特許第5740449号(P5740449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740449
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】データ伝送方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 1/16 20060101AFI20150604BHJP
   H04L 29/08 20060101ALI20150604BHJP
   H04W 80/06 20090101ALI20150604BHJP
【FI】
   H04L1/16
   H04L13/00 307Z
   H04W80/06
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-217537(P2013-217537)
(22)【出願日】2013年10月18日
(62)【分割の表示】特願2011-517740(P2011-517740)の分割
【原出願日】2009年7月17日
(65)【公開番号】特開2014-45499(P2014-45499A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2013年10月18日
(31)【優先権主張番号】200810141665.9
(32)【優先日】2008年7月17日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一
(72)【発明者】
【氏名】リャオ、ジュンファ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ヤンチァン
【審査官】 谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−114973(JP,A)
【文献】 特開2003−046432(JP,A)
【文献】 特開2001−036586(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0136598(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/16
H04L 29/08
H04W 80/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送制御プロトコル(TCP)機能強化エンティティが、送信側によって送信されたデータパケットを受信し、前記受信されたデータパケットに関する情報を記録し、
前記TCP機能強化エンティティが、前記受信されたデータパケットを、プロトコル層を介して受信側に送信し、前記プロトコル層が無線リンク制御(RLC)層であり、
前記TCP機能強化エンティティが、前記プロトコル層を介して前記受信側から前記データパケットの確認情報を受信し、
前記TCP機能強化エンティティが、記録されたデータパケットと前記プロトコル層によって受信されたデータパケットとの関係であるデータパケットマッピングに従って、前記データパケットに関する記録情報を検索し、
前記TCP機能強化エンティティが、前記受信側で前記データパケットを受信したことに応じて前記受信側から返されTCP肯定応答ACKを受信しているかどうか判定し、
前記TCP機能強化エンティティが、前記受信側で前記データパケットを受信したことに応じて前記受信側から返されTCP肯定応答ACKを受信していない場合、前記TCP機能強化エンティティが、受信されたデータパケットに関する記録情報を検索する前記ステップによって取得された前記データパケットに関する情報に従って前記送信側に向けたTCP肯定応答ACKを構築し、
前記TCP機能強化エンティティが、前記構築したTCP肯定応答ACKを前記送信側に送信すること、
を含む、データ伝送方法。
【請求項2】
前記TCP機能強化エンティティが、前記受信側で前記データパケットを受信したことに応じて前記受信側から返されTCP肯定応答ACKを受信した場合、
前記TCP機能強化エンティティが、対応するTCP肯定応答ACKを構築したかどうかを判定し、
前記対応するTCP肯定応答ACKが構築されていた場合、前記TCP機能強化エンティティが、受信したTCP肯定応答ACKを廃棄し、
前記対応するTCP肯定応答ACKが構築されていない場合、前記TCP機能強化エンティティが、受信したTCP肯定応答ACKを前記送信側に送信すること、
を更に含む、請求項1に記載のデータ伝送方法。
【請求項3】
伝送制御プロトコル(TCP)機能強化エンティティが、送信側によって送信されたTCPパケットを受信し、
前記TCP機能強化エンティティが、前記受信したTCPパケットを、プロトコル層を介して受信側に送信し、前記プロトコル層が無線リンク制御(RLC)層であり、
前記TCP機能強化エンティティが前記プロトコル層の確認情報を受信した後、前記TCP機能強化エンティティが、前記受信側で前記TCPパケットを受信したことに応じて前記受信側から返されTCP肯定応答ACKを受信しているかどうか判定し、
前記受信側で前記TCPパケットを受信したことに応じて前記受信側から返されTCP肯定応答ACKを受信していない場合、前記TCP機能強化エンティティが、前記プロトコル層の確認情報に従って前記送信側に向けたTCP肯定応答ACKを構築し、
前記TCP機能強化エンティティが、前記構築したTCP肯定応答ACKを前記送信側に送信すること、
を含む、データ伝送方法。
【請求項4】
前記TCP機能強化エンティティが、前記受信側で前記TCPパケットを受信したことに応じて前記受信側から返されTCP肯定応答ACKを受信した場合、
前記TCP機能強化エンティティが、対応するTCP肯定応答ACKを構築したかどうかを判定し、
前記対応するTCP肯定応答ACKが構築されていた場合、前記TCP機能強化エンティティが、受信したTCP肯定応答ACKを廃棄し、
前記対応するTCP肯定応答ACKが構築されていない場合、前記TCP機能強化エンティティが、受信したTCP肯定応答ACKを前記送信側に送信すること、
を更に含む、請求項3に記載のデータ伝送方法。
【請求項5】
前記TCP機能強化エンティティが前記プロトコル層の確認情報を受信した後、前記TCP機能強化エンティティが、データパケットマッピングに従って前記受信側に前記TCPパケットが正しく受信されたことを判定し、前記データパケットマッピングはTCPパケットと前記プロトコル層を介して受信したデータパケットとの関係を示す、請求項3又は4に記載のデータ伝送方法。
【請求項6】
送信側によって送信されたデータパケットを受信し、前記受信したデータパケットに関する情報を記録するように構成された受信部と、
前記受信したデータパケットを、プロトコル層を介して受信側に送信するように構成され、前記プロトコル層が無線リンク制御(RLC)層である、送信部と、
前記プロトコル層が前記受信側から前記データパケットの確認情報を受信した後、記録されるデータパケットと前記プロトコル層によって受信されるデータパケットとの関係であるデータパケットマッピングに従って、前記データパケットに関する記録情報を検索するように構成された検索部と、
前記受信側で前記データパケットを受信したことに応じて前記受信側から返されTCP肯定応答ACKを受信しているかどうか判定し、前記受信側で前記データパケットを受信したことに応じて前記受信側から返されTCP肯定応答ACKを受信していない場合、前記検索部によって取得される前記データパケットに関する前記情報に従って前記送信側に向けた肯定応答ACKを構築するように構成された構築部と、
を備える、データ伝送装置。
【請求項7】
送信側から送信されたTCPパケットを受信するよう構成されたユニットと、
前記受信したTCPパケットを、プロトコル層を介して受信側に送信するように構成され、前記プロトコル層が無線リンク制御(RLC)層である、ユニットと、
前記プロトコル層の確認情報を受信した後、前記受信側で前記データパケットを受信したことに応じて前記受信側から返されTCP肯定応答ACKを受信しているかどうか判定し、前記受信側で前記TCPパケットを受信したことに応じて前記受信側から返されTCP肯定応答ACKを受信していない場合、前記プロトコル層の確認情報に従って前記送信側に向けたTCP肯定応答ACKを構築するよう構成されたユニットと、
前記構築したTCP肯定応答ACKを前記送信側に送信するよう構成されたユニットと、
を備える、データ伝送装置。
【請求項8】
コンピュータに請求項1又は2に記載の方法を実行させるプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
