特許第5740011号(P5740011)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5740011自動変速機のコントロールバルブボディ構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740011
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】自動変速機のコントロールバルブボディ構造
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20150604BHJP
【FI】
   F16H61/00
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-556353(P2013-556353)
(86)(22)【出願日】2013年1月24日
(86)【国際出願番号】JP2013051442
(87)【国際公開番号】WO2013115057
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2014年4月17日
(31)【優先権主張番号】特願2012-17950(P2012-17950)
(32)【優先日】2012年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】島田 勝
(72)【発明者】
【氏名】石井 英樹
(72)【発明者】
【氏名】漆畑 多人
(72)【発明者】
【氏名】野々村 明郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 健司
(72)【発明者】
【氏名】中澤 秀樹
【審査官】 小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−101355(JP,U)
【文献】 実開平02−098253(JP,U)
【文献】 実開昭59−036814(JP,U)
【文献】 特開2008−248923(JP,A)
【文献】 特開平09−269065(JP,A)
【文献】 特開2007−127190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブボディ本体の間にセパレートプレートを挟み込んで構成された自動変速機のコントロールバルブボディの構造において、
前記セパレートプレートを挟んでその両側に位置するバルブボディ本体のうち前記セパレートプレートとの対向面にそれぞれに溝が形成されていて、
これらの溝は前記セパレートプレートにて隔離されることによりそれぞれに油路を形成しているとともに、
前記セパレートプレートを挟んで一方側の油路と他方側の油路とが前記セパレートプレートに設けたオリフィスを介して互いに連通していて、
前記双方の油路のうち下流側の油路となる溝が形成されたバルブボディ本体では、少なくとも前記オリフィスに対向する部分での前記溝の深さが上流側の油路となる溝の深さよりも浅く形成されていて、
前記オリフィスに対向する部分での前記溝の深さhと前記オリフィスの直径dとがh≦3dの関係を満たすように設定してある自動変速機のコントロールバルブボディ構造。
【請求項2】
前記オリフィスに対向する部分に深さhの溝が形成されたバルブボディ本体には、前記オリフィスが形成されたセパレートプレート側に向けて突出部を形成してあり、
この突出部に、前記オリフィスと対向する対向面を形成してある請求項1に記載の自動変速機のコントロールバルブボディ構造。
【請求項3】
前記突出部に形成された対向面は、前記オリフィスが形成されたセパレートプレートと平行なものである請求項2に記載の自動変速機のコントロールバルブボディ構造。
【請求項4】
前記対向面の面積は前記直径dのオリフィスの面積よりも大きいものである請求項3に記載の自動変速機のコントロールバルブボディ構造。
【請求項5】
前記オリフィスに対向する部分に深さhの溝が形成されたバルブボディ本体には、前記オリフィスと対向する部分に円錐台形状の突出部を形成してある請求項1に記載の自動変速機のコントロールバルブボディ構造。
【請求項6】
前記突出部の頂部平面部は前記オリフィスが形成されたセパレートプレートと平行であって、且つ当該突出部の頂部平面部の面積は前記直径dのオリフィスの面積よりも小さいものである請求項5に記載の自動変速機のコントロールバルブボディ構造。
【請求項7】
前記突出部に形成された対向面は、前記オリフィスが形成されたセパレートプレートと非平行なものである請求項2に記載の自動変速機のコントロールバルブボディ構造。
【請求項8】
前記対向面の面積は前記直径dのオリフィスの面積よりも大きいものである請求項7に記載の自動変速機のコントロールバルブボディ構造。
【請求項9】
前記対向面は、前記深さhの溝を含むかちで形成される下流側の油路の上流側から下流側に向かって下り勾配で傾斜する傾斜面として形成されているものである請求項8に記載の自動変速機のコントロールバルブボディ構造。
