特許第5740283号(P5740283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新日本非破壊検査株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000003
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000004
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000005
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000006
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000007
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000008
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000009
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000010
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000011
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000012
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000013
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000014
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000015
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000016
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000017
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000018
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000019
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000020
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000021
  • 特許5740283-配管厚測定装置 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740283
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】配管厚測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 17/02 20060101AFI20150604BHJP
   G01N 29/265 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   G01B17/02 E
   G01N29/265
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2011-236218(P2011-236218)
(22)【出願日】2011年10月27日
(65)【公開番号】特開2013-92505(P2013-92505A)
(43)【公開日】2013年5月16日
【審査請求日】2014年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】591053856
【氏名又は名称】新日本非破壊検査株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】和田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】百合本 淳
(72)【発明者】
【氏名】永田 宗誠
【審査官】 眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−095236(JP,A)
【文献】 特開2007−263579(JP,A)
【文献】 特開平05−212657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 17/00−17/08
G01N 29/265
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物である配管内を走行する台車と、
前記台車の前端部又は後端部に設けられ、前記配管の軸心に対して直交する方向に向いて設けられたXYテーブルと、
前記XYテーブルによってX、Y方向に調整移動される移動架台に設けられた回転テーブルと、
前記回転テーブルの回転中心を基準として、半径方向外側に押圧状態で移動可能に設けられた複数の探触子搭載台と、
前記各探触子搭載台に搭載され、前記配管の肉厚を測定する超音波探触子と、
前記各探触子搭載台の前記回転中心からの距離を測定する距離センサーと、
前記各距離センサーからの測定値に基づき、前記XYテーブルを駆動して前記回転テーブルの回転中心を前記配管の軸心に一致させる制御手段とを有する配管厚測定装置において、
前記台車は、それぞれ前後に車輪を備える直列配置された3台以上の駆動台車と、隣り合う該駆動台車を連結するアームを備える連結機構とを有し、前記各駆動台車が前記アームにより、前記配管の対向する二面間の間隔に応じてV字状に突っ張りながら、該二面間を走行することを特徴とする配管厚測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の配管厚測定装置において、前記探触子搭載台は、前記回転テーブルの回転中心を中央にして、等角度で4台設けられていることを特徴とする配管厚測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の配管厚測定装置において、前記各探触子搭載台には、該探触子搭載台を前記配管内の内側に沿って走行させる車輪が設けられていることを特徴とする配管厚測定装置。
【請求項4】
請求項3記載の配管厚測定装置において、前記各探触子搭載台には、前記超音波探触子と前記配管の内壁との間に、媒質となる水を供給する水供給口が設けられていることを特徴とする配管厚測定装置。
【請求項5】
