特許第5740359号(P5740359)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740359
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】プリンタと、その制御回路
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/32 20060101AFI20150604BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20150604BHJP
   B41J 25/34 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   B41J2/32 Z
   B41J2/325 A
   B41J25/34
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-149534(P2012-149534)
(22)【出願日】2012年7月3日
(65)【公開番号】特開2014-8772(P2014-8772A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2013年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100159651
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 成男
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】林 克宗
【審査官】 大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−172775(JP,A)
【文献】 特開平08−197818(JP,A)
【文献】 特開平09−123564(JP,A)
【文献】 特許第4339055(JP,B2)
【文献】 特開2008−142995(JP,A)
【文献】 特開2008−155563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/32
B41J 2/325
B41J 25/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解像度がそれぞれ異なる複数種類のプリントヘッドを択一的に接続可能なコネクタと、
モータと、
前記モータの1ステップ当たりの回転量である単位回転量をそれぞれ異ならせる複数のモータ駆動状態で前記モータを駆動するモータ駆動回路と、
前記モータの回転力によりプリント媒体を前記コネクタに接続された前記プリントヘッドに面して搬送する搬送機構と、
前記搬送機構による前記プリント媒体の搬送方向に関しての1ドット当たりの前記モータのステップ数である単位ステップ数を前記搬送機構による搬送速度を変更すること無しにそれぞれ異ならせる複数のヘッド駆動状態で前記コネクタに接続された前記プリントヘッドを駆動するヘッド駆動回路と、
前記コネクタに接続された前記プリントヘッドの種類を判定する判定手段と、
前記判定手段が判定した種類に予め関連付けられたモータ駆動状態およびヘッド駆動状態とするようにモータ駆動回路および前記ヘッド駆動回路を制御する制御手段とを具備することを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記プリントヘッドの種類は、第1の種類と、前記第1の種類に対して約1.5倍の解像度を持つ第2の種類とであり、
前記複数のヘッド駆動状態は、前記単位ステップ数を第1のステップ数とする第1のヘッド駆動状態と、前記単位ステップ数を前記第1のステップ数である2/3の第2のステップ数とする第2のヘッド駆動状態とであり、
前記制御手段は、前記判定手段が判定した種類が前記第1の種類であるときには前記第1のヘッド駆動状態とし、前記判定手段が判定した種類が前記第2の種類であるときには前記第2のヘッド駆動状態とするよう前記ヘッド駆動回路を制御することを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記プリントヘッドの種類は、第1の種類と、前記第1の種類に対して約1.5倍の解像度を持つ第2の種類と、前記第1の種類に対して約2倍の解像度を持つ第3の種類とであり、
前記複数のモータ駆動状態は、前記単位回転量を第1の回転量とする第1のモータ駆動状態と、前記単位回転量を前記第1の回転量の1/2である第2の回転量とする第2のモータ駆動状態とであり、
