【実施例】
【0119】
以下に実施例を記載するが、本発明はこれらによって限定されるものと解釈されるべきでなく、むしろ、本明細書に記載のすべての応用、および通常の技能の範囲内において変更を加えたすべての等価物を包含するものと解釈されるべきである。
<実施例1>
【0120】
薬物動態
吸収
絶食下の健康な被験者を対象に、1.5gのメサラミン顆粒製剤を経口で単回投与および反復投与するクロスオーバー試験を実施し、投与後、5−ASAおよびその代謝物であるN−アセチル−5−アミノサリチル酸(N−Ac−5−ASA)の薬物動態を調べた。反復投与期間では、各被験者は0.375gのメサラミン顆粒を含むカプセル剤を4カプセル(合計1.5g)、24時間ごとに(QD:1日1回)7日間連続で服用した。トラフ濃度に基づいて判断したところ、QD投与の6日目に定常状態に達した。
【0121】
メサラミン顆粒製剤の単回投与および反復投与において、投与後4時間程度経過した時点で血漿中の濃度が最大値を示した。反復投与における定常状態では、5−ASAおよびN−Ac−5−ASAの全身曝露量(AUC
0−24値)が、メサラミン顆粒製剤を単回投与した場合よりやや増加していた(それぞれ1.5倍および1.7倍)。
【0122】
絶食下の健康な被験者における、1.5gのメサラミン顆粒製剤の単回投与後と定常状態の薬物動態パラメータを表1に示す。
【0123】
【表1】
【0124】
別の試験(n=30)において、投与後96時間にわたる5−ASAとN−Ac−5−ASAを合わせた尿中累積排泄量から、絶食下では投与量の約32±11%(平均±SD)が全身に吸収されることがわかった。
【0125】
30名の健康な被験者において、メサラミン顆粒(メサラミン顆粒カプセル剤に包含されているものと同じ顆粒)の吸収に対する高脂肪食摂取の影響を調べた。本試験は、クロスオーバー試験で実施し、被験者は一晩絶食または高脂肪食摂取後、サシェに内包された1.6gのメサラミン顆粒(0.8g×2)を服用した。食事を摂取した場合、5−ASAおよびN−Ac−5−ASAのt
maxはそれぞれ4時間および2時間延長された。5−ASAのC
max値は、高脂肪食摂取の影響を受けなかったが、5−ASAの尿中累積排泄量は27%増加した。N−Ac−5−ASAの総吸収量は、高脂肪食の影響を受けなかった。メサラミン顆粒製剤とサシェ内のメサラミン顆粒が生物学的に同等であったことから、メサラミン顆粒製剤は食事に関係なく服用できると言える。
【0126】
分布
in vitro試験において、濃度2.5μg/mLでは、メサラミンおよびN−Ac−5−ASAのそれぞれ43±6%および78±1%が血漿タンパク質に結合した。N−Ac−5−ASAが1〜10μg/mLの濃度範囲にある時、N−Ac−5−ASAとタンパク質との結合に濃度依存性は認められなかった。
【0127】
代謝
メサラミンの主要な代謝物は、N−アセチル−5−アミノサリチル酸(N−Ac−5−ASA)である。この代謝物は、N−アセチルトランスフェラーゼの作用により肝臓および腸粘膜内で生成される。
【0128】
排泄
メサラミン顆粒製剤を単回投与および反復投与した際の平均半減期は、5−ASAで9〜10時間、N−Ac−5−ASAで12〜14時間であった。投与量の約32%が吸収され、このうち投与量の約2%は尿中にそのまま排泄され、投与量の約30%はN−Ac−5−ASAとして排泄された。
【0129】
in vitro薬物間相互作用試験
ヒト肝臓ミクロソームを用いたin vitro試験において、5−ASAおよびその代謝物であるN−Ac−5−ASAは、評価した主要なCYP酵素(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6およびCYP3A4)を阻害しないことが示された。従って、メサラミンおよびその代謝物は、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6またはCYP3A4の基質となる他の薬剤の代謝を阻害するものとは考えられない。
【0130】
発癌性試験、変異原性試験および生殖毒性試験
食餌由来のメサラミンに関して、ラットでは480mg/kg/日、マウスでは2000mg/kg/日において発癌性は認められなかった。これらの量は、体表面積を基準とした場合、メサラミン顆粒カプセル剤のヒト推奨投与量である1.5g/日(体重50kgと仮定した場合、30mg/kgまたは1110mg/m
2に相当)に対してそれぞれ約2.6倍および約5.4倍にあたる。メサラミンは、エイムス試験法、マウスリンフォーマ細胞(L5178Y/TK+/−)を用いた正突然変異試験、チャイニーズハムスター骨髄試験における姉妹染色分体交換アッセイ、およびマウス骨髄小核試験においていずれも陰性であった。またメサラミンは、経口用量にして最大320mg/kg(体表面積を基準とした場合、ヒト推奨投与量の約1.7倍に相当)まで、ラットの受精能力や生殖能力に影響を与えないことが分かった。
【0131】
動物毒性および/または動物薬理
腎毒性
メサラミンを用いた動物実験(ラットの13週および26週経口毒性試験、ならびにイヌの26週および52週経口毒性試験)から、腎臓がメサラミン毒性の主要な標的器官であることが分かっている。ラットでは、40mg/kg/日の経口用量(体表面積を基準とした場合、ヒト投与量の約0.20倍)では尿細管に対する損傷はほとんど見られず、見られた場合でもごくわずかであったが、160mg/kg/日(体表面積を基準とした場合、ヒト投与量の約0.90倍)以上では、尿細管の変性、尿細管の石灰化および腎乳頭壊死などの腎臓病変が見られた。イヌでは、60mg/kg/日(体表面積を基準とした場合、ヒト投与量の約1.1倍)以上の経口用量で尿細管萎縮、間質細胞浸潤、慢性腎炎および腎乳頭壊死などの腎臓病変が見られた。
【0132】
過剰投与
マウスおよびラットでは、それぞれ800mg/kg(体表面積を基準とした場合、ヒト推奨投与量の約2.2倍)および1800mg/kg(体表面積を基準とした場合、ヒト推奨投与量の約9.7倍)のメサラミン単回経口用量は致死量であり、胃腸毒性および腎毒性を示した。
<実施例2>
【0133】
メサラミン顆粒は、別の5−ASA治療から切り替えた潰瘍性大腸炎を有する対象において緩解状態を維持する
以下の試験より、別の5−ASA製品から切り替えた潰瘍性大腸炎(UC)を有する被験者が1.5gのメサラミン顆粒を1日1回服用した場合、プラセボと比較して緩解状態が維持されることが実証された(無再発状態の被験者の割合:78%vs59%[P<0.001])。またこれらの被験者において、6ヶ月後に無再発状態を維持している確率はプラセボより高かった(累積の無再発確率:77%vs50%[P<0.001])。
