特許第5740137号(P5740137)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5740137通信装置、多重通信装置、通信システムおよび通信方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740137
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】通信装置、多重通信装置、通信システムおよび通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/2557 20130101AFI20150604BHJP
   H04J 1/00 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   H04B9/00 262
   H04J1/00
【請求項の数】9
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2010-243240(P2010-243240)
(22)【出願日】2010年10月29日
(65)【公開番号】特開2012-99880(P2012-99880A)
(43)【公開日】2012年5月24日
【審査請求日】2013年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591230295
【氏名又は名称】NTTエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】荻原 裕史
(72)【発明者】
【氏名】相羽 努
(72)【発明者】
【氏名】小野 茂
(72)【発明者】
【氏名】荻原 晃一
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−181194(JP,A)
【文献】 特開2005−341392(JP,A)
【文献】 特開2002−057624(JP,A)
【文献】 特開2005−79826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B10/00−10/90
H04J14/00−14/08
H04J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相変調した信号光であって他の光と波長多重されて対向装置へ伝送される信号光を送信する送信部と、
前記送信部によって送信された信号光の周波数変動の前記対向装置での検出結果に基づいて、前記送信部によって送信される信号光に含まれるスタッフビットの量を変化させることで、前記送信部によって送信される信号光の周波数を変化させる制御部と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記検出結果を前記対向装置から受信する受信部を備え、
前記制御部は、前記受信部によって受信された検出結果に基づいて前記信号光の周波数を変化させることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記受信部は、前記対向装置からの信号のオーバーヘッドに格納された前記検出結果を受信することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記対向装置が前記検出結果に基づいて周波数を変化させて送信する信号光を受信する受信部を備え、
前記制御部は、前記受信部によって受信された信号光の周波数に、前記送信部によって送信される信号光の周波数を同期させることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の通信装置と、
前記通信装置によって送信された信号光と他の光とを波長多重する合波器と、
を備えることを特徴とする多重通信装置。
【請求項6】
互いに波長チャネルが隣接する複数の前記通信装置を備え、
前記合波器は、前記複数の通信装置によって送信された信号光を波長多重し、
前記複数の通信装置の前記制御部は、互いに異なる方向に前記周波数を変化させることを特徴とする請求項5に記載の多重通信装置。
【請求項7】
位相変調した信号光を送信する第一通信装置と、
前記第一通信装置によって送信されて他の光と波長多重されて伝送された信号光を受信し、受信した信号光の周波数変動を検出する第二通信装置と、
を含み、
前記第一通信装置は、前記第二通信装置によって検出された周波数変動に基づいて、前記第二通信装置へ送信する信号光に含まれるスタッフビットの量を変化させることで、前記第二通信装置へ送信する信号光の周波数を変化させることを特徴とする通信システム。
【請求項8】
前記第二通信装置は、前記第一通信装置から受信した信号光の一定の速度以下の強度変動成分を検出することで前記周波数変動を検出することを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
位相変調した信号光を送信する第一通信装置と、前記第一通信装置によって送信されて他の光との波長多重によって伝送された信号光を受信する第二通信装置と、による通信方法において、
前記第二通信装置が、前記第一通信装置から受信した信号光の周波数変動を検出し、
前記第一通信装置が、前記第二通信装置によって検出された周波数変動に基づいて、前記第二通信装置へ送信する信号光に含まれるスタッフビットの量を変化させることで、前記第二通信装置へ送信する信号光の周波数を変化させることを特徴とする通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、多重通信装置、通信システムおよび通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信システムにおいて、受信感度に優れる位相変調方式の信号を用い、狭い波長間隔で高密度に波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)することで、伝送容量を増大する要望が高まっている。位相変調方式には、たとえばDPSK(Differential Phase Shift Keying:差動相偏移変調)やDQPSK(Differential Quadrature PSK:差動四位相偏移変調)などがある。
【0003】
非線形効果を有する光ファイバにおいて波長多重によって伝送される信号光は、近接する波長チャネルの信号光から相互位相変調効果(XPM:CROSS Phase Modulation)の影響を受ける(たとえば、下記特許文献1参照。)。相互位相変調効果の影響は、伝送路入力パワーの高出力化、伝送距離の長延化や多中継化、近接波長との波長間隔の狭間隔化などによって大きくなる。
【0004】
また、位相変調された信号光は、相互位相変調効果の影響を受けて周波数が変動すると、受信側での復調の精度が低下するため、通信品質が低下する。特に、周波数利用効率を高めるために波長間隔を密にした高密度多重伝送システムにおいては、相互位相変調効果による周波数変動が大きいため、位相変調された信号光による通信品質の低下が大きい。また、多重化する信号光の波形を鈍化させることで相互位相変調効果の低減を図る技術が知られている(たとえば、下記特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−028470号公報
【特許文献2】特開2009−213160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、相互位相変調効果は、波長多重される各信号光のパワーや波長間隔などの各状態によって変化する。このため、上述した従来技術では、相互位相変調効果を適切に低減することが困難であり、通信品質を向上させることができないという問題がある。
【0007】
開示の通信装置、多重通信装置、通信システムおよび通信方法は、上述した問題点を解消するものであり、通信品質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、開示技術は、位相変調した信号光であって他の光との波長多重によって対向装置へ伝送される信号光を送信する送信部と、前記送信部によって送信された信号光の周波数変動の前記対向装置での検出結果に基づいて、前記送信部によって送信される信号光の周波数を変化させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
