【0009】
本発明の磁性体コアの製造方法は、まず、支持体上に球状の磁性体粉と有機結合剤を含有する絶縁性磁性体ペーストを印刷して絶縁性磁性体層が形成される。この絶縁性磁性体層上に球状の磁性体粉と有機結合剤を含有する絶縁性磁性体ペーストを繰り返し印刷して、支持体上に形成された絶縁性磁性体層上に、球状の磁性体粉と有機結合剤を有する絶縁性磁性体層が複数層積層される。これらの絶縁性磁性体層の積層体を支持体から剥離し、各々に切断して磁性体コアが形成される。球状の磁性体粉は、鉄アルミ珪素合金、鉄ニッケル、鉄コバルト合金、鉄コバルトシリコン合金、鉄シリコンバナジューム合金、鉄コバルトボロン合金、鉄クロムシリコン合金、コバルト系アモルファス合金、鉄系アモルファス合金、酸化物磁性粉、カーボニル鉄、モリブデンパーマロイ、純鉄圧粉の磁性材料のうち少なくとも1種類以上を含有する。また、有機結合剤は、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ニトリル−ブタン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム等の熱可塑性樹脂あるいはそれらの共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいは有機系難燃剤であるハロゲン化物、臭素化ポリマーのうち少なくとも1種類以上を含有する。この時、この磁性体コアは、可撓性を有する様に、球状の磁性体粉と有機結合剤の材質及び比率が選択される。
また、本発明の磁性体コアの製造方法は、まず、支持体上に偏平状又は針状の磁性体粉と有機結合剤を含有する絶縁性磁性体ペーストを印刷して絶縁性磁性体層が形成される。この絶縁性磁性体層上に偏平状又は針状の磁性体粉と有機結合剤を含有する絶縁性磁性体ペーストを繰り返し印刷して、支持体上に形成された絶縁性磁性体層上に、偏平状又は針状の磁性体粉と有機結合剤を有する絶縁性磁性体層が複数層積層される。これらの絶縁性磁性体層の積層体を支持体から剥離し、各々に切断して磁性体コアが形成される。偏平状又は針状の磁性体粉は、鉄アルミ珪素合金、鉄ニッケル、鉄コバルト合金、鉄コバルトシリコン合金、鉄シリコンバナジューム合金、鉄コバルトボロン合金、鉄クロムシリコン合金、コバルト系アモルファス合金、鉄系アモルファス合金、酸化物磁性粉、カーボニル鉄、モリブデンパーマロイ、純鉄圧粉の磁性材料のうち少なくとも1種類以上を含有する。また、有機結合剤は、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ニトリル−ブタン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム等の熱可塑性樹脂あるいはそれらの共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいは有機系難燃剤であるハロゲン化物、臭素化ポリマーのうち少なくとも1種類以上を含有する。この時、この磁性体コアは、可撓性を有する様に、偏平状又は針状の磁性体粉と有機結合剤の材質及び比率が選択される。
従って、本発明の磁性体コアの製造方法は、絶縁性磁性体層を印刷する印刷機に取り付けられた支持体上において複数の絶縁性磁性体層が印刷により積み重ねられ、しかも、磁性体粉として偏平状又は針状の磁性体粉を用いた場合でも、絶縁性磁性体層上に磁性体粉と有機結合剤を含有する絶縁性磁性体ペーストを印刷する際のスキージに加える圧力によって磁性体粉の平らな面が絶縁性磁性体層の厚み方向と垂直な方向に配列する様に配向される。これにより、支持体の使用枚数を減らすことができると共に、磁性体コア内の磁性体粉を均一に配向することができる。
また、本発明の磁性体コアの製造方法は、支持体上に複数の絶縁性磁性体層が印刷により積み重ねられるので、磁性体シートを形成する場合の様に、溶媒の添加量を考慮する必要がなく、絶縁性磁性体ペーストの溶媒の添加量の自由度を大きくできる。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の磁性体コアの製造方法の実施例を
図1乃至
図7を参照して説明する。
図1は本発明に係る磁性体コアを示す分解斜視図、
図2は本発明に係る磁性体コアを示す斜視図である。
絶縁性磁性体層11A〜11Eは、球状の磁性体粉と有機結合剤を有する絶縁性磁性体を用いて形成される。球状の磁性体粉としては、例えば鉄とクロムとシリコンを含有した鉄クロムシリコン合金が用いられる。また、有機結合剤としては、例えばポリウレタン樹脂と難燃剤を組み合わせたものが用いられる。この有機結合剤は、鉄クロムシリコン合金に対して、ポリウレタン樹脂が4〜10重量部と難燃剤が0.4〜2重量部添加される。
この絶縁性磁性体層11A乃至絶縁性磁性体層11Eは、球状の磁性体粉と有機結合剤を有する絶縁性磁性体ペーストを繰り返し印刷することにより順次形成され、
図2に示す様な磁性体コア11が形成される。この磁性体コア11は、可撓性を有する様に、球状の磁性体粉と有機結合剤の比率が選択され、縦が例えば50mm、横が例えば7mm、厚みが例えば0.5mmに形成される。
【0011】
この様な磁性体コアは次の様にして製造される。
図3は本発明の磁性体コアの製造方法の実施例を示す製造工程の断面図、
図4は本発明の磁性体コアの製造方法の実施例を示す製造工程の斜視図である。