【0134】
潰瘍性大腸炎の緩解期にあると判定された被験者(n=487)(改変サザーランド疾患活動性指数により判定)に、1.5gのメサラミン顆粒(375mg含有カプセル剤4つ)またはプラセボを1日1回6ヶ月間服用させた。メサラミン顆粒を服用した被験者については以下の結果が得られた。
【0135】
全体として、10名中約8名の被験者が、6ヶ月後に潰瘍性大腸炎の緩解状態を維持していた(78%vsプラセボ59%[P<0.001])。
【0136】
サブセット分析によれば、先の5−ASAから切り替えた305名の被験者においては、6ヶ月後に無再発状態を維持している確率がより高かった(77%vs50%[P<0.001])。
<実施例3>
【0137】
メサラミン顆粒は患者の服用遵守を向上させる
試験を中止した被験者数は、プラセボ服用群(43%)より、メサラミン顆粒服用群(28%)の方が少なく、中止理由は、病気の再発(12%vsプラセボ20%)や有害事象(11%vsプラセボ16%)であった。メサラミン顆粒群とプラセボ群とで有害事象として最もよく見られたのは、潰瘍性大腸炎性の再発(11%vs24%)、頭痛(11%vs8%)および下痢(8%vs7%)であった。腎臓、肝臓および膵臓における有害事象の発生率は、メサラミン顆粒群(6%)およびプラセボ群(5%)のいずれも低く同程度であった。重篤な有害事象が現れた被験者の割合(%)は、メサラミン顆粒群(1%)およびプラセボ群(2%)のいずれも低く、メサラミン顆粒群で報告された有害事象は、薬剤の投与に関連するものとは認められなかった。
<実施例4>
【0138】
メサラミン顆粒製剤の吸収および分布における食事の影響
別の薬物動態試験において、5−ASAの吸収に対する食物摂取の影響を調べた。本試験は、クロスオーバー試験で実施し、健康な被験者に一晩絶食または高脂肪食摂取後、1.6gのメサラミン顆粒(0.8g×2)を服用させた。高脂肪食を摂取した場合、メサラミンおよびN−Ac−5−ASAのT
maxはいずれも延長された。未変換データのための80%:125%基準に基づいて判断すると、摂食条件下と絶食条件下の血漿C
max値は、メサラミン、N−Ac−5−ASAともに同程度であった。高脂肪食を摂取した場合、メサラミンのAUC
0−inf値およびAUC
0−last値においてわずかな増加が見られた(それぞれ11%および16%)。
【0139】
メサラミンおよびそのN−アセチル代謝物の総吸収率および総吸収量は、高脂肪食による影響を受けなかった。
【0140】
メサラミン顆粒を投与した場合、メサラミンの経口用量の約80%が、大腸、S状結腸および直腸で利用できると推定される。
<実施例5>
【0141】
潰瘍性大腸炎の緩解期に関する試験
本試験は、潰瘍性大腸炎の緩解期にある562名の成人被験者を対象として実施した。潰瘍性大腸炎の疾患活動性は、サザーランド疾患活動性指数1(DAI)を改変したもの(以下、改変サザーランド疾患活動性指数とする)を用いて評価した。この疾患活動性指数は、排便回数、直腸出血、内視鏡検査による粘膜外観、および医師による疾患活動性の評価に基づく4つのサブスコアの合計として表される。各サブスコアは0〜3の範囲で、合計スコアは最大で12である。
【0142】
ベースラインにおけるDAIの合計スコアは、被験者の約80%が0または1.0であった。被験者を無作為に2:1に分けて、片方にはメサラミン顆粒製剤1.5gを、もう一方にはプラセボを1日朝1回6ヶ月間服用させた。本明細書において、再発は、例えば、サザーランドDAIにおける直腸出血サブスケールスコアが1以上かつ粘膜外観サブスケールスコアが2以上であることを包含する。包括解析により、6ヶ月間の処置期間終了時に無再発状態を維持していた被験者の割合を比較した。本試験を2回実施したところ、いずれの場合も、6ヶ月間無再発状態を維持していた被験者の割合は、プラセボよりメサラミン顆粒製剤の方が高かった。
【0143】
【表2】
<実施例6>
【0144】
定常状態における血漿中濃度の測定およびメサラミン製剤ASACOL(登録商標)との比較
C
max値により求められる5−ASAおよびN−Ac−5−ASAの定常状態における血漿中濃度は、メサラミン顆粒製剤を1日2回投与(BID)した場合に比べて、1日1回投与した場合(QD)の方が高かった。
【0145】
5−ASAとN−Ac−5−ASAのいずれも、最大血漿中濃度への到達時間は、メサラミン顆粒製剤を1日2回投与した場合より、1日1回投与した場合の方が短かった(5−ASA:平均3.96時間vs11.00時間、N−Ac−5−ASA:平均5.21時間vs11.68時間)。
【0146】
3処置3期の試験において、各処置期間の間には最低でも7日間の休薬期間を設けた。各処置は以下の通りであり、いずれも経口で行った。
処置A:Asacol(登録商標)800mg(400mg錠剤×2)を1日2回4日間投与
処置B:メサラミン顆粒製剤800mgを1日2回4日間投与
処置C:メサラミン顆粒製剤1600mg(800mg×2)を1日1回4日間投与
【0147】
各被験者に対し、3回設けた4日間の処置期間において処置A、BおよびCを一つずつ実施した。
【0148】
血漿中濃度
糞便中に薬剤未放出のAsacol(登録商標)が含まれる被験者数が原因であると思われるが、メサラミン顆粒製剤群と比較して、Asacol(登録商標)群では、4日目の定常状態における推定C
max値および推定AUC値により求められる5−ASAおよびN−Ac−5−ASAの全身曝露量において、被験者間で相当のばらつきが見られた。メサラミン顆粒製剤を1日2回投与した場合および1日1回投与した場合(メサラミン顆粒製剤1日2回投与:CV=39.0%、メサラミン顆粒製剤1日1回投与:55.0%)より、Asacol(登録商標)投与群(CV=129.7%)の方が、被験者間のC
max値のばらつきは大きかった。被験者間のばらつきにおける同様の傾向が、5−ASAおよびN−Ac−5−ASAのAUC値においても認められた。
【0149】
表3に薬物動態データをμmol単位で示す。この試験により、C
max値により求められる5−ASAおよびN−Ac−5−ASAの定常状態における血漿中濃度が、メサラミン顆粒製剤を1日2回投与した場合より、1日1回投与した場合の方が高いことが示された(比率はそれぞれ153%および118%;5−ASAにおいてはp=0.022)。絶食下の被験者に1600mgのメサラミン顆粒製剤を投与した場合の5−ASAおよびN−Ac−5−ASAのT
1/2値は、それぞれ5.49時間および10.05時間であったことから、2つの化合物の血漿中濃度は定常状態にあると考えられた。
【0150】
