特許第5740426号(P5740426)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740426
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】ベンジルアミン疎水性物質
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/83 20060101AFI20150604BHJP
   C07C 217/08 20060101ALN20150604BHJP
【FI】
   C08G18/83
   !C07C217/08
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-65375(P2013-65375)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2013-224291(P2013-224291A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2013年6月19日
(31)【優先権主張番号】61/635,994
(32)【優先日】2012年4月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジェイ.ラバスコ
(72)【発明者】
【氏名】バレット・アール.ボブセイン
【審査官】 上村 直子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/090911(WO,A1)
【文献】 特開平08−034720(JP,A)
【文献】 米国特許第05231203(US,A)
【文献】 特表2012−505261(JP,A)
【文献】 特表平10−513480(JP,A)
【文献】 特表2009−544730(JP,A)
【文献】 国際公開第96/038465(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/065266(WO,A2)
【文献】 欧州特許出願公開第02166044(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0261602(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101633718(CN,A)
【文献】 METRO,T-X. et al.,Highly Enantioselective Synthesis of β-Amino Alcohols: A Catalytic Version,The Journal of Organic Chemistry,2007年,Vol.72,p.6556-6561
【文献】 BARRETT,D.G. et al.,P2-P3 conformationally constrained ketoamide-based inhibitors of cathepsin K,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2005年,Vol.15, No.15,p.3540-3546
【文献】 ピペラジン誘導体の研究(第1報) : 2-Phenylpiperazine誘導体の合成およびその薬理作用,藥學雜誌,1969年,Vol.89, No.5,p.660-668
【文献】 WESTERMANN,J. et al.,Practical Synthesis of a Heterocyclic Immunosuppressive Vitamin D Analogue,Organic Process Research & Development,2007年,Vol.11, No.2,p.200-205
【文献】 ZHANG,H-C. et al.,Stereocontrol between Remote Atom Centers in Acyclic Substrates. Anti Addition of Hydride to 1,5-, 1,6-, and 1,7-Hydroxy Ketones,The Journal of Organic Chemistry,1998年,Vol.63, No.22,p.7964-7981
【文献】 GAO,M. et al.,Structure and Reactivity of a Preactivated sp2-sp3 Diboron Reagent: Catalytic Regioselective Boration of α,β-Unsaturated Conjugated Compounds,The Journal of Organic Chemistry,2011年,Vol.76, No.10,p.3997-4007