開示の通信装置、多重通信装置、通信システムおよび通信方法によれば、通信品質を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかる通信システムを示す図である。
図2】通信システムの具体例を示す図である。
図3】通信装置の具体例を示す図である。
図4】通信装置の変形例を示す図である。
図5】信号光のフレームの一例を示す図である。
図6】A局側の通信装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図7】B局側の通信装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図8】光受信回路および変動検出回路の具体例を示す図である。
図9】信号光の周波数変動と低速の強度変動成分との関係を示す図である
図10】光受信回路および変動検出回路の変形例を示す図である。
図11】通信装置の変形例を示す図である。
図12】実施の形態2にかかる通信システムを示す図である。
図13】通信装置の具体例を示す図である。
図14】通信装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図15-1】信号光の伝送後のスペクトラム(非線形効果が弱)を示す図である。
図15-2】信号光の伝送後のスペクトラム(非線形効果が強)を示す図である。
図16-1】近接チャネルとの間に周波数差を与えた信号光の伝送後のスペクトラムを示す図(その1)である。
図16-2】近接チャネルとの間に周波数差を与えた信号光の伝送後のスペクトラムを示す図(その2)である。
図16-3】近接チャネルとの間に周波数差を与えた信号光の伝送後のスペクトラムを示す図(その3)である。
図16-4】近接チャネルとの間に周波数差を与えた信号光の伝送後のスペクトラムを示す図(その4)である。
図16-5】近接チャネルとの間に周波数差を与えた信号光の伝送後のスペクトラムを示す図(その5)である。
図16-6】近接チャネルとの間に周波数差を与えた信号光の伝送後のスペクトラムを示す図(その6)である。
図17】近接チャネルとの間の周波数差とQ値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、開示技術の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態1)
(通信システム)
図1は、実施の形態1にかかる通信システムを示す図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる通信システム100は、合波器101と、分波器102と、通信装置110,120と、を含んでいる。合波器101および分波器102は、通信装置110(第一通信装置)から送信された信号光を、他の信号光と波長多重して通信装置120(第二通信装置)へ伝送する。
【0013】
具体的には、合波器101は、通信装置110から送信された信号光と、他の信号光と、を合波することで波長多重する。合波器101は、波長多重したWDM信号光を分波器102へ送信する。分波器102は、合波器101から送信されたWDM信号光を分波することで波長多重分離する。分波器102は、波長多重分離した各信号光のうちの通信装置110からの信号光を通信装置120へ送信する。
【0014】
通信装置110は、送信部111と、受信部112と、制御部113と、を備えている。送信部111は、信号光を合波器101へ送信する。これにより、送信部111からの信号光が他の光と波長多重されて通信装置120(対向装置)へ送信される。送信部111が送信する信号光の変調方式は、たとえばDPSK、RZ(Return to Zero)−DPSK、NRZ(Non RZ)−DPSK、DQPSK、RZ−DQPSK、NRZ−DQPSKや、これらの変調方式と偏波多重などの組み合わせなどである。
【0015】
受信部112は、通信装置120(対向装置)によって送信される検出結果を受信する。検出結果は、送信部111から送信された信号光の周波数変動の通信装置120での検出結果である。受信部112は、受信した検出結果を制御部113へ出力する。
【0016】
制御部113は、受信部112から出力された検出結果に基づいて、送信部111から送信される信号光の周波数(伝送速度)を変化させる。たとえば、制御部113は、検出結果が示す周波数変動が一定の大きさ未満まで小さくなるように、送信部111から送信される信号光の周波数を初期値から変化させる。
【0017】
通信装置120は、通信装置110の対向装置である。通信装置120は、受信部121と、検出部122と、送信部123と、を備えている。受信部121は、通信装置110から送信され、合波器101および分波器102の波長多重によって伝送された信号光を受信する。受信部121は、受信した信号を検出部122へ出力する。
【0018】
検出部122は、受信部121から出力された信号の周波数変動を検出する。周波数変動の検出は、たとえば周波数変動の大きさの検出や、一定の大きさ以上の周波数変動の有無の検出などである。検出部122は、周波数変動の検出結果を送信部123へ出力する。送信部123は、検出部122から出力された周波数変動の検出結果を通信装置110へ送信する。送信部123による検出結果の送信は、波長多重などを用いた光通信によって行ってもよいし、電気通信などによって行ってもよい。
【0019】
図2は、通信システムの具体例を示す図である。図2に示す通信システム200は、図1に示した通信システム100の具体例である。通信システム200には、たとえばSDH(Synchronous Digital Hierarchy)などが適用される。通信システム200は、多重通信装置210と、多重通信装置220と、を含んでいる。多重通信装置210をA局とし、多重通信装置220をB局とする。
【0020】
多重通信装置210は、通信装置211〜213と、合波器214と、分波器215と、を備えている。通信装置211〜213のそれぞれは、図示しない他の通信装置から送信された信号光を受信し、受信した信号光を合波器214へ送信する中継装置である。通信装置211〜213が送信する信号光の波長をそれぞれ波長λ11〜λ13とする。
【0021】
波長λ11〜λ13は、たとえばλ11<λ12<λ13の関係であり、波長間隔はたとえば25[GHz]、33.3[GHz]または37.5[GHz]である。また、通信装置211〜213のそれぞれは、分波器215から送信された信号光を受信し、受信した信号光を図示しない他の通信装置へ送信する中継装置である。
【0022】
合波器214は、通信装置211〜213から送信された波長λ11〜λ13の各信号光を合波することで波長多重する。合波器214は、波長多重したWDM信号光を多重通信装置220へ送信する。分波器215は、多重通信装置220から送信されたWDM信号光を分波することで波長多重分離する。分波器215は、波長多重分離した波長λ21〜λ23の信号光をそれぞれ通信装置211〜213へ送信する。
【0023】
多重通信装置220は、通信装置221〜223と、合波器224と、分波器225と、を備えている。通信装置221〜223のそれぞれは、図示しない他の通信装置から送信された信号光を受信し、受信した信号光を合波器224へ送信する中継装置である。通信装置221〜223が送信する信号光の波長をそれぞれ波長λ21〜λ23とする。
【0024】
波長λ21〜λ23は、たとえばλ21<λ22<λ23の関係であり、波長間隔はたとえば25[GHz]、33.3[GHz]または37.5[GHz]である。また、通信装置221〜223のそれぞれは、分波器225から送信された信号光を受信し、受信した信号光を図示しない他の通信装置へ送信する中継装置である。
【0025】
合波器224は、通信装置221〜223から送信された波長λ21〜λ23の各信号光を合波することで波長多重する。合波器224は、波長多重したWDM信号光を多重通信装置210へ送信する。分波器225は、多重通信装置210から送信されたWDM信号光を分波することで波長多重分離する。分波器225は、波長多重分離した波長λ21〜λ23の信号光をそれぞれ通信装置221〜223へ送信する。
【0026】
