特許第5740345号(P5740345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5740345卵殻と卵殻膜との分離回収方法及び分離回収装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740345
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】卵殻と卵殻膜との分離回収方法及び分離回収装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 5/00 20060101AFI20150604BHJP
   A23L 1/32 20060101ALI20150604BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20150604BHJP
   B01F 1/00 20060101ALI20150604BHJP
   B01F 3/04 20060101ALI20150604BHJP
   B01F 5/02 20060101ALI20150604BHJP
   B01F 15/00 20060101ALI20150604BHJP
   B01F 15/06 20060101ALI20150604BHJP
   B01F 7/18 20060101ALI20150604BHJP
   B01F 13/08 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   B09B5/00 Z
   A23L1/32 ZZAB
   B09B3/00 304Z
   B01F1/00 B
   B01F3/04 A
   B01F5/02 A
   B01F3/04 Z
   B01F15/00 C
   B01F15/06 Z
   B01F7/18 B
   B01F13/08 Z
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-108330(P2012-108330)
(22)【出願日】2012年5月10日
(65)【公開番号】特開2013-233120(P2013-233120A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2014年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】506104932
【氏名又は名称】株式会社ドーモコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(72)【発明者】
【氏名】秋草 憲弥
【審査官】 増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−263629(JP,A)
【文献】 特開昭52−012514(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0159816(US,A1)
【文献】 特表2001−519712(JP,A)
【文献】 特公平04−042942(JP,B2)
【文献】 特開平07−184605(JP,A)
【文献】 特開平08−173838(JP,A)
【文献】 特開平03−045264(JP,A)
【文献】 特開2002−253112(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0272502(US,A1)
【文献】 特開昭59−71667(JP,A)
【文献】 米国特許第6176376(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 5/00
A23L 1/32
B01F 1/00
B01F 3/04
B01F 5/02
B01F 7/18
B01F 13/08
B01F 15/00