【請求項10】
前記オリフィスはその平面形状が非円形の略内歯形状のものである請求項1〜9のいずれか一つに記載の自動変速機のコントロールバルブボディ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機のコントロールバルブボディの構造、特にコントロールバルブボディにおけるセパレートプレートの振動対策構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は従来例の車両用自動変速機におけるコントロールバルブボディの油路の概略を説明するための図である。図6の(a)はコントロールバルブボディにおける油路を模式的に示した断面図であり、(b)は同図(a)のA−A線に沿った断面図であり、(c)は同図(a)における領域Bを拡大した図であって、セパレートプレートの振動を説明する図であり、(d)はセパレートプレートにおけるオリフィス近傍領域の拡大説明図である。
【0003】
車両用自動変速機のコントロールバルブボディは、重ね合わせたバルブボディ本体100,110同士の間にセパレートプレート120を挟み込んだ基本構成を有している。各バルブボディ本体100,110では、隣接するバルブボディ本体との対向面に溝100a,110aが形成されており、バルブボディ本体100,110同士の間に挟み込んだセパレートプレート120により溝100a,110aの開口が塞がれることで両者が隔離されて、それぞれに作動油が通流する油路101,102が画成されている。
【0004】
コントロールバルブボディ内には、油路の他に、ソレノイドやスプール(いずれも図示せず)などが設けられており、車両用自動変速機ではこれらのソレノイドやスプールを駆動して作動油を供給する油路を切り替えることで、所定の摩擦締結要素に作動油が供給されるようになっている。
【0005】
コントロールバルブボディでは、セパレートプレート120を挟んで一方側の油路101と他方側の油路102とが、セパレートプレート120に設けたオリフィス121を介して互いに連通している箇所があり、かかる箇所では、例えば一方の油路101内の作動油がオリフィス121を通って他方の油路102内に押し出されるようになっている。
【0006】
ここで、オリフィス121を通って油路102内に押し出される作動油は、オリフィス121の中心軸Xに沿って移動し、オリフィス121の延長上を中心軸Xに沿って流れる作動油の流れF1(図6の(c)参照。)を形成する。この作動油の流れF1と、オリフィス121の延長上から外側に外れた位置の作動油の流れF2との間には流速差があるので、この流速差に起因する渦輪Sが作動油中に発生する。
【0007】
図6の(b)に示すように、オリフィス121は平面視にて円形状をなす小孔であるので、油路102内に形成される渦輪Sはオリフィス121の中心軸Xを囲むように環状に形成される。そして、油路102内に形成される渦輪Sは、中心軸Xに沿ってオリフィス121から離れる方向に移動しながら成長し、最終的に中心軸Xを同心軸とした複数の渦輪Sがオリフィス121の貫通方向(中心軸Xの軸方向)に連続して発生する。
【0008】
ここで、渦輪Sは、いわゆるカルマン渦とは相違する渦であり、セパレートプレート120のオリフィス121に起因して下流側の油路102内に発生する渦であって、コントロールバルブボディのオリフィス121を通過した噴流の渦である。
【0009】
オリフィス121の貫通方向に連続して発生した渦輪Sでは、隣り合う渦輪S,S間の部分Sdの圧力が、渦輪Sの中心部Scよりも高くなる。そのため、油路101内の作動油がオリフィス121を通って油路102内に押し出される際に、油路102内のオリフィス121近傍の圧力が、連続して発生する渦輪Sに起因して上下変動を繰り返すことになる。
【0010】
ここで、セパレートプレート120におけるオリフィス121の近傍領域120aは、バルブボディ本体100,110の間に挟み込まれるかたちでは支持されておらず、オリフィス121の貫通方向(セパレートプレート120の直交方向)に対する剛性が低くなっている。そのため、油路102内のオリフィス121近傍の圧力が上下変動すると、セパレートプレート120におけるオリフィス121の近傍領域120aが、この圧力の変動により、オリフィス120の貫通方向に振動し(図中矢印a参照)、かかる振動に起因して音が発生することがある。
【0011】
このセパレートプレート120の振動に起因する音の抑制対策として、図6の(d)に示すように、セパレートプレート120に形成されたオリフィス121の下流側開口縁に、例えばコイニング加工をもって円錐面122を形成することが有効であるとされている。なお、この技術は、例えば特許文献1に開示されている。
【0012】
