(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
MRIでは、高速スピンエコー(Fast Spin Echo:FSE)シーケンス等のように、NMRスピンエコー及び複数スピンエコーの形成が必須である。そして、MRIでは、長い一連のエコーを生成するために、高振幅初期RFリフォーカスパルスから低振幅パルスへエコートレインを一掃し、ときには、より高い振幅パルスへ再度戻ることが有利になる場合がある。その目的には、(1)追加の使用可能なエコー及びより速いスキャン時間を生成するか、又は、同一時間により高い解像度のスキャンを生成すること、(2)SAR(Specific Absorption Ratio)の低減、又は、SARによる制限が少ないスキャン、又は、(3)好ましい動き及びアーチファクトの特性が含まれる。
【0003】
かかる一連のエコーは、重要な設計制約及び達成されるべき重要な目的に基づいて実現される。
【0004】
通常、連続エコーは、k空間の配置及び空間領域画像を形成するために用いられる場合には、ある種の滑らかな形状、又はエンベロープを形成するピークを有するべきである。より具体的には、結果として得られる画像の点広がりは、狭く保たれなければならず、且つ、比較的、二重映像、リンギング又はエイリアシングがないべきである。信号レベルは最大限にされなければならず、又は、信号対雑音比(SNR)が最大限にされなければならない。T2重み付けの量又はT1重み付けの量等の画像コントラストは、数種類の可能な目標のいずれに合致しなければならない。これらのコントラストの目的は、組織タイプの範囲にわたって維持される必要があってもよい。画像は、明るいか又は暗い移動する体液等の、動き又は流れに対して、一定の特徴を有する必要があってもよい。画像は、オフ共鳴周波数の範囲にわたって一貫した外観を維持する必要があってもよい。RFリフォーカスパルストレインの技術特徴、例えば、ピークRF極限電力、統合極限電力(例えば、SARに基づいて)、又は、RF不完全(B1空間不均質)の範囲にわたる性能等もまた、合致しなければならない。
【0005】
これらの理由のため、一連のリフォーカスパルスの各々用の送信RFリフォーカスパルス特徴を決定する設計方法を有することが必要である。特に、MR画像は、これらのRFリフォーカスパルスの振幅を決定する方法を必要とする(すなわち、振幅は典型的に、各個別RFリフォーカスパルスの統合区域に対応し、それは、今度は、特定のリフォーカスパルスの効果的なNMRニューテーション角度αを決定する)。リフォーカスパルス振幅の決定は、様々な技術的制約を受けて、結果として、改良されたか又は最適化された画像品質及び画像品質客観指標にならなければならない。MRIスキャナパルスシーケンス設計の結果として得られる出力は、RF送信パルス振幅のエンベロープを含み、それは、「バリアブルフリップアングル(VFA)」として示すことができ、又は、「可変リフォーカス角度」、「送信パルストレインエンベロープ」等という名前で呼ばれてもよい。
【0006】
そのような設計の妥当性はよく知られており、特に、高解像度3D FSEスキャニング等のスキャニングアプリケーションはそうである。そのようなアプリケーションの重要性は、一般に、より高い主要磁場強さでスキャナを増加してもよい。
【0007】
そのようなエコートレイン用のRFリフォーカスパルス振幅の設計は、ブロッホ方程式シミュレーションを使用して行われることもあり、ヘニグの拡張位相グラフアルゴリズムを使用して行われることもある。
【0008】
そのようなパルストレインのシミュレーション及び設計にT1及びT2を使用する先行技術のアプローチもある。多項式近似を使用するものもある。いずれにせよ、様々なこれらのアルゴリズムは、主要MRIシステム製造業者によって先に販売された「バリアブルフリップアングル」市販品に使用される。
【0009】
RFリフォーカスパルスの設計において、まず、エコー信号振幅のターゲットシリーズが生成されることが多い。次いで、RFリフォーカスパルスが計算され、それは、結果として、所望の(ターゲット)検出可能なエコー信号レベルになる。そのような設計を生成することができない場合には、ターゲット信号レベルは減少され(おそらく、全体的なターゲット信号振幅を低下することによって)、次いで、実現可能な設計を生成することができるまで、必要なRFリフォーカスパルスの計算が繰り返される。
【0010】
大半のそのような設計に必要な重要なビルディングブロックは、フォワードシミュレーションを生成するやり方であり、そこで、各連続エコーのRFエコー信号レベルは、一連のRFパルス振幅、及び、通常、ターゲット組織緩和値、T1及びT2等の追加パラメータから計算することができる。
【0011】
ターゲット性能が明記され、例えば、エコーの幾分の範囲で達成されるべき検出可能なエコー信号レベル、又は、各エコー用の別々のターゲット信号レベルを備えたターゲットエコー信号レベルのエンベロープ全体である。そのようなターゲットは、実現可能であってもなくてもよい。これは、NMR磁化の信号減衰(緩和)が、十分ではない磁化信号が後にエコートレインで存続するようなものであるため、実現不可能でありえる。これは、後の時間に所与のエコー信号レベルを生成するのに必要なRFリフォーカスパルスが、送信RF信号の最重要な制約を超えるため、実現不可能でありえる。
【0012】
典型的な設計方法は、ターゲットエコー信号が達成されるように各連続エコーを生成するためにRFリフォーカスパルス振幅を漸次選ぶことに関与する。これは、実現可能なエンベロープが完全に計算されるまで、又は、ターゲットトレイン計画が実現可能ではないと決定されるまで、すべての連続エコーで行われる。典型的に、ターゲット計画が実現可能ではない場合には、より低いエコー振幅を備えたより簡単なターゲット計画が選ばれ、プロセスが繰り返される。また、ターゲット計画が実現可能なRFリフォーカスパルス振幅トレインを生じさせる場合には、より高いターゲットエコー信号又は他のより高いレベルの性能ターゲットを試みるのが普通である。このようにして、実現可能である最高信号レベルを決定するか近似するよう試みる実際の最適化プロセス、及び、それに応じて生成するRFパルス設計があってもよい。
