システムは、制御要素により表示されるパラメータに基づいて、その制御要素が関連するキャリアのデータ伝送特性を判定するように構成される。
【0012】
本発明のさらなる実施形態によれば、通信システムが提供される。通信システムは、送信側の通信装置と受信側の通信装置とを含む。送信側の通信装置は、複数のキャリアのうちの1つの関連する制御要素を判定すると共に、その制御要素が関連するキャリアを特定する識別子をその制御要素に付与するように構成される。さらに、送信側の通信装置は、複数のキャリアのうちの1つにおいて、識別子を伴う制御要素を送信するように構成される。受信側の通信装置は、制御要素を受信すると共に、その制御要素に伴って受信された識別子から、その制御要素が関連するキャリアを判定するように構成される。さらに、受信側の通信装置は、制御要素により表示されるパラメータに基づいて、その制御要素が関連するキャリアのデータ伝送特性を判定するように構成される。
【0013】
さらなる実施形態によれば、他の方法、装置、又は本方法を実行するためにプロセッサにより実行されるプログラムコードを含むコンピュータプログラムが提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るキャリアアグリゲーションを用いたデータ送信の概念が適用される、移動体通信ネットワーク環境を概略的に説明する図。
図2】キャリアアグリゲーションを用いる通信装置における、データの処理の流れを概略的に説明する図。
図3】本発明の実施形態による概念を実装するための通信システムを概略的に説明する図。
図4】既知の制御要素の構造を概略的に説明する図。
図5】本発明の実施形態による制御要素の構造を概略的に説明する図。
図6】本発明のさらなる実施形態による制御要素の構造を概略的に説明する図。
図7】本発明のさらなる実施形態による制御要素の構造を概略的に説明する図。
図8】本発明のさらなる実施形態による制御要素の構造を概略的に説明する図。
図9】本発明の実施形態による制御要素を生成する処理を概略的に説明するためのフローチャート。
図10】本発明の実施形態による通信装置を概略的に説明する図。
図11】本発明の実施形態によるデータ伝送の方法を説明するフローチャート。
図12】本発明のさらなる実施形態によるデータ伝送の方法を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、典型的な実施形態と添付の図面を参照することにより、本発明をより詳細に説明する。説明される実施形態は、移動体端末とアクセスノードとの間の無線通信におけるキャリアアグリゲーションを制御するための概念に関する。説明される例では、無線通信は3GPP LTEにしたがって実装されることを仮定する。しかしながら、説明される概念は、他のタイプの移動体通信ネットワークにおいて適用されてもよいことを理解するべきである。
【0016】
図1は、移動体通信ネットワーク環境、すなわち、移動体通信ネットワークにおいて使用される無線基地局100及び移動体端末10により表される移動体通信ネットワークのインフラストラクチャを概略的に説明する。移動体端末10は、例えば、携帯電話、ポータブルコンピュータ、又は他のタイプのユーザ装置(UE)であってもよい。以下では、移動体端末10をUEとも呼ぶ。図解されるように、移動体端末10は、無線リンク20を介して、アクセスノード100と通信する。説明される3GPP LTEのシナリオに従って、無線基地局100はeNBであってもよく、無線リンク20はUu無線インタフェースを用いて確立されてもよい。無線リンク20は、無線基地局100からUE10へのDL方向と、UE10から無線基地局100へのUL方向との少なくともいずれかでデータトラフィックを運んでもよい。
【0017】
ここで説明するような概念に従って、移動体端末10と無線基地局100との間の無線通信に、キャリアアグリゲーションを用いてもよい。換言すれば、UE10と無線基地局100との間の無線リンク20において無線信号を送信するのに、複数のコンポーネントキャリアのコンステレーションを用いてもよい。図1では、異なる典型的なコンステレーション30、40を図解している。コンステレーション30は、隣接コンポーネントキャリア32を含むように図解されている。例えば、コンポーネントキャリア32は、それぞれが20MHzの帯域幅を有するLTE Rel−8のキャリアに対応してもよい。図解される例では、コンステレーション30のコンポーネントキャリア32の数は5であるため、全体の送信帯域幅をより広い100MHzの総計の帯域幅へと拡大するのにキャリアアグリゲーションを使用することができる。コンステレーション40は、非隣接コンポーネントキャリア42を含むように図解されている。例えば、コンポーネントキャリア42は、それぞれが20MHzの帯域幅を有するLTE Rel−8のキャリアに対応してもよい。図解される例では、コンステレーション40におけるコンポーネントキャリア42の数は2であるため、全体の送信帯域幅をより広い合計40MHzの帯域幅へと拡張するのに、キャリアアグリゲーションを使用することができる。コンステレーション40は、スペクトラムアグリゲーションと、断片化された周波数の有効利用のための道具としてのキャリアアグリゲーションの使用の例である。
