(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740166
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】ラッチ錠における内外気圧差解消装置
(51)【国際特許分類】
E05B 63/22 20060101AFI20150604BHJP
E05F 1/00 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
E05B63/22
E05F1/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-18378(P2011-18378)
(22)【出願日】2011年1月31日
(65)【公開番号】特開2012-158894(P2012-158894A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2014年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 勇一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 拓磨
【審査官】
川島 陵司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−77761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 63/22
E05F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉に設けられると共に、錠箱内に突出する内外の作動片を有する内外のプッシュ・プル式のハンドルと、前記扉の自由端部の前記錠箱内に設けられかつ前記内外のプッシュ・プル式のハンドルのいずれかの操作力によって作動する駆動部材と、前記錠箱内に設けられかつ前記駆動部材の駆動力によりラッチ部材の規制を解くラッチ規制部材と、前記駆動部材のさらなる駆動力により水平方向へ移動して扉枠側の当接部に圧接する圧接力が扉を開く方向に作用する反力と成る押圧部材とを備えたラッチ錠における内外気圧差解消装置に於いて、
前記駆動部材は、前記内外の作動片がそれぞれ選択的に移動する方向と同一方向に移動する駆動スライダーと、該駆動スライダーに追動或いは共働するようにかつ前記内外の作動片から所定間隔離間した位置に存在する支軸に軸支された共働レバーを含み、該駆動部材と前記押圧部材との間には、前記駆動力により前記ラッチ規制部材がラッチ部材の規制を解いた後に前記押圧部材を始動させる押圧部材用タイミングラグ手段を設けたラッチ錠における内外気圧差解消装置。
【請求項2】
請求項1に於いて、押圧部材用タイミングラグ手段は、少なくとも駆動スライダーの下端部と共働レバーの軸支された部分から延在する第1係合腕との間に設定された間隙、又は押圧部材の受け面と共働レバーの軸支された部分から延在する第2係合腕との間に設定された間隙のいずれかであることを特徴とするラッチ錠における内外気圧差解消装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に於いて、駆動部材の駆動スライダーは、長孔を有するブロック状又はコ字形状あるいは又L字形状のいずれかに形成されていることを特徴とするラッチ錠における内外気圧差解消装置。
【請求項4】
請求項1に於いて、押圧部材用タイミングラグ手段には、押圧部材を初期位置へ戻す付勢手段とは別個であると共に、該付勢手段と共働して駆動スライダーを初期位置へと戻す駆動バネが含まれていることを特徴とするラッチ錠における内外気圧差解消装置。
【請求項5】
請求項1に於いて、共働レバーの軸筒部には、少なくとも二本の係合腕が二股状に形成され、第1係合腕はラッチの係止を解除した後に下降継続中の駆動スライダーの下端部側が当る受け腕部分であり、これに対して第2係合腕は押圧部材の受け面を押圧するカム腕部分であることを特徴とするラッチ錠における内外気圧差解消装置。
【請求項6】
請求項1に於いて、ラッチ部材は、反転ラッチであり、該反転ラッチの係合腕は、駆動部材を構成する駆動スライダーの一側壁の内面に角度を保持した状態で係止され得ることを特徴とするラッチ錠における内外気圧差解消装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッチ錠における内外気圧差解消装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のハンドル装置は、扉1の開放端側に設けられるラッチ錠9と、扉内外の扉面に縦向き又は横向きにハンドルを取り付けるための座12,13と、この座のそれぞれに押し引き可能に保持されるハンドル11a,11と、ハンドルを押し引きの中間位置に保持するバネ14,14と、中間位置からのハンドルの押し操作ならびに引き操作によって、縦向きハンドルが取り付けられたときには縦向きハンドル用の操作部材27を作動させ、横向きハンドルが取り付けられたときには横向きハンドル用の操作部材28を作動させて、ラッチ錠9のラッチボルト16の後退を許容させる作動機構15,15を設けている(符号は特許文献1に記載のもの)。
