特許第5740466号(P5740466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740466
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】フルオロスルホニルイミド塩の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 21/093 20060101AFI20150604BHJP
   C07C 303/40 20060101ALI20150604BHJP
   C07C 311/48 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   C01B21/093 Z
   C07C303/40
   C07C311/48
【請求項の数】1
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-502286(P2013-502286)
(86)(22)【出願日】2012年2月24日
(86)【国際出願番号】JP2012054566
(87)【国際公開番号】WO2012117961
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2013年3月25日
(31)【優先権主張番号】特願2011-46738(P2011-46738)
(32)【優先日】2011年3月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】坪倉 史朗
(72)【発明者】
【氏名】相浦 恭幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
(72)【発明者】
【氏名】丸山 道明
【審査官】 西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−168308(JP,A)
【文献】 特開2010−168249(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/010613(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 21/093
C07C 303/40
C07C 311/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式〔I〕:
【化1】
(式〔I〕中、Rは、1〜6個の炭素原子を有するフッ化アルキル基、フッ素原子、または塩素原子を示す。)
で表される化合物と、式〔III〕:
【化2】
(式〔III〕中、pは0〜10いずれかの実数を示す。)
で表されるフッ素化剤とを反応させて得られた、式〔II〕:
【化3】
(式〔II〕中、Rは、1〜6個の炭素原子を有するフッ化アルキル基、またはフッ素原子を示す。)
で表される、フルオロスルホニルイミドアンモニウム塩に、
アルカリ金属水酸化物を、減圧下で反応させることを含む、式〔IV〕:
【化4】
(式〔IV〕中、Mn+はアルカリ金属カチオンを示し、nは1であり、Rは式〔II〕におけるものと同じものを示す。)
で表されるフルオロスルホニルイミド塩の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロスルホニルイミドアンモニウム塩の製造方法に関する。より詳細に、本発明は、電解質特性などを低下させる金属不純物の混入が限りなく抑制されたフルオロスルホニルイミドアンモニウム塩を効率良く製造する方法に関する。
本願は、2011年3月3日に、日本に出願された特願2011−046738号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
フルオロスルホニルイミド塩は、電解質や、燃料電池の電解液への添加物、選択的吸電子材などとして様々な分野において有用な化合物である(特許文献1)。アルカリ金属化合物やオニウム化合物を用いたカチオン交換反応によって、フルオロスルホニルイミドアルカリ金属塩や各種のフルオロスルホニルイミドオニウム塩を得ることができる。フルオロスルホニルイミドアンモニウム塩は、フルオロスルホニルイミドアルカリ金属塩や当該アンモニウム塩以外のフルオロスルホニルイミドオニウム塩の製造中間体として有用である。
【0003】
フルオロスルホニルイミドアンモニウム塩の合成法が種々提案されている。例えば、非特許文献1には、ジ(フルオロスルホニル)イミドとアンモニアとからジ(フルオロスルホニル)イミドアンモニウム塩を合成する方法が開示されている。
特許文献2には、ジ(クロロスルホニル)イミドとオニウム化合物とを反応させてクロロスルホニルイミドオニウム塩を得、これと第11族〜第15族、第4周期〜第6周期の元素(但し、砒素およびアンチモンは除く)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含むフッ化物とを反応させることによってビス[ジ(フルオロスルホニル)イミド]オニウム塩を合成する方法が開示されている。特許文献2に記載の製法で用いられるフッ化物として、フッ化亜鉛(ZnF2)、フッ化銅(CuF2)、フッ化ビスマス(BiF2)などが開示されている。これらはいずれも常温固体の物質である。
また、非特許文献2または3には、三フッ化ヒ素(AsF3)、三フッ化アンチモン(SbF3)をフッ素化剤として用いてジ(クロロスルホニル)イミドからジ(フルオロスルホニル)イミドを合成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平08−511274号公報
【特許文献2】特開2010−168308号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Zeitschrift fuer Chemie (1987), 27(6), 227-8
【非特許文献2】John K. Ruff, and Max Lustig, Inorg. Synth. 11, 138-140(1968年)
【非特許文献3】Jean'ne M. Shreeve et al., Inorg. Chem. 1998, 37(24), 6295-6303
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1に記載の合成法の原料であるジ(フルオロスルホニル)イミドは、ジ(フルオロスルホニル)イミド塩を強酸で処理してフリー化することによって得られる。しかし、ジ(フルオロスルホニル)イミド自体が強酸であるため工業的な製造は容易でない。イオン交換樹脂を用いてジ(フルオロスルホニル)イミドを合成する方法があるが、工程が煩雑で、工業的な生産には適していない。