コンピュータに請求項3〜のいずれか一項に記載の方法を実行させるプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は移動体通信分野に関し、詳細には、データ伝送方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
伝送制御プロトコル(TCP)は、一般に、無線分野におけるパケット交換(PS)サービスに適用される。無線ネットワークは、高遅延、可変データ転送速度、非対称性、遅延ピーク、帯域幅ジッタといった特徴によって特徴付けられ、これらの特徴は、TCPの性能に影響を及ぼすことがある。データサービスの発展につれて、ユーザが必要とするサービス品質(QoS)はますます高くなっている。無線ベアラにおけるTCPの伝送性能を向上させることは重要である。
【0003】
データ伝送がアップリンク方向とダウンリンク方向で同時に発生するとき、伝送プロセスは、アップロードプロセスとダウンロードプロセスとを含む。アップロードプロセスにおいて、端末はサーバにデータパケットを送信し、サーバから肯定応答(ACK)パケットを受信した後、端末は、ウィンドウをスライドさせて新しいデータパケットを送信する。ダウンロードプロセスにおいて、サーバは端末にデータパケットを送信し、端末からACKパケットを受信した後、サーバはウィンドウをスライドさせて新しいデータパケットを送信する。サーバは、データパケットを送信するとき、アップリンクデータパケットに対応するACKパケットも送信する。端末は、データパケットを送信するとき、ダウンリンクデータパケットに対応するACKパケットも送信する。
【0004】
データがアップリンクとダウンリンク両方で同時に送信されるときに実際に示されるスループット性能は、無線システムを評価するための重要な性能指標である。しかし、本発明の発明者は、先行技術には少なくとも以下の問題があると考える。すなわち、既存のネットワーク上の試験では、データがアップリンクとダウンリンクの両方向で同時に送信されるとき、ダウンリンク方向のデータ転送速度は低く、不安定である。それは、ダウンリンクデータパケットに対応するACKが、一般に、端末のTCP層においてアップリンクデータパケットの後に配置されるからであり、これが、ダウンリンクデータパケットに対応するACKの遅延をもたらし、ダウンリンクデータ伝送の性能が深刻な影響を受け、ユーザの体感品質が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、ダウンリンクデータ伝送の性能を改善するためのデータ伝送方法および装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態で提供されるデータ伝送方法は、
送信側によって送信されたデータパケットを受信し、受信されたデータパケットに関する情報を記録するステップと、
受信されたデータパケットを、プロトコル層を介して受信側に送信するステップと、
プロトコル層が受信側からデータパケットの確認情報を受信した後、記録されたデータパケットとプロトコル層によって受信されたデータパケットとの関係であるデータパケットマッピングに従って、データパケットに関する記録情報を検索(検査)するステップと、
受信されたデータパケットに関する記録情報を検索するステップによって取得されたデータパケットに関する情報に従って、送信側に向けた肯定応答ACKを構築するステップと、
を含む。
本発明の一実施形態で提供される別のデータ伝送方法は、
送信側によって送信されたデータパケットを受信するステップと、
受信されたデータパケットを、プロトコル層を介して受信側に送信するステップと、
受信側によって送信側に送信されたデータパケットの確認情報をプロトコル層が受信した後、確認情報に従って対応するデータパケットに関する情報を取得するステップと、
対応するデータパケットに関する取得情報に従って送信側に向けた肯定応答ACKを構築するステップと、
を含む。
【0007】
本発明の一実施形態で提供されるデータ伝送装置は、
送信側によって送信されるデータパケットを受信し、受信されたデータパケットに関する情報を記録するように構成された受信部と、
受信されるデータパケットを、プロトコル層を介して受信側に送信するように構成された送信部と、
プロトコル層が受信側からデータパケットの確認情報を受信した後、記録されるデータパケットとプロトコル層によって受信されるデータパケットとの関係であるデータパケットマッピングに従って、データパケットに関する記録情報を検索するように構成された検索部と、
検索部によって取得されるデータパケットに関する情報に従って、送信側に向けた肯定応答ACKを構築するように構成された構築部と、
を含む。
【0008】
本発明の一実施形態で提供される中間ネットワーク要素(NE)は、プロトコル層と、前述のデータ伝送装置とを含む。プロトコル層は中間NEの任意のプロトコル層であり、このプロトコル層と受信側との間には確認機構が存在する。受信側は、データパケットを受信次第、プロトコル層に確認情報を返す。
【0009】
プロトコル層とデータ伝送装置との間ではデータパケットマッピングが共用される。プロトコル層が受信側によって返される確認情報を受信した後、データ伝送装置は、データパケットマッピングに従ってACKを構築し、それを送信側に送信する。
【0010】
本発明の一実施形態で提供される別のデータ伝送装置は、
送信側によって送信されるデータパケットを受信するように構成された第2の受信部と、
受信されるデータパケットを、プロトコル層を介して受信側に送信するように構成された第2の送信部と、
プロトコル層が受信側によって送信側に送信されるデータパケットの確認情報を受信した後、データパケットの確認情報に従って、対応するデータパケットに関する情報を取得するように構成された取得部と、
取得部によって取得されるデータパケットに関する情報に従って、送信側に向けた肯定応答ACKを構築するように構成された第2の構築部と、
を含む。
【0011】
本発明の一実施形態で提供される別の中間NEは、プロトコル層と、前述のデータ伝送装置とを含む。プロトコル層は中間NEの任意のプロトコル層であり、このプロトコル層と受信側との間には確認機構が存在する。受信側は、データパケットを受信次第、プロトコル層に確認情報を返す。
【0012】
プロトコル層が受信側によって返される確認情報を受信した後、データ伝送装置は、確認情報に従ってデータパケットに関する情報を取得し、データパケットに関する情報に従って送信側に向けたACKを構築する。
【発明の効果】
【0013】
結論として、本発明の実施形態で提供される方法および装置を使用すれば、プロトコル層が受信側によって返される確認情報を受信した後でACKが構築されて送信側に送信されるため、データパケットのACKが受信側のTCP層によってブロックされることがある程度まで防止され、送信側がより速くウィンドウをスライドさせることが可能になり、データ伝送性能が改善され、ユーザの体感が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態によるデータ伝送方法を示すフローチャートである。
図2】本発明の別の実施形態によるデータ伝送方法を示すフローチャートである。
図3】本発明の別の実施形態によるデータ伝送方法を示すフローチャートである。
図4】本発明の別の実施形態によるデータ伝送方法を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態によるデータ伝送装置の構造を示す図である。
図6】本発明の別の実施形態によるデータ伝送装置の構造を示す図である。
図7】本発明の別の実施形態によるデータ伝送装置の構造を示す図である。
図8】本発明の別の実施形態によるデータ伝送装置の構造を示す図である。
図9】本発明の一実施形態による中間NEの構造を示す図である。
図10】本発明の別の実施形態による中間NEの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態ではデータ伝送方法が提供される。このデータ伝送プロセスは、送信側と受信側との間のデータ伝送プロセスにおいて中間ノードに追加される、TCPプロキシなどのTCP機能強化エンティティによって実施することができる。図1は、本発明の一実施形態によるデータ伝送方法のフローチャートである。図1に示すように、この方法は、以下のステップを含むことができる。
【0016】
S101:送信側によって送信されたデータパケットを受信し、受信されたデータパケットに関する情報を記録する。
【0017】