請求項記載の配管厚測定装置において、前記各駆動台車の前後の車輪にはステアリング機構が設けられ、該各駆動台車の進行方向を変えることを特徴とする配管厚測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物である配管の肉厚を超音波により測定する配管厚測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管の健全性評価のための検査は、検査員により、配管の外側から決められたポイントだけを超音波で肉厚測定する手法が主体であった。
しかし、この方法では、局部的な傷や減肉を見落とし易い上に、その形状や分布を正確に把握することができない。その上、検査の信頼性は、検査員の技量に左右される。その他にも、検査のために、配管の外側を覆う保温材の撤去や足場の架設等を行う必要があり、コストも増大する。
そこで、例えば、特許文献1には、配管の内面に吸着しながら自走可能なマグネット車輪を備えた作業台車(以下、単にマグネット台車という)に、配管の内面上を走行させながら、その肉厚を測定する装置が開示されている。なお、配管の肉厚測定は、超音波探触子が設けられたアームを、マグネット台車を中心として配管の周方向に回動させながら行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−12934号公報(図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マグネット台車は、磁力により配管の内面に吸着しながら走行する構成であり、アームの回動中心位置が配管の軸心位置とは異なるため、配管の肉厚測定に際しては、測定箇所に応じて、アームを、配管の周方向に回動させながら、マグネット台車に対して伸縮させる必要がある。このため、配管の内面を移動する超音波探触子の移動速度が変化し、また配管の内面への超音波探触子の押圧が、常時、配管の軸心から放射状に行われず不安定になり、配管の肉厚測定の精度が低下する恐れがある。
なお、上記した問題を解消するため、マグネット台車の規模を大きくし、アームの回動中心位置と配管の軸心位置とを合わせることも考えられるが、この場合、配管の内径に応じて複数種類のマグネット台車やアームを準備する必要があり、製造コストの増大を招く。また、マグネット台車の規模を大きくした場合、マグネット台車が配管の内面から落下しないように、吸着の磁力を大きくする必要もある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、検査対象物である配管の肉厚を、精度よく連続的に測定可能な配管厚測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係る配管厚測定装置は、検査対象物である配管内を走行する台車と、
前記台車の前端部又は後端部に設けられ、前記配管の軸心に対して直交する方向に向いて設けられたXYテーブルと、
前記XYテーブルによってX、Y方向に調整移動される移動架台に設けられた回転テーブルと、
前記回転テーブルの回転中心を基準として、半径方向外側に押圧状態で移動可能に設けられた複数の探触子搭載台と、
前記各探触子搭載台に搭載され、前記配管の肉厚を測定する超音波探触子と、
前記各探触子搭載台の前記回転中心からの距離を測定する距離センサーと、
前記各距離センサーからの測定値に基づき、前記XYテーブルを駆動して前記回転テーブルの回転中心を前記配管の軸心に一致させる制御手段とを有する配管厚測定装置において、
前記台車は、それぞれ前後に車輪を備える直列配置された3台以上の駆動台車と、隣り合う該駆動台車を連結するアームを備える連結機構とを有し、前記各駆動台車が前記アームにより、前記配管の対向する二面間の間隔に応じてV字状に突っ張りながら、該二面間を走行する
【0007】
本発明に係る配管厚測定装置において、前記探触子搭載台は、前記回転テーブルの回転中心を中央にして、等角度で4台設けられているのがよい。
【0008】
本発明に係る配管厚測定装置において、前記各探触子搭載台には、該探触子搭載台を前記配管内の内側に沿って走行させる車輪が設けられていることが好ましい。
ここで、前記各探触子搭載台には、前記超音波探触子と前記配管の内壁との間に、媒質となる水を供給する水供給口が設けられていることが好ましい。
【0009】
本発明に係る配管厚測定装置において前記各駆動台車の前後の車輪にはステアリング機構が設けられ、該各駆動台車の進行方向を変えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る配管厚測定装置は、台車、XYテーブル、回転テーブル、複数の探触子搭載台、超音波探触子、距離センサー、及び制御手段を有し、各距離センサーからの測定値に基づき、XYテーブルを駆動して、回転テーブルの回転中心を配管の軸心に一致させるので、配管の肉厚測定に際し、測定箇所に応じて、各探触子搭載台を配管の周方向に回動させても、配管の内面を移動する超音波探触子の移動速度を略一定にでき、また配管の内面への超音波探触子の押圧を、常時、配管の軸心から放射状に行うことができる。更に、各探触子搭載台は、回転テーブルの回転中心を基準として、半径方向外側に押圧状態で移動可能に設けられているので、配管の内径に応じて複数種類の配管厚測定装置を準備する必要がなく、製造コストの低減も図れる。
従って、検査対象物である配管の肉厚を、精度よく連続的に測定できる。
【0011】
また、探触子搭載台が、回転テーブルの回転中心を中央にして、等角度で4台設けられている場合、回転中心を中央にして対向配置される対となる探触子搭載台が、配管の最大内径位置(直径位置)に配置されるので、配管の内面への各探触子搭載台の押圧状態を安定に維持でき、測定精度の更なる向上が図れる。なお、探触子搭載台を等角度で4台設けることにより、回転テーブルの回動角度を90度程度にすることで、配管全周の肉厚測定ができるため、測定時間の短縮も図れる。
【0012】
そして、各探触子搭載台に、この探触子搭載台を配管内の内側に沿って走行させる車輪が設けられている場合、各探触子搭載台が、配管の内面をスムーズに移動できる。これにより、例えば、配管の内壁に生じた凹凸に、探触子搭載台が引っ掛かるという問題等を抑制できるので、測定精度の向上が図れる。
ここで、各探触子搭載台に、超音波探触子と配管の内壁との間に、媒質となる水を供給する水供給口が設けられている場合、配管への超音波の浸透性を良好にでき、測定精度の向上が図れる。
【0013】
更に、本発明に係る配管厚測定装置は、台車が、直列配置された3台以上の駆動台車と、これを連結するアームを備える連結機構とを有し、各駆動台車がアームにより、配管の対向する二面間の間隔に応じてV字状に突っ張りながら二面間を走行するので、台車は、様々な幅の配管に対応でき、また配管の材質による影響を受けることなく、配管内を走行できる。
ここで、各駆動台車の車輪にステアリング機構が設けられている場合、例えば、配管内を走行中の台車が傾いても、全車輪を回動(ローリング)させることで、台車の傾きを修正して、回転テーブルの回転中心を配管の軸心に一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る配管厚測定装置の斜視図、(B)は同配管厚測定装置の正面図である。
図2】同配管厚測定装置の側面図である。
図3】同配管厚測定装置の平面図である。
