(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両に搭載され、プーリに供給される油圧により挟持されるベルトの巻掛け径を変更して変速比を変更可能な無段変速機構と、前記無段変速機構に接続され、油圧により駆動力源の駆動力を駆動輪へと断続可能に伝達する摩擦締結要素と、を備える無段変速機の制御装置であって、
駆動力源により駆動され油圧回路に油圧を供給する油圧ポンプと、油圧を前記油圧回路に供給可能な油圧補助部と、前記油圧ポンプ及び前記油圧補助部の少なくとも一方の油圧を前記プーリに供給する制御弁と、を備える油圧制御回路と、
走行中に前記駆動力源を停止するコーストストップ制御を行い、前記コーストストップ制御中に、前記無段変速機構に入力されるトルクが前記無段変速機構のベルト容量を上回ることを検知又は予測した場合は、前記油圧補助部の油圧を前記プーリに供給すると共に前記油圧補助部から前記摩擦締結要素に供給される油圧を制限し、前記無段変速機構のベルト容量が前記摩擦締結要素の容量を上回るように前記制御弁を制御する一方、前記無段変速機構に入力されるトルクが前記無段変速機構のベルト容量を上回ることを検知又は予測しない場合は、前記油圧補助部の油圧を前記プーリに供給すると共に前記油圧補助部から前記摩擦締結要素に供給される油圧を制限しないように前記制御弁を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする無段変速機の制御装置。
前記制御弁は、前記油圧ポンプ及び前記油圧補助部の少なくとも一方の油圧を、前記プーリに供給する油圧と前記摩擦締結要素に供給する油圧とに配分して供給することを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の制御装置。
前記油圧回路は、前記無段変速機構のプーリから前記油圧ポンプへの油圧の逆流を防止する逆止弁を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の無段変速機の制御装置。
前記制御部は、前記無段変速機構に入力されるトルクを検知又は予測しない場合は、前記制御弁を、前記油圧補助部の油圧が前記摩擦締結要素に供給されるように制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の無段変速機の制御装置。
前記制御部は、前記車両が停車した場合に、前記制御弁を、前記油圧補助部の油圧が前記摩擦締結要素に供給されるように制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の無段変速機の制御装置。
前記制御部は、前記無段変速機構のベルト容量が前記摩擦締結要素の締結力よりも大きい場合は、前記無段変速機構に入力されるトルクの増加を検知又は予測しても、前記制御弁を、前記油圧補助部の油圧が前記プーリに供給されるように制御しないことを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の無段変速機の制御装置。
前記油圧補助部は、電動オイルポンプと油圧を貯留するアキュームレータとによって構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の無段変速機の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明の実施形態に係る無段変速機を搭載した車両の概略構成図である。この車両は動力源としてエンジン1を備える。エンジン1の出力回転は、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータ2、第1ギヤ列3、無段変速機(以下、単に「変速機4」という。)、第2ギヤ列5、終減速装置6を介して駆動輪7へと伝達される。第2ギヤ列5には駐車時に変速機4の出力軸を機械的に回転不能にロックするパーキング機構8が設けられている。
【0013】
また、車両には、エンジン1の回転が入力され、エンジン1の動力の一部を利用して駆動されるメカオイルポンプ10mと、バッテリ13から電力供給を受けて駆動される電動オイルポンプ10eとが設けられている。また、変速機4には、メカオイルポンプ10m及び電動オイルポンプ10eの少なくとも一方から供給される油圧(以下「ライン圧」と呼ぶ)を調圧して変速機4の各部に供給する油圧制御回路11と、油圧制御回路11及びエンジン1を制御するコントローラ12とが設けられている。
【0014】
変速機4は、無段変速機構(以下、「バリエータ20」という。)と、バリエータ20に対して直列に設けられる副変速機構30とを備える。「直列に設けられる」とは同動力伝達経路においてバリエータ20と副変速機構30が直列に設けられるという意味である。副変速機構30は、この例のようにバリエータ20の出力軸に直接接続されていてもよいし、その他の変速ないし動力伝達機構(例えば、ギヤ列)を介して接続されていてもよい。
【0015】
バリエータ20は、プライマリプーリ21と、セカンダリプーリ22と、プーリ21、22の間に掛け回されるベルト(Vベルト)23とを備えるベルト式無段変速機構である。プーリ21、22は、それぞれ固定円錐板と、この固定円錐板に対してシーブ面を対向させた状態で配置され固定円錐板との間にV溝を形成する可動円錐板と、この可動円錐板の背面に設けられて可動円錐板を軸方向に変位させる油圧シリンダ23a、23bとを備える。油圧シリンダ23a、23bに供給される油圧を調整すると、V溝の幅が変化してベルト23と各プーリ21、22との接触半径が変化し、バリエータ20の変速比vRatioが無段階に変化する。
【0016】