特許文献2に記載の合成法では、前記フッ化物由来の金属元素が電解質の特性を低下させるので、フッ化物由来の金属元素を取り除くことが必要である。当該金属元素を完全に除去するためには、煩雑な精製操作を行わなければならない。
非特許文献2または3に記載の合成法に使用されるAsF3は比較的に高価である。AsおよびSbはいずれも高い毒性を有する元素であるので、作業性に難がある。特にAsF3を用いる合成法では、目的生成物との分離が困難な化合物が副生する。そのため、非特許文献2または3に開示される合成法は工業的生産に不適である。
【0007】
本発明の課題は、電解質特性などを低下させる金属不純物の混入が限りなく抑制されたフルオロスルホニルイミドアンモニウム塩を効率良く製造する方法を提供すること、および、電解質特性などを低下させる金属不純物を含まないフルオロスルホニルイミド塩をフルオロスルホニルイミドアンモニウム塩から製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、特定のクロロスルホニルイミドとNH4F(HF)p(pは0〜10いずれかの実数を示す。)で表されるフッ素化剤とを反応させることによってフルオロスルホニルイミドアンモニウム塩を工業的に容易に合成できることを見出した。また、そのようにして得られたフルオロスルホニルイミドアンモニウム塩に金属化合物などを作用させてカチオン交換することによって電解質特性などを低下させる金属不純物を含まないフルオロスルホニルイミド金属塩などが得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明は、以下のものを包含する。
(1) 式〔I〕で表される化合物(以下、化合物〔I〕と表記することがある。)と、式〔III〕で表されるフッ素化剤(以下、フッ素化剤〔III〕と表記することがある。)とを反応させて得られた式〔II〕で表されるフルオロスルホニルイミドアンモニウム塩(以下、化合物〔II〕と表記することがある。)に、アルカリ金属水酸化物を反応させることを含む式〔IV〕で表されるフルオロスルホニルイミド塩(以下、化合物〔IV〕と表記することがある。)の製造方法
【0010】
【化1】
【0011】
(式〔I〕中、R1は、1〜6個の炭素原子を有するフッ化アルキル基、フッ素原子、または塩素原子を示す。)
【0012】
【化2】
【0013】
(式〔II〕中、R2は、1〜6個の炭素原子を有するフッ化アルキル基、またはフッ素原子を示す。)
【0014】
【化3】
【0015】
(式〔III〕中、pは0〜10いずれかの実数を示す。)
【0016】
【化4】
【0017】
(式〔IV〕中、Mn+は金属カチオンまたはオニウムカチオン(NH4+を除く。)を示し、nは金属カチオンまたはオニウムカチオン(NH4+を除く。)の価数に相当し且つ1〜4のいずれかの整数を示し、R2は式〔II〕におけるものと同じものを示す。)
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フルオロスルホニルイミドアンモニウム塩を工業的に効率よく製造することができる。また、このようにして得られたフルオロスルホニルイミドアンモニウム塩をカチオン交換反応させることによって電解質特性などを低下させる金属不純物を含まない他のフルオロスルホニルイミド塩を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(化合物〔II〕の製造方法)
本発明に係る化合物〔II〕の製造方法は、化合物〔I〕と、フッ素化剤〔III〕とを反応させることを含むものである。
【0020】
本発明に用いられる化合物〔I〕は、式〔I〕で表される化合物である。
【0021】
【化5】
【0022】
式〔I〕中、R1は、1〜6個の炭素原子を有するフッ化アルキル基、フッ素原子、または塩素原子を示す。これらのうち、R1は、塩素原子が好ましい。
【0023】
1における、フッ化アルキル基を構成する炭素原子の数は、1〜6個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜2個である。フッ化アルキル基としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ペルフルオロ−n−プロピル基、フルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、フルオロブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル基、ペルフルオロ−n−ブチル基、ペルフルオロイソブチル基、ペルフルオロ−t−ブチル基、ペルフルオロ−sec−ブチル基、フルオロペンチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロイソペンチル基、ペルフルオロ−t−ペンチル基、フルオロヘキシル基、ペルフルオロ−n−ヘキシル基、ペルフルオロイソヘキシル基などを挙げることができる。これらの中でも、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基またはペルフルオロ−n−プロピル基が好ましく、トリフルオロメチル基またはペンタフルオロエチル基がより好ましい。
【0024】
化合物〔I〕の具体例としては、N−(クロロスルホニル)−N−(フルオロスルホニル)イミド、ジ(クロロスルホニル)イミド、N−(クロロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N−(クロロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、N−(クロロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドなどを挙げることができる。
【0025】
化合物〔I〕は、市販品であってもよいし、例えば、Z. Anorg. Allg. Chem 2005, 631, 55-59に記載の方法で合成したものであってもよい。例えば、式〔I〕で表される化合物の一つであるジ(クロロスルホニル)イミドは、クロロスルホニルイソシアネートとクロロスルホン酸との反応によって得ることができる(Chemisch Berichte 1964, 95, 849-850を参照)。