【0018】
図2は、LTE Rel−10によるキャリアアグリゲーションにおける典型的な想定されるデータ処理を説明するためのブロック図を図解している。図2では、3つの隣接コンポーネントキャリア32のコンステレーションが図解されており、それぞれがLTE Rel−8キャリアに対応してもよく、LTE Rel−10キャリアに集約されてもよい。図2に図解されるコンポーネントキャリア32のコンステレーションは単なる例であり、図2のデータ処理は、対応する方法で、コンポーネントキャリアのあらゆる他のコンステレーションに適用されてもよいことが理解されるべきである。
【0019】
LTE Rel−10によるキャリアアグリゲーションでは、異なるコンポーネントキャリア32に関連するデータストリームは、図2に示すように、HARQ(ハイブリッド自動再送要求)機能より上流で集約される。これは、HARQ再送信が、コンポーネントキャリア32ごとに独立して実行されることを意味する。コンポーネントキャリアごとに、例えば対応する制御シグナリングを用いて、変調方式及び符号化率、そして伝送モードのような伝送パラメータを選択することができる。コンポーネントキャリアごとの独立した動作を可能とする構成を有することは、異なる無線チャネル品質を有する異なる周波数帯域からのコンポーネントキャリアを集約する場合に、特に有用である。
【0020】
図2のシナリオでは、同一のユーザへ、又は同一のユーザからの、集約されたコンポーネントキャリア32において伝送されるべき、複数のデータフロー21、22が処理される。無線リンク制御(RLC)レイヤ200、MACレイヤ210、及び物理レイヤ220といった様々なプロトコルレイヤにおいて、処理が遂行される。RLCレイヤ200では、別個のRLCエンティティ201、202が、それぞれのデータフロー21、22に対して備えられる。MACレイヤ210では、多重化器211が、データフローを、それぞれがコンポーネントキャリア32の1つに対応する、いくつかの別々のデータストリームに多重化する。さらに、MACレイヤ210は、各データストリームに対してHARQエンティティ215、216、217を備える。物理レイヤ220では、別々の符号化器221、222、223が各データストリームに対して備えられる。さらに、UL方向において、物理レイヤ220は、各データストリームに対して、別個のDFT(直接フーリエ変換)ブロック224、225、226を備える。DL方向では、DFTブロック224、225、226は省略される。さらに、物理レイヤ220は、各データストリームに対して、別個のOFDM(直交周波数分割多重)ブロック227、228、229を備える。
【0021】
図2の処理は、UL方向において、DFT拡散OFDMに基づく。したがって、対応する処理エンティティは、UE、例えば図1のUE10の処理システムに実装されるであろう。しかしながら、対応する処理は、UEへ向けたDL伝送のために、eNB、例えば図1の無線基地局100においても実行される。そのとき、DFTブロック224、225、226を除く図解されたエンティティがeNBの処理システムに実装されるであろう。DL方向におけるコンポーネントキャリア32のそれぞれにおける伝送はOFDMに基づく。
【0022】
複数のキャリアを介してデータを伝送しているノード間、例えば、UE10と無線基地局100間で制御情報を効率的に運ぶために、ここで説明する概念は、キャリア識別子が付与される制御要素、例えばMAC CEを伝送することを含む。キャリア識別子は、その制御要素が関連するキャリアを特定する。典型的には、制御要素は、その制御要素が関連するキャリアに関する情報を含む。そのような情報は、非特許文献1に記載されるような、MAC CEにおいて伝送されるあらゆるタイプの情報、例えば電力ヘッドルーム報告(PHR)であってもよい。さらに、制御要素は、関連するキャリアの有効化と無効化との少なくともいずれかを制御するための情報を含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば非特許文献1で定義されるような、MAC CEが、含まれる情報を特定のコンポーネントキャリアに関連付けることを可能とする、コンポーネントキャリア識別子(CCI)により拡張される。
【0023】