副変速機構30は前進2段・後進1段の変速機構である。副変速機構30は、2つの遊星歯車のキャリアを連結したラビニョウ型遊星歯車機構31と、ラビニョウ型遊星歯車機構31を構成する複数の回転要素に接続され、それらの連係状態を変更する複数の摩擦締結要素(Lowブレーキ32、Highクラッチ33、Revブレーキ34)とを備える。各摩擦締結要素32〜34への供給油圧を調整し、各摩擦締結要素32〜34の締結・解放状態を変更すると、副変速機構30の変速段が変更される。
【0017】
例えば、Lowブレーキ32を締結し、Highクラッチ33とRevブレーキ34を解放すれば副変速機構30の変速段は1速となる。Highクラッチ33を締結し、Lowブレーキ32とRevブレーキ34を解放すれば副変速機構30の変速段は1速よりも変速比が小さな2速となる。また、Revブレーキ34を締結し、Lowブレーキ32とHighクラッチ33を解放すれば副変速機構30の変速段は後進となる。なお、以下の説明では、副変速機構30の変速段が1速であるとき「変速機4が低速モードである」と表現し、2速であるとき「変速機4が高速モードである」と表現する。
【0018】
コントローラ12は、エンジン1及び変速機4を統括的に制御する制御手段であり、
図2に示すように、CPU121と、RAM・ROMからなる記憶装置122と、入力インターフェース123と、出力インターフェース124と、これらを相互に接続するバス125とから構成される。
【0019】
入力インターフェース123には、アクセルペダルの開度(以下、「アクセル開度APO」という。)を検出するアクセル開度センサ41の出力信号、変速機4の入力回転速度(=プライマリプーリ21の回転速度、以下、「プライマリ回転速度Npri」という。)を検出する回転速度センサ42の出力信号、車両の走行速度(以下、「車速VSP」という。)を検出する車速センサ43の出力信号、変速機4の油温を検出する油温センサ44の出力信号、セレクトレバー45の位置を検出するインヒビタスイッチ46の出力信号、ブレーキペダルの踏み込み量及びブレーキの液圧を検出するブレーキセンサ47の出力信号などが入力される。
【0020】
記憶装置122には、エンジン1の制御プログラム、変速機4の変速制御プログラム、この変速制御プログラムで用いる変速マップ(
図3)が格納されている。CPU121は、記憶装置122に格納されている変速制御プログラムを読み出して実行し、入力インターフェース123を介して入力される各種信号に対して各種演算処理を施して、燃料噴射信号、点火時期信号、スロットル開度信号、変速制御信号を生成し、生成した変速制御信号を出力インターフェース124を介して油圧制御回路11に出力する。CPU121が演算処理で使用する各種値、その演算結果は記憶装置122に適宜格納される。
【0021】
油圧制御回路11は複数の流路、複数の油圧制御弁で構成される。油圧制御回路11は、コントローラ12からの変速制御信号に基づき、複数の油圧制御弁を制御して油圧の供給経路を切り換え、メカオイルポンプ10m又は電動オイルポンプ10eが発生した油圧から必要な油圧を調整し、これを変速機4の各部位に供給する。これにより、バリエータ20の変速比vRatio、副変速機構30の変速段が変更され、変速機4の変速が行われる。
【0022】
図3は、本実施形態のコントローラ12の記憶装置122に格納される変速マップの一例を示している。
【0023】
この変速マップ上では変速機4の動作点が車速VSPとプライマリ回転速度Npriとに基づき決定される。変速機4の動作点と変速マップ左下隅の零点を結ぶ線の傾きが変速機4の変速比(バリエータ20の変速比vRatioに副変速機構30の変速比subRatioを掛けて得られる全体の変速比、以下、「スルー変速比Ratio」という。)を表している。この変速マップには、従来のベルト式無段変速機の変速マップと同様に、アクセル開度APO毎に変速線が設定されており、変速機4の変速はアクセル開度APOに応じて選択される変速線に従って行われる。なお、
図3には簡単のため、全負荷線(アクセル開度APO=8/8のときの変速線)、パーシャル線(アクセル開度APO=4/8のときの変速線)、コースト線(アクセル開度APO=0のときの変速線)のみが示されている。
【0024】
変速機4が低速モードのときは、変速機4はバリエータ20の変速比vRatioを最大にして得られる低速モード最Low線とバリエータ20の変速比vRatioを最小にして得られる低速モード最High線の間で変速することができる。このとき、変速機4の動作点はA領域とB領域内を移動する。一方、変速機4が高速モードのときは、変速機4はバリエータ20の変速比vRatioを最大にして得られる高速モード最Low線とバリエータ20の変速比vRatioを最小にして得られる高速モード最High線の間で変速することができる。このとき、変速機4の動作点はB領域とC領域内を移動する。
【0025】
副変速機構30の各変速段の変速比は、低速モード最High線に対応する変速比(低速モード最High変速比)が高速モード最Low線に対応する変速比(高速モード最Low変速比)よりも小さくなるように設定される。これにより、低速モードでとりうる変速機4のスルー変速比Ratioの範囲である低速モードレシオ範囲と高速モードでとりうる変速機4のスルー変速比Ratioの範囲である高速モードレシオ範囲とが部分的に重複し、変速機4の動作点が高速モード最Low線と低速モード最High線で挟まれるB領域にあるときは、変速機4は低速モード、高速モードのいずれのモードも選択可能になっている。
【0026】
コントローラ12は、この変速マップを参照して、車速VSP及びアクセル開度APO(車両の運転状態)に対応するスルー変速比Ratioを到達スルー変速比DRatioとして設定する。この到達スルー変速比DRatioは、当該運転状態でスルー変速比Ratioが最終的に到達すべき目標値である。そして、コントローラ12は、スルー変速比Ratioを所望の応答特性で到達スルー変速比DRatioに追従させるための過渡的な目標値である目標スルー変速比tRatioを設定し、スルー変速比Ratioが目標スルー変速比tRatioに一致するようにバリエータ20及び副変速機構30を制御する。