【0003】
この特許文献1のハンドル11a,11は、いわゆるプッシュ・プル式の操作部材であり、該操作部材の基端部には、錠箱内に突出する内外の作動片45a、45bが設けられている。これら内外の作動片45a、45bのいずれかが錠箱の上下方向(
図3参照)又は左右方向(
図13参照)に移動すると、上下一対のラッチボルト規制部材(ロッキングピース)22、22がラッチボルト16の規制を解く方向へ回転する。
【0004】
一方、特許文献2には、操作部材が、例えば操作軸を有するレバーハンドルであって、前記操作軸の回転によりラッチボルト(例えば棒状体のラッチボルト)が後退した後に、該操作軸のさらなる回転操作によって、「こじ開けラッチ83」が扉枠側の当接部(反力部材)39、121に扉をこじ開けるように圧接する事項(内外気圧差解消装置)が記載されている(符号は特許文献2に記載のもの)。
【0005】
ところで、現在、内外気圧差解消装置を、特許文献1に記載のプッシュ・プル式の操作部材を備えたハンドル装置に合理的な構成(部品点数を少なくすること、各部材がスムースに作動すること等)を用いて適用することが求められている。なお、特許文献1、特許文献3乃至特許文献5には、反転ラッチ、反転ラッチを仮施錠するラッチ規制部材(ロッキングピース)が詳細に記載されている。これらの事項は、当業者によって自明事項である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−148259号公報
【特許文献2】特許第4295596号公報
【特許文献3】特開平8−100559号公報
【特許文献4】特開平11−141207号公報
【特許文献5】特開2001−225510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明の所期の目的は、出願人が提案した特許文献2に記載のような内外気圧差解消装置をさらに改良し、特許文献1に記載のような、操作部材がプッシュ・プル式のハンドル装置に適用し、内外気圧差解消装置の機能を確実に実現することができることである。好ましい第2の目的は、ラッチ規制部材を確実に作動させることができることである。好ましい第3の目的は、部品点数を少なくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明のラッチ錠における内外気圧差解消装置は、扉に設けられると共に、錠箱内に突出する
内外の作動片を有する内外の
プッシュ・プル式のハンドルと、前記扉の自由端部の錠箱内に設けられかつ前記内外の
プッシュ・プル式のハンドルのいずれかの操作力によって作動する駆動部材と、前記錠箱内に設けられかつ前記駆動部材の駆動力によりラッチ部材の規制を解くラッチ規制部材と、前記駆動部材のさらなる駆動力により水平方向へ移動して扉枠側の当接部に圧接する圧接力が扉を開く方向に作用する反力と成る押圧部材とを備えたラッチ錠における内外気圧差解消装置に於いて、
前記駆動部材は、
前記内外の作動片がそれぞれ選択的に移動する方向と同一方向に移動する駆動スライダーと、該駆動スライダーに追動或いは共働するようにかつ前記
内外の作動片から所定間隔離間した位置に存在する支軸に軸支された共働レバーを含み、該駆動部材と前記押圧部材との間には、前記駆動力により前記ラッチ規制部材がラッチ部材の規制を解いた後に前記押圧部材を始動させる押圧部材用タイミングラグ手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
上記構成に於いて、押圧部材用タイミングラグ手段は、少なくとも駆動スライダーの下端部と共働レバーの軸支された部分から延在する第1係合腕との間に設定された間隙、又は押圧部材の受け面と共働レバーの軸支された部分から延在する第2係合腕との間に設定された間隙のいずれかであることを特徴とする。また駆動部材の駆動スライダーは、長孔を有するブロック状又はコ字形状のいずれかに形成され
ていることを特徴とする。また押圧部材用タイミングラグ手段には、押圧部材を初期位置へ戻す付勢手段とは別個であると共に、該付勢手段と共働して駆動スライダーを初期位置へと戻す駆動バネが含まれていることを特徴とする。また共働レバーの軸筒部には、少なくとも二本の係合腕が二股状に形成され、第1係合腕はラッチの係止を解除した後に下降継続中の駆動スライダーの下端部側が当る受け腕部分であり、これに対して第2係合腕は押圧部材の受け面を押圧するカム腕部分であることを特徴とする。さらに、ラッチ部材は、反転ラッチであり、該反転ラッチの係合腕は、駆動部材を構成する駆動スライダーの一側壁の内面に角度を保持した状態で係止され得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