前記複数のヘッド駆動状態は、前記単位ステップ数を第1のステップ数とする第1のヘッド駆動状態と、前記単位ステップ数を前記第1のステップ数である2/3の第2のステップ数とする第2のヘッド駆動状態とであり、
前記制御手段は、前記判定手段が判定した種類が前記第1の種類であるときには前記第1のモータ駆動状態および前記第1のヘッド駆動状態とし、前記判定手段が判定した種類が前記第2の種類であるときには前記第1のモータ駆動状態および前記第2のヘッド駆動状態とし、前記判定手段が判定した種類が前記第3の種類であるときには前記第2のモータ駆動状態および前記第1のヘッド駆動状態とするよう前記モータ駆動回路および前記ヘッド駆動回路を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記ヘッド駆動回路は、形成するドットの大きさを変化させることが可能であり、
前記制御手段は、前記判定手段が判定した種類が前記第1の種類であるときには第1の大きさのドットを形成し、前記判定手段が判定した種類が前記第2の種類であるときには前記第1の大きさよりも小さな第2の大きさのドットを形成するように前記ヘッド駆動回路を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項5】
解像度がそれぞれ異なる複数種類のプリントヘッドを択一的に接続可能なコネクタと、
モータと、
前記モータの1ステップ当たりの回転量である単位回転量をそれぞれ異ならせる複数のモータ駆動状態で前記モータを駆動するモータ駆動回路と、
前記モータの回転力によりプリント媒体を前記コネクタに接続された前記プリントヘッドに面して搬送する搬送機構と、
前記搬送機構による前記プリント媒体の搬送方向に関しての1ドット当たりの前記モータのステップ数である単位ステップ数を前記搬送機構による搬送速度を変更すること無しにそれぞれ異ならせる複数のヘッド駆動状態で前記コネクタに接続された前記プリントヘッドを駆動するヘッド駆動回路とを具備したプリンタを制御する制御回路であり、
前記コネクタに接続された前記プリントヘッドの種類を判定する判定手段と、
前記判定手段が判定した種類に予め関連付けられたモータ駆動状態およびヘッド駆動状態とするように前記モータ駆動回路および前記ヘッド駆動回路を制御する制御手段とを具備することを特徴とする制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリンタと、その制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
プリントヘッドによる主走査と搬送機構によりプリント媒体を搬送することによる副走査とを同期して行うプリンタは知られている。
【0003】
この種のプリンタにおいて解像度を変更可能とするためには、搬送速度がそれぞれ異なる複数の搬送機構を切り換えて使用可能とするような構造とすることが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4339055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、複数の搬送機構を備える上に、それらの搬送機構を切り換えるための機構をも必要とするために、構造が複雑であった。
【0006】
このような事情から、簡易な構成により複数の解像度でのプリントを選択的に行えることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のプリンタは、コネクタ、モータ、モータ駆動回路、搬送機構、ヘッド駆動回路、判定手段および制御手段を備える。コネクタは、解像度がそれぞれ異なる複数種類のプリントヘッドを択一的に接続可能である。モータ駆動回路は、モータの1ステップ当たりの回転量である単位回転量をそれぞれ異ならせる複数のモータ駆動状態で前記モータを駆動する。搬送機構は、前記モータの回転力によりプリント媒体を前記コネクタに接続された前記プリントヘッドに面して搬送する。ヘッド駆動回路は、前記搬送機構による前記プリント媒体の搬送方向に関しての1ドット当たりのモータのステップ数である単位ステップ数を前記搬送機構による搬送速度を変更すること無しにそれぞれ異ならせる複数のヘッド駆動状態でコネクタに接続されたプリントヘッドを駆動する。判定手段は、コネクタに接続されたプリントヘッドの種類を判定する。制御手段は、判定手段が判定した種類に予め関連付けられたモータ駆動状態およびヘッド駆動状態とするようにモータ駆動回路およびヘッド駆動回路を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るサーマルプリンタの構成を模式的に示す図。
図2図1中の判定回路の構成を示す図。