【0027】
また、変速マップ上には副変速機構30の変速を行うモード切換変速線(副変速機構30の1−2変速線)が低速モード最High線上に重なるように設定されている。モード切換変速線に対応するスルー変速比(以下、「モード切換変速比mRatio」という。)は低速モード最High変速比に等しい。
【0028】
そして、変速機4の動作点がモード切換変速線を横切った場合、すなわち、変速機4のスルー変速比Ratioがモード切換変速比mRatioを跨いで変化した場合は、コントローラ12はモード切換変速制御を行う。このモード切換変速制御では、コントローラ12は、副変速機構30の変速を行うとともに、バリエータ20の変速比vRatioを副変速機構30の変速比subRatioが変化する方向と逆の方向に変化させる協調変速を行う。
【0029】
協調変速では、変速機4のスルー変速比Ratioがモード切換変速比mRatioよりも大きい状態から小さい状態になったときは、コントローラ12は、副変速機構30の変速段を1速から2速に変更(以下、「1−2変速」という。)するとともに、バリエータ20の変速比vRatioを変速比大側に変化させる。逆に、変速機4のスルー変速比Ratioがモード切換変速比mRatioよりも小さい状態から大きい状態になったときは、コントローラ12は、副変速機構30の変速段を2速から1速に変更(以下、「2−1変速」という。)するとともに、バリエータ20の変速比vRatioを変速比小側に変化させる。
【0030】
モード切換変速時、協調変速を行うのは、変速機4のスルー変速比Ratioの段差により生じる入力回転の変化に伴う運転者の違和感を抑えるためである。また、モード切換変速をバリエータ20の変速比vRatioが最High変速比のときに行うのは、この状態では副変速機構30に入力されるトルクがそのときにバリエータ20に入力されるトルクのもとでは最小になっており、この状態で副変速機構30を変速すれば副変速機構30の変速ショックを緩和することができるからである。
【0031】
また、この変速マップに従えば、車両が停車する際、バリエータ20の変速比vRatioは最Low変速比となり、また、副変速機構30の変速段は1速となる。
【0032】
本実施形態のコントローラ12は、燃料消費量を抑制するために、車両が停止している間にエンジン1の回転を停止するアイドルストップ制御に加え、車両が走行中にもエンジン1の回転を停止させるコーストストップ制御を行う。
【0033】
コーストストップ制御では、低車速域で車両が走行している間、エンジン1を自動的に停止させて燃料消費量を抑制する制御である。なお、コーストストップ制御は、アクセルオフ時に実行される燃料カット制御とエンジン1への燃料供給を停止する点で共通するが、通常の燃料カット制御は、比較的高速走行時において実行され、かつエンジンブレーキを確保するためにトルクコンバータ2のロックアップクラッチが係合されているのに対し、コーストストップ制御は、車両停止直前の比較的低速走行時に実行され、ロックアップクラッチを解放状態としてエンジン1の回転を停止させる点において相違する。
【0034】
コーストストップ制御を実行するにあたって、コントローラ12は、まず、例えば以下に示す条件(a)〜(d)を判断する。
(a):アクセルペダルから足が離されている(アクセル開度APO=0)
(b):ブレーキペダルが踏み込まれている(ブレーキスイッチ47がON)
(c):車速が所定の低車速(例えば、15km/h)以下
(d):ロックアップクラッチが解放されている
なお、これらの条件は、言い換えると運転者に停車意図があることを判断する条件である。
【0035】
コントローラ12は、コーストストップ条件が成立した場合に、エンジン1への燃料の供給を停止して、エンジン1の回転を停止させる。
【0036】
次に、油圧制御回路11の構成及び動作を説明する。
図4は、本発明の実施形態の油圧制御回路11を含む変速機4の説明図である。
【0037】
油圧制御回路11は、油路110により構成される。この油路110は、チェック弁111、バリエータ20の油圧シリンダ(油圧シリンダ23a、23b)、アキュームレータ120、副変速機構30の摩擦締結要素(Lowブレーキ32、Highクラッチ33、Revブレーキ34)、第1アキューム弁112、第2アキューム弁113が接続される。また、油路110にはメカオイルポンプ10m及び電動オイルポンプ10eの少なくとも一方からの油圧が供給される。
【0038】
チェック弁111は、メカオイルポンプ10m及び電動オイルポンプ10eから供給された油圧を油路110に供給し、逆方向に作動油が流れることを規制する。アキュームレータ120は、油路110の作動油を所定の油圧で蓄圧し、蓄圧した作動油を油路110に供給する油圧補助部として構成される。
【0039】
アキュームレータ120は、例えばダイアフラムにより油室と気室とに分離されており、気室に密閉された気体圧力によって、油室内に貯留される作動油を蓄圧する。なお、ダイアフラムや気室ではなく、バネ等の弾性体とその付勢力によって付勢されるピストンにより油圧を保持する構成であってもよい。
【0040】
第1アキューム弁112と第2アキューム弁113とは、例えば電磁弁により構成され、コントローラ12によるデューティー制御によって、その開度が制御される。この制御により、第1アキューム弁112と第2アキューム弁113を流通する油圧が制御される。後述するように、メカオイルポンプ10mからの油圧が低下する場合に、第1アキューム弁112及び第2アキューム弁113の開度が制御されることにより、アキュームレータ120の油圧が、油路110を介してバリエータ20及び副変速機構に供給される。このように第1アキューム弁112と第2アキューム弁113によって油路110の油圧の供給先を変更する制御弁が構成される。