この構造によれば、図6の(d)に示すように、円錐面122により作動油の流れF1’を遅くして、作動油の流れF1’と作動油の流れF2との流速差を小さくすることで、セパレートプレート120におけるオリフィス121の近傍領域120aでの振動を抑えて、それに起因する音を抑制している。
【0013】
しかしながら、上記円錐面122による流速抑制効果だけでは不十分で、セパレートプレート120におけるオリフィス121の近傍領域120aでの振動やそれに伴う音の発生を十分に抑えることができず、さらなる対策が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】実開昭63−101355号公報
【発明の概要】
【0015】
本発明は、上記のような課題に着目してなされたものであり、その目的は、セパレートプレート120に形成されたオリフィスの近傍領域での振動とそれに伴う音の発生を十二分に抑制できる構造を提供することにある。
【0016】
本発明は、先に述べたように、バルブボディ本体の間にセパレートプレートを挟み込んで構成された自動変速機のコントロールバルブボディの構造である。そして、前記セパレートプレートを挟んでその両側に位置するバルブボディ本体のうち前記セパレートプレートとの対向面にそれぞれに溝が形成されていて、これらの溝は前記セパレートプレートにて隔離されることによりそれぞれに油路を形成しているとともに、前記セパレートプレートを挟んで一方側の油路と他方側の油路とが前記セパレートプレートに設けたオリフィスを介して互いに連通している。その上で、前記双方の油路のうち下流側の油路となる溝が形成されたバルブボディ本体では、少なくとも前記オリフィスに対向する部分での前記溝の深さが上流側の油路となる溝の深さよりも浅く形成されていて、前記オリフィスに対向する部分での前記溝の深さhと前記オリフィスの直径dとがh≦3dの関係を満たすように設定してある。
【0017】
本発明によれば、下流側の油路となる溝が形成されたバルブボディ本体では、オリフィスに対向する溝の深さhが他の溝の深さよりも浅くされていると共に、オリフィスの直径dに対してh≦3dの関係を満たすように設定されているので、オリフィスの貫通方向に渦輪が連続して形成されることが防止される。そのため、下流側の油路内で、オリフィス近傍の圧力が渦輪に起因して上下変動することを阻止できるので、セパレートプレートに形成されたオリフィスの近傍領域が振動するのを抑制できるとともに、その振動に起因する音の発生も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るコントロールバルブボディ構造の第1の実施の形態を示す断面図である。
図2図1のの要部を拡大した図である。
図3】本発明に係るコントロールバルブボディ構造の第2の実施の形態を示す断面図である。
図4】本発明に係るコントロールバルブボディ構造の第3の実施の形態を示す断面図である。
図5】本発明に係るコントロールバルブボディ構造の第4の実施の形態として、いくつかの変形例をを示す断面図である。
図6】従来の車両用自動変速機のコントロールバルブボディにおける油路を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明に係るコントロールバルブボディ構造の第1の実施の形態を示していて、(a)はその断面図であり、(b)は同図(a)のA−A線に沿った断面図であり、(c)は同図(a)におけるC−C線に沿った断面図であり、(d)は同図(a)のB−B線に沿った断面図である。さらに、図2の(a)は図1の(a)における領域Dを拡大した図であり、図2の(b)は渦輪の形成を説明する図である。
【0020】
車両用の自動変速機のコントロールバルブ1は、重ね合わせたバルブボディ本体10,20同士の間にセパレートプレート30を挟み込んだ基本構成を有している。各バルブボディ本体10,20では、隣接するバルブボディ本体との対向面に溝10a,20aが形成されており、バルブボディ本体10,20同士の間に挟み込んだセパレートプレート30により溝10a,20aの開口が塞がれることで両者が隔離されて、それぞれに作動油が通流する油路11,21が画成されている。
【0021】
コントロールバルブボディ1では、セパレートプレート30を挟んで一方側の油路11と他方側の油路21とが、セパレートプレート30に設けたオリフィス31を介して連通している箇所があり、かかる箇所では、例えば一方の油路11内の作動油が、オリフィス31を通って他方の油路21内に移動するようになっている。
【0022】
図1の(d)に示すように、オリフィス31は平面視にて円形状をなす小孔であり、直径dで形成されている。オリフィス31は、セパレートプレート30を厚み方向(バルブボディ本体10,20の積層方向)に貫通して形成されており、油路11からオリフィス31を通って油路21内に向かう作動油が、オリフィス31の中心を通る中心軸Xに沿って、図2の(a)に矢印F1で示すようにオリフィス31の貫通方向に流れるようになっている。
【0023】
