(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740005
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】ハウジングに管体を結合するための装置
(51)【国際特許分類】
F16L 37/12 20060101AFI20150604BHJP
【FI】
F16L37/12
【請求項の数】22
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-539349(P2013-539349)
(86)(22)【出願日】2010年11月19日
(65)【公表番号】特表2014-500451(P2014-500451A)
(43)【公表日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】IB2010002972
(87)【国際公開番号】WO2012066373
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2013年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】505473617
【氏名又は名称】コングスベルグ オートモーティヴ アクチボラゲット
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】ダンクバール フランク
(72)【発明者】
【氏名】グレーンハーゲ アンデシュ
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−178157(JP,A)
【文献】
実公昭61−004796(JP,Y2)
【文献】
特開平07−145895(JP,A)
【文献】
特開2000−310384(JP,A)
【文献】
特表平10−507511(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02405417(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L37/00−37/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体が結合された流体を受け取り又は供給するための装置であって、
ハウジングと、
軸線に沿って前記ハウジングから延び、係合面を有し且つ内部チャンバを定める雌ポートと、
前記雌ポートの内部チャンバ内に配置され、ベースと、該ベースから延びて前記係合面を選択的に係合するフィンガと、前記管体を選択的に保持するため前記フィンガに近接した鉤状部とを有するリテーナと、
前記リテーナに隣接し、前記雌ポートの内部チャンバ内に配置されるシールと、
を備え、
前記リテーナが、前記フィンガ及び前記鉤状部の両方から離間して形成されたスタッドを有し、このスタッドが、前記ベースから軸線に沿って前記鉤状部を超えて延びて前記シールを係合し、これにより前記リテーナを軸線に沿ってハウジングから離れるように押し付けて、前記フィンガの前記係合面に対する移動並びに前記管体の保持のための前記鉤状部の係合を可能にする、装置。
【請求項2】
前記フィンガが、互いに離間して配置された前側と後側とを含み、前記前側が、アンロック位置にあるときに前記係合面を係合し、前記後側がロック位置にあるときに前記係合面を係合する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記係合面が更に、互いに離間して配置された第1の当接部及び第2の当接部を定め、前記前側がアンロック位置にあるときに前記第1の当接部を係合し、前記後側がロック位置にあるときに前記第2の当接部を係合する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記鉤状部が、前記フィンガと一体的に形成され、前記フィンガの前側が前記第1の当接部を係合したときには、前記鉤状部が軸線から離れて移動して前記管体の取り外しを可能にするようにし、前記フィンガの後側が前記第2の当接部を係合したときには、前記鉤状部が軸線に向かって移動して前記管体を前記リテーナ内に固定するようにする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の当接部が、第1のランプとして含み、前記フィンガの前側がアンロック位置において前記第1のランプを係合する、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の当接部が第2のランプを含み、前記フィンガの後側がロック位置において前記第2のランプの少なくとも端部を係合する、請求項3〜5の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記雌ポートが、前記第2のランプに隣接した入口ランプを含み、前記入口ランプが前記軸線に沿って内向きに傾斜している、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