【0041】
次に、このように構成された車両のコーストストップ時の制御を説明する。
【0042】
前述のように、コントローラ12は、コーストストップ条件が成立した場合に、エンジン1への燃料の供給を停止して、エンジン1の回転を停止させる。このとき、エンジン1の駆動力によって油圧を発生させるメカオイルポンプ10mも漸次停止し、メカオイルポンプ10mからの油圧が油圧制御回路11に供給されなくなる。
【0043】
エンジン1の停止中もバリエータ20の各プーリによるベルトの挟持力及び副変速機構30の摩擦締結要素の締結に油圧が必要となる。そこで、コントローラ12は、エンジン1をコーストストップさせた場合に、電動オイルポンプ10eを駆動させて、油圧を油圧制御回路11に供給する。
【0044】
図5は、本発明における比較例を示し、従来の変速機のコーストストップ制御の説明図である。
【0045】
図5において、上段から、車速VSP、エンジン回転速度Ne、バリエータ20のセカンダリプーリにおけるベルト23を挟持する制御油圧(以下、「ベルト圧」と呼ぶ)、摩擦締結要素のHighクラッチ33の制御油圧(以下、「H/C圧」と呼ぶ)及び、バリエータ20におけるベルト23を挟持する挟持力(以下、「ベルト容量」と呼ぶ)、摩擦締結要素のHighクラッチ33の締結力(以下「H/C容量」と呼ぶ)が示されている。
【0046】
なお、ここでは、セカンダリプーリ22におけるベルト23のベルト圧及びベルト容量を例に説明する。
図5のベルト圧の図において、点線は油圧の指示値、実線はメカオイルポンプ10mによる実油圧、一点鎖線は電動オイルポンプ10eによる実油圧をそれぞれ示す。また、H/C圧の図において、点線は油圧の指示値、実線はメカオイルポンプ10mによる実油圧、一点鎖線は電動オイルポンプ10eによる実油圧をそれぞれ示す。また、容量の図において、点線はベルト23のベルト容量、実線はHighクラッチ33のH/C容量をそれぞれ示す。
【0047】
なお、コーストストップ時には変速比が最Low付近であるので、プライマリプーリ21の油圧はセカンダリプーリ22に従って決定されるため、ここではセカンダリプーリ22のみを説明する。また、摩擦締結要素は、コーストストップ時に締結して動力を伝達するHighクラッチ33の締結状態を例に説明する。
【0048】
この
図5において、車両が徐々に減速し、コーストストップ条件が成立した場合(タイミングt01)に、コントローラ12は、エンジン1のコーストストップを行う。これによりエンジン回転速度Neが徐々に低下し、タイミングt02においてエンジン1が停止する。エンジン回転速度Neの低下に伴ってメカオイルポンプ10mが発生する油圧も低下する。
【0049】
エンジン1のコーストストップを行うと同時に、コントローラ12は電動オイルポンプ10eの駆動を開始する。このときコントローラ12は、バリエータ20への指示圧及び摩擦締結要素への指示圧を、コーストストップ開始以前よりも大きな値(例えば最大油圧の指示値)に設定する。これは、電動オイルポンプ10eが発生する油圧がメカオイルポンプ10mと比較して小さいため、指示圧を大きく設定して、電動オイルポンプ10eの油圧を最大限に利用するためである。
【0050】
これにより、タイミングt01からt02の間でメカオイルポンプ10mが駆動する間は、過渡的にベルト容量とH/C容量とが大きくなっている。
【0051】
その後、車両が停車して、車速VSPが0となる(タイミングt03)。
【0052】
なお、エンジン1がコーストストップする前は、メカオイルポンプ10mにより油圧が供給されている場合に、バリエータ20のベルト容量は、摩擦締結要素のH/C容量よりも小さくなっている。
【0053】
摩擦締結要素の締結容量は摩擦材同士で接触することにより発生する。そのため、金属のベルトとプーリとがオイルによって接触するバリエータ20のベルト挟持力であるベルト容量よりも、摩擦締結用要素のH/C容量の方が大きい。従って、タイミングt01以前では、ベルト容量よりもH/C容量が上回っている。
【0054】
一方、メカオイルポンプ10mが停止して油圧が低下した状態では、摩擦締結要素は油圧に応じてH/C容量が低下し、油圧が低い領域ではリターンスプリングによりH/C容量はさらに低下する。一方、バリエータ20は、ベルトが滑ることを防止するためにベルト容量が低下しないように構成されているので、油圧の低下に対してベルト容量の低下は緩やかとなっている。
【0055】
このような状況において、特にタイミングt01とt02の間の過渡的な状態で、ベルト容量がH/C容量よりも小さい状態である場合に、変速機4に大きなトルクが入力された場合に、Highクラッチ33よりもベルト23が先に滑ってしまう虞がある。
【0056】
例えば、エンジン1のコーストストップが開始されて駆動力が低下するときに、ブレーキの踏み増しによって減速度が急変した場合に変速機4に大きなトルクが入力される場合がある。また路面状態の変化(段差の乗り上げ等)によっても変速機4大きなトルクが入力される場合がある。このような大きなトルクが入力されたとき、ベルト容量がH/C容量よりも小さい場合は、Highクラッチ33よりもベルト23がスリップする可能性がある。
【0057】
このような問題に対して、アキュームレータ120が、メカオイルポンプ10mの油圧を蓄圧して、エンジン1が停止中されてメカオイルポンプ10mが停止時に油圧を油路に供給するように構成することもできる。
【0058】
このように構成した場合、アイドルストップやコーストストップ等によりエンジン1の駆動が頻繁に停止するような運転状態の場合、次のような問題が発生しうる。
【0059】
例えば、エンジン1が停止後再始動され、再び短時間でエンジン1が停止する場合に、アキュームレータ120に油圧が充填されるまでの時間が短くなり、エンジン1が停止時の油圧が不足してしまう可能性がある。この場合に、バリエータ20にトルクが入力され、このトルクに対応するためのプーリの挟持力(ベルト容量)が十分に確保できない場合は、ベルト23がスリップする虞がある。