図3図1中の設定回路による処理のアルゴリズムを示す図。
図4】第1の種類のサーマルヘッドを使用する場合におけるパルスシーケンスを示す図。
図5】第2の種類のサーマルヘッドを使用する場合におけるパルスシーケンスを示す図。
図6】第3の種類のサーマルヘッドを使用する場合におけるパルスシーケンスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下実施の形態の一例を図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、プリンタとしてサーマルプリンタを例に説明する。
【0010】
図1は本実施形態に係るサーマルプリンタ100の構成を模式的に示す図である。
【0011】
図1に示すようにサーマルプリンタ100は、サーマルヘッド1、ステッピングモータ2、搬送機構3、カッタユニット4、コネクタ5、インタフェース(I/F)6、ヘッド駆動回路7、モータ駆動回路8、搬送制御ユニット9および主制御ユニット10を含む。
【0012】
サーマルヘッド1は、プリントヘッドの一種であり、複数の発熱素子のそれぞれの発熱によりプリント用紙Pにドットを形成するとともに、多数のドットの配列によりプリント用紙Pに任意の画像をプリントする。複数の発熱素子は、図1中の奥行き方向に沿って直線状に一定の間隔で並ぶ。発熱素子は、1列のみであっても良いし、複数列であっても良い。サーマルヘッド1は、発熱素子への通電時間を変化させることによって、形成するドットの大きさを変化させることができる。
【0013】
ステッピングモータ2は、モータの一種であり、プリント用紙Pを搬送するための駆動力としての回転力を発生する。
【0014】
搬送機構3は、ギア31、32、33、34、プラテンローラ35およびガイドローラ36をさらに含む。ギア31は、ステッピングモータ2の回転軸(図示せず。以下、第1の回転軸と称する。)に固定され、ステッピングモータ2の回転力により回転する。ギア32は、第1の回転軸にほぼ平行する別の回転軸(図示せず。以下、第2の回転軸と称する。)に固定され、ギア31に噛み合う。ギア33は、ギア32と第2の回転軸に固定される。ギア34は、第2の回転軸にほぼ平行する別の回転軸(図示せず。以下、第3の回転軸と称する。)に固定され、ギア33に噛み合う。プラテンローラ35は、図1中の奥行き方向に沿った軸心を持ち、この軸心を第3の回転軸の軸心にほぼ一致させる状態で第3の回転軸に固定される。プラテンローラ35の軸心方向に沿った幅は、プリント用紙Pの最大幅よりも大きい。ガイドローラ36は、プラテンローラ35にほぼ並行する姿勢で回転自在に軸支される。
【0015】
カッタユニット4は、可動片4aと固定片4bとを備え、この可動片4aを図示しないソレノイドにより移動させることによって、可動片4aと固定片4bとによってプリント用紙Pを切断する。
【0016】
コネクタ5は、サーマルヘッド1に取り付けられたプラグ11と機械的に結合するとともに、サーマルヘッド1に内蔵された電気要素とヘッド駆動回路7および搬送制御ユニット9とを電気的に接続する。
【0017】
インタフェース6は、外部のホストコンピュータなどから送られてくる画像データを取り込むとともに、ホストコンピュータなどと主制御ユニット10との各種の情報の授受をインタフェースする。
【0018】
ヘッド駆動回路7は、インタフェース6により取り込まれた画像データを一時的に保存する。ヘッド駆動回路7は、保存している画像データを主制御ユニット10の制御の下にコネクタ5を介してサーマルヘッド1へと送出する。ヘッド駆動回路7は、3ステップ1ドットモードおよび2ステップ1ドットモードを持ち、これら2つのモードを択一的に設定可能である。ヘッド駆動回路7は、3ステップ1ドットモードが設定されているときには、副走査方向のドット密度をステッピングモータ2が3ステップ分回転する毎に1ドットの密度とすることが可能なタイミングでサーマルヘッド1を駆動する。ヘッド駆動回路7は、2ステップ1ドットモードが設定されているときには、副走査方向のドット密度をステッピングモータ2が2ステップ分回転する毎に1ドットの密度とすることが可能なタイミングでサーマルヘッド1を駆動する。
【0019】
モータ駆動回路8は、ステッピングモータ2を駆動する。モータ駆動回路8は、2−2相励磁モードおよび1−2相励磁モードを持ち、これら2つのモードを択一的に設定可能である。モータ駆動回路8は、2−2相励磁モードが設定されているときには2−2相励磁方式により、また1−2相励磁モードが設定されているときには1−2相励磁方式によりそれぞれステッピングモータ2を駆動する。
【0020】