より一般的な表現では、いくつかの実施形態において、送信器は、通信システムにおいて、例えば移動体通信システムにおいて、複数のキャリアを介して送受信器へのデータ送信を実行する。ここで、データ送信のために常に全てのキャリアを使用する必要はないことが理解されるべきである。むしろ、複数のキャリアが設定されうるが、データは設定されたキャリアのいくつかのみにおいて、例えばキャリアのうち1つにおいて、送信される。送信器は、第1のキャリアと関連する制御要素を判定する。制御要素は、第1のキャリアを特定する識別子を伴って、第2のキャリアで送信される。典型的には、第1のキャリアと第2のキャリアとは異なる。オプションとして、第1のキャリアと第2のキャリアは同一であってもよい。制御要素は、それぞれのキャリアの伝送特性を特定するパラメータを含んでもよい。
【0024】
効果の観点から、MAC CEを1つのコンポーネントキャリアに多重化するのが好ましい。これは、特に、送信に利用できるデータの量を利用可能なコンポーネントキャリアのサブセットで送ることができる場合に適合する。したがって、複数のコンポーネントキャリアを構成するが、データを送信するのに必要な場合にのみ、それらを用いることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、特定のコンポーネントキャリアに関連する情報を含まないMAC CEは、CCIを運ぶ必要はない。UEバッファ状態情報が一例である。いくつかの実施形態では、複数の、しかし全部ではないコンポーネントキャリアに対応する情報を含むMAC CEは、これらの全てのコンポーネントキャリアのCCIを含んでもよい。
【0026】
図3は、送信側通信装置310と受信側通信装置320とを含む通信装置を示している。図1の移動体通信ネットワーク環境におけるDL伝送に対しては、送信側通信装置310は無線基地局100であろうし、受信側通信装置320はUE10であろう。図1の移動体通信ネットワーク環境におけるUL伝送に対しては、送信側通信装置310はUE10であろうし、受信側通信装置320は無線基地局100であろう。図3の通信システムは、実際に、双方向通信のために構成されてもよく、これは、送信側通信装置310は受信側通信装置としても動作するだろうし、受信側通信装置320は送信側通信装置としても動作するだろうことを意味する。さらに、通信装置310、320の少なくとも1つは、中継ノードであってもよい。
【0027】
以下では、送信側通信装置310と受信側通信装置との間のデータ伝送は、キャリアアグリゲーションに基づく、すなわち、図1及び2に関連して説明したようにコンポーネントキャリア32のコンステレーション30又はコンポーネントキャリア42のコンステレーション40のような複数のコンポーネントキャリアのコンステレーションを使用することを仮定する。送信側通信装置310から受信側通信装置320へ制御情報を運ぶために、送信側通信装置310は、1つ以上のMAC CEを受信側通信装置320へ送信してもよい。上述の概念によれば、MAC CEには、そのMAC CEが関連するコンポーネントキャリア32、42を特定する1つ以上のCCIが付与される。CCIは、MAC CEのビットフィールドであってもよい。典型的には、MAC CEはそのMAC CEが関連するコンポーネントキャリア32、42の伝送特性を特定するパラメータを表示する。例えば、パラメータは、非特許文献1で説明されるようにMAC CEで送信されるあらゆるタイプのパラメータ、例えばPHRのパラメータであってもよい。さらに、パラメータは、関連するコンポーネントキャリア32、42の有効化状態に関してもよく、受信側通信装置320における関連するコンポーネントキャリア32、42の有効化と無効化との少なくともいずれかを制御してもよく、その両方を行ってもよい。あるシナリオでは、MAC CEは、送信側通信装置310から受信側通信装置320へ、MAC CEに関連する同一のコンポーネントキャリア32、42において送信されてもよい。他のシナリオでは、MAC CEが送信側通信装置310から受信側通信装置320へ送信されるコンポーネントキャリア32、42は、MAC CEが関連するコンポーネントキャリア32、42と異なっていてもよい。これらの異なるコンポーネントキャリア32、42は、同一の送信方向に、又は反対の送信方向に割り当てられてもよい。例えば、典型的なシナリオでは、通信システムは、DL方向に対して提供されるコンポーネントキャリアと異なる、UL方向のためのコンポーネントキャリア32、42を備え、送信側通信装置310は無線基地局100に対応し、受信側通信装置320はUE10に対応する。このシナリオにおいては、MAC CEは、無線基地局100からUE10へDLコンポーネントキャリア32、42において送信されうると共に、UE10から無線基地局100へのデータ伝送に使用されるULコンポーネントキャリア32、42に関する情報を含みうる。別の典型的なシナリオでは、通信システムは、DL方向に対して提供されるコンポーネントキャリアと異なる、UL方向のためのコンポーネントキャリア32、42を備え、送信側通信装置310はUE10に対応し、受信側通信装置320は無線基地局100に対応する。このシナリオにおいて、MAC CEは、UE10から無線基地局100へ、ULコンポーネントキャリア32、42において送信されうると共に、無線基地局100からUE10へのデータ伝送に用いられるDLコンポーネントキャリア32、42に関する情報を含みうる。
