(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740219
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】拡張式仕切、および該仕切を用いたかばん
(51)【国際特許分類】
A45C 13/02 20060101AFI20150604BHJP
A45C 5/00 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
A45C5/12
A45C5/00 B
A45C13/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-132503(P2011-132503)
(22)【出願日】2011年6月14日
(65)【公開番号】特開2013-236(P2013-236A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】504134531
【氏名又は名称】株式会社シフレ
(74)【代理人】
【識別番号】100071238
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恒久
(72)【発明者】
【氏名】大島 直幸
【審査官】
青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−028019(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3066713(JP,U)
【文献】
特開2001−104115(JP,A)
【文献】
特開平03−205009(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3047276(JP,U)
【文献】
実開昭56−077328(JP,U)
【文献】
特開2003−088413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 13/02
A45C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張部を有するトラベルケース又はキャリーケースからなるかばんにおいて、
該かばんの内部に、該かばん内に接続される基辺部とこの反対側の先端辺部との間に少なくとも1箇所のまち部が設けられた拡張式仕切であって、該まち部の前記基辺部側の第1辺部および前記先端辺部側の第2辺部に、これらを互いに係着するオープンファスナーを設けて、該オープンファスナーによって係着される該第1辺部と該第2辺部の係着を解除することにより、前記先端辺部の方向へ少なくともまち幅に相当する長さを伸長できる拡張式仕切を備え、
前記拡張部が拡張される前後にわたって前記拡張式仕切の先端辺部側に備える係着具を該かばん内のケース内装材に設けられた受け具に接続することができるように、前記拡張式仕切のまち部は、前記拡張部が拡張されて拡張状態になった際の拡張分に相当する被収納物の物量まで対応することができる長さのまち幅を有することを特徴とする、かばん。
【請求項2】
該かばんは、蓋側シェルと身側シェルとを備えるトラベルケース又はキャリーケースからなり、
前記蓋側シェルと身側シェルとの間が拡張できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のかばん。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量を調節できる拡張式仕切、および該仕切を用いたかばんに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、荷物の量に応じて容量を調整できる、かばんが広く出回っている。
そして、これらのかばんにも、仕切りの使われているものが多い。
しかし、仕切は長さや位置が固定されているため、荷物の種類や量によっては、仕切で区分けするのが困難な場合もある。
【0003】
特にトラベルケースやキャリーケース等には、ケース開閉用のジッパー部に拡張ジッパーなるものを備えているものがあり、該拡張ジッパーを所望により開することによってケースの蓋側シェルと身側シェルとの間を拡張できて、トラベルケースの内部空間を広くすることができるようになっている。
【0004】
トラベルケースの場合には、ケース内を所定の区画に仕切ると共に、被収納物たる衣服などを保持する板状の仕切が設けられていて、該仕切のケース内装材などに接続される基辺部の反対側に位置する先端辺部側に備える係着具による仕切の固定を解除した後に衣服などを仕切と身側シェルとの間に収納し、再び係着具を身側シェルなどに係着して仕切を固定することによって該衣服が保持され、トラベルケースの持ち歩きにより生じる衣服の偏りを低減できるようになっている。
【0005】
