(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガイド部材は、前記ガイド位置から前記ユニットの抜き出し方向への回動が、前記ユニットに形成された第3の当接部と当接する退避位置で規制され、該退避位置では、前記ユニットの抜き出し方向に平行な前記第2のローラの外周接線よりも鉛直下方に位置することを特徴とする請求項4記載の媒体搬送装置。
前記ガイド部材が前記ガイド位置にあるとき、前記媒体規制部の媒体搬送方向における最下流側の先端部は、前記当接部と、前記第1のローラと前記第2のローラの外周接線との間に位置することを特徴とする請求項1乃至8、及び10の何れかに記載の媒体搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本発明による媒体搬送装置を採用した実施の形態1の画像形成装置の要部構成を説明するための概略構成図である。
【0009】
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1には、積層した媒体としての記録用紙2を収納する給紙カセット3がプリンタ1の底部に着脱自在に装着されている。給紙カセット3は、プリンタ1の前側方向である矢印A方向に抜き出し可能になっている。給紙カセット3の用紙取り出し側の上部には、積層した記録用紙2が圧接するピックアップローラ4が回転可能に配設されている。そのピックアップローラ4の近傍には、ピックアップローラ4によって給紙カセット3から繰り出された記録用紙2を、一枚ずつ上方(用紙搬送方向の下流側)へと繰り出すための給紙ローラ5及びリタードローラ6が対向して配置されている。
【0010】
給紙ローラ5及びリタードローラ6によって一枚ずつ繰り出された記録用紙2は、搬送経路に沿って順に配置された第1レジストローラ対7、第2レジストローラ対8、及び搬送ローラ対9によって、これらの下流側に配置された画像形成部10に送られる。
【0011】
画像形成部10は、トナーカートリッジ10a、記録ヘッド10b、感光ドラム10c、転写ローラ10d等により構成されており、搬送される記録用紙2に対して記録データに応じたトナー画像を転写する。そして、画像形成部10の搬送方向下流側には定着装置11が配設されている。定着装置11は、記録用紙2に転写されたトナー画像を加熱溶融により記録用紙2に定着させるもので、定着ローラ11a、これに圧接する加圧ローラ11bにより構成される。
【0012】
定着装置11の搬送方向下流側には、搬送経路に沿って、順に搬送ローラ対12及び113a,13bが設けられ、トナー画像が定着されて定着装置11から排出された記録用紙2を、プリンタ1の上部に配設された排出部14に排出する。この排出部14には、印刷された記録用紙2が順次積載される。そして搬送される記録用紙2の搬送位置を検出するため、第1レジストローラ対7の直前にセンサ22、第2レジストローラ対8の直前にセンサ23、搬送ローラ対9と転写ローラ10dの間にセンサ24、定着装置11と搬送ローラ対12の間にセンサ25がそれぞれ配設されている。
【0013】
プリンタ1は、記録用紙2の両面印刷が可能な構成を備えるものであり、次に両面印刷を行う場合について説明する。
【0014】
このため、搬送ローラ対12の下流側には、記録用紙2の進路を決めるブレード15a、退避部48に対し記録用紙2を、搬入、搬出するためのスイッチバック搬送する反転ローラ対16,17、反転搬送される記録用紙2を後述する引き出し可能なユニットとしての両面ユニット21に導くブレード15b及び搬送ローラ18、両面ユニット21内の反転搬送路に導かれた記録用紙2を再び第1レジストローラ対7に搬送する搬送ローラ対19,20、及び用紙位置検出を行うための、センサ26,27が配設されている。
【0015】
従って、両面印刷時には、表面印刷を終えた記録用紙2を、ブレード15aと反転ローラ対16,17によって退避部48に一旦収容した後、反転する反転ローラ対16,17、ブレード15b及び搬送ローラ18によって、収容した記録用紙2の後端部を先端部として両面ユニット21に送り込む。両面ユニット21に送り込まれた記録用紙2は、搬送ローラ対19,20によって再び第1レジストローラ対7に搬送され、印刷されていない面(裏面)が上面(印刷面)となって、表面の印刷時と同様にして裏面への印刷が実行される。
【0016】