図4】同配管厚測定装置の台車を構成する第3の駆動台車の斜視図である。
図5】(A)、(B)はそれぞれ同第3の駆動台車の平面図、側面図である。
図6】(A)〜(C)はそれぞれ同第3の駆動台車の駆動機構の平面図、正面図、側面図である。
図7】(A)〜(C)はそれぞれ同第3の駆動台車の台車本体の側面図、正面図、(A)のa−a矢視断面図である。
図8】(A)、(B)はそれぞれ同第3の駆動台車に取付けられた連結手段の斜視図、正面図である。
図9】(A)、(B)はそれぞれ同連結手段の側面図、(A)のb−b矢視断面図である。
図10】本発明の一実施の形態に係る配管厚測定装置の台車を構成する第2の駆動台車の斜視図である。
図11】(A)、(B)はそれぞれ同第2の駆動台車の平面図、側面図である。
図12】(A)〜(C)はそれぞれ同第2の駆動台車の駆動機構の平面図、正面図、側面図である。
図13】(A)〜(C)はそれぞれ同第2の駆動台車の台車本体の側面図、正面図、(A)のc−c矢視断面図である。
図14】(A)、(B)はそれぞれ同第2の駆動台車に取付けられた連結手段の斜視図、平面図である。
図15】(A)、(B)はそれぞれ図14(B)のd−d矢視断面図、e−e矢視断面図である。
図16】本発明の一実施の形態に係る配管厚測定装置の肉厚測定手段の斜視図である。
図17】同肉厚測定手段のXYテーブル及び回転テーブルの斜視図である。
図18】同肉厚測定手段のXYテーブル及び回転テーブルの正面図である。
図19】同肉厚測定手段の探触子搭載台の斜視図である。
図20】同肉厚測定手段の回転テーブルの位置合わせ方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図20に示すように、本発明の一実施の形態に係る配管厚測定装置(以下、単に測定装置ともいう)10は、検査対象物である配管10aの肉厚を、精度よく連続的に測定できる装置である。以下、詳しく説明する。
【0016】
図1図3に示すように、配管厚測定装置10は、配管10a内を走行する台車10bと、台車10bの前側に設けられた肉厚測定手段10cとを有している。
台車10bは、それぞれ前後に車輪11、12を備える直列配置された3台の第1〜第3の駆動台車13〜15と、隣り合う第1の駆動台車13と第2の駆動台車14を連結するアーム16、17を備える連結機構18と、隣り合う第2の駆動台車14と第3の駆動台車15を連結するアーム16、17を備える連結機構19とを有し、第1〜第3の駆動台車13〜15がアーム16、17により、配管10aの内径に応じてV字状に突っ張りながら、配管10a内を走行するものである。
なお、本実施の形態においては、測定装置10(台車10b)の前側を第1の駆動台車13側とし、後ろ側を第3の駆動台車15側として、これを測定装置10の前後方向、またこれと直交する方向を左右方向として、以下説明する。
【0017】
図1(A)、(B)、図2、及び図3に示すように、測定装置10を構成する第1、第3の駆動台車13、15は、第2の駆動台車14の両側(前側と後ろ側)に配置されており、第1、第3の駆動台車13、15の各車輪11、12が、配管10aの内側の下面(一面)20上に押し付けられ、第2の駆動台車14の各車輪11、12が、配管10aの下面20と対向する上面(他面)21上に押し付けられている。
なお、第1の駆動台車13には、前側に肉厚測定手段10cが設けられ、第3の駆動台車15に肉厚測定手段10cは設けられていないが、その構成は略同一であるため、第3の駆動台車15についてのみ説明する。
図4図9に示すように、第3の駆動台車15は、各種計測手段(図示しない)が取付け可能な台車本体22と、台車本体22の下方前後に取付けられた車輪11、12とを有し、この第3の駆動台車15と第2の駆動台車14が連結機構19により連結されている。
【0018】
図1(B)に示すように、各車輪11、12を構成するタイヤ23は、例えばゴム製であり、タイヤ23の接地面の断面形状が、配管10aの下面20及び上面21の断面形状と、実質的に同一形状(円弧状)となっている。なお、タイヤ23は、摩擦抵抗が高い材質であれば、ゴムに限定されず、また、弾力性を有していれば、タイヤの輪郭形状を配管の内面と同一形状にしなくてもよい。
図4図5(A)、(B)、及び図6(A)〜(C)に示すように、各車輪11、12に取付けられたシャフト24は、正面視して逆U字状となった固定台25に、ベアリング26を介して回転可能に取付けられている。このシャフト24には、駆動用モータ(例えば、DCモータ)27と、この駆動用モータ27の出力を車輪11、12に伝達する伝達手段(減速機)28を有する駆動機構29が接続されている。
【0019】
伝達手段28は、シャフト24の先側に取付けられたウォームホイール30と、ウォームホイール30に螺合するウォームギヤ31と、駆動用モータ27の出力軸に取付けられた平歯車32と、この平歯車32と螺合する平歯車33及びこの平歯車33の出力をウォームギヤ31に伝達するかさ歯車34、35とで構成されている。これにより、伝達手段28のコンパクト化が図られている。なお、駆動機構の構成は、これに限定されるものではない。
このように構成することで、駆動用モータ27からの出力を、伝達手段28を介して車輪11、12に伝達し回転させることができる。このため、第3の駆動台車15に設けられた各車輪11、12は、それぞれ別個独立の駆動機構29によって駆動する。
また、固定台25の上部には、固定台25を台車本体22に回動自在に取付ける回動上部36及び回動下部37が設けられ、その間には、第3の駆動台車15の上下方向に軸心を合わせたウォームホイール38が取付けられている。更に、ウォームホイール38と異なる位置には、固定台25の回動角度を決定するストッパー39が設けられている。
【0020】
図4図5、及び図7(A)〜(C)に示すように、台車本体22は、間隔を有して対向配置された上板部40と下板部41を有している。
上板部40の前後には、車輪11、12の固定台25の回動上部36が取付けられる貫通孔42が形成され、また下板部41の前後には、固定台25の回動下部37が取付けられる貫通孔43と、固定台25のストッパー39が移動するガイド孔44が形成されている。
ガイド孔44は、7/24円弧状に形成され、ウォームホイール38の軸心回りに回動する固定台25の回動角度を、初期位置(第3の駆動台車15を前後方向へ進行させる位置)から一方側へ15度、かつ他方側へ90度(第3の駆動台車15を左右方向へ進行させる位置)の範囲内にしている。なお、ガイド孔の形状は、これに限定されることなく、例えば、初期位置を中心として±90度とした1/2円弧状(半円弧状)に形成してもよい。
【0021】
上板部40と下板部41の間には、カップリング45を介してウォームギヤ46が取付けられたステアリング用モータ(例えば、DCモータ)47が配置されている。このウォームギヤ46は、固定台25に取付けられたウォームホイール38に螺合する。
また、前側のステアリング用モータ47の軸心は、台車本体22の前後方向に対し傾斜して取付けられ、後ろ側のステアリング用モータ47の軸心は、台車本体22の前後方向と同一方向となるように取付けられている。なお、第1の駆動台車13は、第3の駆動台車15とは前後が逆となっている。