【文献】 HERNESTAM,S.,Reaction of 1,1'-iminobis-2-butanols with sulfuric acid,Journal of Heterocyclic Chemistry,1983年,Vol.20, No.6,p.1681-1685
【文献】 ADAMCZYK,M. et al.,Collagen cross-links: Synthesis of pyridinoline, deoxypyridinoline and their analogues,Tetrahedron,1999年,Vol.55, No.1,p.63-88
【文献】 GARST,M.E. et al.,Hydroboration-carbon monoxide insertion of bis-olefinic amine derivatives. Synthesis of δ-coniceine, pyrrolizidine, (±)-heliotridane, and (±)-pseudoheliotridane,The Journal of Organic Chemistry,1982年,Vol.47, No.8,p.1494-1500
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第三級アミン基を有する疎水性に修飾されたアルキレンオキシドウレタンポリマーの安定な水性分散物を含む組成物であって、前記第三級アミン基は前記ポリマーの骨格に組み込まれており、かつ前記第三級アミン基は下記構造:
【化1】
(式中、RはC−C16−アルキル、フェニル、ナフチル、C−C16−アルキルフェニル、C−C16−アルキルナフチル、または−CH−ORであり、RはC−C12−アルキル、フェニル、ナフチル、C−C12−アルキルフェニル、またはC−C12−アルキルナフチルであり;各Rは独立してC−C−アルキルであり;各Yは独立してC−C−アルキレン、またはCHCHRであり、各Rは独立してH、C−C12−アルキル、フェニル、ナフチル、C−C12−アルキルフェニル、またはC−C12−アルキルナフチルであり;mは0、1または2であり;並びに、pは1〜50である)
によって特徴付けられる組成物。
【請求項2】
下記構造:
【化2】
(式中、はn−ブチルまたは2−エチルヘキシルである)
によって特徴付けられる請求項の組成物。
【請求項3】
第三級アミン基を有する疎水性に修飾されたアルキレンオキシドウレタンポリマーの安定な水性分散物を含む組成物であって、前記第三級アミン基は前記ポリマーの骨格に組み込まれており、かつ前記第三級アミン基は下記構造:
【化3】
(式中、Rは−CH−ORであり、RはC−C12−アルキル、フェニル、ナフチル、C−C12−アルキルフェニル、またはC−C12−アルキルナフチルであり;各Rは独立してC−C−アルキルであり;各Yは独立してC−C−アルキレン、またはCHCHRであり、各Rは独立してH、C−C12−アルキル、フェニル、ナフチル、C−C12−アルキルフェニル、またはC−C12−アルキルナフチルであり;mは0、1または2であり;並びに、pは1〜50である)
によって特徴付けられる請求項1の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明概念は、コーティング配合物のためのレオロジー調整剤として有用である疎水性に修飾されたアルキレンオキシドウレタンポリマーの製造に有用なアミンベースの疎水性物質に関する。
【背景技術】
【0002】
レオロジー調整剤は、広い剪断速度範囲にわたって望ましいレオロジー特性をコーティング配合物に付与する様に典型的に設計される。米国特許第7,741,402号は、第二級または第三級アミンのような有機塩基を含む疎水性物質で修飾されたエチレンオキシドウレタンポリマー(アミン修飾HEUR)を開示し、その存在はpHトリガーによる粘度制御を提供する。組み込まれる塩基のpKに対してこのHEUR組成物のpHが充分に低い場合には、この塩基性基はプロトン化されかつ粘度は相対的に低く;このpHが充分に高い場合には、会合性増粘が起こる。よって、HEURポリマーへの塩基性疎水性物質の組み込みは、比較的高濃度のポリマーが低いpHで水に溶解させられるのを可能にし;この溶液が塗料コーティング剤の高pH環境に添加されると、この塩基は脱プロトン化されそして会合性増粘のメカニズムが作動させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,741,402号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アミン修飾HEURは、それが添加される塗料配合物のpHに対して感受性であり得る。例えば、この配合物のpHは、時間および熱老化によって、会合性増粘をもたらす臨界的pH未満の水準まで低下する場合があり、それにより結果的により劣った配合物を生じさせ;その結果、pH低下メカニズムに直面する配合物の望まれる粘度を維持する疎水性物質、より具体的にはアミンベースの疎水性物質を見いだすことが望まれるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一形態において、本発明は下記式によって特徴付けられる化合物を提供することにより必要性に対処する:
【化1】
式中、RはC−C16−アルキル、フェニル、ナフチル、C−C16−アルキルフェニル、C−C16−アルキルナフチル、または−CH−ORであり、RはC−C12−アルキル、フェニル、ナフチル、C−C12−アルキルフェニル、またはC−C12−アルキルナフチルであり;各Rは独立してC−C−アルキルであり;各Yは独立してC−C−アルキレン、またはCHCHRであり、各Rは独立してH、C−C12−アルキル、フェニル、ナフチル、C−C12−アルキルフェニル、またはC−C12−アルキルナフチルであり;mは0、1または2であり;並びに、pは1〜50である。
【0006】
第2の形態においては、本発明は、第三級アミン基を有する疎水性に修飾されたアルキレンオキシドウレタンポリマーの安定な水性分散物を含む組成物であって、前記第三級アミン基は前記ポリマーの骨格に組み込まれており、かつ前記第三級アミン基は下記構造によって特徴付けられる:
【化2】
式中、R、R、Y、mおよびpは上で定義された通りである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリマーは、広いpH範囲にわたって、配合された塗料配合物のためのレオロジー調整剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1の形態においては、本発明は下記式1によって特徴付けられる化合物である:
【化3】
式中、R、R、Y、mおよびpは上で定義された通りである。
【0009】
本明細書において使用される場合、用語「アルキル」とは線状または分岐炭化水素基をいい、この場合アルキルはC−C20であり;並びに、線状、分岐または環式炭化水素基をいい、この場合アルキルはC−C20である。同様に、用語「アルキレン」とは、二価の線状または分岐炭化水素基をいい、この場合アルキレンはC−C20であり;並びに、二価の線状、分岐または環式炭化水素基をいい、この場合アルキレンはC−C20である。
【0010】
好ましくは、Rは線状または分岐C−C10−アルキル基、より好ましくはn−ブチルまたは2−エチルヘキシルであり;mは好ましくは0であり;Yは好ましくはCHCHRであり;各Rは好ましくは独立してHまたはC−C−アルキル、より好ましくはHであり;よって、Yはより好ましくは非置換エチレン基であり;pは好ましくは1〜20、より好ましくは1である。より好ましい化合物は下記式Iaによって示される:
【化4】
【0011】
好ましい化合物の例が示される:
【化5】
【0012】
式の化合物は以下のスキームに従って製造されうる:
【化6】
【0013】
第2の形態においては、本発明は、第三級アミン基を有する疎水性に修飾されたアルキレンオキシドウレタンポリマーの安定な水性分散物を含む組成物であって、前記第三級アミン基は前記ポリマーの骨格に組み込まれており、かつ前記第三級アミン基は下記構造によって特徴付けられる:
【化7】
式中、R、R、Y、mおよびpは上で定義された通りである。
【0014】
より好ましい構造単位は式IIaによって特徴付けられる:
【化8】
式中、Rは好ましくは線状または分岐C−C10−アルキル、より好ましくはn−ブチルまたは2−エチルヘキシルである。
【0015】
疎水性に修飾されたアルキレンオキシドウレタンポリマーは、反応条件下で、式Iの化合物;b)ジイソシアナート;およびc)水溶性ポリアルキレングリコールを一緒に接触させることによって簡単に製造される。
【0016】
ジイソシアナート出発材料は、C−C20脂肪族または芳香族ジイソシアナートである。本明細書において使用される場合、「脂肪族」とは、飽和もしくは部分不飽和の、線状、分岐、もしくは環式脂肪族、またはその組み合わせをいう。適するジイソシアナートの例には、1,4−テトラメチレンジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−デカメチレンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(イソシアナトシクロヘキサン)、1,4−シクロヘキシレンジイソシアナート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、m−およびp−フェニレンジイソシアナート、2,6−および2,4−トルエンジイソシアナート、キシレンジイソシアナート、4−クロロ−1,3−フェニレンジイソシアナート、4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、4,4’−メチレンジフェニルイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナートおよび1,5−テトラヒドロナフチレンジイソシアナートが挙げられる。