B01F 15/06
B09B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵殻から卵殻膜を分離回収する方法であって、卵殻内から付着した卵白及び卵黄を洗浄除去した後、該卵殻の内面側を下に向けて水に浸漬する浸漬工程と、卵殻を浸漬した水に加圧下で炭酸ガスを充填し高濃度の炭酸水溶液を生成する加圧工程と、炭酸水溶液の圧力を減圧して炭酸水溶液中にマイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生工程と、マイクロバブルが発生した炭酸水溶液に加圧下にて炭酸ガスを再補充する再加圧工程と、卵殻の乳頭核が溶解した時点で卵殻から卵殻膜を分離し夫々を回収する回収工程と、を有することを特徴とする卵殻と卵殻膜との分離回収方法。
【請求項2】
各種卵の空の卵殻から卵殻膜を分離回収する装置であって、卵殻の内面側を下に向けて収納する卵殻ケースと、冷却及び加圧された炭酸水溶液を貯留する耐圧タンクとで構成され、該耐圧タンクに、卵殻を収納した卵殻ケースごと耐圧タンクの炭酸水溶液内に浸漬した状態で耐圧タンク内の炭酸水溶液に炭酸ガスを吹き込んで炭酸ガスを補充するガスノズルと、耐圧タンク内の炭酸水溶液の圧力を減圧して炭酸水溶液中にマイクロバブルを発生させる圧抜き弁と、を備え、卵殻ケース上の卵殻の乳頭核が溶解した時点で卵殻膜と卵殻とをそれぞれ回収することを特徴とする卵殻と卵殻膜との分離回収装置。
【請求項3】
前記耐圧タンクは、前記炭酸水溶液を貯留する容器体と、該容器体の開口上部を密閉する蓋体とで構成され、耐圧タンクに貯留した炭酸水溶液を大型冷蔵庫の内部で耐圧タンクごと冷却するように構成した請求項2記載の卵殻と卵殻膜との分離回収装置。
【請求項4】
前記耐圧タンクは、耐圧タンク内の水溶液と炭酸ガスとを混合して炭酸水溶液の濃度を平均化する混合羽根を備え、該混合羽根は、前記蓋体の上端部に装着したマグネットカップリングに回転軸が連結され、該マグネットカップリングを介して装着されたエアモータにて回転するように構成した請求項2又は3記載の卵殻と卵殻膜との分離回収装置。
【請求項5】
前記混合羽根は、前記耐圧タンクに貯留した水溶液の水面付近から水面上部を撹拌する上部混合羽根と、該上部混合羽根の下に設置され、炭酸水溶液内に下向きの流れを形成するように撹拌する下部混合羽根とで構成された請求項4記載の卵殻と卵殻膜との分離回収装置。
【請求項6】
前記卵殻ケースは、前記卵殻を個別に隔離収納する網目状を成し、卵殻の乳頭核が溶解して分離した卵殻ケース上の卵殻と卵殻膜とを卵殻ケースごと回収するように構成した請求項2記載の卵殻と卵殻膜との分離回収装置。
【請求項7】
前記卵殻ケースは、前記卵殻を個別に隔離収納する網目状を成し、卵殻全てが溶解した時点で残った卵殻膜を卵殻ケースごと回収し、卵殻が溶解した耐圧タンク内の炭酸水溶液を加熱して卵殻の成分を析出回収するように構成した請求項2記載の卵殻と卵殻膜との分離回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種卵の卵殻と卵殻膜とを分離して夫々を優れた資源として活用することができる卵殻と卵殻膜との分離回収方法及び分離回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
卵は、黄身、白身、卵殻、全てが人間の役に立ち、本来まったく捨てるところがない優れた資源である。しかしながら卵殻及び卵殻膜だけは、そのまま放置すると付着した卵白や卵黄が腐敗して悪臭を放つため、大半は産業廃棄物として処理されている。現在、日本全国の業界全体で6万6500トンが産業廃棄物として処理され、この処理費用は液卵工場だけでも年間11億〜16億円程度が費やされている。優れた資源である卵殻の活用が日本はおろか世界のどの国でも行われていない理由は、卵殻と卵殻膜が強固に張り付いており、この卵殻膜の剥離が困難なことが原因に挙げられる。
【0003】