データパケットが送信側から受信された後、データパケットを受信した順序に従ってデータパケットのシーケンス番号(SN)が、記録される。SNは、昇順で増加してもよい。例えば、受信された第1のデータパケットはSN1で識別され、受信された第2のデータパケットはSN2で識別され、以下同様とされる。データパケットのSNの桁数は制限されなくてもよいが、長すぎるSNは記録上の不都合を生じる。したがって、SNは、ある値に達した場合、最初からふり直してもよい。例えば、SNが65535に達した場合、その後SNは再度1からふり直す。このようにして、多くのデータパケットに対処することができる。受信されたデータパケットがTCPパケットである場合、パケット長およびTCPシーケンス番号が記録されてもよい。
【0018】
S102:受信されたデータパケットを、プロトコル層を介して受信側に送信する。
【0019】
受信されたデータパケットは、プロトコル層を介して受信側に送信されることができる。プロトコル層は、無線リンク制御(RLC)層とすることができる。また、プロトコル層も、例えば、データパケットを受信した順序に従ってデータパケットのSNを記録するなど、受信されたデータパケットに関する情報を記録してもよい。
【0020】
S103:受信側によって送信側に送信されたデータパケットの確認情報をプロトコル層が受信した後、データパケットマッピングに従ってデータパケットに関する記録情報を検索する。
【0021】
データパケットマッピングは、記録されたデータパケットとプロトコル層によって受信されたデータパケットとの関係を反映し、データパケットマッピングは表(テーブル)とすることもできる。データパケットマッピングは以下のように生成されてもよい。受信されるデータパケットに関する情報はステップS101で記録され、プロトコル層も、受信されるデータパケットのSNを記録し、このSNは、TCPプロキシによって記録されるデータパケットのSNに一意に対応する。そのため、例えば、TCPプロキシによって受信される第1のデータパケットがSN1で識別される場合、プロトコル層によって受信される第1のデータパケットもSN1で識別される。したがって、プロトコル層によって記録されるデータパケットの順序は、TCPプロキシによって記録されるデータパケットの順序と1対1関係で対応する。この1対1関係をデータパケットマッピングという。
【0022】
TCP機能強化エンティティは、例えば、それだけに限らないが、インターネット、コアネットワーク、無線アクセスネットワークなど、ネットワークの異なる位置に配置されてもよいことに留意されたい。同様に、プロトコル層も、ネットワークの異なる位置において配置されてもよい。
【0023】
プロトコル層と受信側との間には確認機構が存在する。送信側からデータパケットを受信した後、受信側はプロトコル層に確認情報を返す。
【0024】
受信側から確認情報を受信した後、プロトコル層は、どのデータパケットが受信側によって正しく受信されるかを知る。したがって、生成されたデータパケットマッピングに従ってデータパケットに関する対応する情報が見つかるので、TCP機能強化エンティティによって転送されたどのデータパケットが受信側によって正しく受信されるかを容易に知ることができる。
【0025】
加えて、データパケットマッピングは、プロトコル層で記憶されてもよく、TCP機能強化エンティティに記憶されてもよい。データパケットマッピングは、TCP機能強化エンティティとプロトコル層の間で共用される。
【0026】
この実施形態では、受信されたデータパケットの情報を記録する方法は例示にすぎないことに留意すべきである。実際には、データパケットの対応情報を、記録されたSNによるデータパケットマッピングによって見つけることができる限り、受信されたデータパケットの情報は、他の方法で記録されてもよい。
【0027】
S104:受信されたデータパケットに関する記録情報を検索するステップによって取得されたデータパケットに関する情報に従って、送信側に向けたACKを構築する。
【0028】
送信側は、受信側からACKを受信した後、引き続き受信側にデータパケットを送信する。ACKが受信側でブロックされるのを防止するために、TCPプロキシなどのTCP機能強化エンティティは、ACKを構築し、それを送信者に送信することができる。
【0029】
プロトコル層は受信側から確認情報を受信しているものの、TCPプロキシはデータパケットに対応した受信側からのTCP ACKを受信していない場合、受信側は送信側によって送信されたデータパケットを正しく受信していると判定することができ、TCPプロキシはACKを構築し、そのACKを送信側に送信することができる。ACKは、データパケットマッピングによって見つかるデータパケットに関する情報に従って構築されることができる。データパケットに関する情報はSNを含んでいてもよい。データパケットがTCPパケットである場合、データパケットに関する情報は、TCPパケットのTCPシーケンス番号およびパケット長をさらに含んでいてもよく、したがって、構築されるACKのSNは、TCPシーケンス番号にTCPパケットのパケット長を足したものとすることができる。別の種類のデータパケットについては、ACKは、各々の具体的条件に従った別のやり方で構築されてもよい。TCPプロキシは、構築されたACKを送信側に送信し、構築されたACKのSNを記録する。
【0030】
結論として、本実施形態で提供されるデータ伝送方法においては、送信側と受信側との間のデータ伝送プロセスにおいて中間ノードに追加される、TCPプロキシなどのTCP機能強化エンティティを介してACKが能動的に構築され、送信側に送信されるので、データ伝送速度が改善される。
【0031】
TCPプロキシなどのTCP機能強化エンティティが、送信側と受信側との間のデータ伝送プロセスにおいて中間ノードに追加される場合には、ACKが構築される前に、対応するデータパケットに応答して受信側によって返されるTCP ACKが受信されているかどうかの判断が行われてもよい。そのようなTCP ACKが受信されていない場合、ACKが構築され、送信側に送信される。加えて、TCP ACKが受信側から受信された後、対応するACKが構築され、送信側に送信されているかどうかに関する判断が行われてもよい。そのようなACKが構築されていない場合には、TCP ACKが送信側に転送され、そのようなACKが構築されている場合には、受信側によって返されたTCP
ACKが廃棄される。それは、送信側によって後で受信されたACKのSNが送信側によって前に受信されたACKのSNより小さい場合、送信側はより小さいSNのACKを廃棄することになるからである。以下では、実施形態を参照してこの方法を説明する。
【0032】
本発明の別の実施形態ではデータ伝送方法が提供される。この実施形態では、送信側はサーバであり、受信側は端末であり、送信側と受信側との間のデータ伝送プロセスにおいて中間ノードに追加されるTCP機能強化エンティティはTCPプロキシであり、プロトコル層はRLC層である。図2は、本発明の別の実施形態によるデータ伝送方法のフローチャートである。図2に示すように、この方法は以下のステップを含むことができる。
【0033】
S201:TCPプロキシは、サーバによって送信されたデータパケットを受信し、受信されたデータパケットに関する情報を記録する。
【0034】
ダウンリンク伝送プロセスでは、サーバによって端末に送信されるデータパケットは、TCPプロキシを介して転送されるので、すべてのデータパケットはTCPプロキシを通過する。従って、データパケットのSNは、データパケットを受信した順序に従って記録することができる。SNは昇順に増加してもよい。例えば、受信された第1のデータパケットはSN1で識別され、受信された第2のデータパケットはSN2で識別され、以下同様である。受信されたデータパケットがTCPパケットである場合、TCPパケットのパケット長およびTCP SNが記録されてもよい。TCPパケットのデータパケット長およびTCP SNに関する情報は、TCPパケットのパケットヘッダ情報から取得できる。
【0035】
S202:受信されたデータパケットを、RLC層を介して端末に送信する。
【0036】
受信されたデータパケットは、RLC層を介して端末に送信されることができ、RLC層も、例えば、データパケットを受信した順序に従ってデータパケットのSNを記録するなど、受信されたデータパケットに関する情報を記録することができる。
【0037】
S203:データパケットに関する記録情報に従ってデータパケットマッピングを生成する。
【0038】
生成されたデータパケットマッピングは、データパケットマッピング表として記憶されてもよい。
【0039】
データパケットマッピングはTCPプロキシで記憶されても、RLC層で記憶されてもよいことに留意されたい。データパケットマッピングは、TCPプロキシとRLC層との間で共有される。この実施形態では、TCPプロキシがデータパケットマッピングを生成するものと仮定する。
【0040】