【0017】
水溶性ポリアルキレングリコールとは、水溶性ポリエチレンオキシド、水溶性ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー、および水溶性ポリエチレンオキシド/ポリブチレンオキシドコポリマーをいう。本明細書において使用される場合、用語「プロピレンオキシド」とは、−(OCHCHCH)−および/または−(OCH(CH)CH)−の繰り返し基を有するポリマーをいう。
【0018】
好ましい水溶性ポリアルキレンオキシドはポリエチレングリコール、特に4000から、より好ましくは6000から、最も好ましくは7000から、20,000まで、より好ましくは12,000まで、最も好ましくは9000ダルトンまでの範囲の重量平均分子量を有するポリエチレングリコールである。好適なポリエチレングリコールの例はPEG8000であり、これはカルボワックス(CARBOWAX(商標))8000ポリエチレングリコール(ミシガン州、ミッドランドのザダウケミカルカンパニー(ダウ)もしくはダウの関係会社の商標)として商業的に入手可能である。
【0019】
あるいは、水溶性ポリアルキレンオキシドは、ポリイソシアナート以外の多官能基と連結されることができ、非ウレタン組成物を形成していてもよく、これは本明細書に記載されるような第三級アミン修飾によって恩恵を受けうる。適する代替的な連結基の例には、エピハロヒドリン、gemジハロゲン化物、およびアミノプラストが挙げられる。
【0020】
本発明の組成物はコーティング配合物、特に塗料配合物に有用であり、これは以下の材料のいずれかまたは全部を含むことができる:溶媒;充填剤;顔料、例えば、二酸化チタン、マイカ、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、粉砕ガラス、三水和アルミナ、タルク、三酸化アンチモン、フライアッシュおよびクレイ;ポリマーで封入された顔料、例えば、ポリマーで封入もしくは部分封入された不透明化顔料粒子、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛もしくはリトポンポリマー;二酸化チタンのような顔料の表面に吸着もしくは結合するポリマーもしくはポリマーエマルション;中空顔料、例えば、1以上の空隙を有する顔料;分散剤、例えば、アミノアルコールおよびポリカルボキシラート;界面活性剤;脱泡剤;防腐剤、例えば、殺生物剤、殺カビ剤、殺真菌剤、殺藻剤、およびこれらの組み合わせ;流動剤;レベリング剤;並びに追加の中和剤、例えば、水酸化物、アミン、アンモニアおよび炭酸塩。
【0021】
例えば、コーティング配合物は、i)100nm〜500nmの範囲の直径および少なくとも1.8の屈折率を有する不透明化顔料粒子、例えば、二酸化チタン粒子;ii)封入用ポリマー、並びにiii)封入された不透明化顔料粒子およびポリマーのためのポリマー分散剤を含む、ポリマーで封入された不透明化顔料粒子を含むことができる。このポリマーで封入された不透明化顔料粒子は、例えば、米国特許出願公開第2010/0298483A1号に記載されている。別の例においては、コーティング組成物は、国際公開第2007/112503A1号に記載されるような、ポリマーで封入された不透明化顔料粒子を含むことができる。
【実施例】
【0022】
以下の例は例示目的のためだけであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0023】
中間体1
凝縮器および機械式攪拌装置を備えた丸底フラスコ内で、窒素雰囲気下で、N−ベンジルエタノールアミン(200.6g)および2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(250.0g)が100℃に加熱された。3時間攪拌後、この反応混合物は室温に冷却された。得られたジオール生成物はさらに精製することなく使用された。
【0024】
中間体2
凝縮器および機械式攪拌装置を備えた丸底フラスコ内で、窒素雰囲気下で、N−ベンジルエタノールアミン(351.5g)およびブチルグリシジルエーテル(305.3g)が100℃に加熱された。2時間攪拌後、この反応混合物は室温に冷却された。得られたジオール生成物はさらに精製することなく使用された。