記雌ポートが、前記フィンガを受けるため前記軸線に対して半径方向に配置されたウィンドウを定め、前記係合面が前記ウィンドウを定めるようにする、請求項1〜7の何れか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記ウィンドウが更に、互いに離間して配置された複数のウィンドウとして定められ、前記フィンガが更に、互いに離間して配置された複数のフィンガとして定められ、前記フィンガがそれぞれのウィンドウ内に配置される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記鉤状部が更に、互いに離間して配置された複数の鉤状部として定められ、前記鉤状部の各々が前記それぞれのフィンガに近接している、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記鉤状部の各々が、前記それぞれのフィンガ上に一体的に形成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記スタッドが更に、互いに離間して配置された複数のスタッドとして定められ、前記スタッドの各々が前記フィンガのペア間に配置される、請求項9〜11の何れか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記シールが、前記軸線に沿って互いに離間して配置された第1の側部と第2の側部とを含み、該第1の側部が前記雌ポートを係合し、前記スタッドが前記第2の側部を係合する、請求項1〜12の何れか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記シールが、前記管体を受けるため前記軸線に沿って前記第1及び第2の側部を貫通する孔を定め、前記リテーナが、前記管体を受けるため前記軸線に沿って前記ベースを貫通して延びるアパーチャを定める、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記管体を固定するため前記軸線に沿って突出部を有するプラスチック製インサートを更に含む、請求項1〜14の何れか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記プラスチック製インサートが更に、流体を移送するため前記軸線に沿った通路を定め、前記プラスチック製インサートは、前記リテーナのアパーチャ及び前記シールの孔の両方に少なくとも部分的に配置されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記プラスチック製インサートが、可聴フィードバックを提供するため前記鉤状部を受ける少なくとも1つのノッチを定める外面を含む、請求項15又は16に記載の装置。
【請求項18】
前記リテーナが更に、前記ベースと前記フィンガとの間に配置されて、前記フィンガが前記軸線に対して半径方向に移動できるようにする一体ヒンジを更に含む、請求項1〜17の何れか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記フィンガが、互いに離間して配置された第1のローブと第2のローブとを有する遠位端に延びて、前記ローブの少なくとも1つが前記係合面を選択的に係合する、請求項1〜18の何れか1項に記載の装置。
【請求項20】
ハウジングと、軸線に沿って前記ハウジングから延びて、第1の当接部及び第2の当接部を定める雌ポートと、前記雌ポート内に配置され且つベース、第1の側部及び第2の側部を有するフィンガ、鉤状部、及び前記フィンガ及び前記鉤状部の両方から離間して形成されたスタッドを含むリテーナと、シールとを備えた装置に管体を選択的に結合する方法であって、該方法が、
前記リテーナを前記軸線に沿って前記ハウジングに向けてアンロック位置まで移動させるステップと、
アンロック位置にあるときに前記フィンガの第1の側部を前記第1の当接部と係合させるステップと、
前記スタッドを前記シールと係合させて前記リテーナを前記ハウジングから離れて付勢させるステップと、
前記リテーナ及び前記シールを通じて前記管体を挿入するステップと、
前記リテーナを前記ハウジングから前記軸線に沿ってロック位置まで移動させるステップと、
前記鉤状部を前記管体と係合させて前記管体を前記リテーナ内に固定するステップと、
前記スタッドが前記シールと係合することにより、ロック位置にあるときに前記リテーナを前記ハウジングから離れて付勢するステップと、
ロック位置にあるときに前記フィンガの第2の側部を前記第2の当接部と係合させて前記管体と前記鉤状部の係合を維持するようにするステップと、
を含む、方法。
【請求項21】
前記管体を挿入するステップと、前記ハウジングに向けて前記リテーナを移動させるステップとが同時に実施される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記管体が挿入された後、前記リテーナを前記ハウジングに向かって前記軸線に沿ってアンロック位置まで移動させるステップと、