【0013】
上記のように、フォワードシミュレーションは、通常、2つの広く使用される技術のいずれかで行われる。第1の技術は、ブロッホ方程式の微分形式にしたがって生成された有限差分で、ブロッホ方程式を直接シミュレートする。これらのブロッホ方程式は、一連のイソクロマット(isochromat)の各々で満足され、次いで、各エコー用に、合計された総信号(すべてのイソクロマットにわたって)が決定される。各時間ステップで、NMR磁化成分M
x、M
y及びM
zは、RFパルス、オフ共鳴、緩和、及び、3つの磁化成分の先の値に基づいて、計算される。
【0014】
あるいは、第2の技術は、Jurgen Hennig教授の拡張位相グラフ形式化を使用する。各RFリフォーカスパルス用に、各調和経路の信号のどれほどを隣接する調和経路の各々内に展開させるかを決定する。拡張位相グラフ方法で、各エコーで検出された信号は、エコーのときにゼロ番目又は「アンエンコード(unencoded)」経路の信号に対応する。拡張位相グラフ計算では、各エコーで閉形式計算を使用して、RFリフォーカスパルス振幅が、次の所望のエコー信号レベルを生成するために、何でなければならないかを決定することができる。
【0015】
拡張位相グラフアルゴリズムは、通常、均一間隔開け、各エコー内インターバル当たりの整合した勾配モーメント等で、トレインに加えるのみであるため、効果が限定的でありうる。ボクセルにわたるディフェーズが2πの倍数ではない場合には、又は、ボクセルにわたる信号特徴が実質的に均一ではない場合には、検出可能な(すなわち、横方向M
x)信号がゼロ番目の横方向調和から来るという仮定が当てはまらず、計算は観察された信号に整合しない。
【0016】
シミュレーションモデルでT1及びT2に依存するアルゴリズムはまた、複雑な組織を完全には記載しなくてもよい。実際のMR物理学は、仮定よりも複雑であり、信号は、異なる速度で減衰するか、振動を展開するか、又はその両方である。
【0017】
これらのフォワード計算方法のいずれかもまた、エコー信号トレインがエコー−エコーから計算されるときに、特に、信号レベルがほぼ実現不可能になり残っている磁化が緩和のためほぼ枯渇しているときに、VFA RFリフォーカスパルス振幅設計において漸次増加するエラーを生成する機会を有する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に示すMRIシステムは、ガントリー10(概略断面で示される)と、それに接続された様々な関連システム構成要素20とを有する。一般的に、少なくともガントリー10は、シールドルーム内に設置される。また、
図1に示すMRIシステムは、静磁場B
0磁石12の実質的に同軸の円筒形配列と、G
x、G
y及びG
z勾配コイルセット14と、RFコイル16とを有する。これらの要素の円筒形状の水平軸に沿って、患者台11によって支持された患者9の頭部を実質的に包囲するように、撮像ボリューム18が配置される。
【0032】
MRIシステムコントローラ22は、ディスプレイ24、キーボード26及びプリンタ28に接続された入力/出力ポートを有する。ここで、ディスプレイ24は、操作の入力を受け付けることができるように、各種のタッチスクリーンであってもよい。
【0033】
MRIシステムコントローラ22には、MRIシーケンスコントローラ30が接続される。MRIシーケンスコントローラ30は、G
x、G
y及びG
z勾配コイルドライバ32、さらに、RF送信機34及び送信/受信スイッチ36(送信及び受信の両方に同一のRFコイルが使用される場合)を制御する。また、MRIシーケンスコントローラ30は、計算されたバリアブルエコートレインMRIシーケンスを実行するための、且つ/又は、MRIシーケンスコントローラ30の能力の範囲内で既に利用可能である他の(例えば、従来の)MRIシーケンスを備えた適切なプログラムコード構造38を含む。
【0034】
MRIシステムは、処理された画像データをディスプレイ24に出力するように、データプロセッサ42へ入力を提供するRF受信機40を含む。MRIデータプロセッサ42は、受信機40から獲得したMRIデータに基づいてMR画像を引き出し、格納し、且つ/又は、表示するために、データ分析プログラムコード構造44へアクセスするように構成される。
【0035】
また、
図1には、MRIシステムプログラムストア50の一般的説明があり、格納されたプログラムコード構造(例えば、バリアブルエコートレインMRIパルスシーケンスを計算するための)が、MRIシステムの様々なデータ処理構成要素へアクセス可能なコンピュータ可読の記憶媒体に格納される。当業者が認識するように、プログラムストア50は、通常操作におけるそのような格納されたプログラムコード構造に最も差し迫った必要を有するコンピュータを処理するシステムの異なるものに、少なくとも部分的に、分割され、直接接続されてもよい(すなわち、MRIシステムコントローラ22に通常格納され直接接続されるのではなく)。
【0036】
実際、当業者が認識するように、
図1の図は、下記に述べられる例示的な実施形態を実行するように修正を備えた典型的なMRIシステムの、非常に高度に簡略化した図である。システム構成要素は、「ボックス」の異なる論理集合に分割することができ、典型的に、多数のデジタル信号プロセッサ(DSP)と、マイクロプロセッサと、専用処理回路(例えば、高速A/D変換、高速フーリエ変換、アレイ処理等用)と、を備える。これらのプロセッサの各々は、典型的に、クロック「状態機械」であり、物理的データ処理回路は、各クロックサイクル(又は所定の数のクロックサイクル)の発生時に、1つの物理的状態から別の物理的状態に進行する。
【0037】