【0028】
図3で図解されるように、送信側通信装置310は、処理システム312と送信器314とを含む。受信側通信装置320は、受信器322、処理システム324、及び制御部326を含む。
【0029】
送信側通信装置310では、処理システム312は、例えば、PHRのような、運ばれる情報を取得することによって、MAC CEを判定するように構成される。情報は、特定のコンポーネントキャリアに関してもよい。例えば、情報は特定のコンポーネントキャリア32、42に対するPHRであってもよい。処理システムは、さらに、MAC CEと共に運ばれる情報が関連するキャリア32、42を特定するために、MAC CEにCCIを付与するように構成される。そして、処理システム312は、MAC CEを送信器314へ渡す。送信器314は、CCIを伴うMAC CEを、受信側通信装置320へ送信するように構成される。これは、CCIにより特定されるコンポーネントキャリアと異なるコンポーネントキャリア32、42において遂行されてもよい。
【0030】
受信側通信装置320では、受信器322は、送信側通信装置310により送信されたCCIを伴うMAC CEを受信するように構成される。処理システム324は、MAC CEが関連するコンポーネントキャリア32、42を判定するように構成される。この判定は、MAC CEに伴って受信されたCCIに基づいて、遂行される。さらに、処理システム324は、MAC CEが関連するコンポーネントキャリア32、42の伝送特性を判定するように構成される。この判定は、MAC CEに伴って運ばれたパラメータに基づいて、例えば、PHRに基づいて、遂行される。オプションの制御部326は、MAC CEが関連するコンポーネントキャリア32、42におけるデータ送信を制御するように構成されてもよい。この制御は、処理システム324により判定された伝送特性に基づいてもよい。例えば、コンポーネントキャリア32、42の送信電力が制御されてもよい。
【0031】
したがって、上記のように、本発明の実施形態よる概念では、1つ以上のCCIが、特定のコンポーネントキャリアに関連する情報を含むMAC CEに含まれてもよい。以下では、本発明の実施形態によるこれらの概念の詳細な実装について、PHRに基づいて説明する。しかしながら、本概念はいかなる特定のMAC CEのタイプにも限定されないことが理解されるべきである。むしろ、LTE Rel−8対して既に定義されているあらゆる他のMAC CE、及びその後のリリースで定義されるあらゆるCEに適用されてもよい。
【0032】
3GPP LTEでは、通常のUEの最大送信電力とUL−SCH(UL共有チャネル)伝送のための推定電力との間の差についての情報をサービスを提供するeNB(サービングeNB)に提供するために、電力ヘッドルーム報告手順が使用される。LTE Rel−8に対する電力ヘッドルーム報告は、非特許文献1の6.1.3.6節に定義されている。LTE Rel−8による電力ヘッドルームMAC CE400のフォーマットを図4に図解する。図解されるように、このフォーマットは、2つの予約ビットR(BIT 0、BIT 1)及びPHRのためのPHフィールド(BIT 2〜BIT 7)を有する単一のオクテット(OCTET 1)を含む。予約ビットRは0に設定されてもよい。
【0033】
ここで説明する概念は、特にUEがそのUL伝送のために複数の電力増幅器を用いる場合に、eNBがコンポーネントキャリアごとのPHRを要求することを考慮する。これは、図5に図解するような電力ヘッドルームMAC CE500のフォーマットを用いることにより達成されうるこのフォーマットによれば、MAC CE500のビットフィールドは、上述のCCIに対応する、MAC CE500が関連するコンポーネントキャリアを特定する識別子を含む。より具体的には、図4のフォーマットと比較して、MAC CE500には、識別子のためのCCIフィールドを含む追加のオクテット(OCTET 1)が備えられる。さらに、追加のオクテットは、いくつかの予約ビットR(BIT 0〜BIT 4)を含む。図解された例では、CCIフィールドは3ビット長(BIT 5〜BIT 7)を有する。しかしながら、他の実施形態では、例えば1ビット、2ビット又は3ビットより長い、異なる長さのCCIフィールドを用いてもよい。他方のオクテット(OCTET 2)は、図4のMAC CE400のフォーマットと同様であり、すなわち、2つの予約ビットR(BIT 0、BIT 1)と、PHRのためのPHフィールド(BIT 2〜BIT 7)とを含む。
【0034】