カバー部材としてのフロントカバー28は、両面ユニット21を、プリンタ1の前側である矢印A方向へ引き出すために回動軸28aを中心として回動し、
図1に外形及び要部を点線で示す開放位置まで開くことができる構成となっている。プリンタ1の下部には、記録用紙2の追加的な供給を可能とするオプション給紙カセット29が配置されている。
【0017】
尚、
図1中のX、Y、Zの各軸は、記録用紙2が搬送ローラ8,9を通過する際の搬送方向にX軸をとり、感光ドラム10cの回転軸方向にY軸をとり、これら両軸と直交する方向にZ軸をとっている。また、後述する他の図においてX、Y、Zの各軸が示される場合、これらの軸方向は、共通する方向を示すものとする。即ち、各図のXYZ軸は、各図の描写部分が、
図1に示すプリンタ1を構成する際の配置方向を示している。またここでは、Z軸が略鉛直方向となるように配置されるものとする。
【0018】
次に、プリンタ1のフロントカバー28を
図1に点線で示す開放位置に開いた状態で、矢印A方向にスライド可能に保持された両面ユニット21とその保持機構について説明する。
【0019】
図2は、両面ユニット21と、プリンタ1内の所定位置に固定されて両面ユニット21をスライド可能に保持するベースユニット35の外観斜視図であり、
図3は、両面ユニット21を、ベースユニット35から矢印A方向に引き出した時の状態を示す外観斜視図であり、
図4は、両面ユニット21を除いたベースユニット35の外観斜視図であり、
図5は、両面ユニット21の構成図である。
図5において、(a)は両面ユニット21の正面図、(b)は左側面図、(c)は(b)の左側面図におけるA−A断面の一部を示す部分断面図である。
【0020】
図4に示すように、プリンタ1本体に固定されたベースユニット35には、搬送ローラ対19の駆動ローラ19a及び搬送ローラ対20の駆動ローラ20aが回転自在に保持されてプリンタ1本体から駆動伝達系40を介して回転力が伝達され、両サイドには、レールL36とレールR37が対向して配置され、各レール36,37には、後述する両面ユニット21の所定部と係合するガイド溝36a,37a及びポスト36b,37bがそれぞれ対向して配置されている。
【0021】
但し、
図4には、ガイド溝37a、ポスト37bのみ示している。尚、レールL36に形成されたガイド溝36a及びポスト36bと、レールR37に形成されたガイド溝37a及びポスト37bとは、ベースユニット35の幅方向の中央部で垂直に交わる仮想平面に対して面対称に構成されているものとする。
【0022】
図3に示すように、両面ユニット21は、対向して配置されたロアーガイド39とアッパーガイド38とを備え、回動支点38aを有するアッパーガイド38が、ロアーガイド39と一体的に形成されたサイドガイドL33及びサイドガイドR34に回動自在に取り付けられ、その矢印A方向の先端部が上方に回動できるように構成されている。
【0023】
アッパーガイド38には、搬送ローラ対19の従動ローラ19b及び搬送ローラ対20の従動ローラ20bが回転自在に保持されている。
図5に示すように、両面ユニット21の両サイドに配置されたサイドガイドL33とサイドガイドR34には、ベースユニット35のベースユニットガイド溝36a,37aと係合するポスト33c,34c及びベースユニット35のポスト36b,37bと係合するリブ33d,34dが配置されている。
【0024】
また、両面ユニット21の矢印A方向の先端部(両面ユニット21の引き出し方向における下流側端部)には、回動支点31(
図6)を有する後述するガイド部材としてのインナーガイド30が、両サイドガイド33,34によって、回動支点31を軸とするY軸方向に平行な軸回りに回動自在に支持されている。尚、サイドガイドL33とサイドガイドR34とは、両面ユニット21の幅方向の中央部で垂直に交わる仮想平面に対して略面対称に構成されているものとする。
【0025】
以上のように構成された両面ユニット21は、例えば
図3に示すように、ポスト33c,34cがそれぞれベースユニット35のベースユニットガイド溝36a,37aに嵌め込まれ、且つリブ33d,34dがそれぞれベースユニット35のポスト36b,37bに載置した状態に組み込まれ、
図3に示す引き出し位置と
図2に示す装着位置との間でスライド移動可能となっている。尚、矢印A方向は、このとき両面ユニット21が装着位置から引き出し位置にスライド移動する方向を示すものである。