以上に示した固定台25の回動上部36及び回動下部37、ウォームホイール38、ストッパー39、上板部40及び下板部41の貫通孔42、43、ガイド孔44、及びウォームギヤ46が取付けられたステアリング用モータ47で、ステアリング機構が構成されている。
【0022】
各ステアリング機構は、第3の駆動台車15の前後の車輪11、12に個別に設けられ、固定台25のストッパー39をガイド孔44のいずれか一方の端部まで移動させることにより、第3の駆動台車15の進行方向を、その前後方向又は左右方向にする。しかし、例えば、センサーを配置することにより、固定台25の回動角度を任意に調整して、第3の駆動台車15を斜め方向に進行させることもできる。
このように構成することで、ステアリング用モータ47を作動させ、ウォームギヤ46を正転又は逆転させることにより、固定台25を回動させて、第3の駆動台車15の進行方向を変えることができる。
なお、下板部41の上面には、走行する第3の駆動台車15の前後方向の傾きを検出するポテンショメータ(前後方向姿勢検出器の一例)48が設けられている。このポテンショメータ48は、従来公知のものであり、回転リミットなしの単回転ポテンショメータに、やじろべえを取付けて、水平方向に対する傾きを検出するセンサーである。
【0023】
次に、図10図15を参照しながら、第2の駆動台車14について説明するが、この第2の駆動台車14は、前記した第3の駆動台車15とは、基本的に同一の構成であるため、同一部材には同一の番号を付し、詳しい説明を省略する。
図10図11(A)、(B)、及び図12(A)〜(C)から明らかなように、第2の駆動台車14の駆動機構は、第3の駆動台車15に使用した駆動機構29と同一構成となっており、その配置位置のみが異なる。このため、これに応じて、第2の駆動台車14に使用する固定台50が、第3の駆動台車15に使用した固定台25とは、その形状が異なっている。
また、車輪11、12のうち、一方の車輪11のシャフト24にはプーリ51が取付けられ、その上方位置の固定台50には、プーリ52が取付けられたロータリーエンコーダ(距離測定手段)53が取付けられている。これらのプーリ51、52は、プーリベルト54を介して連結されており、これにより、第2の駆動台車14、即ち測定装置10の走行距離を測定可能な構成となっている。
【0024】
図10図11、及び図13(A)〜(C)から明らかなように、第2の駆動台車14の台車本体22は、第3の駆動台車15に使用した台車本体22と同一構成となっている。
この台車本体22の下板部41の上面には、更に第2の駆動台車14の左右方向の傾きを検出するポテンショメータ(左右方向姿勢検出器の一例)55が設けられている。このポテンショメータ55は、前後方向の傾きを検出するポテンショメータ48と同一構成のものであり、その向きを、ポテンショメータ48と直交する方向にしたものである。
なお、左右方向の傾きを検出するポテンショメータ55は、第2の駆動台車14だけでなく、更に第1の駆動台車13又は第3の駆動台車15のいずれか一方又は双方に設けてもよく、また第2の駆動台車14に設けることなく、第1の駆動台車13又は第3の駆動台車15のいずれか一方又は双方に設けてもよい。
【0025】
続いて、第1の駆動台車13と第2の駆動台車14を連結する連結機構18、及び第2の駆動台車14と第3の駆動台車15を連結する連結機構19について説明する。
図1図3に示すように、連結機構19は、第3の駆動台車15に取付けられた連結手段60と、第2の駆動台車14に取付けられた連結手段61と、連結手段60と連結手段61とを繋ぐアーム16、17を有している。
まず、図4図5図8(A)、(B)、図9(A)、(B)を参照しながら、第3の駆動台車15に取付けられた連結手段60について説明する。
台車本体22の前後方向中央位置、即ち前後の車輪11、12の間には、連結手段60の取付け台62が設けられている。
【0026】
取付け台62は、台車本体22の下方から、その左右方向を挟み込むように取付けられており、この取付け台62の下部には、台車本体22の幅方向に配置された回転軸(アームの連結部の一例)63が、ベアリング64を介して回動自在に取付けられている。
取付け台62の両側に突出する回転軸63には、それぞれ平歯車65がベアリング66を介して回動可能に設けられ、その先側にねじり角が調整可能なねじりばね(ばね材の一例)67が差し込まれている。更に、回転軸63の両端部には、アーム取付け部68、69を介して、一対のアーム16、17の先側が取付けられている。
このねじりばね67は、その先端(一端)がアーム取付け部68、69の固定部70に取付けられ、基端(他端)が平歯車65の固定部71に取付けられている。なお、常時は、アーム16、17が垂直状態になろうとする方向へ、ねじりばね67の力が作用している。
【0027】
平歯車65には、ばね調整用モータ(例えば、DCモータ)72と、このばね調整用モータ72の出力を平歯車65に伝達する伝達手段(減速機)73が接続されている。
伝達手段73は、ばね調整用モータ72の出力軸に取付けられた平歯車74と、この平歯車74と螺合する平歯車75と、その先側に取付けられたウォームギヤ76と、このウォームギヤ76に螺合するウォームホイール77と、このウォームホイール77が取付けられた回転軸78に設けられた平歯車79を有している。更に、この平歯車79は、前記した各平歯車65に螺合する平歯車80が両側に取付けられ、取付け台62にベアリング81を介して回動可能に設けられた回転軸82の中央部に取付けられた平歯車83に螺合している。なお、伝達手段の構成は、これに限定されるものではない。
【0028】
これにより、伝達手段73をコンパクトにできると共に、1つのばね調整用モータ72からの出力を、各ねじりばね67に減速させて伝達できる。
また、ウォームホイール77が取付けられた回転軸78の先側には、平歯車84が取付けられ、この平歯車84に螺合する平歯車85に取付けられたポテンショメータ(角度検出器の一例)86により、ねじりばね67のねじり角を検出している。
このように構成することで、ばね調整用モータ(例えば、DCモータ)72からの出力を、伝達手段73を介してねじりばね67に伝達させ、ポテンショメータ86による検出値を確認しながら、ねじりばね67のねじり角を調整する。そして、ねじりばね67に加える力を強める又は弱めることで、第3の駆動台車15を配管10aの内面に所定の押圧力で押し付けることができる。
【0029】
続いて、図10図11図14(A)、(B)、及び図15(A)、(B)を参照しながら、第2の駆動台車14に取付けられた連結手段61について説明する。
台車本体22の前後方向中央位置、即ち前後の車輪11、12の間には、連結手段61の取付け台90が設けられている。
取付け台90は、台車本体22の下方から、その左右方向を挟み込むように取付けられており、この取付け台90の下部には、台車本体22の幅方向に配置された回転軸(アームの連結部の一例)91が、ベアリングを介して回動自在に取付けられている。