(a)レバーハンドルの操作軸が回転する特許文献2とは異なる解決手段(ハンドル側の作動片が錠箱の左右又は上下方向に移動する原理)により、扉の扉開閉端と扉枠との間に隙間を生じさせ、室内外の気圧差を解消させることができる。したがって、操作部材がプッシュ・プル式のハンドルの場合に最適である。また内外の操作部材側の作動片の位置に対して、駆動部材を構成する共働レバーの支軸の位置を所定間隔離間させ、力学上、駆動スライダーに大きなモーメントを掛けなくても、他の部材をスムースに摺動させることができる。
(b)請求項2に記載の発明は、部材間の隙間を利用して出力側の部材の作動を遅らせるので、構成部材に差圧機能発揮用の特別な加工を施したりする必要がない。付言すると、部品点数を少なくすることができる。
(c)請求項3に記載の発明も(a)と同一の効果を得ることができる。
(d)請求項4に記載の発明は、差圧機能を確実に実現させることができる。
(e)請求項5に記載の発明は、部品点数を減らすことができる。
(f)請求項6に記載の発明は、駆動スライダーの摺接面を利用してラッチ規制部材を所定角度に保持することができる。また、ラッチ規制部材を駆動スライダーの移動に対応してスムースに位置変位させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1乃至第14は本発明の第1実施形態を示す各説明図。
図15乃至第19は本発明の第2実施形態を示す各説明図である。
【
図1】扉枠側の部材と扉側の部材を示す環境説明図(デッドボルトは省略)。
【
図3】内外のハンドル装置の概略断面説明図(操作手段がプッシュ・プル方式のハンドルに適合する説明図)。
【
図4】本発明の第1実施形態の主要部を示す概略断面説明図。
【
図5】
図4における要部(押圧部材用タイミングラグ手段)を示す説明図。
【
図6】要部(ラッチ規制部材、駆動部材の駆動スライダー)を示す分解斜視図。
【
図8】要部(駆動部材の共働レバーと駆動バネ、押圧部材)を示す分解斜視図。
【
図9】初期位置からいずれか一方の作動片が移動し、ラッチ規制部材が規制を解く方向へ回転した説明図。
【
図10】ラッチ規制部材が規制を解いた後に駆動部材の駆動スライダーが共働レバーを押圧する状態になる説明図。
【
図11】共働レバーが回転して押圧部材を前進させた説明図。
【
図12】要部(扉枠側、扉側)の概略断面説明図(扉側は初期位置)。
【
図13】
図12を利用した平面視からの要部の作用を示す説明図。
【
図14】要部(ラッチ規制部材、駆動部材の駆動スライダー)が初期位置へ戻る説明図。
【
図15】本発明の第2実施形態の主要部を示す概略説明図。
【
図16】
図15における要部(押圧部材用タイミングラグ手段)を示す説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(1)環境部材
まず、
図1を参照にして環境部材を説明する。なお、当業者にとって自明の、シリンダ錠、デッドボルトの出没機構、デッドボルト、サムターン装置等の図示及び説明は省略する。
【0013】
図1は扉枠側の部材と扉側の部材を示す環境説明図で、特に、扉の外壁面と、内外のプッシュ・プル方式のハンドルと、錠箱のフロントが見える斜視図である。この図に於いて、1は玄関扉用の扉枠で、この扉枠1の縦枠には錠受け2が縦方向に固定されている。錠受け2には、ラッチ受け穴4、スイング式押圧体用の切欠部分5がそれぞれ形成されている。また扉枠1の縦枠には、戸当り6、前記錠受け2を取付けるための不番の切欠状凹所がそれぞれ形成されている。本発明の本質的事項ではないが、実施形態如何によって、前記戸当り6には、戸当り6と扉7との隙間をシールするパッキン(ガスケット)が適宜に設けられている。
【0014】
したがって、扉7が室外の方向に開動する開閉体であれば、室内側が負圧となることで、扉7の開閉端部7aの内側(
図1では向こう側の内壁面)は、パッキンを介して又は介さないで戸当り6に押付けられる。
【0015】
一方、扉7の吊元と反対側の開閉端部7aには、ラッチ錠Xの錠箱8が内装されている。ここで「ラッチ錠」とは、ラッチボルトや反転ラッチと称されるラッチ部材を有する錠前のことで、デッドボルトのみを有する本締り錠を除く。したがって、ラッチボルトのみを有する空錠、ラッチボルト又は反転ラッチのいずれかを有すると共に、デッドボルトを持つ錠前(例えば玄関錠)は、ここでのラッチ錠Xに含まれる。
【0016】
図1で示すように、このラッチ錠Xの錠箱8の外壁面側(つまり扉7の室外側の面)には、プッシュ・プル方式の外側操作部材10が縦或いは横方向に設けられている。一方、扉7の室内側にプッシュ・プル方式の内側操作部材9が縦或いは横方向に設けられている。
【0017】