【0026】
図6は、両面ユニット21の、記録用紙2の搬送経路を示す要部構成図であり、
図7(a)、(b)は、インナーガイド30を異なる方向からみた外観斜視図である。
【0027】
図6に示すように、両面ユニット21が装着位置にある場合、両面ユニット21の従動ローラ19b及び従動ローラ20bが、それぞれベースユニット35の駆動ローラ19a及び駆動ローラ20aに当接して搬送ローラ対19,20を構成し、両面ユニット21のアッパーガイド38とロアーガイド39とで構成する搬送路に沿って記録用紙2を搬送する。インナーガイド30は、後述するようにフロントカバー28が閉じることに伴う回動によって、その先端部が第1レジストローラ対7のニップ部に接近して配置され、搬送ローラ対19,20によって矢印A方向に搬送される記録用紙2を、確実に第1レジストローラ対7のニップ部に導く。
【0028】
図7(a)は、インナーガイド30を第1の搬送面30a側からみた外観斜視図であり、
図7(b)は、インナーガイド30を、第1の搬送面30aの反対面である第2の搬送面30e側からみた外観斜視図である。
【0029】
図7に示すように、インナーガイド30は、第1の搬送面30aと第1の搬送面30aの反対面に形成された第2の搬送面30eを有する媒体規制部としての媒体規制部30h、媒体規制部30hから延びるアーム部30d、アーム部30dの、媒体規制部30h側とは反対の他端側に形成された回動支点31とを有する。
【0030】
媒体規制部30hの第1の搬送面30aには記録用紙2の搬送方向と略平行に延在するリブ30cが形成され、同じく第2の搬送面30eには記録用紙2の搬送方向と略平行に延在するリブ30fが形成されている。一対のアーム部30dは、媒体規制部30hの、媒体搬送方向と略垂直に交わる方向(インナーガイド30の幅方向でY軸方向)における両端部から垂直に互いに平行に対向して延在し、搬送される記録用紙2の最大幅よりも離間し、搬送領域の外側に形成されている。
【0031】
尚、ここでは、一対のアーム部30dが、媒体規制部30hに対して垂直にT字状に延在する例を示したが、L字状に延在するように形成してもよいし、媒体規制部30hに対して垂直でなくても、媒体規制部30hから離間する方向に延在するように形成されていればよい。
【0032】
インナーガイド30の幅方向において、媒体規制部30hの第1の搬送面30a側の両端部には一対の当接部30bが形成され、これら一対の当接部30bは、搬送される記録用紙2の最大幅よりも離間し、搬送領域の外側に形成されている。同じくインナーガイド30の幅方向において、媒体規制部30hの第2の搬送面30e側の両端部には一対の突き当て部30gが形成され、これら一対の突き当て部30gは、搬送される記録用紙2の最大幅よりも離間し、搬送領域の外側に形成されている。
【0033】
次に、フロントカバー28の開閉動作に伴うインナーガイド30の回動動作について更に説明する。
図8は、フロントカバー28が閉まっている時の、インナーガイド30近傍の要部構成を示す部分拡大図であり、
図9は、フロントカバー28が開いている時の、インナーガイド30近傍の要部構成を示す部分拡大図である。
【0034】
先ず
図8に示すように、フロントカバー28が閉まっている状態について説明する。この時両面ユニット21は、ベースユニット35によって、プリンタ1内の装着位置に位置決め固定されている。プリンタ1内に配置された第1レジストローラ対7は、駆動力を受けて回転する第1のローラとしての駆動ローラ7aとこれに接して従動する第2のローラとしての従動ローラ7bとから構成されている。
【0035】
駆動ローラ7aの下方には、プリンタ1本体に固定されて、両面ユニット21のアッパーガイド38に引き続いて、両面ユニット21内を搬送される記録用紙2の上側を第1レジストローラ対7にガイドするガイドフレーム42の先端部に形成された第2の当接部としての一対の位置決め当接部42aが配設されている。これら一対の位置決め当接部42aは、Y軸方向においてガイドフレーム42の両端部に対向して形成され、搬送される記録用紙2の最大幅よりも離間し、搬送領域の外側に形成されている。
【0036】
