(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下,図面を参照して,本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る燃料電池システムを表す図である。この燃料電池システムは,燃料電池10,補助機構20,パワーコンディショナー30,AC−DCコンバータ41,DC−DCコンバータ42,切替部43,コントローラ50,記憶部51を有する。
【0015】
燃料電池10は,例えば,燃料ガス(水素,炭化水素ガス等)と酸化剤ガス(空気,酸素等)の反応(発電反応)により電力(DC1出力)を供給する。燃料電池10として,固体電解質(固体酸化物)を用いた固体酸化物形燃料電池を利用できる。燃料電池10からの電圧,電流(電圧V,出力(電力または電流)X1)は,その性能,温度,劣化状況に依存し,時間の経過に応じて変化する。このため,後述のように,コントローラ50が切替部43を制御する等して,燃料電池システムの効率的な運転が図られる。
【0016】
燃料電池10には,その温度Tを測定する温度センサ(例えば,熱電対)が備えられる。この温度センサはコントローラ50に接続される。この結果,コントローラ50は温度センサでの測定結果(温度T)の情報を入手できる。
【0017】
DC1出力は,DC11出力(電圧V,出力(電力または電流)X11),DC12出力(電圧V,出力(電力または電流)X12)に分けられて,パワーコンディショナー30,DC−DCコンバータ42に供給される。後述のように,切替部43がDC−DCコンバータ42へのDC12出力の供給の有無を切り替える。
【0018】
補助機構20は,燃料電池10からの電力の一部を消費し,燃料電池10の発電を補助するものであり,空気ポンプ21,燃料ポンプ22,水ポンプ23を有する。空気ポンプ21は,燃料電池10に酸化剤ガスとしての空気を供給する。燃料ポンプ22は,燃料電池10に燃料ガスを供給する。空気ポンプ21は,燃料電池10に酸化剤ガスとしての空気を供給する。水ポンプ23は,燃料電池10に水蒸気改質反応に使用する水を供給する。水蒸気改質は,炭化水素ガスと水蒸気を反応させて,水素ガスを生成するためのものである。補助機構20は,空気ポンプ21,燃料ポンプ22,水ポンプ23それぞれからの空気,燃料ガス,水の供給を制御するための電磁弁や流量センサ等を含む。
【0019】
パワーコンディショナー30は,燃料電池10からのDC11出力(電圧V,出力(電力または電流)X11)をAC出力(AC1出力(電圧V1,出力(電力または電流)W1,W2),AC2出力(電圧V1,出力(電力または電流)X3))に変換する。AC1出力は,家庭等燃料電池システムの外部(家庭内電気機器等の負荷)に出力される。AC2出力は,AC−DCコンバータ41に出力される。電圧V1は,所定値(例えば,100V(200V))である。AC1出力において,出力(外部出力)W1,W2は,後述の第1系統,第2系統の切替に対応する。なお,後述のように,AC2出力のAC−DCコンバータ41への入力の有無が切替部43によって制御される。
【0020】
パワーコンディショナー30は,燃料電池10からのDC11出力を測定する電圧センサ,電流センサ(または電力センサ)を有する。そして,コントローラ50からの制御信号に応じて,DC11出力の電圧V,出力(電力または電流)X11をコントローラ50に通知する。
【0021】
AC−DCコンバータ41は,パワーコンディショナー30からのAC出力の少なくとも一部(AC2出力(電圧V1(例えば,100V(200V))))をDC2出力(電圧V2,出力(電力または電流)X2))に変換する。
【0022】
DC−DCコンバータ42は,燃料電池10からのDC1出力の少なくとも一部(DC12出力)を異なる電圧のDC2出力(電圧V2,出力(電力または電流)X2))に変換する。
【0023】
DC−DCコンバータ42は,燃料電池10からのDC12出力を測定する電圧センサ,電流センサ(または電力センサ)を有する。そして,切替部43を経由するコントローラ50からの制御信号に応じて,DC12出力の電圧V,出力(電力または電流)X12をコントローラ50に通知する。
【0024】