図5に図解されるような電力ヘッドルームMAC CE500のフォーマットを用いて、UEは、送信されるPHRが関連するコンポーネントキャリアと異なっていてもよい任意のULコンポーネントキャリアで、電力ヘッドルームMAC CEを送信してもよい。さらに、1つの実施形態によれば、ULコンポーネントキャリアにおいて電力ヘッドルームMAC CEを送信するのに代えて、UEは、複数のPHRを単一のUL MAC PDU(プロトコル・データ・ユニット)に含ませ、識別子を各MAC CE500と関連付けてもよい。
【0035】
例えば、無線リソース接続が設定されたとき、又は新しいコンポーネントキャリアが設定されているとき、CCIビット値をそれぞれのコンポーネントキャリアと関連付けることができるように、識別子のコンポーネントキャリアとの関係が、eNBとUEとの間で特定される。MAC PDUを生成する時、UEは、非特許文献1の6.1.2節に従って、各MAC CEに対して、データブロックの先頭にMACサブヘッダを付加する。
【0036】
MAC PDUが異なるコンポーネントキャリアに対する複数のPHRを含んでいるとき、そのそれぞれを別々のMACサブヘッダと関連付けることができる。しかし、いくつかの実施形態では、オーバヘッドを減らすために、図6に示すように、複数のPH及びCCIフィールドを有する1つのMAC CEのみを生成することがより効果的でありうる。図6に図解されるようなMAC CE600のフォーマットでは、MAC CE600は、追加のPHRを運ぶための追加のオクテット(OCTET 3、OCTET 4)を含む。別のCCIフィールド(OCTET3におけるBIT5〜BIT7)は追加のPHRのために備えられる。各PHRに対して、Eビットが備えられる(OCTET 1のBIT 0、OCTET3のBIT0)。Eビットは、もう1つのPHRがMAC CE600において続くか否かを表示する、すなわち、図における上側のEビットは、もう1つのPHRが続くであろうことを示す、例えば1に設定され、一方で、下側のEビットは別の値に設定されるであろう。
【0037】
もう1つの実施形態では、MAC CEを図7に示すように圧縮しうる。図7に図解されるような、圧縮された電力ヘッドルームMAC CE700は、図6の構造におけるように、Eビット、CCIフィールド及びPHフィールドを含むが、PHRのEビット、CCIフィールド、PHフィールドを互いに隣接して直接配置し、ビットフィールドが1つのオクテットから次のオクテットに連続することを許容することにより、いくつかの予約ビットを省いている。この場合もまた、Eビットはもう1つのPHRがMAC CEにおいて続くか否かを表示する。
【0038】
図5〜7のMAC CEフォーマットは、LTE Rel−10のために定義されるリンクアグリゲーションの必要性を考慮したものであるため、図4のフォーマットがRel−8フォーマットと呼ばれてもよい一方で、Rel−10フォーマットと呼ばれてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、図5〜7に関連して説明したようなMAC CEフォーマットに起因してオーバヘッドが増大しないように、例えばUEがコンポーネントキャリアの能力がない、すなわち、キャリアアグリゲーションに対応しない場合、又はUEがシングルキャリアモード用に設定されている場合に、図4のMAC CEフォーマットを代替物として使用してもよい。1つの実施形態によれば、図4のRel−8フォーマットにおける1つの予約ビットを、単一フォーマットが使用されるかマルチキャリアフォーマットが使用されるかを表示するのに使用してもよい。図8は、図4のMAC CE400と同様の、シングルキャリアフォーマット810におけるMAC CE810と、図7のMAC CE700と同様の、マルチキャリアフォーマットにおけるMAC CE820とを示す。いずれのMAC CE810、820においても、MAC CEがシングルキャリアフォーマットのあるかマルチキャリアフォーマットにあるかを表示する、Vビット(最初のオクテットのBIT 0、これは図4のMAC CE400における予約ビットの1つに対応する)が備えられる。例えば、PHRがその送信されているコンポーネントキャリアに関連する場合、MAC CE810のフォーマットが使用されてもよい。これはVビットにより表示される。
【0040】
図9は、MAC PDUにおけるヘッダビットを指定する処理の例を図解するフローチャートを示す。上述の例にあるように、PHRをあらゆる他の制御要素タイプにより置き換えてもよい。処理は、例えば、LTEシステムの送信器において、例えば図3の送信側通信装置310において、実行される。UL伝送に対しては、それぞれの受信器への無線リンクを介した送信のために、送信器へMAC PDUを転送するのに先立って、UE、例えばUE10の処理システムにおいて本処理を実行してもよい。DL伝送に対しては、それぞれの受信器への無線リンクを介した送信のために、送信器へMAC PDUを転送するのに先立って、無線基地局又はノードB、例えば無線基地局100の処理システムにおいて本処理を実行してもよい。したがって、図3の送信側通信装置310の処理システム312により、本処理を実行してもよい。
