(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
減圧弁には上述した直動式に加えて、パイロット圧に応じて二次側ポートの吐出圧力を調整するパイロット式減圧弁がある。パイロット式減圧弁は、二次側圧力室とパイロット圧室とを有している。二次側圧力室とパイロット圧室はダイヤフラムにより仕切られる。二次側圧力室は二次側ポートに連通している。パイロット圧室に一次側圧力を供給するようにしたタイプの減圧弁は内部パイロット式と呼ばれ、調圧された空気を外部からパイロット圧室に供給するようにしたタイプの減圧弁は外部パイロット式と呼ばれる。
【0009】
いずれのタイプにおいても、二次側ポートの吐出圧力が設定値よりも低くなると、パイロット圧により主弁体が開かれて、二次側ポートの吐出圧力は設定値にまで高められる。一方、二次側ポートの圧力が一次側ポートの圧力よりも高くなると、排気機構により二次側ポートを外部に連通させて、二次側ポートの空気を外部に排出するようにしている。したがって、例えば二次側ポートに接続された空気圧機器の作動状況の変動によって二次側ポートの圧力が設定値よりも高くなると、排気動作により二次側ポートに接続された配管内の空気は外部に排出される。このようなパイロット式減圧弁においては、従来、設定圧力よりも高くなった二次側ポートの空気を外部へ排出させるために、主弁軸の内部に軸方向に貫通する排気流路を形成している。しかしながら、主弁軸に排気流路を貫通形成して形成し、ポートブロックに形成された開口部を介して排気流路を外部に連通させるようにすると、主弁軸の端部側とポートブロックとによりバランス室を形成することができなくなる。また、上述したフィルタ付きの減圧弁においては、主弁軸の延長上にフィルタが配置されるので、外部と連通させる排気流路を主弁軸に貫通させて設けることができない。
【0010】
そこで、主弁軸の内部に軸方向に形成された軸方向排気孔に連通するように、主弁軸に径方向に径方向排気孔を貫通させて形成し、径方向排気孔を介してポートブロックの側面から外部に空気を排出する。そうすると、主弁軸の端面部とポートブロックとによりバランス室を形成することができることになり、ポートブロックにフィルタ容器を取り付けるようにしてフィルタ付きのパイロット式減圧弁とすることができることになる。
【0011】
主弁軸に径方向に径方向排気孔を形成し、ポートブロックに形成された排気通路から二次側圧力室内の空気を外部に排気するには、主弁軸を案内するガイド孔にシール材とシール材を固定する環状の止め具を取り付ける必要がある。その取付作業性を考慮してポートブロックの端面側からシール材と止め具とを装着することが試みられた。しかし、ポートブロックの端面側つまり外側からシール材と止め具とを装着するようにする構造では、止め具を強固に取り付けようとすると、止め具をガイド孔に強い力で圧入するか、止め具をピン等によりロックしなければならないということが判明した。
【0012】
本発明の目的は、パイロット式減圧弁における排気機構の組立作業性を向上することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、パイロット式減圧弁にフィルタ容器を取り付けることができるようにすることにある。
【0014】
本発明の他の目的は、排気機構を構成する環状の止め具を強固に固定することなく、止め具がガイド孔から外れないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のパイロット式減圧弁は、
圧縮空気の圧力をパイロット圧に応じて調整するパイロット式減圧弁であって、圧縮空気が供給される一次側ポートと、当該一次側ポートに主弁孔を介して連通し調圧された圧縮空気を流出する二次側ポートとが設けられ、前記主弁孔を開閉する主弁体を備えた主弁軸が前記主弁孔に軸方向に移動自在に装着されるポートブロックと、前記ポートブロックの取付端面と当該取付端面に取り付けられる調圧アダプターとの間に配置され、前記二次側ポートに連通する二次側圧力室と当該二次側圧力室の反対側のパイロット圧室とに仕切るとともに前記主弁軸の当接端面が接触する主弁ダイヤフラムと
を有し、設定値よりも前記二次側ポートの圧力が高くなったときに前記二次側ポートの空気を排気する排気流路
