【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、光電気デバイスのより効率的な製造方法とより効率的に製造可能な光電気デバイスとを提供することである。
【0010】
本発明の第1態様によると、
−第1仕事関数を有する材料から成る第1電極層を設けるステップと、
−この第1電極層の上に有機光電気層を設けるステップと、
−この有機機能層にパターン化導電層を印刷するステップと、
−このパターン化導電層が設けられた有機層の上に、第1電極の仕事関数より低い第2仕事関数を有する材料から成る透明な第2電極層を設けるステップと、
をこの順番で含む光電気デバイスの製造方法が提供される。
【0011】
「この順番で(subsequent)」という表現は、これらのステップが提示された順番で実施されることを示す。ただし、互いに連続する2つのステップの間に他の1つ以上の追加ステップが介在してもよい。
【0012】
なお、欧州特許出願公開第0845924A2号は、正極と、負極と、この2つの電極の間に挟まれた有機発光層を含む有機層とを備えた透明な有機ELデバイスを開示している。この負極は電子注入電極層と非晶質透明導電膜とで構成され、電子注入電極層は有機層に隣接している。あるいは、この負極は電子注入電極層と、透明導電膜と、抵抗率が1×10
−5Q.cm以下の金属薄膜とがこの順番で積層されて構成されており、電子注入電極層は有機層に隣接し、透明薄膜が負極の外側に形成されている。欧州特許出願公開第0845924A2号に参照符号6で示されている電子注入層は、島状の電子注入ゾーンである。ここで「島状」という表現は、有機層の上に形成された不連続の電子注入化合物層を複数備えた構造を示すことを意図している。したがって、この電子注入層は、導電材料で形成されたパターン化層であるが、複数の島状ゾーンに分割されているため、この電子注入層を導電層と見なすことはできない。
【0013】
本願明細書で使用される、所与の材料から成る「層」は、その材料から成る領域であって、その厚さがその長さおよび幅のどちらよりも小さい領域を含む。層の例として、薄板、箔、膜、層状組織、塗膜などが挙げられる。本願明細書で使用される層は、平面状である必要はなく、例えば別の構成要素を少なくとも部分的包むために、折り曲げることも、折り畳むことも、または別様の形状にすることもできる。本願明細書で使用される層は、複数の副層を含むこともできる。1つの層を複数の離散部分の集合で構成することもでき、例えば、個々の画素を含む複数の離散した活性領域から成る1つの層で構成することもできる。
【0014】
OLEDにおいては、より大きな仕事関数を有する電極は陽極として機能する。陽極は、正電荷担体を注入するために特に効率的な電極である。陽極は、例えば、金属、混合金属、合金、金属酸化物、または混合金属酸化物を含有する材料から製造することも、あるいは導電ポリマーおよびその混合物で製造することもできる。適した金属として、第11族の金属類、第4族、第5族、および第6族の金属類、および第8〜10族の遷移金属類が挙げられる。陽極を光透過性にする必要がある場合は、インジウムスズ酸化物など、第12族、第13族、および第14族の金属の混合金属酸化物が一般に用いられる。この陽極は、「溶解性導電ポリマーから製造された可撓性発光ダイオード(Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer)」ネイチャー(Nature)誌第357巻、p.477−479(1992年6月11日)に記載されているように、ポリアニリンなどの有機材料をさらに含みうる。生成された光の観察を可能にするために、陽極および陰極の少なくとも一方を少なくとも部分的に透明にする必要がある。透明電極がデバイスの基板に面する電極である場合は、この基板も透明にする必要がある。デバイス全体を透明にする必要がある場合は、デバイス内の各層と基板とを透明にする必要がある。
【0015】
OLEDにおいては、最も低い仕事関数を有する電極が陰極として機能する。本願明細書の文脈において、仕事関数が約4.4eV以下の材料は、低い仕事関数を有する材料と見なされる。そのために、金属類または非金属類が使用されうる。陰極層のための材料は、第1族のアルカリ金属類(例えば、Li、Na、K、Rb、Cs)、第2族の金属類(例えば、Mg、Ca、Ba、など)、第12族の金属類、ランタニド類(例えば、Ce、Sm、Eu、など)、およびアクチニド類(例えば、Th、U、など)から選択可能である。アルミニウム、銀、インジウム、イットリウム、およびこれらの組み合わせなどの材料も使用されうる。陰極層用の材料の非限定的な具体例として、バリウム、リチウム、セリウム、セシウム、ユウロピウム、ルビジウム、イットリウム、マグネシウム、サマリウム、およびこれらの合金および組み合わせが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。陰極層は、複数の副層の組み合わせとして形成されてもよく、例えば光電気層側に面した厚さ約5nmのBa層と光電気層とは反対側に面した厚さが10〜400nmの範囲内のアルミニウム層との組み合わせとして形成されてもよい。