前記アンロック位置にあるときに前記フィンガの第1の側部を前記第1の当接部と係合するステップと、
前記鉤状部を移動させて前記管体との係合を解除するステップと、
前記リテーナをアンロック位置に維持しながら、前記リテーナ及び前記シールから前記管体を取り外すステップと、
を含む、請求項20又は21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体的に、管体が結合された、流体を受け取り又は供給するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体輸送用途を有する多くの産業では、管体を別の機械的装置に迅速に取り付けて同様に分解する能力を得ようと取り組んでいる。特定の産業では、金属パイプを加締めるのではなくクイック接続具を利用している。長年にわたって多くの様々なクイック接続具が開発されてきた。クイック接続具の1つのタイプは、中心軸に沿って内部に配置されたプラスチック又は金属製のコレットを有する接続ポートを含む。管体は、クイック接続具に選択的に結合される。通常、コレットは、中心軸に沿って第1の方向に移動したときに管体の外部と係合するウェッジ部を含む。換言すると、コレットは、後方に引き戻されて接続ポート内のランプ部に添うようにされ、ウェッジが管体の外部と係合するように移動する。管体を取り外すために、コレットは、接続ポートに向けて第2の方向に押し付けられて、接続ポート内のランプ部に添うようにされ、ウェッジが管体の外部との係合から外れるように移動する。このような取付具の一例は、欧州特許第0247214号及び米国特許第5,584,513号で開示されている。
【0003】
コレットのウェッジ部は、管体が作動中に揺動又は振動したときに管体から係合解除される可能性がある。管体がポートに接続されたままであるのを確保するために、作動中にコレットが管体と係合されたままであることが重要である。加えて、製造コストが低く且つ必要な部品が少ない装置を開発することが望ましい。従って、ユーザが管体を取り外すのを望むまで管体とのフィンガの係合を維持し比較的少ない部品から形成され且つ製造が安価な装置を開発する機会が残されている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、管体が結合された流体を受け取り又は供給するための装置を提供する。装置は、ハウジングと、軸線に沿ってハウジングから延びる雌ポートとを含む。雌ポートは、係合面を有し、内部チャンバを定める。装置は更に、雌ポートの内部チャンバ内に配置されたリテーナを含む。リテーナは、ベースと、該ベースから延びて係合面を選択的に係合するフィンガと、管体を選択的に係合するためフィンガに近接した鉤状部とを有する。装置はまた、リテーナに隣接して雌ポートの内部チャンバ内に配置されるシールを含む。リテーナは、ベースから軸線に沿って鉤状部を超えて延びてシールを係合するスタッドを有し、これによりリテーナを軸線に沿ってハウジングから離れるように押し付けて、フィンガの係合面に対する移動並びに管体との鉤状部の係合を可能にする。
【0005】
加えて、本発明は、装置に管体を選択的に結合する方法を提供する。本方法は、リテーナを軸線に沿ってハウジングに向けてアンロック位置まで移動させるステップと、アンロック位置にあるときにフィンガの第1の側部を第1の当接部と係合させるステップと、スタッドをシールと係合させてリテーナを前記ハウジングから離れて付勢させるステップと、を含む。本方法は更に、リテーナ及びシールを通じて前記管体を挿入するステップと、リテーナをハウジングから軸線に沿ってロック位置まで移動させるステップと、鉤状部を管体と係合させて管体をリテーナ内に固定するステップと、スタッドがシールと係合することにより、ロック位置にあるときにリテーナをハウジングから離れて付勢するステップと、ロック位置にあるときにフィンガの第2の側部を第2の当接部と係合させて管体と鉤状部の係合を維持するようにするステップと、を含む。
【0006】
従って、本発明は、ユーザが管体を取り外すことを望むまで管体との係合を維持するように、ハウジング及びリテーナと管体の迅速な係合及び開放を可能にする装置を提供する。
【0007】
本発明の他の利点は、添付図面と共に以下の詳細な説明を参照することによってより良好に理解されることは容易に分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ハウジング、ハウジングから延びる雌ポート、及び雌ポートに結合される管体を含む装置の斜視図である。
【
図2】管体、リテーナ、及びシールを含む装置の分解図である。
【
図4】リテーナ上のフィンガが雌ポート上で入口ランプを係合するようにリテーナが雌ポート内に挿入されている、雌ポート、リテーナ、及びシールの断面図である。
【
図5】フィンガがロック位置で雌ポートの第2の当接部を係合している、雌ポート、リテーナ、及びシールの断面図である。
【
図6】リテーナがロック位置にある状態で管体がリテーナ内に配置された、雌ポート、リテーナ、及びシールの断面図である。
【