卵殻と卵殻膜とが強固に張り付いているのは、図10に示すように、卵殻1を構成している結晶状のパリセード層1Aにおける乳頭層1Bの乳頭核1Cと称する先端部分が、卵殻膜2を構成する蛋白質の網目状の繊維内部に入り込み、乳頭核1Cが卵殻膜2に連続した状態になっている卵殻特有の構造による。
【0004】
そこで、卵殻から卵殻膜を分離する従来の方法として、これまで大別して二つの方法が提案されている。一つは、特許文献1に記載されている如く、卵殻を塩酸、硫酸、酢酸等の弱酸性水溶液に浸漬して卵殻膜を剥離する方法である。
【0005】
二つ目は、例えば特許文献2、3に記載されているように、卵殻を細かく砕き、卵殻と卵殻膜との比重差を利用して卵殻膜を分離する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭52‐12514号公報
【特許文献2】特公平4‐42942号公報
【特許文献3】特開2002‐263629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
卵殻膜の主要構成成分はタンパク質である。このタンパク質は、熱・酸・圧力などによって変性(化学的、物理的性質等が変化する現象)することが知られている。
【0008】
そのため、特許文献1の如く、塩酸、硫酸、酢酸等の弱酸性水溶液に卵殻を浸漬して卵殻膜を剥離する方法では、卵殻を分離することはできても、卵殻膜を構成するタンパク質が弱酸性の影響を受けて変性するので、卵殻膜を回収することはできない。また、アルコール、エーテル等の有機溶剤などを使用しても、卵殻膜を効率良く分離することは困難であった。
【0009】
一方、特許文献2、3に記載されているように、卵殻を細かく砕き、卵殻と卵殻膜との比重差を利用して卵殻膜を分離する方法では、卵殻に卵殻膜が付着した部分が残るため効率の良い回収とはいえなかった。しかも、比重差を利用して分離する方法では、粉砕手段に加え、砕いた卵殻膜と卵殻とのふるい分け手段、更にふるい分けした卵殻膜と卵殻とを比重差で選別する選別手段など、多くの工程やその工程に伴う各種の装置が必要になっていた。したがって、装置全体として極めて大掛かりな構成になり、分離回収に極めて多くのコストやエネルギーが必要になる。
【0010】
そこで本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、極めて回収効率が良くエネルギーの使用が少なくて済み、しかも卵殻膜のタンパク質が変性しない卵殻と卵殻膜との分離回収方法及び分離回収装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、卵殻1から卵殻膜2を分離回収する方法であって、卵殻1内から付着した卵白及び卵黄を洗浄除去した後、該卵殻1の内面側を下に向けて水に浸漬する浸漬工程100と、卵殻1を浸漬した水に加圧下で炭酸ガスを充填し高濃度の炭酸水溶液Pを生成する加圧工程200と、炭酸水溶液Pの圧力を減圧して炭酸水溶液P中にマイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生工程300と、マイクロバブルが発生した炭酸水溶液Pに加圧下にて炭酸ガスを再補充する再加圧工程400と、卵殻の乳頭核が溶解した時点で卵殻1から卵殻膜2を分離し夫々を回収する回収工程500と、を有する分離回収方法にある。
【0012】
第2の手段は、各種卵の空の卵殻1から卵殻膜2を分離回収する装置であって、卵殻1の内面側を下に向けて収納する卵殻ケース3と、冷却及び加圧された炭酸水溶液Pを貯留する耐圧タンク10とで構成され、該耐圧タンク10に、卵殻1を収納した卵殻ケース3ごと耐圧タンク10の炭酸水溶液P内に浸漬した状態で耐圧タンク10内の炭酸水溶液Pに炭酸ガスを吹き込んで炭酸ガスを補充するガスノズル14と、耐圧タンク10内の炭酸水溶液Pの圧力を減圧して炭酸水溶液P中にマイクロバブルを発生させる圧抜き弁18と、を備え、卵殻ケース3上の卵殻の乳頭核が溶解した時点で卵殻膜2と卵殻1とをそれぞれ回収することにある。