搬送制御ユニット9は、判定回路91および設定回路92をさらに含む。判定回路91は、サーマルヘッド1の種類を判定し、その結果を表す判定信号を出力する。設定回路92は、判定回路91が出力する判定信号に基づいてヘッド駆動回路7およびモータ駆動回路8のモードを切り換える。
【0021】
主制御ユニット10は、ホストコンピュータなどとデータの授受を行いながら、当該ホストコンピュータなどの指示の下にプリント用紙Pへの画像のプリントを実現するためにサーマルプリンタ100の各要素の動作を制御する。
【0022】
図2は判定回路91の構成を示す図である。
【0023】
判定回路91は、抵抗器91a,91b、二値化回路91c,91dをさらに含む。
【0024】
抵抗器91aは、第1の端部が電位Vである電源線に接続され、第2の端部が二値化回路91cの入力端に接続される。抵抗器91aの第2の端部には、サーマルヘッド1に設けられた抵抗器12aの一端が、プラグ11の電極11aおよびコネクタ5の電極5aを介して接続される。抵抗器12aの他端は接地される。かくして抵抗器91aは、抵抗器12aの抵抗値に応じた分圧比で電位Vを分圧した電位を二値化回路91cの入力端に生じる。なお、電極11aと電極5aとは、プラグ11がコネクタ5に接続されているときに互いに接触する。
【0025】
二値化回路91cは、入力端の電位を予め定められた閾値で二値化する。二値化回路91cは、入力端の電位が閾値以下である場合にローレベルであり、そうではない場合にハイレベルを出力する。
【0026】
抵抗器91bは、第1の端部が電位Vである電源線に接続され、第2の端部が二値化回路91dの入力端に接続される。抵抗器91bの第2の端部には、サーマルヘッド1に設けられた抵抗器12bの一端が、プラグ11の電極11bおよびコネクタ5の電極5bを介して接続される。抵抗器12bの他端は接地される。かくして抵抗器91bは、抵抗器12bの抵抗値に応じた分圧比で電位Vを分圧した電位を二値化回路91dの入力端に生じる。なお、電極11bと電極5bとは、プラグ11がコネクタ5に接続されているときに互いに接触する。
【0027】
二値化回路91dは、入力端の電位を予め定められた閾値で二値化する。二値化回路91dは、入力端の電位が閾値以下である場合にローレベルであり、そうではない場合にハイレベルを出力する。
【0028】
そして、二値化回路91c,91dの出力は、2ビットの判定信号として設定回路92に入力される。
【0029】
次にサーマルプリンタ100の動作について説明する。ただし、ホストコンピュータからの指示の下にプリント用紙Pに対して画像をプリントするための動作は従来よりある同種のサーマルプリンタと同様であるので、それについての説明は省略する。
【0030】
このサーマルプリンタ100を使用する場合に使用者は、プリント用紙Pを巻き回して形成されたロールを図示しない用紙ホッパーに装填する。そうするとプリント用紙Pのロールは、搬送機構3に対して図1に示す状態で位置することになる。そして使用者は、図1に示すように、プリント用紙Pを、ガイドローラ36に引っ掛けた上で、サーマルヘッド1とプラテンローラ35との間と、カッタユニット4の内部とを通過するようにしてサーマルプリンタ100の外部へと引き出す。なお、サーマルヘッド1は、図示しない弾性体によりプラテンローラ35へと付勢されていて、発熱素子列が形成されている位置で、プラテンローラ35との間にプリント用紙Pを挟み込む。
【0031】
この状態でステッピングモータ2が回転すると、その回転力がギア31,32,33,34によってプラテンローラ35へと伝達されて、プラテンローラ35が図1中の反時計回りで回転する。そうすると、プリント用紙Pはロールから引き出す方向(図1中の左方向)へと搬送される。
【0032】
ところでサーマルヘッド1としては、第1、第2および第3の種類のいずれかが装着される。サーマルヘッド1は第1、第2および第3の種類では、発熱素子の間隔がそれぞれ異なり、解像度が互いに異なる。第1、第2および第3の種類のサーマルヘッド1の解像度は例えば、203dpi(dots per inch),300dpi、406dpiである。かつサーマルヘッド1は第1、第2および第3の種類では、抵抗器12の抵抗値の組み合わせがそれぞれ異なる。かくして、サーマルヘッド1が第1の種類であるとき、第2の種類であるとき、さらには第3の種類であるときとでは、判定信号はそれぞれ異なる。かくして判定信号は、サーマルヘッド1が第1、第2および第3の種類のいずれであるのかを判定した結果を示すことになる。つまり判定回路91は、判定手段の具体例の1つである。
【0033】
設定回路92は、図3に示すようなアルゴリズムによりヘッド駆動回路7およびモータ駆動回路8に関してモード設定する。なお設定回路92は、CPUを備えて、ソフトウェア処理により図3に示す処理を実現しても良いし、ロジック回路を備えて、ロジック演算などにより図3に示す処理を実現しても良い。