5−ASAとN−Ac−5−ASAのいずれも、最大血漿中濃度への到達時間は、メサラミン顆粒製剤を1日2回投与した場合より、1日1回投与した場合の方が短かった(5−ASA:平均3.96時間vs11.00時間、N−Ac−5−ASA:平均5.21時間vs11.68時間)。
【0151】
【表3】
a.C
maxおよびAUCに関して、対数変換値における分散分析(混合効果モデル)で得られたp値とともに、処置間の差異を幾何平均比として示す。
b.処置AおよびBにおいてはAUCC値を示し、処置CにおいてはAUC
0−24値を示す。
c.処置間の差異の中央値ならびに90%の信頼区間におけるその上限値および下限値を示す。
【0152】
【表4】
a.C
maxおよびAUCに関して、対数変換値における分散分析(混合効果モデル)で得られたp値とともに、処置間の差異を幾何平均比として示す。
b.C
max値およびAUC値は、0.153を乗じて、単位をμmol/Lおよびμmol・h/Lからμg/mLおよびμg・h/mLに変換した。
c.C
max値およびAUC値は、0.195を乗じて、単位をμmol/Lおよびμmol・h/Lからμg/mLおよびμg・h/mLに変換した。
d.AUC値は、処置AおよびBにおいてはAUCC値を示し、処置CにおいてはAUC
0−24値を示す。
AUC
C=AUC
0−12×(1+(AUC
12−24/AUC
0−12))
e.中央値(上限値、下限値)
【0153】
Asacol(登録商標)800mgを1日2回4日間投与し、メサラミン顆粒製剤についても800mgを1日2回4日間投与した。またメサラミン顆粒製剤については、1600mgの1日1回4日間投与も実施した。処置A(Asacol(登録商標))を施した被験者の約50%において、完全にまたは部分的に原形を保ったAsacol(登録商標)錠剤が糞便試料中に認められ、該試料中からこれを除去した。このため、また本試験における分析では糞便試料中の遊離メサラミン量と総メサラミン量を区別できないことから、処置A(Asacol(登録商標))とメサラミン顆粒製剤処置との定量的な比較はできなかった。
【0154】
メサラミン顆粒製剤を1日1回投与した場合と1日2回投与した場合を比較したところ、5−ASAおよびN−Ac−5−ASAの全身曝露量は同程度であることが示された。しかし、5−ASAの最大血漿中濃度は、1日1回投与した場合の方が高く(比率=153、p=0.022)、最大血漿中濃度への到達時間も短かった(3.96時間vs11.00時間)。最大濃度への到達時間は、メサラミン顆粒製剤を1日1回投与した場合に比べて、1日2回投与した場合の方が大幅に長かった(5−ASAおよびN−Ac−5−ASAのいずれも、中央値として16時間vs3時間)。この到達時間は、1日2回投与の場合、1回目の投与を起点として計測されており、2回目の投与はその12時間後に実施されることから、T
maxの中央値が16時間であったということは、1日2回投与のうち2回目の投与の約4時間後に最大血漿中濃度に到達したことを意味する。これは、1日1回投与した場合に投与の約3時間後に最大血漿中濃度に到達することと合致する。
【0155】
Asacol(登録商標)800mgを1日2回投与した場合と、メサラミン顆粒製剤1600mgを1日1回または2回投与(全量1日1回投与、または800mgずつ1日2回投与)した場合の、5−ASAおよびN−Ac−5−ASAの糞便中累積排泄量、尿中累積排泄量および全身曝露量に対する影響を調べる試験も実施した。
【0156】
処置期間はそれぞれ4日間で、各処置期間の間には少なくとも7日間の休薬期間を設けた。
【0157】
処置A(Asacol(登録商標))を施した被験者の約50%において、完全にまたは部分的に原形を保ったAsacol(登録商標)錠剤が糞便試料中に認められ、該試料中からこれを除去した。メサラミン顆粒製剤群を比較したところ、5−ASAの最大血漿中濃度は、1日1回投与した場合の方が高く(比率=153、p=0.022)、最大血漿中濃度への到達時間も短い(3.96時間vs11.00時間)ことが示された。
【0158】
最大濃度への到達時間は、メサラミン顆粒製剤を1日1回投与した場合に比べて、1日2回投与した場合の方が大幅に長かった(5−ASAおよびN−Ac−5−ASAのいずれも、中央値として16時間vs3時間)。
【0159】
健康な成人ボランティアに経口で1日1回投与(1600mgを1日1回投与)したメサラミン顆粒ペレット剤は、安全性、忍容性ともに良好であった。C
max値により求められる5−ASAおよびN−Ac−5−ASAの定常状態における血漿中濃度は、メサラミン顆粒製剤を1日2回投与した場合より、1日1回投与した場合の方が高いことが示された。絶食下の被験者に1600mgのメサラミン顆粒製剤PK1002を試験薬剤として投与した場合の5−ASAおよびN−Ac−5−ASAのT
1/2値は、それぞれ5.49時間および10.05時間であったことから、2つの化合物の血漿中濃度は定常状態にあると考えられた。5−ASAとN−Ac−5−ASAのいずれも、最大血漿中濃度に到達する時間は、メサラミン顆粒製剤を1日2回投与した場合より、1日1回投与した場合の方が短かった(5−ASA:平均3.96時間vs11.00時間、N−Ac−5−ASA:平均5.21時間vs11.68時間)。
<実施例7>
【0160】
用法の比較と潰瘍性大腸炎の緩解期に対する効果
処置I:Salofalk(登録商標)顆粒1.5gを1日目および4〜10日目に1日1回朝に経口投与。2日目と3日目は投与しない。
処置II:Salofalk(登録商標)顆粒3.0gを1日目および4〜10日目に1日1回朝に経口投与。2日目と3日目は投与しない。
処置III:Salofalk(登録商標)顆粒0.5gを1〜6日目に1日3回経口投与。7日目の朝に最終投与を行う。
処置IV:Salofalk(登録商標)顆粒1.0gを1〜6日目に1日3回経口投与。7日目の朝に最終投与を行う。
【0161】
3gのメサラミン顆粒製剤の1日1回投与も、1gのメサラミン顆粒製剤の1日3回投与も、活動期の潰瘍性大腸炎を有する被験者に対して有効であった。これにより、3gのメサラミン顆粒製剤を1日朝1回投与した場合も、1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回投与した場合に劣らないことが証明された。
【0162】
先に使用した錠剤よりSalofalk(登録商標)顆粒の方が被験者に好まれた。被験者の大多数は、1日3回より1日1回の用法を好んだ。
【0163】
3gのメサラミン顆粒製剤の1日1回の投与(QD)は、安全性、忍容性のいずれも良好であった。1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回投与した場合と比較しても、安全性および忍容性において、特に潜在的な尿細管毒性に関して、不利な点は認められなかった。