【0041】
ステップ910では、PHRが生成される。PHRは、特定のコンポーネントキャリアに関連する。
【0042】
ステップ920では、複数のコンポーネントキャリア(CC)が設定されているかを判定する。分岐「Y」で示されるように、複数のコンポーネントキャリア(CC)が設定されている場合、本方法はステップ930を続ける。分岐「N」で示されるように、複数のコンポーネントキャリア(CC)が設定されていない場合、本方法はステップ960を続ける。
【0043】
ステップ930では、複数のコンポーネントキャリア(CC)が要求されているかを判定する。分岐「Y」で示されるように、複数のコンポーネントキャリア(CC)が要求されている場合、本方法はステップ940を続ける。分岐「N」で示されるように、複数のコンポーネントキャリア(CC)が要求されていない場合、本方法はステップ980を続ける。
【0044】
ステップ940では、CCIを伴うMAC CEが生成される。これは、図8に図解されるようなMAC CE820のマルチキャリアフォーマットを用いて遂行されてもよい。
【0045】
ステップ950では、ステップ940で生成されたMAC CEにおけるVビットが、マルチキャリアフォーマットを使用していることを表示する値、図解されている例ではV=1の値に設定される。
【0046】
ステップ960では、CCIを伴わないMAC CEが生成される。これは、図8に図解されるようなMAC CE810のシングルキャリアフォーマットを用いて遂行されてもよい。
【0047】
ステップ970では、ステップ960で生成されたMAC CEにおけるVビットが、シングルキャリアフォーマットを使用していることを表示する値、図解されている例ではV=0の値に設定される。
【0048】
ステップ980では、MAC CEが送信されるべき同一のコンポーネントキャリア(CC)に対して、MAC CEが生成されるべきかが判定される。分岐「Y」で示されるように、MAC CEが送信されるべき同一のコンポーネントキャリア(CC)に対して、MAC CEが生成されるべきである場合、本方法はステップ960を続ける。分岐「N」で示されるように、MAC CEが送信されるべき同一のコンポーネントキャリア(CC)に対して、MAC CEが生成されるべきでない場合、本方法はステップ940を続ける。
【0049】
図10は、上述の概念を、通信装置において、例えば図1の無線基地局100において、図1のUE10において、又は中継ノードにおいて、実装するための典型的な構造を概略的に示している。
【0050】
図解される構造において、通信装置100は、複数のキャリアを介した、例えば上述のキャリアアグリゲーションの概念を用いたデータ伝送のためのインタフェース130を含む。より具体的には、インタフェース130は、キャリア識別子を含む上述の制御要素の、例えば、少なくとも1つのCCIを含むMAC CE500、600、700及び820の少なくともいずれかの、送信と受信との少なくともいずれかに使用されるように構成されてもよい。さらに、インタフェース130は、キャリア識別子を伴わない制御要素の、例えば、MAC CE400又は810の、送信と受信との少なくともいずれかに使用されるように構成されてもよい。送信機能を実装するために、図3の送信器314のような1つ以上の送信器をインタフェース130が含むであろうこと、そして、受信機能を実装するために、図3の受信器322のような1つ以上の受信器をインタフェース130が含むであろうことが理解されるべきである。インタフェース130は、無線リンクを介したデータ伝送のために構成されてもよい。例えば、インタフェース130は、3GPPの技術仕様書によるUuインタフェースに対応してもよい。
【0051】
さらに、通信装置は、インタフェース130に接続されるプロセッサ150と、プロセッサ150に接続されるメモリ160とを含む。メモリ160は、読み出し専用メモリ(ROM)、例えばフラッシュROM、又はランダムアクセスメモリ(RAM)、例えば動的RAM(DRAM)及び静的RAM(SRAM)、又は大容量記憶装置、例えばハードディスク若しくはソリッドステートディスク、又は同様の物を含んでもよい。メモリ160は、上述の通信装置の機能を実装するために、プロセッサ150により実行される適切に構成されたプログラムコードを含む。より具体的には、メモリ160は、MACプロトコルに基づいてデータ伝送の機能を実行するためのMACプロトコルモジュール170を含んでもよい。さらに、メモリ160は、MAC CE、例えばMAC CE400、500、600、700、810、又は820を判定する機能を実行するためのMAC CE判定モジュール172を含んでもよい。