作動油の通流方向における下流側の油路21では、油路21を画成するバルブボディ本体20の溝20aの深さが、オリフィス31に対向する領域およびその近傍領域と、その他の領域とで異なっており、オリフィス31に対向する領域とその近傍領域の深さhが、その他の領域の深さH1よりも浅くなっている。これにより、図1の(b),(c)に示すように、油路21では、オリフィス31に対向する領域およびその近傍領域の流路断面積Dが、他の領域の流路断面積D1よりも小さくなっている。
【0024】
本実施の形態では、バルブボディ本体20の溝20a内に、その溝20aの開口側に向かって、すなわちオリフィス31に向かって突出する突出部22が形成されており、この突出部22により溝20aの深さが浅くなっている。突出部22は、バルブボディ本体20と一体に形成されており、溝20aの長手方向(図1の(a)の左右方向)で、オリフィス31の位置を基準として、オリフィス31の直下と、その直下の位置から上流側と下流側の所定範囲に亘って設けられている。突出部22のうちセパレートプレート30との対向面22aは、セパレートプレート30に対して平行な平坦面となっており、この対向面22aはオリフィス31の貫通方向に対して直交している。すなわち、対向面22aはオリフィス31が形成されたセパレートプレート30と平行であり、且つ直径dのオリフィス31の面積よりも広いとなっている。
【0025】
図2に示すように、本実施の形態では、オリフィス31(セパレートプレート30の下面30b)から対向面22aまでの深さhが、オリフィス31の貫通方向(セパレートプレート30の直交方向)で、渦輪Sが形成されるのに必要な距離Lよりも小さくなるように設定されている。この距離Lは、シミュレーションや実験の結果などから、オリフィス31の直径dに依存し、そのオリフィス31の直径dの3倍の大きさを超えると渦輪Sが形成されることが判明している。そこで、本実施の形態では、h≦3d(=L)の関係が満たされるように、図1の(a)に示すように、突出部22の溝20aの底からの突出高さH2を設定している。
【0026】
かかる突出部22を備える油路21では、オリフィス31を通って油路21内に流入し、油路21内にオリフィス31の貫通方向に向かう流れ(図2の矢印F1)を形成した作動油は、突出部22に衝突して、その通流方向が、図2に矢印F2で示すように、オリフィス31の貫通方向とは異なる方向に曲げられることになる。
【0027】
先に述べたように、渦輪Sは、作動油がオリフィス31の貫通方向に沿って、所定距離L(=3d)以上流れると発生するので、オリフィス31から対向面22aまでの深さhを上記のように設定することで、渦輪Sが発生する前に作動油の流れを乱して、オリフィス31の貫通方向で渦輪が連続して発生することを防止できる。
【0028】
さらに、図2に示すように、オリフィス31を通過した作動油が対向面22aに衝突することで、オリフィス31の直下に、突出部22が設けられていない部分よりも圧力の高い高圧領域Hが形成される。この高圧領域Hは、オリフィス31の直下とその近傍に形成されるため、油路21内のオリフィス31の近傍領域Rの圧力が高くなる。そうすると、かかる状況のもとで、新たにオリフィス31を通過して、オリフィス31の貫通方向に向かう流れ矢印F1を形成した作動油は、オリフィス31を通過し高圧領域Hに達するまでの間、高い圧力により流れが妨げられて、その流速が遅くなる。これにより、オリフィス31の周囲の作動油と、オリフィス31を通過した作動油との流速差が小さくなるので、オリフィス31を通過した作動油による作用が小さくなって渦流(渦輪)が発生したとしても弱い渦の発生となる。そのため、仮に油路21内に渦輪が形成されたとしても、流速差が小さくなったことに起因して、油路21内に形成される渦の大きさが、高圧領域Hが形成されていない従来の場合に比べて小さくなる。
【0029】
その結果として、渦輪の中心(図6のSc参照)の圧力と、渦輪の周囲(図6のSd参照)の圧力との差は、近傍領域Rの圧力が高くない場合よりも小さくなる。これにより、油路21内で、オリフィス31の貫通方向で渦輪が連続して発生したとしても、セパレートプレート30の下面30b側の圧力が周期的に大きく上下変動することがないので、セパレートプレート30におけるオリフィス31の近傍領域30aの振動を抑えることができ、セパレートプレート30の振動による音の発生を抑制できる。
【0030】
以上の通り、本実施の形態では、自動変速機のコントロールバルブボディ1におけるセパレートプレート30の振動対策構造として、コントロールバルブボディ1は、重ね合わせたバルブボディ本体10,20同士の間にセパレートプレート30を挟み込んで構成されていることを前提としている。そして、バルブボディ本体10,20のうち相手側のバルブボディ本体との対向面にそれぞれ形成された溝10a,20aの開口がセパレートプレート30により塞がれて、セパレートプレート30を挟んで一方側と他方側にそれぞれ油路11,21が形成されているものである。