通信システム200においては、通信装置211〜213は、それぞれ波長が対応する通信装置221〜223との間で通信を行う。ここで、通信装置211から通信装置221への通信を波長チャネルch11とし、通信装置212から通信装置222への通信を波長チャネルch12とし、通信装置213から通信装置223への通信を波長チャネルch13とする。また、通信装置221から通信装置211への通信を波長チャネルch21とし、通信装置222から通信装置212への通信を波長チャネルch22とし、通信装置223から通信装置213への通信を波長チャネルch23とする。
【0027】
図1に示した通信装置110および通信装置120は、たとえば波長チャネルch11に適用することができる。これにより、通信装置211が送信する信号光の周波数を変化させ、波長チャネルch11の信号光と、隣接チャネルである波長チャネルch12の信号光と、の間に周波数差を与えることができる。このため、波長チャネルch11の信号光と波長チャネルch12の信号光との位相にずれが生じ、相互位相変調効果による信号光の周波数変動を抑えることができる。
【0028】
さらに、図1に示した通信装置110および通信装置120を、波長チャネルch12にも適用してもよい。これにより、波長チャネルch12の信号光と、隣接チャネルである波長チャネルch13の信号光と、の位相にずれが生じ、相互位相変調効果による信号光の周波数変動を抑えることができる。
【0029】
同様に、図1に示した通信装置110および通信装置120を、波長チャネルch13にも適用してもよい。このように、隣接する波長チャネルの少なくとも一方に通信装置110および通信装置120を適用することで、隣接する波長チャネルの各信号光に周波数差を与え、各信号光の周波数変動を抑えることができる。
【0030】
また、図1に示した通信装置110および通信装置120は、たとえば波長チャネルch21にも適用してもよい。これにより、波長チャネルch21の信号光と波長チャネルch22の信号光との位相にずれが生じ、相互位相変調効果による信号光の周波数変動を抑えることができる。同様に、通信装置110および通信装置120を波長チャネルch22や波長チャネルch23にも適用してもよい。このように、通信装置110および通信装置120は、対向する各通信装置において双方向に適用することができる。
【0031】
(通信装置)
図3は、通信装置の具体例を示す図である。図3に示す通信装置310は、図2に示したA局側の通信装置211〜213のそれぞれに適用可能な第一通信装置であり、図1に示した通信装置110の具体例である。通信装置320は、図2に示したB局側の通信装置221〜223のそれぞれに適用可能な第二通信装置であり、図1に示した通信装置120の具体例である。また、通信装置310は通信装置320との間で信号光を送受信する。通信装置310と通信装置320の間で送受信される信号光は波長多重によって伝送されるが、図3においては波長多重による伝送の図示を省略している。
【0032】
<A局側の通信装置>
A局側の通信装置310は、光受信回路311と、FEC処理回路312と、発振器313と、光送信回路314と、光受信回路315と、FEC処理回路316と、光送信回路317と、周波数制御回路318と、を備えている。
【0033】
図1に示した送信部111は、たとえばFEC処理回路312、発振器313および光送信回路314によって実現することができる。図1に示した受信部112は、たとえば光受信回路315およびFEC処理回路316によって実現することができる。図1に示した制御部113は、たとえば周波数制御回路318、発振器313およびFEC処理回路312によって実現することができる。
【0034】
光受信回路311は、他の通信装置から信号光を復調し、復調した信号をFEC処理回路312へ出力する。FEC処理回路312は、光受信回路311から出力された信号をFEC(Forward Error Correction:前方誤り訂正)により符号化する。FECによる符号化には、たとえばブロック符号や畳み込み符号を用いることができる。FEC処理回路312は、符号化した信号を光送信回路314へ出力する。
【0035】
また、FEC処理回路312は、発振器313から出力されるクロック信号の周波数に応じて、FECのOH(オーバーヘッド)に格納するスタッフビットの数を調節する。スタッフビットは、速度調節のために挿入される冗長ビットである。
【0036】
発振器313は、光送信回路314が送信する搬送波となるクロック信号を発振し、発振したクロック信号をFEC処理回路312および光送信回路314へ出力する。また、発振器313は、周波数制御回路318の制御によって、出力するクロック信号の周波数を変化させる。発振器313は、たとえば印加電圧で発振周波数を制御するVCO(Voltage Controlled Oscillator)によって実現することができる。光送信回路314は、FEC処理回路312から出力された信号により、発振器313から出力されるクロック信号を位相変調する。光送信回路314は、位相変調により得られた信号光を通信装置320へ送信する。
【0037】
光受信回路315は、通信装置320から送信された信号光を復調し、復調した信号をFEC処理回路316へ出力する。FEC処理回路316は、光受信回路315から出力された信号をFECにより誤り訂正復号し、復号した信号を光送信回路317へ出力する。また、FEC処理回路316は、FECのOHに格納された検出結果を取得する。検出結果は、光送信回路314によって送信された信号光の周波数変動の検出結果である。FEC処理回路316は、取得した検出結果を周波数制御回路318へ出力する。
【0038】
光送信回路317は、FEC処理回路316から出力された信号を信号光によって他の通信装置へ送信する。周波数制御回路318は、FEC処理回路316から出力された検出結果に基づいて、発振器313が出力するクロック信号の周波数を制御する。
【0039】
<B局側の通信装置>
B局側の通信装置320は、光受信回路321と、FEC処理回路322と、光送信回路323と、変動検出回路324と、光受信回路325と、FEC処理回路326と、発振器327と、光送信回路328と、を備えている。
【0040】
図1に示した受信部121は、たとえば光受信回路321によって実現することができる。図1に示した検出部122は、たとえば変動検出回路324によって実現することができる。図1に示した送信部123は、たとえばFEC処理回路326および光送信回路328によって実現することができる。
【0041】
光受信回路321は、通信装置310から送信された信号光を復調し、復調した信号をFEC処理回路322および変動検出回路324へ出力する。FEC処理回路322は、光受信回路321から出力された信号をFECにより誤り訂正復号し、復号した信号を光送信回路323へ出力する。光送信回路323は、FEC処理回路322から出力された信号を信号光によって他の通信装置へ送信する。
【0042】
変動検出回路324は、光受信回路321から出力された信号に基づいて、光受信回路321によって受信された信号光の周波数変動を検出する。具体的には、変動検出回路324は、光受信回路321から出力された信号の低速の強度変動成分を検出する(たとえば図8図9図10参照)。変動検出回路324は、周波数変動の検出結果をFEC処理回路326へ出力する。
【0043】
光受信回路325は、他の通信装置から信号光を復調し、復調した信号をFEC処理回路326へ出力する。FEC処理回路326は、光受信回路325から出力された信号をFECにより符号化する。FECによる符号化には、たとえばブロック符号や畳み込み符号を用いることができる。FEC処理回路326は、符号化した信号を光送信回路328へ出力する。また、FEC処理回路326は、変動検出回路324から出力される周波数変動の検出結果を、FECのOHに格納する。これにより、周波数変動の検出結果が通信装置310へフィードバックされる。
【0044】
発振器327は、発振器327によって送信される信号光の搬送波となるクロック信号を発振し、発振したクロック信号を光送信回路328へ出力する。光送信回路328は、FEC処理回路326から出力された信号により、発振器327から出力されるクロック信号を位相変調し、位相変調により得られた信号光を通信装置310へ送信する。
【0045】