図7】リテーナがアンロック位置にあるときに、フィンガが雌ポートの第1の当接部を係合し、リテーナがシールを加圧している、雌ポート、リテーナ、シール、及び管体の断面図である。
【
図8】リテーナがロック位置にあるときに、フィンガが第2の当接部を係合し、鉤状部が管体を係合している、雌ポート、リテーナ、シール、及び管体の断面図である。
【
図9】アンロック位置でフィンガが第1の当接部を係合し、鉤状部が管体から係合解除され、リテーナが、シールを加圧している、雌ポート、リテーナ、シール、及び管体の断面図である。
【
図10】管体が雌ポートから取り外され、リテーナがロック位置に戻っている、雌ポート、リテーナ、シール、及び管体の断面図である。
【
図11】管体に配置されたプラスチック製インサートを含む装置の代替の実施形態の部分分解断面図である。
【
図12】ロック位置にあるときに、インサートがノッチを定め、該ノッチを鉤状部が受けている、雌ポート、リテーナ、シール、管体、及びインサートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
同じ参照符号が複数の図面を通じて同じ又は対応する要素を示す図を参照すると、流体を受け取り又は供給するための装置20が、
図1及び2に全体的に示されている。より具体的には、管体22は、流体を受け取り又は供給するための装置20に結合される。管体22は、何れかの好適な材料又は構成のものとすることができる。非限定的な実施例として、管体22は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)から形成することができる。流体は、ガス、液体、及び/又は他の何れかの好適な流体とすることができる。
【0010】
装置20は、流体を受け取り又は供給するためのハウジング24を含む。換言すると、流体は、ハウジング内に、又はハウジングから外に移送される。ハウジング24は、流体を受け取り又は供給するための何れかの好適な構成とすることができる。例えば、ハウジング24は、様々な用途で使用するために流体の流れを調節する空気圧バルブを有するバルブハウジングとすることができる。更に、ハウジング24は、何らかのタイプの「金属材料、ポリマー材料、複合材料、及び/又は他の何れかの好適な材料から形成することができる。
【0011】
装置20は更に、軸線Aに沿ってハウジング24から延びる雌ポート26を含む。雌ポート26は、ハウジング24と一体化されるか、或いは、例えば、ファスナー、溶接、及び/又は接着、その他などの何れかの好適な機構によってハウジング24に取り付けることができる。
図2及び
図4〜10の作動図で最もよく示されるように、雌ポート26は、係合面28を有し、内部チャンバ30を定める。雌ポート26はまた、軸線Aに対して半径方向に配置されたウィンドウ32を定め、係合面28がウィンドウ32を定める。ウィンドウ32は、雌ポート26の内部チャンバ30と交差する。
【0012】
係合面28は更に、互いに離間して配置された第1の当接部34及び第2の当接部36を定める。第1の当接部34は、第1のランプ38を含み、第2の当接部36は、第2のランプ40を含む。第1のランプ38は、第1のコーナ42まで延びて、該コーナは、平坦な構成、弓状構成、又は他の何れかの好適な構成を定めることができる。第1の当接部34は及び第1のコーナ42は、以下で更に考察する。第1及び第2のランプ38、40は、軸線Aに対してあらゆる好適な度数の角度を付けることができる点は理解されたい。
【0013】
雌ポート26はまた、第2のランプ40に隣接する入口ランプ44を含み、該入口ランプ44は、軸線Aに向けて傾斜している。換言すると、入口ランプ44は、ハウジング24に接近するにつれて軸線Aに漸次的に近接するように内向きに傾斜している。入口ランプ44及び第2のランプ40が交わって第2のコーナ46を定める。第2のコーナ46は、平坦構成、弓状構成、又は他の何れかの好適な構成を定めることができる。
【0014】
雌ポート26は更に、内部チャンバ30内に内壁48と、該内壁48に隣接する肩部50とを含む。内壁48はまた、第1のランプ38に隣接し、より具体的には、内壁48及び第1のランプ38が第1のコーナ42で交わる。加えて、肩部50は、軸線Aに向かって半径方向に延び、第1及び第2のランプ38、40から離間して配置される。
【0015】
雌ポート26の内部チャンバ30内に配置されたシール52を含む。シール52は、軸線Aに沿って互いから離間した第1の側部54及び第2の側部56を含み、該第1の側部54が雌ポート26を係合している。より具体的には、シール52は、雌ポート26の肩部50に当接し、更により具体的には、シール52の第1の側部54が肩部50に当接している。シール52は更に、第1及び第2の側部54、56に隣接した外面58を含み、内壁48を当接させるようにする。シール52は、軸線Aに沿って第1及び第2の側部54、56を貫通する孔60を定め、管体22を受け入れる。1つの実施形態において、シール52は、各々が孔60に隣接した第1の内面と第2の内面とを含む。第1及び第2の内面は、ウェッジ構成を有する断面輪郭を定めるよう傾斜している。ウェッジ構成は、管体22とのシール52の接触域を低減し、管体22の挿入を容易にすることができると同時に、更に管体22上で緊密なシール52を提供する。換言すると、シール52の孔60と管体22、並びに外面58及び内壁48は、流体が内部チャンバ30に漏洩するのを阻止するための締まり嵌めを形成する。
