(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前壁に衣類取出口が開設された本体ケースと、前記衣類取出口を開閉する前扉と、衣類を収容する筒状のドラムと、ドラム内の空気の給排気を行う給排気手段と、前記給排気手段によってドラム内へ供給される空気を加熱する加熱手段と、本体ケースの前壁前面側へ空気を導く送風通路と、前記送風通路内に気流を発生させる送風ファンと、前記送風通路内にイオンを放出するイオン発生器とを備え、
本体ケースの前壁前面で且つ衣類取出口の外周上方位置に、前記送風通路内へ放出されたイオンを衣類取出口の前側の開口面に沿って下向きに吹き出すイオン吹出口が設けられた、衣類乾燥機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の衣類乾燥機は、衣類取出口へ差し入れた手元の比較的狭い範囲にしかイオンが吹き付けられないため、衣類に帯電した静電気の量によっては、十分な除電効果が得られない可能性がある。また、衣類取出口へ手を差し入れている間しかイオンが吹き付けられないため、除電効率も悪かった。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、衣類乾燥機において、衣類をドラム内から取り出す際の手元での放電を効率的且つ確実に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る衣類乾燥機は、前壁に衣類取出口が開設された本体ケースと、前記衣類取出口を開閉する前扉と、衣類を収容する筒状のドラムと、ドラム内の空気の給排気を行う給排気手段と、前記給排気手段によってドラム内へ供給される空気を加熱する加熱手段と、本体ケースの前壁前面側へ空気を導く送風通路と、前記送風通路内に気流を発生させる送風ファンと、前記送風通路内にイオンを放出するイオン発生器とを備え、本体ケースの前壁前面
で且つ衣類取出口の外周上方位置に、前記送風通路内へ放出されたイオンを衣類取出口の
前側の開口面に沿って下向きに吹き出すイオン吹出口が設けられたものである。
【0008】
上記衣類乾燥機によれば、送風ファンおよびイオン発生器を作動させると、イオンが空気と共に送風通路を通って本体ケースの前壁前面側へ導かれるが、この前壁前面側へ導かれたイオンは、衣類取出口
の外周上方位置から
衣類取出口の前側の開口面に沿って下方へ吹き出され、衣類をドラム内から取り出す際に、使用者の手元や身体の広範囲にイオンが吹き付けられる。これにより、衣類や使用者の身体に帯電した静電気が確実に除電される。また、衣類取出口へ手を差し入れていない間も、使用者の身体に対してイオンが吹き付けられ、その身体に帯電した静電気が速やかに除電される。
【0009】
上記衣類乾燥機において、前記イオン吹出口には、本体ケースの前壁前面から衣類取出口の前側斜め下に向けて傾斜する案内板が設けられたものであるのが望ましい。
【0010】
このものでは、特に、イオン発生器から送風通路内へ放出されたイオンが空気と共に、イオン吹出口に設けられた案内板に沿って衣類取出口の前側斜め下向きに吹き出されるから、使用者の手元や身体へ確実にイオンが吹き付けられる。これにより、衣類や使用者の身体に帯電した静電気がより確実に且つ速やかに除電される。
【0011】
上記衣類乾燥機において、好ましくは、本体ケースの内部からイオン吹出口へ向けて前記送風通路が設けられ、前扉には、前扉を閉じた際に前記イオン吹出口を閉塞する閉塞部が設けられる。
【0012】
このものでは、前扉が閉じられた状態では、イオン吹出口も閉塞部によって閉塞されているため、送風通路内へ送り込まれたイオンは、イオン吹出口から吹き出されず、本体ケースの内部へ放出される。従って、この状態で本体ケース内外の空気がドラム内へ循環供給された場合、本体ケースの内部に放出されたイオンがドラム内へ送り込まれ、衣類に帯電した静電気が速やかに除電される。一方、前扉が開かれた状態では、イオン吹出口も開放されているため、送風通路内へ送り込まれたイオンは、イオン吹出口からその下方の衣類取出口周辺へ吹き出される。従って、この状態で衣類をドラム内から取り出す場合、使用者の手元や身体等の広範囲にイオンが吹き付けられ、衣類や使用者の身体に帯電した静電気が確実に除電される。