後述する押圧部材43によって押圧されるインナーガイド30は、その一対の突き当て部30gが、各々一対の位置決め当接部42aに当接して矢印B方向への回動が規制され、このガイド位置に位置決められる。このとき、くさび状に形成されたインナーガイド30の媒体規制部30hの先端部30jが、駆動ローラ7aと従動ローラ7bとの当接部としてのニップ部46に近接するように考慮されている。
【0037】
第1の当接部としての押圧部材43は、その先端側において、Y軸方向における両端部に一対の押圧凸部43aを対向して備え、フロントカバー28に、図示しない保持手段によって例えばフロントカバー28と垂直方向にスライド可能に保持され、これらの間には付勢部材としてのコイルスプリング45が配設されている。
図8に示すように、フロントカバー28が閉まった状態では、圧縮された状態となるコイルスプリング45によって付勢される押圧部材43の一対の押圧凸部43aが、インナーガイド30の一対の当接部30bに各々圧接するため、インナーガイド30は、位置決め当接部42aと押圧凸部43aとによって挟持されて
図8に示すガイド位置に位置決めされ、この位置を堅持する。
【0038】
ここで、インナーガイド30の先端部30jは、第1のレジストローラ対7のニップ部46と、駆動ローラ7aと従動ローラ7bの外周接線L1との間に配置される。但し、先端部30jは、駆動ローラ7a及び従動ローラ7bに対して、媒体の搬送ルートP、Q、Rを確保するための所定の間隙を形成する位置に配置されるものである。これにより第1レジストローラ対7に向かって搬送される記録用紙2をニップ部46の直前までガイドして搬送方向を規制することにより、媒体搬送特性を向上することができる。
【0039】
また、上記したように、位置決め当接部42a、突き当て部30g、当接部30b、及び押圧凸部43aは、互いに対向可能な位置に配置されるが、更に
図8に示すように、これらが互いに対向した状態の対向部の位置が、インナーガイド30の先端部30jの近傍であって、回動支点31よりも先端部30jに近い位置に配置されることが好ましい。このように配置することによって、振動等の要因による先端部30jの位置変動を低減することが可能となる。
【0040】
ここで、インナーガイド30がガイド位置にあるとき、第1レジストローラ対7に導かれる記録用紙2の搬送路について説明する。両面印刷をするために、搬送ローラ対19,20(
図6)によって搬送された記録用紙2は、プリンタ1本体に固定されたガイドフレーム42、両面ユニット21の、先端ガイド部32及びインナーガイド30の第2の搬送面30eによってガイドされる搬送路Pに沿って第1レジストローラ対7に導かれ、給紙ローラ5及びリタードローラ6によって、給紙カセット3(
図1)から一枚ずつ繰り出された記録用紙2は、先端ガイド部32及び第2の搬送面30eによってガイドされる搬送路Qに沿って第1レジストローラ対7に導かれ、オプション給紙カセット29(
図1)から給紙搬送された記録用紙2は、インナーガイド30の第1の搬送面30aによって規制される搬送路Rにそって第1レジストローラ対7に導かれる。
【0041】
次に、
図9に示すように、フロントカバー28が開いている状態について説明する。フロントカバー28が開くと、押圧部材43によるインナーガイド30への付勢が解除され、インナーガイド30は、自重により矢印C方向に回動し、
図8に示すガイド位置から
図9に示す退避位置に遷移する。
【0042】
ここでは、インナーガイド30がガイド位置にあるとき、そのアーム部30dが略鉛直水平方向に延在し、媒体規制部30hが略鉛直方向に延在しているため、インナーガイド30の重心位置が、回動支点31よりも媒体規制部30h側にオフセットしている。このためフロントカバー28を開くと、自重によってインナーガイド30が矢印C方向(開く方向)に回動し、
図9に示す退避位置へと遷移する。
【0043】
この時、インナーガイド30は、その幅方向(Y軸方向)の両端部に形成された突き当て部30kと、両面ユニット21に形成された第3の当接部としての回動規制部21aとが当接することで矢印C方向への回動が規制され、
図9に示す退避位置に位置決めされ、この位置に留まる。更に、インナーガイド30がこの退避位置にあるとき、インナーガイド30の先端部30jは、両面ユニット21の引き出し方向である矢印A方向と平行な従動ローラ7bの外周接線L2よりも鉛直下方に位置する。これにより、両面ユニット21が矢印A方向に引き出されるとき、インナーガイド30と従動ローラ7bとが接触することがない。