が前記ポートブロックに設けられ、前記排気流路の開口部が前記ポートブロックの外面に開口して設けられ
、前記当接端面に開口して形成された軸方向排気孔と、前記排気流路と前記軸方向排気孔とを連通させる径方向排気孔とが前記主弁軸に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のパイロット式減圧弁においては、一次側ポートと二次側ポートとがポートブロックの外面に開口して形成される。二次側圧力室の空気を外部に排出する排気流路がポートブロックの外面に開口して形成されている。このように、排気流路は調圧アダプター側やポートブロックの端面に開口していないので、ポートブロックにバランス圧室を形成することができる。また、ポートブロックにフィルタを装着することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。このパイロット式減圧弁10は、
図3に示されるように、一次側ポート11と二次側ポート12とが形成されたブロック本体13aを有している。一次側ポート11には、圧縮空気が図示しない空気圧源から一次側配管を介して供給される。二次側ポート12には、空気圧機器が二次側配管を介して接続される。一次側ポート11には一次側の配管がねじ結合されるねじ孔11aが形成され、二次側ポート12には二次側の配管がねじ結合されるねじ孔12aが形成されている。それぞれのねじ孔11a,12aは、中心軸が一致した状態となってブロック本体13aに形成され、ブロック本体13aの相互に反対側の外面に開口されている。このように、2つのねじ孔11a,12aは、ポートブロック本体13aの異なった位置に開口されている。ブロック本体13aの中心部にはそれぞれのねじ孔11a,12aに対して直角方向となって軸方向に延びる主弁孔14が形成されており、主弁孔14を介して一次側ポート11は二次側ポート12に連通されている。一次側ポート11から主弁孔14を介して二次側ポート12に至る空気流通部が減圧弁の主流路部となっている。
【0019】
主弁孔14内には主弁軸15が軸方向に移動自在に装着されている。この主弁軸15の一端部側には主弁孔14の内径よりも大径のフランジ部16aが設けられ、主弁孔14の連通側開口部に形成された主弁座17に当接するゴム製の主弁体16がフランジ部16aに設けられている。主弁軸15の他端部は、ブロック本体13aに形成されたガイド孔18内に摺動自在に装着されている。ガイド孔18は主弁孔14よりも小径となっており、主弁軸15はガイド孔18に案内されて軸方向に移動する。
【0020】
ブロック本体13aの外方端部には雌ねじ19aが形成され、この雌ねじ19aにねじ結合される雄ねじ19bを有するカバー13bが、ブロック本体13aに取り付けられている。カバー13bとブロック本体13aとによりポートブロック13が構成される。このポートブロック13内には一次側ポート11に連通する一次側室21が形成され、一次側室21を介して主弁孔14は一次側ポート11に連通する。カバー13bにはガイド筒体22が形成されており、ガイド筒体22には主弁軸15の一端部に設けられた円筒形状の摺動部15aが摺動自在に嵌合されている。主弁軸15内には連通流路が形成されている。その連通流路は主弁軸15の一端面に開口し二次側ポート12に連通している。ガイド筒体22と主弁軸15の一端面とによりガイド筒体22内に区画されるバランス室24には、連通流路23を介して二次側ポート12の圧力が供給されるようになっている。バランス室24は摺動部15aの環状溝に装着されたシール材25により、一次側ポート11に対してシールされている。
【0021】