【0031】
さらに、セパレートプレート30を挟んで一方側の油路11と他方側の油路21とが、セパレートプレート30に設けたオリフィス31を介して互いに連通しており、一方側の油路11と他方側の油路21のうち、下流側の油路21となる溝20aが形成されたバルブボディ本体20において、溝20a内に当該溝20aの開口側に突出する突出部22を設けて、溝20aのオリフィス31に対向する領域の深さhを、突出部22が設けられていない他の領域の深さH1よりも浅くしたものである。
【0032】
このように構成することで、オリフィス31の直下の溝20aの深さが浅くなるので、下流側の油路21内で、オリフィス31の貫通方向で渦輪が連続して発生することが防止される。これにより、下流側の油路21内で、セパレートプレート30におけるオリフィス31の近傍領域Rで圧力が周期的に上下変動することを阻止できるので、セパレートプレート30におけるオリフィス31の近傍領域30aが振動して音を発生することを防止できる。
【0033】
また、バルブボディ本体20の溝20aの深さを浅くするだけで、セパレートプレート30におけるオリフィス31の近傍領域30aの振動を抑えて、それに起因する音を抑制できるので、コントロールバルブボディに必要以上の加工を加える必要がない。よって、製作コストを増加させずに、振動とそれに起因する音の発生を抑制できる。
【0034】
さらに、オリフィス31の直下に高圧領域Hが形成されて、オリフィス31の貫通方向に向かう流れF1を形成した作動油の流速が遅くなり、オリフィス31の直下から外れた周囲の作動油の流れとの流速差が小さくなるので、仮に油路21内に渦流(渦輪)が発生したとしても、弱い渦の発生となって、油路21内に形成される渦輪が小さくなる。
【0035】
その結果として、渦輪の中心の圧力と、渦輪の周囲の圧力との差が小さくなるので、仮に油路21内のオリフィス31の延長上に渦輪が連続して形成されたとしても、渦輪の中心と、渦輪と渦輪の間の部分との圧力差が小さくなって、セパレートプレート30の下面30b側の圧力が周期的に大きく上下変動することを抑制できる。よって、セパレートプレート30におけるオリフィス31の近傍領域30aの振動を抑えて、セパレートプレート30の振動による音の発生を抑制できる。
【0036】
さらにまた、オリフィス31から、当該オリフィス31の直下の突出部22の対向面22a(油路の底)までの深さhと、オリフィス31の直径dとの関係が、h≦3d(=L)の関係を満たすように設定して、深さhが、オリフィス31の貫通方向で最初の渦輪が形成されるのに必要な距離L以下となるように設定した。
【0037】
このように構成することにより、オリフィス31直下の溝20aの深さが、渦輪の発生と成長に必要な深さよりも浅くなって、オリフィス31の直下に最初の渦輪が形成される前に、作動油の流れが乱されることになる。これにより、油路21内で、オリフィス31の貫通方向で渦輪が連続して発生することを防止できる。
【0038】
また、仮に渦輪Sが形成されたとしても、オリフィス31を通過した作動油の進行方向が突出部22の対向面22aにより曲げられるので、渦輪Sが成長してオリフィス31の貫通方向で渦輪が連続して形成されることがない。
【0039】
さらに、オリフィス31の直下に高圧領域Hが形成されることで、オリフィス31の貫通方向に向かう作流れF1を形成した作動油の流速が遅くなり、オリフィス31の直下から外れた周囲の作動油の流れとの流速差が小さくなるので、仮に油路21内に渦流(渦輪)が発生したとしても、弱い渦の発生となって、油路21内に形成される渦輪が小さくなる。
【0040】
その結果として、渦輪の中心の圧力と、渦輪の周囲の圧力との差が小さくなるので、仮に油路21内のオリフィス31の延長上に渦輪が連続して形成されたとしても、渦輪の中心と、渦輪と渦輪の間の部分との圧力差が小さいので、セパレートプレート30の下面30b側の圧力が周期的に大きく上下変動することを抑制できる。
【0041】
次に本発明の第2の実施の形態として、下流側の油路における突出部の別の例を説明する。図3は第2の実施の形態に係る突出部を説明する図であって、(a)は油路21の長手方向に沿ってコントロールバルブボディを切断した断面図であり、(b)は同図(a)のA−A線に沿った断面図であり、(c)は同図(a)における領域Bの拡大図である。
【0042】
本実施の形態に係る突出部25は、円錐台形状を有しており、オリフィス31の中心を通ると共にオリフィス31の貫通方向に延びる中心軸X上で、小径の頂部平面部25aを、オリフィス31側に向けて設けられている。
【0043】