【0034】
ステップSa1において設定回路92は、サーマルヘッド1が第3の種類であるか否かを判定信号に基づき判断する。そしてサーマルヘッド1が第1または第2の種類であるためにNOと判断したならば、設定回路92はステップSa2へ進む。またサーマルヘッド1が第3の種類であるためにYESと判断したならば、設定回路92はステップSa3へ進む。
【0035】
ステップSa2において設定回路92は、2−2相励磁モードを設定する。一方でステップSa3において設定回路92は、1−2相励磁モードを設定する。そして、設定回路92は、ステップSa2またはステップSa3からステップSa4へ進む。
【0036】
ステップSa4において設定回路92は、サーマルヘッド1が第2の種類であるか否かを判定信号に基づき判断する。そしてサーマルヘッド1が第1または第3の種類であるためにNOと判断したならば、設定回路92はステップSa5へ進む。またサーマルヘッド1が第2の種類であるためにYESと判断したならば、設定回路92はステップSa6へ進む。
【0037】
ステップSa5において設定回路92は、3ステップ1ドットモードを設定する。一方でステップSa6において設定回路92は、2ステップ1ドットモードを設定する。そして、設定回路92は、図3に示す処理を終了する。
【0038】
かくして設定回路92は、判定されたプリントヘッド1の種類に予め関連付けられた駆動状態とするようにヘッド駆動回路7およびモータ駆動回路8を制御する。具体的には、第1の種類と判定されているときには、ヘッド駆動回路7を3ステップ1ドットモードに設定するとともに、モータ駆動回路8を2−2相励磁モードに設定する。第2の種類と判定されているときには、ヘッド駆動回路7を2ステップ1ドットモードに設定するとともに、モータ駆動回路8を2−2相励磁モードに設定する。第3の種類と判定されているときには、ヘッド駆動回路7を3ステップ1ドットモードに設定するとともに、モータ駆動回路8を1−2相励磁モードに設定する。つまり設定回路92は、制御手段の具体例の1つである。そして、搬送制御ユニット9は、判定手段の一例としての判定回路91と、制御手段の一例としての設定回路91とを含むのであり、制御回路の具体例の1つである。
【0039】
図4はサーマルヘッド1が第1の種類である場合におけるパルスシーケンスを示す図である。
【0040】
2−2相励磁モードが設定されるとモータ駆動回路8は、4つの駆動パルスを図4に示すようなタイミング関係でステッピングモータ2に供給する。4つの駆動パルスはいずれもローアクティブであり、ハッチングされている期間がステッピングモータ2に通電する期間を表す。
【0041】
4つの駆動パルスの周期はいずれも同一であり、かつアクティブとなる期間は1周期の1/2である。そして4つの駆動パルスの位相は、互いに1/4周期ずつずれている。このため、ステッピングモータ2は、駆動パルスの1/4周期に相当する時間T1毎に励磁状態が変化し、これを1ステップとして回転する。常に2つの駆動パルスによる励磁がなされるのであり、ステッピングモータ2は、2−2相励磁方式により駆動されることとなる。
【0042】
なお、ステッピングモータ2の1ステップ分の回転によるプリント用紙Pの搬送量を0.042mmとするように、ギア31,32,33,34の比率を定めておく。
【0043】
一方で、3ステップ1ドットモードが設定されるとヘッド駆動回路7は、図4に示すように3ステップにつき1度の割合でサーマルヘッド1への通電を行う。ただし、サーマルヘッド1の各発熱素子への通電を実際に行うか否かは、画像データに基づいて周知のように決定される。なお図4では、通電期間を3ステップ期間の50%としている。しかし通電期間は、サーマルプリンタ100または搬送制御ユニット9の設計者などにより任意に定められて良い。
【0044】
かくしてサーマルヘッド1が第1の種類である時には、図4に示すように3ステップにつき1ドットを形成することが可能であり、0.126mm間隔でドットを形成することが可能である。従って、副走査方向の解像度は202dpiとなり、サーマルヘッド1の解像度、すなわち主走査方向の解像度である203dpiに近似する。
【0045】
図5はサーマルヘッド1が第2の種類である場合におけるパルスシーケンスを示す図である。
【0046】
サーマルヘッド1が第2の種類である場合にも、ステッピングモータ2は、2−2相励磁方式により駆動され、プリント用紙Pは1ステップ当たり0.042mm搬送される。
【0047】