【0025】
中間体3
凝縮器および機械式攪拌装置を備えた丸底フラスコ内で、窒素雰囲気下で、ジアミルアミン(372.4g)、ブチルグリシジルエーテル(346.2g)および水(27g)が還流加熱(105〜115℃)された。5時間後、この混合物は30℃に冷却された。水および残留ブチルグリシジルエーテルが30〜150℃の温度範囲にわたって真空蒸留(14mmHg)で除去された後で、このアミノアルコール生成物が単離された。
【0026】
中間体4
凝縮器、添加漏斗、および機械式攪拌装置を備えた丸底フラスコ内で、窒素雰囲気下で、ビス(2−エチルヘキシル)アミン(2010.0g)が110℃に加熱された。激しく攪拌しつつ2時間にわたって、この反応器にグリシドール(685g)が滴下添加された。このグリシドール添加完了後に、1時間にわたって攪拌が続けられた。生成物は真空蒸留(165〜175℃;1.0mmHg)によって精製された。
【0027】
中間体5
凝縮器および機械式攪拌装置を備えた丸底フラスコ内で、窒素雰囲気下で、ジアミルアミン(372.4g)、ブチルグリシジルエーテル(346.2g)および水(27g)が還流加熱(105〜115℃)された。5時間後、この混合物は30℃に冷却された。水および残留ブチルグリシジルエーテルが30〜150℃の温度範囲にわたって真空蒸留(14mmHg)で除去された後で、生成物が単離された。
【0028】
実施例1−中間体2をベースにしたHEURポリマーの製造
カルボワックス(CARBOWAX(商標))8000ポリエチレングリコール(ザダウケミカルカンパニーまたはその関連会社の商標、Mw=8200;1717.4g)がバッチ溶融反応器内で真空で2時間にわたって110℃に加熱された。この反応器に、ブチル化ヒドロキシルトルエン(BHT、0.187g)および中間体2(63.55g)が入れられ、そして5分間混合された。次いで、この反応器に、イソホロンジイソシアナート(IPDI、89.07g)が入れられ、そして混合が5分間続けられた。次いで、オクタン酸ビスマス溶液(28%、4.29g)がこの反応器に入れられ、そして10分間にわたって攪拌しつつ、この混合物の温度が110℃に維持された。得られた溶融ポリマーがこの反応器から取り出されそして冷却された。
【0029】
実施例2−中間体2および3をベースにしたHEURポリマーの製造
カルボワックス(CARBOWAX(商標))8000ポリエチレングリコール(ザダウケミカルカンパニーの商標、分子量8200;1735.4g)がバッチ溶融反応器内で真空で2時間にわたって110℃に加熱された。この反応器に、ブチル化ヒドロキシルトルエン(BHT、0.19g)、中間体2(62.69g)および中間体3(5.33g)が入れられ、そして5分間混合された。次いで、この反応器に、イソホロンジイソシアナート(IPDI、90.79g)が入れられ、そして混合が5分間続けられた。次いで、オクタン酸ビスマス溶液(28%、4.34g)がこの反応器に入れられ、そして10分間にわたって攪拌しつつ、この混合物の温度が110℃に維持された。得られた溶融ポリマーがこの反応器から取り出されそして冷却された。
【0030】
実施例3−中間体1および2をベースにしたHEURポリマーの製造
カルボワックス(CARBOWAX(商標))8000ポリエチレングリコール(ザダウケミカルカンパニーの商標、分子量8200;1504.5g)がバッチ溶融反応器内で真空で2時間にわたって110℃に加熱された。この反応器に、ブチル化ヒドロキシルトルエン(BHT、0.164g)、中間体1(30.96g)および中間体2(26.25g)が入れられ、そして5分間混合された。次いで、この反応器に、イソホロンジイソシアナート(IPDI、74.78g)が入れられ、そして混合が5分間続けられた。次いで、オクタン酸ビスマス溶液(28%、3.76g)がこの反応器に入れられ、そして10分間にわたって攪拌しつつ、この混合物の温度が110℃に維持された。得られた溶融ポリマーがこの反応器から取り出されそして冷却された。
【0031】
比較例1−ビス(2−エチルヘキシル)アミノエタノールをベースにしたHEURポリマーの製造
カルボワックス(CARBOWAX(商標))8000ポリエチレングリコール(分子量8200;1709.8g)がバッチ溶融反応器内で真空で2時間にわたって110℃に加熱された。次いで、この反応混合物は85℃に冷却され、その時間の後で、ビス(2−エチルヘキシル)アミノエタノール(91.58g)が添加され、そして5分間にわたって攪拌が続けられた。次いで、IPDI(78.44g)がこの反応器に入れられ、そして5分間にわたって混合が続けられた。次いで、オクタン酸ビスマス溶液(28%、4.27g)がこの反応器に入れられた。次いで、20分間にわたって攪拌しつつ、この混合物が85℃に維持された。得られた溶融ポリマーがこの反応器から取り出されそして冷却された。