ここでは,パワーコンディショナー30,DC−DCコンバータ42の双方が電圧センサを有するとしている。これに対して,パワーコンディショナー30,DC−DCコンバータ42の一方のみが電圧センサを有するとしても良い。パワーコンディショナー30,DC−DCコンバータ42に入力される電圧は共通だからである。
【0025】
後述のように切替部43で切り替えられることで,AC−DCコンバータ41,DC−DCコンバータ42からの出力のいずれかが,補助機構20およびコントローラ50に供給される。即ち,AC−DCコンバータ41,DC−DCコンバータ42からのDC2出力の電圧V2は,補助機構20およびコントローラ50の所定の動作電圧(例えば,24V)に対応する。コントローラ50の消費電力(電流)は,補助機構20の消費電力(電流)に比べて小さいので,DC2出力の出力(電力または電流)X2は,事実上,補助機構20の消費電力(電流)に対応する。
【0026】
切替部43は,次のように,パワーコンディショナー30,AC−DCコンバータ41を経由する第1系統と,DC−DCコンバータ42を経由する第2系統との間で,燃料電池10から補助機構20への出力を切り替える。
【0027】
・第1系統:
燃料電池10(DC電力)→パワーコンディショナー30(AC)
→
外部出力(負荷
)(AC)
→AC−DCコンバータ41(DC)→補助機構20(DC)
【0028】
・第2系統:
燃料電池10(DC電力)
→パワーコンディショナー30(AC)→外部出力(負荷)(AC)
→DC−DCコンバータ42(DC)→補助機構20(DC)
【0029】
このように,切替部43によって,補助機構20への電力の供給経路が第1系統,第2系統で切り替えられる。一方,第1系統,第2系統のいずれでも,燃料電池10からのDC1出力は,パワーコンディショナー30に供給され,パワーコンディショナー30からのAC1出力が外部(電気機器等の負荷)に供給される。
【0030】
第1系統を用いる場合,切替部43は,次のように動作する。即ち,パワーコンディショナー30からAC−DCコンバータ41へのAC2出力の供給を接続し,燃料電池10からDC−DCコンバータ42へのDC1出力の供給を切断する。また,AC−DCコンバータ41からの出力がDC2出力となる。
【0031】
第2系統を用いる場合,切替部43は,次のように動作する。即ち,パワーコンディショナー30からAC−DCコンバータ41へのAC2出力の供給を切断し,燃料電池10からDC−DCコンバータ42へのDC1出力の供給を接続する。また,DC−DCコンバータ42からの出力がDC2出力となる。
【0032】
これらの切替は,切替部43がAC−DCコンバータ41およびDC−DCコンバータ42の入出力を制御することで可能である。
【0033】
以下,第1系統,第2系統を切り替える意義について説明する。
一般的には,第1系統は「DC→AC→DC」と変換が2回あるため,全体的な変換効率が悪いようにも見える。しかし,AC−DCコンバータ41に入力される電圧は,一定(例えば,100V(200V))であるため,変換効率の良いAC−DCコンバータ41の設計,選定が比較的容易である(変換効率を一定とし易い)。
【0034】
一方,第2系統は,「DC→DC」と変換が1回なので,変換効率を向上させやすい。この反面,燃料電池10の電圧は上述の様に劣化や温度等で日々変動することから,DC−DCコンバータ42には比較的広い電圧範囲での変換が要求される。このため,使用条件によって,DC−DCコンバータ42の変換効率が低下する可能性がある。
【0035】
記憶部51は,次の第1〜第3の関係情報を記憶する。
・パワーコンディショナー30への入力電圧および入力電力(燃料電池10からのDC11出力の電圧V,電力X11)と変換効率Y1との関係を表す第1の関係情報
・DC−DCコンバータ42への入力電圧および入力電力(燃料電池10からのDC12出力の電圧V,電力X12)と変換効率Y2との関係を表す第2の関係情報
・AC−DCコンバータ41への入力電力(パワーコンディショナー30からのAC2出力の電力X3)と変換効率Y3との関係を表す第3の関係情報
【0036】
図2〜
図4は,これら第1〜第3の関係情報の一例を表すグラフである。なお,第3の関係情報がAC−DCコンバータ41への入力電圧を問題としていないのは,AC−DCコンバータ41に入力される電圧(パワーコンディショナー30からのAC2出力の電圧V1)が事実上一定だからである。