また、通信装置310,320のそれぞれが、通信装置310,320の各機能を兼ね備えるようにしてもよい。たとえば、通信装置310は、光受信回路315から受信した信号光の周波数変動を検出し、FEC処理回路312において検出結果をFECのOHに格納する。通信装置320は、FEC処理回路322においてFECのOHから検出結果を取得し、取得した検出結果に基づいて、光送信回路328から送信する信号光の周波数を変化させる。これにより、図3に示した動作を双方向に行うことができる。
【0046】
図4は、通信装置の変形例を示す図である。図4において、図3に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図3において通信装置310は中継装置であると説明したが、通信装置310は末端の通信装置であってもよい。具体的には、通信装置310は、図4に示した光受信回路311および光送信回路317に代えてデータ生成回路411およびデータ処理回路417を備えていてもよい。
【0047】
データ生成回路411は、通信装置320へ送信するための信号を生成する。データ生成回路411は、生成した信号をFEC処理回路312へ出力する。FEC処理回路312は、データ生成回路411から出力された信号をFECにより符号化する。FEC処理回路316は、復号した信号をデータ処理回路417へ出力する。データ処理回路417は、FEC処理回路316から出力された信号の処理を行う。
【0048】
また、図3において通信装置320は中継装置であると説明したが、通信装置320は末端の通信装置であってもよい。具体的には、通信装置320は、図4に示した光送信回路323および光受信回路325に代えてデータ処理回路423およびデータ生成回路425を備えていてもよい。
【0049】
FEC処理回路322は、復号した信号をデータ処理回路423へ出力する。データ処理回路423は、FEC処理回路322から出力された信号の処理を行う。データ生成回路425は、通信装置310へ送信するための信号を生成する。データ生成回路425は、生成した信号をFEC処理回路326へ出力する。FEC処理回路326は、データ生成回路425から出力された信号をFECにより符号化する。
【0050】
図5は、信号光のフレームの一例を示す図である。図5に示すフレーム500は、通信装置310と通信装置320の間で送受信される信号光のフレームを示している。フレーム500は、ROW1〜ROW4の4つの列を有し、OPUオーバーヘッド501(OPUn OH)と、ペイロード502と、スタッフビット503と、ペイロード504と、FECオーバーヘッド505(FEC OH)と、を含んでいる。
【0051】
<A局側から送信する信号光のフレーム>
まず、A局側の通信装置310から通信装置320へ送信するフレーム500について説明する。通信装置310が送信するフレーム500のペイロード502,504は、通信装置310の光受信回路311またはデータ生成回路411からFEC処理回路312へ出力されたクライアント信号である。FEC処理回路312は、ペイロード502,504にOPUオーバーヘッド501、スタッフビット503およびFECオーバーヘッド505を付加したフレーム500を光送信回路314へ出力する。
【0052】
また、FEC処理回路312は、発振器313から出力された周波数の増減に応じて、スタッフビット503の量(長さ)を変化させる。これにより、光送信回路314から送信される信号光の周波数(伝送速度)が変化する。通信装置320のFEC処理回路322は、通信装置310から受信したフレーム500のFECオーバーヘッド505を用いてペイロード502およびペイロード504を誤り訂正復号する。
【0053】
<B局側から送信する信号光のフレーム>
つぎに、B局側の通信装置320から通信装置310へ送信するフレーム500について説明する。通信装置320が送信するフレーム500のペイロード502,504は、通信装置320の光受信回路325またはデータ生成回路425からFEC処理回路326へ出力されたクライアント信号である。FEC処理回路326は、ペイロード502,504にOPUオーバーヘッド501、スタッフビット503およびFECオーバーヘッド505を付加したフレーム500を光送信回路328へ出力する。
【0054】
また、FEC処理回路326は、変動検出回路324から出力された周波数変動の検出結果をFECオーバーヘッド505のユーザ領域に格納する。通信装置310のFEC処理回路316は、通信装置320から受信したフレーム500のFECオーバーヘッド505を用いてペイロード502およびペイロード504を誤り訂正復号する。また、FEC処理回路316は、通信装置320から受信したフレーム500のFECオーバーヘッド505に格納された検出結果を取得する。
【0055】
このように、通信装置320における周波数変動の検出結果を、たとえば通信装置320から通信装置310へ送信する信号のオーバーヘッドに格納して送信する。これにより、周波数変動の検出結果を送信するためのフレームを生成しなくても、周波数変動の検出結果を通信装置320から通信装置310へ送信することができる。信号のオーバーヘッドとしては、FECのオーバーヘッドを用いる場合について説明したが、FEC以外のオーバーヘッドを用いてもよい。
【0056】
また、通信装置310は、たとえば、送信する信号光に含まれるスタッフビットの量を変化させることで信号光の周波数を変化させることができる。たとえば、通信装置310は、FECのスタッフビットの量を変化させることで信号光の周波数を変化させる。これにより、通信装置320は、通信装置310からの信号光のスタッフビットの増減をFEC通信により認識できるため、周波数が変化する信号光を容易に受信することができる。
【0057】
(通信装置の処理)
図6は、A局側の通信装置の処理の一例を示すフローチャートである。A局側の通信装置310は、たとえば図6に示す各ステップを繰り返し実行する。まず、FEC処理回路316が、対向装置(通信装置320)との間でFECのOH通信が確立しているか否かを判断する(ステップS601)。対向装置との間でFECのOH通信が確立している場合(ステップS601:Yes)は、FEC処理回路316が、対向装置との間のFECのOH領域から周波数変動の検出結果を取得する(ステップS602)。
【0058】
つぎに、周波数制御回路318が、今回のステップS602によって取得された検出結果が示す周波数変動量が、前回のステップS602によって取得されてメモリに記憶されている周波数変動量より大きいか否かを判断する(ステップS603)。また、周波数制御回路318は、今回のステップS602によって取得された検出結果が示す周波数変動量を通信装置310のメモリに記憶しておく。
【0059】
ステップS603において、今回の周波数変動量が前回の周波数変動量より大きい場合(ステップS603:Yes)は、周波数制御回路318が、通信装置310の波長チャネルを示す波長番号が奇数であるか否かを判断する(ステップS604)。通信装置310の波長番号が奇数である場合(ステップS604:Yes)は、周波数制御回路318が、発振器313の周波数をプラス方向に制御する(ステップS605)。
【0060】
つぎに、FEC処理回路312が、ステップS605によって制御された周波数に応じてFECのOHのスタッフビットを追加し(ステップS606)、一連の処理を終了する。ステップS604において、通信装置310の波長番号が奇数でない場合(ステップS604:No)は、ステップS608へ移行する。
【0061】
ステップS603において、今回の周波数変動量が前回の周波数変動量より大きくない場合(ステップS603:No)は、周波数制御回路318が、通信装置310の波長番号が奇数であるか否かを判断する(ステップS607)。通信装置310の波長番号が奇数でない場合(ステップS607:No)は、ステップS605へ移行する。
【0062】
ステップS607において、通信装置310の波長番号が奇数である場合(ステップS607:Yes)は、周波数制御回路318が、発振器313の周波数をマイナス方向に制御する(ステップS608)。つぎに、FEC処理回路312が、ステップS608によって制御された周波数に応じてFECのOHのスタッフビットを削減し(ステップS609)、一連の処理を終了する。
【0063】
ステップS601において、対向装置との間でFECのOH通信が確立していない場合(ステップS601:No)は、周波数制御回路318が、発振器313の周波数を初期値方向に制御する(ステップS610)。つぎに、FEC処理回路312が、ステップS610によって制御された周波数に応じてFECのOHのスタッフビットを増減し(ステップS611)、一連の処理を終了する。