【0016】
装置20は更に、雌ポート26の内部チャンバ30内に配置されたリテーナ62を含み、シール52は該リテーナ62に隣接している。同様に
図3に示すように、リテーナ62は、ベース64と、該ベース64から延びて係合面28を選択的に係合するフィンガ66とを含む。リテーナ62は、管体22を受け入れるため軸線Aに沿ってベース64を貫通して延びるアパーチャ68を定める。フィンガ66は更に、互いに離間して配置された前側70及び後側72を含み、
図7及び8にそれぞれ示すように、前側70は、アンロック位置にあるときに係合面28を係合し、後側72は、ロック位置にあるときに係合面28を係合する。図面において配向されるように、前側70は、後側72よりもハウジング24により近接している。より具体的には、前側70は、アンロック位置にあるときに第1の当接部34を係合し、後側72は、ロック位置にあるときに第2の当接部36を係合する。更により具体的には、フィンガ66の前側70は、アンロック位置にて第1のランプ38を係合し、フィンガ66の後側72は、ロック位置において第2のランプ40の少なくとも端部を係合する。更に、フィンガ66の前側70は、アンロック位置にあるときに第1のコーナ42を係合し、フィンガ66の後側72は、ロック位置にあるときに第2のコーナ46を係合する。第2のコーナ46は、第2のランプ40の端部を少なくとも部分的に定める。リテーナ62は、入口ランプ44が軸線Aに向けて内向きに傾斜していることにより、内部チャンバ30内に保持される。より具体的には、リテーナ62は、第2のコーナ46により内部チャンバ30内に保持される。
【0017】
雌ポート26のウィンドウ32は、フィンガ66を受け入れる。ウィンドウ32は更に、互いに離間して配置された複数のウィンドウ32として定められる。1つの実施形態において、複数のウィンドウ32は、互いに180度離間して配置される。フィンガ66は更に、互いに離間して配置された複数のフィンガ66として定められ、フィンガ66がそれぞれのウィンドウ32内に配置されている。特定の実施形態において、フィンガ66は、互いに80度離間して配置される。
【0018】
フィンガ66は、互いに離間して配置された第1のローブ78及び第2のローブ80を有する遠位端76に延びる。第1のローブ78は、フィンガ66の前側70に隣接し、第2のローブ80は、フィンガ66の後側72に隣接している。ローブの少なくとも1つは、係合面28、より具体的には第1及び/又は第2のランプ38、40を選択的に係合する。第1のローブ78は、アンロック位置において第1のランプ38を係合する。第1のローブ78は、フィンガ66が第1のランプ38を係合するように丸みのある面を定める。丸みのある面は、あらゆる好適な構成とすることができる点を理解されたい。第2のローブ80は平坦面を定め、入口ランプ44及び第2のコーナ46を係合してフィンガ66が入口ランプ44を係合するようにする。平坦面は、あらゆる好適な構成とすることができる点を理解されたい。加えて、平坦面及び丸みのある面は、互いに離間して配置される。
【0019】
リテーナ62は更に、ベース64とフィンガ66との間に配置された一体ヒンジ86を含み、フィンガ66が軸線Aに対して半径方向に移動できるようにする。一体ヒンジ86は、必要に応じてフィンガ66を付勢可能にするあらゆる幅又は深さを有する点は理解されたい。
【0020】
リテーナ62は更に、フィンガ66に近接した鉤状部88を含み、管体22を選択的に保持するようにする。1つの実施形態において、鉤状部88は、フィンガ66と一体的に形成され、フィンガ66の前側70が第1の当接部34を係合したときには、鉤状部88が軸線Aから離れて移動して管体22の取り外しを可能にするようにし、フィンガ66の後側72が第2の当接部36を係合したときには、鉤状部88が軸線Aに向かって移動して管体22をリテーナ62内に固定するようにする。鉤状部88は更に、互いに離間して配置された複数の鉤状部を定め、鉤状部88の各々はそれぞれのフィンガ66に近接している。更に、1つの実施形態において、鉤状部88の各々は、それぞれのフィンガ66条で一体的に形成される。鉤状部88は、接着、ファスナー、及び/又は他の何らかの好適な手段によりフィンガ66に結合することができる点は理解されたい。1つよりも多くの鉤状部88が管体22を係合するためフィンガ66の各々に近接することができる点は理解されたい。
【0021】