【0037】
ここで,
図2において,電圧V0は変換効率Y1が極大のときの電圧(効率点)を意味する。
【0038】
図5は,燃料電池10での燃料利用率ηと出力電圧Vの関係を表すグラフである。燃料利用率ηの変化が,出力電圧Vの変化をもたらすことが判る。出力電圧Va,Vbが燃料利用率η1,η2と対応している。その結果,
図2に示す電圧VもVa,Vbと変化している。
【0039】
コントローラ50は,第1〜第3の関係情報(変換効率Y1,Y2,Y3),燃料電池10からの出力電圧情報(電圧V),出力電力情報(電力X1),および補助機構20での消費電力情報(電力X2)に基づき,燃料電池システムとしての変換効率Ytが良くなるように切替部43を制御する。このために,コントローラ50は,切替部43を介して,燃料電池10の電圧V,電力X1をモニタする。
【0040】
燃料電池システムとしての変換効率Ytは,燃料電池10からのDC1出力(出力X1)が外部へのAC1出力(外部出力W1,W2)に変換された割合として定義できる。既述のように,第1,第2系統の選択により,AC1出力は,W1,W2と変化することから,第1系統のときの変換効率Yt1(=(W1/X1))と第2系統のときの変換効率Yt2(=(W2/X1))のどちらか大きいほうが選択されることになる。
【0041】
さらに言えば,変換効率Yt1,Yt2において,DC1出力(出力X1)は共通することから,外部出力W1,W2を比較することで,変換効率Yt1,Yt2の大きい方(燃料電池システムとしての変換効率Ytが大きい方)を選択できる。
【0042】
コントローラ50は,燃料電池10の出力電圧情報(電圧V)に基づいて,燃料電池10への燃料ガスの供給に対して調整を行なう。コントローラ50は,燃料電池10の温度Tが所定範囲(後述の上限,下限)外のとき,燃料電池10からの出力電圧情報(電圧V)に基づく燃料ガスの供給量に対する調整量を制限する。このために,コントローラ50は,温度センサを用いて,燃料電池10の温度Tをモニタする。
【0043】
コントローラー50は,燃料電池10の出力から次の式(1),(2)に基づき,出力W1,W2を計算する。
W1=(X1×Y1)−(X2/Y3) …式(1)
W2=(X1−X2/Y2)×Y1 …式(2)
【0044】
X1: 燃料電池10の出力(電力)
V: 燃料電池10の電圧
X2: 補助機構20の消費電力
Y1: パワーコンディショナー30の変換効率
Y2: DC−DCコンバータ42の変換効率
Y3: AC−DCコンバータ41の変換効率
【0045】
出力W1,W2はそれぞれ,第1系統,第2系統のときに,パワーコンディショナー30から外部に供給される電力(AC1出力の電力)である。
【0046】
既述のように,燃料電池10からの電圧V,電力X1は,パワーコンディショナ30,DC−DCコンバータ42でのDC11出力,DC12出力の測定結果として,コントローラー50が入手できる。
【0047】
補助機構20の消費電力X2は,切替部43を経由して,AC−DCコンバータ41またはDC−DCコンバータ42から出力されるDC2出力の電力として,測定可能である。また,測定すること無く,消費電力X2として所定の値を記憶部51に記憶させておいても良い。
【0048】
(a)変換効率Y2の算出
以下,変換効率Y2の算出の手法を説明する。
既述のように,DC−DCコンバータ42の変換効率Y2は,DC−DCコンバータ42に入力される電力,電圧(DC12出力の電圧V,電力X12)に依存する。ここで,第2の関係情報およびDC−DCコンバータ42からのDC2出力の電力X2に基づいて,変換効率Y2を算出できる。
【0049】
図6に,変換効率Y2の算出の手法を表す。グラフG1は,
図3に示される第2の関係情報に対応するグラフである。電力X,変換効率Yのグラフとして,第2の関係情報が表される。グラフG2は,「Y=X2/X」の式(3)で表されるグラフである。そして,グラフG1,G2の交点での電力X,変換効率Yが,電力X12,変換効率Y2に対応する。
【0050】
このようにして,変換効率Y2を算出できるのは,次のように説明できる。即ち,式(2)を考慮すると,グラフG1,G2の交点での電力X,変換効率Yは,関係「X*Y=X2」を満たす。そして,この関係は,電力X(=X12)を変換効率Y(=Y2)で変換して,電力X2を出力することを意味する。