また、RLC層も受信されたデータパケットのSNを記録することができる。すなわち、TCPプロキシによって受信された第1のデータパケットがSN1で識別される場合、RLC層によって受信された第1のデータパケットもSN1で識別され、以下同様である。したがって、RLC層によって記録されるデータパケットの順序は、TCPプロキシによって記録されるデータパケットの順序と1対1関係で対応する。この1対1関係をデータパケットマッピングという。
【0041】
S204:RLC層は、端末から確認情報を受信した後、データパケットマッピングに従って対応する情報を検索する。
【0042】
端末は、端末機器とその1つ以上のプロトコル層を含む広義の概念であることに留意されたい。
【0043】
RLC層は、確認と非確認の2つのモードで動作し得る。ここではRLC層と端末との間のデータ伝送確認機構が利用される。RLC層を通過するとき、サービスデータ単位(SDU:service data unit)は、端末に送信されるプロトコルデータ単位(PDU:protocol data unit)に分割される。PDUを受信した後、端末はRLC層に、端末がサー
バからデータパケットを受信したことを示す確認情報を返す。RLC層は、端末から受信した確認情報に従って、どのデータパケットが端末によって正しく受信されたかを知り、次いで、ステップS202でデータパケットマッピングを検索することにより、TCPプロキシ上のどのデータパケットが端末によって受信されたかを知ることができる。TCPプロキシも、TCPパケットのパケット長およびSNなど、データパケットに関する情報を記録するため、対応するデータパケットに関する情報を見つけることができる。
【0044】
S205:見つかったデータパケットに関する情報に従って、ACKを構築する必要があるかどうかを判断する。
【0045】
TCPプロキシも、端末からTCPプロキシに送信されるTCP ACKのSNを記録する。
【0046】
データパケットに関する情報は、データパケットのSNを含んでいてもよい。データパケットがTCPパケットである場合、データパケットに関する情報は、TCPパケットのパケット長およびSNを含んでいてもよい。見つかったデータパケットに関する情報に従って、構築されるべきACKのSNを知ることができる。例えば、TCPパケットでは、第1のデータパケットのSNが1であり、そのパケット長が1460である場合、構築されるべきACKのSNは1461であり、第2のデータパケットのSNは1461であるとき、構築されるべきACKのSNは2921であり、以下同様である。別の種類のデータパケットについては、ACKは別の方法で構築されてもよい。
【0047】
端末によって返され、TCPプロキシにおいて記録されたTCP ACKのSNは、ACKを構築することが必要であるかどうか判定するために、構築されるべきACKのSNと比較されてもよい。TCPプロキシは、端末によって返されるTCP ACKの少なくとも1つのSNを記録してもよい。TCPプロキシにおいて記録されたTCP ACKの最大SNが、構築されるべきACKのSNと比較される。端末によって返され、TCPプロキシにおいて記録されたTCP ACKの最大SNが構築されるべきACKのSN以上である場合、それは、TCPプロキシが端末によって送信されたTCP ACKを受信しており、それ以上ACKが構築される必要がないことを示し、したがって、ステップS201および後続のステップは繰り返される必要がない。端末によって返され、TCPプロキシにおいて記録されたTCP ACKの最大SNが構築されるべきACKのSNより小さい場合、それは、TCPプロキシが端末によって返されるTCP ACKを受信しておらず、ACKが構築される必要があることを示し、したがって、ステップS206が実行される。
【0048】
S206:ACKを構築し、それをサーバに送信する。
【0049】
TCPプロキシが、端末によって返されるTCP ACKを受信していない場合、TCPプロキシは、ACKを能動的に構築し、それをサーバに送信する。ACKを受信した後、サーバはウィンドウをスライドさせて新しいデータを送信することができる。
【0050】
構築されるACKのSNはTCPパケットのパケット長にTCPパケットのSNを足したものである。例えば、第1のデータパケットのSNが1であり、第1のデータパケットのパケット長が1460であれば、構築されるACKのSNは1461であり、第2のデータパケットのSNが1461であり、第2のデータパケットのパケット長は1460であるときは、したがって、構築されるACKのSNは2921であり、以下同様である。構築されたACKのSNは、TCPプロキシにおいて記録されることができる。
【0051】
加えて、TCPプロキシは、端末によって返されたTCP ACKを受信した場合、端末によって返されたTCP ACKのSNを、TCPプロキシにおいて記録された、構築されたACKのSNと比較してもよい。TCPプロキシは、複数の構築されたACKを記録してもよい。端末によって返されたTCP ACKのSNは、構築されたACKの記録された最大SNと比較されてもよい。端末によって返されたTCP ACKのSNが構築されたACKの記録された最大SN以下である場合、それは、TCPプロキシが対応するACKをサーバに送信していることを示し、TCPプロキシは、端末によって送信されたACKを、サーバに転送せずに廃棄する。端末によって返されたTCP ACKのSNが構築されたACKの記録された最大SNより大きい場合、TCPプロキシは、端末によって返されたTCP ACKをサーバに転送し、端末によって返されたTCP ACKのSNを記録する。
【0052】
したがって、この実施形態で提供されるデータ伝送方法によれば、TCPプロキシはACKを構築し、それをサーバに送信する。この実施形態の方法は、ダウンリンクデータパケットのACKが端末のTCP層においてブロックされるのをある程度まで防止し、サーバがより速くウィンドウをスライドさせることを可能にし、エア(無線)インターフェースのための十分なデータを提供し、送信データの欠落を回避し、エアインターフェースの利用を改善し、データ伝送の性能を向上させ、ユーザの体感を向上させる。
【0053】
本発明の別の実施形態ではデータ伝送方法が提供される。このデータ伝送プロセスは、送信側と受信側との間のデータ伝送プロセスにおいて中間ノードに追加される、TCPプロキシなどのTCP機能強化エンティティによって実施することができる。図3は、本発明の別の実施形態によるデータ伝送方法のフローチャートである。図3に示すように、この方法は以下のステップを含んでいてもよい。
【0054】
S301:送信側によって送信されたデータパケットを受信する。
【0055】
S302:受信されたデータパケットを、プロトコル層を介して受信側に送信する。
【0056】
TCP機能強化エンティティは、送信側によって送信されたデータパケットを受信し、そのデータパケットを、プロトコル層を介して受信側に送信する。TCP機能強化エンティティは、それだけに限らないが、インターネット、コアネットワーク、無線アクセスネットワーク(RAN)を含む、ネットワークの異なる位置に配置されてもよい。また、プロトコル層も、ネットワークの異なる位置に配置されてもよい。例えば、プロトコル層はRLC層である。
【0057】
S303:受信側によって送信側に送信されたデータパケットの確認情報をプロトコル層が受信した後で、確認情報に従って対応するデータパケットに関する情報を取得する。
【0058】
プロトコル層と受信側との間には確認機構が存在する。送信側からデータパケットを受信した後、受信側はプロトコル層に、データパケットの確認情報を返す。この確認情報を通じて、プロトコル層は、どのデータパケットが受信側によって正しく受信されるかを知り、TCP機能強化エンティティによって転送されるどのデータパケットが、受信側によって正しく受信されるかを知り、さらにそのようなデータパケットに関する情報を取得することができる。データパケットに関する情報は、データパケットのSNとすることができる。データパケットがTCPパケットである場合、データパケットに関する情報は、TCPパケットのTCP SNおよびパケット長をさらに含んでいてもよい。TCPパケットのパケット長およびTCP SNは、TCPパケットのパケットヘッダ情報から取得できる。
【0059】
S304:データパケットに関する取得情報に従って送信側に向けたACKを構築する。
【0060】
送信側は、受信側からACKを受信した後、引き続き受信側に次のデータパケットを送信する。ACKが受信側においてブロックされるのを防止するために、例えばTCPプロキシなどのTCP機能強化エンティティが、データパケットに関する取得した情報に従ってACKを構築し、それを送信側に送信してもよい。
【0061】