【0013】
即ち、前扉が閉じられた状態では、送風通路内へ送り込まれたイオンが本体ケース内へ放出され、給排気手段を作動させた際にドラム内へ供給される一方、前扉が開かれた状態では、送風通路内へ送り込まれたイオンがイオン吹出口から使用者の手元や身体へ向けて放出される。これにより、衣類や使用者の身体に帯電した静電気が確実且つ速やかに除電される。
【0014】
ところで、ドラム内の空気を本体ケースの前側から排気ダクトを通じて本体ケース外へ排出させる排気経路を有する衣類乾燥機の場合、その排気経路に上記イオン吹出口を設けると、送風通路が本体ケースの内外を繋ぐ通路となる。そのため、乾燥運転の際に、本体ケース内の空気の一部がドラム内を通らないで、送風通路から排気ダクト内へ直接的に導かれてしまい、その結果、所定量の温風がドラム内へ供給されず、乾燥性能を低下させてしまう可能性がある。しかしながら、このものでは、イオン吹出口は上記排気経路に設けられておらず、別経路として送風通路が確立されるから、乾燥運転の際、本体ケース内の空気の一部が送風通路から排気ダクト内へ直接的に導かれることがない。これにより、所定量の温風をドラム内へ供給することが可能であり、所望の乾燥性能を発揮できる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、衣類をドラム内から取り出す際、使用者の手元や身体の広範囲にイオンが吹き付けられ、衣類や使用者の身体に帯電した静電気が確実に除電されるから、高い除電効果が得られる。また、衣類取出口へ手を差し入れていない間も、使用者の身体に対してイオンが吹き付けられ、その身体に帯電した静電気が速やかに除電されるから、除電効率も良い。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、上記した本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機1は、矩形箱状の本体ケース11と、本体ケース11の前壁116に開設された衣類取出口110をその前方側から被蓋する前扉12とでその外郭が構成されている。
【0018】
本体ケース11内には、前側に円形状の開口部130を有する円筒状のドラム13が横向き姿勢で収容されている。このドラム13の開口部130の内周は、衣類取出口110のドラム13側の周縁に沿って突設されたリング板14の外周に遊接支持されている。また、本体ケース11内のドラム13の後方には、ドラム支持壁111が立設されており、ドラム13の奥壁133の中央部は、このドラム支持壁111に固定された支軸15に対して回動可能な状態で支持されている。
【0019】
ドラム13の奥壁133の外周領域には、複数の小円孔(以下、「温風入口」という)135が穿設されており、ドラム13の奥側外部の空間は、この温風入口135を介してドラム13の内部空間に繋がっている。
【0020】
支軸15の前端部には、上記温風入口135の形成領域を奥壁133の前面側から覆う略円板状のカバー板153が固設されている。カバー板153の下部の所定領域には、複数の小円孔(以下、「温風吹出口」という)150が穿設されており、奥壁133の前面側の空間は、この温風吹出口150を介してカバー板153の前面側の空間に繋がっている。
【0021】
ドラム支持壁111の後面側には、本体ケース11内へ取り込まれた室内空気や後述するバーナユニット18から放出された燃焼ガスをドラム13の奥側外部の空間へ導く温風ダクト17が配設されている。
【0022】
温風ダクト17は、ドラム支持壁111の後面上部から下方へ向かって延設されており、その下端部には、後述する給排気ファン22によって本体ケース11内へ取り込まれる室内空気を加熱する加熱手段としてバーナユニット18が組み込まれている。