【0051】
(b)変換効率Y1の算出
以下,変換効率Y1の算出の手法を説明する。
既述のように,パワーコンディショナー30の変換効率Y1は,パワーコンディショナー30に入力される電力,電圧(DC11出力の電圧V,電力X11)に依存する。このため,第1の関係情報,電圧V,電力X11に基づいて,変換効率Y1を算出する。
【0052】
第1系統が選択されている場合,燃料電池10からのDC1出力の全てがDC11出力となることから,「電力X11=電力X1」である。一方,第2系統が選択されている場合,燃料電池10からのDC1出力はDC11出力,DC12出力に分割されることから,「電力X11=電力X1−電力X12」である。この電力X12は,変換効率Y2の算出に伴い算出された電力X12を利用できる。
【0053】
(c)変換効率Y3の算出
以下,変換効率Y3の算出の手法を説明する。
既述のように,AC−DCコンバータ41の変換効率Y3は,AC−DCコンバータ41に入力される電力,電圧(AC2出力の電圧V1,電力X3)に依存する。ここで,変換効率Y2と同様に,第3の関係情報およびAC−DCコンバータ41からのDC2出力の電力X2に基づいて,変換効率Y3を算出できる。
【0054】
図7に,変換効率Y3の算出の手法を表す。グラフG3は,
図4に示される第3の関係情報に対応するグラフである。電力X,変換効率Yのグラフとして,第3の関係情報が表される。グラフG2は,既述の「Y=X2/X」の式(3)で表されるグラフである。そして,グラフG3,G2の交点での電力X,変換効率Yが,電力X3,変換効率Y3に対応する。このようにして,変換効率Y3を算出できるのは,変換効率Y2の場合と同様に説明できる。
【0055】
(d)出力(電力)W1,出力(電力)W2の比較
出力W1>出力W2の場合,コントローラー50は,第1系統が選択されるように切替部43を制御する。即ち,燃料電池10の出力がパワーコンディショナー30に入力されて,DC−AC変換された後に,AC−DCコンバータ41でAC−DC変換される。その電力で補助機構20を駆動し,残った電力が外部出力(負荷)に供給される。
【0056】
出力W1<出力W2の場合,コントローラー50は,第2系統が選択されるように切替部43を制御する。即ち,燃料電池10の出力がDC−DCコンバータ42に入力されて,DC−DC変換される。その電力で補助機構20を駆動し,残った電力が外部出力(負荷)に供給される。
【0057】
このように,第1系統,第2系統を切り替えることで,燃料電池11の状況に応じて,燃料電池システムを効率的に運転可能となる。既述のように,外部出力W1,W2を比較することで,燃料電池システムとしての変換効率Ytが大きくなるように,第1系統,第2系統が切り替えられる(変換効率Yt1,Yt2の大きい方が選択される)。
【0058】
ここで,パワーコンディショナー30,DC−DCコンバータ42の効率は供給される電圧によって変ってくる。このため,上記制御に加えて,燃料電池10に供給する燃料の供給量(供給レート)を増減することでより効率的な運転が可能である。即ち,燃料電池10からの電圧Vが,
図2の電圧V0(効率点)の近傍となるよう,燃料の供給量を制御する。なお,この詳細は後述する。
【0059】
(燃料電池システムの動作)
燃料電池システムの動作を説明する。
図8は,燃料電池システムの動作手順の一例を表すフロー図である。
【0060】
(1)出力W1,W2の算出(ステップS11)
式(1),(2)に基づき,出力W1,W2を算出する。
【0061】
(事例1)
例えば,燃料電池10の出力X1を1000W,補助機構20の消費電力X2を100Wとする。また,燃料電池10からの電圧Vを
図2に示す電圧Vbとする。
【0062】
第
2系統での出力W
2を算出する。
燃料電池10の出力X1(1000W)がパワーコンディショナー30,DC−DCコンバータ42に出力X11,出力X12(895W,105W)として分配される。パワーコンディショナー30に導入された出力X11(895W)は変換効率Y1(例えば,90%)で変換され,出力W
2は805Wとなる。
【0063】