頂部平面部25aは、セパレートプレート30に対して平行な平坦面となっており、オリフィス31を通過する作動油の進行方向(図中矢印F1参照)に対して直交している。本実施の形態では、オリフィス31(セパレートプレート30の下面30b)から頂部平面部25aまでの深さhが、オリフィス31の貫通方向で最初の渦輪が形成されるのに必要な距離Lよりも小さくなるように設定されており、先に説明した第1の実施の形態の場合と同様に、h≦3d(=L)の関係が満たされるように、突出部25の溝20aの底からの突出高さH2が設定されている。なお、図2から明らかなように、突出部25における頂部平面部25aの面積は、直径dのオリフィス31の面積よりも小さいものとなっている。
【0044】
突出部25の外周面25bは、中心軸Xに対して所定角度θをもって傾斜しており、オリフィス31を通って油路21内に流入した作動油が、この外周面25bにより、中心軸Xから離れる方向に誘導されて、オリフィス31の中心軸Xから見て放射状に広がる方向の流れに変換されるようになっている。
【0045】
かかる突出部25を備える油路21では、オリフィス31を通って油路21内に流入した作動油の流れ(図3の(c)の矢印F1参照)が、突出部25により妨げられて、オリフィス31の貫通方向とは異なる方向に曲げられることになる(矢印F2参照)。
【0046】
ここで、オリフィス31(セパレートプレート30の下面30b)と突出部25との離間距離が最も狭くなる頂部平面部25aまでの深さhが、オリフィス31の貫通方向で最初の渦輪が形成されるのに必要な距離Lよりも小さくなるように設定されている(h≦3d)ので、渦輪が発生する前に作動油の流れを乱して、オリフィス31の貫通方向で連続して渦輪が発生し、かつ成長することを防止できる。
【0047】
さらに、突出部25の場合にもオリフィス31の直下に高圧領域Hが形成されるので、仮に油路21内に渦流(渦輪)が発生したとしても、弱い渦の発生となって、油路21内に形成される渦輪が小さくなる。これにより、渦輪の中心の圧力と、渦輪の周囲の圧力との差が小さくなるので、仮に油路21内のオリフィス31の延長上に渦輪が連続して形成されたとしても、渦輪の中心と、渦輪と渦輪の間の部分との圧力差が小さいので、セパレートプレート30の下面30b側の圧力が周期的に大きく上下変動することを抑制できる。
【0048】
以上の通り、溝20a内のオリフィス31の直下の位置に、円錐台形状の突出部25を、頂部平面部25aをオリフィス31側に向けて形成すると共に、オリフィス31(セパレートプレート30の下面30b)から平面部25aまでの深さhを、突出部25が設けられていない領域の深さH1よりも浅くした構造としてある。
【0049】
このように構成することによっても、オリフィス31の貫通方向で渦輪が連続して発生することを防止して、下流側の油路21内で、セパレートプレート30のオリフィス31の近傍領域Rの圧力が周期的に上下変動することを阻止できるので、セパレートプレート30のオリフィスの近傍領域30aが振動して音を発生することを防止できる。
【0050】
なお、本実施の形態では、突出部25が円錐台形状である場合を例示したが、円錐形状や円柱形状としても良い。さらに、四角錐、四角錐台、四角柱などのように、多角錐形状、多角錐台形状、多角柱形状などとしても良い。かかる場合にも、同様の効果が奏されることになる。
【0051】
次に本発明の第3の実施の形態として、下流側の油路における突出部のさらに別の例を説明する。図4は第3の実施の形態に係る突出部を説明する図であって、(a)は油路21の長手方向に沿ってコントロールバルブボディを切断した断面図であり、(b)は同図(a)におけるA−A線に沿った断面図であり、(c)は同図(a)における領域Bの拡大図である。
【0052】
この第3の実施の形態に係る突出部26は、バルブボディ本体20と一体に形成されており、溝20aの長手方向(図4の(a)における左右方向)で、オリフィス31の直下と、その直下の位置から上流側と下流側の所定範囲に亘って設けられている。
【0053】
突出部26のうちセパレートプレート30との対向面26aは、セパレートプレート30に対して非平行であって、所定角度θ1をもって傾斜した平坦な傾斜面となっており、セパレートプレート30の油路21側の下面30bから、突出部26の対向面26aまでの離間距離が、油路21の下流側に向かうにつれて大きくなっている。また、オリフィス31の直下の部分における、オリフィス31から対向面26aまでの最小の深さhが、オリフィス31の貫通方向で最初の渦輪が形成されるのに必要な距離Lよりも小さくなるように設定されており、先に説明した第1の実施の形態の場合と同様に、h≦3d(=L)の関係が満たされるように、対向面26aの傾きθ1が設定されている。なお、図4から明らかなように、対向面26aの面積は、直径dのオリフィス31の面積よりも大きいものとなっている。
【0054】
かかる突出部26を備える油路21では、オリフィス31を通って油路21内に流入し、油路21内にオリフィス31の貫通方向に向かう流れ(図4の矢印F1参照)を形成した作動油は、その通流方向が、突出部26の対向面26aにより、油路21の下流方向に曲げられることになる(矢印F2参照)。そして、オリフィス31の直下における油路21の上流側Uでは、オリフィス31から対向面26aまでの最小の深さhが、オリフィス31の貫通方向で最初の渦輪が形成されるのに必要な距離Lよりも小さくなるように設定されている(h≦3d)ので、渦輪が発生する前に作動油の流れを乱して、オリフィス31の貫通方向で連続して渦輪が発生し、成長することを防止できる。