【0164】
【表5】
* 非劣性マージン:15%
** 3gのメサラミン顆粒製剤1日1回投与−1gのメサラミン顆粒製剤1日3回投与;漸近信頼区間
Shifted asymptotic χ
2 test (シフトχ
2分布による漸近近似検定)
略語:
包括解析(ITT)
1日1回投与(ODまたはQD)vs1日3回投与(TID)
観測値の片側p値(PP)
【0165】
【表6】
* 非劣性マージン:15%
** 3gのメサラミン顆粒製剤1日1回投与−1gのメサラミン顆粒製剤1日3回投与
【0166】
【表7】
* 非劣性マージン:15%
** 3gのメサラミン顆粒製剤1日1回投与−1gのメサラミン顆粒製剤1日3回投与
【0167】
PP解析およびITT解析セットのいずれにおいても、最終/試験中止の来院時における臨床的緩解率は、1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回服用した被験者より、3gのメサラミン顆粒製剤を1日1回服用した被験者の方が高かった。最終解析における2つの緩解率を比較するためのシフトχ
2分布による漸近近似検定によれば、評価可能な被験者すべてを対象としたPP解析およびITT解析セットのいずれにおいても、全体での片側p値は0.0001未満であった。
【0168】
投与量および投与方法:
3.0gのメサラジン(1500mgのSalofalk(登録商標)顆粒)を1日1回投与(QD)。被験者に対して、それぞれ1.5gのメサラジンを包含するサシェ2包を朝に、1.0gのプラセボを包含するサシェ1包を正午と晩に経口投与した。
【0169】
最終/試験中止の来院時における臨床的緩解率は、1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回服用した被験者より、3gのメサラミン顆粒製剤を1日1回服用した被験者の方が高かった。両者の比較により有意差が生じることが分かった。3gのメサラミン顆粒製剤の1日1回投与も、1gのメサラミン顆粒製剤の1日3回投与も、活動期の潰瘍性大腸炎を有する被験者に対して有効であった。これにより、3gのメサラミン顆粒製剤を1日朝1回投与した場合も、1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回投与した場合に劣らないことが証明された。
【0170】
臨床的緩解率(CAI)−ベースラインにおける重症度(CAI)の影響
PP解析およびITT解析セットのいずれにおいても、ベースラインにおけるCAIが8より高い被験者より、CAIが8以下の被験者の方が臨床的緩解率が高かった。ベースラインにおけるCAIが8以下という被験者のサブグループにおいて処置群を比較したところ、1gのメサラミン顆粒製剤1日3回服用した被験者より、3gのメサラミン顆粒製剤1日1回服用した被験者の方が高い緩解率を示した。このような差異は、ベースラインにおけるCAIが8より高い被験者では認められなかった。
【0171】
【表8】
【0172】
臨床的緩解率の疾患の局在性に対する依存性はほとんど認められなかった。PP解析およびITT解析セットにおいて、左側大腸炎を有する被験者に対して、直腸S状結腸炎を有する被験者およびほぼ全域にわたる大腸炎(subtotal colitis)/全大腸炎を有する被験者で最も高い緩解率が認められた。直腸S状結腸炎を有する被験者のサブグループにおいて処置群を比較したところ、1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回服用した被験者より、3gのメサラミン顆粒製剤を1日1回服用した被験者の方が高い臨床的緩解率を示した。
【0173】
特殊な科学的理論による制約を受けない限り、1日1回投与した方が、より遠位の大腸により多くの活性物質が送達される可能性がある。左側大腸炎を有する被験者およびほぼ全域にわたる大腸炎/全大腸炎を有する被験者のいずれにおいても、1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回投与した場合より、3gのメサラミン顆粒製剤を1日1回投与した場合の方が緩解率が高かった。
【0174】
臨床症状の最初の解消までに要する時間
PP解析およびITT解析セットのいずれにおいても、臨床症状の最初の解消が見られるまでの平均(SD)時間(Lofberg法に従う:排便3回/日以下;すべて潜血なし)に、処置群による差異は見られなかった(PP解析においては、3gのメサラミン顆粒製剤を1日1回投与した場合:14.9(14.5)日、n=147;1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回投与した場合:15.0(13.3)日、n=149。ITT解析においては、3gのメサラミン顆粒製剤を1日1回投与した場合:14.9(14.6)日、n=161;1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回投与した場合:15.0(13.5)日、n=158)。
【0175】
時間事象分析によれば、臨床症状の最初の解消までに要する時間の中央値は、1gのメサラミン顆粒製剤を1日3回服用した対象より、3gのメサラミン顆粒製剤を1日1回服用した対象の方が小さかった。
【0176】
【表9】
<実施例8>
【0177】
メサラミン顆粒(1.5g)を1日1回投与した患者における潰瘍性大腸炎の緩解状態の維持に対する予後因子の影響
1.5gのメサラミン顆粒(GM)を1日1回投与することにより、対象における無再発期間が延長されることが分かった。二重盲検プラセボ対照の第3相試験(RCT)を2回実施したところ、6ヶ月間無再発の状態を維持した患者数は、プラセボより1.5gのメサラミン顆粒を服用した場合の方が多かった(79.4%vs63.0%;オッズ比、2.261;95%CI 1.535〜3.331;p<0.0001)。患者は、375mgのメサラミン顆粒を含有するカプセル剤4つとして、1.5gのメサラミン顆粒を服用した。この解析により、潰瘍性大腸炎の再発に関わる予後因子の潜在的な影響を検討し、次いでプラセボに対するメサラミン顆粒の予防効果を検討する。
【0178】