11は外側操作部材9の操作力によってラッチ規制部材からの規制(ロック状態)が解かれるラッチ部材(本実施例では反転ラッチ)、そして、12は後述する押圧部材である。なお、符号13は錠受け2に直交する扉枠1の縦枠の前面に固定される縦長状補強片で、この補強片13は縦枠に不番の切欠凹所を形成するので、それを補強するためのものである。補強片13は発明の本質的事項ではない。
【0018】
上記構成に於いて、扉7が室外の方向に開動する開閉体であれば、室内側が負圧となることで、扉7の開閉端部7aの内側(
図1では向こう側の内壁面)は、戸当り6に押付けられる。したがって、扉7を開け難いという問題点があり、それを解決するために「内外気圧差解消装置」が加味されている。
【0019】
次に、
図2及び
図3を参照にして、内外のハンドル装置の一例を説明する。これらの図に於いて、符号Yは室内のハンドル装置、一方、Zは室外のハンドル装置である。これらの図から明らかなように、内外の操作手段9、10はプッシュ・プル方式のハンドルである。
図3で示すように、プル側の外側操作部材10は、扉を開く矢印A方向へプルされる。また、プッシュ側の内側操作部材9も同様に扉を開く矢印A方向へプッシュされる。
【0020】
ここで、各ハンドル装置を説明すると、プル側のハンドル装置Zは、扉7の外壁面7bに所定間隔を有して固定される上下一組の台座15,16と、これらの台座に架設した状態で両端部が支持されると共に付勢バネ17により初期位置に付勢された外側操作部材10と、この外側操作部材を扉7の開く方向へAプルすると、外側操作部材の一端部を軸支する枢軸18が支点となって前記台座の一方の台座(この実施例では上方台座)15に第1固定軸19を介して軸支され、かつ、該外側操作部材の他端部に連結された作動リンク20の可動ピン21が台座15の外方向へ所定量位置変位すると共に、該作動リンクに連動するように前記一方の台座に第2固定軸22を介して軸支された連動レバー(ここでは「外の作動片」という。)23とから成る。
【0021】
そして、前記作動リンク20はテコ式の長杆片であり、前記第1固定軸19を基準として、その長梃側端部が前記外側操作部材10の一端部に前記可動ピンに軸支されていると共に、その基端部側に作動係合歯24が形成され、また連動レバー(外の作動片)23もテコ式の長杆片であり、第2固定軸22を基準として、その長梃部分の先端部がラッチ錠Xの駆動部材51を構成する駆動スライダー52に係合すると共に、その基端部側に前記作動係合歯24に常時係合する従動係合歯25が形成されている。
【0022】
これに対して、プッシュ側のハンドル装置Yは、扉7の内壁面7cに所定間隔を有して固定される上下一組の台座28、27と、これらの台座に架設した状態で両端部が支持されると共に付勢バネ29により初期位置に付勢された内側操作部材9と、この内側操作部材を扉7の開く方向Aへプッシュすると、内側操作部材の一端部を軸支する枢軸30が支点となって前記台座の一方の台座27に第1固定軸31を介して軸支されかつ該内側操作部材の自由端部に連結された作動リンク32の可動ピン33が台座の内方向へ所定量位置変位すると共に、該作動リンク32に連動するように前記一方の台座27に第2固定軸34を介して軸支された連動レバー(ここでは「内の作動片」という。)35とから成る。
【0023】
そして、前記作動リンク32は長杆状に形成されており、一方、前記連動レバー(内の作動片)35はアングル形状に形成され、回転半径の異なる異形の前記作動リンク32及び連動レバー35の各中間部分は、連係手段36を介して互いに係合し、また前記連動レバー35の先端部に相当する突出端部は、一方の台座27の取付けベース面から突出した状態で前記ラッチ錠Xの駆動部材51を構成する駆動スライダー52と係合する。付言すると、外と内の作動片23、35は、一つの長孔を有するブロック状又はコ字形状のいずれかに形成された駆動スライダー52と係合し、該駆動スライダーは、ハンドル側の内外の作動片35、23がそれぞれ選択的に移動する方向と同一方向に移動する。
【0024】
(2)本発明の主要部
本発明の内外気圧差解消装置は、前述したラッチ錠Xを前提とする。しかして、本発明の内外気圧差解消装置は、扉7に設けられると共に、錠箱8内に突出する内外の作動片35、23を有する操作部材9、10と、前記扉7の自由端部7aの錠箱8内に設けられかつ前記内外の操作部材の操作力によって作動する駆動部材と、前記錠箱内に設けられかつ前記駆動部材の駆動力によりラッチ部材の規制を解くラッチ規制部材と、前記駆動部材のさらなる駆動力により水平方向へ移動して扉枠1側の当接部70に圧接する圧接力が扉を開く方向に作用する反力と成る押圧部材とを備えたラッチ錠Xにおける内外気圧差解消装置に於いて、前記駆動部材(51、51A)は、駆動スライダー(52、52A)と、該駆動スライダーに追動或いは共働するようにかつ前記作動片(35、23)から所定間隔離間した位置に存在する支軸(55、55A)に軸支された共働レバー(53、53A)を含み、該駆動部材(51、51A)と前記押圧部材(61、61A)との間には、前記駆動力により前記ラッチ規制部材(41、41A)がラッチ部材11の規制を解いた後に前記押圧部材を始動させる押圧部材用タイミングラグ手段(50、50A)を設けたことを特徴とする。