プロトコル層が受信側から確認情報を受信すると、受信側が送信側によって送信されたデータパケットを正しく受信していると判断することができ、TCPプロキシは、ACKを構築し、それを送信側に送信することができる。ACKは次のようにして構築されることができる。データパケットがTCPパケットである場合、データパケットに関する情報は、TCPパケットのTCP SNおよびパケット長をさらに含み、したがって、構築されるACKのSNは、TCPパケットのTCP SNにTCPパケットのパケット長を足したものとすることができる。別の種類のデータパケットについては、ACKは、具体的条件に従って別のやり方で構築されてもよい。
【0062】
結論として、この実施形態で提供されるデータ伝送方法では、送信側と受信側との間のデータ伝送プロセスにおいて中間ノードに追加される、例えばTCPプロキシなどの能TCP機能強化エンティティを介して、ACKが能動的に構築され、送信側に送信されるので、データ伝送速度が改善される。
【0063】
ACKが構築される前に、対応するデータパケットに応答して受信側によって返されるTCP ACKが受信されているかどうかに関する判断が行われてもよい。そのようなTCP ACKが受信されていない場合、ACKが構築され、送信側に送信される。TCP
ACKが受信側から受信された後、対応するACKが構築され、送信側に送信されているかどうかに関する判断が行われてもよい。そのようなACKが構築されていない場合には、TCP ACKが送信側に転送され、そのようなACKが構築されている場合には、受信側によって返されたTCP ACKが廃棄される。これは、送信側によって後で受信されたACKのSNが、送信側によって前に受信されたACKのSNより小さい場合、送信側はより小さいSNのACKを廃棄することになるからである。
【0064】
本発明の別の実施形態ではデータ伝送方法が提供される。この実施形態では、送信側はサーバであり、受信側は端末であり、送信側と受信側との間のデータ伝送プロセスにおいて中間ノードに追加されるTCP機能強化エンティティはTCPプロキシであり、プロトコル層はRLC層である。図4は、本発明の別の実施形態によるデータ伝送方法のフローチャートである。図4に示すように、この方法は以下のステップを含んでいてもよい。
【0065】
S401:TCPプロキシがサーバによって送信されたデータパケットを受信する。
【0066】
S402:TCPプロキシは、受信されたデータパケットを端末に転送する。
【0067】
端末は、端末機器と、RLC層といったそのプロトコル層とを含む広義の概念であることに留意されたい。RLC層と端末機器との間には確認機構が存在する。PDUを受信した後、端末機器はRLC層に、端末がサーバからデータパケットを受信することを示すデータパケットの確認情報を返す。
【0068】
S403:RLC層が端末からデータパケットの確認情報を受信した後、確認情報に従って対応するデータパケットに関する情報を取得する。
【0069】
端末機器から受信された確認情報によって、RLC層は、どのデータパケットが端末機器によって正しく受信されるかを知り、TCPプロキシからのどのデータパケットが端末機器によって受信されるかを知り、対応するデータパケットに関する情報を取得することができる。データパケットに関する情報は、データパケットのSNとすることができる。データパケットがTCPパケットである場合、データパケットに関する情報は、TCPパケットのSNおよびパケット長をさらに含んでいてもよい。
【0070】
S404:データパケットに関する取得情報に従って、ACKを構築する必要があるかどうかを判断する。
【0071】
端末機器によってTCPプロキシに送信されるTCP ACKについて、TCPプロキシは、TCP ACKのSNを記録することができる。確認情報は、データパケットに関する対応情報を取得し、構築されるべきACKのSNを知るための基礎として使用される。例えば、第1のデータパケットのSNが1であり、そのパケット長が1460である場合、構築されるべきACKのSNは1461であり、第2のデータパケットのSNが1461であるとき、構築されるべきACKのSNは2921であり、以下同様である。
【0072】
端末によって返され、TCPプロキシにおいて記録されたTCP ACKのSNは、ACKを構築することが必要であるかどうか判定するために、構築されるべきACKのSNと比較されてもよい。TCPプロキシは、端末によって返されるTCP ACKの少なくとも1つのSNを記録することができる。TCPプロキシにおいて記録されたTCP ACKの最大SNが構築されるべきACKのSNと比較される。端末によって返され、TCPプロキシにおいて記録されたTCP ACKの最大SNが構築されるべきACKのSN以上である場合、それは、TCPプロキシは端末によって送信されたTCP ACKを受信しており、それ以上ACKが構築される必要がないことを示す。端末によって返され、TCPプロキシにおいて記録されたTCP ACKの最大SNが構築されるべきACKのSNより小さい場合、それは、TCPプロキシが端末によって返されるTCP ACKを受信しておらず、ACKが構築される必要があることを示しており、したがって、ステップS405が実行される。
【0073】
S405:ACKを構築し、それをサーバに送信する。
【0074】
TCPプロキシは端末によって返されるTCP ACKを受信していないため、TCPプロキシは、ACKを能動的に構築し、それをサーバに送信する。ACKを受信した後、サーバはウィンドウをスライドさせて新しいデータを送信することができる。
【0075】
ACKは次のように構築されてもよい。データパケットがTCPパケットである場合、データパケットに関する情報は、TCPパケットのTCP SNおよびパケット長をさらに含むので、構築されるACKのSNは、TCPパケットのTCP SNにTCPパケットのパケット長を足したものとすることができる。例えば、第1のデータパケットのSNが1であり、第1のデータパケットのパケット長を1460であれば、したがって、構築されるACKのSNは1461であり、第2のパケットのSNが1461であり、第2のデータパケットのパケット長は1460であれば、したがって、構築されるACKのSNは2921であり、以下同様である。別の種類のデータパケットについては、ACKは、具体的条件に従って別のやり方で構築されてもよい。加えて、TCPプロキシが端末によって返されたTCP ACKを受信した場合、TCPプロキシは、端末によって返されたTCP ACKのSNを、TCPプロキシにおいて構築されたACKのSNと比較してもよい。TCPプロキシは、複数の構築されたACKを記録することもできる。端末によって返されたTCP ACKのSNは、構築されたACKの最大SNと比較されてもよい。端末によって返されたTCP ACKのSNが構築されたACKの最大SN以下である場合、それは、TCPプロキシがサーバに対応するACKを送信していることを示し、TCPプロキシは、端末によって送信されたACKをサーバに転送せずに廃棄する。端末によって返されたTCP ACKのSNが構築されたACKの最大SNより大きい場合、TCPプロキシは、端末によって返されたACKをサーバに転送し、端末によって返されたTCP ACKのSNを記録する。
【0076】
したがって、この実施形態で提供されるデータ伝送方法によれば、TCPプロキシはACKを構築し、それをサーバに送信する。この実施形態の方法は、ダウンリンクデータパケットのACKが端末のTCP層においてブロックされることをある程度まで防止し、サーバがより速くウィンドウをスライドさせることを可能にし、エアインターフェースのための十分なデータを提供し、送信データの欠落を回避し、エアインターフェースの利用を改善し、データ伝送の性能を向上させ、ユーザの体感を向上させる。
【0077】
本発明の一実施形態ではデータ伝送装置が提供される。図5に示すように、この装置は、受信部501と、送信部502と、検索部503と、構築部504とを含むことができる。
【0078】
受信部501は、送信側によって送信されるデータパケットを受信し、受信されるデータパケットに関する情報を記録するように構成されている。
【0079】
データパケットが送信側から受信された後、データパケットのSNが、データパケットを受信した順序に従って記録される。SNは、昇順で増加してもよい。例えば、受信される第1のデータパケットはSN1で識別され、受信される第2のデータパケットはSN2で識別され、以下同様である。SNが長くなりすぎるのを防ぐために、SNは、ある値に達した場合、最初からふり直してもよい。例えば、SNが65535に達した場合、SNは再度1からふり直してもよい。このようにして、多くのデータパケットに対処することができる。受信されるデータパケットがTCPパケットである場合、TCPパケットのパケット長およびSNが記録される必要がある。