【0016】
特に、最も低い仕事関数を有する電極の存在は、デバイスの製造を複雑化する。その理由は、低い仕事関数を有する材料は、通常、大気中の酸素および水蒸気と素早く反応するため、結果として絶縁性になるからである。したがって、このような腐食を防止するために、調整された、すなわち不活性または真空の、環境において第2電極層を設ける必要がある。陰極層は、通常、化学または物理蒸着法によって形成される。同様に、実際には、以降の層および他の特徴も調整された環境において堆積させる必要がある。この理由は、この堆積された電極に直接、または既に堆積された層を介した拡散によって、酸素または水蒸気が到達しうるからである。
【0017】
本発明の第1態様による方法においては、パターン化導電層が印刷されてから透明電極が堆積されるので、パターン化導電層のために使用される堆積方法については、この点に関する制限はない。例えば、調整された環境でパターン化導電層を設ける必要はない。これは、大規模製造に適した、例えばロールツーロール処理に適した、堆積法の使用を容易にする。ロールツーロール法での使用に適した印刷方法の例として、インクジェット印刷およびスクリーン印刷が挙げられる。
【0018】
なお、欧州特許出願公開第331997号は、その背景となる従来技術の説明において、補助電極を印刷することを考えている。ただし、本発明と異なり、この補助層は、別個の透明導電膜に印刷される。その後、この電極が印刷された透明導電膜に電界発光層が接着される。改良点として、欧州特許出願公開第331997号は、積層工程を考えている。この工程においては、とりわけ発光層を有する連続ウェブの形態の基板と連続ウェブの形態の透明導電膜との間に導電性条片が積層され、補助電極は前記基板および前記透明導電膜の各々より狭い幅を有する。したがって、欧州特許出願公開第331997号は、第1電極の仕事関数より低い第2仕事関数を有する材料から成る透明な第2電極層がパターン化導電層の堆積によって損傷されることを回避するために、パターン化導電層が有機機能層上に印刷される光電気デバイスの製造方法を示唆していない。
【0019】
第1態様による本方法の一実施形態においては、インクジェット印刷が印刷方法として用いられる。
【0020】
パターン化導電層としてさまざまな材料を使用可能であり、これらの材料をそれぞれに応じて設けうる。
【0021】
パターン化導電層は、例えば、インクジェット印刷によって液体形態で塗布可能な金属または金属合金製でもよい。相対的に低い融点または溶融流跡を有する各種金属および金属合金を利用可能である。
【0022】
光電気デバイスが使用される温度範囲および光電気層が許容する温度範囲に応じて、当業者は多種多様な金属類および金属合金類からから最適な金属または金属合金を選択しうる。例えば、当業者は、例えば市販されている低価格の低融点金属類および金属合金類から選択しうる。これらは、例えばIn、Sn、Bi、Pb、Hg、Ga、およびCdから成る群から選択された元素を含みうる。広範囲の融点以外にも、前記金属類は、酸化に対する感受性、他の材料への接着、熱膨張係数、延性、寸法安定性、凝固および湿潤時の伸縮率など、他の重要な特性も広範囲に示す。毒性が重要な要素である用途においては、Sn:(50wt.%):Pb(32wt.%):Cd(18wt.%)合金など、HgまたはCdを含有する合金類は好ましくない。多少可撓性のあるELデバイスが必要な場合は、インジウム(融点157℃)または融点が100℃のSn(35.7wt.%):Bi(35.7wt.%):Pb(28.6wt.%)など、延性の低融点金属の使用が好適である。凝固によって生じる応力を最小化するには、凝固時に結晶性ドメインを形成せず、かつ収縮が少ない金属、例えば融点が138℃のBi(58wt.%):Sn(42wt.%)などが好適である。
【0023】
あるいは、金属粒子または有機金属錯体の懸濁液またはコロイド溶液の形態でパターン化導電層を塗布してもよい。同様に、この懸濁液またはコロイド溶液をインクジェット印刷によって塗布してもよい。
【0024】
必ず必要とは限らないが、印刷工程を容易にするために、印刷される懸濁液またはコロイド溶液を、例えば100℃と300℃の間の範囲に、加熱してもよい。
【0025】
