特許第5740360号(P5740360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740360
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】ガス制御装置
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20150604BHJP
【FI】
   F24C3/12 V
   F24C3/12 E
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-154369(P2012-154369)
(22)【出願日】2012年7月10日
(65)【公開番号】特開2014-16114(P2014-16114A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2013年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】葛谷 廣太郎
【審査官】 長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−245555(JP,A)
【文献】 特開2005−265208(JP,A)
【文献】 実開昭61−061884(JP,U)
【文献】 特開平07−019472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス調理器のケース本体内にてガスバーナの前方に収容され且つ前記ガスバーナに通じるガス通路を有するバルブケーシングと、
前記ガス調理器の前面パネルに設けられた点消火ボタンの押し込み操作を検知すると共に検知された検知信号を伝達する信号線や電気供給用の駆動線等の電気配線からなるハーネスが接続されるマイクロスイッチ部とを備えたガス制御装置において、
前記バルブケーシングの前方寄りにスイッチケースが設けられ、
前記スイッチケースに、前記マイクロスイッチ部が保持されていると共に、前記ハーネスを係止可能な係止部が一体的に設けられ、
前記ハーネスは、前記マイクロスイッチ部と前記係止部との間で、下方に弛む弛み部を形成するように配設されているガス制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガス制御装置において、前記マイクロスイッチ部と前記係止部は、前記スイッチケースの同一側面に設けられ、
前記係止部は、前記側面から側方に突出すると共に、ハーネスを係止可能な幅を有する上方開放のスリットが形成された係止フックとし、
前記係止フックと前記マイクロスイッチ部との間で且つ前記係止フックの近傍に、複数のハーネスを結束し且つ前記スリットよりも幅広な結束部材を備えるガス制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のガス制御装置において、前記係止フックは、前記結束部材を嵌め込み可能な溝部を有するガス制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス制御装置、特に、ガスコンロ等のガス調理器内に収容されて、ガスバーナへの燃料ガスの供給量を調節するガス制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガステーブルコンロ等のガス調理器は、図6に示すように、底面が開放している箱状のケース本体(4)内に、1つ又は複数のガスバーナ(40)が配設されると共に、各ガスバーナ(40)の火力を調整するためのガス制御装置(3)が、ケース本体(4)の前面パネル(44)側に配設されている。各ガス制御装置(3)のガス流入部(30)は、ガス管(図示せず)に接続されると共に、ガス流出部(31)には、ガスバーナ(40)の混合管(41)の開口に差し込まれる噴射ノズル(32)が接続されている。
【0003】
ガスバーナ(40)はケース本体(4)内の所定位置に固定されており、混合管(41)の最下流端側のバーナヘッド(42)は、天板(43)の対応する各位置に設けられたバーナ用開口(45)から上方へ突出していると共に、この周囲には五徳(46)が載置されている。
【0004】
ガス制御装置(3)の前端部には、前面パネル(44)に設けられた点火・消火を行うための点消火ボタン(33)及びガス制御装置(3)内のガス通路(35)に設けられているニードル弁(36)を操作して混合管(41)へ送るガス流量を調節する火力調節レバー(37)が接続されている。
【0005】