バランス室24内の摺動部15aには圧縮コイルばねからなる主弁ばね部材26が装着されており、この主弁ばね部材26の一端はカバー13bに当接し、他端は主弁軸15に当接している。この主弁ばね部材26により、主弁軸15にはばね力が加えられている。そのばね力は、主弁体16を主弁座17に向けて押圧して、主弁孔14を閉じる方向に働く。一次側室21の一次側圧力により主弁軸15の軸方向に加えられる力としては、フランジ部16aの図中下方に向かう力、つまり一次側受圧部27aにかかる推力と、フランジ部16aの図中上方に向かう力、つまり一次側受圧部27aの反対側であって主弁体16が設けられている反対側受圧部27bにかかる推力とがある。その2つの推力は受圧面積がほぼ同じであるので、ほぼ相殺される。バランス室24の内径は、主弁孔14の内径とほぼ同一、つまり受圧面積はほぼ同一であるので、バランス室24の二次側圧により主弁体16を閉じる方向に主弁軸15に加わる推力と、二次側ポート12の二次側圧により主弁体16を開く方向に主弁軸15に加わる推力とがほぼ同一となって相殺されている。このように、一次側圧力と二次側圧力とによる主弁軸15の軸方向推力はほぼ相殺されるので、主弁軸15の軸方向に加えられる力は主弁ばね部材26のばね力となる。
【0022】
ブロック本体13aにはフランジ部28aと円筒形装着部28bとを有する調圧アダプター28が装着されている。
図1および
図2に示されるように、調圧アダプター28は4本のねじ部材29によりフランジ部28aの部分でポートブロック13のブロック本体13aに締結されており、着脱自在つまり取り外し自在となっている。ブロック本体13aと調圧アダプター28との間には主弁ダイヤフラム31が挟まれて固定されている。主弁ダイヤフラム31は、ゴム製の弾性変形部31aとこれに固定された金属製または樹脂製の補強ディスク31bとを有している。
【0023】
パイロット式減圧弁10を図示しない部材に取り付けるために、調圧アダプター28の円筒形装着部28bには雄ねじが形成され、この雄ねじには
図2に示されるようにナット30がねじ結合される。
【0024】
ブロック本体13aと調圧アダプター28の取付端面には凹部がそれぞれ形成されており、ブロック本体13aと調圧アダプター28との間に配置される主弁ダイヤフラム31によって、ブロック本体13aの凹部に形成される二次側圧力室32と、調圧アダプター28の凹部に形成されるパイロット圧室33とに区画されている。二次側圧力室32はブロック本体13aに形成された連通孔34を介して二次側ポート12に連通しており、二次側圧力室32は二次側ポート12と同一の二次側圧力となる。主弁ダイヤフラム31には主弁軸15の当接端面20が当接するようになっており、この当接端面20の部分はシール構造となっている。二次側圧力室32の圧力がパイロット圧室33の圧力をよりも低くなると、主弁ダイヤフラム31は図中上方に弾性変形し、主弁軸15の当接端面20はシールされた状態を保持しつつ、主弁軸15は軸方向上方に変位する。逆に、二次側圧力室32の圧力がパイロット圧室33の圧力より高くなると、主弁ダイヤフラム31は図中下方に弾性変形する。主弁ダイヤフラム31がさらに図中下方に弾性変形すると、主弁体16が主弁座17に当接するので、主弁軸15はそれ以上下方に変位しないから、主弁軸15の当接端面20は主弁ダイヤフラム31から離れて当接端面20のシールは解除される。パイロット圧室33には、後述のように、一次側ポート11の圧力が供給されるようになっており、このパイロット式減圧弁は内部パイロット形となっている。
【0025】
二次側ポート12に接続された二次側配管により空気圧機器に対して圧縮空気が供給されると、二次側圧力室32の圧力が低下する。すると、主弁ダイヤフラム31はパイロット圧室33内のパイロット圧つまり一次側圧力により主弁軸15に向けて変位し、主弁体16は主弁座17から離れることになる。これにより、一次側ポート11から二次側ポート12に一次側圧力の圧縮空気が供給されて二次側ポート12の圧力が高められる。二次側圧力室の二次側圧が高められると、パイロット圧に抗して主弁ダイヤフラム31は図中下方に弾性変形するから主弁軸15は図中下方へ変位する。したがって、
図3に示されるように主弁体16が主弁座17に接触シールして、二次側ポート12への圧縮空気の供給が停止する。このようにして、二次側ポート12の圧力は設定値に戻される。
【0026】
主弁軸15の端部内には、主弁ダイヤフラム31に突き当てられる当接端面20に開口させて、底付きの軸方向排気孔35が形成されている。この軸方向排気孔35は排気機構36により外部に連通しており、軸方向排気孔35内に流入した空気は排気機構36により外部に排出される。したがって、二次側圧力室32の圧力がパイロット圧室33の圧力よりも高くなって、主弁ダイヤフラム31が主弁軸15から離れる方向に弾性変形すると、二次側圧力室32内の空気は排気機構36を介して外部に排出される。例えば、空気圧機器を有する電子部品の組立ラインにおいて、減圧弁の二次側に設置した駆動機器がワークを押した際に、一時的に二次側ポート内の圧力がパイロット圧室の圧力よりも高くなると、二次側配管内の圧縮空気は排気機構36から外部に排出される。