DC−DCコンバータ42へ導入された出力X12(105W)は,補助機構20の電源とするために変換され,出力
X2は105*95%(Y2)=100Wとなる。
燃料電池10の出力X1(1000W)に対し,外部に出力される電力W
2(805W)の比率,即ち,効率は80.5%となる。
【0064】
第
1系統での出力W
1を算出する。
燃料電池10の出力X1(1000W)は,すべてパワーコンディショナー30に導入される。パワーコンディショナー30で変換することで,燃料電池10の出力X1(1000W)*パワーコンディショナー30の変換効率Y1(0.89)=890Wとなる。即ち,先ほどよりも変換する電力が増加したため効率Y1が少し低下し89%となる。
【0065】
このうちAC−DCコンバータ41で補助機構20の消費電力X2(100W)を変換効率Y3(93%)でまかなうため,100/0.93=108Wが引かれることとなる。即ち,外部に出力される電力W
1は,782Wとなり,効率は78.2%となる。
【0066】
(事例2)
次に燃料電池10の出力X1が低い場合を計算する。燃料電池10の出力X1が500Wで,補助機構20の消費電力X2を50Wとする。燃料電池10からの電圧Vを
図2に示す電圧Vaとする。
【0067】
第
2系統での出力W
2を算出する。
燃料電池10の出力X1(500W)がパワーコンディショナー30,DC−DCコンバータ42に出力X11,出力X12(441W,59W)として分配される。パワーコンディショナー30に導入された出力X11(441W)は変換効率Y1(例えば,95%)で変換され,出力W
2は419Wとなる。
【0068】
DC−DCコンバータ42へ導入された出力X12(59W)は,補助機構20の電源とするために変換され,出力
X2は59*85%(Y2)=50Wとなる。
燃料電池10の出力X1(500W)に対し,外部に出力される電力W
2(419W)の比率,即ち,効率は83.8%となる。
【0069】
第
1系統での出力W
1を算出する。
燃料電池10の出力X1(500W)は,すべてパワーコンディショナー30に導入される。パワーコンディショナー30で変換することで,燃料電池10の出力X1(500W)*パワーコンディショナー30の変換効率Y1(0.96)=480Wとなる。即ち,先ほどよりも変換する電力が増加したため効率Y1が少し増加し96%となる。
【0070】
このうちAC−DCコンバータ41で補助機構20の消費電力X2(100W)を変換効率Y3(94%)でまかなうため,50/0.94=53Wが引かれることとなる。即ち,外部に出力される電力W
1は,480−53=427Wとなり,効率は85.4%となる。
【0071】
(2)出力W1,W
2による切替(ステップS12〜S14)
出力W1,W2を比較し(ステップS12),その結果により,第1系統,第2系統(AC−DCコンバータ41,DC−DCコンバータ42)のいずれで補助機構20に電力を供給するかが切り替えられる(ステップS12〜S14)。
上記の事例1,2のようにW
2>W
1となる場合もあればW
2<W
1となる場合もあり,状況により切り替えることで,燃料電池システムを高効率で運転できる。
【0072】
(3)電圧Vの制御(ステップS15〜S18)
上記の制御に加えて,さらに効率を向上させるため,燃料電池10の電圧Vを電圧V0(効率点(パワーコンディショナー30の効率Y1が極大となる電圧))付近となるように制御できる。具体的には,燃料電池10の電圧Vが電圧V0の付近となるように,燃料の供給量を制御する(ステップS16〜S18)。即ち,「電圧V<電圧V0」のときに燃料の供給量を増加し,「電圧V>電圧V0」のときに燃料の供給量を減少させる。
【0073】
ここで,燃料電池10の温度Tが所定の上限,下限の間にあるときに,このように燃料供給を制御することが好ましい(ステップS16)。燃料電池10の温度Tが適正な動作範囲から外れているときに(例えば,起動時,停止時),電圧Vに対応して燃料供給を制御すると,燃料電池10の動作が不安定となる可能性があるためである。
【0074】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張,変更可能であり,拡張,変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。