処理回路(例えば、CPU、レジスタ、バッファ、算術演算装置等)の物理的状態が、操作中に1つのクロックサイクルから別のクロックサイクルに漸次変化するだけではなく、関連データ記憶媒体(例えば、磁気記憶媒体のビット記憶場所)の物理的な状態が、そのようなシステムの操作中に1つの状態から別の状態に変換する。例えば、バリアブルエコートレインMRIシーケンスの計算の結果で、物理的記憶媒体のコンピュータ可読アクセス可能データ値記憶場所のアレイが、以前の状態(例えば、すべて均一な「ゼロ」値又は全「1」値)から新しい状態へ変換され、そのようなアレイの物理的な場所で物理的状態は、現実世界の物理的事象及び条件を表すために、最小値から最大値の間を変動する(例えば、MRIデータを獲得する際に使用されるべき計算されたバリアブルエコートレインMRIパルスシーケンス)。当業者が認識するように、格納されたデータ値のそのようなアレイは、物理的構造を表し且つそれを構成するが、コンピュータ制御プログラムコードの特定の構造がそうであるようにであり、それは、命令レジスタに順次ロードされ且つMRIシステムの1つ以上のCPUによって実行されるときに、操作状態の特定のシーケンスを発生させ、MRIシステム内を通って移行させる。
【0038】
後述される例示的な実施形態は、MRIデータを獲得するために、利用可能なバリアブルフリップアングルエコートレインMRIパルスシーケンスを計算するための優良な方法を提供する。
【0039】
図2Aは、NMR周波数を静磁場B
0(z軸に平行に整列配置される)の強さ及び磁気回転比γに関連づける既知のラーモア方程式によって規定される回転座標系における状況を示す。典型的な市販のMRIシステムは、B
0の大きさが0.5〜3.0テスラの範囲であり、したがって、何十MHzで回転する回転座標系(例えば、水素原子核用)を規定する。
【0040】
共鳴に加えられたロッキングRFパルスB
xは、NMR核の可能なオフ共鳴と組み合わされて、ベクトルB
lockを中心にした回転座標系で効果的な回転を生じさせる。純磁化がスピンロックされる場合には(例えば、低レベル連続RFロッキング送信で)、純磁化は、スピンロッキング角度δによって横方向x−y平面から傾斜してずれる。B
lockは、2つの成分B
x及びB
zから構成される。典型的に、回転速度f
x及びf
zは、おそらく0.1〜2.0KHzの範囲であり、すなわち、B
0によって規定された回転座標系の回転速度よりもかなり小さい。
【0041】
その回転座標系内で、NMR(核磁気共鳴)原子種の集団は、純磁化ベクトルM
fullを生成する。
図2Bに示されるように、NMR磁化は、ロッキング角度を中心にして円錐形状の軌跡に沿って回転する。最も単純な場合には、この磁化には、単一イソクロマットが関連づけられてもよい。時間におけるいずれの点でも、イソクロマットは、成分M
xfull及びM
zfullを備えたベクトルで記載することができる。M
yfullは、
図2Bには明確に描かれていないが、それは、結局、正確な実施に依存して、M
yfullの知識がまったく必要とされなくてもよいことが分かるからである。便利なことに、Carr Purcell Meiboom Gill(CPMG)条件を満足させる典型的なVFA FSEパルスシーケンスにおいて、M
yfull成分は、ゼロであるか又は小さく、重要でないものであり、そのため、頻繁に分析外に置くことができる。
【0042】
スピンロッキングの分析において、効果的なロッキングパルスに投影することによって得られる完全磁化ベクトルの部分に特別な注意を払うことが典型的である。
図2Cは、M
lockedとして示されるこの成分を示す。M
lockedは、パラメータT1
ρoffsetによって説明されるように、減衰する成分である。少なくともいくつかの基礎スピンロッキングシーケンス及びCPMG FSEシーケンスのいくつかの単純なモデルでM
lockedを説明するために、2つの成分M
xlocked及びM
zlockedを明記すれば十分である。
【0043】
図2D及び2Eに示されるように、単位球面を中心にした磁化ベクトルの運動を考慮することによって、この回転座標系で有用な観察を行ってもよい。
【0044】
オフ共鳴イソクロマットで送信リフォーカスRFの大きさ(すなわち、リフォーカスパルスのエンベロープ下で一体化区域に比例した「フロップ」角度α)に応じて、バリアブルフリップアングルを備えたFSEシーケンスの安定状態分析におけるスピンロックされたエコー信号の横方向成分M
xを見いだしたいと仮定する。CPMGの場合を仮定し、単位球面におけるCPMG磁化の軌道を見る。初期には、1つのイソクロマットでは、説明を容易にするために、規模緩和効果は無視される。
【0045】
エコー磁化がAで開始し、時間において(ETS/2=エコー内時間の半分)、Bへ角度βだけディフェーズすると仮定する。次いで、加えられたRFリフォーカスフロップパルスが
図2D及び2EのBからC、CからDへ磁化を回転させる。磁化は、次いで、次のエコーの準備で、DからA、Eへリフェーズされる(再度、時間はETS/2)。
【0046】
簡単な三角法を使用して、場所B又はDを計算することができる(例えば、B及びDは、x−z平面にわたって反対のM
y値へ反射されるため、対称であり、同一に取り扱うことができる)。
【0047】
図2Eは、M
x軸を真っ直ぐ見下ろす正面からの単位球面の図である。
【0048】
このモデルを使用して、下記の近似公式を使用してスピンロッキング角度δを、RF送信リフォーカスパルス角度/振幅α、及び、特定のオフ共鳴(又は、おそらく勾配スポイリング)効果が連結されたディフェーズ角度β、すなわち、磁化が、初期オン周波数早期リフォーカスパルス整列配置に対して歳差運動するディフェーズ角度(例えば、加えられたRFリフォーカスパルスが回転座標系のx方向に沿って横方向B1磁場を使用するため、回転座標系におけるx軸からの逸脱)、へ関連づけることができることを示すことができる。
【0050】