このようにして、二次側ポート12の圧力は設定値に戻される。
【0027】
調圧アダプター28に形成された収容孔37には、バルブホルダー38が組み込まれている。このバルブホルダー38は、収容孔37に嵌合する大径筒体38aとこれとの間に隙間を有する小径筒体38bとを有している。大径筒体38aと小径筒体38bとをそれぞれの基端部で連結する端壁部39は調圧アダプター28の底面に対向しており、小径筒体38bの先端部には弁座部41が調圧アダプター28の底面に向けて設けられている。パイロット流路43は、ポートブロック13と調圧アダプター28と主弁ダイヤフラム31の外周端部を貫通して設けられている。さらに、パイロット流路43は小径筒体38b内に設けられた弁室42と一次側ポート11に連通している。大径筒体38aと小径筒体38bとの間には連通室44が形成されている。この連通室44は、後述するパイロット弁体55が弁座部41の弁座をシートしていないときに、弁座部に形成された連通孔45と後述するステム51との隙間を通して弁室42と連通する。また、連通室44は、端壁部39に形成された連通孔46と調圧アダプター28に形成された連通孔46aとを介して、パイロット圧室33に常に連通している。
【0028】
調圧アダプター28にはボンネット47が着脱自在に装着されている。このボンネット47は調圧アダプター28の円筒形装着部28bに嵌合する円筒部47aと、円筒部47aの端部に設けられた端壁部47bとを有しており、円筒部47aはバルブホルダー38の外側に嵌合している。ボンネット47の内周面には径方向内方に突出する突起部48が軸方向に延びて設けられており、突起部48は円周方向に間隔を隔てて複数設けられている。ボンネット47内にはパイロットダイヤフラム49が配置されており、このパイロットダイヤフラム49によりボンネット47内は、ばね室50とバルブホルダー38内の連通室44とに区画されている。
【0029】
パイロットダイヤフラム49の外周部の上面は、バルブホルダー38の大径筒体38aの環状端面に当接する。パイロットダイヤフラム49の外周の下面は、複数の突起部48により下面側から図中上方に向かって押圧されるスリップワッシャ48aに当接する。スリップワッシャ48aは環状の樹脂からなっている。このように、パイロットダイヤフラム49の外周部は、大径筒体38aとスリップワッシャ48aとの間に挟み込まれている。パイロットダイヤフラム49の径方向中央部にはステム51が設けられている。このステム51には弁室42とばね室50とを連通させる貫通孔52が形成されており、ステム51の一端部は連通孔45内に入り込んでいる。ステム51にはパイロットダイヤフラム49の連通室44側の中央部を覆うディスク部51aが設けられている。補強ディスク53がナット54によりステム51に固定されている。その補強ディスク53は、パイロットダイヤフラム49を隔ててこのディスク部51aに対向するように配置される。
【0030】
弁室42内には鋼球からなるパイロット弁体55が配置されている。このパイロット弁体55には、パイロットばね部材56により連通孔45とステム51の端部の弁座を閉じる方向のばね力が加えられている。パイロット弁体55が弁座部41に当接すると、連通孔45が閉じられる。ステム51の弁室42側の端部はパイロット弁体55が当接する弁座となっており、パイロット弁体55がステム51の弁座に当接すると貫通孔52が閉じられる。なお、
図3には連通孔45と貫通孔52の両方が閉じられた状態となって示されている。また、パイロット弁体55と小径筒体38bの内壁との間には、空気が流通可能な隙間がある。
【0031】