【0080】
送信部502は、受信されるデータパケットを、プロトコル層を介して受信側に送信するように構成されている。
【0081】
受信されるデータパケットは、プロトコル層を介して受信側に送信されることができる。プロトコル層はRLC層とすることができる。またプロトコル層も、例えば、データパケットを受信した順序に従ってデータパケットのSNを記録するなど、受信されるデータパケットを記録することができる。
【0082】
検索部503は、受信側によって送信側に送信されるデータパケットの確認情報をプロトコル層が受信した後、生成されるデータパケットマッピングに従って、受信部501を介して対応するデータパケットに関する情報を検索するように構成されている。
【0083】
プロトコル層と受信側の間には確認機構が存在する。送信側からデータパケットを受信した後、受信側はプロトコル層に確認情報を返す。
【0084】
データパケットマッピングは、データ伝送装置上のデータパケットと、プロトコル層によって受信されたデータパケットとの対応関係を反映し、データパケットマッピングはマッピング表とすることができる。データパケットマッピングは次のようにして生成されてもよい。受信部501は受信されるデータパケットに関する情報を記録し、プロトコル層も受信されるデータパケットのSNを記録し、このSNは、TCPプロキシによって記録されるデータパケットのSNに一意に対応する。そのため、TCPプロキシによって受信される第1のデータパケットがSN1で識別される場合、プロトコル層によって受信される第1のデータパケットもSN1で識別され、以下同様である。したがって、プロトコル層によって記録されるデータパケットの順序は、受信部501によって記録されるデータパケットの順序と1対1関係で対応する。この1対1関係をデータパケットマッピングという。
【0085】
プロトコル層が受信側から確認情報を受信した後、どのデータパケットが受信側によって正しく受信されたかがわかる。したがって、生成されたデータパケットマッピングに従ってデータパケットに関する対応情報が見つかると、データ伝送装置上のどのデータパケットが受信側によって正しく受信されたかを容易に知ることができる。
【0086】
構築部504は、検索部503によって見つけられるデータパケットに関する情報に従って送信側に向けたACKを構築するように構成されている。
【0087】
プロトコル層は受信側から確認情報を受信しているが、データ伝送装置は、データパケットに応答した受信側からのACKを受信していない場合、受信側は送信側によって送信されたデータパケットを正しく受信していると判定することができ、構築部504は、ACKを構築し、それを送信側に送信してもよい。ACKは、検索部503によって見つけられたデータパケットに関する情報に従って構築される。データパケットに関する情報は、データパケットのSNとすることができる。データパケットがTCPパケットである場合、データパケットに関する情報は、TCPパケットのTCP SNおよびパケット長を含んでいてもよい。ACKは、データパケットマッピングによって見つかったデータパケットに関する情報に従って構築されてもよい。データパケットがTCPパケットである場合、構築されるACKのSNは、TCP SNにTCPパケットのパケット長を足したものとすることができる。別の種類のデータパケットについては、ACKは、具体的条件に従って別のやり方で構築されてもよい。
【0088】
構築部504は、構築されるACKを送信側に送信し、構築されるACKのSNを記録することができる。
【0089】
データ伝送装置は、送信側と受信側との間のデータ伝送プロセスにおいて中間ノードに追加される、TCPプロキシなどのTCP機能強化エンティティとすることができることに留意されたい。
【0090】
結論として、この実施形態で提供されるデータ伝送装置は、ACKを能動的に構築し、それを送信側に送信するものであるので、データ伝送速度が改善される。
【0091】
さらに、ACKが構築される前に、データ伝送装置は、対応するデータパケットに応答して受信側から返されるTCP ACKが受信されているかどうか判断してもよい。そのようなTCP ACKが受信されていない場合、データ伝送装置はACKを構築し、それを送信側に送信する。受信側からTCP ACKを受信した後、データ伝送装置は、ACKが構築され、送信側に送信されているかどうか判断することができる。そのようなACKが構築されていない場合には、送信側にTCP ACKを転送し、そのようなACKが構築されている場合には、受信側によって返されたTCP ACKを廃棄してもよい。
【0092】
本発明の別の実施形態では別のデータ伝送装置が提供される。図6に示すように、この装置は、受信部601と、送信部602と、生成部603と、検索部604と、判断部605と、構築部606と、比較部607とを含んでいてもよい。
【0093】
受信部601は、送信側によって送信されるデータパケットを受信し、受信されるデータパケットに関する情報を記録するように構成されている。
【0094】
受信部601の機能および実施プロセスは、前述の前の実施形態における受信部501のものと基本的に同じである。
【0095】
送信部602は、受信部601によって受信されたデータパケットを、プロトコル層を介して受信側に送信するように構成されている。
【0096】
送信部602の機能および実施プロセスは、前述の前の実施形態における送信部502のものと基本的に同じである。
【0097】
生成部603は、受信部601によって記録されたデータパケットに関する情報に従ってデータパケットマッピングを生成するように構成されている。
【0098】
データパケットマッピングは、データ伝送装置に記憶されてもよく、プロトコル層において記憶されてもよいことに留意すべきである。プロトコル層と受信側との間には確認機構が存在する。送信側からデータパケットを受信した後、受信側はプロトコル層に確認情報を返す。データパケットマッピングは、データ伝送装置とプロトコル層との間で共用される。この実施形態では、データ伝送装置がデータパケットマッピングを生成するものと仮定する。
【0099】
また、プロトコル層も、受信されるデータパケットのSNを記録する。すなわち、受信部601によって受信される第1のデータパケットがSN1で識別される場合、プロトコル層によって受信される第1のデータパケットもSN1で識別され、以下同様である。したがって、RLC層によって記録されるデータパケットの順序は、TCPプロキシによって記録されるデータパケットの順序と1対1関係で対応する。この1対1関係をデータパケットマッピング関係という。
【0100】
検索部604は、プロトコル層が、受信側によって送信側に送信されたデータパケットの確認情報を受信した後、生成部603によって生成されたデータパケットマッピングに従って、受信部601を介して対応するデータパケットに関する情報を検索するように構成されている。
【0101】
検索部604の機能は、前述の前の実施形態における探索部503のものと基本的に同じである。
【0102】
判断部605は、検索部604によって見つけられたデータパケットに関する情報に従って、ACKを構築する必要があるかどうか判断するように構成されている。
【0103】
受信側によってデータ伝送装置に送信されるTCP ACKについては、データ伝送装置の判断部605もACKのSNを記録する。
【0104】
データパケットに関する情報は、データパケットのSNを含んでいてもよい。データパケットがTCPパケットである場合、データパケットの情報は、TCPパケットのパケット長およびSNを含んでいてもよい。見つかったデータパケットに関する情報に従って、構築されるべきACKのSNを知ることができる。例えば、TCPパケットでは、第1のデータパケットのSNが1であり、そのパケット長が1460である場合、構築されるべきACKのSNは1461であり、第2のデータパケットのSNが1461であるとき、構築されるべきACKのSNは2921であり、以下同様である。別の種類のデータパケットについては、ACKは、別のモードで構築されてもよい。
【0105】
端末によって返され、判断部605において記録されるTCP ACKのSNは、ACKが構築される必要があるかどうか判定するために、構築されるべきACKのSNと比較される。判断部605は、端末によって返されるTCP ACKの少なくとも1つのSNを記録してもよい。判断部605において記録されたTCP ACKの最大SNが構築されるべきACKのSNと比較される。受信側によって返され、判断部605において記録されたTCP ACKの最大SNが構築されるべきACKのSN以上である場合、それは、データ伝送装置が、受信側によって返されたTCP ACKを受信しており、それ以上ACKが構築される必要がないことを示す。受信側によって返され、判断部605において記録されたTCP ACKの最大SNが構築されるべきACKのSNより小さい場合、それは、データ伝送装置が、受信側によって返されるTCP ACKを受信しておらず、ACKが構築される必要があることを示す。