【0055】
さらに、図4の(c)から明らかなように、オリフィス31の直下における油路21の下流側Dでは、オリフィス31から対向面26aまでの最小の深さh’が、上流側の深さhよりも深く(大きく)なっており、上流側Uよりも渦輪が形成され易くなっている。しかし、上流側Uの対向面26aで進行方向を変えられた作動油の流れF2が下流側Dを横切るように、対向面26aが傾斜しているので、この作動油の流れF2により、下流側Dでの渦輪の発生が阻止されるようになっている。
【0056】
また、オリフィス31を通過した作動油が対向面26aに衝突して、その進行方向が変えられるようになっているので、先に説明した各実施の形態の場合と同様に、オリフィス31の直下に瞬間的に高圧領域Hが形成される。
【0057】
そして、かかる状況のもとで、新たにオリフィス31を通過して、オリフィス31の貫通方向に向かう流れ矢印F1を形成した作動油は、オリフィスを通過し高圧領域Hに達するまでの間、高い圧力により流れが妨げられて、その流速が遅くなる。これにより、オリフィス31の周囲の作動油と、オリフィスを通過した作動油との流速差が小さくなるので、オリフィス31を通過した作動油による作用が小さくなって渦流が発生したとしても弱い渦発生となる。
【0058】
そうすると、仮に油路21内のオリフィス31の延長上に渦輪が連続して形成されたとしても、渦輪の中心と、渦輪と渦輪の間の部分との圧力差が、高圧領域Hが形成されていない場合よりも小さくなるので、セパレートプレート30の下面30b側の圧力が周期的に大きく上下することを抑制できる。これにより、セパレートプレート30におけるオリフィス31の近傍領域30aの振動を抑えることができ、セパレートプレート30の振動による音の発生を抑制できる。
【0059】
以上の通り、溝20a内のオリフィス31の直下とその近傍に、セパレートプレート30に対して傾斜した対向面26aを備える突出部26を形成して、オリフィス31(セパレートプレート30の下面30b)から対向面26aまでの深さhが、油路21の下流側に向かうにつれて大きくなるようにし、オリフィス31の直下の部分におけるオリフィス31から対向面26aまでの最小の深さhと、オリフィス31の直径dとの関係が、h≦3d(=L)の関係を満たすように設定して、深さhが、オリフィス31の貫通方向で最初の渦輪が形成されるのに必要な距離L以下となるように設定した。
【0060】
このように構成することによっても、オリフィス31の貫通方向に渦輪が連続して形成されることを防止して、下流側の油路21内で、セパレートプレート30のオリフィス31の近傍領域Rの圧力が上下変動することを阻止できるので、セパレートプレート30のオリフィスの近傍領域30aが振動して音を発生することを防止できる。
【0061】
ここで、これまでに説明した各実施の形態では、オリフィス31の形状が、中心軸Xからの距離が等しい円形である場合を例に挙げて説明をした。その一方、下流側の油路内に形成される渦輪に対するシミュレーションや実験の結果、オリフィス31の形状も渦輪の形成に影響しており、オリフィス31を通過した作動油により、オリフィス31の直下に、オリフィス31の周囲よりも速い流れがオリフィス31の貫通方向(中心軸X方向)に沿って所定距離X以上形成されると、渦輪が連続して発生することが判明した。
【0062】
そこで、ここでは先に述べたオリフィスの形状の変形例として、連続した渦輪の発生を抑えることができるオリフィスの形状を説明する。
【0063】
図5はオリフィスの形状と、下流側の油路における作動油の速さを説明する図であり、(a)は略十字形状のオリフィス35を、(c)は略星形状のオリフィス36を、(e)はさらに別形状のオリフィス37を説明する図であり、同図の(b),(d),(f)は、それぞれ下流側の油路に形成される作動油の流れの速さを、矢印の大きさで表した図である。なお、図5から明らかなように、同図の(a),(c),(e)に示したオリフィス35,36,37は、包括的にはいずれもその平面形状が非円形の略内歯形状のものと理解することができる。
【0064】
図5の(a)に示すオリフィス35は、両端にR形状が設けられた2つの長孔を、当該長孔の中心軸X周りに90度位相をずらして配置した形状を有しており、平面視において略十字形状を有している。
【0065】
この形状のオリフィス35の場合、2つの長孔が交差する中央領域D1を通過した作動油と、中央領域D1を囲む周辺領域D2を通過した作動油との間に、流路断面積に起因する速度差が発生するようになっており、中央領域D1を通過した作動油の流れFaの方が、周辺領域D2を通過した作動油の流れFbよりも流速が速くなっている。