リテーナ62はまた、ベース64から軸線Aに沿って鉤状部88を超えて延びてシール52を係合するスタッド90を有し、これによりリテーナ62を軸線Aに沿ってハウジング24から離れるように押し付けて、フィンガ66の係合面28に対する移動並びに管体22の保持のための鉤状部88の係合を可能にする。スタッド90は、ベース64から遠位面92まで延びてシール52を係合し、より具体的には、遠位面92は、シール52の第2の側部56を係合する。スタッド90は、遠位面92に向けてテーパが付けられている。スタッド90のテーパは、遠位端76の表面域を減少させ、スタッド90が、シール52の第2の側部56を肩部50に向けて所定距離だけ圧縮させることを可能にする。この圧縮により、リテーナ62は、第1の当接部34と第2の当接部36との間を前後に移動できるようになる。スタッド90は更に、互いに離間して配置された複数のスタッド90を定め、スタッド90の各々は、フィンガ66のペアの間に配置される。従って、フィンガ66及び鉤状部88は、スタッド90と干渉することなく移動し、シール52の付勢がフィンガ66及び鉤状部88に対して均一に分散されるよう確保される。
【0022】
雌ポート26内でのリテーナ62の組み付け中、フィンガ66は入口ランプ44を係合する。より具体的には、遠位端76は、入口ランプ44を係合して載り上がる。挿入が完了すると、フィンガ66は入口ランプ44を係合解除し、ウィンドウ32内に配置される。
【0023】
代替の実施形態において、
図11及び12に示すように、装置20は、以下で更に考察される可聴フィードバックを提供する。従って、装置20は更に、管体22を固定するため軸線Aに沿った突出部96を有するプラスチック製インサート94を含む。突出部96は更に、歯状部98を含む。管体22は、内面100を含み、歯状部98が内面100を係合して、プラスチック製インサート94を管体22に結合するようにする。プラスチック製インサート94は更に、流体を移送するため軸線Aに沿った通路102を定め、プラスチック製インサート94が、リテーナ62内のアパーチャ68及びシール52の孔60の両方に少なくとも部分的に配置されるようになる。プラスチック製インサート94は、ロック位置にあるときに可聴フィードバックを提供するため、鉤状部88を受けるための少なくとも1つのノッチを定める外面104を含む。
【0024】
本発明はまた、ハウジング24と、軸線Aに沿ってハウジング24から延びる雌ポート26とを有し且つ雌ポート26が第1の当接部34及び第2の当接部36を定めるようになった装置20に管体22を選択的に結合する方法を開示している。雌ポート26内にリテーナ62が配置され、該リテーナ62は、ベース64と、スタッド90と、前側又は第1の側部70及び後側又は第2の側部72を有するフィンガ66と、鉤状部88とを含む。シール52もまた、雌ポート26内に配置される。本方法は、リテーナ62を軸線Aに沿ってハウジング24に向けてアンロック位置まで移動させるステップと、
図7に示すようにアンロック位置にあるときにフィンガ66の前側又は第1の側部70を第1の当接部34と係合させるステップとを含む。本方法は更に、スタッド90をシール52と係合させてリテーナ62をハウジング24から離れて付勢させるステップと、リテーナ62及びシール52を通じて管体22を挿入するステップと、リテーナ62をハウジング24から軸線Aに沿ってロック位置まで移動させるステップと、鉤状部88を管体22と係合させて
図7及び8に示すように管体22をリテーナ62内に固定するステップと、を含む。更に、本方法は、スタッド90がシール52と係合することにより、ロック位置にあるときにリテーナ62をハウジング24から離れて付勢するステップと、ロック位置にあるときにフィンガ66の後側又は第2の側部72を第2の当接部36と係合させて管体22と鉤状部88の係合を維持するようにするステップと、を含む。1つの実施形態において、管体22を挿入するステップと、ハウジング24に向けてリテーナ62を移動させるステップとは同時に実施される。
【0025】
管体22を装置20から取り外すために、本方法は、
図9に示すように管体22が挿入された後、リテーナ62をハウジング24に向かって軸線Aに沿ってアンロック位置まで移動させるステップを含む。本方法は更に、アンロック位置にあるときにフィンガ66の前側又は第1の側部70を第1の当接部34と係合するステップと、鉤状部88を移動させて管体22との係合を解除するステップと、リテーナ62を
図9及び10に示すアンロック位置に維持しながら、リテーナ62及びシール52から管体22を取り外すステップと、を含む。
【0026】
本発明を例証として説明してきたが、使用された用語は、限定ではなく説明のための用語の性質を意図している点を理解されたい。当業者には理解されるように、上記の教示に照らして本発明の多くの修正形態及び変形形態が実施可能である。従って、参照符号が単に便宜上のものであり、どのようにも限定するものではない添付の請求項の範囲内において、本発明を具体的に説明したもの以外に実施することができる点は、理解されたい。
【符号の説明】
【0027】
22 管体
24 ハウジング
26 雌ポート
28 係合面
30 内部チャンバ
34 第1の当接部
36 第2の当接部
38 第1のランプ
40 第2のランプ
42 第1のコーナ
46 第2のコーナ
52 シール
62 リテーナ
66 フィンガ
70 前側
72 後側
88 鉤状部