補助導電条片を形成するために、銀、銅、白金、および/または金、あるいは有機金属錯体から作られたナノ粒子を懸濁液またはコロイド溶液内に使用してもよい。このナノ粒子は、直径が1nmと100nmの間であることが好ましい。金属粒子のサイズおよび性質によっては、使用するインクをコロイド溶液にすることもできる。その一例は、キャボット(Cabot)社(米国Cabot Printing Electronics and Displays)から提供されるエチレングリコール/エタノール混合物に溶解させた銀ナノ粒子分散液である。この銀インクは、粒子径が30乃至50nmの範囲内の銀ナノ粒子を20wt%含有する。このインクの粘度および表面張力は、それぞれ14.4mPa.sおよび31mNm
−1である。
【0026】
あるいは、有機または水性溶剤内の金属錯体類を当該物質として使用してもよい。金属錯体類は、有機銀、銅、白金、または金錯体、あるいはこれら錯体の混合物を含みうる。例えば、溶剤類と銀アミド類との混合物を含む銀錯体インク、例えばインクテック(InkTec)社製のインク、を使用してもよい。銀アミドは、130〜150℃間の特定温度で銀原子と、揮発性アミンと、二酸化炭素とに分解する。これらの溶剤およびアミンが蒸発すると、銀原子が基板上に残る。例えば銅、ニッケル、亜鉛、コバルト、パラジウム、金、バナジウム、およびビスマス系の他の金属錯体を、銀の代わりに、あるいは組み合わせて、使用してもよい。
【0027】
例えば銅、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、コバルト、パラジウム、金、バナジウム、およびビスマス系の他の金属錯体を、銀の代わりに、あるいは組み合わせて、使用してもよい。ただし、特に適しているのは銀錯体、銅錯体、ニッケル錯体、アルミニウム錯体、またはこれらの混合物である。銀、銅、アルミニウム、およびニッケルは、優れた導体である。
【0028】
銅錯体系物質のいくつかの例を次の表に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
あるいは、パターン化導電層は導電ポリマー構造でもよい。このような構造は、例えば液体中に懸濁した、導電性ポリマー粒子を含む物質から形成可能である。導電ポリマーの例として、ポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)またはポリアニリン(PANI)がある。代わりに、導電ポリマーの前駆物質の粒子の懸濁液を含む物質を使用してもよい。ただし、一般には、この目的のためには、(例えば懸濁液の形態で堆積される)金属類またはこの合金類がより適している。その理由は、これら金属類またはこの合金類は、有機物質に比べ、相対的に良好な導電率を有するからである。
【0031】
さらに他の実施形態においては、パターン化導電層を形成するために、分子金属前駆物質、および/または導電性有機化合物、および/または導電性有機化合物の前駆物質を含む溶液を堆積させうる。
【0032】
一般的な平均粒径は、1nmと100μmの間、好ましくは1nm〜1μm、極めて好ましくは1nm〜100nm、特に好ましくは1nm〜50nm、の範囲内である。平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって求めることができる。極めて適しているのは、金属ナノ粒子である。その理由は、導電性表面パターンの形成を最小量の電磁エネルギーで可能にするからである。
【0033】
特定の一実施形態において、光電気層の表面が表面エネルギー変性剤を用いて用意される場合は、懸濁液またはコロイド溶液を幅狭の線構造に印刷しううる。懸濁液またはコロイド溶液が塗布される表面の表面エネルギーに応じて、30度乃至60度の範囲内の接触角が実現されうる。使用されるインクジェットプリンタは、1つの連続パターンに結合される複数の液滴の形態で印刷対象物質を噴出してもよく、あるいは印刷対象物質の連続ビームを表面上に印刷してもよい。一実施形態において、印刷工程は繰り返される。これにより、印刷されるパターンのアスペクト比(高さ/幅の比)を相対的に高くすることができる。
【0034】
第1態様による本方法の一実施形態は、絶縁材料を光電気層上に局所的に、パターン化導電層によって形成されるパターンと少なくともほぼ共形のパターンで、堆積させるステップをさらに含む。「少なくともほぼ共形の」という表現は、絶縁層のパターンがパターン化導電層のパターンと共形であること、あるいは絶縁層の特徴がパターン化導電層によって形成される特徴を越えて側方に延在すること、を意味するものと理解されたい。一般的に、これらパターンの特徴は線形であり、絶縁層の線形特徴は、パターン化導電層の線形特徴の幅の20%を超えて側方に延在すべきではない。この絶縁層はアクリレートなどの樹脂材料から形成されてもよく、インクジェット印刷またはスクリーン印刷など、パターン形成を可能にする手法を用いて堆積される。この材料の厚さは1μmと20μmの間でよく、堆積された陰極が堆積されたパターン化導電層と光電気層の両方に電気的に接触できるような断面形状を有する必要がある。
【0035】