ボンネット47の端壁部47bには、調整ねじ部材57が回転自在に取り付けられている。この調整ねじ部材57の内方端部には雄ねじ57aが設けられており、この雄ねじ57aにねじ結合されるばね受け58と補強ディスク53との間には、圧縮コイルばねからなる調圧ばね部材59が装着されている。この調圧ばね部材59によりパイロットダイヤフラム49には図中上向きの推力が加えられる。また、連通室44のパイロット圧力と弁室42の一次側圧力とパイロットばね部材56により、パイロットダイヤフラム49には図中下向きの推力が与えられる。これら上向きと下向きの推力のバランスで、ステム51の軸方向の位置が設定される。
【0032】
ステム51がパイロット弁体55を弁座部41から離す方向に
図3において上方に移動すると、パイロット圧室33は連通室44、ステム上端小径部の外周と連通孔45との隙間、弁室42,およびパイロット流路43を介して一次側ポート11と連通する。これにより、パイロット圧室33内のパイロット圧は一次側ポート11の圧力に近づく。また、ステム51の端部の弁座はパイロット弁体55に当接するので、貫通孔52は閉鎖される。したがって、弁室42と連通室44がばね室50つまり大気に開放されることはない。これに対し、ステム51がパイロット弁体55から離れると、弁座部41に接触するパイロット弁体55により弁室42は閉じられる。また、ステム51の端部の弁座とパイロット弁体55は離れるので、ステム51の貫通孔52を介して連通室44がばね室50と連通する。これにより、連通室44および貫通孔52を介してパイロット圧室33は、ばね室50と連通する。ばね室50はボンネット47に形成された息付き孔60により外部と連通しており、貫通孔52および連通孔45を介してパイロット圧室33がばね室50に連通すると、パイロット圧室33内の空気は外部に排出され、パイロット圧は外部の大気圧に近づく。
【0033】
図3に示されるように、パイロットダイヤフラム49にかかる上向きと下向きの推力がバランスすると、パイロット弁体55が連通孔45を閉じるとともにステム51がパイロット弁体55に当接してステム上端の弁座を閉じた状態となり、パイロット圧は設定された圧力に保持される。したがって、ばね受け58とパイロットダイヤフラム49との間の調圧ばね部材59の圧縮ストロークを調整して、調圧ばね部材59によりパイロットダイヤフラム49に加えられるばね力を調整することによって、パイロット圧室33内のパイロット圧が調整される。パイロット圧に応じて二次側ポート12に吐出される圧縮空気の二次圧が設定される。
【0034】
調整ねじ部材57を回転させるためのハンドル61がボンネット47の外側に取り付けられている。このハンドル61はボンネット47の外周を覆う円筒部61aと、これと一体となった端壁部61bとを有している。ボンネット47の端壁部47bには、調整ねじ部材57の外方端部57bに軸方向に摺動自在に嵌合する嵌合部62が設けられている。外方端部57bは横端面が四角形となっており、嵌合部62の内周面は外方端部57bに対応して横断面が四角形となっている。したがって、ハンドル61を回転させると、調整ねじ部材57は回転することになる。
【0035】
ボンネット47の端壁部47bの外周面には軸方向に延びる噛み合い溝63が円周方向に多数形成され、ハンドル61の内周面には噛み合い溝63に噛み合う噛み合い突起64が設けられている。
図3に示すように、ハンドル61を引っ張ると、噛み合い突起64と噛み合い溝63との噛み合いが解かれて回転位置となる。この回転位置においては、ハンドル61の回転が許容され、ハンドル61をボンネット47の外側で回転させることができる。これに対し、ハンドル61をボンネット47に向けて軸方向に押し付けると、噛み合い突起64が噛み合い溝63に噛み合ってハンドル61はロック位置となる。このロック位置ではハンドル61を回転することが阻止される。
【0036】
作業者が二次側圧力を調整する際には、ハンドル61を
図3に示す回転位置に移動させてハンドル61を回転する。これにより、雄ねじ57aにねじ結合するばね受け58が調整ねじ部材57の軸方向に移動し、調圧ばね部材59の軸方向の長さが変化してばね力が調整される。一方、ハンドル61をロック位置に移動させて、噛み合い突起64を噛み合い溝63に噛み合わせると、ハンドル61を不用意に回転操作することが防止される。
図1および
図2に示されるように、ハンドル61の円筒部61aには、これにスリットを形成することにより径方向に弾性変形する係合片65が形成されている。係合片65の先端部には、