独立して2回実施したRCTで潰瘍性大腸炎の緩解期にあると判定されプールされた患者(N=562)(改変サザーランド疾患活動性指数[DAI]の直腸出血サブスコアが0かつ粘膜外観サブスコアが<2である)を無作為に2:1に分けて、片方に1.5gのメサラミン顆粒を1日1回(N=373)、もう一方にプラセボ(N=189)を6ヶ月間服用させた。有効性の主要評価項目は、6ヶ月間の処置後に無再発状態を維持していた患者の割合である(再発とは、DAIにおける直腸出血サブスコアが1以上かつ粘膜外観サブスコアが2以上であること、試験の中止につながる潰瘍性大腸炎の再発や潰瘍性大腸炎の症状が現れること、または潰瘍性大腸炎を治療するために先に使用していた薬物による治療を開始することと定義した)。潰瘍性大腸炎の再発に関与する可能性のある予後因子は、ベースラインの人口統計学的特性および疾患特性を包含し、例えば年齢;性別;DAI合計スコアと、排便回数、粘膜外観および医師の評価におけるDAIのサブスコア;直近の再発までの時間;および罹患期間が挙げられ、これらを共変量解析を用いて評価した。
【0179】
人口統計学的特性およびベースラインにおける疾患特性は両群間で類似していた。再発の独立予測因子は、DAIスコア(p=0.0217)、排便回数サブスコア(p=0.0106)、粘膜外観スコア(p=0.0007)および医師による潰瘍性大腸炎の包括的評価スコア(p=0.0136)を包含した。これらの予後因子を多変量解析においてコントロールした結果、緩解状態の維持に最も影響のある予後因子は、DAIの粘膜サブスコア(p=0.0032)であった。また、緩解状態の維持に対するメサラミン顆粒の効果については、無再発患者の割合がプラセボより高いという結果であった(オッズ比、2.089;95%CI、1.407〜3.103;p=0.0003)。
【0180】
予後因子をコントロールした結果、1.5gのメサラミン顆粒の1日1回の投与は、6ヶ月の処置期間において潰瘍性大腸炎の緩解状態を長期的に維持するという点で有意な予防効果を示すことがわかった。最も影響のある予後因子は、ベースラインにおける粘膜スコアであった。重要かつ競合する予後因子が存在したにもかかわらず、メサラミン顆粒は、プラセボより無再発患者の割合を有意に増大させた。
<実施例9>
【0181】
コルチコステロイド投薬後の患者にメサラミン顆粒(1.5g)処置を施すと、緩解状態が長期的に維持されるだけでなく、潰瘍性大腸炎関連の有害事象の発生率も低くなる
また、先にコルチコステロイドの投薬を受けて、1日1回メサラミン顆粒による処置を受けた場合、6ヶ月間無再発状態を維持した患者数がプラセボを上回る(77%vs55%;p<0.004)ことがわかった。患者は、375mgのメサラミン顆粒を含有するカプセル剤4つとして、1.5gのメサラミン顆粒を服用した。多くの場合、潰瘍性大腸炎の緩解期にあってコルチコステロイドの投薬を受ける患者は、ステロイドの用量を減らしていく過程またはステロイド投薬を中止してからすぐに症状が再発するので、この結果は興味深い。24ヶ月の非盲検延長試験(OLT)に参加したステロイド投薬被験者から集めたデータを解析し、潰瘍性大腸炎の症状および他の安全性パラメータに対するメサラミン顆粒の長期的な影響を評価する。
【0182】
独立して2回実施したRCTで潰瘍性大腸炎の緩解期にあると判定されプールされた患者(N=562)(改変サザーランド疾患活動性指数[DAI]の直腸出血サブスコアが0かつ粘膜外観サブスコアが<2である)を無作為に2:1に分けて、片方に1.5gのメサラミン顆粒(N=373)を、もう一方にプラセボ(N=189)を1日1回6ヶ月間服用させた。これらの試験において、158名の潰瘍性大腸炎患者(メサラミン顆粒:n=105;プラセボ:n=53)が、試験開始前に、再発した潰瘍性大腸炎を治療するためまたは潰瘍性大腸炎の緩解状態を維持するためにコルチコステロイドの投薬を受けていた(スクリーニングの30日以上前に投薬、経口ステロイド:78%、浣腸剤:23%および発泡製剤/坐剤:4%)。メサラミン顆粒を服用した被験者のうち74名は、OLTに参加してメサラミン顆粒の服用を最長30ヶ月間継続した。
【0183】
コルチコステロイドサブ集団において、メサラミン顆粒は、二重盲検で実施した6ヶ月間の処置期間を通じて潰瘍性大腸炎の処置中の有害事象(TEAE)および潰瘍性大腸炎関連の症状(血便および排便回数の増加)の発生リスクを軽減した(危険率0.508、95%CI 0.307、0.842;p=0.0086)。OLTにおいても、潰瘍性大腸炎および潰瘍性大腸炎の症状の再発率の低さはこのまま維持された。このサブ集団における有害事象の発生率は、関連した処置中の有害事象(3.0vs2.1)、重篤な有害事象(0.025vs0.06)および試験の中止につながる有害事象(0.075vs0.06)に関して、RCTにおいてはメサラミン顆粒処置とプラセボ処置とで同程度であったが、OLTにおいてはメサラミン顆粒処置を施した患者の方が低くなった。1日1回の用法の平均コンプライアンスは、二重盲検で実施した6ヶ月間の処置期間において>96.7%であり、OLTにおいては>96.3%であった。
【0184】
コルチコステロイドの投薬を受けた後、RCTにおいてメサラミン顆粒を服用した(1.5gを1日1回服用)潰瘍性大腸炎患者は、RCTにおいて潰瘍性大腸炎関連の有害事象の発生率が低かった。この発生リスクの低さは、OLTの30ヶ月を通じて維持された。
【0185】
潰瘍性大腸炎の緩解状態にある患者(メサラミン顆粒:n=209、プラセボ:n=96)(改変サザーランド疾患活動性指数[SDAI]の直腸出血サブスコアが0かつ粘膜外観サブスコアが<2である)に、1.5gのメサラミン顆粒またはプラセボを1日1回最長6ヶ月間服用させた。主要評価項目は、6ヶ月目(処置終了時)における無再発患者の割合であった。再発とは、SDAIにおける直腸出血スコアが1以上かつ粘膜外観スコアが2以上であること、潰瘍性大腸炎が再発すること、または再発した潰瘍性大腸炎を治療するために先に使用していた薬物による治療を開始することと定義した。
【0186】
包括解析においても(78.9%vs58.3%、P<0.001)、補足として行ったより保守的な解析(この解析では、試験を途中で中止した患者はすべて、その理由に関わらず再発した患者数に含めて評価を行った)においても(68%vs51%、P<0.001)、6ヶ月目(処置終了時)における無再発患者の割合は、プラセボよりメサラミン顆粒の方が高かった。プラセボよりメサラミン顆粒の方が効果があるとする統計学的有意差(p≦0.008)が、以下に示すほぼすべての副次有効性評価項目においても認められた:1、3および6ヶ月目/処置終了時のSDAIの直腸出血スコア、医師による疾患活動性の評価および排便回数それぞれのベースラインからの各レベルの変化量を示した患者の割合(%);6ヶ月目/処置終了時のSDAIのベースラインからの平均変化量;治療成功として分類された患者の割合(%);および無再発期間。これ以外の副次有効性評価項目、すなわちSDAIの粘膜外観スコアにおけるベースラインからの各レベルの変化量を示した患者の割合に関しては、数値としてはメサラミン顆粒の方に効果がみられたが、P≦0.05の水準においてはその効果は有意でなかった(P=0.098)。いずれの処置群でも10%以上の患者で報告された有害事象は、潰瘍性大腸炎の悪化(メサラミン顆粒:11%、プラセボ:27%)と頭痛(メサラミン顆粒:11%、プラセボ:7%)のみであった。