また、ガス制御装置(3)には、点消火ボタン(33)の操作を検知するマイクロスイッチ部(34)が設けられており、このマイクロスイッチ部(34)の接続端子に、検知信号を制御部に伝達する信号線や電気供給用の駆動線等の複数のハーネス(38)がコネクタを介して接続されている。
【0006】
この種のガス調理器では、調理時に五徳(46)上の鍋等の調理器具(47)から溢れた煮こぼれや清掃時の洗浄液が前面パネル(33)側へ流れたときに、火力調節レバー(37)を伝ってケース本体(4)内に浸入しないように、火力調節レバー(37)の所定位置に堰や汁受皿を設ける構成が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−60898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のものでは、煮こぼれや洗浄液が天板(43)に設けられたバーナ用開口(45)からケース本体(4)内に浸入することは想定されていない。
例えば、天板(43)のバーナ用開口(45)から煮こぼれや洗浄液等の液体がケース本体(4)内に浸入すると、ケース本体(4)内を引き回されているハーネス(38)に付着する。そして、前記液体はハーネス(38)の傾斜具合によっては、ハーネス(38)を伝って前方に設けられているマイクロスイッチ部(34)に到達することがある。その結果、コネクタの腐食や固着を発生させ、スイッチ類の接触不良や破損などの問題を引き起こすといった不都合が生じてしまう。
【0009】
また、ハーネス(38)が弛んでいると、ケース本体(4)内の各種装置の可動部に引っ掛かって引き込まれたり、ガス調理器の組み付けやメンテナンス時に不用意に引っ張られたり、さらには、ケース本体(4)の底部の開放部から下方に垂れ下がって、外部の突起物に引っ掛かったりするおそれがある。このような場合、マイクロスイッチ部(34)に負荷がかかり、動作不良や故障、コネクタの脱落等の問題が懸念される。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、バーナ用開口からケース本体内に浸入した煮こぼれや洗浄剤等の液体が、ハーネスを伝って、マイクロスイッチ部へ到達することを防ぐと共に、ハーネスが不用意に引っ掛かったり、引っ張られたりした場合でもマイクロスイッチ部への負荷を軽減できるガス制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために講じた本発明は、
ガス調理器のケース本体内にてガスバーナの前方に収容され且つ前記ガスバーナに通じるガス通路を有するバルブケーシングと、
前記ガス調理器の前面パネルに設けられた点消火ボタンの押し込み操作を検知すると共に検知された検知信号を伝達する信号線や電気供給用の駆動線等の電気配線からなるハーネスが接続されるマイクロスイッチ部とを備えたガス制御装置において、
前記バルブケーシングの前方寄りにスイッチケースが設けられ、
前記スイッチケースに、前記マイクロスイッチ部が保持されていると共に、前記ハーネスを係止可能な係止部が一体的に設けられ、
前記ハーネスは、前記マイクロスイッチ部と前記係止部との間で、下方に弛む弛み部を形成するように配設されているガス制御装置である。
【0012】
上記手段は次のように作用する。
バルブケーシングをケース本体内の前面パネル寄りに収容し、ガス通路の下流端をバルブケーシングよりも後方に位置するガスバーナの上流端に対応するように位置決めする。バルブケーシングの前方寄りにはスイッチケースが設けられており、このスイッチケースに、ハーネスが接続されるマイクロスイッチ部が保持されている共に、マイクロスイッチ部に至るまでのハーネスを係止可能な係止部が一体的に設けられており、前記係止部と前記マイクロスイッチ部との間に介在されているハーネスは、略U字状の弛み部を形成している。
【0013】
このものでは、ケース本体の天板に形成されたバーナ用開口からケース本体内に浸入する煮こぼれや洗浄液等の液体がハーネスに付着した後、ハーネスを伝ってマイクロスイッチ部に向かって流れて来ても、前記係止部で堰き止められるから、それより先へ流れない。又、堰き止められた煮こぼれ等の液体が係止部で乾燥することにより、ハーネスと係止部との間に固形分が残留するから、ハーネスを伝わってくる液体の流れが固形分によって阻害される。さらに、前記液体が、係止部を乗り越えて流れて来たり、前記係止部よりもマイクロスイッチ部寄りのハーネスに付着したりすることがあっても、係止部とマイクロスイッチ部との間には下方に弛ませた弛み部が設けられているから、液体は弛み部の最下部に到達することはあっても、弛み部よりも上方に位置するマイクロスイッチ部に到達しない。