【0060】
また、このアキュームレータ120に十分に油圧が充填されているときのみエンジン1を停止するように制御することもできるが、アキュームレータ120が蓄圧する油圧の容量は大きくないため、エンジン1を停止する回数が減ることとなり、エンジンの燃費性能が低下するという問題がある。
【0061】
そこで、本発明の実施形態では、次のような制御によって、ベルトのスリップを防止すると共に、適切にアキュームレータ120を利用できるように構成した。
【0062】
図6は、本発明の実施形態のコントローラ12が実行するコーストストップ制御のフローチャートである。
【0063】
このフローチャートは、エンジン1が起動されたとき(例えばイグニションがONにされたとき)に、コントローラ12によって実行が開始され、所定の周期(例えば10ms)で実行される。
【0064】
まず、コントローラ12は、第1アキューム弁112及び第2アキューム弁113それぞれの開度を最大(100%)に制御する。これにより、メカオイルポンプ10mからの油圧が、油路110を介して各部(バリエータ20、アキュームレータ120、副変速機構30)に供給される(S10)。
【0065】
次に、コントローラ12は、アキュームレータ120に、十分な油圧が充填されているか否かを判定する(S20)。例えば、アキュームレータ120に油圧センサを設け、所定油圧(油路110のライン圧)以上であるかを判定してもよいし、油路110が所定のライン圧以上である状態が所定時間継続したことをもってアキュームレータ120の油圧が充填済みとなったか否かと判定してもよい。
【0066】
アキュームレータ120の油圧がまだ充填されていない場合は、コーストストップ制御時に油路110に油圧を十分に供給することができないので、以降の制御を行うことなく、他の処理に戻る。
【0067】
アキュームレータ120の油圧が充填済みとなった場合はステップS30に移行する。ステップS30では、コントローラ12は、前述したコーストストップ条件が成立したか否かを判定する。コーストストップ条件が成立していない場合は、以降の制御を行うことなく、他の処理に戻る。
【0068】
コーストストップ条件が成立したと判定した場合は、ステップS40に移行し、コントローラ12は、エンジン1の燃料噴射量やスロットルバルブ等を制御して、エンジン1をの回転を停止させる指令を出力する。このとき同時に、トルクコンバータ2のロックアップクラッチを解放してコンバータ状態とし、エンジン1と変速機4とを分離する。
【0069】
次に、ステップS50に移行して、コントローラ12は、変速機4にトルクが入力され、入力トルクの大きさがベルト容量を上回ることが検知される、又は、入力トルクの大きさがベルト容量を上回ることが予測されるか否かを判定する。
【0070】
入力トルクの大きさがベルト容量を上回ることの検知は、例えば、ブレーキセンサ47により検出されたブレーキペダルの踏み込み速度ΔBRKpが所定の踏み込み速度よりも大きい場合や、ブレーキセンサ47により検出されたブレーキ液圧の変化速度ΔBRKfが所定の変化速度よりも大きい場合に、入力トルクがベルト容量を上回るまたは上回る可能性があると判定する。
【0071】
また、コントローラ12が加速度センサを備え、この加速度が所定値以上である場合にも同様に、入力トルクがベルト容量を上回ることを検知してもよい。
【0072】
また、車両にカーナビゲーションシステムが搭載されている場合に、カーナビゲーションシステムの地図情報とGPSによる位置情報とから、現在走行中の路面が悪路であると判定した場合に、入力トルクがベルト容量を上回る可能性があると予測して、同様にステップS50の判定をYESとしてもよい。
【0073】
入力トルクがベルト容量を上回ることを検知又は予測した場合は、ステップS60に移行する。そうでない場合はステップS70に移行する。
【0074】
ステップS60では、コントローラ12は、第1アキューム弁112の開度を最大(100%)とし、第2アキューム弁113の開度を制限(例えば50%)する。
【0075】
このように制御することで、アキュームレータ120に蓄圧された油圧が、油路110を介してバリエータ20側に多く供給され、副変速機構30側に供給される油圧が制限される。これにより、バリエータ20におけるベルト容量を増加させ、副変速機構30におけるH/C容量を低下させて、入力トルクによってベルト23がスリップすることが防止される。
【0076】
ステップS70では、コントローラ12は、第1アキューム弁112の開度を制限(例えば50%)し、第2アキューム弁113の開度を最大(100%)する。なお、ステップS60及びステップS70における開度の制限は、最大の開度に対して開度を減少させるのみでなく、弁を閉じて開度をゼロとしてもよい。また、バリエータ20又は副変速機構30の動作に基づいて開度を可変に制御してもよい。
【0077】
このように制御することで、ベルト23がスリップしない範囲では、副変速機構30に供給する油圧を高めて、制御代を大きくすることで、コーストストップにより減速及び停車する車両の挙動変化に追従させる制御を行うことができる。
【0078】
これらステップS60又はステップS70の処理の後に、ステップS80に移行して、コントローラ12は、前述のコーストストップ条件が成立しなくなり、コーストストップが終了するか否かを判定する。
【0079】
コーストストップ状態が成立しており、コーストストップを継続する場合は、ステップS40に戻り、ステップS40からS70の処理を繰り返す。コーストストップ状態が終了すると判断した場合は、コーストストップ状態を解除し、エンジン1を駆動させてエンジンの駆動力による駆動を開始する。その後、本フローチャートによる処理を終了して、他の処理に戻る。