あるいは、絶縁材料を局所的に、パターン化導電層によって形成されるパターンと少なくともほぼ共形のパターンで、堆積させるステップは、有機光電気層を第1電極層上に設けるステップに先行する。したがって、このようにして形成されるパターン化された電気絶縁層は、第1電極層と有機光電気層との間に配置される。
【0036】
光電気デバイスは、その用途に応じて、可撓性でも硬質でもよい。光電気デバイスは、湿気および酸素に対する保護をもたらす筐体内に配置されうる。この筐体は、ゲッター材料を備えうる。筐体がない場合、光電気デバイスは湿気および酸素に対する保護のための障壁層を1つ以上備えうる。
【0037】
障壁層は、一般的に複数の副層から成る積層体を備える。第1実施形態において、障壁層は、第1および第2無機層の間に挟まれた有機層を備えた積層体である。この積層体は、交互に重なった有機層と無機層とをさらに備えうる。有機層は、湿気ゲッターを備えうる。あるいは、障壁層は、異なる無機材料の層が交互に重なった積層体を備えうる。
【0038】
一部の実施形態において、光電気デバイスは、障壁機能を有する基板、例えばガラス製、またはアルミニウム製、またはステンレス鋼製の基板、上に設けられうる。
【0039】
第2態様によると、
−基板(10)上に堆積された、または基板(20)を形成する、第1仕事関数を有する材料から成る第1電極層(20)と、
−第1電極層の上の有機光電気層と、
−光電気層上のパターン化導電層と、
−パターン化導電層を備えた光電気層の上の、第2仕事関数を有する材料から成る透明な第2電極層であって、第2仕事関数は第1電極の仕事関数より低い値を有する、第2電極層と、
をこの順番で含む積層体を有する光電気デバイスが提供される。
【0040】
本発明による光電気デバイスにおいて、パターン化導電層は、光電気層と、より低い仕事関数を有する電極を形成する透明導電層との間に配置される。この光デバイスが基板を含む場合、相対的に低い仕事関数を有する材料から成る透明導電層は、実際には、基板の側とは反対の側に配置される。一実施形態においては、製造工程の完了後に、光電気デバイスを基板から取り外しうる。したがって、本発明の第2態様によるデバイスの光電気層が電界発光層(EL:Electroluminescent Layer)である場合、本発明によるデバイスは、いわゆるトップエミッション型OLEDである。しかしながら、本発明によるデバイスは、追加のパターン化導電層によってシャントされる透明な第1電極をさらに有しうる。
【0041】
本発明の第2態様による光電気デバイスは、本発明の第1態様による方法によって製造可能である。
【0042】
本発明による光電気デバイスにおいて、第1電極層は陽極を形成し、第2(透明)電極層は陰極を形成しうるが、あるいはこの逆も可能である。
【0043】
本デバイスは、必要であれば、緩衝材料を備えた緩衝層を1つ以上有しうる。用語「緩衝層」または「緩衝材料」は、有機電子デバイスにおいて、次に挙げる、ただしこれだけには限定されない、機能を1つ以上有しうる導電性または半導電性の材料を意味することを意図している。すなわち、下位層の平坦化、電荷輸送および/または電荷注入特性、酸素または金属イオンなど不純物の除去、および有機電子デバイスの性能の促進または向上のための他の諸相である。緩衝材料は、ポリマー類、オリゴマー類、または小分子類でもよく、溶液、分散液、懸濁液、乳濁液、コロイド状混合物、または他の組成物の形態でもよい。緩衝層は、ポリアニリン(PANI)またはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などの高分子材料で形成可能である。これらの材料はプロトニック酸でドープされることが多い。プロトニック酸は、例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ{2−アクリルアミド−2−メチル−l−プロパンスルホン酸)などにすることができる。緩衝層は、銅フタロシアニンおよびテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン系(TTF−TCNQ)などの電荷輸送化合物などを含むことができる。
【0044】
特に、第1電極層、光電気層、パターン化導電層、および透明な第2電極層に加え、本発明による光電気デバイスは、陽極を形成する電極層と光電気層との間に正孔注入および/または輸送層(HTL)を、および/または陰極を形成する電極層と光電気層との間に電子注入および/または輸送層(ETL)を、備えうる。電子輸送層が存在する場合は、電子輸送層と陰極との間にパターン化導電層が存在する必要がある。
【0045】