上記簡略化された説明は、低レベル連続RFスピンロッキングを仮定することから開始しているが、上記近似公式は、より長い持続のオフ共鳴歳差運動によって取り囲まれた、短いRFリフォーカスパルスの「櫛状」エンベロープが関連づけられたスピンロッキング区域から派生し、有効である(また、当然ながら、個別リフォーカスパルス振幅よりも低い平均レベルを有する)。典型的なそのようなVFA MRIデータ獲得シーケンスの一部が、
図3に示され、そこでは、バリアブルフリップアングルRFリフォーカスパルス(「フロップ」パルスを称されることもある)のトレインが、頂部線上に示され、スピンエコー信号の結果として得られたトレインが、底部線上に示されている。G
x、G
y、G
z勾配磁場パルスの付随するシーケンスもまた、MRIデータ獲得シーケンスの必要な部分である。完全エコートレインは、当業者が理解するように、典型的に、変動する位相エンコード勾配振幅で、数回繰り返され、タイミングインターバルTRによって分離される。
【0051】
当然ながら、式(1)の公式は、リフォーカス角度αがゼロであるときには、機能停止するが、それは、この条件では、スピンロッキング又は分離可能なエコー信号がなく、したがって、不定条件を表すからである。この方法の詳細な実施形態において、ゼロに非常に近いリフォーカス角度をしっかりとチェックすることが賢明であるが、そのような低い角度は、結果として得られるVFAパルスシーケンス設計では通常は用いられない。
【0052】
例示的な実施形態は、「強力」な求根(例えば、反復数値解法)技術を使用することが好ましく、一方、仮定された解法は、そのような不定の可能性を回避するように、常に、平衡近傍のスピンロッキング条件である。現在のところ、上記に示した式(1)の近似公式には既知の閉鎖解はない。
【0053】
図4に示されるように、入力ターゲットエコー振幅は、近似的な指数関数的減衰セグメント(
図4のエコー85あたり)に入る前に、かなりの数のエコーに(例えば、
図4のエコー78あたりへ)、ほぼ直線的に減少するセグメントを有してもよい。また、ターゲットエンベロープは、ターゲットとVFAパルス設計で得られる信号との間に良好な整合が必要である領域から構成されてもよく、ターゲットエンベロープは、結果として得られる信号がターゲットに密接に整合する必要がない(例えば、
図4参照)1つ以上の領域を有してもよい。例えば、入力ターゲットエコー規模エンベロープは、初期移行セグメント(数エコーの、例えば、4〜8)を有してもよく、信号は、その領域でターゲットに対して逸脱してもよい。同様に、いくつかの後のエコーは、代替設計ルールを使用して生成されてもよく、所定のターゲットに密接に整合する信号を有する必要が無くてもよい。
【0054】
このターゲットエコートレインを達成するために、例示的な実施形態は、
図5に概略的に示されたようなRFリフォーカスパルス振幅の対応する計算されたトレインを生成し、それは、初期移行期間中に大いに低下するが、次いで、主要エコートレインにわたって大いに増加し、そこでは比較的密接な整合を必要とし(例えば、エコー78へ)、所望のターゲットエコー信号を維持する試みを超える。主要エコー(例えば、エコー78)後に、いつかの実現可能な最終値へ落ちる前の幾分の期間に、タンジェントに従ってもよい(例えば、
図5参照)。当然ながら、理解されるように、ターゲットエコー信号は、現実世界では何が物理的に実現可能であろうかという考えで、選ばれる。そうでなければ、シミュレーションプロセスが機能停止し、時期尚早に終了する。
【0055】
図6に示された例示的な実施形態は、いくつかの仮定及び公式に基づいた計算に関与する。一般に、計算は、うまく設計されたRFエコートレイン用に、実際の検出可能なエコー信号が、しっかりした安定状態の信号解法から、あまり大きく逸脱しないという観察を利用する。これは、ロックされた信号をロッキング角度に投影することを使用するような近似の陰にある、物理的な動機である。
【0056】
図6の例示的な実施形態のシミュレーションモジュールに入ることが、ステップ600で生じる。ここで、エコー振幅の所望のターゲットトレインは、ユーザによって入力されてもよく、他のように決定されてもよい(例えば、いくつかの所望の設計アルゴリズムに基づいて)。例示的な実施形態は、次いで、ターゲットトレインの各連続エコーに関連した必要な送信RFリフォーカスパルスの振幅を設計することへ進む。
【0057】
既に明記していなければ(例えば、プログラムモジュール自体に)、所望の安定状態条件が602で入力される(例えば、それぞれのRFリフォーカスパルスとインターバル内ディフェーズ期間βとの間のエコー−エコーインターバル、減衰因子T1
ρ、等)。エコー信号カウンタESCもまた、ステップ604、606、608、610、612及び614を備えるエコーバイエコー設計ループに入る前に初期設定される。ステップ604で、仮定された安定状態条件用に(エコー−エコーインターバル内の先のRFリフォーカスパルス及びエコー−エコーインターバル用のディフェーズ期間によって記載される)、単位球面上のそのような「安定状態」信号の場所が計算され、現在のスピンロック角度δを決定する。このロック角度位置近傍にある信号成分は、T1
ρoffによって記載された速度で減衰する。オフ共鳴T1
ρが、標準オン共鳴T1
ρ、T1及びスピンロック角度δから計算(又は概算)することができるという仮説を使用して、そのような減衰が計算され、604で格納される。
【0058】