【0032】
比較例2−ビス(2−エチルヘキシル)アミノエタノールをベースにしたHEURポリマーの製造
カルボワックス(CARBOWAX(商標))8000ポリエチレングリコール(分子量8200;1844.0g)がバッチ溶融反応器内で真空で2時間にわたって110℃に加熱された。この反応器に、中間体4(31.54g)および中間体5(19.74g)が入れられ、5分間にわたって混合が行われた。次いで、IPDI(76.38グラム)がこの反応器に入れられ、そして5分間にわたって混合が続けられた。次いで、オクタン酸ビスマス溶液(28%、4.40グラム)がこの反応器に入れられた。次いで、12分間にわたって攪拌しつつ、この混合物が110℃に維持された。得られた溶融ポリマーがこの反応器から取り出されそして冷却された。
【0033】
熱老化安定性検討
増粘された塗料の熱老化安定性が、40.5容積%の顔料容積濃度および38.0容積%の全固形分濃度を有するサテン白配合物において評価された。この配合物は、湿潤塗料配合物の重量を基準にして30.3重量%の湿潤ROVACE(商標)661ビニルアクリルバインダー(ザダウケミカルカンパニーまたはその関連会社の商標)、並びに湿潤塗料配合物の重量を基準にして4.1重量%の湿潤RHOPLEX(商標)SG−10Mアクリルコポリマー(ザダウケミカルカンパニーまたはその関連会社の商標)を含んでいた。ポリ(ビニルアセタート)バインダーを含み、約9の当初pHを有する塗料は、そのアセタート基の加水分解のせいで老化の際にpHが低下することが知られている。約9の当初塗料pHは、その塗料のコロイドおよび殺生物安定性を助けることができる。塗料pHは典型的には老化の際にpH=約7まで低下し、その際に加水分解の速度が劇的に遅くなる。加熱老化は典型的には、実験室での試験において、塗料の老化の影響を加速させるために使用される。老化の際の粘度の著しい低下は望ましくはない。表1は熱老化安定性検討の結果を示す。
【0034】
【表1】
【0035】
使用量(%)は塗料中に使用された増粘剤の濃度である。この濃度は最終塗料の湿潤重量あたりの乾燥活性増粘剤の重量パーセントとして表される。実施例1〜3の増粘剤および比較例の増粘剤は水中の16重量%活性増粘剤分散物として添加された。これら水性増粘剤分散物は、3湿潤重量%の供給されたままの乳酸も含んでいた。この乳酸は85%の固形分で供給された。これら増粘剤分散物は増粘剤乾燥固体、水および乳酸を密閉プラスチック50mL遠心管内で一緒にし、そしてこの増粘剤固形分を完全に均質にする様に2日間にわたってこの混合物をゆっくりと回転させることにより製造された。
【0036】
pH1は、各塗料が配合された1時間後に測定された塗料の当初pHである。pHを示された値に調節するためにアンモニアが使用された。
【0037】
ストーマー1は、1/2パイント金属缶内で25℃で測定された塗料の、クレブス単位での、当初ストーマー粘度である。ストーマー1は塗料配合の24時間後に測定された。塗料はこの平衡化時間中25℃に維持された。ストーマー粘度を測定する直前に、この塗料は1/2パイント金属缶に注ぎ込まれ、そして舌圧子を用いて20秒間にわたって攪拌された。クレブス粘度計はASTM−D562に適合した回転パドル型粘度計である。KU粘度は、ブルックフィールドエンジニアリングラボス(米国、マサチューセッツ州、ミドルボロ)から入手可能なブルックフィールドクレブスユニット粘度計KU−1+で測定された。
【0038】
pH2は、塗料が60℃オーブン内で2週間貯蔵された後の塗料pHである。熱老化プロセス中は、塗料は密閉金属缶内に貯蔵された。
【0039】
ストーマー2は、1/2パイント金属缶内で25℃で測定された熱老化させられた塗料の、クレブス単位での、最終ストーマー粘度である。このストーマー粘度を測定する直前に、これら塗料は舌圧子を用いて20秒間にわたって激しく攪拌された。
【0040】
Δストーマー(クレブス単位)はストーマー2引くストーマー1に等しい。ゼロにより近いΔストーマーの値が望ましい。
【0041】
SCT−275とは、アクリゾール(ACRYSOL(商標))SCT−275レオロジー調整剤(ザダウケミカルカンパニーの商標)をいい、これはザダウケミカルカンパニーから市販の非酸抑制性ポリウレタン会合性増粘剤である。この製品のそのままの粘度はブチルカルビトール−水共溶媒混合物の使用によって抑制される。
【0042】
実施例1〜3の増粘剤で増粘された塗料は、老化の際に、比較例で増粘された塗料よりもかなり小さな粘度低下を示す。実施例1〜3で増粘された塗料によって示された老化の際のこの粘度低下は、本発明の増粘剤とは異なって塗料にVOCをもたらす市販のレオロジー調整剤で増粘された塗料の粘度低下と同等であるかまたはこれより良好である。