【0080】
このような制御によって、コーストストップ時にバリエータ20のベルト容量が副変速機構30のH/C容量を下回ることを防止できる。
【0081】
図7は、本発明の実施形態のコーストストップ制御の説明図である。
【0082】
図7において、上段から、車速VSP、第1アキューム弁112開度、第2アキューム弁113開度、アキュームレータ120の蓄圧状態、エンジン回転速度Ne、及び、ベルト容量とH/C容量と入力トルクとの関係が示されている。
【0083】
なお、ベルト容量とH/C容量と入力トルクとの関係を示す図において、実線はベルト23のベルト容量、点線はHighクラッチ33のH/C容量、一点鎖線は入力トルクをそれぞれ示す。
【0084】
また、コーストストップ制御中とは、車両の走行中にエンジン1の回転を停止する指令を出力した時点(
図7におけるタイミングt11)から、車両が停車する(車速VSPがゼロになる)までの期間のことを言う。
【0085】
この
図7において、タイミングt11でコーストストップ条件が成立し(
図6のステップS30がYES)、コーストストップの実行が開始される(
図6のステップS40)。なお、このタイミングt11以前に、アキュームレータ120が充填状態となっているとする。
【0086】
このタイミングt11において、
図6のステップS50の判定がなされる。入力トルクがベルト容量を上回らないと判定された場合は、
図6のステップS70において、第1アキューム弁112の開度が制限される。この場合、アキュームレータ120の油圧が油路110に供給され、バリエータ20よりも副変速機構30により多くの油圧が供給される。これにより、ベルト23がスリップしない範囲で、副変速機構30の締結圧が制御される。
【0087】
一方、タイミングt12において、例えばブレーキペダルが踏み込まれるなど入力トルクが増大しベルト容量を上回ると判定した場合は、
図6のステップS60において、第1アキューム弁112の開度を最大とし、第2アキューム弁113の開度を制限する。この場合、アキュームレータ120の油圧が、バリエータ20側により多く供給される。これにより、ベルト23のベルト容量を増大させる一方、副変速機構30のH/C容量を低下させる。
【0088】
このとき、タイミングt13において入力トルクがさらに増大した場合にも、ベルト容量が増大されてH/C容量を上回っているので、入力トルクに対して先にHighクラッチ33がスリップする。これによりベルト23がスリップすることが防止される。
【0089】
その後、
図6のステップS50の判定により、入力トルクがベルト容量を上回らないと判定された場合は、
図6のステップS70において、第2アキューム弁113の開度を最大とし、第1アキューム弁112の開度が制限されて、ベルト23がスリップしない範囲で、副変速機構30の締結圧が制御される(タイミングt14)。
【0090】
なお、アキュームレータ120の油圧が油路に供給されることにより、タイミングt11以降、アキュームレータ120の蓄圧が徐々に減少する。
【0091】
このように、本発明の実施形態では、コースト状態にエンジン1を停止するコーストストップを行う車両において、油圧制御回路11にアキュームレータ120を備えた。この構成において、エンジン1が停止してメカオイルポンプ10mのからの油圧が供給されない場合に、アキュームレータ120の油圧を油路110に供給する。
【0092】
この制御において、変速機4トルクが入力された場合に、第1アキューム弁112と第2アキューム弁113との開度を制御する。より具体的には、副変速機構30側に油圧を配分する第2アキューム弁113の開度を制限して、バリエータ20側の油圧が上昇するように制御する。このような制御によって、ベルト容量が摩擦締結要素の容量を上回るように制御され、入力トルクに対してベルト23がスリップすることが抑制される。
【0093】
以上のように、本発明の第1の実施形態の車両では、プライマリプーリ21及びセカンダリプーリ22の各油圧シリンダ23a、23bに供給される油圧により挟持されるベルト23の巻掛け径を変更して変速比を変更可能なバリエータ20と、エンジン1により駆動され油路110に油圧を供給するメカオイルポンプ10mと、貯留した油圧を油路に供給可能な油圧補助部としてのアキュームレータ120と、メカオイルポンプ10m及びアキュームレータ120の少なくとも一方の油圧をバリエータ20の各プーリに供給する制御弁(第1アキューム弁112及び第2アキューム弁113)、を備える油圧制御回路11を備える。
【0094】
また、コントローラ12は、走行中にエンジン1を停止するコーストストップ制御を行い、コーストストップ制御時に、アキュームレータ120の油圧を油路110から各プーリに供給させる。
【0095】
このような構成において、コントローラ12は、変速機4に入力される入力トルクの増加を検知又は予測した場合は、第1アキューム弁112及び第2アキューム弁113の開度を制御して、アキュームレータ120の油圧が各プーリに供給されるように制御する。
【0096】
このような制御を行うことによって、入力トルクが増大したときに、バリエータ20側の油圧が上昇するように制御して、ベルト容量が摩擦締結要素の容量を上回るように制御するので、入力トルクの増大に対してベルト23がスリップすることを防止できる。これは請求項1の効果に対応する。
【0097】
また、アキュームレータ120に油圧が充填されていることをもってコーストストップ制御を行うが、入力トルクの増大を検知又は予測した場合にアキュームレータ120の油圧を油路110に供給するように構成した。これにより、必要なとき以外はアキュームレータ120の油圧を消費せず、エンジン1がコーストストップ制御を行う頻度が低減されることを抑制できるので、エンジン1の燃費性能を向上できる。これは請求項1の効果に対応する。
【0098】