さらに、メモリ160は、MAC CEに、キャリア識別子、例えばMAC CE500、600、700、又は820に付与されるCCIを付与する機能を実行するための、MAC CEに伴って受信されたキャリア識別子に基づいて、受信したMAC CEが関連するキャリアを判定するための、またはその両方のための、キャリア識別モジュール174を含んでもよい。MAC CE判定モジュール172とキャリア識別モジュール174との少なくともいずれかは、MACプロトコルモジュール170のサブモジュールであってもよい。さらに、メモリ160は、他のプロトコルレイヤにおける、例えば、RLCレイヤと物理レイヤの少なくともいずれかにおける、データ伝送の機能を実行するための、1つ以上の他のプロトコルモジュール180を含んでもよい。さらに、メモリ160は、例えば、受信したMAC CEに基づいて制御処理を実行するための、制御モジュール190を含んでもよい。例えば、制御モジュール190は、図3に関連して説明した伝送制御部326の機能を実行してもよい。
【0052】
図10に図解した構造は単なる概略図であること、通信装置は、実際には、明確性のために図解されていないさらなる要素、例えばさらなるインタフェースを含んでもよいことが理解されるべきである。また、メモリ160は、図解されていない、さらなるタイプのプログラムコードモジュールを含んでもよいことが理解されるべきである。例えば、通信装置がUEである場合、メモリ160は、UEの典型的機能を実行するためのプログラムコードモジュールを含んでもよい。同様に、通信装置が無線基地局100である場合、メモリ160は、無線基地局の典型的機能を実行するためのプログラムコードを含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、本発明の実施形態による概念を実装するために、コンピュータプログラム媒体、例えばプログラムコードを記憶するコンピュータ可読媒体とメモリ160に記憶される他のデータとの少なくともいずれかもまた、提供されてもよい。
【0053】
図11は、本発明の実施形態による方法を概略的に説明するフローチャートを示している。本方法は、複数のキャリアを介した、上述のデータ伝送の処理を実行するのに使用されてもよい。データ伝送は、データの送信とデータの受信との少なくともいずれかを含んでもよい。本方法は、通信装置において、例えば、図1のUE10のような移動体端末において、若しくは図1の無線基地局100のような無線基地局において、又は通信システムにおいて、例えば図1の無線基地局100とUE10とを含む通信システムにおいて、実行されてもよい。より具体的には、本方法は、通信装置、例えば、図3に関連して説明した送信側通信装置310において実行されてもよい。
【0054】
ステップ1110では、複数のキャリアを介したデータ伝送が実行される。例えば、これは、図1に関連して説明したような複数のコンポーネントキャリア32、42のコンステレーション30、40を使用することを含んでもよい。データ伝送のためにすべてのキャリアを常に使用する必要はない。むしろ、複数のキャリアを設定することができるが、データは設定されたキャリアのいくつかのみにおいて、例えば、キャリアの1つにおいて、伝送される。1つの実施形態によれば、各キャリアにおける伝送は、OFDM又は(シングルキャリア周波数領域多元接続、SC−FDMAとも呼ばれる)DFTS−OFDMのような変調方法に基づいてもよい。データ伝送は、通信装置の対応するインタフェース、例えば、図10に関連して説明したようなインタフェース130を用いて実行されてもよい。
【0055】
ステップ1120では、制御要素が判定される。制御要素は、少なくとも1つのキャリアに関連し、すなわち、関連する1つ又は複数のキャリアに関する情報を含む。制御要素は、MACプロトコル、すなわち3GPP LTE無線リンクに対して定義されるようなMACプロトコルの制御要素であってもよい。より具体的には、制御要素は、少なくとも1つのPHRを含むMAC CEであってもよい。いくつかの実施形態では、制御要素は、他のタイプの制御情報、例えば関連する1つ又は複数のキャリアの選択的有効化又は無効化のための制御情報をも含みうる。
【0056】
ステップ1130では、制御要素に識別子が付与される。識別子は制御要素が関連するキャリアを特定する。制御要素が複数のキャリアに関連する場合、制御要素にその関連するキャリアのそれぞれに対して個別の識別子が付与される。識別子は、制御要素のビットフィールドであってもよく、例えば、図5〜8に関連して説明したCCIフィールドであってもよい。いくつかの実施形態では、識別子は、関連するコンポーネントキャリアのそれぞれに対して1以上のビットを備えるビットマップにおいて付与されてもよい。
【0057】
ステップ1120及び1130は、通信装置の処理システム、例えば、図3の処理システム312により遂行されてもよい。
【0058】