【0014】
また、ハーネスは、係止部に係止されており、ハーネスの弛み部は、バルブケーシングの外面に沿って形成されているから、ハーネスが各種装置の可動部に引っ掛かったり、組み付け時やメンテナンス時に不用意に引っ張られたり、さらには外部の突起物に引っ掛かったりするのを防止できる。
【0015】
上記ガス制御装置において、好ましくは、前記マイクロスイッチ部と前記係止部は、前記スイッチケースの同一側面に設けられ、
前記係止部は、前記側面から側方に突出すると共に、ハーネスを係止可能な幅を有する上方開放のスリットが形成された係止フックとし、
前記係止フックと前記マイクロスイッチ部との間で且つ前記係止フックの近傍に、複数のハーネスを結束し且つ前記スリットよりも幅広な結束部材を備える。
【0016】
このものでは、ハーネスを伝ってマイクロスイッチ部に向かって流れてくる煮こぼれ等の液体は、係止フックだけでなく結束部材によっても堰き止められる。また、結束部材は係止フックのスリットよりも幅広に設けられているから、係止フックからバルブケーシングの後方へ引き回されているハーネスが不用意に引っ張られても、結束部材が、係止フックのスリットに対してハーネスを抜け止め状態に保持するストッパとして機能することとなり、マイクロスイッチ部にかかる負荷を低減することができる。
【0017】
上記ガス制御装置において、好ましくは、前記係止フックは、前記結束部材を嵌め込み可能な溝部を有する。このものでは、前記溝部に嵌め込まれた結束部材により、ハーネスの引っ張りに対する前後両方向への移動を確実に規制することができる。また、スリット内で係止フックとハーネスとの間に隙間が形成されないから、液体が係止フックよりも先へ移動するのを確実に阻止することができる。
また、前記溝部に、ハーネスを伝ってくる液体を溜めておくことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、ケース本体の天板のバーナ用開口からケース本体内に浸入して来た煮こぼれや洗浄液等の液体がハーネスを伝って来ても、係止部で堰き止められ、マイクロスイッチ部まで到達しないから、マイクロスイッチ部のコネクタの腐食や固着を防止することができ、スイッチ類の接触不良や破損などの問題が生じない。
また、ハーネスが係止部に係止されているから、ケース本体内の可動部に対しての引っ掛かり等を防止することができる。特に、ハーネスが抜け止め状態に係止部に係止されていれば、ハーネスが引っ張られたときの負荷は係止部が受けることとなり、マイクロスイッチ部への負荷が軽減されるから、マイクロスイッチ部の動作不良や故障等の不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係るガス制御装置が収容されるガステーブルコンロの全体構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係るガス制御装置の斜視図である。
図3図2のガス制御装置を左方向から見た説明図である。
図4】本発明の他の実施の形態に係るガス制御装置の斜視図である。
図5】本発明のさらに他の実施の形態に係るガス制御装置の要部拡大斜視図である。
図6】従来のガス制御装置が収容されたガステーブルコンロの要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を実施するための形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0021】
本発明の実施の形態のガステーブルコンロは、図1に示すように、底部の略中央域に開放部を有する矩形箱体であるケース本体(10)内に、2つのコンロ部(10a)(10b)と、これらの中央にグリル部(10c)とが備えられており、各コンロ部(10a)(10b)には、コンロ用バーナ(11a)(11b)が配設され、グリル部(10c)には、グリルバーナ(図示せず)が配設されている。
【0022】
ケース本体(10)内の左前部には、左側のコンロ部(10a)のコンロバーナ(11a)の火力を調整するガス制御装置としてのバルブユニット(1a)が配設され、また、ケース本体(10)内の右前部には、右側のコンロ部(10b)のコンロバーナ(11b)の火力を調整するバルブユニット(1b)と、グリル部(10c)のグリルバーナの火力を調整するためのバルブユニット(1c)が配設されている。
【0023】