正孔輸送層のための正孔輸送材料の例は、例えば、Y.ワング(Wang)によりカークオスマー化学大辞典(Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)第4版、第18巻、p.837−860、1996年、にまとめられている。正孔輸送分子とポリマーの両方を使用できる。一般に使用される正孔輸送分子として、4,4’,4”−トリス(N,−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(TDATA);4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(MTDATA);N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD);1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC);N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD);テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA);a−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS);p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH);トリフェニルアミン(TPA);ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP);1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP);1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−yl)シクロブタン(DCZB);N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB);N,N’−ビス(ナフタレン−1−yl)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(a−NPB);および銅フタロシアニンなどのポルフィリン化合物が挙げられるが、これだけに限定されるものではない。一般に使用される正孔輸送ポリマーとして、ポリ(9,9−ジオクチル−フルオレン−co−N−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)など、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(ジオキシチオフェン)、ポリアニリン、およびポリピロールが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。別の例は、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)である。上記のような正孔輸送分子をポリスチレンおよびポリカーボネートなどのポリマーにドープすることによって、正孔輸送ポリマーを得ることも可能である。
【0046】
電子輸送層は、電子輸送を容易にするために機能できるばかりでなく、層界面における励起子の消滅を防止するための閉じ込め層または緩衝層としても機能できる。この層は、電子移動度を高め、励起子の消滅を低減することが好ましい。任意使用の電子輸送層に使用可能な電子輸送材料の例として、トリス(8−ヒドロキシキノレート)アルミニウム(AIQ)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(BAIq)、テトラキス−(8−ヒドロキシキノレート)ハフニウム(HfQ)、およびテトラキス−(8−ヒドロキシキノラト)ジルコニウム(ZrQ)などの金属キノレート誘導体;および2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンズイミダゾール)ベンゼン(TPBI)などのアゾール化合物;2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなどのキノキサリン誘導体;4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DPA)および2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)などのフェナントロリン類;およびこれらの混合物を含む金属キレート化オキシノイド化合物が挙げられる。
【0047】
したがって、第2態様による光電気デバイスの一実施形態は、陽極層と、HTL(層)と、光電気層と、陰極とを含む一連の層を備える。別の実施形態は、陽極と、光電気層と、ETL(層)と、陰極とを備える。さらに別の実施形態は、陽極と、正孔輸送層と、光電気層と、ETL(層)と、陰極とを備える。
【0048】
図面を参照して上記および他の諸面をより詳細に説明する。