ステップ1140では、識別子を伴う制御要素が1つのキャリアにおいて送信される。これは、通信装置の送信器、例えば図10のインタフェース130の一部でありうる図3の送信器314により、遂行されてもよい。
【0059】
図12は、本発明のさらなる実施形態による方法を概略的に説明するためのフローチャートを示している。本方法は、複数のキャリアを介した、上述のデータ伝送の処理を実行するために用いられてもよい。データ伝送は、データの送信とデータの受信との少なくともいずれかを含んでもよい。本方法は、通信装置において、例えば、図1のUE10のような移動体端末において、若しくは図1の無線基地局100のような無線基地局において、又は、通信システム、例えば図1の無線基地局100とUE10とを含む通信システムにおいて、実行されてもよい。より具体的には、本方法は、図3に関連して説明した受信側通信装置320において実行されてもよい。
【0060】
ステップ1210では、複数のキャリアを介したデータ伝送が実行される。例えば、これは、図1に関連して説明したように、複数のコンポーネントキャリア32、42のコンステレーション30、40を使用することを含んでもよい。データ伝送のために全てのキャリアを常に使用する必要はない。むしろ、複数のキャリアを設定することができるが、データは設定されたキャリアのいくつかのみにおいて、例えば、キャリアの1つにおいて、伝送される。1つの実施形態によれば、各キャリアにおける伝送は、OFDM又はDFTS−OFDMのような変調方法に基づいてもよい。データ伝送は、通信装置の対応するインタフェース、例えば、図10に関連して説明したようなインタフェース130を用いて実行されてもよい。
【0061】
ステップ1220では、制御要素が受信される。これは、通信装置の受信器、例えば、図10のインタフェース130の一部でありうる図3の受信器322により、遂行されてもよい。制御要素は、少なくとも1つのキャリアに関連し、すなわち、関連する1つ又は複数のキャリアに関する情報を含む。制御要素は、MACプロトコル、すなわち3GPP LTE無線リンクに対して定義されるようなMACプロトコルの制御要素であってもよい。より具体的には、制御要素は、少なくとも1つのPHRを含むMAC CEであってもよい。いくつかの実施形態では、制御要素は、他のタイプの制御情報、例えば関連する1つ又は複数のキャリアの選択的有効化又は無効化のための制御情報をも含みうる。
【0062】
ステップ1230では、制御要素に伴って受信された識別子から、その制御要素が関連するキャリアが判定される。いくつかの実施形態では、例えば制御要素に伴って受信された複数の識別子から、複数の関連するキャリアもまた判定されてもよい。識別子は、制御要素のビットフィールドであってもよく、例えば、図5〜8に関連して説明したCCIフィールドであってもよい。いくつかの実施形態では、識別子は、関連するコンポーネントキャリアのそれぞれに対して1以上のビットを備えるビットマップにおいて付与されてもよい。
【0063】
ステップ1240では、ステップ1230で判定された少なくとも1つのキャリアの伝送特性が判定される。これは、制御要素により表示されるパラメータに基づいて、例えばPHRのパラメータに基づいて、遂行される。さらに、判定された1つ又は複数のキャリアのデータ伝送は、制御要素により表示される情報に基づいて制御されてもよい。
【0064】
ステップ1230と1240とは、通信装置の処理システム、例えば図3の処理システム324により遂行されてもよい。
【0065】
図11及び図12の方法は、互いに組み合わせられてもよい。例えば、図11の方法を用いて、1つの通信装置、例えば図3の送信側通信装置310が、制御要素を生成して送信してもよく、もう1つの通信装置が、特定のキャリアに関連する情報を判定するために図12の方法を使用してもよい。
【0066】
理解されるように、上述の概念を使用することにより、効率的な方法で複数のキャリアに関する制御情報を運ぶことができる。本概念は、MAC CEに含まれる制御情報を特定のコンポーネントキャリアに関連付けることを可能とする。これは、ほかの無効なまたは使用されていないコンポーネントキャリア上にUEをスケジューリングする必要性を減らすのに使用されてもよく、したがって、システムの負荷だけでなく、UEにおけるバッテリ消費をも減らすために使用されてもよい。
【0067】
上で説明した例と実施形態は単に説明のためのものであり、様々な変形をなしうる。例えば、本概念は、キャリアアグリゲーションを用いる他のタイプの移動体通信ネットワークにおいて使用されうる。また、本概念を、任意の数の集約されるキャリアに適用してもよい。さらに、上述の概念は、既存の無線基地局又はUEに対応して設計されるソフトウェアを用いることにより、又は無線基地局又はUEにおける専用のハードウェアを用いることにより、実装されてもよいことが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12