<実施例10>
【0187】
メサラミン顆粒カプセル剤の1日1回の投与は有効性を示した
1.5gのメサラミン顆粒の1日1回の投与は、安全性が良好であるとともに、潰瘍性大腸炎の緩解状態を長期的に維持する点でプラセボより効果的であることがわかった。患者は、375mgのメサラミン顆粒を含有するカプセル剤4つとして、1.5gのメサラミン顆粒を服用した。メサラミン顆粒の投与により、患者の約80%(209名のうち165名)が緩解状態を6ヶ月間維持した。
【0188】
潰瘍性大腸炎は慢性的に再発と緩解を繰り返す炎症性腸疾患である。この疾患にかかると、患者の生活の質が低下するとともに日常活動が妨げられ、さらに大腸癌などの他の消化器疾患の発病や死亡のリスクが高くなる。症状や粘膜炎症の緩解状態を長期的に維持することが、この疾患の治療法の主要目標である。緩解状態を効果的に維持することによって、合併症のリスクが抑えられ、手術の必要性も減り、患者の健康と機能的能力が改善される。潰瘍性大腸炎を有する患者の緩解状態を誘導および維持するための主要な治療薬である5−アミノサリチル酸(5−ASA;メサラミン)は、消化管粘膜に局所的に作用して複数の炎症反応を阻害する
6。送達システムが異なる5−ASA経口剤がいくつか開発されているが、いずれも大腸への薬物送達を最大限にし、体内吸収を最小限にすることを目的としている。現在、時間依存性およびpH依存性の送達システムが利用可能であり、例として、大腸で細菌にさらされることによって5−ASAを遊離するアゾカップリングを施したプロドラッグが挙げられる。潰瘍性大腸炎の緩解状態を維持する目的で使用される場合、5−ASA剤は、様々な用法で投与されるが、いずれも一日複数回の投与が慣例となっている。このような投与は、治療スケジュールの非遵守につながる可能性があり、これが潰瘍性大腸炎再発の主要な要因となっている。
【0189】
本発明の一実施形態において、メサラミン顆粒は、それぞれ0.375gのメサラミンを含有する徐放カプセル剤4つとして1日1回投与される。ゼラチンカプセル剤は溶解して胃で数千個の顆粒を放出する。1つ1つの顆粒に施された遅延放出コーティングは、消化管でよく示される値であるpH6以上で溶解する。各メサラミン顆粒の遅延放出コーティングが溶解すると、徐放型ポリマーマトリクスコアが膨張し、メサラミンが徐々に大腸全体にわたって分布する。1日1回の投与量で数千個の顆粒が放出され、メサラミンは保護されたまま、メサラミンを放出するための十分な表面積が24時間にわたって提供される。
【0190】
本試験の対象は、1〜12ヶ月の期間軽度から中程度の潰瘍性大腸炎の緩解状態にあると確定診断されており、スクリーニング前1〜12ヶ月以内に治療を要する症状が少なくとも1回再燃しており、スクリーニング前30日以内にステロイドも免疫抑制剤も投薬されていない18歳以上の男性および18歳以上の妊娠中や授乳中でない女性であった。緩解状態(緩解期)とは、以下に記載の改変サザーランド疾患活動性指数(SDAI)において、スクリーニング時の直腸出血スコアが0(出血なし)、かつスクリーニング時のS状結腸鏡検査による粘膜外観スコアが0(腸線のねじれの有無によらず粘膜は無傷である)または1(粘膜に発赤や血管パターンの消失が認められ、細顆粒状になっているが出血はない)であると定義した。除外基準には以下が含まれる:免疫機能低下の兆候が認められる場合;スクリーニング前30日以内に免疫抑制療法を受けるか、コルチコステロイドが投薬された場合;先に盲腸炎手術以外の大腸の手術を受けている場合;血液検査でヒト免疫不全ウイルスまたはB型もしくはC型肝炎に対して陽性である場合;消化管に関する感染性疾患、虚血性疾患または免疫性疾患がある場合;標準域の上限値の1.5倍に相当する血清クレアチニン値または血中尿素窒素値が認められる腎臓病を有する場合;および標準域の上限値の2倍に相当するアラニン・アミノトランスフェラーゼ(ALT)値、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)値、アルカリフォスファターゼ(ALP)値または総ビリルビン値が認められる肝臓病を有する場合。全患者が書面によるインフォームド・コンセントを提出した。
【0191】
この無作為二重盲検プラセボ対照の第3相試験のための計画書は、試験実施施設の治験審査委員会により承認された。本試験は、無作為割付前1週間以内に終了するスクリーニング段階、および最長6ヶ月間の処置段階を含む。スクリーニング段階で選択基準を満たした患者は、2:1に無作為割り付けされ、二重盲検に基づき、片方の群は1.5gのメサラミン顆粒(それぞれ0.375gのメサラミンを含有する4つのカプセル剤)を、もう一方の群は同量のプラセボを処置段階において1日1回最長6ヶ月間服用した。
【0192】
処置段階には、無作為割付を実施する1日目(ベースライン)、ならびに1ヶ月目、3ヶ月目および6ヶ月目の4回の来院が含まれ、来院時に疾患活動性を評価し、患者の有害事象の有無のモニタリングを行う。さらに、スクリーニング時および6ヶ月目(または試験を途中で中止した場合はその日)にS状結腸鏡検査を実施した。疾患活動性はSDAIにより評価した。SDAIとは、排便回数、直腸出血、粘膜外観および医師による重症度評価を尺度0〜3で評価するもので、合計スコアは最大12である。スクリーニング時および6ヶ月目(または試験を途中で中止した場合はその日)には、SDAIの4つの項目すべてを評価し、1日目(ベースライン)、1ヶ月目および3ヶ月目には、粘膜外観以外の指標を評価する簡略SDAIを用いた。処置段階における使用が禁止された薬物としては、免疫抑制剤、常用の非ステロイド系抗炎症薬、コルチコステロイド、潰瘍性大腸炎とは無関係の症状のために服用する経口抗生物質(ただし、7〜10日間の服用であれば除外する)、オオバコ種子を含有する整腸薬および試験薬物以外の5−ASA剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0193】
試験期間中、直腸出血などの疾患の再発が見られた場合、患者は決められた来院日とは別にいつでも来院することができるものとした。SDAIにおいて、S状結腸鏡検査による粘膜外観スコアが2以上かつ直腸出血スコアが1以上の場合、疾患の再発とみなし、試験を中止した。
【0194】