2ステップ1ドットモードが設定されるとヘッド駆動回路7は、図5に示すように2ステップにつき1度の割合でサーマルヘッド1への通電を行う。ただし、サーマルヘッド1の各発熱素子への通電を実際に行うか否かは、画像データに基づいて周知のように決定される。なお図5では、通電期間を2ステップ期間の50%としている。しかし通電期間は、サーマルプリンタ100または搬送制御ユニット9の設計者などにより任意に定められて良い。
【0048】
かくしてサーマルヘッド1が第2の種類である時には、図5に示すように2ステップにつき1ドットを形成することが可能であり、0.084mm間隔でドットを形成することが可能である。従って、副走査方向の解像度は302dpiとなり、サーマルヘッド1の解像度、すなわち主走査方向の解像度である300dpiに近似する。
【0049】
図6はサーマルヘッド1が第3の種類である場合におけるパルスシーケンスを示す図である。
【0050】
1−2相励磁モードが設定されるとモータ駆動回路8は、4つの駆動パルスを図6に示すようなタイミング関係でステッピングモータ2に供給する。
【0051】
4つの駆動パルスの周期はいずれも同一であり、かつアクティブとなる期間は1周期の3/8である。そして4つの駆動パルスの位相は、互いに1/4周期ずつずれている。このため、ステッピングモータ2は、駆動パルスの1/8周期に相当する時間T2毎に励磁状態が変化し、これを1ステップとして回転する。そして、1ステップ毎に1つの駆動パルスによる励磁がなされる状態と、2つの駆動パルスによる励磁がなされる状態とが繰り返されるのであり、ステッピングモータ2は、1−2相励磁方式により駆動されることとなる。
【0052】
1−2相励磁方式の場合、1ステップ当たりのステッピングモータ2の回転量は、2-2相励磁方式の場合の1/2となる。従ってステッピングモータ2の1ステップ分の回転によるプリント用紙Pの搬送量を0.021mmである。
【0053】
ヘッド駆動回路7は、3ステップ1ドットモードに設定されているから、図6に示すように3ステップにつき1ドットを形成することが可能であり、0.063mm間隔でドットを形成することが可能である。従って、副走査方向の解像度は403dpiとなり、サーマルヘッド1の解像度、すなわち主走査方向の解像度である406dpiに近似する。
【0054】
以上のようにサーマルプリンタ100によれば、ヘッド駆動回路7による駆動モードを変更することにより、搬送機構3は1つのみであり、かつ動作の変更を伴わないながら、2つの解像度のいずれでのプリントにも対応が可能である。このためサーマルプリンタ100によれば、複数の搬送機構を切り換えて使用する従来のプリンタに比べて、構成の簡略化と、それによるコストダウンや信頼性の向上を図ることが可能である。
【0055】
サーマルプリンタ100はさらに、モータ駆動回路8による駆動モードも変更することにより、3つの解像度のいずれでのプリントにも対応が可能である。
【0056】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0057】
サーマル方式以外の、例えばドットインパクト方式やインクジェット方式などの他の周知のプリント方式のプリンタにおいても上記実施形態と同様に実施が可能である。従って、プリントヘッドはサーマルヘッド1には限らず、ドットインパクトヘッドやインクジェットヘッドなどの他の種類のものに置き換えて実施することが可能である。
【0058】
ステッピングモータ2とは異なる周知のさまざまな種類のモータを適宜に利用可能である。
【0059】
モータの駆動モードまたはヘッドの駆動モードの少なくとも一方を3つ以上用意しておき、4種類以上のプリントヘッドを選択的に利用可能としても良い。
【0060】
プリントヘッドの種類の判定の方法は任意であって良く、種々変形が可能である。例えばプリントヘッドに、識別情報を記憶する記憶デバイスを備えて、プリンタからこの識別情報を読み出し、当該識別情報に基づいてプリントヘッドの種類を判定しても良い。あるいは、プリントヘッドの外形を異ならせておき、外形の違いにより操作されるスイッチが異なるように1つまたは複数のスイッチを設け、このスイッチのオン状況に基づいてプリントヘッドの種類を判定しても良い。
【0061】
モータの駆動モードは変更しないようにしても良い。
【0062】
サーマルヘッド1がサーマルプリンタ100の本体とは個別に譲渡されて、譲渡後に本体にサーマルヘッド1が取り付けられても良い。搬送制御ユニット9を着脱可能として、搬送制御ユニット9がサーマルプリンタ100の本体とは個別に譲渡されて、譲渡後に本体に搬送制御ユニット9が取り付けられても良い。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
解像度がそれぞれ異なる複数種類のプリントヘッドを択一的に接続可能なコネクタと、