【0023】
バーナユニット18は、図示しないガスバーナや弁装置等で構成されており、その弁装置の比例弁が開弁されると、所定量のガスと空気の混合ガスをガスバーナで燃焼させ、燃焼ガスとして温風ダクト17内へ放出させる。その際、温風ダクト17内へ導かれた本体ケース11内の空気が、燃焼ガスによって加熱されつつ、その燃焼ガスと共にドラム13の奥側外部の空間へ導かれる。そして、この加熱された空気および燃焼ガスは、奥壁133の温風入口135を通じてカバー板153の後面側の空間へ送り込まれ、温風として温風吹出口150からドラム13内の下域へ向けて送り出される。
【0024】
前扉12の後壁126には、前扉12が閉じられた状態において衣類取出口110に嵌挿される円形台状の蓋部120がドラム13側へ向けて膨出形成されており、さらにその蓋部120の中央には、複数の小円孔(以下、「温風排出口」という)121を有するフィルタカバー122が着脱可能な状態で取り付けられている。
【0025】
温風排出口121は、フィルタカバー122の内側に取り付けられたエアフィルタ123を介して蓋部120の内部空間へ繋がっている。また、蓋部120の外周上部には、前扉12が閉じられた状態において、衣類取出口110の内周上部に開設された排気入口114に連通するスリット状の連結口124が複数開設されている(
図4参照)。
【0026】
本体ケース11内におけるドラム13の上方位置には、ドラム13内へ送り込まれた空気や燃焼ガスを上記蓋部120の内部空間を介して本体ケース11の外部へ導く排気ダクト21が形成されている。
【0027】
排気ダクト21は、一端側が上記排気入口114に繋がり、他端側が本体ケース11の上面に開設された排気出口115に繋がっている。また、排気ダクト21の中間部には、本体ケース11内へ室内空気を取り込み、さらにその室内空気やバーナユニット18から放出された燃焼ガスをドラム13内へ導き、排気ダクト21を通じて本体ケース11の外部へ排出させる給排気手段として給排気ファン22が組み込まれている。
【0028】
従って、前扉12が閉じられた状態で給排気ファン22を回転させると、ドラム13内の空気が温風排出口121から蓋部120の内部空間を通り、連結口124および排気入口114を介して排気ダクト21内へ導かれ、さらに排気出口115から本体ケース11の外部へ排出される(この空気の流れが排気経路となる)。また、これに伴って、本体ケース11の外部の空気が図示しない給気口から本体ケース11内へ取り込まれ、さらに温風ダクト17を通って温風吹出口150からドラム13内へ導かれる。
【0029】
図2および
図3に示すように、本体ケース11の前壁116の右上部位置における後面には、本体ケース11内の空気を後述するイオン吹出口300へ導く送風通路33が形成されている。
【0030】
送風通路33は、本体ケース11の前壁116の後面に沿って延設されており、その送風通路33の後面の構成壁には、開口330が設けられている。さらに、この開口330の形成部には、本体ケース11内の空気を送風通路33内へ送り込む送風ファン34が取り付けられている。
【0031】
送風ファン34は、平型矩形筒状のファンケーシング340でその外郭が構成されており、上記開口330の一部の領域(以下、「主開口部」という)331は、このファンケーシング340の前側の送風口341に連通している。一方、上記送風口341に連通していない上記開口330の他の領域(以下、「副開口部」という)332は、本体ケース11の内部空間へ直接的に繋がっている。
【0032】
また、送風ファン34は、ファンケーシング340の前側(送風口341)へ向けて送風するように構成されている。従って、本体ケース11の内部空間側がファンケーシング340の上流(吸込)側となり、送風口341側がファンケーシング340の下流(吹出)側となる。
【0033】