【0013】
第3の手段において、前記耐圧タンク10は、前記炭酸水溶液Pを貯留する容器体11と、該容器体11の開口上部を密閉する蓋体12とで構成され、耐圧タンク10に貯留した炭酸水溶液Pを大型冷蔵庫Qの内部で耐圧タンク10ごと冷却するように構成したことにある。
【0014】
第4の手段において、前記耐圧タンク10は、耐圧タンク10内の水溶液と炭酸ガスとを混合して炭酸水溶液Pの濃度を平均化する混合羽根13を備え、該混合羽根13は、前記蓋体12の上端部に装着したマグネットカップリング20に回転軸13Cが連結され、該マグネットカップリング20を介して装着されたエアモータ30にて回転するように構成したものである。
【0015】
第5の手段において、前記混合羽根13は、前記耐圧タンク10に貯留した水溶液の水面付近から水面上部を撹拌する上部混合羽根13Aと、該上部混合羽根13Aの下に設置され、炭酸水溶液P内に下向きの流れを形成するように撹拌する下部混合羽根13Bとで構成されている。
【0016】
第6の手段の前記卵殻ケース3は、前記卵殻1を個別に隔離収納する網目状を成し、卵殻1の乳頭核1Cが溶解して分離した卵殻ケース3上の卵殻1と卵殻膜2とを卵殻ケース3ごと回収するように構成したものである。
【0017】
第7の手段の前記卵殻ケース3は、前記卵殻1を個別に隔離収納する網目状を成し、卵殻1全てが溶解した時点で残った卵殻膜2を卵殻ケース3ごと回収し、卵殻1が溶解した耐圧タンク10内の炭酸水溶液Pを加熱して卵殻1の成分を析出回収するように構成したものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に記載のごとく、炭酸水溶液Pの圧力を減圧して炭酸水溶液P中にマイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生工程300により、マイクロバブルは卵殻1の表面に大量に付着し、且つ、炭酸水溶液P中に長い時間留まることになる。更に、マイクロバブルが発生した炭酸水溶液Pに加圧下にて炭酸ガスを再補充する再加圧工程400により、マイクロバブルとして付着していた炭酸ガスと水と卵殻1(炭酸カルシウム)とが反応し、卵殻1において卵殻膜2と接合している部分が炭酸水素カルシウムとなって水溶化する。この結果、卵殻1の乳頭核が溶解した時点で卵殻1から卵殻膜2を分離することができるので、回収工程500にて卵殻1と卵殻膜2とを夫々回収することができる。
【0019】
請求項2のように、卵殻1を収納する卵殻ケース3と、冷却及び加圧された炭酸水溶液Pを貯留する耐圧タンク10とで構成され、該耐圧タンク10に、耐圧タンク10内の炭酸水溶液Pに炭酸ガスを吹き込んで炭酸ガスを補充するガスノズル14と、耐圧タンク10内の炭酸水溶液Pの圧力を減圧して炭酸水溶液P中にマイクロバブルを発生させる圧抜き弁18と、を備えたことで、炭酸水溶液P中にマイクロバブルを容易に発生させることが可能になる。この結果、炭酸水溶液Pで卵殻膜2及び卵殻1を分離回収することが可能になり、卵殻膜のタンパク質に変性を生じさせずに卵殻と卵殻膜とを容易に分離回収することができる。しかも、卵殻を細かく砕き比重差を利用して分離する方法に比べて極めて回収効率が良く資源エネルギーの使用が少なくて済む。
【0020】
請求項3のごとく、耐圧タンク10に貯留した炭酸水溶液Pを大型冷蔵庫Qの内部で耐圧タンク10ごと冷却するように構成したことにより、シンプルな構成でありながら、一定の圧力下で炭酸水溶液Pを効率良く冷却することができる。この結果、卵殻から卵殻膜を分離する作用を促進し、極めて効率の良い回収が可能になる。
【0021】
請求項4によると、炭酸水溶液Pの濃度を平均化する混合羽根13を備えているので、耐圧タンク10内に貯留した水溶液に効率良く均一に炭酸ガスを溶け込ませることができる。更に、マグネットカップリング20を介して装着したエアモータ30にて混合羽根13を回転するように構成したことで、耐圧タンク10内から炭酸ガスの漏出がなく、しかも、低温の大型冷蔵庫Q内でもエアモータ30によって混合羽根13を確実に連続回転させることができるものである。