【0064】
ステップS610において発振器313の周波数がプラス方向に制御された場合は、ステップS611においてFECのOHのスタッフビットが追加される。ステップS610において発振器313の周波数がマイナス方向に制御された場合は、ステップS611においてFECのOHのスタッフビットが削減される。
【0065】
以上の各ステップにより、波長番号が奇数の通信装置310は、周波数変動量が増加すると、周波数変動量が増加しなくなるまで信号光の周波数をプラス方向に制御する。また、波長番号が偶数の通信装置310は、周波数変動量が前回より増加すると、周波数変動量が増加しなくなるまで信号光の周波数をマイナス方向に制御する。したがって、波長λn−2、λn−1、λn、λn+1、…の各波長チャネルは、信号光の周波数をそれぞれマイナス、プラス、マイナス、プラス、…の方向に制御する。
【0066】
また、波長λn−2、λn−1、λn、λn+1、…の各波長チャネルは、信号光の周波数をそれぞれゼロ、マイナス、ゼロ、マイナス…の方向に制御するようにしてもよい。ゼロの方向は、周波数を制御しないことを意味する。また、波長λn−2、λn−1、λn、λn+1、…の各波長チャネルは、信号光の周波数をそれぞれゼロ、プラス、ゼロ、プラス…の方向に制御するようにしてもよい。
【0067】
また、波長λn−2、λn−1、λn、λn+1、…の各波長チャネルは、信号光の周波数をそれぞれマイナス、ゼロ、プラス、マイナス、ゼロ、プラス、…の方向に制御するようにしてもよい。また、波長λn−2、λn−1、λn、λn+1、…の各波長チャネルは、信号光の周波数をそれぞれプラス、ゼロ、マイナス、プラス、ゼロ、マイナス、…の方向に制御するようにしてもよい。
【0068】
このように、波長チャネルが隣接する複数の通信装置310の周波数制御回路318は、周波数変動量の増加が検出された場合に互いに異なる方向に信号光の周波数を変化させる。これにより、隣接する波長チャネルの各信号光の周波数が同じ方向に制御されることを回避し、隣接する波長チャネルの各信号光に周波数差を確実に与えることができる。
【0069】
図7は、B局側の通信装置の処理の一例を示すフローチャートである。B局側の通信装置320は、たとえば図7に示す各ステップを繰り返し実行する。まず、FEC処理回路326が、対向装置(通信装置310)との間でFECのOH通信が確立しているか否かを判断する(ステップS701)。対向装置との間でFECのOH通信が確立していない場合(ステップS701:No)は、一連の処理を終了する。
【0070】
ステップS701において、対向装置との間でFECのOH通信が確立している場合(ステップS701:Yes)は、変動検出回路324が、対向装置から受信した信号光の低速の強度変動成分を検出する(ステップS702)。これにより、対向装置から受信した信号光の周波数変動を検出することができる。つぎに、FEC処理回路326が、ステップS702による周波数変動の検出結果を、対向装置との間のFECのOH領域に格納し(ステップS703)、一連の処理を終了する。これにより、ステップS702による周波数変動の検出結果を対向装置へ送信することができる。
【0071】
(光受信回路および変動検出回路の具体例)
図8は、光受信回路および変動検出回路の具体例を示す図である。図8に示すモニタ回路800は、図3に示した光受信回路321および変動検出回路324を実現する回路である。モニタ回路800は、復調器810と、受光部820と、容量831と、抵抗832と、出力部841,842と、を備えている。
【0072】
復調器810は、位相変調された信号光801を強度変調の信号光に変換するマッハツェンダ型の干渉計である。具体的には、復調器810は、分岐部811と、導波路812,813と、干渉部814と、を備えている。分岐部811、導波路812,813および干渉部814は、たとえば基板上に形成された光導波路である。
【0073】
分岐部811は、入力された光(信号光)を分岐して、分岐した各光をそれぞれ導波路812および導波路813へ出力する。導波路812および導波路813のそれぞれは、分岐部811から出力された光を干渉部814へ出力する。また、導波路812および導波路813は遅延差を有し、干渉部814へ出力される各光には遅延差が生じる。
【0074】
導波路812および導波路813の遅延差は、干渉部814へ入力される各光のキャリア周波数の位相が揃うように制御される。干渉部814は、導波路812および導波路813から出力された各光を干渉させ、干渉により得られた各光を受光部820へ出力する。これにより、復調器810へ入力される位相変調の信号光が、強度変調の信号光に変換されて受光部820へ出力される。
【0075】
受光部820は、復調器810から出力された各光をバランス受信し、バランス受信により得られた信号(電気信号)を出力する。受光部820から出力された信号は、容量831を介して出力部841へ出力される。出力部841は、受光部820から出力された信号をFEC処理回路322へ出力する。これにより、信号光を復調した信号をFEC処理回路322へ出力することができる。
【0076】
抵抗832は、一端が受光部820と容量831との間に接続され、他端が接地されている。出力部842は、抵抗832と受光部820との間に接続されている。抵抗832はローパスフィルタとして動作するため、出力部842からは、受光部820から出力される信号の低速の強度変動成分(交流成分)が出力される。出力部842から出力される信号の低速の強度変動成分は、周波数変動の検出結果としてFEC処理回路326へ出力される。このように、受信した信号光の低速(一定の速度以下)の強度変動成分を検出することで、受信した信号光の周波数変動を検出することができる。
【0077】
図9は、信号光の周波数変動と低速の強度変動成分との関係を示す図である。図9において、横軸は経過時間[sec]を示し、左側の縦軸は受信された信号光の強度[dBm]を示し、右側の縦軸は受信された信号光のQ値を示している。
【0078】
図9は、隣接チャネルとの信号光の周波数差が2[Hz]と比較的小さく、信号光の周波数変動が比較的大きい場合の測定結果を示している。図9に示す強度変動911は、受信された信号光の強度の変動を示している。図9に示すQ値変動912は、受信された信号光のQ値の変動を示している。強度変動911およびQ値変動912に示すように、隣接チャネルとの信号光の周波数差が2[Hz]である場合は、受信された信号光の強度およびQ値が2[Hz]で変動する。
【0080】
図9の強度変動911に示すように、信号光の周波数差が比較的小さく、信号光の周波数変動が比較的大きい場合は、受信された信号光のパワーに低速(たとえば2[Hz])の強度変動成分が現れる。したがって、たとえば図8に示したモニタ回路800によって、受信した信号光の低速の強度変動成分を検出することで、受信した信号光の周波数変動を検出することができる。
【0081】
図10は、光受信回路および変動検出回路の変形例を示す図である。図10に示すモニタ回路1000は、図3に示した光受信回路321および変動検出回路324を実現する回路である。ここでは、位相変調した2つの信号光を偏波多重した偏波多重信号光1001を受信する場合について説明する。
【0082】
モニタ回路1000は、ローカルオシレータ1010と、偏波ビームスプリッタ1021,1022と、分岐部1031〜1034と、遅延部1035,1036と、干渉部1041〜1044と、受光部1051〜1054と、容量1061〜1064と、抵抗1071と、出力部1081〜1085と、を備えている。ローカルオシレータ1010は、局発光を発振して偏波ビームスプリッタ1022へ出力する。ローカルオシレータ1010は、たとえばCW(Continuous Wave)光源である。
【0083】
偏波ビームスプリッタ1021には偏波多重信号光1001が入力される。偏波ビームスプリッタ1021は、偏波多重信号光1001をH偏波とV偏波に偏波分離する。そして、偏波ビームスプリッタ1021は、偏波分離したH偏波の光を分岐部1031へ出力し、V偏波の光を分岐部1033へ出力する。偏波ビームスプリッタ1022は、ローカルオシレータ1010から出力された局発光をH偏波とV偏波に偏波分離する。そして、偏波ビームスプリッタ1022は、偏波分離したH偏波の光を分岐部1032へ出力し、V偏波の光を分岐部1034へ出力する。