図3に示されるように係合突起66が形成されており、ハンドル61を回転位置にまで移動させたときに、係合突起66に係合してハンドル61が外れるのを防止するために、ボンネット47にはストッパ67が形成されている。
【0037】
図4は
図3における4−4線断面図であり、
図4には上述した排気機構36が示されている。
【0038】
ポートブロック13には、
図4に示されるように、ガイド孔18とポートブロック13の外面とを連通させる排気流路71が形成されている。この排気流路71は、ポートブロック13aの外面に、一次側ポート11と二次側ポート12に対してずらして開口されている。一方、主弁軸15には径方向排気孔72が形成されている。径方向排気孔72は、主弁ダイヤフラム31との当接面20に開口させて形成された軸方向排気孔35に連通する。ガイド孔18において、ブロック本体13aの取付端面側は小径孔18aとなっており、主弁孔14側は小径孔18aよりも内径が大きい大径孔18bとなっている。大径孔18bは環状スペーサ73が装着される収容孔となっており、大径孔18b内に装着される環状スペーサ73には、径方向排気孔72と排気流路71とを連通させる排気連通孔74が形成されている。したがって、軸方向排気孔35と排気流路71は、径方向排気孔72と排気流路71を介して連通している。
【0039】
大径孔18b内には、環状スペーサ73の軸方向両端部側に位置させてシール材75が配置されている。シール材75により主弁軸15とガイド孔18との間がシールされ、軸方向排気孔35内に流入した空気が二次側ポート12へ流出することが防止される。さらに、二次側圧力室32内の空気が径方向排気孔72と排気流路71とに流入することが防止される。小径孔18aは、ポートブロック13に小径となって形成されたストッパ部76の内周面により形成されている。大径孔18bの内側端部には取付孔18cが形成され、この取付孔18c内には環状の止め具77が挿入される。ストッパ部76との間で、環状スペーサ73とシール材75とを大径孔18b内に保持している。
【0040】
以上のように、主弁軸15の軸方向排気孔35は、径方向排気孔72を介して、一次側ポート11と二次側ポート12を結ぶ直線に対して直交する排気流路71に連通している。したがって、略六面体であるポートブロック13の一次側ポート11と二次側ポート12が設けられた相互に反対側の2つの面に対して、直交する2つの面(隣の面)に排気流路71は開口する。つまり、排気流路71は調圧アダプター28側やカバー13b側の面には開口することなく、ポートブロック13の外面のうち一次側ポート11と二次側ポート12からずれた面に開口している。
【0041】
なお、
図4に示すように、二次側ポート12に連通する二次圧供給流路81が形成されている。それぞれの二次圧供給流路81には圧力計等が接続されるようになっており、二次圧供給流路81を閉じるためのポートプラグ82がポートブロック13に取り付けられるようになっている。このポートプラグ82により排気流路71の開口端面は覆われるが、排気流路71に排出された空気はポートプラグ82とポートブロック13との間の隙間を介して外部に排出される。
【0042】
排気機構36を組み立てるには、ポートブロック13のブロック本体13aの
図3および
図4における上方から、大径孔18b内にシール材75と環状スペーサ73とを挿入し、止め具77をガイド孔18の内側端部に形成された取付孔18cに上方から圧入することになる。これにより、シール材75と環状スペーサ73は、ポートブロック13の取付端面側のストッパ部76とこれに対向する止め具77との間で保持される。このように、ストッパ部76よりも内側に挿入される止め具77によりシール材75と環状スペーサ73とを保持するようにすると、以下のように、止め具77を樹脂製リングとしても止め具77が減圧弁の作動中にガイド孔18から外れることが防止される。
【0043】
図5(A)は二次側ポート12が閉じられた状態のもとで、主弁体16が主弁座17から離れた時における空気の流れを示す断面図であり、