また、N−(クロロスルホニル)−N−(フルオロアルキルスルホニル)イミドは、クロロスルホニルイソシアネートとフッ化アルキルスルホン酸との反応や、フッ化アルキルスルホニルイソシアネートとクロロスルホン酸との反応などによって得ることができる。
【0026】
本発明に用いられるフッ素化剤〔III〕は、式〔III〕で表される化合物である。
【0027】
【化6】
【0028】
式〔III〕中、pは、0〜10いずれかの実数を示し、0〜4いずれかの実数であるのが好ましく、0〜4いずれかの整数であるのがより好ましい。フッ素化剤〔III〕の具体例としては、NH4F、NH4F HF、NH4F 2HF、NH4F 3HF、NH4F 4HFなどを挙げることができる。これらのうち、NH4F、NH4F HFが好ましい。
【0029】
フッ素化剤〔III〕は、市販のものを用いることができる。また、NH4Fは、無水フッ化水素にアンモニアを通じて析出させることによって得ることができる。塩化アンモニウムとフッ化ナトリウムの混合物を加熱し、昇華させることによっても得ることができる。
NH4F HF、NH4F 2HF、NH4F 3HF、NH4F 4HFなどは、無水フッ化水素に任意の割合でアンモニアを通じて得ることができるし、フッ化水素酸(水溶液)にアンモニア水溶液を混合し、水を蒸発濃縮して得ることもできる。また、NH4Fを熱分解して得ることができる。更に、NH4F HF、NH4F 2HF、NH4F 3HFに無水フッ化水素を通じて得ることができる。
フッ素化剤〔III〕の使用量は、化合物〔I〕1モルに対して、好ましくは1モル〜20モル、より好ましくは1モル〜10モル、さらに好ましくは1モル〜5モルである。
【0030】
化合物〔I〕とフッ素化剤〔III〕との反応は、有機溶媒中で若しくは無溶媒で行うことができる。該反応において用いることができる有機溶媒は、フッ素化反応を阻害しないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、メチルホルメート、メチルアセテート、メチルプロピオネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、3−メチルスルホラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルオキサゾリジノン、アセトニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、塩化メチレン、四塩化炭素、クロロホルムなどの非プロトン性溶媒を挙げることができる。フッ素化反応を円滑に進行させる観点から極性溶媒を使用することが好ましい。好適な溶媒として、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピルまたは酢酸ブチルを挙げることができる。
当該有機溶媒は脱水して使用することが好ましい。水が存在すると、化合物〔I〕が分解しやすくなるので、収率が低下するおそれがある。
【0031】
フッ素化反応時の温度は、反応の進行状況に応じて適宜調整することができるが、好ましくは−40℃〜200℃、より好ましくは−20℃〜100℃である。反応に要する時間は、反応規模によって異なるが、好ましくは0.1時間〜48時間、より好ましくは0.5時間〜24時間である。
【0032】
本発明に係る製造方法によって、化合物〔II〕を得ることができる。化合物〔II〕は、式〔II〕で表されるフルオロスルホニルイミドアンモニウム塩である。
【0033】
【化7】
【0034】
式〔II〕中、R2は、1〜6個の炭素原子を有するフッ化アルキル基、またはフッ素原子を示す。フッ化アルキル基は、R1の説明において挙げたものと同じものを挙げることができる。
式〔II〕で表される化合物の具体例としては、ジ(フルオロスルホニル)イミドアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドアンモニウム塩などを挙げることができる。これらのうちジ(フルオロスルホニル)イミドアンモニウム塩が好ましい。
【0035】
化合物〔II〕は、式〔IV〕で表されるフルオロスルホニルイミド塩を製造するための中間体として有用である。また、化合物〔II〕は、一次電池、リチウム(イオン)二次電池などの二次電池、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、燃料電池、太陽電池、エレクトロクロミック素子などの電気化学デバイスを構成するイオン伝導体の材料としても有用である。
【0036】
(化合物〔IV〕の製造方法)
本発明に係る化合物〔IV〕の製造方法は、前記製造方法によって得られる化合物〔II〕に、金属化合物、オニウム化合物および有機アミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を反応(以下、カチオン交換反応と表記することがある。)させることを含むものである。
【0037】
このカチオン交換反応は溶媒の存在下で、化合物〔II〕と、金属化合物、オニウム化合物および有機アミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを混合することによって行うことができる。前記少なくとも1種の化合物は、アルカリ金属化合物、オニウム化合物、および有機アミン化合物からなる群から選ばれることが好ましく、アルカリ金属化合物であることがより好ましい。
【0038】
カチオン交換反応に用いられる金属化合物は、化合物〔II〕とカチオン交換反応するものであれば特に限定されないが、アルカリ金属化合物であるのが好ましい。アルカリ金属化合物としては、LiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOHなどの水酸化物; Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、Rb2CO3、Cs2CO3などの炭酸塩; LiHCO3、NaHCO3、KHCO3、RbHCO3、CsHCO3などの炭酸水素塩; LiCl、NaCl、KCl、RbCl、CsClなどの塩化物; LiBr、NaBr、KBr、RbBr、CsBrなどの臭化物; LiF、NaF、KF、RbF、CsFなどのフッ化物; CH3OLi、EtOLi、t−BuOK、t−BuONaなどのアルコキシド化合物; NaH、KH,LiHなどのヒドリド化合物; i−Pr2NLi、EtLi、BuLi、t−BuLi(尚、Etはエチル基、Prはプロピル基、Buはブチル基を示す)などのアルキルリチウム化合物などを挙げることができる。これらのうち、水酸化物が好ましい。水酸化物を用いると、カチオン交換反応ではアンモニアが副生するので、このアンモニアを減圧除去することによって平衡をカチオン交換反応が促進される状態にすることができる。アルカリ金属化合物を用いると、副生する無機塩を濾過や水洗で除去できるので容易に精製することができる。