【0025】
そして、好ましくは、前記操作部材9、10は、プッシュ・プル方式の外側操作部材9と内側操作部材10であり、また、前記駆動部材(51、51A)を構成する駆動スライダー(52、52A)は、錠箱8の上下方向又は左右方向に移動するものであり、さらに、好ましく実施形態としての前記押圧部材(61)は、共働レバーに押される押圧本体62と、該押圧本体62の先端部に連結されたスイング式押圧体63とから成り、開扉時、前記操作手段9、11の操作力によって作動する前記駆動部材(51、51A)を介して前記押圧部材のスイング式押圧体の係合先端部が扉枠側の当接部に蹴りだす様に圧接すると、該圧接力は扉自体7を開く方向へ全て作用する。
【0026】
(3)各部材の具体的構成
まず、
図4は本発明の第1実施形態の主要部を示す概略断面説明図である。また
図6は、ラッチ規制部材41及び駆動部材51の駆動スライダー52を示す分解斜視図。ここで、これらの図を参照にしてラッチ部材11と、該ラッチ部材を仮施錠状態に規制(保持)するラッチ規制部材41を説明する。なお、背景技術で説明したように、特許文献1、特許文献3乃至特許文献5には、ラッチ部材11としての反転ラッチ、反転ラッチ11を仮施錠するラッチ規制部材(ロッキングピース)41が詳細に記載されており、これらの事項は当業者によって自明事項であるから、ここでは細部的構成の説明は割愛する。反転ラッチ11及びラッチ規制部材41は、特許文献1、特許文献3等と同様であり、特に異なる点は、ラッチ規制部材41の一方が、その支軸(実施例では上方支軸)42よりも錠箱8の後壁8b方向へ所定量延在する係合腕43を有し、該係合腕43のアール部分43aを有する先端部が、駆動部材51を構成する矩形ブロック形状の駆動スライダー52の一側壁52aの上端部に設けた突片状の係止部分52bに摺接係合する点である。45はラッチ部材11用付勢バネ、46はラッチ規制部材41用付勢バネである。
【0027】
なお、
図4の実施例では、ラッチ規制部材41が互いに揺動するように組み合わせられた上下一組のロッキングピースであるが、例えば特許文献5(特開2001−225510号公報)の
図4に記載されているように、係合腕43を有する片方だけであっても良い。また、ラッチ規制部材41の係脱機構は当業者が任意に設計変更することができる事項である点は指摘するまでもない。
【0028】
次に
図5は、
図4における押圧部材用タイミングラグ手段50を示す説明図である。また
図7は、本実施例の駆動部材51を示す分解斜視図である。これらの図を参照にして、押圧部材用タイミングラグ手段50と駆動部材51を説明する。本実施例の押圧部材用タイミングラグ手段50は、駆動部材51の駆動スライダー52の下端部とクランク形状或いは二股形状の共働レバー53の軸支された部分から延在する第1係合腕との間に設定された間隙である。
【0029】
さて、本願発明の第1実施形態の駆動部材51は、長孔を有するブロック形状に形成され、かつ、錠箱8の上下方向に移動する駆動スライダー52と、該駆動スライダーに追動するように、かつ、該駆動スライダー52から所定間隔離間した位置に存在する共働レバー用支軸55に軸支された共働レバー53と、押圧部材61を初期位置へ戻す付勢手段65とは別個であると共に、該付勢手段65と共働して前記駆動スライダー52を初期位置へと戻す駆動バネ54とから成る。
【0030】
前述したように、
図4は本発明の第1実施形態の主要部を示す説明図である。この
図4に於いて、8は錠箱である。11はラッチ部材の一例としての反転ラッチである。41、41は、例えば1組みのL型形状のロッキンクングピースで構成されたラッチ規制部材である。52はラッチ規制部材の各支軸42、或いはラッチ規制部材用復帰バネ46、或いは又駆動レバー用支軸55よりも錠箱の後壁側の内部空間に配設され、かつ、その長孔状の矩形開口52cを形成する下方水内平面52dに押圧係合する室外側作動突片23並びに室内側作動突片35(これらの位置は逆であっても良い)のいずれかの移動(本実施例では下降)によって位置変位するブロック状の駆動スライダーである。
【0031】
一方、53は前述した一方のラッチ規制部材41の支軸55と押圧部材61との間に固定的に設けられた横軸(支軸)55に、その中央部に相当する部分が軸支され、かつ、少なくとも中央部(軸筒部)53aから延在する二本の係合腕53b、53cが二股状に形成された共働レバーで、この実施例では、その第1係合腕53bはラッチ部材11の係止を解除した後に下降継続中の駆動スライダー52の下端部のローラ57が当る受け腕部分であり、これに対して第2係合腕53cは押圧部材61の押圧本体62の後端部に切欠状に形成された傾斜状或いは垂直状の受け面62dを押圧するカム腕部分である。該カム腕部分53cは、いわば押圧部材61の後端部の谷間の部分に入り込んでいる。