各バルブユニット(1a)(1b)(1c)の前端には、対応するバーナの点消火ボタン(12a)(12b)(12c)及び火力調整レバー(13a)(13b)(13c)が接続され、これら点消火ボタン(12a)(12b)(12c)及び火力調整レバー(13a)(13b)(13c)は、ケース本体(10)の前面パネル(14)から突出するように設けられている。また、各バルブユニット(1a)(1b)(1c)には、前面パネル(14)付近に配置したガス管(15)が接続されると共に、後述するように、制御用等の信号線や電気供給用の駆動線等の多数の電気配線が接続されるマイクロスイッチ部が設けられている。
【0024】
ケース本体(10)の上方は薄肉の金属板からなる天板(16)で被覆されており、コンロバーナ(11a)(11b)の上端部のバーナヘッド(17)に対応する天板(16)の各位置には、バーナ用開口(18)が形成されている。
【0025】
各バルブユニット(1a)(1b)(1c)は、図2に示すように、水平な第1ガス通路を有する第1ユニット(2a)と、第1ユニット(2a)の上方に連設され且つ前記第1ガス通路に連通する垂直な通路とその上端から前方に伸びる水平な通路とからなる略逆L字状の第2ガス通路を有する第2ユニット(2b)とからバルブケーシング(2)が構成され、第1ユニット(2a)の第1ガス通路はガス流入部(20)が開放しており、第2ユニット(2b)の第2ガス通路には、コンロバーナ(11a)(11b)又はグリル用バーナの各混合管に燃料ガスを噴射する噴射ノズル(図示せず)が接続されるガス流出部(21)が開放している。
【0026】
第1ユニット(2a)の前端(図面では右端)には、図1に示したように、ケース本体(10)の前面パネル(14)から前方に突出させた点消火ボタン(12a)(12b)(12c)の操作により前後に可動する樹脂製のスライダ(22)が突出しており、スライダ(22)はプッシュプッシュ機構により点消火ボタン(12a)(12b)(12c)の押込み操作で所定位置に係止及び復帰する構成となっている。このプッシュプッシュ機構は、スライダ(22)の下面に形成された図示しないカム溝と、カム溝に係合される係合ピン(23)により構成され、点消火ボタン(12a)(12b)(12c)の操作により係合ピン(23)が前後に可動する。
【0027】
バルブケーシング(2)の一側面の前方寄りには、マイクロスイッチ部(24)が配設されている。点消火ボタン(12a)(12b)(12c)の操作によって、マイクロスイッチ部(24)でオンオフが検知され、その検知信号を制御部に伝達する信号線や電気供給用の駆動線等の複数の電気配線等がハーネス(28)として、マイクロスイッチ部(24)にコネクタ(26)を介して接続されている。
【0028】
尚、第2ユニット(2b)の前端上部に突出しているのは、前面パネル(14)から突出している火力調節レバー(13a)(13b)(13c)の操作により左右に可動する金属製の可動板(27)である。
【0029】
また、図示しないが、第1ユニット(2a)内には、点消火ボタン(12a)(12b)(12c)の押圧操作に伴うスライダ(22)の可動によって前後方向へ移動する操作ロッドが収容されており、点消火ボタン(12a)(12b)(12c)を押込み操作すると、スライダ(22)を介して操作ロッドが後方向(図2の左側)に押圧されて元弁が開弁し、燃料ガスがガス管(15)からガス流入部(20)を介して第1ユニット(2a)の第1ガス通路に流れ込み、さらに、第2ユニット(2b)の第2ガス通路へ流れ込む。
第2ユニット(2b)には、火力調節レバー(13a)(13b)(13c)の左右方向への移動操作によって、第2ガス通路内からガス流出部(21)を介して噴射ノズルへ送る燃料ガスのガス供給量を調節するニードル弁が収容されている。
【0030】
マイクロスイッチ部(24)は、樹脂製のスイッチケース(25)に保持されており、マイクロスイッチ部(24)に接続される複数本のハーネス(28)は、結束部材(5)によって結束されていると共に、その結束部よりも後方域のハーネス(28b)を、スイッチケース(25)の後端部に一体的に設けられた係止フック(50)のスリット(51)に挿通させている。
【0031】
係止フック(50)は、図2及び図3に示すように、複数のハーネス(28)が挿通可能な幅のスリット(51)が上方に開放する形状に成形されており、結束部材(5)は、樹脂で成形されている。そして、結束部材(5)の幅を、スリット(51)よりも幅広に設定しておくことにより、結束部材(5)はスリット(51)に対し、後方への抜け止めとなり、それ以上の後方への移動は阻止される。
【0032】
図面のものでは、3本のハーネス(28)が一つの結束部材(5)に結束されており、結束部材(5)を係止フック(50)の前方面に近接させた状態にて、結束部材(5)とマイクロスイッチ部(24)との間に、所定量弛んだ略U字状の弛み部(28a)が形成されるように、ハーネス(28)における結束部材(5)の結束位置は設定されている。