取付け台90の両側に突出する回転軸91には、それぞれ平歯車93がベアリング94を介して回動可能に設けられ、その先側にねじり角が調整可能なねじりばね(ばね材の一例)95が差し込まれている。更に、回転軸91の両端部には、アーム取付け部96、97を介して、一対のアーム16、17の先側が取付けられている。
このねじりばね95は、その先端(一端)がアーム取付け部96、97の固定部98に取付けられ、基端(他端)が平歯車93の固定部99に取付けられている。なお、常時は、アーム16、17が垂直状態になろうとする方向へ、ねじりばね95の力が作用している。
【0030】
平歯車93には、ばね調整用モータ(例えば、DCモータ)100と、このばね調整用モータ100の出力を平歯車93に伝達する伝達手段(減速機)101が接続されている。
伝達手段101は、ばね調整用モータ100の出力軸に取付けられた平歯車102と、この平歯車102と螺合する平歯車103と、その先側に取付けられたウォームギヤ104と、このウォームギヤ104に螺合するウォームホイール105と、このウォームホイール105が取付けられた回転軸106に設けられた平歯車107を有している。この平歯車107は、平歯車108が両側に取付けられ、取付け台90にベアリング109を介して回動可能に設けられた回転軸110の中央部に取付けられた平歯車111に螺合している。更に、回転軸110の両側に設けられた平歯車108には、取付け台90に回転可能に設けられた各平歯車112が螺合し、この各平歯車112が前記した各平歯車93に螺合する。なお、伝達手段の構成は、これに限定されるものではない。
【0031】
これにより、伝達手段101をコンパクトにできると共に、1つのばね調整用モータ100からの出力を、各ねじりばね95に伝達できる。
また、ウォームホイール105が取付けられた回転軸106の先側には、プーリ113が取付けられ、その上方位置の取付け台90には、プーリ114が取付けられたポテンショメータ(角度検出器の一例)115が取付けられている。これらのプーリ113、114は、プーリベルト116を介して連結されており、これにより、ねじりばね95のねじり角を検出している。
このように構成することで、ばね調整用モータ(例えば、DCモータ)100からの出力を、伝達手段101を介してねじりばね95に伝達させ、ポテンショメータ115による検出値を確認しながら、ねじりばね95のねじり角を調整する。
【0032】
次に、第2の駆動台車14と第1の駆動台車13を連結する連結機構18について説明する。なお、図1図3に示すように、連結機構18は、第1の駆動台車13に取付けられた連結手段60と、第2の駆動台車14に取付けられた連結手段120と、連結手段60と連結手段120とを繋ぐアーム16、17を有しているため、連結手段120についてのみ説明する。
取付け台90の下部には、回転軸91と間隔を有して平行に配置された回転軸(アームの連結部の一例)121が、ベアリング122を介して回動自在に取付けられている。
取付け台90の両側に突出する回転軸121には、それぞれ平歯車123がベアリング124を介して回動可能に設けられ、その先側にねじり角が調整可能なねじりばね(ばね材の一例)125が差し込まれている。更に、回転軸121の両端部には、アーム取付け部126、127を介して、一対のアーム16、17の先側が取付けられている。
【0033】
このねじりばね125は、その先端(一端)がアーム取付け部126、127の固定部128に取付けられ、基端(他端)が平歯車123の固定部129に取付けられている。なお、常時は、アーム16、17が垂直状態になろうとする方向へ、ねじりばね125の力が作用している。なお、この各平歯車123は、連結手段61を構成する平歯車93に螺合している。
このように構成することで、ばね調整用モータ100からの出力を、伝達手段101を介してねじりばね95に伝達させることで、ばね調整用モータ100からの出力がねじりばね125にも伝達し、ポテンショメータ115による検出値を確認しながら、ねじりばね95、125のねじり角を調整する。なお、ねじりばね125のねじり角を調整する機構を、別個に設けてもよい。
そして、ねじりばね95及びねじりばね125に加える力を強める又は弱めることで、第2の駆動台車14を配管10aの内面に所定の押圧力で押し付けることができる。
【0034】
以上に示したように、本実施の形態では、測定装置の台車を、3台の駆動台車で構成する場合について説明したが、4台以上の駆動台車で構成してもよい。
このとき、各駆動台車がアームにより、配管の対向する二面間の間隔に応じてV字状に突っ張っていれば、各駆動台車の配置位置は特に限定されない。例えば、駆動台車が4台の場合、両側に配置された駆動台車を一方側の面に押し付けるならば、その間に配置された2台の駆動台車を他方側の面に押し付けてもよく、また、各駆動台車を二面に交互にジグザグ状に配置してもよい。
なお、対向面は平行であることが好ましいが、測定装置が対向面間で突っ張ることができるならば、対向面が平行でない場合、例えば、測定装置の進行方向へ向けて、対向面間の距離が徐々に狭くなる場合、又は広くなる場合についても、測定装置を適用できる。
【0035】
また、測定装置の台車の構成は、上記した構成に限定されるものではなく、例えば、各駆動台車の配管の内面への押付けに、ねじりばねを使用することなく、所定の突っ張り力が発生するように、各駆動台車の速度を制御することもできる。
更に、測定装置の台車は、上記したV字状に突っ張る台車に限定されるものではなく、配管の肉厚測定を実施できる台車であれば、例えば、配管の内面に吸着しながら自走可能なマグネット車輪を備えた台車を使用することもできる。
従って、配管厚測定装置は、磁性を有する金属で構成された配管内のみならず、他の材質、例えば、磁性を有しない金属、セラミックス、プラスチック、又はゴムで構成された配管内も走行できるため、配管の材質による影響を受けることなく、各種配管の肉厚測定を行うことができる。
【0036】
次に、図1(A)、(B)、図2図3、及び図16図20を参照しながら、第1の駆動台車13に設けられた肉厚測定手段10cについて説明する。
肉厚測定手段10cは、XYテーブル130、回転テーブル131、複数の探触子搭載台132、超音波探触子133、スライド式のポテンショメータ(距離センサーの一例)134、及び図示しない制御基板(制御手段の一例)を有している。なお、肉厚測定手段10cのXYテーブル130は、台車10bを構成する第1の駆動台車13の前端部に設けられているが、台車10bを構成する第3の駆動台車15の後端部に設けることもできる。
図1(A)、(B)、図2図3、及び図16図18に示すように、XYテーブル130は、配管10aの軸心に対して直交する方向に向いて設けられ、第1の駆動台車13の台車本体22の前端部に取付け固定される取付け部材135と、この取付け部材135に対して(台車10bの)上下方向に移動するY方向移動部材136と、このY方向移動部材136に対して(台車10bの)左右方向に移動するX方向移動部材137とを有している。