しかしながら、前述する仕切は、トラベルケースの蓋側シェルと身側シェルの間を拡張する機能である拡張ジッパーを閉にした通常状態での使用を前提に設けられているため、該拡張ジッパーを開にしてケースの蓋側シェルと身側シェルとの間を拡張する拡張状態にして仕切と例えば身側シェルとの間に衣服などを多く収納しようとした場合に、収納する物量などによっては仕切の先端辺部側に備える係着具を身側シェルなどに係着できない不都合が生じることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−185407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、荷物の量や種類によって、長さを変えることのできる拡張式仕切を提供することである。
また、本発明の第2は、前述した拡張機能を備えたトラベルケースを、拡張状態で使用する場合であっても、拡張分に相当する被収納物の物量まで対応できて仕切の先端辺部側に備える係着具を身側シェルなどに係着できる拡張式仕切を提供することにある。
更に、本発明の第3は、上記記載の拡張式仕切を内部に備えたかばんを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)かばん内に接続される基辺部とこの反対側の先端辺部の間に少なくとも1箇所のまち部を設けた仕切において、
該まち部の前記基辺部側の第1辺部および前記先端辺部側の第2辺部に、これらを係着する係着手段を設けて、該係着手段によって係着される該第1辺部と該第2辺部の係着を解除することにより、該仕切をこの先端辺部方向に少なくともまち幅に相当する長さを伸長できることを特徴とする拡張式仕切。
(2)拡張機能を備えたトラベルケースを、拡張状態で使用する場合であっても、拡張分に相当する被収納物の物量まで対応できて仕切の先端辺部側に備える係着具を身側シェルなどに係着できることを特徴とする前記(1)に記載の拡張式仕切。
(3)前記係着手段がオープンファスナーである前記(1)又は(2)に記載の拡張式仕切。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の拡張式仕切を内部に備えたかばん。
(5)前記かばんが、トラベルケース又はキャリーケースである前記(4)に記載のかばん。
(6)前記トラベルケース又は前記キャリーケースが、ケースの蓋側シェルと身側シェルとの間を拡張できることを特徴とする前記(5)に記載のかばん。
【0009】
本拡張式仕切は、ハンドバッグや上部が開口されたトートバックなどの手提げかばん、作業工具などを収納する作業用かばんなどに適応することが可能であり、蓋側シェルと身側シェルを有するトラベルケースやキャリーケースなどの旅行用のケース(かばん)に適応することが好ましく、ケース(かばん)の蓋側シェルと身側シェルとの間を拡張できるように構成されているトラベルケースやキャリーケースに適応することが最も好ましい。
【0010】
一般に仕切とは、かばんの内部に設けられて、該内部を所定の区画に仕切ると共に、被収納物たる衣服などを保持するためのもので、形態は、適応するかばんの種類によって異なるが、前記トラベルケースやキャリーケースなどの旅行用のケース(かばん)に適応する場合には、厚みをできる限り薄くした収納物に相応する素材からなる板状である。また、仕切の形状はかばんの内部形状に合わせ、例えば、かばんを前胴方向から見て、該かばんの内部形状が平面視で四角形であれば、この形状に合わせた略四角形になっている。
【0011】
また、仕切は、かばんの形態に対応するように設けられており、蓋側シェルと身側シェルを有するトラベルケースやキャリーケースなどの旅行用のケース(かばん)に設けられる場合は、仕切が、蓋側シェル、乃至、身側シェルのシェル内面に略並行に設けられていて、該仕切の蓋側シェルと身側シェルの連結部側に位置する辺部(基辺部)がケース内装材などに取り付けられ、また、この辺部(基辺部)の反対側に位置する辺部(先端辺部)は、被収納物の収納をし易くするために、着脱自在の係着手段(係着具)によってケースシェルやケース内装材などに係着(固定)できるようになっている。
【0012】
そして、本拡張式仕切は、上述する仕切におけるかばん内に接続される基辺部とこの反対側の先端辺部の間に少なくとも1箇所のまち部を設けている。
該まち部は、素材の性質や構造などによる柔軟性を有し、また、まち部の前記基辺部側の第1辺部と前記先端辺部側の第2辺部に、例えば、オープンファスナーなどの係脱自在の係着手段を設けていて、これら第1辺部と第2辺部を所望により係脱できるようにしている。
また、第1辺部および第2辺部とは、これらの辺縁や辺近傍を含む。
【0013】
すなわち、本拡張式仕切は、少なくとも3区画に分割しているもので、かばん内に接続される基辺部を有する第1区画部と、まち部の第2区画部、先端辺部を有する第3区画部になっていて、これら第2区画部と第1区画部が接続する部位がまち部の第1辺部で、第2区画部と第3区画部が接続する部位がまち部の第2辺部となる。
【0014】
そして、本拡張式仕切を設けたかばんは、かばんの内部を所定の区画に仕切る板状の仕切を備えるかばんであって、前記仕切に、かばん内に接続される基辺部とこの反対側の先端辺部の間に少なくとも1箇所のまち部を設け、また、該まち部の前記基辺部側の第1辺部および前記先端辺部側の第2辺部にこれらを係脱自在に係着する係着手段を設けて、該係着手段によって係着される第1辺部と第2辺部の係着を解除することにより、仕切を、この先端辺部方向に伸長できるように構成していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る拡張式仕切は、仕切を、所望により先端辺部の係止具方向に所定の長さ伸長できるので、使用するかばんの形状、容量に合わせて仕切ることにより、かばん内で荷物を自由に仕切ることができる。