図5(B)はこのときにおける主弁孔14内の主流路部の圧力Aと二次側圧力室32内の圧力Bの経時変化を示す圧力特性線図である。主弁体16が主弁座17から離れた当初は、主弁孔14内の主流路部の圧力Aがまず高められる。時間の経過とともに連通孔34を介して二次側圧力室32に主流路部内の空気が流入して、二次側圧力室の圧力Bが徐々に主流路部の圧力Aに近づくように高められることになる。したがって、止め具77にはこれをガイド孔18から外す方向には空気圧が作用することがない。
【0044】
図6(A)は主弁体16が主弁座17から離れて、二次側ポート12に空気が流出する時における空気の流れを示す断面図であり、
図6(B)はこのときにおける空気の流量に応じた主弁孔14内の主流路部の圧力Cと二次側圧力室32内の圧力Dの変化を示す圧力特性線図である。主弁孔14から二次側ポート12に流出する空気の流量が少ないときには、主流路の圧力Cと二次側圧力室32内の圧力Dはほぼ同様に変化する。これに対し、流量が増加すると、二次側ポート12を流れる空気により二次側圧力室32内の空気が連通孔34を介して吸引されることになるので、主流路の圧力Cによりも二次側圧力室32の圧力Dは低下することになる。したがって、止め具77にはこれをガイド孔18から外す方向には空気圧が作用することがない。
【0045】
図7(A)は主弁体16が主弁座17から離れて二次側ポート12に空気が流出する時における、排気機構36に加わる軸方向推力を示す断面図である。
図7(B)は空気の流量に応じた排気機構36に加わる押し込み方向推力Eと、外し方向推力Fの関係を示す推力特性線図である。主弁体16の開度が大きくなって主弁孔14内に流入する空気流量が増加すると、空気の動圧が増加して、止め具77に加わる押し込み方向推力Eが増加する。これに対し、外し方向推力Fは空気流量が増加すると、前述の吸引により減少することになる。しかも、外し方向推力Fは押し込み方向推力Eよりも高くなることはない。したがって、止め具77に対して、これをガイド孔18から外す方向には空気圧が作用することがない。
【0046】
図8(A)は二次側ポート12の圧力が設定値よりも高くなって、二次側圧力室32が排気機構36を介して外部に連通した状態を示す断面図であり、
図8(B)はこのときにおける二次側ポート12の圧力Gと二次側圧力室32の圧力Hの経時変化を示す圧力特性線図である。主弁ダイヤフラム31が主弁軸15の当接端面20から離れて、二次側ポート12内の空気が二次側圧力室32を介して外部に排出されるときには、二次側圧力室32は排気流路71に対して二次側ポート12よりも近い位置にあるので、二次側ポート12よりも早く圧力が低下し、二次側圧力室32の圧力Hは二次側ポート12の圧力Gよりも高くなることがない。したがって、止め具77に対しては、これをガイド孔18から外す方向には空気圧が作用することがない。
【0047】
図5〜
図8に示すように、パイロット式減圧弁10の全ての動作において、排気機構36の止め具77に対してこれを取付孔18cから抜き取る方向の推力ないし圧力が加わることが防止される。これにより、止め具77を取付孔18cに強く固定する必要がないので、止め具77を樹脂製としても問題がなく、シール材75と環状スペーサ73とをガイド孔18内に保持することができる。
【0048】
図9は本発明の他の実施の形態であるパイロット式減圧弁10aを示す断面図である。このパイロット式減圧弁10aはフィルタを有しており、通常、フィルタレギュレータと言われている。
【0049】
図9においては、
図3のパイロット式減圧弁10と相違して、パイロット式減圧弁10aが、上下が反転された状態として示されている。
図9におけるポートブロック13の上側には、パイロット式減圧弁10と同様の構造の調圧アダプター28およびボンネット47等が設けられている。ポートブロック13にはガイド筒体22が設けられたホルダー83が取り付けられている。このホルダー83は、主弁軸15の摺動部15aが嵌合するガイド筒体22が一体となった底壁部83aと、これと一体となった円筒部83bとを有し、円筒部83bの端部に設けられ嵌合部83cがポートブロック13の取付部13cに嵌合している。円筒部83bにはホルダー83の内側と外側を連通させるためのスリット83dが複数設けられている。
【0050】
ポートブロック13にはボウルつまりフィルタ容器84が着脱自在に装着される。フィルタ容器84は底壁部84aとこれと一体となった円筒部84bとを有し、円筒部84bの先端部がポートブロック13に装着される。フィルタ容器84の内部には円筒形状のフィルタエレメント85が配置されており、