【0037】
取付け部材135は、後ろ側(基側)に、台車本体22の前端部に取付け固定される取付け板138が設けられ、前側(先側)に、Y方向移動部材136をY方向に移動可能に取付ける断面凹状のスライドガイド139が設けられている。
取付け板138には、Y方向駆動用モータ(例えば、DCモータ)140と、このY方向駆動用モータ140の出力を、Y方向移動部材136に伝達する伝達部(減速機)141を備えたY方向駆動機構142とが設けられている。この伝達部141は、取付け部材135とY方向移動部材136を接続するラック機構(図示しない)と、このラック機構にY方向駆動用モータ140の出力を伝達するかさ歯車143、144、ウォームギヤ145、及びウォームホイール146で構成されている。なお、Y方向駆動機構の構成は、これに限定されるものではない。
【0038】
Y方向移動部材136は、後ろ側に、取付け部材135のスライドガイド139に移動可能に取付けられるスライド部147が設けられ、前側に、X方向移動部材137をX方向に移動可能に取付ける断面凹状のスライドガイド148が設けられている。
スライドガイド148には、X方向駆動用モータ(例えば、DCモータ)149と、このX方向駆動用モータ149の出力を、X方向移動部材137に伝達する伝達部(減速機)150を備えたX方向駆動機構151が設けられている。この伝達部150は、Y方向移動部材136とX方向移動部材137を接続するラック機構(図示しない)と、このラック機構にX方向駆動用モータ149の出力を伝達する平歯車152、153、ウォームギヤ154、及びウォームホイール155で構成されている。なお、X方向駆動機構の構成は、これに限定されるものではない。
【0039】
X方向移動部材137は、後ろ側に、Y方向移動部材136のスライドガイド148に移動可能に取付けられるスライド部156が設けられ、このスライド部156の前側に、移動架台157が取付け固定されている。
以上の構成により、Y方向駆動用モータ140を駆動させてY方向移動部材136を移動させ、またX方向駆動用モータ149を駆動させてX方向移動部材137を移動させることで、移動架台157を、取付け部材135に対してX方向又はY方向のいずれか一方又は双方に調整移動できる。
移動架台157の前側には、円筒状の回転テーブル131が、その回転中心を、Y方向移動部材136及びX方向移動部材137の移動方向に対して直交する方向となるように、軸受け(図示しない)を介して回転可能に取付けられている。
【0040】
また、移動架台157には、回転駆動用モータ(例えば、DCモータ)158と、この回転駆動用モータ158の出力を、回転テーブル131に伝達する伝達部(減速機)159を備えた回転駆動機構160が設けられている。この伝達部159は、回転駆動用モータ158の出力を伝達する平歯車161、162、ウォームギヤ163、ウォームホイール164、平歯車165、及び回転テーブル131の外周部に形成された多数のギヤ歯166で構成されている。このギヤ歯166は、回転テーブル131の前側部に設けられた拡幅部167に形成されている。なお、回転駆動機構の構成は、これに限定されるものではない。
従って、回転駆動用モータ158からの出力を、伝達部159を介して回転テーブル131に伝達することで、回転テーブル131を移動架台157に対して回転させることができる。
【0041】
図1(A)、(B)、図2図3、及び図16図19に示すように、回転テーブル131の取付け部168には、回転テーブル131の回転中心を基準として、複数の探触子搭載台132が設けられている。なお、ここでは、探触子搭載台132は、回転テーブル131の回転中心を中央にして放射状に、等角度で4台設けられている。
各探触子搭載台132は、拡縮機構169と押圧機構170を介して、回転テーブル131に取付け固定されている。
図16及び図19に示すように、拡縮機構169は、間隔を有して平行で、かつ配管10aの半径方向に配置された2本のガイドロッド171と、各ガイドロッド171の長手方向両端部(基端部と先端部)に取付け固定された固定板部172、173と、2つの固定板部172、173間をガイドロッド171に沿って移動可能に設けられた移動板部174とを有している。
【0042】
ガイドロッド171の基側に取付け固定された固定板部172は、回転テーブル131の取付け部168に取付け固定されている。
また、ガイドロッド171の基側に取付け固定された固定板部172と、先側に取付け固定された固定板部173と、移動板部174には、すべりねじ部材175が設けられている。このすべりねじ部材175は、ねじ溝が軸周囲に形成され、2本のガイドロッド171とは間隔を有して平行に配置されたすべりねじ176と、このねじ溝に係合するねじ溝が内周部に形成されたすべりねじ用ナット177で構成されている。すべりねじ用ナット177は、移動板部174に取付け固定され、すべりねじ176は移動板部174を貫通して、すべりねじ176の先端部は固定板部173に、また、すべりねじ176の基端部は固定板部172に、それぞれ回転可能に取付けられている。
これにより、すべりねじ176を回転させることで、移動板部174は2つの固定板部172、173間を移動できる。
【0043】
また、ガイドロッド171の基側に取付け固定された固定板部172には、移動板部駆動用モータ(例えば、DCモータ)178と、この移動板部駆動用モータ178の出力を、すべりねじ176に伝達する伝達部(減速機)179を備えた移動板部駆動機構180が設けられている。この伝達部179は、移動板部駆動用モータ178の出力を伝達するかさ歯車181、182、ウォームギヤ183、及びすべりねじ176の基端部に取付け固定されたウォームホイール184で構成されている。なお、移動板部駆動機構の構成は、これに限定されるものではない。
これにより、移動板部駆動用モータ178からの出力を、伝達部179を介してすべりねじ176に伝達することで、移動板部174をガイドロッド171に沿って移動させることができる。
【0044】
押圧機構170は、移動板部174に取付け固定された断面L字状の固定台185と、この固定台185に探触子搭載台132を取付けるための2本の支持ロッド186とを有している。なお、固定台185は、その前側下部が前方へ突出した状態となるように、後ろ側上部が移動板部174に取付け固定されている。
2本の支持ロッド186は、間隔を有して平行に、しかも前記した各ガイドロッド171とも間隔を有して平行となるように、固定台185の前側下部を貫通した状態で設けられ、その先部は、探触子搭載台132の幅方向両側にねじ187によって回動可能に取付けられ、その基部は、固定板188に取付け固定されている。また、固定台185から探触子搭載台132側へ突出した各支持ロッド186の部分は、圧縮ばね189内に挿通され、探触子搭載台132を固定台185から離れる方向に付勢している。
これにより、配管10aの半径方向(回転テーブル131の回転中心と直交する方向)に配置される各ガイドロッド171及び各支持ロッド186によって、各探触子搭載台132は、配管10aの半径方向外側に、押圧状態で移動可能に設けられる。