送信RFリフォーカスパルスを実際に設計するためにアルゴリズムを使用すべきか否かに関する選択肢が606で呈される。呈されない場合には、制御は、612のエコー計算ループ検査へ進み、エコー信号の純フォワード計算のみが達成される。これは、例えば、ターゲットトレイン用にすべてのRF送信リフォーカスパルスが既に完全に前もって明記されており、結果として得られるエコー信号の大きさを決定することのみを望む場合に、有用であってもよい。この場合、RF送信パルス振幅を設計するためのアルゴリズムは、省略される。それにもかかわらず、エコー信号の大きさの計算は、依然として、ターゲットスキャンの態様を分析し、又は、記載する際に、有用であってもよい。例えば、おそらく、シミュレーションを使用して、オペレータにMRIスキャンシステムを知らせることができ、又は、放射線科医師に、結果として得られた画像を、予想されるSNR又は解像度又は画像コントラスト等に関して解釈するよう知らせることができる。
【0059】
RFリフォーカス送信パルスを設計すべき場合には、制御は、ステップ608へ進む。ここで、(例えば、そのエコーのスピンロック角度、又は、その近傍の角度で)先のエコーの大きさ(すなわち、スピンエコーを生成した純NMR磁化振幅)が与えられると、適切な新しいスピンロック角度δを選ぶことによって、横方向(すなわち、検出可能)エコー信号のターゲット量を達成することができ、それは、今度は、設計下のトレインの次のRFリフォーカスパルスの必要な強さ(すなわち、ニューテーション角度)を決定する。すなわち、変数δ、β及びαに関する上述の近似公式を使用して、δ及びβは今や既知の量であるため、唯一の未知の量は、必要なRFリフォーカスパルスのニューテーション角度αであり、それは、α用の非閉鎖形態解法を導き出すように、式(1)の近似公式及び適切な数値解法技術を使用して、決定することができる。
【0060】
次のRFリフォーカスパルスの計算されたRFリフォーカスパルス振幅は、610で格納される。ターゲットエコートレインの他のエコーに関するさらなる反復用に、ループカウンタが612で検査される。最後に、トレインのすべての所望のエコーがシミュレートされたときには(且つ対応するRFリフォーカスパルス振幅が計算され格納されたときには)、完了した計算結果は、完全バリアブルエコートレインMRIシーケンスのテンプレートとして(例えば、
図1のプログラムストア50に)、格納され/転送され/表示されてもよい。
【0061】
当業者が認識するように、MRIシステム内の1つ以上のプログラムされたプロセッサ(例えば、MRIシステムコントローラ22)が、バリアブルフリップアングルMRIエコートレインパルスシーケンスを計算するシミュレーションアルゴリズムを処理するように、プログラムストア(例えば、
図1のプログラムストア50に)にアクセスしてもよい。結果は、次いで、所望に応じてシステムの他のメモリ/プロセッサへ転送されてもよい(例えば、計算されたバリアブルエコートレインMRIシーケンスのテンプレートを使用して実際の診断スキャンがもたらされるべきである場合には、MRIシーケンスコントローラ30によって使用されるためにプログラムストア50へ)。
【0062】
606で設計を行う場合には、連続エコー信号強さが計算される(又は、ターゲットとして受け入れられる)だけではなく、同時に、連続エコーの各々用にRFリフォーカスパルス振幅を選択し/設計する。典型的に、計算されたエコー信号レベルは、所望のターゲット信号レベルに実質的に整合する(例えば、各連続エコーに関連した適切なRFリフォーカスパルス振幅を選ぶことによって)。このようにして、
図6のプログラムコードを使用して、MRI VFAスキャンシーケンスのかなりの部分を「設計」してもよく、それは次いで、MRIシステムスキャナハードウェアで実行されてもよい。
【0063】
図6には明確に反映されていないが、エコートレインの計算は、単一のイソクロマット用に達成することができるか、又は、イソクロマットの分布用に達成することができるかのいずれかであり、次いで、複合出力を提供するように要約されることも認識されるべきである。
【0064】
当業者が認識するように、そのような計算に使用されるイソクロマットの数は、エイリアシング等の効果によって発生するアーチファクトを回避するか最小限にするように、完全シーケンスのスピンエコーの数の少なくとも2倍であることが好ましい。
【0065】
当業者がまた認識するように、減衰パラメータT1
ρは、組織特異性である。すなわち、NMR核の各種用に、T1
ρ減衰の異なる値があってもよい。典型的に、この指数関数的な減衰因子は、当該の大半の核種では、30〜300msほどの範囲内である。そのような値は、既に知られて決定されているのではなければ、標準のよく知られた手順にしたがって、実験的に決定されてもよい。例えば、下記を参照のこと。
Wheatonら著、「減少したSAR T
1ρ加重MRI用の方法(Method for Reduced SAR T1ρ-Weighted MRI)」、Magn.Reson.Med.、51巻、2004年、p.1096〜1102、
Markkolaら著、「0.1Tにおける頭部及び首組織のT
1ρ値の決定:T
1及びT
2緩和時間との比較(Determination of T
1ρ Values for Head and Neck Tissues at 0.1 T:A comparison to T
1 and T
2 Relaxation Times)」、Magn.Reson.Imaging、16巻、第4号、1998年、p.377〜383、
Pakinら、「並列イメージングを備えた3.0Tにおける膝関節の急速3D−T
1ρマッピング(Rapid 3D-T
1ρ Mapping of the Knee Joint at 3.0T With Parallel Imaging)」、Magn.Reson.Med.、56巻、2006年、p.563〜571。
【0066】
図6の実施形態の例示的なシミュレーション計算のより詳細な説明が、次に記載される。例えば、角度δでスピンロックされる磁化信号を考える。そのような場合には、単一エコー−エコーインターバルに対する(又は、等価で、1つのRFリフォーカスパルスから次のものへのインターバルで)オフ共鳴T1
ρ緩和を仮定して、下記の方程式に従うことができる。
【0067】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【0068】
