(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740001
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】耐水性天井タイル
(51)【国際特許分類】
E04F 13/14 20060101AFI20150604BHJP
C09D 127/12 20060101ALI20150604BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20150604BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20150604BHJP
E04B 9/04 20060101ALI20150604BHJP
E04F 13/16 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
E04F13/14 102B
C09D127/12
C09D5/02
C09D201/00
E04B5/54 A
E04F13/16 A
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-533830(P2013-533830)
(86)(22)【出願日】2010年10月18日
(65)【公表番号】特表2013-544990(P2013-544990A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】US2010052988
(87)【国際公開番号】WO2012054014
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2013年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】512127109
【氏名又は名称】ユーエスジー・インテリアズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェアーズ・サビーニ
【審査官】
西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−291537(JP,A)
【文献】
特開平05−098771(JP,A)
【文献】
実開昭57−178620(JP,U)
【文献】
特開2005−179402(JP,A)
【文献】
特開平11−181946(JP,A)
【文献】
特開2005−289021(JP,A)
【文献】
特表2008−540693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/14
E04F 13/16
E04B 9/04
C09D 5/02
C09D 127/12
C09D 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、タイルの表面上の外観コーティングと、タイルの背面上の防水コーティングとを備える天井タイルであって、
前記コアは、充填剤と、結合剤と、繊維成分の水性スラリーまたはペーストから乾燥された該繊維成分とを含み、
前記コアは、透水性であり、前記コアを通して浸透する水により前記コアから外部へ滲出しやすい汚染を生じる材料を含み、
前記外観コーティングは、白色顔料を含有し、水に浸透することにより高い光反射率を示し、
前記防水コーティングの材料は、フルオロカーボン重合体エマルションであり、1/5から1/4グラム/sq.ftの割合の固体の被覆率で塗布され、前記タイルの背面に堆積される水滴をはじき、玉状化するように機能する、天井タイル。
【請求項2】
前記繊維成分が鉱物繊維を含む、請求項1に記載の天井タイル。
【請求項3】
前記外観コーティングが、乾燥した水性白色塗装層である、請求項1に記載の天井タイル。
【請求項4】
前記防水コーティングの材料が、乾燥、硬化により水を除去した材料である、請求項1に記載の天井タイル。
【請求項5】
水の存在下で材料を混合することによりコアを作製する工程と、
前記材料を乾燥させて剛性ボードを形成する工程と、
前記コアの外観面に水性外観コーティングおよび表面の反対側の前記コアの面に水性防水コーティングの材料を塗布する工程と、を含み、
前記水性防水コーティングの材料は、フルオロカーボン重合体エマルションであり、1/5から1/4グラム/sq.ftの割合の固体の被覆率で塗布される、防水天井タイルを製造する方法。
【請求項6】
前記外観コーティングおよび防水コーティングの材料が塗布され、その後、前記塗布されたコーティングの材料を45秒間、220℃の加熱環境に曝露することにより同時に乾燥される、請求項5に記載の防水天井タイルを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造パネルの改良、および具体的には、水スラリーまたは水性ペーストから製造される天井タイルに関する。
【背景技術】
【0002】
構造パネル、特に透水性天井タイルは水に曝露されると汚染する傾向を有する。水滴が天井タイルと接触することにより生じる1つの機構は、天井より上の空間に存在するパイプおよび配管における凝縮である。凝縮物が天井タイルの背面に滴り、タイルの目に見える外観面に移動する場合がある。水が、接触する表面から汚染物質を持ち去ることができるため、および、多くの場合、水滴が天井タイルを通して移動し、リサイクルされた新聞紙または他の植物に基づいたセルロース材料およびタイル組成に使用される他の成分由来の汚染因子からタンニンを滲出し、そのような汚染因子をタイルの前面にもたらすために、汚染が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
大部分の製品に典型的であるように、費用が重要であり、構造パネル、特に透水性天井タイルの外観面における水による汚染を最小化するための経済的解決策に関する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、パネルを通る水分移動に起因する構造パネルの目に見える面における水による汚染に対する経済的解決策を提供する。より具体的には、本発明は、パネルの背面において水滴に対する障壁を局所的に作製することによって、水滴の液体含有物がパネルを通して移動し得る前に、水滴を蒸発させ得るという実現に関する。
【0005】
繊維に撥水性を与えるために使用される市販の材料が、本発明の目的を達成するための優れた媒体であることが発見された。かかる材料は、本発明を実施するのに効果的であると見出されている限定した被覆率において、広範囲に利用可能であり、非毒性であり、比較的安価である。好ましい防水材料が、水キャリアの簡単な適用により該水キャリアを用いて、タイルが製造される剛性マットの背面に塗布され得る。非常に少ない被覆率およびその結果、低いコストの防水処理および適用の簡便性により、パネル製造業者の非常に安価な製品ラインにおいてさえも使用を実施することが可能となる。