【0022】
請求項5のごとく、前記混合羽根13は、上部混合羽根13Aと下部混合羽根13Bとで構成されているので、上部混合羽根13Aが炭酸水溶液Pの上面に溜まった炭酸ガスを再び炭酸水溶液P内に取り込み、下部混合羽根13Bが均一の濃度の炭酸水溶液Pを生成する。したがって、これらを同時に回転させる混合羽根13により、極めて効率良く炭酸水溶液Pを生成することができるようになった。
【0023】
請求項6のように、卵殻ケース3は、卵殻1を個別に隔離収納する網目状を成し、卵殻1の乳頭核1Cが溶解して分離した卵殻ケース3上の卵殻1と卵殻膜2とを卵殻ケース3ごと回収するように構成したことにより、卵殻1と卵殻膜2とのいずれも原型を留めた状態で回収することができる。しかも、回収時間が極めて早くなる利点がある。
【0024】
請求項7のように、前記卵殻ケース3は、前記卵殻1を個別に隔離収納する網目状を成し、卵殻1全てが溶解した時点で残った卵殻膜2を卵殻ケース3ごと回収し、卵殻1が溶解した耐圧タンク10内の炭酸水溶液Pを加熱して卵殻1の成分を析出回収するように構成したことにより、どのような種類の卵でも、確実に卵殻1を分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施例を示す概略図である。
図2】本発明のマグネットカップリングの一実施例を示す側面図である。
図3】本発明の混合羽根の一実施例を示す底面図である。
図4】本発明の収納ケースの一実施例を示す平面図である。
図5】本発明の収納ケースの一実施例を示す側面断面図である。
図6】本発明の収納ケースの一実施例を示す分解斜視図である。
図7】卵殻の乳頭核が溶解した時点で回収する手段を示す側面図である。
図8】卵殻が全て溶解した時点で回収する手段を示す側面図である。
図9】本発明の大型冷蔵庫の一実施例を示す概略図である。
図10】卵殻と卵殻膜の構成を示す要部拡大斜視図である。
図11】容器内圧と温度に対する二酸化炭素の溶解度を示す図である。
図12】炭酸ガス圧と温度に対する炭酸カルシウムの溶解度を示す図である。
図13】本発明の回収方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明によると、極めて回収効率が良く資源エネルギーの使用が少なくて済み、しかも卵殻膜のタンパク質に変性を生じさせずに卵殻と卵殻膜とを分離回収することができるなどといった当初の目的を達成した。
【実施例】
【0027】
本発明は、鶏卵のほか、スッポン卵やウズラ卵などの各種卵の卵殻1と卵殻膜2とを分離回収する方法及び装置である。本発明回収方法は、浸漬工程100、加圧工程200、マイクロバブル発生工程300、再加圧工程400、回収工程500にて回収される(図13参照)。
【0028】
浸漬工程100は、卵殻1内から付着した卵白及び卵黄を洗浄除去した後、該卵殻1を水に浸漬する工程である。加圧工程200は、卵殻1を浸漬した水に加圧下で炭酸ガスを充填して高濃度の炭酸水溶液Pを生成する工程である。
【0029】
マイクロバブル発生工程300は、炭酸水溶液Pの圧力を減圧して炭酸水溶液P中にマイクロバブルを発生させる工程である。この工程で、圧力下で高濃度の炭酸水溶液Pの中に溶解された炭酸ガスは、減圧されることで、過飽和状態になり、水溶液から飛び出そうとする過程で大量のマイクロバブルが発生する。このマイクロバブルは、直径が50μm以下の超微小気泡であり、水面への上昇速度が極めて遅い。しかも、マイクロバブルの炭酸ガスは、卵殻1に大量に付着するので、卵殻1の周囲に炭酸ガスを長時間接触させることが可能になる。
【0030】
再加圧工程400は、マイクロバブルが発生した炭酸水溶液Pに加圧下にて炭酸ガスを再補充する工程である。この工程で、炭酸ガスを再補充すると、卵殻1に大量に付着していたマイクロバブルの炭酸ガスと水と卵殻1の炭酸カルシウムとが反応し、卵殻1表面は炭酸水素カルシウムとなって水溶化する。