【0084】
分岐部1031は、偏波ビームスプリッタ1021から出力された光を分岐して、分岐した各光をそれぞれ遅延部1035および干渉部1042へ出力する。遅延部1035は、分岐部1031から出力された光を干渉部1041へ出力する。分岐部1032は、偏波ビームスプリッタ1022から出力された光を分岐して、分岐した各光をそれぞれ干渉部1041および干渉部1042へ出力する。
【0085】
分岐部1033は、偏波ビームスプリッタ1021から出力された光を分岐して、分岐した各光をそれぞれ遅延部1036および干渉部1044へ出力する。遅延部1036は、分岐部1033から出力された光を干渉部1043へ出力する。分岐部1034は、偏波ビームスプリッタ1022から出力された光を分岐して、分岐した各光をそれぞれ干渉部1043および干渉部1044へ出力する。
【0086】
干渉部1041は、遅延部1035から出力された光と、分岐部1032から出力された光と、を干渉させ、干渉により得られた各光を受光部1051へ出力する。干渉部1042は、分岐部1031から出力された光と、分岐部1032から出力された光と、を干渉させ、干渉により得られた各光を受光部1052へ出力する。
【0087】
干渉部1043は、遅延部1036から出力された光と、分岐部1034から出力された光と、を干渉させ、干渉により得られた各光を受光部1053へ出力する。干渉部1044は、分岐部1033から出力された光と、分岐部1034から出力された光と、を干渉させ、干渉により得られた各光を受光部1054へ出力する。
【0088】
受光部1051〜1054は、それぞれ干渉部1041〜1044から出力された各光をバランス受信し、バランス受信により得られた信号(電気信号)を出力する。受光部1051〜1054から出力された信号は、それぞれ、容量1061〜1064を介して出力部1081〜1084へ出力される。出力部1081〜1084は、それぞれ受光部1051〜1054から出力された各信号をFEC処理回路322へ出力する。FEC処理回路322は、出力部1081〜1084から出力された各信号の誤り訂正復号を行う。
【0089】
抵抗1071は、一端が受光部1054と容量1064との間に接続され、他端が接地されている。出力部1085は、抵抗1071と受光部1054との間に接続されている。抵抗1071はローパスフィルタとして動作するため、出力部1085からは、受光部1054から出力される信号の低速の強度変動成分が出力される。出力部1085から出力される低速の強度変動成分は、信号光の周波数変動の検出結果としてFEC処理回路326へ出力される。
【0090】
図10においては受光部1054に抵抗1071および出力部1085を接続する構成について説明したが、受光部1051〜1054の少なくともいずれかに抵抗1071および出力部1085を接続する構成とすればよい。このように、ローカルオシレータを用いるコヒーレント方式においても、受信した信号光の低速の強度変動成分を検出することで、受信した信号光の周波数変動を検出することができる。
【0091】
(周波数変動の検出の他の例)
図11は、通信装置の変形例を示す図である。図11において、図3に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図11に示すように、通信装置320のFEC処理回路322は、光受信回路321から出力された信号の品質を変動検出回路324へ出力する。信号の品質は、たとえば、FEC処理において得られる単位時間当たりの信号の誤り訂正数や、単位時間当たりの信号の誤り率などである。
【0092】
変動検出回路324は、FEC処理回路322から出力された信号の低速(一定の速度以下)の品質変動を検出する。信号の低速の品質変動は、たとえば、一定時間ごとに信号の品質の平均値を算出し、算出した一定時間ごとの各平均値の差を算出することによって検出することができる。
【0093】
図9のQ値変動912に示したように、信号光の周波数変動が比較的大きい場合は、受信された信号光のQ値に低速(たとえば2[Hz])な変動が現れる。したがって、受信した信号光の低速の品質変動を検出することで、受信した信号光の周波数変動を検出することができる。
【0094】
このように、実施の形態1にかかる通信システム100によれば、通信装置110が送信した信号光の周波数変動の検出結果に基づいて通信装置110が送信する信号光の周波数を変化させ、近接チャネル間の信号光に信号周波数の差を与えることができる。具体的には、通信装置110は、周波数変動の検出結果を通信装置120から受信することで、検出結果に基づいて信号光の周波数を変化させることができる。
【0095】
これにより、波長多重される各信号光のパワーや波長間隔などの状態が変化しても、近接チャネル間の信号光の位相に差を与え、相互位相変調効果による周波数変動を抑制することができる。このため、通信品質を向上させることができる。
【0096】
(実施の形態2)
(通信システム)
図12は、実施の形態2にかかる通信システムを示す図である。図12において、図1に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図12に示すように、実施の形態2にかかる通信装置110は、図1に示した受信部112に代えて受信部1211を備えている。受信部1211は、通信装置120から出力された信号光を受信する。受信部1211は、受信した信号光を制御部113へ出力する。制御部113は、送信部111から送信される信号光の周波数を、受信部1211から出力された信号光の周波数に同期させる。
【0097】
実施の形態2にかかる通信装置120は、図1に示した送信部123に代えて送信部1221および制御部1222を備えている。送信部1221は、信号光を通信装置110へ送信する。検出部122は、周波数変動の検出結果を制御部1222へ出力する。制御部1222は、検出部122から出力された検出結果に基づいて、送信部1221から送信される信号光の周波数を制御する。
【0098】
このように、通信装置120は、通信装置110へ送信する信号光の周波数を、通信装置110から受信した信号光の周波数変動の検出結果に基づいて変化させる。これに対して、通信装置110は、通信装置120へ送信する信号光の周波数を、通信装置120から受信した信号光に同期させることで、信号光の周波数変動の検出結果に基づいて信号光の周波数を変化させることができる。
【0099】
実施の形態2にかかる通信システムの具体例は、たとえば図2に示した通信システム200と同様である。
【0100】
(通信装置)
図13は、通信装置の具体例を示す図である。図13において、図3に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図12に示した受信部1211は、たとえば光受信回路315によって実現することができる。図13に示すように、実施の形態2にかかる通信装置310の光受信回路315は、通信装置320から受信した信号をFEC処理回路316および周波数制御回路318へ出力する。
【0101】
周波数制御回路318は、発振器313が出力するクロック信号の周波数を、光受信回路315から出力された信号の周波数に同期させる。この場合は、発振器313および周波数制御回路318は、位相同期回路(PLL:Phase−Locked Loop)などによって実現することができる。これにより、光送信回路314が送信する信号光の周波数を、光受信回路315から受信した信号光の周波数と同期させることができる。
【0102】
実施の形態2にかかる通信装置320は、図3に示した構成に加えて周波数制御回路1321を備えている。図12に示した送信部1221は、たとえばFEC処理回路326、発振器327および光送信回路328によって実現することができる。図12に示した制御部1222は、たとえば周波数制御回路1321、発振器327およびFEC処理回路326によって実現することができる。
【0103】
変動検出回路324は、周波数変動の検出結果を周波数制御回路1321へ出力する。周波数制御回路1321は、変動検出回路324から出力された周波数変動の検出結果に基づいて、発振器327が出力するクロック信号の周波数を制御する。周波数制御回路1321による周波数変動の検出結果に基づく周波数の制御は、実施の形態1にかかる周波数制御回路318による周波数変動の検出結果に基づく周波数の制御と同様である。
【0104】