また、エンジン1の駆動力を駆動輪7へと断続可能に伝達する摩擦締結要素を備える副変速機構30がバリエータ20に対して直列に設けられており、コントローラ12は、各プーリに供給する油圧と摩擦締結要素に供給する油圧との配分を制御する。すなわち、摩擦締結要素に油圧を供給しつつ、入力トルクが増大した場合に、各プーリ側の油圧が摩擦締結要素側の油圧よりも高くなるように第1アキューム弁112及び第2アキューム弁113の開度を制御する。
【0099】
このような制御を行うことによって、コーストストップ制御時に摩擦締結要素が解放されることなく、締結力を維持することができるので、例えば車両が停止した後の再発進時など、摩擦締結要素の締結ショックを抑制できる。また再発進時に摩擦締結要素が再締結するために要する時間(発進ラグ)を短縮できる。これは請求項2の効果に対応する。
【0100】
また、油圧制御回路11において、油路110に、各プーリからメカオイルポンプ10mへの油圧の逆流を防止するチェック弁111を備えた。
【0101】
このような構成により、油路110からメカオイルポンプ10m側への油圧の流出を防止して、アキュームレータ120の油圧を各プーリ又は摩擦締結要素に供給できる。これは請求項3の効果に対応する。
【0102】
また、コントローラ12は、変速機4に入力されるトルクを検知又は予測しない場合は、アキュームレータ120の油圧を摩擦締結要素に供給する。
【0103】
このような制御を行うことによって、コーストストップ制御時に入力トルクが検知されない場合は、摩擦締結要素に油圧を供給することで、摩擦締結要素が解放されることなく、締結力を維持する。これにより、例えば車両が停止した後の再発進時など、摩擦締結要素の締結ショックを抑制できる。また再発進時に摩擦締結要素が再締結するために要する時間(発進ラグ)を短縮できる。これは請求項4の効果に対応する。
【0104】
また、コントローラ12は、車両が停車した場合に、アキュームレータ120の油圧を摩擦締結要素に供給する。
【0105】
このような制御を行うことによって、コーストストップ制御時に入力トルクが検知されない場合は、摩擦締結要素に油圧を供給することで、摩擦締結要素が解放されることなく、締結力を維持する。これにより、例えば車両が停止した後の再発進時など、摩擦締結要素の締結ショックを抑制できる。また再発進時に摩擦締結要素が再締結するために要する時間(発進ラグ)を短縮できる。これは請求項5の効果に対応する。
【0106】
また、コントローラ12は、各プーリのベルトの締結力(ベルト容量)が摩擦締結要素の締結力(H/C容量)よりも大きい場合は、変速機4に入力されるトルクの増加を検知又は予測しても、アキュームレータ120の油圧をバリエータ20に供給することを禁止する。すなわち、ベルト容量が摩擦締結要素の容量を上回っていれば、各プーリ側の油圧を摩擦締結要素側の油圧よりも高くなるように第1アキューム弁112及び第2アキューム弁113の制御を行う必要がない。
【0107】
このような制御を行うことによって、必要でない場合に第1アキューム弁112及び第2アキューム弁113を動作させないので、第1アキューム弁112及び第2アキューム弁113を構成する部品の摩耗を抑制することができる。これは請求項6の効果に対応する。
【0108】
また、油圧補助部は油圧を貯留するアキュームレータによって構成されているので、油圧補助部を簡易な構成とすることができ、車両の部品コスト及び製造コストの上昇を抑制できる。これは請求項7の効果に対応する。
【0109】
また、油圧補助部を、アキュームレータ120に代えて電動オイルポンプ10eによって構成してもよい。すなわち、電動オイルポンプ10eが、エンジン1の停止時にベルト容量及びH/C容量を確保できるのに十分な容量を供給できるものであれば、コーストストップ制御時に電動オイルポンプ10eの油圧によって、ベルト23のスリップ防止と、摩擦締結要素の締結力の保持を行うことができる。これは請求項8の効果に対応する。
【0110】
また、電動オイルポンプ10eとアキュームレータ120とを備えてこれらによって油圧を供給するように構成してもよい。これによりコーストストップ制御時にベルト23のスリップ防止と、摩擦締結要素の締結力の保持を行うことができる。これは請求項9の効果に対応する。
【0111】
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0112】
図8は、本発明の第2の実施形態の油圧制御回路11を含む変速機4の説明図である。なお、第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。また、第2の実施形態の基本構成は第1の実施形態の
図1及び
図2と同様である。
【0113】
第2の実施形態では、油路110に第1アキューム弁112が備えられ、第2アキューム弁113が省略されている。
【0114】
このような構成において、前述の第1の実施形態と同様の制御を実行する。
【0115】
図6のフローチャートにおいて、ステップS10では、第1アキューム弁112の開度を最大とする。このとき第2アキューム弁に相当するものはなく、第1実施形態における第2アキューム弁113の開度が最大である状態と同様となる。
【0116】
その後、コーストストップ制御において、ステップS50の判定で入力トルクがベルト容量を上回ることが予測された場合は、ステップS60に移行する。
【0117】
ステップS60では、コントローラ12は、第1アキューム弁112の開度を最大のまま維持する。この制御により、アキュームレータ120に蓄圧された油圧が、油路110を介してバリエータ20及び副変速機構30に供給される。これにより、バリエータ20におけるベルト容量を増加させることができる。なお、副変速機構30においては、H/C容量がベルト容量を下回るように、コントローラ12がHighクラッチ33の締結力を制御する。これにより、入力トルクによってベルト23がスリップすることが防止される。