送風通路33の側面の構成壁には、送風通路33内の空気中にプラスやマイナスのイオンを放出するイオン発生器35が配設されている。詳述すると、イオン発生器35は、その図示しないイオン発生電極が送風通路33の内部空間へ臨むように配設されており、所定電圧を印加すると、そのイオン発生電極からプラスイオンおよびマイナスイオン(例えば、プラスイオンとしてH
+(H
2O)m(mは任意の自然数)、マイナスイオンとしてO
2−(H
2O)n(nは任意の自然数))を同時に発生させ、送風通路33内の空気中に放出する。
【0034】
本体ケース11の前壁116の前面側で且つ衣類取出口110の外周上方位置には、下端側に上記イオンの出口(以下、「イオン吹出口」という)300を有する円弧状の吹出口部117が膨出形成されている。この吹出口部117のイオン吹出口300は、衣類取出口110の周方向に長い帯状に形成されており、下向き(衣類取出口110側)に開放している。尚、吹出口部117のイオン吹出口300は、イオンを衣類取出口110の外周上方位置から下向きに吹き出す位置として、衣類取出口110の上半分の外側における前壁116の任意の位置に設けることができる。
【0035】
吹出口部117の前側の構成壁(以下、「案内板」という)118は、送風通路33内へ送り込まれた空気およびイオンが、イオン吹出口300からその案内板118に沿って衣類取出口110の前側斜め下方へ向かって吹き出されるよう、本体ケース11の前壁116の前面から衣類取出口110の前側斜め下向きに傾斜している。
【0036】
図4から
図6に示すように、前扉12の後壁126には、前扉12を閉じた状態において吹出口部117の下端側に接触し、イオン吹出口300を閉塞する閉塞部として円弧状の凸部127が膨出形成されている。
【0037】
従って、前扉12が開かれた状態で送風ファン34およびイオン発生器35を作動させると、
図5に矢視したように、本体ケース11内の空気がファンケーシング340内を通って主開口部331から送風通路33内へ送り込まれると共に、その送風通路33内へ送り込まれた空気中にイオン発生器35からイオンが放出される。また、送風ファン34によって主開口部331から送風通路33内へ空気が送り込まれる際のベンチュリ効果によって、副開口部332からも本体ケース11内の空気が送風通路33内へ引き込まれる。そして、このようにして送風通路33内へ送り込まれた空気は、イオンと共に衣類取出口110の前側の外周上方位置から衣類取出口110の前側の開口面に沿って垂直下向きや前方斜め下向きに吹き出される。
【0038】
一方、前扉12が閉じられた状態で送風ファン34およびイオン発生器35を作動させると、
図6に矢視したように、本体ケース11内の空気がファンケーシング340内を通って主開口部331から送風通路33内へ送り込まれるが、このとき、吹出口部117のイオン吹出口300は前扉12に設けられた凸部127によって閉塞されているため、その送風通路33内へ送り込まれた空気は、送風通路33内を副開口部332側へ流れて、イオン発生器35から放出されたイオンと共に副開口部332を通じて本体ケース11の内部空間へ放出される。
【0039】
本実施の形態における衣類乾燥機1では、乾燥運転の開始の指示がなされると、まず、給排気ファン22を作動させると共にドラム13を回転させ、さらにバーナユニット18のバーナを点火させる。すると、
図1に矢視したように、ドラム13内の空気が温風排出口121から蓋部120の内部空間を通って排気ダクト21内へ導かれ、さらに排気出口115から本体ケース11の外部へ排出される。これに伴って、本体ケース11の外部の空気が図示しない給気口から本体ケース11内へ取り込まれる。また、本体ケース11内へ取り込まれた空気は、バーナから放出された燃焼ガスによって加熱されつつ、その燃焼ガスと共に温風ダクト17を通って温風吹出口150から温風としてドラム13内へ導かれる。その結果、ドラム13内で攪拌される衣類Mの水分が次第に蒸発していく。
【0040】
そして、衣類Mが所定の乾燥状態になれば、バーナユニット18のバーナを消火させた上で、送風ファン34およびイオン発生器35を作動させる。すると、