発振器327は、発振したクロック信号をFEC処理回路326および光送信回路328へ出力する。また、発振器327は、周波数制御回路1321の制御によって、出力するクロック信号の周波数を変化させる。発振器327は、たとえばVCOによって実現することができる。
【0105】
FEC処理回路326は、発振器327から出力されるクロック信号の周波数に応じて、FECのOHに格納するスタッフビットの数を調節する。FEC処理回路326によるスタッフビットの数の調節は、実施の形態1にかかるFEC処理回路312によるスタッフビットの数の調節と同様である。
【0106】
これにより、通信装置310から通信装置320へ送信された信号光の周波数変動の検出結果に基づいて、通信装置320から通信装置310へ送信される信号光の周波数が変化する。これに対して、通信装置310は、通信装置320へ送信する信号光の周波数を、通信装置320から送信された信号光の周波数に同期させる。これにより、通信装置310は、通信装置320へ送信する信号光の周波数変動の検出結果に基づいて、通信装置320へ送信する信号光の周波数を変化させることができる。
【0107】
また、通信装置310,320のそれぞれが、通信装置310,320の各機能を兼ね備えるようにしてもよい。たとえば、通信装置310は、光受信回路315から受信した信号光の周波数変動を検出し、検出結果に基づいて、光送信回路314から送信する信号光の周波数を変化させる。通信装置320は、光受信回路321において受信した信号光の周波数に、光送信回路328から送信する信号光の周波数を同期させる。
【0108】
これにより、通信装置310の動作と通信装置320の動作とを入れ替えて行うことも可能になる。たとえば、通信装置310,320のいずれかをマスタ装置として設定し、他方をスレーブ装置として設定する。そして、通信装置310,320のうちのマスタ装置は図3に示した通信装置320として動作し、スレーブ装置は図3に示した通信装置310として動作するようにする。
【0109】
図13に示した光受信回路321および変動検出回路324の具体例については、図8図10に示した具体例と同様である。また、図13に示した通信装置310および通信装置320を、末端の通信装置としてもよい(たとえば図4参照)。また、受信した信号光の低速の品質変動を検出することで、受信した信号光の周波数変動を検出する構成としてもよい(たとえば図11参照)。
【0110】
(通信装置の処理)
図14は、通信装置の処理の一例を示すフローチャートである。通信装置310または通信装置320(以下、実行装置と称する)は、たとえば図14に示す各ステップを繰り返し実行する。まず、実行装置は、対向装置との間でFECのOH通信が確立しているか否かを判断する(ステップS1401)。ここで、実行装置が通信装置310である場合は、対向装置は通信装置320である。実行装置が通信装置320である場合は、対向装置は通信装置310である。
【0111】
ステップS1401において、対向装置との間でFECのOH通信が確立している場合(ステップS1401:Yes)は、実行装置は、自装置がマスタ装置か否かを判断する(ステップS1402)。自装置がマスタ装置である場合(ステップS1402:Yes)は、実行装置は、対向装置から受信した信号光から周波数変動(低速の強度変動成分)を検出したか否かを判断する(ステップS1403)。周波数変動を検出していない場合(ステップS1403:No)は、ステップS1411へ移行する。
【0112】
ステップS1403において、周波数変動を検出した場合(ステップS1403:Yes)は、実行装置は、自局の波長番号が奇数であるか否かを判断する(ステップS1404)。自局の波長番号が奇数である場合(ステップS1404:Yes)は、実行装置は、発振器の周波数をプラス方向に制御する(ステップS1405)。つぎに、実行装置は、ステップS1405によって制御された周波数に応じてFECのOHのスタッフビットを追加し(ステップS1406)、一連の処理を終了する。
【0113】
ステップS1404において、自局の波長番号が奇数でない場合(ステップS1404:No)は、実行装置は、発振器の周波数をマイナス方向に制御する(ステップS1407)。つぎに、実行装置は、ステップS1407によって制御された周波数に応じてFECのOHのスタッフビットを削減し(ステップS1408)、一連の処理を終了する。
【0114】
ステップS1402において、自装置がマスタ装置でない場合(ステップS1402:No)は、実行装置は、対向装置からの信号光の周波数に発振器の周波数を同期させる(ステップS1409)。つぎに、実行装置は、ステップS1409によって同期された周波数に応じてFECのOHのスタッフビットを増減し(ステップS1410)、一連の処理を終了する。
【0115】
ステップS1409において発振器327の周波数がプラス方向に制御された場合は、ステップS1410においてFECのOHのスタッフビットが追加される。ステップS1409において発振器327の周波数がマイナス方向に制御された場合は、ステップS1410においてFECのOHのスタッフビットが削減される。
【0116】
ステップS1401において、対向装置との間でFECのOH通信が確立していない場合(ステップS1401:No)は、実行装置は、発振器の周波数を初期値方向に制御する(ステップS1411)。つぎに、実行装置は、ステップS1411によって制御された周波数に応じてFECのOHのスタッフビットを増減し(ステップS1412)、一連の処理を終了する。
【0117】
ステップS1411において発振器の周波数がプラス方向に制御された場合は、ステップS1412においてFECのOHのスタッフビットが追加される。ステップS1411において発振器の周波数がマイナス方向に制御された場合は、ステップS1412においてFECのOHのスタッフビットが削減される。
【0118】
図3に示した例では、ステップS1402において、通信装置310は自装置がマスタ装置でないと判断し、通信装置320は自装置がマスタ装置であると判断する。この場合は、波長チャネルが隣接する複数の通信装置320の周波数制御回路1321は、周波数変動量の増加が検出された場合に互いに異なる方向に信号光の周波数を変化させる。これにより、隣接する波長チャネルの各信号光の周波数が同じ方向に制御されることを回避し、隣接する波長チャネルの各信号光に周波数差を確実に与えることができる。
【0119】
このように、実施の形態2にかかる通信システム100によれば、通信装置110が送信した信号光の周波数変動の検出結果に基づいて通信装置110が送信する信号光の周波数を変化させ、近接チャネル間の信号光に信号周波数の差を与えることができる。具体的には、通信装置110は、送信する信号光の周波数を通信装置120から受信した信号光に同期させることで、検出結果に基づいて信号光の周波数を変化させることができる。
【0120】
これにより、波長多重される各信号光のパワーや波長間隔などの状態が変化しても、近接チャネル間の信号光の位相に差を与え、相互位相変調効果による周波数変動を抑制することができる。このため、通信品質を向上させることができる。
【0121】
(非線形効果による周波数変動)
図15−1は、信号光の伝送後のスペクトラム(非線形効果が弱)を示す図である。図15−2は、信号光の伝送後のスペクトラム(非線形効果が強)を示す図である。図15−1および図15−2において、横軸は波長[nm]を示し、縦軸は信号光のパワー[2dB/Div]を示している。
【0122】
図15−1および図15−2は、RZ−DPSKによって変調された信号光の伝送後の測定結果を示している。信号速度は10.71[GHz]、波長間隔は25[GH]とした。図15−1に示すスペクトラム1501は、伝送路の非線形効果が比較的弱い場合における信号光の伝送後のスペクトラムである。図15−2に示すスペクトラム1502は、伝送路の非線形効果が比較的強い場合における信号光の伝送後のスペクトラムである。
【0123】
スペクトラム1501,1502のそれぞれは、スペクトルを重ねてトレースしたものであり、波長(周波数)が変動するほど横軸方向にぶれる。スペクトラム1501,1502に示すように、伝送路の非線形効果が比較的大きい場合は、伝送路の非線形効果が比較的小さい場合よりもスペクトラムが波長(周波数)方向に変動することが分かる。
【0124】
(近接チャネルとの周波数差による周波数変動の抑制)