【0031】
回収工程500は、卵殻1の乳頭核が溶解した時点で卵殻1から卵殻膜2を分離し夫々を回収する工程である。このとき、卵殻1の乳頭核が溶解した時点とは、溶解が始まった時点から、全て溶解した時点までを含むものである。
【0032】
本発明装置の基本構成は、卵殻1を収納する卵殻ケース3と、冷却及び加圧された炭酸水溶液Pを貯留する耐圧タンク10とで構成されている。この耐圧タンク10は、前記炭酸水溶液Pを貯留する容器体11と、該容器体11の開口上部を密閉する蓋体12とを備え、耐圧タンク10に貯留した炭酸水溶液Pを大型冷蔵庫Qの内部で耐圧タンク10ごと冷却するように構成している。
【0033】
耐圧タンク10は、ガスノズル14と圧抜き弁18とを備えている。ガスノズル14は、耐圧タンク10内の水溶液に加圧下で炭酸ガスを吹き込み、高濃度の炭酸水溶液Pを生成する部材である。炭酸ガスの充填は、卵殻1を収納した卵殻ケース3ごと耐圧タンク10の水溶液内に浸漬した状態で行う。圧抜き弁18は、耐圧タンク10内の炭酸水溶液Pの圧力を減圧する弁で、炭酸水溶液P中にマイクロバブルを発生させる際に使用する。
【0034】
図示の耐圧タンク10は、Oリング12Aを介した蓋体12を容器体11の開口上部に開閉自在に装着したもので、この蓋体12には、さらに耐圧タンク10内の圧力を計測する圧力計17やこの圧力を調整する圧抜き弁18、耐圧タンク10の安全性を確保する安全弁19が装着されている(図1参照)。容器体11の底部には、耐圧タンク10から炭酸水溶液Pを排出する排水口11Bが網11Aを介して設けられている。この排水口11Bには排水弁16が連結されており、この排水弁16を介して炭酸水溶液Pを排出するものである。
【0035】
さらに、耐圧タンク10の内部には、混合羽根13とガスノズル14とを備えている。ガスノズル14は、貯留した水溶液に炭酸ガスを吹き込むことで、耐圧タンク10内で炭酸水溶液Pを生成するものである。図示例では、大型冷蔵庫Q内の耐圧タンク10に炭酸ガスを供給するために、予め大型冷蔵庫Qの外部に炭酸ガスを供給する炭酸ボンベQ1を備えておき、この炭酸ボンベQ1からホースを介して耐圧タンク10のガス入口弁15に連結している(図9参照)。そして、このガスノズル14から耐圧タンク10内の水溶液中に炭酸ガスを充填して炭酸水溶液Pを生成すると共に、生成された炭酸水溶液Pの炭酸ガス濃度を一定にするために炭酸ガスを補充する。
【0036】
混合羽根13は、耐圧タンク10内の水溶液と炭酸ガスとを混合して炭酸水溶液Pの生成を促進させると共に、炭酸水溶液Pの濃度を平均化するものである(図1参照)。図示の混合羽根13は、前記蓋体12の上端部に装着したマグネットカップリング20に回転軸13Cを連結し、該マグネットカップリング20を介して装着したエアモータ30にて回転するように構成している。このエアモータ30は、圧縮空気の力で回転せしめるモータで、特に、寒冷地などでも安定した回転力が得られるものである。図示のエアモータ30は、予め大型冷蔵庫Qの外部に備えてあるコンプレッサQ2からホースを介して連結部30に圧縮空気を供給するものである(図9参照)。尚、図9中、符号Q3はガスリーク、符号Q4はサイレンサを示している。なおQ3とQ4は兼用も可能である。
【0037】
図示のマグネットカップリング20は、隔壁23内の内ローター22を、磁力を用いて隔壁23外の外ローター24で回転せしめるもので、外ローター24はエアモータ30にて回転させ、内ローター22に連結した回転軸13Cを回転せしめるものである(図2参照)。この回転軸13Cは、蓋体12の貫通口12Bを貫通しているが、隔壁23内の軸受21が密封状態で回転軸13Cを支持している。尚、軸受21は、Oリング21Aを介して蓋体12に装着されており、この軸受21にベアリング21Bを介して回転軸13Cが装着されている。
【0038】