モータと、
前記モータの回転力によりプリント媒体を前記コネクタに接続された前記プリントヘッドに面して搬送する搬送機構と、
1ドット当たりの前記モータのステップ数である単位ステップ数をそれぞれ異ならせる複数のヘッド駆動状態で前記コネクタに接続された前記プリントヘッドを駆動するヘッド駆動回路と、
前記コネクタに接続された前記プリントヘッドの種類を判定する判定手段と、
前記判定手段が判定した種類に予め関連付けられたヘッド駆動状態とするように前記ヘッド駆動回路を制御する制御手段とを具備することを特徴とするプリンタ。
[2]
前記プリントヘッドの種類は、第1の種類と、前記第1の種類に対して約1.5倍の解像度を持つ第2の種類とであり、
前記複数のヘッド駆動状態は、前記単位ステップ数を第1のステップ数とする第1のヘッド駆動状態と、前記単位ステップ数を前記第1のステップ数である2/3の第2のステップ数とする第2のヘッド駆動状態とであり、
前記制御手段は、前記判定手段が判定した種類が前記第1の種類であるときには前記第1のヘッド駆動状態とし、前記判定手段が判定した種類が前記第2の種類であるときには前記第2のヘッド駆動状態とするよう前記ヘッド駆動回路を制御することを特徴とする[1]に記載のプリンタ。
[3]
前記モータの1ステップ当たりの回転量である単位回転量をそれぞれ異ならせる複数のモータ駆動状態で前記モータを駆動するモータ駆動回路をさらに備え、
前記制御手段は、前記判定手段が判定した種類に予め関連付けられたモータ駆動状態およびヘッド駆動状態とするように前記モータ駆動回路および前記ヘッド駆動回路を制御することを特徴とする[1]に記載のプリンタ。
[4]
前記プリントヘッドの種類は、第1の種類と、前記第1の種類に対して約1.5倍の解像度を持つ第2の種類と、前記第1の種類に対して約2倍の解像度を持つ第3の種類とであり、
前記複数のモータ駆動状態は、前記単位回転量を第1の回転量とする第1のモータ駆動状態と、前記単位回転量を前記第1の回転量の1/2である第2の回転量とする第2のモータ駆動状態とであり、
前記複数のヘッド駆動状態は、前記単位ステップ数を第1のステップ数とする第1のヘッド駆動状態と、前記単位ステップ数を前記第1のステップ数である2/3の第2のステップ数とする第2のヘッド駆動状態とであり、
前記制御手段は、前記判定手段が判定した種類が前記第1の種類であるときには前記第1のモータ駆動状態および前記第1のヘッド駆動状態とし、前記判定手段が判定した種類が前記第2の種類であるときには前記第1のモータ駆動状態および前記第2のヘッド駆動状態とし、前記判定手段が判定した種類が前記第3の種類であるときには前記第2のモータ駆動状態および前記第1のヘッド駆動状態とするよう前記モータ駆動回路および前記ヘッド駆動回路を制御することを特徴とする[3]に記載のプリンタ。
[5]
前記ヘッド駆動回路は、形成するドットの大きさを変化させることが可能であり、
前記制御手段は、前記判定手段が判定した種類が前記第1の種類であるときには第1の大きさのドットを形成し、前記判定手段が判定した種類が前記第2の種類であるときには前記第1の大きさよりも小さな第2の大きさのドットを形成するように前記ヘッド駆動回路を制御することを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか一項に記載のプリンタ。
[6]
解像度がそれぞれ異なる複数種類のプリントヘッドを択一的に接続可能なコネクタと、
モータと、
前記モータの回転力によりプリント媒体を前記コネクタに接続された前記プリントヘッドに面して搬送する搬送機構と、
1ドット当たりの前記モータのステップ数である単位ステップ数をそれぞれ異ならせる複数のヘッド駆動状態で前記コネクタに接続された前記プリントヘッドを駆動するヘッド駆動回路とを具備したプリンタを制御する制御回路であり、
前記コネクタに接続された前記プリントヘッドの種類を判定する判定手段と、
前記判定手段が判定した種類に予め関連付けられたヘッド駆動状態とするように前記ヘッド駆動回路を制御する制御手段とを具備することを特徴とする制御回路。
【符号の説明】
【0064】
1…サーマルヘッド、2…ステッピングモータ、3…搬送機構、4…カッタユニット、5…コネクタ、6…インタフェース、7…ヘッド駆動回路、8…モータ駆動回路、9…搬送制御ユニット、10…主制御ユニット、11…プラグ、12a,12b…抵抗器、31,32,33,34…ギア、35…プラテンローラ、36…ガイドローラ、91…判定回路、91a,91b…抵抗器、91c,91d…二値化回路、92…設定回路、100…サーマルプリンタ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6