【0032】
さらに、54は両端部が開く方向に作用する駆動バネで、例えばそのコイル状の中央部54aが共働レバー53の軸筒部53aに巻装され、該中央部54aから延びる一端部54cは前記共働レバー53の第1係合腕53bの一側面に設けたバネ端支持部53dに支持されると共に、その他端部54bは、駆動スライダー52の下端部側(この実施例では、ローラ57を支持する横軸56)に圧接し、該駆動スライダー52を前記共働レバー53の第1係合腕53bに対して所要量(ここでは間隙50)浮かせる。もちろに、前記駆動バネ54に代えて、例えば極性に対応して反発する一方の磁性体を共働レバー53の第1係合腕53bの先端部に設け、これに対して、駆動スライドのローラ57を他方の磁性体に代えるとか、駆動スライドそのものを、反発機能を有する金属製にするとか、差圧機能を発揮させるために適宜に設計変更することもできる(均等範囲)。
【0033】
次に
図8は、駆動部材51の共働レバー53と駆動バネ54、押圧部材61を示す分解斜視図である。本実施例の押圧部材61は、前記共働レバー53の第2係合腕53cに押される押圧本体62と、該押圧本体62の先端部に連係手段64を介して連結されたスイング式押圧体63とから成り、テコの原理を利用した前記スイング式押圧体63を、扉枠1側の当接部70に対して「蹴りだす様に」に作動させるので、扉を開け難いという問題点を解消することができる。
【0034】
ここで、
図8、
図11及び
図12を参照にして出力側の押圧部材61の具体的構成を説明する。押圧部材61を構成する押圧本体62は、ラッチ部材11と同一方向に進退するように錠箱8内の下方空間に配設されている。本実施例の押圧本体62は、
図8で示すように、全体として「ピストル形態」の印象を受けるブロック体であるが、その左右の垂直側面の中央部には、錠箱8側の被案内部分(例えば水平溝、水平切欠など)と係合する案内部分(例えば水平突起、複数の突起、突片等)62aが設けられている。これにより、押圧本体62は安定した状態で進退動する。また、押圧本体62は、その上壁は水平面となっているが、下壁は後壁に至る方向に適宜段差状に切欠され、その後端部に相当する切欠面には付勢手段65の後端部を支持するバネ端支持突起62bが設けられている。さらに、その前壁の中央部には連結突片62cが設けられ、該連結突片62cには、連係或いは連結手段64を構成する連結軸64aが貫通する非真円の連結孔64bが形成されている。
【0035】
次に、スイング式押圧体63は、押圧本体62の進退動に共働して水平方向へ所定量回転することができるように垂直軸66及び上下の軸受け部材67、67を介して錠箱8内のフロント8a付近に軸支されている(
図4参照)。
【0036】
このスイング式押圧体63も前記押圧本体62と同様にブロック体であるが、幅広後端部(内端部)は押圧本体62の連結突片62cを挟むことができる連結部分と成っていると共に、錠箱の扉の内壁面側の角部の上下壁には、垂直軸(本実施例では上下の垂直突起)66、66が設けられている。
【0037】
すなわち、本実施例では、前述したようにスイング式押圧体63の幅広後端部63aは、押圧本体62の先端部に連結軸64aを介して連結されることから、前記内端部に扉7を開放する室外側乃至押圧本体62側を指向する所要幅の切欠凹所68を形成し、この切欠凹所68に押圧本体62の連結突片62cが嵌入した上で、前記内端部に形成した上下の連結孔68と前記連結突片62cの連結孔64bに連結軸64aを差し込んで、両者62、63を一体的に連結している。連結突片62cの連結孔64bは非真円であることから、該非真円の連結孔64bに連結軸64aに遊嵌合している。
【0038】
ここで、
図12の横断面を参照にすると、幅広後端部63aに所要幅の切欠凹所68を形成することによって、該切欠凹所68は、連結孔69、69を有する上下の水平支持面と、この水平支持面と交差する複数の垂直面を有し、前記垂直面は、一応、人差し指状の係合先端部63b側の垂直面と、垂直軸66側の垂直面とに区分けすることができる。
【0039】
さらに、スイング式押圧体63は、錠箱8内に垂直軸66、66を介して軸支されると、操作部材を操作しない常態では、角部を形成する後側の縁辺aと、これに直交する扉枠側の当接部70と対向する側の縁辺bは、錠箱8の幅広側壁の内壁面に対して略均等角度(例えば45度づつ)にそれぞれ交差している。また前記後側の縁辺aと交差する室外側の縁辺cは弧状乃至錠箱8の幅広側壁の内壁面に当接する垂直線と成り、さらに、前記扉枠側の当接部と対向する側の縁辺bと前記室外側の縁辺cは、先端部付近に至るにしたがって次第に幅が狭くなっている。そして、前述した人差し指状の先端部63bは、錠箱8のフロント8aから常に食み出している。なお、前述した下の軸受け部材67、67は、スイング式押圧体63用の軸受け機能の他、連結突片62cと対向する不番のバネ端支持部を有し、付勢手段65の先端部を支持する機能も有する。