図6に矢視したように、本体ケース11内の空気がイオンと共に副開口部332を通じて本体ケース11の内部空間へ放出される。さらに、この本体ケース11内へ放出された空気およびイオンは、給排気ファン22によって本体ケース11内へ導かれた低温の室内空気と共に温風ダクト17内へ送り込まれ、温風ダクト17を通って温風吹出口150から冷風としてドラム13内へ導かれる(冷風供給動作)。その結果、衣類Mの温度が緩やかに降下していくとともに、衣類Mの表面に帯電した静電気が速やかに除電される。
【0041】
その後、所定時間が経過すれば、衣類Mが適度に冷却され、静電気も適切に除電されたものとして、ドラム13の回転を停止させ、さらに給排気ファン22、送風ファン34およびイオン発生器35を停止させ、乾燥運転を終了させる。
【0042】
また、上述したドラム13内への冷風供給動作の実行中に前扉12が開かれた場合は、送風ファン34およびイオン発生器35を作動させた状態で、ドラム13の回転を停止させ、さらに給排気ファン22を停止させる。すると、
図5に矢視したように、本体ケース11内の空気がイオンと共にイオン吹出口300を通じて垂直下向きや前方斜め下向きに吹き出され、衣類取出口110の前側の開口面にプラスイオンおよびマイナスイオンを含んだエアカーテンが形成される。従って、衣類Mをドラム13内から取り出す際には、使用者の手元や上体の広範囲にプラスイオンおよびマイナスイオンが直接的且つ的確に吹き付けられ、衣類Mや使用者の身体に帯電した静電気が確実に除電される。さらに、このものでは、イオン吹出口300から前方斜め下向きにイオンが吹き出されるように構成されているから、衣類取出口110へ手を差し入れていない間も、使用者の上体に対してイオンが吹き付けられ、その身体に帯電した静電気が速やかに除電される。
【0043】
一方、上述したドラム13内への冷風供給動作が終了した後に前扉12が開かれた場合は、送風ファン34およびイオン発生器35を作動させる。すると、上述した冷風供給動作の実行中に前扉12が開かれた場合と同様、本体ケース11内の空気がイオンと共にイオン吹出口300を通じて垂直下向きや前方斜め下向きに吹き出される。従って、衣類Mをドラム13内から取り出す際には、使用者の手元や上体の広範囲にプラスイオンおよびマイナスイオンが直接的に吹き付けられ、衣類Mや使用者の身体に帯電した静電気が確実に除電される。また、衣類取出口110へ手を差し入れていない間も、使用者の上体に対してイオンが吹き付けられ、その身体に帯電した静電気が速やかに除電される。
【0044】
このように、上記実施の形態に係る衣類乾燥機1によれば、衣類Mをドラム13内から取り出す際、使用者の手元や上体の広範囲にイオンが吹き付けられ、衣類Mや使用者の身体に帯電した静電気が確実に除電されるから、高い除電効果が得られる。また、衣類取出口110へ手を差し入れていない間も、使用者の上体に対してイオンが吹き付けられ、その身体に帯電した静電気が速やかに除電されるから、除電効率も良い。
【0045】
また、衣類取出口110の前側の外周上方位置から下方へ向かってイオンが吹き出されるように構成されているため、洗濯機の上方等の比較的高い場所に設置して使用する場合であっても、使用者の手元や上体へ確実にイオンが吹き付けられ、その身体や衣類Mに帯電した静電気を確実に且つ速やかに除電することができる。
【0046】
特に、このものでは、送風通路33内へ放出されたイオンが、イオン吹出口300に設けられた案内板118に沿って衣類取出口110の前側斜め下向きに吹き出されるから、使用者の手元や上体へ確実に吹き付けられ、その身体や衣類Mに帯電した静電気がより確実に且つ速やかに除電される。従って、より高い除電効果が得られるし、除電効率も向上する。
【0047】
また、このものでは、ドラム13内から衣類Mを取り出す際に比較的放電の発生し易い衣類取出口110の開口面付近へ重点的にイオンが吹き付けられるから、その衣類M相互の重なり合った部分に残留した静電気を効果的に除電することが可能である。従って、一層高い除電効果が得られる。