【0044】
従って、この両面ユニット21内で、搬送される記録用紙2が詰まった際には、
図3に示すように両面ユニット21を、ベースユニット35から矢印A方向に引き出し、プリンタ1の外部にてアッパーガイド38を上方に回動して両面ユニット21内を開放することによって、両面ユニット21内に詰まった記録用紙2を取り除くことが可能となる。
【0045】
図10は、インナーガイド30の形状及び取り付け位置の説明に供する説明図である。同図を参照しながら、インナーガイド30の形状及びその取り付け位置について更に説明する。
【0046】
同図は、インナーガイド30が、プリンタ1内の装着位置に位置決めされた両面ユニット21本体によって、回動支点31を軸とするY軸方向に平行な軸回りに回動自在に支持され、更に前記した押圧部材43によって、その突き当て部30gが位置決め当接部42a(
図8参照)に当接するガイド位置を維持した状態を示している。
【0047】
この時、インナーガイド30の先端部30jは、第1のレジストローラ対7のニップ部46と、駆動ローラ7aと従動ローラ7bの外周接線L1の間に配置される。インナーガイド30は、このガイド位置から
図9に示す退避位置まで矢印C方向に回動するとき、その先端部30jが下流側に位置する従動ローラ7bと接触しないように、回動中心となる回動支点31を取り付ける必要がある。例えば
図10に示す位置に回動支点31を取り付けた場合、先端部30jは回動軌跡31pを描くため、従動ローラ7bと接触することがない。
尚、インナーガイド30が、ガイド位置から矢印C方向に回動するとき、その初期段階において、媒体規制部30hの特に先端部30j近傍は略矢印A方向に移動するため、便宜的に矢印A方向に回動する、と表現する場合がある。
【0048】
このように、先端部30jと従動ローラ7bとの接触を避けるため、インナーガイド30の回動支点31は、回動支点31から先端部30jの先端までの距離をW1、回動支点31から、先端部30jよりも回動方向下流側(矢印A方向側)に位置する従動ローラ7bまでの最短距離をW2としたとき、
W1<W2
を満たす位置に配置されるものである。
【0049】
これに対して比較例として、インナーガイド30の回動中心を例えば媒体規制部30hと重なる仮想中心131に移動した場合、W1>W2となって先端部30jが回動軌跡131pを描くため、先端部30jが従動ローラ7bと接触して退避位置まで回動できなくなる。
【0050】
このため、先端部30j、第1の搬送面30a、及び第1の搬送面30aの反対面に形成された第2の搬送面30eを有する平板状の媒体規制部30hを有する本実施の形態のインナーガイド30においては、アーム部30dを、媒体規制部30hの幅方向の両端部において媒体規制部30hから離間する方向に延在させてその先端部に回動支点31を形成している。そして、このアーム部30dが、ガイド位置にある媒体規制部30hの、従動ローラ7bとは反対側(駆動ローラ7a側)、即ち矢印A方向側とは反対側に延在するように配置して両面ユニット21本体に取り付けている。この時の従動ローラ7bは、インナーガイド30が、ガイド位置から退避位置まで矢印C方向に回動する際の回動方向(矢印A方向)の下流側に位置している。
【0051】
また、以上のように形成されたインナーガイド30においては、その重心が、回動支点31よりも、媒体規制部30h側にオフセットするため、自重によって矢印C方向に、前記した退避位置まで回動することが可能となる。
【0052】
以上のように、本実施の形態のプリンタによれば、両面ユニット21本体に回動自在に支持されたインナーガイド30を、記録用紙2を確実にガイドするためにガイド位置において第1レジストローラ対7のニップ部46の近傍に近づけ、且つ第1のレジストローラ対7の従動ローラ7bに邪魔されることなく、両面ユニット21の取り出しが可能な退避位置まで回動することが可能となる。
【0053】
また、退避位置では第1レジストローラ対7とインナーガイド30とが離間するため、第1レジストローラ対7近傍の詰まった媒体の除去が容易となる。また、インナーガイド30が両面ユニット21の引き出し側(矢印A方向)端部に配設されているため、両面ユニット21を少量引き出すだけで、インナーガイド30近傍で詰まった媒体の除去が更に容易となり、両面ユニット21の引き出し自体も容易となる。
【0054】
実施の形態2.