【0040】
次に
図9乃至
図14は、第1実施形態の作用を示す説明図である。すなわち、
図9は初期位置から内外のいずれか一方の作動片(35、23)が移動し、ラッチ規制部材41が規制を解く方向へ回転した説明図、
図10はラッチ規制部材41が規制を解いた後に、駆動部材51の駆動スライダー52が共働レバー53を押圧する状態になる説明図、
図11は共働レバー53が矢印方向(反時計方向)に回転して押圧部材61を前進させた説明図、
図12は、要部(扉枠側、扉側)の概略断面説明図(扉側は初期位置)、
図13は
図12を利用した平面視からの要部の作用を示す説明図、
図14は要部であるラッチ規制部材41及び駆動部材51の駆動スライダー52が初期位置へ戻る説明図である。これらの図から明らかなように、本発明の内外気圧差解消装置は、プッシュ・プル式の内外の操作部材9、10のいずれかを操作すると、駆動部材51の駆動スライダー52が前記内外の操作部材9、10の錠箱8内に突出する内外の作動片35、23のいずれの入力により、該作動片(35、23)と同一方向へスライド始動し、これによってラッチ部材11のラッチロックが解かれた後(反転ラッチの移動を許容した後)、押圧部材用タイミングラグ(遅れ)手段50を介して共働レバー53を駆動スライダー52に追動させ、該駆動部材51の制御により、出力側の押圧部材61が扉枠1側の圧接部(反力部材)70に対して前進しかつ圧接する。
【0041】
(4)扉枠側の当接部70
ここで、
図1及び
図12を参照にして、扉枠側の当接部70について説明する。
本実施例の当接部70は、
図1で示すように、少なくともラッチ受け穴4を有する「いわゆる1枚のストライク板」の裏側(例えばトロヨケ)に配設されているが、もちろん、設計如何によっては、周知のストライク板等と、当接部70を有する内外気圧差解消装置の受け具とは別体に成形されたものであっても良い。
【0042】
さて、この当接部70は、基本的には、錠受け2内に固定された支持ブラケット71と、これに軸支された垂直ローラ72とから成る。支持ブラケット71は、扉枠1に形成された切欠状の凹所73に固設され、この凹所73底面に対して、錠箱8のフロント8a(扉7の木口)に向かって延出するように構成される。垂直ローラ72はローラ垂直軸74を介して支持ブラケット71の先端に設けられている。前記支持ブラケット71が固設される凹所73は、錠受け2又は錠受け2とは別体の受け具の内部空間よりも深く、錠箱8のフロント8aより離間した位置を底面とする形状に構成されるとともに、扉7の開放方向側が開口した形状とされ、建物の扉枠1としては、室外側に向かう段部のように形成される。
【0043】
ところで、支持ブラケット71に支持された垂直ローラ72の位置は、フロント8a或いは押圧本体62の中心線「O」上ではなく、室内側、具体的には、スイング式押圧体63の垂直軸66側にやや偏芯する位置とされている。これに対して、前記スイング式押圧体63の連結軸64aは、前記中心線「O」よりも外側にやや偏芯する位置とされている。
【0044】
したがって、常態では、中心線「O」を挟んで、垂直ローラ用垂直軸74とスイング式押圧体63の前述した当接部と対向する側の縁辺bを有する垂直面側は所要間隔を有して対向している。前述したように、開扉時、内外の操作手段9、10のいずれかを操作すると、仮施錠機構を構成するラッチ規制板41がラッチ部材の規制を解く方向へと回転し、その後瞬時に共働レバー53が押圧本体62の後端部側を押し付ける。この時スイング式押圧体63は、その幅広後端部が中心線「O」よりも外側(室外)にやや偏芯する位置で押圧本体62の先端部で押されることになるから、上下の垂直軸66、66を支点に、その指先状の突出先端部63aが支持ブラケット71の垂直ローラ72に接近する方向へ水平回転し、かつ、該垂直ローラ72にテコの原理で圧接する。そして、該圧接力に基づく反力は全て扉自体を開く方向へ作用する。これにより、扉7の扉開閉端7aと扉枠1との間に隙間が生じ、室内外の通気が行われて室内側の負圧がなくなり、室内が負圧となって開動に大きな力が必要となった扉7であっても、容易な開動が可能となる。
【実施例】
【0045】
次に、
図15乃至
図19は、本発明の第2実施形態の各説明図である。この第2実施形態に用いた内外の操作手段もがプッシュ・プル方式のハンドルである。なお、この第2実施形態の説明に当って、第1実施形態と同一の部分には、同一又は同様の符号を付して重複する説明を割愛する。また、本発明のこのプッシュ・プル方式の内外のハンドル9、10は、例えば一端部が台座に軸支された室外側のハンドルを扉の開く方向へ引く(プルする)際、又は/及び一端部が台座に軸支された室内側のハンドルを、扉の開く方向へ押す(プッシュする)際、それらの一端部の枢軸を支点に内外のハンドルが所定角度まで傾倒するハンドル揺動型のラッチ錠用ハンドル装置の構成部材であるが、もちろん、プッシュ・プル方式のハンドル装置は、平行リンク機構、同期機構等を用いたハンドル水平移動型であっても良い。