更に、混合羽根13は、上部混合羽根13Aと下部混合羽根13Bとを1本の回転軸13Cに固定した構造を成している(図3参照)。上部混合羽根13Aは、耐圧タンク10に貯留した水溶液の水面付近から水面上部を撹拌する部位である(図1参照)。また、下部混合羽根13Bは、上部混合羽根13Aの下に設置され、炭酸水溶液P内に下向きの流れを形成するように撹拌する部位である。これら上部混合羽根13Aと下部混合羽根13Bとは、エアモータ30の駆動力にて回転軸13Cが回転することにより同時に回転する。炭酸ガスは、低温下で水と撹拌して混ぜるほど水に溶け込む性質を有している。そのため、水面上の炭酸ガスや充填された炭酸ガスを効率良く撹拌して炭酸水溶液Pにさらに取り込むことで、濃度の高い炭酸水溶液Pを生成することが可能になる。
【0039】
卵殻ケース3は、卵殻膜2付の卵殻1を収納した状態で卵殻ケース3ごと耐圧タンク10の炭酸水溶液P内に浸漬するものである(図1参照)。そして、炭酸水溶液Pの作用で卵殻膜2と卵殻1とを分離すると共に、分離された卵殻ケース3上の卵殻膜2と、卵殻膜2を分離した卵殻1とをそれぞれ回収する。
【0040】
この回収手段は、卵殻1内から付着した卵白及び卵黄を洗浄除去した後、該卵殻1を炭酸水溶液Pに浸漬することで卵殻1から卵殻膜2を分離させ、夫々を回収するものである。すなわち、炭酸水溶液P内に卵殻1を浸漬すると、次のような反応が起こり、炭酸カルシウムは水と炭酸ガスと結び付き、「炭酸水素カルシウム」となる。この炭酸水素カルシウムが水溶性であるため、水は「炭酸水素カルシウム水溶液」となるので、卵殻1は水に溶解し、卵殻膜2は残ることになる。
「CaCO3+H2O+CO2→Ca(HCO32
尚、浸漬させる炭酸水溶液Pは、炭酸ガスボリューム2.0v/v以上であることが好ましく、より好ましくは炭酸ガスボリューム4.0v/v以上である。
【0041】
卵殻ケース3は、卵殻1を個別に隔離収納する網目状を成している。そして、炭酸水溶液Pの作用で卵殻1の乳頭核1Cが溶解すると、卵殻1から卵殻膜2が分離する。さらに、分離した卵殻膜2と卵殻1とは、別々になった状態で卵殻ケース3上に収容される(図7(ロ)参照)。そこで、分離した卵殻1と卵殻膜2とを卵殻ケース3ごと回収するものである。
【0042】
このような分離手段によると、比較的短時間で回収することができる。例えば、炭酸ガスボリューム4v/v(水温4℃、圧力2.0Kg/cm2)の条件では、スッポン卵1〜2日間、ウズラ卵2〜3日間、鶏卵3〜5日間炭酸水溶液Pに浸漬する。また、炭酸ガスボリューム8v/v(水温4℃、圧力5.0Kg/cm2)の条件下での浸漬日数は、スッポン卵約1日間、ウズラ卵1〜2日間、鶏卵2〜3日間となる。浸漬後、図7(イ)のように、耐圧タンク10から卵殻ケース3と卵殻1を取り出して乾燥させると、同図(ロ)の如く、卵殻膜2が卵殻1から自然に剥離して分離するので、夫々回収する。
【0043】
また、乳頭核1Cの溶解のみでなく卵殻1を全溶解させることができる。この場合は、卵殻1全てが溶解した時点で残った卵殻膜2を卵殻ケース3ごと回収し、卵殻1が溶解した炭酸水溶液Pを加熱して卵殻1の成分を析出回収する手段となる。
【0044】
すなわち、卵殻1全てが溶解した時点で回収する手段では、卵殻ケース3から卵殻膜2を回収した後、卵殻1が溶解している水を加熱する。そうすると、炭酸水素カルシウムの溶解度が低下し、炭酸水素カルシウムは、次のように、水と炭酸ガスと炭酸カルシウムに分離する。
「Ca(HCO32→CaCO3+H2O+CO2
水に溶けない炭酸カルシウムは沈殿するので、この沈殿物を回収する(図8参照)。この回収方法では浸漬させる炭酸水溶液の圧力・温度・炭酸ガスボリュームによって溶解できる卵殻量が決まる(図12参照)。そのため、予め計算した上で溶解可能量の卵殻を浸漬させることになる。例えば、水温10℃で炭酸ガス圧1×105 Paの炭酸水溶液に浸漬させる場合には、炭酸カルシウムの溶解度は 1.11g / 水 1dm3なので、炭酸水溶液1Lに対して1gの卵殻という割合を目安に浸漬させると良い(表1参照)。なお所要日数は、卵の厚みやサイズ、種類によって異なるが、炭酸ガスボリューム4v/v(水温4℃、圧力2.0Kg/cm2)の条件では、スッポン卵なら約4日、鶏卵なら約10日で卵殻は完全に溶解する。