【0045】
固定台185と固定板188は、ポテンショメータ134で接続され、固定台185と固定板188との距離、即ち探触子搭載台132の固定台185に対する距離(回転テーブル131の回転中心からの距離に対応)が、測定可能になっている。
この探触子搭載台132には、配管10a内の内側に沿って走行する4つの車輪190が設けられ、しかも配管10aの肉厚を測定する従来公知の超音波探触子133が搭載されている。更に、各探触子搭載台132には、超音波探触子133と配管10aの内壁との間に、媒質となる水を供給する水供給口(図示しない)が設けられている。この車輪190と水供給口は、上記したように各探触子搭載台132に設けることが好ましいが、必要に応じて設けなくてもよい。
【0046】
以上に示したY方向駆動機構142のY方向駆動用モータ140、X方向駆動機構151のX方向駆動用モータ149、回転駆動機構160の回転駆動用モータ158、及び移動板部駆動機構180の移動板部駆動用モータ178等の駆動は、台車10b(例えば、各第1〜第3の駆動台車13〜15の台車本体22上)に設けられた制御基板により制御される。また、各ポテンショメータ134の測定値も、制御基板に送信される。
これにより、各ポテンショメータ134からの測定値に基づき、制御基板によって、Y方向駆動用モータ140とX方向駆動用モータ149を駆動させることができる。従って、XYテーブル130によって、移動架台157をX、Y方向に調整移動でき、この移動架台157に設けられた回転テーブル131の回転中心位置を、配管10aの軸心位置に一致させることができる。
【0047】
ここで、回転テーブル131の回転中心位置を、配管10aの軸心位置に一致させる方法を、以下に説明する。なお、拡縮機構169による移動板部174の位置決めは、全ての移動板部174で同一(回転テーブル131の回転中心を基準として同一位置)とするため、ここでは考慮しない。
まず、4つのポテンショメータ134により、4台の各探触子搭載台132について、図20に示すように、回転テーブル131の回転中心からの距離の変位、即ちd、d、d、及びdを測定する。ここで、式(1)に示す関係式を用いることにより、上記した距離の変位d、d、d、dから、配管10aの軸心位置(原点)に対する回転テーブル131の回転中心位置のずれx、yが得られる。なお、角度θは、正面視して(配管10aを軸方向に見て)、x軸とy軸に対する、対向配置される探触子搭載台132を結ぶ線の傾斜角度である。
【0048】
【数1】
【0049】
そこで、上記したずれx、yが「0」となるように、制御基板によって、XYテーブル130を移動させる。
これにより、回転テーブル131の回転中心位置を、配管10aの軸心位置に一致させることができる。
【0050】
続いて、本発明の一実施の形態に係る配管厚測定装置10の使用方法について、図1(A)、(B)、図2、及び図3を参照しながら説明する。
まず、測定装置10を配管10a近傍で組み立てる。
この組み立てに際しては、図4に示す第1、第3の駆動台車13、15のアーム取付け部68、69に取付けられたアーム16、17の先側を、図10に示す第2の駆動台車14のアーム取付け部96、97、126、127に差し込み、第1〜第3の駆動台車13〜15を、図1に示すように、直列状態に配置する。このとき、第1〜第3の駆動台車13〜15は、各車輪11、12がそれぞれ配管10aの半径方向外側を向くように配置されている。
【0051】
なお、ここでは、測定装置10の台車10bを構成する第1の駆動台車13の前端部に、肉厚測定手段10cを取付けているが、台車10bを構成する第3の駆動台車15の後端部に、肉厚測定手段10cを取付けることもできる。更に、台車10bを構成する第1〜第3の駆動台車13〜15の台車本体22には、その使用用途に応じて、各種計測手段、例えば、カメラ(撮像手段)、渦流センサー、レーザ距離計(スキャニング可能)、マニピュレータ(異物の回収)、洗浄手段、研磨手段、及び溶接手段のいずれか1又は2以上を取付けることもできる。
そして、この測定装置10に、図示しない電力供給用ケーブル及び制御用ケーブルを接続し、例えば、使用者がコンピュータにより制御可能な状態にすると共に、測定装置10からの各種情報(制御基板の情報)がコンピュータに入力可能な状態にする。なお、測定装置を構成する駆動台車のいずれか1又は2以上にバッテリーを取付け、無線による遠隔操作を行うこともできる。
【0052】
準備が整った後は、測定装置10を配管10a内に配置し、更に第1〜第3の駆動台車13〜15の配管10a内面への押圧力を調整する。
台車10bの押圧力は、第1〜第3の駆動台車13〜15にそれぞれ設けたポテンショメータ86、115の検出値を確認しながら、各ばね調整用モータ72、100を個別に作動させて調整する。この押圧力の調整は、例えば、測定装置10が垂直状態の配管10a内を走行する際に落下しない程度に、ねじりばね67、95、125に力が加わるように行う。
これにより、第1〜第3の駆動台車13〜15は、アーム16、17により、対向する二面(下面20と上面21)間に側面視してV字状に突っ張ることができる。
【0053】
また、台車10bの押圧力を調整した後は、各探触子搭載台132の配管10a内面への押圧力を調整する。
各探触子搭載台132の押圧力は、回転テーブル131の回転中心位置が、配管10aの軸心位置近傍となるように、Y方向駆動用モータ140とX方向駆動用モータ149を駆動させ、XYテーブル130によって移動架台157をX、Y方向に調整移動した後に調整する。この押圧力の調整は、例えば、配管10aの内径が変化しても、圧縮ばね189により、各探触子搭載台132が配管10a内面に接触した状態を維持できる程度となるように、移動板部174の位置を調整する。なお、各移動板部174の位置は、回転テーブル131の回転中心を基準として同一位置にする。
これにより、各探触子搭載台132は、配管10a内面への接触状態を維持できる。
【0054】
このように、各探触子搭載台132の押圧力を調整した後、回転テーブル131の回転中心位置を、配管10aの軸心位置に一致させる。
この調整は、前記した式(1)の関係式から、配管10aの軸心位置に対する回転テーブル131の回転中心位置のずれx、yを求め、このずれx、yが「0」となるように、制御基板によって、XYテーブル130を移動させることで行う。なお、この調整は、配管10aの肉厚測定を行う前に、予め行うことが好ましいが、肉厚測定の開始と共に行ってもよい。
これにより、回転テーブル131の回転中心位置を、配管10aの軸心位置に一致させることができる。
【0055】
そして、第1〜第3の駆動台車13〜15を同期運転し、測定装置10の台車10bを走行させながら、肉厚測定手段10cの超音波探触子133で、配管10aの肉厚測定を行う。