当業者が認識するように、上記式(5)をステップ604に使用して、減衰した磁化の大きさを計算してもよく、一方、式(7)をステップ608に使用して、磁化の所与の横方向成分に必要な新しいスピンロック角度δを決定してもよい(例えば、ターゲット検出可能な信号レベル)。
【0069】
わずかに洗練された例示的な実施形態が、
図7A及び7Bに示される。ここで、700で入った後に、オペレータ明記シーケンスパラメータを入力すべきか否かに関して702で決定する。入力する場合には、704でそのように入力する。当然ながら、そのようなパラメータは、予め格納されたパラメータ、及び、異なる組み合わせ及びそれの順列のオペレータ選択、又は、所与の望ましい状況等用のシーケンスパラメータの全体的に予め格納されたセットに関与してもよい。
【0070】
いずれにせよ、ひとたび所望のターゲット信号レベル(エコー数に応じた信号振幅)が決定されると、エコー数ループカウンタENが706で設定され、次いで、そのエコー数用の特定の所望のエコー信号振幅が708で決定される。単純近似を使用すべきか否かに関して710で決定される。いずれの場合でも、バリアブルフリップアングルシーケンスでは、緩徐に変化する別々のRFパルスを、断熱曲線パルスに機能的に類似しているとみなすことができ、そのため、検出可能な信号は、上述のように、効果的なRF送信回転座標系パルスを中心にして密接にスピンロックされるべきである。単純近似を使用すべき場合には、次いで、712で、別々のリフォーカスパルスが、実際に、低連続ロッキングパルス(例えば、時間変動ロックパルス振幅を備えたT1
ρ)と取り替えられていると見なされてもよい。使用しない場合には、次いで、714でよりよい近似が使用されて、そこで、別々のディフェーズ回転が計算され(各オフ共鳴がイソクロマット用に)、所与のリフォーカスRFパルス用に、信号イソクロマットに関連した安定状態信号が決定される。
【0071】
ステップ716で、数種類の異なるイソクロマットが、リフォーカスパルス又は「フロップ」パルスの時間領域中心と関連スピンエコーの時間領域中心との間に、異なるオフ共鳴(又は、異なる磁気勾配リフォーカス)用にシミュレートされる。
【0072】
ステップ718で、各イソクロマットの履歴記録が、各エコー用に維持される。蓄積されたイソクロマットが合計され、各新しいエコーで、スピンロック角度δが、合計されたイソクロマット複合信号の所望の一部分を、横方向x−y平面内(すなわち、検出可能である)に置くように、RFリフォーカスパルスの大きさ(すなわち、そのニューテーション角度)が選ばれる。例えば、磁化が減衰するため、磁化の同一のM
x横方向成分を維持するために、より小さいスピンロック角度(x軸から測定して)が必要である。横方向平面内に検出可能な信号の所望の設計量を達成するためにこの段階で充分な純磁化M
nm信号(すなわち、脚部M
x及びM
zを有する直角三角形の斜辺)が残されたことを確実にするために、720で検査が行われる。なかった場合には、次いで、ステップ722が、所望の信号ターゲットレベルが実現可能ではないとマークをつけ、シミュレーションルーチンは724で終了する。しかし、継続する充分な信号の純磁化の大きさがある場合には、726で、最後のエコーから次に生成されるべきエコーまで近似T1
ρoff減衰因子を使用して、スピンロックされた信号の新しい大きさが計算される。結果として得られた検出可能信号(すなわち、横方向x−y平面に投影される)は、エコーループ検査が730で行われる前に、728で格納される。ターゲットトレインで考慮すべき別のエコーがある場合には、エコー数カウンタENが732でインクリメントされ、制御はステップ708へ戻る。
【0073】
トレインのすべてのエコーが検討された後に、制御はステップ734へ進んでもよく、そこでは、別の論理条件を考慮して処理しても良い。例えば、シミュレーションルーチンのさらなる反復を使用して、利用可能な主要エコー信号を最大限にしてもよい。一時的なRFパルスの初期セットが、設計されたトレインの開始で計算されてもよい。トレインの中心エコー後に発生するように、設計されたエコートレインのロールオフが課されてもよい。当業者が認識するように、他のそのような条件が課されてもよい。考慮すべきそのような加えられた論理条件がある場合には、736で検査が行われ、エコー数カウンタが反復の完全なさらなるセットのために、738でリセットされる。ない場合には、740で終了が取られる。
【0074】
さらに詳細な例示的な実施形態が、
図8A、8B、8C及び8Dに示される。ここで、ステップ800で入った後に、候補ターゲット信号曲線群、最適化ゴール及び制約が、ステップ802で生成される。次いで、初期信号レベル反復ループが、804で開始し、反復ループカウンタ(ILC)が初期状態へ設定される。
【0075】
移行エコーループは、特定のターゲット信号レベルにヒットする制約が無くてもよいため、別々の論理を有することができる。代わりに、初期の数個(例えば、4〜8)のリフォーカスパルスを指数関数的減衰とすることができ、それは、信号を即座に低リフォーカス角度安定状態にすることが知られており、そこで、信号は、安定状態条件近傍でほぼすべてがスピンロックされる。
【0076】
ステップ806で、初期移行がどこで終了するかに関する概算が行われる。すなわち、初期移行期間の終了時における所望のRF送信パルス振幅である。
【0077】
ステップ808で、かなり急激な指数関数的減衰等の、エコートレインの移行部分におけるエコー数の範囲用に、一連の移行リフォーカスパルスが選ばれる(例えば、移行パルスの数は、一般に、4〜8の範囲であってもよい)。
【0078】
ステップ810で、この反復用のターゲット信号の生成が完了し(例えば、目的のターゲットエンベロープ曲線が、この信号レベルで規定される)、これは、規定された信号レベルの振幅を備えて平らであってもよく、又は、ここに記載された例の曲線では、エコーの幾分の初期範囲にわたって直線的に減少する傾斜であってもよい。