【表1】
【0045】
卵殻ケース3は、洗浄した卵殻1を設置するケースである。好ましくは、この卵殻ケース3の中に、卵の内面側を下に向けて卵殻1を設置する(図7、8参照)。逆に内面側を上に向けて卵殻1を設置すると、溶解及び剥離した卵殻が水の攪拌に伴い卵殻内に入って卵殻膜に付着したり溜まったりしてしまう。内面側を下にして卵殻1を設置すればこのような不都合が解消され、卵殻膜2が卵殻1から分離するので卵殻膜2の回収に都合がよくなる。また内面側を下にすることでマイクロバブルの付着率も向上する。このとき、卵殻1同士が重なり合っていると、接触面は炭酸水溶液Pに触れることができずに分離効率が低下する。そのため、卵殻ケース3は、網目状に形成され、卵殻1を個別に収納できるように仕切3Aが設けられている(図4参照)。図示例では、卵殻ケース3の開口上部に蓋4を施蓋すると共に、卵殻ケース3の下端部に脚3Bを設けてある(図5参照)。そして、網を重ねる際には脚3Bと開口上部3Cが相互に組み合うため安定し、かつ網同士が重なって網目が密になることなく積み重ねることができる(図6参照)。なお、実験によると、卵殻ケース3や蓋4の網目は28メッシュ程度が好ましい。
【0046】
卵殻1を浸漬する炭酸水溶液Pは、冷却及び加圧下にて炭酸ガスを補充すると、炭酸ガスの溶解度が高くなる(図11参照)。しかも、カルシウムと反応することで減少する炭酸ガスを順次補うことによって、炭酸水溶液Pの炭酸ガスボリュームを常に高い状態に保ち反応を促進することができる。但し、水温0℃以下では氷結するので炭酸水溶液Pを作れない。一方、圧力は高い方が炭酸ガスの溶解度が高くなるが、この圧力に耐え得る圧力タンクが必要になるので、圧力が高くなるほどタンクが大型化することになる。そのため、これまでの実験による最適条件として、水温4℃以下、圧力5.0Kg/cm2程度の条件下で、炭酸ガスボリューム8.55v/vを目安に調整するのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明分離回収方法及びその装置により得られた卵殻1は、肥料等の土壌改造剤、食品のカルシウム補強剤、台所用品などとして利用可能である。また、特殊な分野では、人工プラスチック、きのこの培地、超大型ポスター紙、生分解性物質などへの利用も可能である。
【0048】
一方、卵殻膜2は、一般的な分野で人工皮膚、栄養剤、光学フィルター、可食性包装材などに利用され、専門的分野として、廃液浄化(脱色)、重金属(金、銀、白金、ウラン、パラジウム)の回収(吸着)、ペプチドの生産などに利用することが可能である。
【0049】
また、本発明の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で自由な設計変更が可能である。更に、卵殻ケース3の大きさを変えることにより、鶏卵、スッポン卵、ウズラ卵のほか、どのような種類の卵にも使用することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
P 炭酸水溶液
Q 大型冷蔵庫
1 卵殻
2 卵殻膜
3 卵殻ケース
3A 仕切
3B 脚
4 蓋
10 耐圧タンク
11 容器体
11A 網
11B 排水口
12 蓋体
12A Oリング
12B 貫通口
13 混合羽根
13A 上部混合羽根
13B 下部混合羽根
14 ガスノズル
15 ガス入口弁
16 排水弁
17 圧力計
18 圧抜き弁
19 安全弁
20 マグネットカップリング
21 軸受
22 内ローター
23 隔壁
24 外ローター
25 ローターカバー
30 エアモータ
40 台車
41 キャスター
100 浸漬工程
200 加圧工程
300 マイクロバブル発生工程
400 再加圧工程
500 回収工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13