【0106】
構築部606は、判断部605が、ACKが構築される必要があると判定した場合、ACKを構築し、それを送信側に送信するように構成されている。
【0107】
データ伝送装置が受信側によって返されるTCP ACKを受信していない場合、データ伝送装置の構築部606は、ACKを構築し、それを送信側に送信する。ACKを受信した後、送信側は、ウィンドウをスライドさせて新しいデータを送信することができる。
【0108】
構築されるACKのSNは、パケット長にTCPパケットのSNを足したものである。例えば、第1のデータパケットのSNを1であり、第1のデータパケットのパケット長が1460であれば、したがって、構築されるACKのSNは1461であり、第2のデータパケットのSNが1461であり、第2のデータパケットのパケット長は1460であれば、したがって、第2のデータパケットのSNは2921であり、以下同様である。構築されたACKのSNはデータ伝送装置において記録されてもよい。
【0109】
データ伝送装置が受信側によって返されたTCP ACKを受信した場合、データ伝送装置は、構築部606が対応するACKを構築し、それを送信側に送信しているかどうか判断し、そのようなACKが構築されていない場合には、送信側にTCP ACKを転送し、そのようなACKが構築されている場合には、受信側によって返されたTCP ACKを廃棄してもよい。データ伝送装置は、比較部607をさらに含んでいてもよい。比較部607は、受信側によって返されるTCP ACKのSNを、データ伝送装置において記録される、構築されたACKのSNと比較するように構成されている。
【0110】
受信側によって返されたTCP ACKのSNが構築されたACKの記録された最大SN以下である場合、それは、データ伝送装置が送信側に確認情報を送信していることを示し、データ伝送装置は、受信側によって送信されたACKを送信側に転送せずに、廃棄してもよい。受信側によって返されたTCP ACKのSNが構築されたACKの記録された最大SNより大きい場合、データ伝送装置は、端末によって返されたACKを送信側に送信し、受信側によって返されたTCP ACKのSNを記録する。
【0111】
本発明の一実施形態では別のデータ伝送装置が提供される。図7に示すように、この装置は、第2の受信部701と、第2の送信部702と、取得部703と、第2の構築部704とを含んでいてもよい。
【0112】
第2の受信部701は、送信側によって送信されるデータパケットを受信するように構成されている。
【0113】
第2の送信部702は、受信されるデータパケットを、プロトコル層を介して受信側に送信するように構成されている。
【0114】
受信されるデータパケットは、プロトコル層を介して受信側に送信されることができる。プロトコル層はRLC層とすることができる。
【0115】
取得部703は、プロトコル層が、受信側によって送信側に送信されるデータパケットの確認情報を受信した後で、データパケットの確認情報に従って、対応するデータパケットに関する情報を取得するように構成されている。
【0116】
プロトコル層と受信側との間には確認機構が存在する。送信側からデータパケットを受信した後、受信側はプロトコル層に確認情報を返す。確認情報は、どのデータパケットが受信側によって正しく受信されたか、およびデータ伝送装置上のどのデータパケットが受信側によって正しく受信されたかを知るための基礎として使用される。このようにして、そのようなデータパケットに対応するデータパケットに関する情報を取得することができる。データパケットに関する情報は、データパケットのSNとすることができる。データパケットがTCPパケットである場合、データパケットに関する情報は、TCPパケットのTCP SNおよびパケット長をさらに含んでいてもよい。TCPパケットのパケット長およびTCP SNは、TCPパケットのパケットヘッダ情報から取得されてもよい。
【0117】
第2の構築部704は、取得部703によって取得されるデータパケットに関する情報に従って、送信側に向けた確認情報を構築するように構成されている。
【0118】
プロトコル層は受信側からデータパケットの確認情報を受信しているが、データ伝送装置はデータパケットに応答した受信側からのACKを受信していない場合、受信側は送信側によって送信されたデータパケットを正しく受信していると判定することができ、プロトコル層によって受信される確認情報に従ってデータパケットに関する対応情報を取得することができ、第2の構築部704は、データパケットに関する情報に従ってACKを構築し、それを送信側に送信することができる。ACKは、取得部703によって取得されるデータパケットに関する情報に従って構築されてもよい。データパケットがTCPパケットである場合、構築されるACKのSNは、そのSNにTCPパケットのパケット長を足したものである。別の種類のデータパケットについては、ACKは、別のやり方で構築されてもよい。
【0119】
データ伝送装置は、送信側と受信側との間のデータ伝送プロセスにおいて中間ノードに追加される、例えばTCPプロキシなどのTCP機能強化エンティティとすることができることに留意すべきである。
【0120】
結論として、この実施形態で提供されるデータ伝送装置は、ACKを構築し、それを送信側に送信するものであり、よって、データ伝送速度が改善される。
【0121】
さらに、ACKが構築される前に、データ伝送装置は、対応するデータパケットに応答して受信側によって返されるTCP ACKが受信されているかどうか判断することができる。そのようなTCP ACKが受信されていない場合、データ伝送装置は、ACKを構築し、それを送信側に送信する。受信側からTCP ACKを受信した後、データ伝送装置は、ACKが構築され、送信側に送信されているかどうか判断し、そのようなACKが構築されていない場合には、送信側にTCP ACKを転送し、そのようなACKが構築されている場合には、受信側によって返されたTCP ACKを廃棄してもよい。
【0122】
本発明の別の実施形態では別のデータ伝送装置が提供される。図8に示すように、この装置は、第2の受信部801と、第2の送信部802と、取得部803と、第2の判断部805と、第2の構築部804と、第2の比較部806とを含んでいてもよい。
【0123】
第2の受信部801は、送信側によって送信されるデータパケットを受信するように構成されている。
【0124】
第2の受信部801の機能および実施プロセスは、前述の前の実施形態における第2の受信部701のものと基本的に同じである。
【0125】
第2の送信部802は、第2の受信部801によって受信されるデータパケットを、プロトコル層を介して受信側に送信するように構成されている。
【0126】
第2の送信部802の機能および実施プロセスは、前述の前の実施形態における第2の送信部702のものと基本的に同じである。
【0127】
取得部803は、データパケットの確認情報に従ってデータパケットのSNを取得するように構成されており、さらに、データパケットのSNに従ってTCPパケットのパケット長およびTCP SNを取得するように構成されていてもよい。
【0128】
プロトコル層と受信側との間には確認機構が存在する。送信側からデータパケットを受信した後、受信側はプロトコル層に確認情報を返す。取得部803は、確認情報に従ってデータパケットに関する対応情報を取得する。
【0129】
第2の判断部805は、取得部803によって取得されるデータパケットに関する情報に従ってACKを構築する必要があるかどうか判断するように構成されている。
【0130】
データパケットに関する情報は、データパケットのSNを含んでいてもよい。したがって、データパケットのSNは、確認情報に従って取得することができる。データパケットがTCPパケットである場合、データパケットのSNに従ってTCPパケットのパケット長およびSNを取得することができる。構築されるべきACKのSNは、データパケットに関する情報に従って取得することができる。例えば、TCPパケットでは、第1のデータパケットのSNが1であり、第1のデータパケットのパケット長が1460である場合、構築されるべきACKのSNは1461であり、第2のデータパケットのSNが1461であるとき、構築されるべきACKのSNは2921であり、以下同様である。別の種類のデータパケットについては、ACKは、別のやり方で構築されてもよい。
【0131】