【0048】
さらに、このものでは、前扉12が閉じられた状態では、送風通路33内へ送り込まれたイオンが本体ケース11の内部へ放出され、給排気ファン22を作動させた際にドラム13内へ供給される一方、前扉12が開かれた状態では、送風通路33内へ送り込まれたイオンが吹出口部117のイオン吹出口300から使用者の手元や上体へ向けて放出されるため、衣類Mや使用者の身体に帯電した静電気が確実且つ速やかに除電される。従って、より一層高い除電効果が得られるし、除電効率も一層向上する。
【0049】
ところで、上記実施の形態に係る衣類乾燥機1のように、ドラム13内の空気を本体ケース11の前側から排気ダクト21を通じて本体ケース11外へ排出させる排気経路を有するものの場合、その排気経路にイオン吹出口300を設けると、送風通路33が本体ケース11の内外を繋ぐ通路となる。そのため、乾燥運転の際に、本体ケース11内の空気の一部がドラム13内を通らないで、送風通路33から排気ダクト21内へ直接的に導かれてしまい、その結果、所定量の温風がドラム13内へ供給されず、乾燥性能を低下させてしまう可能性がある。しかしながら、上記実施の形態に係る衣類乾燥機1では、イオン吹出口300は上記排気経路に設けられておらず、別経路として送風通路33が確立されるから、乾燥運転の際、本体ケース11内の空気の一部がドラム13の内部空間を通らないで、送風通路33から排気ダクト21内へ直接的に導かれることがない。これにより、所定量の温風をドラム13内へ供給することが可能であり、所望の乾燥性能を発揮できる。
【0050】
また、上記実施の形態に係る衣類乾燥機1によれば、衣類取出口110へのイオンの供給とドラム13内へのイオンの供給とを一つの送風ファン34およびイオン発生器35で実現することが可能であるから、衣類乾燥機1の全体の構成を簡素化できる。
【0051】
さらに、扉12が開かれた状態のとき、使用者の手元には、プラスイオンおよびマイナスイオンが共に吹き付けられるため、衣類Mや使用者の身体に正または負のいずれの静電気が帯電していても、これらプラスやマイナスのイオンによって適切に除電される。従って、高い除電効果が得られる。
【0052】
一方、扉12が閉じられた状態のときには、プラスイオンおよびマイナスイオンが共にドラム13内へ供給されるため、そのドラム13内の衣類Mに正または負のいずれの静電気が帯電していても、これらプラスやマイナスのイオンによって適切に除電される。従って、より高い除電効果が得られる。
【0053】
尚、上記実施の形態では、本体ケース11の前壁116に吹出口部117を膨出形成させたものを説明したが、送風通路33の前側に吹出口部を一体形成し、その吹出口部を本体ケース11の前壁116の前方へ突出させた構成としても良い。
【0054】
また、上記実施の形態では、前扉12の後壁126に一体形成された円弧状の凸部127によってイオン吹出口300を閉塞する構成としたが、
図7および
図8に示すように、前扉12の後壁126に円弧帯状のパッキン128を設け、このパッキン128を吹出口部117の下端側に密接させることでイオン吹出口300を閉塞する構成としても良いし、前扉12の後壁126における蓋部120の外周側に円環状の凸部やパッキン等の閉塞部を設け、この閉塞部によってイオン吹出口300を閉塞する構成としても良い。
【0055】
さらに、上記実施の形態では、送風通路33の側面の構成壁に設けたイオン発生器35から送風通路33内へイオンを放出する構成としたが、イオンを送風通路33内へ放出可能であれば、イオン発生器35を、送風通路33の後面の構成壁に設けても良いし、本体ケース11の前壁116に設けても良いし、副開口部332の周縁に設けても良い。
【0056】
また、上記実施の形態では、イオン発生器35からプラスイオンとマイナスイオンとを同時に発生させるように構成されているが、イオン発生器35からプラスイオンまたはマイナスイオンのいずれか一方のみを発生させても良い。