図16−1〜図16−6は、近接チャネルとの間に周波数差を与えた信号光の伝送後のスペクトラムを示す図である。図16−1〜図16−6にそれぞれ示すスペクトラム1601〜1606は、図15−2に示したスペクトラム1502と同様の条件において、近接チャネルとの間に周波数差を与えた信号光である。
【0125】
図16−1のスペクトラム1601は、近接チャネルとの間に0.01[ppm](110[Hz])の周波数差を与えた信号光である。図16−2のスペクトラム1602は、近接チャネルとの間に0.1[ppm](1.1[kHz])の周波数差を与えた信号光である。図16−3のスペクトラム1603は、近接チャネルとの間に0.2[ppm](2.2[kHz])の周波数差を与えた信号光である。
【0126】
図16−4のスペクトラム1604は、近接チャネルとの間に0.5[ppm](5.5[kHz])の周波数差を与えた信号光である。図16−5のスペクトラム1605は、近接チャネルとの間に1[ppm](11[kHz])の周波数差を与えた信号光である。図16−6のスペクトラム1606は、近接チャネルとの間に2[ppm](22[kHz])の周波数差を与えた信号光である。
【0127】
図15−2に示したスペクトラム1502およびスペクトラム1601に示すように、近接チャネルとの周波数差が0[ppm]である信号光に比べて、近接チャネルとの周波数差が0.01[ppm]である信号光は周波数変動が抑えられている。また、スペクトラム1601,1602に示すように、近接チャネルとの周波数差が0.01[ppm]である信号光に比べて、近接チャネルとの周波数差が0.1[ppm]である信号光は周波数変動が抑えられている。
【0128】
また、スペクトラム1603〜1606に示すように、近接チャネルとの周波数差が0.2[ppm]以上である信号光は周波数変動がほぼ完全に抑えられている。このように、信号光における近接チャネルとの周波数差を大きくするほど、信号光の周波数変動を抑えることができる。
【0129】
図17は、近接チャネルとの間の周波数差とQ値との関係を示すグラフである。図17において、横軸は近接チャネルとの間の周波数差[ppm]を示し、縦軸は信号光の伝送後のQ値[dB]を示している。Q値特性1701は、近接チャネルとの間の周波数差に対する、信号光のQ値の最良値の特性を示している。Q値特性1702は、近接チャネルとの間の周波数差に対する、信号光のQ値の最悪値の特性を示している。
【0130】
Q値特性1702に示すように、近接チャネルとの間の信号光の周波数差を大きくするほど、信号光の伝送後のQ値の最悪値が向上することが分かる。特に、信号光の近接チャネルとの周波数差を0.2[ppm]以上とすることで、信号光の伝送後のQ値の最悪値を最良値付近まで向上させることができる。
【0131】
以上説明したように、通信装置、多重通信装置、通信システムおよび通信方法によれば、送信した信号光の周波数変動の対向装置での検出結果に基づいて、送信する信号光の周波数を変化させる。これにより、近接チャネル間に信号光の周波数差を与えて信号光の周波数変動を抑制し、通信品質を向上させることができる。
【0132】
上述した各実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0133】
(付記1)位相変調した信号光であって他の光と波長多重されて対向装置へ伝送される信号光を送信する送信部と、
前記送信部によって送信された信号光の周波数変動の前記対向装置での検出結果に基づいて、前記送信部によって送信される信号光の周波数を変化させる制御部と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【0134】
(付記2)前記検出結果を前記対向装置から受信する受信部を備え、
前記制御部は、前記受信部によって受信された検出結果に基づいて前記信号光の周波数を変化させることを特徴とする付記1に記載の通信装置。
【0135】
(付記3)前記受信部は、前記対向装置からの信号のオーバーヘッドに格納された前記検出結果を受信することを特徴とする付記2に記載の通信装置。
【0136】
(付記4)前記オーバーヘッドは、前方誤り訂正のオーバーヘッドであることを特徴とする付記3に記載の通信装置。
【0137】
(付記5)前記対向装置が前記検出結果に基づいて周波数を変化させて送信する信号光を受信する受信部を備え、
前記制御部は、前記受信部によって受信された信号光の周波数に、前記送信部によって送信される信号光の周波数を同期させることを特徴とする付記1に記載の通信装置。
【0138】
(付記6)前記制御部は、前記送信部によって送信される信号光に含まれるスタッフビットの量を変化させることで前記周波数を変化させることを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の通信装置。
【0139】
(付記7)前記スタッフビットは、前方誤り訂正のスタッフビットであることを特徴とする付記6に記載の通信装置。
【0140】
(付記8)付記1〜7のいずれか一つに記載の通信装置と、
前記通信装置によって送信された信号光と他の光とを波長多重する合波器と、
を備えることを特徴とする多重通信装置。
【0141】
(付記9)互いに波長チャネルが隣接する複数の前記通信装置を備え、
前記合波器は、前記複数の通信装置によって送信された信号光を波長多重し、
前記複数の通信装置の前記制御部は、互いに異なる方向に前記周波数を変化させることを特徴とする付記8に記載の多重通信装置。
【0142】
(付記10)位相変調した信号光を送信する第一通信装置と、
前記第一通信装置によって送信されて他の光と波長多重されて伝送された信号光を受信し、受信した信号光の周波数変動を検出する第二通信装置と、
を含み、
前記第一通信装置は、前記第二通信装置によって検出された周波数変動に基づいて、前記第二通信装置へ送信する信号光の周波数を変化させることを特徴とする通信システム。
【0143】
(付記11)前記第二通信装置は、前記周波数変動の検出結果を前記第一通信装置へ送信し、
前記第一通信装置は、前記第二通信装置によって送信された検出結果に基づいて前記信号光の周波数を変化させることを特徴とする付記10に記載の通信システム。
【0144】
(付記12)前記第二通信装置は、前記第一通信装置へ送信する信号光の周波数を前記周波数変動の検出結果に基づいて変化させ、
前記第一通信装置は、前記第二通信装置へ送信する信号光の周波数を、前記第二通信装置から送信された信号光の周波数に同期させることを特徴とする付記10に記載の通信システム。
【0145】
(付記13)前記第二通信装置は、前記第一通信装置から受信した信号光の一定の速度以下の強度変動成分を検出することで前記周波数変動を検出することを特徴とする付記10〜12のいずれか一つに記載の通信システム。
【0146】
(付記14)前記第二通信装置は、前記第一通信装置から受信した信号光の一定の速度以下の品質変動を検出することで前記周波数変動を検出することを特徴とする付記10〜12のいずれか一つに記載の通信システム。
【0147】
(付記15)位相変調した信号光を送信する第一通信装置と、前記第一通信装置によって送信されて他の光との波長多重によって伝送された信号光を受信する第二通信装置と、による通信方法において、
前記第二通信装置が、前記第一通信装置から受信した信号光の周波数変動を検出し、
前記第一通信装置が、前記第二通信装置によって検出された周波数変動に基づいて、前記第二通信装置へ送信する信号光の周波数を変化させることを特徴とする通信方法。
【符号の説明】
【0148】
100,200 通信システム
500 フレーム
800,1000 モニタ回路
801 信号光
810 復調器
811,1031〜1034 分岐部
812,813 導波路
814,1041〜1044 干渉部
820,1051〜1054 受光部
831,1061〜1064 容量
832,1071 抵抗
841,842,1081〜1085 出力部
911 強度変動
912 Q値変動
1001 偏波多重信号光
1021,1022 偏波ビームスプリッタ
1035,1036 遅延部
1501,1502,1601〜1606 スペクトラム
1701,1702 Q値特性
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15-1】
図15-2】
図16-1】
図16-2】
図16-3】
図16-4】
図16-5】
図16-6】
図17