【0118】
また、ステップS50の判定で入力トルクがベルト容量を上回ることが予測されない場合は、ステップS70に移行する。
【0119】
ステップS70では、コントローラ12は、第1アキューム弁112の開度を制限(例えば50%)する。この制御により、ベルト23がスリップしない範囲では、副変速機構30に供給する油圧を高めて、制御代を大きくすることで、コーストストップにより減速及び停車するハイブリッド車両の挙動変化に追従させる制御を行うことができる。
【0120】
このように、油路110に、アキュームレータ120の油圧がバリエータ20側に供給されることを規制するただ一つの制御弁として第1アキューム弁112を備えてもよい。このような構成においても、前述の第1の実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0121】
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0122】
図9は、本発明の第3の実施形態の油圧制御回路11を含む変速機4の説明図である。なお、第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。また、第3の実施形態の基本構成は第1の実施形態の
図1及び
図2と同様である。
【0123】
第3の実施形態では、油路110に、前述の第1アキューム弁112及び第2アキューム弁113に代えて、切換弁130が備えられている。
【0124】
切換弁130は、油路110のメカオイルポンプ10m及びアキュームレータ120側と、バリエータ20及び副変速機構30側との間に設けられる。切換弁130は、メカオイルポンプ10m又はアキュームレータ120から供給される油圧を、バリエータ20及び副変速機構30のそれぞれに、所定の配分で供給することができるように構成されている。
【0125】
すなわち、切換弁130は、一つの入力と二つの出力とを備える三方弁であり、二つの出力それぞれから出力する油圧の配分を、例えば電磁弁によるデューティー比によって制御することができるように構成されている。
【0126】
このような構成において、前述の第1の実施形態と同様の制御を実行する。
【0127】
図6のフローチャートにおいて、ステップS10では、コントローラ12は、切換弁130を、バリエータ20及び副変速機構30それぞれの出力が最大となるように切り換える。これにより、第1実施形態における第1アキューム弁112の開度及び第2アキューム弁113の開度が最大である状態と同様となる。
【0128】
その後、コーストストップ制御において、ステップS50の判定で入力トルクがベルト容量を上回ることが予測された場合は、ステップS60に移行する。
【0129】
ステップS60では、コントローラ12は、切換弁130を、バリエータ20側の出力を最大に、副変速機構30側の出力を制限するように切り換える。この制御により、アキュームレータ120に蓄圧された油圧が、油路110を介してバリエータ20側に多く供給され、副変速機構30側に供給される油圧が制限される。
【0130】
これにより、バリエータ20におけるベルト容量を増加させ、副変速機構30におけるH/C容量を低下させて、入力トルクによってベルト23がスリップすることが防止される。
【0131】
また、ステップS50の判定で入力トルクがベルト容量を上回ることが予測されない場合は、ステップS70に移行する。
【0132】
ステップS70では、コントローラ12は、コントローラ12は、切換弁130を、バリエータ20側の出力を制限して、副変速機構30側の出力が最大となるように切り換える。この制御により、ベルト23がスリップしない範囲では、副変速機構30に供給する油圧を高めて、制御代を大きくすることで、コーストストップにより減速及び停車する車両の挙動変化に追従させる制御を行うことができる。
【0133】
このように、油路110に、アキュームレータ120の油圧をバリエータ20及び副変速機構30それぞれに供給する切換弁130を備えることによっても、前述の第1の実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0134】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0135】
例えば、上記実施形態では、バリエータ20としてベルト式無段変速機構を備えているが、バリエータ20は、ベルト23の代わりにチェーンがプーリ21、22の間に掛け回される無段変速機構であってもよい。あるいは、バリエータ20は、入力ディスクと出力ディスクの間に傾転可能なパワーローラを配置するトロイダル式無段変速機構であってもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、副変速機構30は前進用の変速段として1速と2速の2段を有する変速機構としたが、副変速機構30を前進用の変速段として3段以上の変速段を有する変速機構としても構わない。
【0137】
また、副変速機構30をラビニョウ型遊星歯車機構を用いて構成したが、このような構成に限定されない。例えば、副変速機構30は、通常の遊星歯車機構と摩擦締結要素を組み合わせて構成してもよいし、あるいは、ギヤ比の異なる複数の歯車列で構成される複数の動力伝達経路と、これら動力伝達経路を切り換える摩擦締結要素とによって構成してもよい。
【0138】
また、バリエータ20に対して、副変速機構30が前段にあっても後段にあってもよい。例えば副変速機構30をエンジン1の後段でバリエータ20の前段に備えた場合は、エンジン1からの衝撃トルクに対して特に効果がある。一方バリエータ20の後段に副変速機構30を備えた場合は、駆動輪7からの衝撃トルクに対して特に効果がある。さらに、変速段を備える副変速機構30ではなく、前後進切り替え機構であってもよい。