第2の判断部805は、受信側によって返されるTCP ACKのSNと構築されるべきACKのSNとを比較することによって、ACKの構築が必要かどうかを判断することができる。第2の判断部805は、端末によって返されるTCP ACKの少なくとも1つのSNを記録してもよい。第2の判断部805は、受信側によって返されるTCP ACKの最大SNを構築されるべきACKのSNと比較してもよい。受信側によって返されたTCP ACKの最大SNが構築されるべきACKのSN以上である場合、それは、データ伝送装置が受信側によって返されたTCP ACKを受信しており、それ以上ACKが構築される必要がないことを示す。受信側によって返されたTCP ACKの最大SNが構築されるべきACKのSNより小さい場合、それは、データ伝送装置が受信側によって返されるTCP ACKを受信しておらず、ACKが構築される必要があることを示す。
【0132】
第2の構築部804は、第2の判断部805が、ACKが構築される必要があると判定した場合、ACKを構築し、それを送信側に送信するように構成されている。
【0133】
データ伝送装置が受信側によって返されるTCP ACKを受信していない場合、データ伝送装置の第2の構築部804は、ACKを能動的に構築し、それを送信側に送信する。ACKを受信した後、送信側は、ウィンドウをスライドさせて新しいデータを送信することができる。
【0134】
データ伝送装置が、受信側によって返されるTCP ACKを受信した場合、データ伝送装置は、第2の構築部804が対応するACKを構築し、それを送信側に送信しているかどうか判断し、そのようなACKが構築されていない場合には、送信側にTCP ACKを転送し、そのようなACKが構築されている場合には、受信側によって返されたTCP ACKを廃棄してもよい。データ伝送装置は、受信側によって返されるTCP ACKのSNを、データ伝送装置において記録される、構築されたACKのSNと比較するように構成されている第2の比較部806をさらに含んでいてもよい。
【0135】
受信側によって返されたTCP ACKのSNが構築されたACKの最大SN以下である場合、それは、データ伝送装置が送信側に確認情報を送信していることを示し、データ伝送装置は、受信側によって送信されたACKを、送信側に転送せずに廃棄してもよい。受信側によって返されたTCP ACKのSNが構築されたACKの最大SNより大きい場合、データ伝送装置は、受信側によって返されたACKを送信側に送信し、受信側によって返されたTCP ACKのSNを記録する。
【0136】
本発明の別の実施形態では中間NEが提供される。図9に示すように、この中間NEは、プロトコル層901と、データ伝送装置902とを含んでいてもよい。プロトコル層901は、プロトコル層と受信側との間に確認機構が存在する限り、中間NEの任意のプロトコル層とすることができる。確認機構に従って、受信側は、データパケットを受信し次第、プロトコル層に確認情報を返す。データ伝送装置902は、図5または図6に対応する実施形態において示した装置とすることができる。プロトコル層901およびデータ伝送装置902は、データパケットマッピングを共用する。データパケットマッピングを生成する方法については、前述の方法実施形態における関連説明を参照されたい。プロトコル層901が受信側から確認情報を受信した後、データ伝送装置902は、ACKを構築し、それを送信側に送信してもよく、あるいは、ACKを構築することが必要であるかどうか判断し、次いで、ACKを構築し、それを送信側に送信してもよい。判断方法の詳細については、前述の方法の実施形態における関連する説明を参照されたい。また、受信側によってデータ伝送装置902に送信されるACKが、送信側に転送される必要があるかどうか判断することも必要である。判断方法については、前述の方法の実施形態における関連する説明を参照されたい。
【0137】
上記の中間NEは、無線ネットワーク制御装置(RNC)とすることができることに留意されたい。この場合、データ伝送装置902はTCPプロキシとすることができ、プロトコル層901はRLC層とすることができる。
【0138】
前述の実施形態では、プロトコル層901およびデータ伝送装置902は同じ中間NEに位置する。データ伝送装置902とプロトコル層901とは、データ伝送装置902がこれらの間のデータパケットマッピングに従ってACKを構築することができる限り、異なる中間NEに位置していてもよいことが理解されよう。
【0139】
したがって、この実施形態で提供されるデータ伝送装置によれば、ACKが構築され、送信側に送信される。よって、ダウンリンクデータパケットのACKが受信側のTCP層においてブロックされるのをある程度まで防止することができ、送信側がより速くウィンドウをスライドさせることが可能になり、エアインターフェースのための十分なデータが提供され、送信データの欠落という事態を防止することができ、エアインターフェースの利用が改善され、データ伝送の性能およびユーザの体感が向上する。
【0140】
本発明の別の実施形態では中間NEが提供される。図10に示すように、この中間NEは、プロトコル層1001と、データ伝送装置1002とを含んでいてもよい。データ伝送装置1002は、図7または図8に対応する実施形態において示した装置とすることができる。プロトコル層1001は、プロトコル層と受信側との間に確認機構が存在する限り、中間NEの任意のプロトコル層とすることができる。確認機構に従って、受信側は、データパケットを受信し次第、プロトコル層1001に確認情報を返す。
【0141】
プロトコル層1001が受信側によって返される確認情報を受信した後、データ伝送装置1002は、確認情報に従ってデータパケットに関する情報を取得し、データパケットに関する情報に従って送信側に向けたACKを構築する。データ伝送装置1002は、ACKを構築し、それを送信側に送信してもよく、あるいは、ACKが構築される必要があるかどうか判断し、次いで、必要なときにACKを構築し、それを送信側に送信してもよい。判断方法の詳細については、前述の方法の実施形態における関連する説明を参照されたい。また、受信側によってデータ伝送装置1002に送信されるACKが送信側に転送される必要があるかどうかの判断が実施されてもよい。
【0142】
上記の中間NEはRNCとすることができることに留意されたい。この場合、データ伝送装置1002はTCPプロキシとすることができ、プロトコル層1001はRLC層とすることができる。
【0143】
前述の実施形態では、データ伝送装置1002およびプロトコル層1001は同じ中間NEに位置する。データ伝送装置1002とプロトコル層1001とは異なる中間NEに位置してもよいことが理解されよう。
【0144】
したがって、この実施形態で提供されるデータ伝送装置によれば、ACKが構築され、送信側に送信される。よって、ダウンリンクデータパケットのACKが受信側のTCP層においてブロックされることをある程度まで防止することができ、送信側がより速くウィンドウをスライドさせることが可能になり、エアインターフェースのための十分なデータが提供され、送信データの欠落という事態を防止することができ、エアインターフェースの利用が改善され、データ伝送の性能およびユーザの体感が向上する。
【0145】
本明細書で示す方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアによっても、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによっても、これら両方によっても実施され得る。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、コンピュータメモリ、読取り専用メモリ(ROM)、電気的プログラム可能ROM、電気的消去可能プログラム可能ROM、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能ディスク、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD−ROM)に、あるいは当分野で周知の他の任意の形態の記憶媒体に位置していてもよい。
【0146】
本発明は、いくつかの例示的実施形態によって説明されているが、そのような実施形態だけに限定されるものではない。当業者は、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、本発明に改変および変更を加え得ることは明らかである。本発明は、それらの改変および変更が、添付の特許請求の範囲またはその均等物によって定義される保護の範囲内に該当する限りにおいて、それらの改変および変更を包含すべきものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10