【0033】
このものでは、係止フック(50)より後方へ延びているハーネス(28b)に、バーナ用開口(18)からケース本体(10)内へ浸入した煮こぼれや洗剤等の液体が付着し、それが前方へ伝って来ることがあっても、ハーネス(28)が係止されている係止フック(50)で液体が堰き止められるから、それより前方へは流れない。又、堰き止められた煮こぼれ等の液体がスリット(51)内で乾燥することにより、ハーネス(28)と係止フック(50)との間に固形分が残留するから、後方からハーネス(28)を伝わってくる液体が固形分によって前方に流れるのを阻害することができる。
【0034】
また、スリット(51)より前方へ液体が流れようとしても、係止フック(50)の前方面側には、スリット(51)より幅広の結束部材(5)が設けられているから、結束部材(5)によりハーネス(28b)上を伝ってきた液体は堰き止められ、結束部材(5)よりも前方へ流れるのを抑えることができる。
【0035】
また、液体が結束部材(5)より前方へ流れても、前記液体は略U字状の弛み部(28a)に流れ落ちるから、弛み部(28a)よりも上方に位置するマイクロスイッチ部(24)に到達しない。その結果、外部から浸入する液体によって接続不良や破損が生じず、また、液体によるコネクタ(26)の腐食や固着等も防止することができる。
【0036】
また、ハーネス(28)は、係止フック(50)に係止されており、バルブケーシング(2)の前方寄りの一側面のスイッチケース(25)で囲まれた狭い範囲に所定量の弛み部(28a)が形成される態様となる。よって、弛み部(28a)は係合ピン(23)等のケース本体(10)内の可動部に引っ掛かり難く、組み付け時やメンテナンス時に不用意に引っ張られたりするのを防止できる。また、弛み部(28a)はケース本体(10)の底部の開放部から下方へ垂れ下がるほど大量に弛ませてないから、弛み部(28a)が外部の突起物に引っ掛かったりすることも防止できる。
【0037】
また、ハーネス(28)は、結束部材(5)によって束ねられており、係止フック(50)より後方へ延びているハーネス(28b)がガス調理器の組み付けやメンテナンス時に不用意に後方へ引っ張られても、結束部材(5)が係止フック(50)のスリット(51)に対して後方へ抜け止め状態に保持されるから、マイクロスイッチ部(24)に直接かかる負荷を大幅に低減できる。よって、コネクタ(26)の抜けや破損による動作不良等の故障を防止できる。
【0038】
尚、図4に示すように、バルブケーシング(2)の一側面に、スイッチケース(25)の一部を構成する係止フック(50)を外側から覆うようにカバーする保護板(52)を設けてもよい。これにより、樹脂製の係止フック(50)を保護することができる。
【0039】
また、図5に示すように、係止フック(50)にスリット(51)に沿って溝部(53)を形成しておき、結束部材(5)を係止フック(50)の上方から溝部(53)にスライドさせて嵌め込んで、スリット(51)内に結束部材(5)を固定するようにしてもよい。この場合、係止フック(50)に対する結束部材(5)の前後方向の移動は阻止され、結束部材(5)の位置は固定されることから、ハーネス(28)も結束部材(5)による結束部分を中心に前後方向への移動が確実に阻止される。また、スリット(51)内で係止フック(50)とハーネス(28)との間の隙間が形成されないから、液体が係止フック(50)よりも前方へ移動するのを確実に阻止することができる。
【0040】
また、結束部材(5)は、ゴム等の非常に柔軟な弾性素材で成形してもよい。これによれば、ハーネス(28)に急な負荷がかかっても結束部材(5)が変形可能であるから、ハーネス(28)の結束部での切断を防止できる。また、結束部材(5)は、フェライトコアなどの強磁性体で構成してもよい。これによれば、電磁的影響によるノイズ増加を抑制できる。
【符号の説明】
【0041】
(1a)(1b)(1c)・・・・・・バルブユニット(ガス制御装置)
(10)・・・・・・・・・・本体ケース
(11a)(11b)・・・・・・・コンロバーナ(ガスバーナ)
(12a)(12b)・・・・・・・点消火ボタン
(14)・・・・・・・・・・前面パネル
(2) ・・・・・・・・・・バルブケーシング
(24)・・・・・・・・・・マイクロスイッチ部
(28)・・・・・・・・・・ハーネス
(50)・・・・・・・・・・係止フック(係止部)
(28a) ・・・・・・・・・弛み部
図1
図2
図3
図4
図5
図6