【0079】
ステップ812で、初期NMR励起RFフリップパルスがシミュレートされる(例えば、励起パルス後に、その中にすべてのイソクロマットの場所の計算を含む)。
【0080】
ステップ814で、移行エコーに対する移行ループが開始され、そこで、指数カウンタ(TELC)を使用して、現在のエコー数を示す。ステップ816で、イソクロマットループカウンタ(ISOLC)が設定される。ステップ818で、効果的なスピンロック角度及び減衰率が計算される。ステップ820で、どのように各イソクロマットが変わるかを規定する計算が行われ(エコーN−1からエコーNへのインターバル中に)、新しいスピンロック角度に投影され、T1
ρoffの大きさに減衰する。ステップ822、824、825で、イソクロマットループは終了し、肉眼で見える正味信号(例えば、全イソクロマットに対する合計)が計算される。ステップ826、828で、移行エコーループは完了する。
【0081】
ステップ830で、信号エコーループが開始する。ステップ832で、別のイソクロマットループが入力され、イソクロマットに対して合計され、ステップ834で、2つの可能なリフォーカスのニューテーション角度の各々用に発生する信号レベルを決定し、その各々は、先のリフォーカス角度αへ近づくために意図的に選ばれ、望ましくは、所望の最適なリフォーカス角度を挟んで決定する。このイソクロマットループは、ステップ836、838、840で完了する。
【0082】
ステップ842で、2つの可能な信号レベルの間の直線的補間を使用して、いずれの最適リフォーカス角度αがターゲットを生じさせるかの予測を得る。ステップ844で、検査が行われる。不可能である場合、又は、制約が超過する場合には、この反復はステップ846で終了し、別の反復のために、より小さいターゲット信号が選ばれる。そうでなければ、ステップ848で、決定された「最適」リフォーカスのニューテーション角度α(例えば、補間プロセスによって選ばれる)が格納される。
【0083】
ステップ850で、別のイソクロマットループが入力される。ステップ852で、所与のイソクロマット用に、スピンロック角度及び減衰が概算される。ステップ854で、先の信号を新しいスピンロック角度へ投影することによって、スピンロックが加えられる。ステップ856で、減衰が加えられる。ステップ858で、横方向信号が、そのエコー(M
x、M
y及びM
z成分)用の総信号内に蓄積される(その所与のエコー及びイソクロマット)。単純パルスシーケンスの場合には、M
yは小さくなり、その計算は省略してもよいことが認識される。イソクロマットループは、ステップ860、862で完了する。信号エコーループは、ステップ864、866で完了する。
【0084】
ステップ868で、最終信号が「多すぎる」残りの磁化を有する場合には、ターゲット信号をステップ870で増加する(すなわち、調整する)ことができる。例えば、ふさわしい調整が、エコーにわたる直線的傾斜を変えることができる。ループカウンタ(ILC)が、次いで、ステップ876でインクリメントされ、制御は別の反復へ戻る。
【0085】
各エコーのRFリフォーカスパルス振幅の最終出力が利用可能になる(例えば、表示、格納及び/又は使用のために)とすぐに、ターゲット反復ループは、ステップ874、876で完了し、ステップ878で終了する。
【0086】
上記実施形態に係るプログラムソースコードは、IDL(Interactive Data Language)として既知の言語で記述される。
図9Aに示されたターゲット検出可能な横方向エコー成分の入力トレインは、この例示的なプログラムコードにしたがって
図9Bに示されたようにRFリフォーカスパルスの大きさの出力トレインを生成する。RFリフォーカスパルスの計算されたトレインから結果として生じる実際のシミュレートされたエコー信号(
図9Aの所望のターゲットトレイン入力以外の他の入力制約を含む)もまた、
図9Cに示される。
【0087】
図9A、
図9B及び9Cに示されたデータは、下記の設計ルールを使用してIDLプログラムを走らせることに基づいている。
a−第1の4つのエコーを廃棄する
b−第1の8つのエコーを生成するために移行パルス方法を使用する
c−エコー9〜68用に、ロッキングT1_rho_offsetアルゴリズムを利用する
d−主要エコー=エコー68
e−画像及び再構築に使用されるエコー=128
f−廃棄を含む総エコー=132
g−滑らかさ及び低SAR用に、人工的に生成された第2の半分、エコー69〜132
【0088】
ターゲット信号仕様は、
図9Aのグラフに示され、そこで、初期磁化の一部分として、x軸=エコー数、及び、y軸=横方向信号である。
【0089】
このプログラムを走らせる一次出力結果は、計算されたリフォーカス角度用に
図9Bにグラフで示されており、ただし、x軸=エコー数、及び、y軸=リフォーカス角度の程度である。出力リフォーカス角度データもまた、ニューテーションの程度で、下記の表に示される(左から右へ且つ上から下への順で)。
【0091】
このプログラムを走らせる二次出力結果は、
図9Cにグラフで示され、設計されたリフォーカスパルスから予想されるように、シミュレートされた信号を示し、ただし、初期磁化に応じて、x軸=エコー数、及び、y軸=横方向信号である。
図9A、
図9B、
図9Cのデータに関連したパラメトリック結果、性能メトリクス等が下記に述べられる。
主要エコーでの信号: 25.6660%
傾斜1: 2.67862
傾斜2: 0.600000
最後のエコーの角度: 120.000
ウインドウの幅: 63.0000
最も低い角度: 25.1853
主要エコーでの角度: 83.6201
最も高い角度: 134.257
相対_SAR: 0.262039
TE等価物: 119.732
近似相関_点_広がり=1.26872
【0092】