まず、印刷機の印刷台に配置された支持体上にマスクを配置し、このマスク上の絶縁性磁性体ペーストをスキージで捌いて、支持体の表面に絶縁性磁性体ペーストを印刷し、これを乾燥することにより、支持体30上に絶縁性磁性体層31Aが形成される。絶縁性磁性体ペーストは、鉄クロムシリコン合金にポリウレタン樹脂4〜10重量部と、難燃剤0.4〜2重量部を添加し、さらに溶媒を添加して攪拌機で混合分散してペースト状にして形成される。また、支持体30上に形成された絶縁性磁性体層31Aは、プレス機によってプレスされる。
次に、支持体30に形成された絶縁性磁性体層31A上にマスクを配置し、マスク上の絶縁性磁性体ペーストをスキージで捌いて、絶縁性磁性体層31Aの表面に絶縁性磁性体ペーストを印刷し、これを乾燥することにより、
図3(A)に示す様に、絶縁性磁性体層31A上に絶縁性磁性体層31Bが形成される。絶縁性磁性体層31Bはプレス機によってプレスされる。
続いて、この絶縁性磁性体層31B上にマスクを配置し、マスク上の絶縁性磁性体ペーストをスキージで捌いて、絶縁性磁性体層31Bの表面に絶縁性磁性体ペーストを印刷し、これを乾燥することにより、
図3(B)に示す様に、絶縁性磁性体層31B上に絶縁性磁性体層31Cが形成される。絶縁性磁性体層31Cはプレス機によってプレスされる。
さらに、この絶縁性磁性体層31C上にマスクを配置し、マスク上の絶縁性磁性体ペーストをスキージで捌いて、絶縁性磁性体層31Cの表面に絶縁性磁性体ペーストを印刷し、これを乾燥することにより、
図3(C)に示す様に、絶縁性磁性体層31C上に絶縁性磁性体層31Dが形成される。絶縁性磁性体層31Dはプレス機によってプレスされる。
続いて、この絶縁性磁性体層31D上にマスクを配置し、マスク上の絶縁性磁性体ペーストをスキージで捌いて、絶縁性磁性体層31Dの表面に絶縁性磁性体ペーストを印刷し、これを乾燥することにより、
図4(A)に示す様に、絶縁性磁性体層31D上に絶縁性磁性体層31Eが形成される。絶縁性磁性体層31Eはプレス機によってプレスされる。
さらに、この様にして支持体30上に形成された絶縁性磁性体層31A〜31Eの積層体31は、支持体30から剥離し、刃型、プレス金型、カッターの様な刃物等を用いて、所定の大きさになる様、
図4(B)に示す点線の部分で切断されて、
図2に示す様な磁性体コア11が形成される。
この磁性体コアは、コイルアンテナとして用いられる場合、
図5に示される様に、磁性体コア51の外周に巻線52が巻回される。
【0012】
図6は本発明に係る別の磁性体コアを示す斜視図である。
絶縁性磁性体層は、球状の磁性体粉と有機結合剤を有する絶縁性磁性体を用いて形成される。球状の磁性体粉としては、例えば鉄とクロムとシリコンを含有した鉄クロムシリコン合金が用いられる。また、有機結合剤としては、例えばポリウレタン樹脂と難燃剤を組み合わせたものが用いられる。この有機結合剤は、鉄クロムシリコン合金に対して、ポリウレタン樹脂が4〜10重量部と難燃剤が0.4〜2重量部添加される。
絶縁性磁性体層は、球状の磁性体粉と有機結合剤を有する絶縁性磁性体ペーストを繰り返し印刷することにより順次形成され、
図6に示す様な磁性体コア61が形成される。この磁性体コア61は、可撓性を有する様に、球状の磁性体粉と有機結合剤の比率が選択され、縦が例えば50mm、横が例えば50mm、厚みが例えば1mmに形成される。
この様な磁性体コアは前述のものと同様にして製造される。この磁性体コアは、無接点充電装置として用いられる場合、
図7に示される様に、磁性体コア71の表面に、巻線を巻回した空芯コイル72が配置される。
【0013】
以上、本発明の磁性体コアの製造方法の実施例を述べたが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。例えば、実施例では絶縁性磁性体層を一層ごとにプレス機でプレスしているが、複数の絶縁性磁性体層を積層した後に全体をプレス機でプレスしてもよい。
また、球状の磁性体粉としては、鉄アルミ珪素合金、鉄ニッケル、鉄コバルト合金、鉄コバルトシリコン合金、鉄シリコンバナジューム合金、鉄コバルトボロン合金、コバルト系アモルファス合金、鉄系アモルファス合金、酸化物磁性粉、カーボニル鉄、モリブデンパーマロイ、純鉄圧粉の磁性材料のうち少なくとも1種類以上を含有する磁性材料を用いてもよい。さらに、有機結合剤としては、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ニトリル−ブタン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム等の熱可塑性樹脂あるいはそれらの共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいは有機系難燃剤であるハロゲン化物、臭素化ポリマーのうち少なくとも1種類以上を含有するものを用いてもよい。またさらに、磁性体粉として、鉄アルミ珪素合金、鉄ニッケル、鉄コバルト合金、鉄コバルトシリコン合金、鉄シリコンバナジューム合金、鉄コバルトボロン合金、鉄クロムシリコン合金、コバルト系アモルファス合金、鉄系アモルファス合金、酸化物磁性粉、カーボニル鉄、モリブデンパーマロイ、純鉄圧粉の磁性材料のうち少なくとも1種類以上を含有する偏平又は針状の磁性体粉が用いられてもよい。
さらに、絶縁性磁性体層11A〜11Dを球状の磁性体粉と有機結合剤を含有する絶縁性磁性体ペーストを印刷して形成し、絶縁性磁性体層11Eを偏平状又は針状の磁性体粉と有機結合剤を含有する絶縁性磁性体ペーストを印刷して形成することにより、磁性体のコアが、球状の磁性体粉と有機結合剤を有する絶縁性磁性体によって形成された第1磁性体部と、偏平状又は針状の磁性体粉と有機結合剤を有する絶縁性磁性体によって形成された第2磁性体部を有する様に形成してもよい。