図9に示すように、フィルタエレメント85の下端部は底壁部84aに当接し、上端部は嵌合部83cの外側の部分に当接している。フィルタ容器84内は、フィルタエレメント85によりその外側の上流側室86aと内側の下流側室86bとに区画されており、一次側ポート11から流入した空気は、フィルタエレメント85を透過する際に固形粒子がフィルタエレメント85により除去される。これにより、一次側ポート11に供給された空気は濾過されて清浄化され、主弁体16が開かれると、清浄化された空気は二次側ポート12に供給される。
【0051】
排気機構36の構造は、
図3に示したパイロット式減圧弁10のものと同様となっている。
図9に示す実施の形態では、ポートブロック13の図中上側にパイロット式減圧弁が設けられ、ポートブロック13の図中下側にはフィルタが設けられる。排気機構36の排気流路の開口部が、パイロット式減圧弁やフィルタ側ではなく、一次側ポート11と二次側ポート12が設けられた面に隣接した面に開口している。
【0052】
図10は
図9に示した止め具77の拡大断面図である。止め具77の外周面には円周方向に一定の間隔置きに、径方向に突出する突起部77aが設けられている。突起部77aの外径は、取付孔18cの内径よりも大きく設定されており、樹脂製の止め具77を取付孔18cに挿入すると、突起部77aが弾性変形して
図10において実線で示すように、取付孔18cに密着する。円周方向の突起部77aの相互間には、隙間88が形成されるようになっており、取付孔18cに止め具77を挿入するときの操作力を小さくすることができる。
【0053】
図10は
図9に示した止め具77を示す拡大断面図であるが、
図3、
図4に示した止め具77についても同様となっている。ただし、外周面に突起部77aを設けない形態の止め具77を使用することもでき、止め具77を金属製とすることもできる。
【0054】
図11および
図12はそれぞれパイロット式減圧弁のポートブロックの変形例を示す断面図である。
図11および
図12においては、上述ポートブロック13における部材と共通する部材には同一の符号が付されている。
【0055】
図11に示されるパイロット式減圧弁10bのブロック本体13aには、一次側ポート11のねじ孔11aと、二次側ポート12のねじ孔12aとが主弁孔14の中心に対して相互にほぼ直角となって形成されている。したがって、一次側ポート11と二次側ポート12は、ブロック本体13aの相互に直角となった外面に開口されている。排気流路71は一次側ポート11のねじ孔11aとほぼ同一の方向となってブロック本体13aに形成されている。排気流路71は一次側ポート11と二次側ポート1に対して異なった位置においてブロック本体13aの外面に開口している。
【0056】
図12に示されるパイロット式減圧弁10cのポートブロック13は、ブロック本体13aに固定されるカバー13bに一次側ポート11のねじ孔11aが形成されている。カバー13bには、バルブガイド91が固定されている。バルブガイド91は、主弁軸15を移動自在に支持するガイド筒体22と、このガイド筒体22よりも大径の装着筒体91aとが端壁部91bにより一体となっている。装着筒体91aには、本体ブロック13aに形成された雌ねじ19aにねじ結合される雄ねじ19bが設けられている。端壁部91bには一次側ポート11と一次側室21とを連通させる複数の連通孔92が設けられている。
【0057】
図示するパイロット式減圧弁10,10a,10b,10cは、いずれもパイロット圧室33に一次側ポート11の空気を供給するようにした内部パイロット式であるが、パイロット圧室33に外部から調圧されたパイロット圧の空気を供給するようにすると、外部パイロット式の減圧弁となる。
【0058】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、
図3、
図11および
図12に示すパイロット式減圧弁10,10b,10cはハンドル61が下側となった状態で示されているが、
図9に示すフィルタ付きのパイロット式減圧弁10aと同様にハンドル61が上側となるようにした状態で使用しても良い。