【0046】
さて、
図19も、第1実施形態の
図4と同様に室内外のハンドル装置を構成する操作部材側の内外の作動片35、23が同じ方向へ作動することを示す。
【0047】
しかして、この第2実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、第第1実施形態の押圧部材用タイミングラグ手段50は、少なくとも駆動スライダー52の下端部と共働レバー53の軸支55された部分から延在する第1係合腕53bとの間に設定された間隙50であるのに対して、この第2実施形態の押圧部材用タイミングラグ手段50Aは、一つの押圧部材61Aの後端部の傾斜状或いは垂直状の受け面62dと駆動部材51Aを構成する共働レバー53Aを軸支された部分から垂直方向に延在する第2係合腕53cとの間に設定された間隙50Aである点である。
【0048】
付言すると、本発明の第2実施形態が本発明の第1実施形態と主に異なる事項は、(a)駆動部材51Aを構成する駆動スライダー52Aの形状が錠箱8Aの後壁側に切欠を有するコ字形状或いはL字形状である点、(b)錠箱8Aの窓を介して該錠箱内に突出する内外の作動片35,23に対して所定間隔離間した位置に存在する支軸55Aが、前記作動片35,23よりも上方に配設されている点、(c)共働レバー53Aの第1係合腕53bがコ字形状の水平方向に折り曲げ形成された上方端板部分52eの下面に係合する点、(d)押圧本体62を初期位置へ戻す付勢手段65とは別個であると共に、該付勢手段と共働して前記駆動スライダー52Aを初期位置へと戻す駆動バネが存在しない点、(d)共働レバー53Aの第1係合腕53bと駆動スライダー52Aの上方端板部分52eは、
図15の初期位置の状態に於いて、互いに接触状態である点、(e)
図17で示すように、支軸55Aが駆動スライダー52Aの移動障害にならないように片持ち式で該共働レバー53Aの上端部側の中央部53aを軸支している点、(f)共働レバー53Aの第2係合腕53cの基端部寄りの部位にラッチ規制部材41Aの形成した小突起状の弧状係合部43Aと係合する不番の弧状押圧係止部が形成されている点等である。
【0049】
この第2実施形態の前記(d)の相違点に関して、共働レバー53Aは駆動スライダー52Aの下降移動に追動するものではなく、駆動スライダー52Aと共に同時に下降するものであるが、
図15の初期位置の状態に於いて、共働レバー53Aの長杆状の第2係合腕53cの先端部と押圧部材61の後端部の垂直端面との間にタイミングラグ50A(間隙)が設定されているから、差圧機構を発揮させることに関しては特に問題はない。
【0050】
もちろん、第1実施形態と実質的に同一になるように(共働レバー53Aが駆動スライダー52Aの下降移動に追動するように)、前記(d)の係合関係について設計変更し、例えば
図15の初期位置の状態に於いて、共働レバー53Aの第1係合腕53bと駆動スライダー52Aの上方端板部分52eの間にタイミングラグ50A(間隙)を設定しても良い。その他、駆動スライダー52Aには錠箱に案内される図示しない複数個のガイドが設けられているが、ここでは細部的事項の図面や説明は割愛する。
【0051】
以上のように適宜設計変更しても、本発明の所期の目的・効果を達成することができる。
なお、本発明の各実施例に於いて、出力側の押圧部材61、61Aの構成も新規事項であるが、該押圧部材61、61Aの構成は発明の特定要件ではない。したがって、特許文献2に記載の「こじ開け型の押圧部材」も採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は錠前及び建具の分野で利用される。
【符号の説明】
【0053】
1…扉枠、2…錠受け、X…ラッチ錠、Y…室内のハンドル装置、Z…室外のハンドル装置、4…ラッチ受け穴、5…切欠部分、6…戸当り、7…扉、7a…開閉端部、8、8A…錠箱、8a…フロント、9…内側操作部材、10…外側操作部材、11…ラッチ部材(反転ラッチ)、23…外の作動片、35…内の作動片、41…ラッチ規制部材、50、50A…押圧部材用タイミングラグ手段、51、51A…駆動部材、52…駆動スライダー、52c…矩形開口、52d…下方水内平面、53、53A…共働レバー、53a…中央部(軸筒部)、53b…第1係合腕、53c…第2係合腕、54…駆動バネ、55、55A…共働レバー用支軸、57…ローラ、61、61A…押圧部材、62…押圧本体、63…スイング式押圧体、64…連係手段(連結手段)、65…押圧部材用付勢手段、66…垂直軸、70…扉枠側の当接部。