ここで、台車10bを構成する第1〜第3の駆動台車13〜15は、それぞれ独立して運転できるため、例えば、同期運転させることなく、第1〜第3の駆動台車13〜15の走行(前進又は後退)、停止、又は速度の制御を個別に行うことで、測定装置10の走行を制御してもよい。また、特定の駆動台車の走行と停止、又は前進と後退を切り替えることと、ねじりばね67、95、125による突っ張り力の調整とを連動させることにより、配管10a内での突っ張り力をコントロールすることが可能である。
【0056】
これにより、測定装置10が湾曲した配管10a内を通過するに際しても、測定装置10は配管10a内を滑ることなく走行できる。なお、このように、湾曲した配管10a内を通過する場合、突っ張り力が低下する恐れがあるが、各ばね調整用モータ72、100は個別に制御できる。このため、第1〜第3の駆動台車13〜15ごとに、第1〜第3の駆動台車13〜15に対するアーム16、17の角度制御を独立して実施でき、測定装置10が一定の突っ張り力を保つことが可能となる。
なお、測定装置10の台車10bを構成する第1〜第3の駆動台車13〜15の各車輪11、12を、ステアリング機構により回動させることで、例えば、測定装置10のその場での回転走行又は螺旋走行が可能になり、マンホール又はバルブなどの障害物を避けて走行することが可能である。
【0057】
また、配管10aの肉厚測定に際しては、台車10bが、その進行方向に移動(例えば、1〜10mm)と停止を繰返すように制御し、停止した時点で、回転駆動用モータ158を駆動させ、回転テーブル131を移動架台157に対して、0(初期位置)〜90度の範囲で回動させる。これにより、配管10aの全周の肉厚を測定できる。
なお、配管10aの肉厚測定は、これに限定されるものではなく、台車10bを走行させながら、回転テーブル131を移動架台157に対し回動させて、行ってもよい。
上記した方法で、配管10aの肉厚測定を行うと、配管10aの内径の変化等で、回転テーブル131の回転中心位置が、配管10aの軸心位置からずれる場合がある。そこで、このような場合は、4つのポテンショメータ134からの測定値に基づき、制御基板により、XYテーブル130を駆動して、回転テーブル131の回転中心位置を、配管10aの軸心位置に一致させながら、配管10aの肉厚測定を行う。
【0058】
以上のことから、本願発明の配管厚測定装置10を使用することで、3次元的に張り巡らされた配管10a内を自由に移動し、内部から超音波で連続的に、配管10aの全面の厚さを測定できる。また、測定データから、傷や減肉の形状や分布が簡単に認識できる。
なお、配管10aの周方向の肉厚測定位置は、例えば、台車10b(第1〜第3の駆動台車13〜15)に設けられたジャイロセンサー(加速度センサー又は重力センサーともいう)と、回転テーブル131に設けられたロータリーエンコーダ(角度検出器)により、検出できる。
また、配管10aの軸方向(配管厚測定装置10の進行方向)の肉厚測定位置(測定装置10の走行距離)は、台車10b(ここでは、第2の駆動台車14に取付けられたロータリーエンコーダ53)により、検出できる。
【0059】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の配管厚測定装置を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、探触子搭載台を、回転テーブルの回転中心を中央にして、等角度で4台設けた場合について説明したが、等角度又は異なる角度で、2台、3台、又は5台以上設けてもよい。この場合、回転テーブルの回転中心の位置調整は、探触子搭載台の台数に応じて行う。
【符号の説明】
【0060】
10:配管厚測定装置、10a:配管、10b:台車、10c:肉厚測定手段、11、12:車輪、13:第1の駆動台車、14:第2の駆動台車、15:第3の駆動台車、16、17:アーム、18、19:連結機構、20:下面、21:上面、22:台車本体、23:タイヤ、24:シャフト、25:固定台、26:ベアリング、27:駆動用モータ、28:伝達手段、29:駆動機構、30:ウォームホイール、31:ウォームギヤ、32、33:平歯車、34、35:かさ歯車、36:回動上部、37:回動下部、38:ウォームホイール、39:ストッパー、40:上板部、41:下板部、42、43:貫通孔、44:ガイド孔、45:カップリング、46:ウォームギヤ、47:ステアリング用モータ、48:ポテンショメータ(前後方向姿勢検出器)、50:固定台、51、52:プーリ、53:ロータリーエンコーダ、54:プーリベルト、55:ポテンショメータ(左右方向姿勢検出器)、60、61:連結手段、62:取付け台、63:回転軸(連結部)、64:ベアリング、65:平歯車、66:ベアリング、67:ねじりばね(ばね材)、68、69:アーム取付け部、70、71:固定部、72:ばね調整用モータ、73:伝達手段、74、75:平歯車、76:ウォームギヤ、77:ウォームホイール、78:回転軸、79、80:平歯車、81:ベアリング、82:回転軸、83〜85:平歯車、86:ポテンショメータ(角度検出器)、90:取付け台、91:回転軸(連結部)、93:平歯車、94:ベアリング、95:ねじりばね(ばね材)、96、97:アーム取付け部、98、99:固定部、100:ばね調整用モータ、101:伝達手段、102、103:平歯車、104:ウォームギヤ、105:ウォームホイール、106:回転軸、107、108:平歯車、109:ベアリング、110:回転軸、111、112:平歯車、113、114:プーリ、115:ポテンショメータ(角度検出器)、116:プーリベルト、120:連結手段、121:回転軸(連結部)、122:ベアリング、123:平歯車、124:ベアリング、125:ねじりばね(ばね材)、126、127:アーム取付け部、128、129:固定部、130:XYテーブル、131:回転テーブル、132:探触子搭載台、133:超音波探触子、134:ポテンショメータ(距離センサー)、135:取付け部材、136:Y方向移動部材、137:X方向移動部材、138:取付け板、139:スライドガイド、140:Y方向駆動用モータ、141:伝達部、142:Y方向駆動機構、143、144:かさ歯車、145:ウォームギヤ、146:ウォームホイール、147:スライド部、148:スライドガイド、149:X方向駆動用モータ、150:伝達部、151:X方向駆動機構、152、153:平歯車、154:ウォームギヤ、155:ウォームホイール、156:スライド部、157:移動架台、158:回転駆動用モータ、159:伝達部、160:回転駆動機構、161、162:平歯車、163:ウォームギヤ、164:ウォームホイール、165:平歯車、166:ギヤ歯、167:拡幅部、168:取付け部、169:拡縮機構、170:押圧機構、171:ガイドロッド、172、173:固定板部、174:移動板部、175:すべりねじ部材、176:すべりねじ、177:すべりねじ用ナット、178:移動板部駆動用モータ、179:伝達部、180:移動板部駆動機構、181、182:かさ歯車、183:ウォームギヤ、184:ウォームホイール、185:固定台、186:支持ロッド、187:ねじ、188:固定板、189:圧縮ばね、190:車輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20