特に、トラベルケースやキャリーケースなどのかばんに備える拡張ジッパーを開にしてより多くの衣服などを収納する場合は、仕切の係着具を身側シェルなどに係着できて該仕切によって衣服などを保持できるため、拡張ジッパーが閉なるかばんの通常使用時と同じようにトラベルケースの持ち歩きにより生じる衣服の偏りを低減できる。
【0016】
また、拡張ジッパーが閉なるかばんの通常使用時においても用途に応じて仕切を伸長させるなどして該仕切の長さを調節すれば、収納形態をより拡大させることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る拡張式仕切の一例を示す斜視図。
【
図3】本拡張式仕切を設けたトラベルケースの一例を示す斜視図。
【
図6】トラベルケース内における本仕切の使用状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る拡張式仕切、および該仕切を用いたかばんの実施例を、添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
【0019】
本拡張式仕切は、
図1に示すように、仕切1におけるかばんの内装材などに接続される基辺部2と、この反対側の先端辺部3の間にまち部4を設けていて、このまち部4は、素材の性質などによる柔軟性を有している。また、まち部4を伸縮自在の素材で形成する場合もある。
【0020】
そして、まち部4の基辺部2側の第1辺部5および先端辺部3側の第2辺部6にはオープンファスナー7を設けていて、該オープンファスナー7の開閉操作により、第1辺部5と第2辺部6とを係脱できるようにしている。
【0021】
そして、オープンファスナー7によってまち部4の第1辺部5と第2辺部6の係着状態を解除することにより、
図2のようにまち部4を伸長できて、これによって仕切1を図中の矢印A方向に伸長させることができるようになっている。
【0022】
また、図中の符合8は係着具であって、かばんの内装材などに設けられるこの係着具8と対になる受け具と自由に着脱できるようになっている。
【0023】
そして、
図3は、本拡張式仕切たる仕切1を設けたトラベルケース9を示しており、また、トラベルケース9は、蓋側シェル10と身側シェル11との間を拡張できるように構成されているものを示している。
【0024】
また、
図4中の(a)は、蓋側シェル10と身側シェル11との間を拡張していない通常状態のトラベルケース9を示し、
図4中の(b)は、拡張用ジッパー12(
図5を参照)を開にして蓋側シェル10と身側シェル11との間を拡張(拡張部13)した状態のトラベルケース9を示している。
【0025】
そして仕切1は、
図5に示すように内装されており、仕切1の基辺部2がトラベルケース9の蓋側シェル10と身側シェル11が連結される部位のケース内装材14に取り付けられ、また、仕切1の先端辺部3に備える着脱自在の係着具8を、ケース内装材14に設けられた受け具15に係着(固定)できるようになっている。
【0026】
図6に、トラベルケース内での本仕切1の使用状態を示すと、
図6中の(a)図に示した状態が、拡張用ジッパー12を閉にしたトラベルケース9の通常使用状態で、本仕切1は、オープンファスナー7を閉にして第1辺部5と第2辺部6とを係合させてまち部4を畳んでいる。
【0027】
また、
図6中の(b)図に示した状態が、
図6中の(a)図に示す拡張用ジッパー12を開にしたトラベルケース9の拡張使用状態で、蓋側シェル10と身側シェル11との間が拡張(拡張部13)され、本仕切1は、オープンファスナー7を開にして第1辺部5と第2辺部6の係合を解除してまち部4を拡げている。
【0028】
したがって、トラベルケース9の拡張用ジッパー12を開にして身側シェル11内により多くの衣服などを収納する場合でも、仕切1のオープンファスナー7を開にして第1辺部5と第2辺部6の係合を解除してまち部4を拡げることによって、身側シェル11内に多く収納した衣服に影響されることなく仕切1に備える係着具8をケース側の受け具15に係着(固定)できて、
図6中の(a)図に示す拡張用ジッパー12を閉にするトラベルケース9の通常使用時と同じように、トラベルケースの持ち歩きにより生じる衣服の偏りを低減できる。
【0029】
実施例における図中の符号16は、トラベルケース9を開閉する開閉用ジッパー部、符号17は、トラベルケース9の把手、符号18は、トラベルケース9のキャスターである。
【符号の説明】
【0030】
1 仕切
2 基辺部
3 先端辺部
4 まち部
5 第1辺部
6 第2辺部
7 オープンファスナー
8 係着具
9 トラベルケース
10 蓋側シェル
11 身側シェル
12 拡張用ジッパー
13 拡張部
14 ケース内装材
15 受け具
16 開閉用ジッパー部
17 把手
18 キャスター