【0006】
コアマットまたはタイルは好ましくは、水キャリアがコアマットを通して吸収され得る前に、防水材料の迅速な強制乾燥または硬化のために高温に供される。好ましくは、この乾燥プロセスは、仕上げコーティングを乾燥させるためまたはタイルもしくはパネルの目に見える面を塗装するために使用される従来のプロセス工程と共に同時に行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明を具体化する天井タイルの等角図である。
【
図2】
図2は、本発明を利用するプロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、壁または天井を覆うために使用され得る種々の構造パネルに適用可能である。構造パネルの1つの好適な形態は、吊り天井に使用される天井タイルまたはパネルである。構造パネルの他の形態には、石膏ベースの壁タイルおよび壁板が含まれる。水スラリーまたはペーストから製造され、耐水性フィルムまたはシートで裏打ちされていない天井タイルは特に本発明により有益となる。本発明に組み込まれる天井タイルの製造を説明する際に、図面の
図1および2を参照する。矩形の天井タイル10が、一般的に知られている構造の吊り天井システムにおける矩形格子において取り付け(lay−in)パネルとして使用されるように構成される。タイルは、典型的に、約1/2’’〜約7/8’’の間の厚さならびに2’×2’、2’×4’、および2−1/2’×5’の公称面積またはこれらのパネルサイズのメートル法換算値を有する。吊り天井パネルまたはタイルは典型的に、水縮充加工法(water felting process)またはペースト状の水性キャスタブル製剤から製造される。パネル10が水縮充加工法に由来する場合、典型的なおおよその製剤は、重量ベースで、
65%パーライト繊維
18%紙繊維
7%未修飾デンプン結合剤、および
10%鉱物綿繊維
を含んでもよい。
【0009】
鉱物綿含有量は、約25%までかなり変化させてもよく、そのような場合、パーライトはそれに応じて減少させてもよい。紙繊維以外に、木または木材などの他のセルロース源が使用されてもよい。水縮充加工製品の場合、これらの構成成分が水スラリーに適切に混合され、スクリーンに分散されると、または成形タイルの場合、類似の構成成分がパンに分散されると、それらの構成成分は脱水され、および/または剛性ボード内で乾燥される。その後、ボードまたはタイルプレフォームの外観面または前面は、外観コーティングまたは塗料、通常、一部のラテックスまたは他の結合剤成分を有する水性材料でコーティングされる。水縮充マットまたはコアの場合、マットの仕上げ面は、必要な場合、仕上げまたはトップコーティングによるコーティングの前に平面を形成するために地塗りされてもよい。さらに、仕上げコーティングの塗布前に、粘度ベースであり得る下塗りが、例えば、マットの表面に塗布されてもよい。
図1のタイル10は、その設置方向で示し、その下側の外観コーティング11、目に見える面、下塗り12、水縮充マットまたはコア13、および以下に説明するように、その背面または上面に防水コーティング14を含む。
【0010】
上述のようにタイル10の仕上げ面における外観コーティング11は、典型的には、高い光反射率を与えるために白色顔料を有する水性コーティングである。市販の繊維防水材が、かかる材料でマット13をコーティングすることによりタイル10の背面を首尾良く防水するために使用できることが発見された。驚くべきことに、比較的少量のみのこのような材料の使用を必要とするだけで、十分な結果を達成することが見出されている。本発明を実施するのに好適な製品の一例は、TG−5601という商標で、Daikin Chemical Europe GmbH、Dusseldorf、独国により市販されているようにフルオロカーボン重合体エマルションである。この製品は、塗布率が不明確な場合でさえも有効性を維持しながら、水で大いに希釈され得る水性エマルションである。元のエマルションの希釈の結果により、約1/5〜1/4グラム/sq.ftの防水固体の非常に軽いコーティングとなる。このような低濃度の固体にもかかわらず、驚くべき程度の防水性および耐性が達成されることが見出されている。開示した固体の被覆率により、コーティング14上の水滴は簡単に玉状化し(bead−up)、最終的に蒸発する。
【0011】
図2は本発明を実施するためのプロセスの一例を示す。上記のような固体含有量を有する従来の水縮充加工法によって製造された乾燥マットまたはボード13は、水性トップコーティングまたは塗料11が塗布されるスプレー室21内でコンベヤ20上で運搬される。トップコーティングまたは外観コーティング11はこのプロセスにおいて上向きであるが、タイルが天井に設置される場合、トップコーティングは下向きになる。マット13はローラコンベヤ23によりスプレー室から乾燥器22まで運搬される。複数のスプレーノズルを保持するスプリンクラー24が、コンベヤの幅にわたってコンベヤ23の一対のロールの間に延びる。スプリンクラー24は、上記の希釈防水液体14を用いてマット13の下側を噴霧する。トップコーティング11および防水材料14でコーティングされたマット13は、それらのコーティングが好ましくは同時に乾燥され、および/または例えば約45秒の間、約220℃の温度で硬化される乾燥器22を通してコンベヤ26により運搬される。トップコーティングおよび防水材料を塗布する他の方法が考えられる。例えば、ロールコーティングまたはフラッディングが利用されてもよい。
【0012】
吊り天井より上の空間またはプレナム内でパイプおよびダクトから滴る凝縮水は、従来技術の天井タイルの背面上に落下する場合があり、最終的に表面または外観面に変色を引き起こす。変色または汚染のこの機構は、タイルを通る凝縮水の透過に起因し得る。凝縮物は、それがタイルに到達する前に通過する表面により汚染され得る。さらに、水がタイルの本体を通して透過する場合、水は、紙またはセルロース繊維に存在するタンニンなどの汚染を生じる材料を滲出させ得る。汚染された水は外観コーティングを通して滲出し得るので、その外観コーティングを汚染する。本発明を利用しない場合、水源が存在すると、天井タイルは十分な吸収特性を示すように多孔性であることが望まれるので、水はタイルを通過することが一般的である。典型的な天井タイルの所望の多孔率を付加することにより、水に透過性であるその元の水性特性を本質的に残す。
【0013】
本開示は例示であり、本開示に含まれる教示の完全な範囲から逸脱せずに詳細を加え、修飾するか、または除去することによってその種々の変更がなされてもよいことは自明であるべきである。従って、本発明は、以下の特許請求の範囲が必然的にそのように限定される範囲を除いて本開示の特定の詳細に限定されない。