【0066】
ここで、渦輪の発生と成長は、オリフィス35の直下と、直下から外れた周囲との間で、作動油の速度差が大きくなると顕著になる。オリフィス35の場合、図中直線L1の断面(中心軸Xを通る直線L1の断面)で作動油の流れを見ると、オリフィス35の中央から周辺に向かって、作動油の流速Fa,Fbが遅くなっており、オリフィス35の直下から外れた周囲における作動油の流速Fcとの差が小さくなっている(Fa>Fb>Fc)。そのため、オリフィス35の下流側の油路21における渦輪の発生と成長が、先の各実施の形態におけるオリフィス31に比べて抑えられるようになっている。
【0067】
また、図中直線L2の断面(中心軸Xを通る直線L2の断面)では、周辺領域D2が存在しないために、オリフィス35の直下の作動油の流れFaと、直下から外れた周囲における作動油の流れFcとの間の流速差は大きいままである。その一方、オリフィス35の中心軸X回りにおいて、オリフィス35の直下の部分における作動油の流れと、直下から外れた周囲における作動油の流れFcとの間の流速差は、流速差が大きい部分(直線L1の断面)と小さい部分(直線L2の断面)とが交互に位置しており、先の各実施の形態におけるオリフィス31の場合に比べて小さいので、渦輪の発生と成長が、同じく先の各実施の形態におけるオリフィス31に比べて抑えられるようになっている。
【0068】
さらに、オリフィス35の中心軸X回りにおいて、中心軸X周りの角度位置に応じて、オリフィス35の直下と直下から外れた部分との間の流速差が異なるようにすることで、下流側油路21内に、中心軸Xを中心とした環状の渦輪が形成されにくくなる。また仮に渦輪が発生しても、渦輪が円形ではないため、渦の誘起速度により渦輪が変形して、その2次元性が失われるために、セパレートプレート30に加わる力の変動が小さくなる。よって、このことによっても、セパレートプレート30のオリフィス35の近傍領域Rの圧力が周期的に上下変動することを阻止できるので、セパレートプレート30のオリフィス35の近傍領域30aが振動して音を発生することを防止できる。
【0069】
以上の通り、両端にR形状が設けられた2つの長孔を、当該長孔の中心軸X周りに90度位相をずらして配置した略十字形状のオリフィス35とすることで、下流側の油路21における渦輪の発生と成長を抑えることができ、セパレートプレート30におけるオリフィス35の近傍領域Rの圧力が周期的に上下変動することを阻止して、セパレートプレート30におけるオリフィス35の近傍領域30aが振動して音の発生するのを抑制できる。
【0070】
図5の(c)に示すオリフィス36は、平面視において略星形状を有している。この形状のオリフィス36の場合もまた、中央領域D1を通過した作動油と、中央領域D1を囲む周辺領域D2を通過した作動油との間に、流路断面積に起因する速度差が発生するようになっている。そして、図5の(d)に示すように、オリフィス36の直下の領域では、周辺領域D2が設けられた部分で、オリフィス36の直下から外れた周囲における作動油の流れFcとの差が小さくなっている(Fa>Fb>Fc)。そのため、オリフィス35の下流側の油路21における渦輪の発生と成長が、先の各実施の形態におけるオリフィス31に比べて抑えられるようになっている。
【0071】
以上の通り、セパレートプレート30の直交方向から見たオリフィス36の形状を星形として、オリフィス36の開口を、当該オリフィス36の中心軸X周りの中央領域D1と、中央領域D1の周囲に配置された周辺領域D2とで構成し、周辺領域D2を、中心軸X周りの周方向で所定間隔で設けた構成することによっても、下流側の油路21における渦輪の発生と成長を抑えることができる。
【0072】
図5の(e)に示すオリフィス37では、円形の仮想円Im1からなる中央領域D1の周囲から、仮想円Im1から離れる方向に延出して周辺領域D2が複数形成されている。各周辺領域D2は、それぞれ異なる流路断面積を有しており、オリフィス37の中心軸X回りでランダムに設けられている。
【0073】
そのため、中央の最も流速が速い領域(流れFa)の周りに、異なる流速(流れFb、Fb’)であって、流れFaよりも遅く、オリフィス36の直下から外れた周囲での作動油の流れFcよりも速い流速の領域が、ランダムに形成されている。この図5の(e)に示す形状のオリフィス37の場合にも、オリフィス37の下流側の油路21における渦輪の発生と成長が、先の各実施の形態におけるオリフィス31に比べて抑えられるようになっている。
【0074】
なお、図5に示した形状のオリフィス35,36,37を、先の各実施の形態における突出部22,25,26を備えるコントロールバルブボディ1と組み合わせても良い。このようにすることによっても、オリフィスの直交方向に渦輪が連続して形成されることを防止できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6