例示されるように、RFエコートレインの部分は、他の機構によって明記されてもよく、例えば、第1の数エコーは、イソクロマットの範囲を安定状態ロック角度に近くに保つという目的で他のやり方で明記されてもよい(例えば、
図8A〜
図8D、ステップ806、808及び814〜828のように)。別の目的は、最後の数エコーを、SAR又はピークRF制約理由のために良好であるとみなされる規定されたRF振幅へ滑らかに移行することであってもよい。
【0093】
CSF(脳脊髄液)又は血液等の流れる物質用に、高い信号レベル及び対応する明白な最終画像強度を維持することは、エコートレインにおいて初期に用いられる最も低いリフォーカス角度に大いに依存する可能性があることは既知である。そのようなアプリケーション用に、追加制約を加えることができ、例えば、RFリフォーカス角度は、別個に規定された最小より下に低下することは絶対にない。
【0094】
所与の設計最適化内で、信号実体がより長い緩和時間を有すると記載される場合には、結果として得られるRF波形は日常的により高いリフォーカス角度を有する。これを極端にすると、T1
ρが無限である場合、最大信号は、すべてのリフォーカスパルスが180度に達するのが可能であるときに発生する。これは単に点を例示する。そのため、流量特性を改良しなければならず且つ移動する物質により良好にリフォーカスを当てる必要がある場合には、設計のためにT1
ρのより高い値を人工的に選択するのを選ぶことができる。物質のT1
ρの従来の値によって理論的に正当化されないが、結果として得られる画像は、特に、移動するか又は流れる物質の区域に関して、経験的に好ましくてもよい。
【0095】
最適化されるべきターゲット信号区域は、例えば、エコートレインにわたってずっと平らな信号である必要はない。むしろ、信号レベル、点広がり及びコントラスト生成の間の良好な妥協として選ばれた他の形状を有することができる。例は、直線的に減少するが正信号レベルのセクション、又は、ガウス若しくは指数関数のセクション等の非常に滑らかな減衰を備えた信号の領域でありうる。合理的なターゲット機能を規定する際のそのような選択は、ほぼ限定されていない。
【0096】
最適化における制約として、ターゲット値又は画像コントラストの受け入れ可能なターゲット範囲を取ることが適当である。そのようなコントラストは、明白にT1
ρの形態でありえ、又は、代替として、従来のT1若しくはT2コントラスト、又は、さらにより複雑な目的を含むことができる。
【0097】
イソクロマットは、ピクセルにわたってディフェーズする完全サイクルよりむしろ、関係のある物理的範囲に及ぶように選ばれてもよい。例えば、ピクセルにわたって360度スポイル勾配を使うことなく、脳のオフ共鳴周波数の狭い帯域用に設計することが可能である。
【0098】
オフ共鳴T1
ρoffを計算するのに使用されるT1
ρは、エコートレインの幾分の部分に関連する公称RF振幅又は局所RF振幅に依存するように作ることができる。文字通り、T1
ρは、回転座標系の周波数に依存する。この技術の方法は、単純固定T1
ρ、又は、周波数依存であるもの、のいずれかを加えることができる。周波数依存が含まれる場合には、好ましくは、単にRFパルスのスイッチがオンにされるときに関連した周波数ではなく、エコー−エコーインターバルにわたる平均回転速度から来るべきである。
【0099】
2つ又はそれ以上のシーケンスが、例えば、信号における差異がT1
ρに直接依存するように、対として設計されてもよい。次いで、そのようなシーケンスは、T1
ρの直接定量化に使用することができる。
【0100】
今まで、方法は、空間非選択である(すなわち、付随する勾配磁場なしで発生する)RFリフォーカスパルスを使用して記載してきた。しかし、方法が、空間選択RFリフォーカスパルスに、又は、空間スペクトルパルスにさえ、拡張することができるのは明らかである。そのような拡張のための強力な方法は、周波数因子のより高い次元セットに依存するように、イソクロマットの数を増加することである。シミュレーションにおいて追跡するための単一の「イソクロマット」が、今や、スライス選択勾配磁場(今や、公称的に、RF送信パルス中に存在する)に沿った周波数と、RFパルス中とRFパルスの間との両方で存在するオフ共鳴周波数タームと、の両方によって、記載されてもよい。
【0101】
記載されてきた例示的な実施形態は、CPMG FSEパルスシーケンス実施のいくつかの共通の単純な特徴を利用している。しかし、これらの特徴は、方法に必須なものではない。例示的な実施形態において、RFパルスは、ラーモア回転座標系の共鳴周波数で加えられる。例示的な実施形態において、各エコーのときに検出可能な信号は、M
x成分によって充分に記載され、M
y成分の明白な分析は必要としない。しかし、方法は、これら及び他の単純なパルスシーケンス特徴が合致しない場合には、当業者が簡単に適合させることができる。
【0102】
1つ以上の例示的な実施形態を使用して実現することができる利点は、下記の通りである。
(1)イソクロマットの速く効率的な計算、
(2)T1
ρがT2とは大いに異なる物質用のより適切なモデル及びより良好な正確度、
(3)スピンロック若しくはT1
ρコントラスト機構又は緩和率を変える類似機構を研究することを明白に意味するFSEシーケンスを設計するために潜在的に使用することができる、
(4)信号の主要安定状態又は「ロック」された部分用に信号若しくはRFパルスを直接計算し、それは、アーチファクトを生成しない画像の部分であることが多い、
(5)エコー−エコーインターバルにおいてリフェーズ整合の完全サイクルの整数を必要としない、且つ、
(6)同一タイミング及び同一勾配モーメントを有するために各エコー−エコーインターバルを必要としない。
【0103】
当業者が認識するように、1つ以上の有利な新規特徴を依然として獲得しながら、上述の例示的な実施形態の多くの変形例及び/又は修正例が作られてもよい。すべてのそのような修正例は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。