有効性データは包括解析(ITT)集団を対象として分析した。包括解析(ITT)集団とは、無作為割り付けされ、試験薬物を少なくとも1回服用した患者である。有効性の主要評価項目は、6ヶ月間の処置後に無再発状態を維持していた患者の割合(%)である。再発または治療の失敗とは、SDAIにおける直腸出血スコアが1以上かつ粘膜外観スコアが2以上であること、潰瘍性大腸炎が再発すること、または再発した潰瘍性大腸炎を治療するために先に使用していた薬物による治療を開始することと定義した。潰瘍性大腸炎に関する他の調査においても、ここまで包括的ではないが同様の再発の定義が用いられている
20。主要有効性の解析において、試験途中での中止は、その理由が有効性の欠如または潰瘍性大腸炎関連の有害事象でない場合、再発とは見なさなかった。他の理由で試験を途中で中止した患者に対しては、再発が見られるか否かを判定するために、最後にSDAI評価を実施した。
【0195】
主要評価項目における処置群間の比較には、国に応じてコントロールされたCochran−Mantel−Haenszel検定を用いた。標本サイズの計算において、メサラミン顆粒服用群が200名、プラセボ群が100名の場合、両側有意水準5%(α=0.05)、分配比率2:1の群構成で無再発率がメサラミン顆粒群で70%、プラセボ群で50%であれば、90%以上の検定力(β=0.10)で処置群間に差がないとする帰無仮説が棄却されることが推定された。
【0196】
有効性の副次評価項目は、1、3および6ヶ月目/処置終了時のSDAIの直腸出血スコア、粘膜外観スコア、医師による疾患活動性の評価および排便回数それぞれのベースラインからの各レベルの変化量を示した患者の割合(%);6ヶ月目/処置終了時のSDAIのベースラインからの平均変化量;治療成功として分類された患者の割合(%)(治療の成功は、6ヶ月目/処置終了時に、SDAIの合計スコアが2以下(ただし個々の項目で1を超えず、直腸出血スコアが0)を維持していることと定義した);および無再発期間(無再発期間とは、試験における投薬の開始日と、最初に再発した日または試験を途中で中止した日との間の日数に1を足した日数と定義した)であった。last−observation−carried−forward(LOCF)法を用いて、試験を途中で中止した患者の副次有効性評価項目における欠測値を補った。
【0197】
副次評価項目の統計学的検定は、有意差なしと判定されるP値が得られる(P>0.05)まで、既定の階層的手法により行い、その後に部分的な有意性検定を探索的に行った。処置群間の差異は、カテゴリー変数については国に応じてコントロールされたCochran−Mantel−Haenszel検定を用い、6ヶ月目/処置終了時のSDAIのベースラインからの平均変化量については、ベースライン値および国に応じて調整された共分散分析(ANCOVA)を用いて評価した。無再発期間に関しては、国に応じて調整されたコックス比例ハザード回帰モデルを使用して処置群間の差異を評価し、Kaplan−Meier法を用いて、各処置群の1、3および6ヶ月目における累積の無再発確率の推定値を算出した。カイ二乗検定を用いて、無再発確率に関してメサラミン顆粒群とプラセボ群に有意差が生じた週を特定した。
【0198】
安全性データは、「安全性解析集団」に対して記述統計を行ってまとめたものである。安全性解析集団とは、無作為割り付けされ、試験薬物を少なくとも1回服用し、ベースライン後に安全性評価を少なくとも1回提出した患者と定義した。主要な安全性指標は、処置中に有害事象が発生した患者の割合(%)(処置中の有害事象とは、処置1日目またはそれ以降を開始日とする何らか有害な臨床事象、または既にその有害事象が起きていた場合は、処置1日目以降における事象の悪化と定義される)、重篤な有害事象(死、障害または不能状態をもたらす有害事象;生死に関わる有害事象;入院を要するまたは入院期間が長引く有害事象;または先天性異常または出生異常を伴う有害事象)が発生した患者の割合(%)、試験の中止につながる有害事象が発生した患者の割合(%)、および臨床検査値である。
【0199】
人口統計学的特性、ベースラインにおける臨床的特性およびコンプライアンスは記述統計によりまとめられた。コンプライアンスは、100×(分配したカプセル剤の数−返却されたカプセル剤の数)/(4×処置日数)として算出した。
【0200】
試験のスクリーニングを受けた356名のうち、305名が無作為に各処置群に割り付けられた(メサラミン顆粒:n=209、プラセボ:n=96)。無作為に割り付けられた305名の患者はすべて、少なくとも1回試験薬物を服用しているため、ITT集団に含まれた。この305名のうち5名は、ベースライン後に安全性評価を返却しなかったため、安全性解析集団に含まれたのは300名であった。
図1に患者の内訳を示す。試験を途中で中止した割合は、プラセボ群(49.0%)よりメサラミン顆粒服用群(31.1%)の方が低かった。試験途中での中止の理由として最も多かったのは、有害事象および有効性の欠如であった。
【0201】
人口統計学的特性およびベースライン疾患特性は、メサラミン顆粒服用群もプラセボ群も類似していた(表10)。患者の大多数は白色人種で、男性の占める割合は44.0%(メサラミン顆粒)および55.2%(プラセボ)であった。直近の潰瘍性大腸炎の再発日からの平均経過時間はいずれの群も25.6週間で、緩解状態の平均持続時間は約16週間であった。ベースラインの平均SDAIスコアは、メサラミン顆粒服用群で0.8(SD=0.8)およびプラセボ群で1.0(SD=1.3)であった。
【0202】
【表10】
* 患者が2以上の人種のカテゴリーに属する可能性がある場合は、それぞれのカテゴリーに含めた。
【0203】
処置期間中の平均コンプライアンスは、メサラミン顆粒服用群で96.2%(SD=11.6)、プラセボ群で96.7%(SD=6.4)であった。
【0204】
有効性解析を行ったところ、6ヶ月目/処置終了時に無再発の患者の割合は、プラセボ群よりメサラミン顆粒服用群の方が有意に高かった(78.9%vs58.3%、P<0.001)(
図2A)。この有効性解析において、試験を途中で中止した患者は、その理由が有効性の欠如または潰瘍性大腸炎関連の有害事象でない場合、再発した患者数に含めなかった。補足としてより保守的な解析も行った。この解析では、試験を途中で中止した患者はすべて、その理由に関わらず再発した患者数に含めて評価を行った。この保守的解析においても、6ヶ月目/処置終了時に無再発の患者の割合は、プラセボ群よりメサラミン顆粒服用群の方が有意に高かった(68%vs51%、P<0.001)(
図2B)。
【0205】
プラセボ群に対するメサラミン顆粒服用群の再発リスクの危険率は、6ヶ月の処置期間を通じてメサラミン顆粒では再発リスクがプラセボより58%軽減されていることを反映している(