図11は、本発明に基づく実施の形態2のプリンタに採用される両面ユニット121の外観斜視図、
図12は、両面ユニット121の構成図である。
図12において、(a)は両面ユニット121の正面図、(b)は左側面図、(c)は(b)の左側面図におけるB−B断面の一部を示す部分断面図である。
【0055】
この両面ユニット121を採用するプリンタが、前記した
図1に示すプリンタ1と主に異なる点は、両面ユニット121におけるガイド部材としてのインナーガイド130の形状、取り付け方法、及び動作内容である。従って、この両面ユニット121を採用するプリンタが、前記した実施の形態1のプリンタ1(
図1)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。尚、本実施の形態のプリンタの要部構成は、両面ユニット121以外において
図1に示す実施の形態1のプリンタ1の要部構成と共通するため、必要に応じて
図1を参照する。
【0056】
本実施の形態の両面ユニット121の矢印A方向の先端部には、媒体搬送方向と略垂直に交わる方向(インナーガイド130の幅方向)における両端部にポスト130a,130bを有する後述するインナーガイド130が、両サイドガイド133,134にそれぞれ形成されたガイド長孔121a,121bよって、略上下方向にスライド可能に支持されている。尚、サイドガイドL133とサイドガイドR134、及びインナーガイド130は、両面ユニット121の幅方向の中央部で垂直に交わる仮想平面に対して略面対称に構成されているものとする。
【0057】
次に、フロントカバー28(
図1)の開閉動作に伴うインナーガイド130の上下移動動作について説明する。
図13(a)は、フロントカバー28が閉まっている時の、インナーガイド130近傍の要部構成を示す部分拡大図であり、同図(b)は、フロントカバー28が開いている時の、インナーガイド130近傍の要部構成を示す部分拡大図である。
【0058】
先ず
図13(b)に示すように、フロントカバー28が開いている状態について説明する。このとき、インナーガイド130は、その自重によって、退避位置に相当する上下移動可能範囲の最下方位置にある。インナーガイド130がこの退避位置にあるとき、その先端部130cが、両面ユニット121の引き出し方向である矢印A方向と平行な従動ローラ7bの外周接線L2よりも鉛直下方に位置するように考慮されている。これにより、両面ユニット121が矢印A方向に引き出されるとき、インナーガイド130と従動ローラ7bとが接触することがない。
【0059】
この状態から、フロントカバー28を閉じると、その過程において、フロントカバー28に配設された係合凸部143(
図13(a)参照)が矢印Aの逆方向からインナーガイド130のポスト130aに接近し、先ず係合凸部143の傾斜部143aがポスト130aに当接してポスト130aをガイド長孔121aに沿って上方に押し上げるため、インナーガイド130全体がこれに伴って上昇する。
【0060】
やがてフロントカバー28が閉じると、
図13(a)に示すように、ポスト130aが、傾斜部143aを上り切って水平に形成された係合凸部143の上辺143bに至り、この上辺143b上に載置された状態となる。この時のインナーガイド130のスライド位置がガイド位置に相当する。
【0061】
インナーガイド130がこのガイド位置にあるとき、インナーガイド130の先端部130cは、第1のレジストローラ対7のニップ部46と、駆動ローラ7aと従動ローラ7bの外周接線L1との間に配置される。但し、先端部130cは、駆動ローラ7a及び従動ローラ7bに対して、媒体の搬送ルートP、Q、Rを確保するための所定の間隙を形成する位置に配置されるものである。これにより第1レジストローラ対7に向かって搬送される記録用紙2をニップ部46の直前までガイドして搬送方向を規制することにより、媒体搬送特性を向上することができる。
【0062】
ここで、インナーガイド130がガイド位置にあるとき、第1レジストローラ対7に導かれる記録用紙の搬送路について説明する。両面印刷をするために、搬送ローラ対19,20(
図6)によって搬送された記録用紙2は、プリンタ1本体に固定されたガイドフレーム142、両面ユニット121の、先端ガイド部32及びインナーガイド130の第2の搬送面130eによってガイドされる搬送路Pに沿って第1レジストローラ対7に導かれ、給紙ローラ5及びリタードローラ6によって、給紙カセット3(
図1)から一枚ずつ繰り出された記録用紙2は、先端ガイド部32及び第2の搬送面130eによってガイドされる搬送路Qに沿って第1レジストローラ対7に導かれ、オプション給紙カセット29(
図1)から給紙搬送された記録用紙2は、インナーガイド130の第1の搬送面130dによって規制される搬送路Rにそって第1レジストローラ対7に導かれる。
【0063】
以上のように、本実施の形態のプリンタによれば、両面ユニット121本体にスライド移動可能に支持されたインナーガイド130を、記録用紙2を確実にガイドするためにガイド位置において第1レジストローラ対7のニップ部46の近傍に近づけ、且つ第1のレジストローラ対7の従動ローラ7bに邪魔されることなく、両面ユニット121の取り出しが可能な退避位置までスライド移動することが可能となる。また、退避位置では第1レジストローラ対7とインナーガイド130とが離間するため、第1レジストローラ対7近傍の詰まった媒体の除去が容易となる。