図3)。無再発状態を維持する確率に関しては、メサラミン顆粒群とプラセボ群には、処置期間の第1週目に統計学的に有意な差が見られた。治療効果発現必要症例数解析により、5人の患者に対してメサラミン顆粒で処置を行うことにより、うち1人の潰瘍性大腸炎の再発を防止できることが分かった。
【0206】
プラセボよりメサラミン顆粒カプセル剤の方が効果があるとする統計学的有意差は、以下に示す他の有効性評価項目においても認められた:直腸出血(P=0.008)、医師による疾患活動性の評価(P=0.005)および排便回数(P=0.005)それぞれのSDAIスコアにおけるベースラインからの各変化量を示した患者の割合;治療成功として分類された患者の割合(P=0.003);SDAI合計スコアのベースラインからの平均変化量(P=0.001);および6ヶ月間無再発状態を維持する確率(P<0.001)(表11)。これ以外の副次有効性評価項目、すなわちSDAIの粘膜外観スコアにおけるベースラインからの各レベルの変化量を示した患者の割合に関しては、数値としてはメサラミン顆粒の方に効果がみられたが、P≦0.05の水準においてはその効果は有意でなかった(P=0.098)(表11)。
【0207】
【表11】
【0208】
処置中に1以上の有害事象が発生した患者の割合(%)は、各処置群ともに64%であった。いずれの処置群でも10%以上の患者で報告された処置中の有害事象は、潰瘍性大腸炎の悪化(メサラミン顆粒:11%、プラセボ:27%)と頭痛(メサラミン顆粒:11%、プラセボ:7%)のみであった。表12に、メサラミン顆粒群の3%以上の患者で報告された処置中の有害事象のうち、プラセボ群よりメサラミン顆粒群で多く見られた有害事象を示す。
【0209】
【表12】
【0210】
膵臓、腎臓または肝臓に影響を与える処置中の有害事象は、いずれの処置群でも例数は非常に少なかった。唯一報告された膵臓に関連する有害事象は、メサラミン顆粒を服用した患者における急性膵炎の軽度の増悪であったが、試験薬物が原因であるとは認められなかった。腎臓および肝臓に影響を与える有害事象はいずれも稀少だった。肝臓に関連する臨床検査値の上昇が、処置中の有害事象として報告されたが、その発生率は、プラセボを服用した患者よりメサラミン顆粒を服用した患者の方が低かった(AST値の上昇が見られた患者の割合は、1%未満vs4%;ALT値の上昇に関しては、0%vs4%;アルカリフォスファターゼ値の上昇に関しては、1%未満vs2%)。
【0211】
本明細書に記載の無作為二重盲検試験において、1.5gのメサラミン顆粒を375mgのカプセル剤として1日1回最長6ヶ月間服用することにより、プラセボより潰瘍性大腸炎の再発が有意に抑えられた。メサラミン顆粒カプセル剤による処置を受けた10名中約8名の患者(78.9%)が6ヶ月の処置期間中、無再発であり、これに対してプラセボによる処置を受けた患者の無再発率は58.3%であった。6ヶ月の処置期間を通じてメサラミン顆粒では再発のリスクがプラセボより58%軽減された。
【0212】
主要有効性解析(この解析では、試験を途中で中止した患者は、その理由が有効性の欠如または潰瘍性大腸炎関連の有害事象でない場合は、再発した患者数に含めない)においても、補足として行ったより保守的な解析(この解析では、試験を途中で中止した患者はすべて、その理由に関わらず再発した患者数に含めて評価を行った)においても、メサラミン顆粒による十分な予防効果が認められた。有効性の副次評価項目において、メサラミン顆粒では、プラセボと比較して直腸出血、医師による疾患活動性の評価および排便回数の各スコアが有意に良好であること、ならびに6ヶ月間無再発状態を維持する確率が有意に高いことが実証され、これらは主要有効性解析結果を支持するものである。この試験において、1日1回の用法に対する遵守率は高く、6ヶ月の処置期間にわたって1日1回の用法に対する遵守率は95%を上回った。
【0213】
この試験において、メサラミン顆粒は、プラセボより効果的であるだけでなく、安全性も良好であった。いずれの処置群でも5%以上の患者で報告された有害事象のうち、メサラミン顆粒群における発生率がプラセボ群より2%を超えて高かったのは、頭痛のみであった(メサラミン顆粒:11%、プラセボ:7%)。試験の中止につながる有害事象の発生率は、プラセボ群(28%)と比較してメサラミン顆粒服用群(15%)が低く、2分の1程度であった。膵臓、肝臓および腎臓に影響を与える有害事象の発生率(まれではあるが他のメサラミン製剤で報告されている)は、いずれの群でも低く、メサラミン顆粒とプラセボの間で差はなかった。処置期間中、制酸剤の服用は認められていたが、メサラミン顆粒群で制酸剤の併用を報告した患者は5名に過ぎなかった。
【0214】
メサラミン顆粒カプセル剤の1日1回の投与は、安全性が良好で、潰瘍性大腸炎の緩解状態の長期的な維持においてもプラセボより効果的であった。メサラミン顆粒による処置により、10名中8名の患者が6ヶ月の処置期間中、緩解状態を維持し、直腸出血、医師による疾患活動性の評価および排便回数のすべてのスコアがプラセボより有意に良好な数値を示した。遅延放出コーティングがpH6以上で溶解して徐放コアが露出し、各顆粒の徐放コアが、大腸の全体でゆっくりと5−ASAを放出する。
<実施例11>
【0215】
メサラミン顆粒(1.5g)を1日1回投与した患者における潰瘍性大腸炎の緩解状態の維持に対する予後因子の影響
本実施例において、潰瘍性大腸炎の再発に関わる予後因子の潜在的な影響、およびプラセボに対するメサラミン顆粒の予防効果を、上記の臨床試験でプールされたデータを用いて検討した。
【0216】
この実施例の目的に沿って、緩解状態は、改変サザーランド疾患活動性指数(DAI)に従い、S状結腸鏡検査スコア(粘膜外観指標スコア)が0〜1かつ直腸出血スコアが0と定義した。
【0217】
結果を表13および表14に示す。
【0218】
【表13】
【0219】
【表14】
【0220】
表13および表14に示すように、予後因子をコントロールした結果、1.5gのメサラミン顆粒の1日1回の投与は、6ヶ月の処置期間において潰瘍性大腸炎の緩解状態を長期的に維持するという点で有意な予防効果を示すことがわかる。このデータより、最も影響のある予後因子は、ベースラインにおける粘膜スコアであることが示された。
【0221】
等価物
当業者は、本明細書に記載された本発明の具体的な実施形態に対する等価物が多数存在することを認識するか、または通常の実験を実施するだけで確認することができるだろう。このような等価物は、以下の請求項に包含されるものとする。
【0222】
参照による援用
本願に引用されたすべての資料、特許、係属特許出願および公開特許の内容は、参照により本明細書に援用される。