アルカリ金属化合物の使用量は、化合物〔II〕1モルに対して、好ましくは1モル〜10モル、より好ましくは1モル〜5モルである。
【0039】
カチオン交換反応に用いられるオニウム化合物としては、イミダゾリウム化合物、ピラゾリウム化合物、ピリジニウム化合物、ピロリジニウム化合物、ピペリジニウム化合物、モルホリニウム化合物、4級アンモニウム化合物などの窒素系オニウム化合物;4級ホスホニウム化合物、3級ホスフィン化合物などのリン系オニウム化合物;スルホニウム化合物などの硫黄系オニウム化合物、グアニジニウム化合物、イソウロニウム化合物、イソチオウロニウム化合物などを挙げることができる。これらのうち、有機オニウム化合物が好ましい。また、オニウム化合物は、電解質特性などを低下させる金属元素を含まないものであることが好ましい。
【0040】
イミダゾリウム化合物の具体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムクロリド、1−アリル−3−ブチルイミダゾリウムクロリド、1,3−ジアリルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリドなどの塩化物; 1,3−ジメチルイミダゾリウムブロミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムブロミド、1−アリル−3−ブチルイミダゾリウムブロミド、1,3−ジアリルイミダゾリウムブロミド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロミド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロミド、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロミドなどの臭化物;
【0041】
1,3−ジメチルイミダゾリウムヨージド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムヨージド、1−アリル−3−ブチルイミダゾリウムヨージド、1,3−ジアリルイミダゾリウムヨージド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨージド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨージド、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨージドなどのヨウ化物; 1,3−ジメチルイミダゾリウムヒドロキシド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヒドロキシド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヒドロキシド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヒドロキシド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヒドロキシド、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムヒドロキシド、1−アリル−3−ブチルイミダゾリウムヒドロキシド、1,3−ジアリルイミダゾリウムヒドロキシド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヒドロキシド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヒドロキシド、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヒドロキシド;などの水酸化物を挙げることができる。
【0042】
ピラゾリウム化合物の具体例としては、2−エチル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムクロリド、2−プロピル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムクロリド、2−ブチル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムクロリド、2−ヘキシル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムクロリドなどの塩化物;2−エチル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムブロミド、2−プロピル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムブロミド、2−ブチル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムブロミド、2−ヘキシル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムブロミドなどの臭化物;2−エチル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムヒドロキシド、2−プロピル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムヒドロキシド、2−ブチル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムヒドロキシド、2−ヘキシル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムヒドロキシド;などの水酸化物を挙げることができる。
【0043】
ピリジニウム化合物の具体例としては、1−アセトニルピリジニウムクロリド、1−アミノピリジニウムヨージド、2−ベンジルオキシ−1−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、1,1’−[ビフェニル−4,4’−ジイルビス(メチレン)]ビス(4,4’−ビピリジニウム)ビス(ヘキサフルオロホスファート)、1,1’−[ビフェニル−4,4’−ジイルビス(メチレン)]ビス(4,4’−ビピリジニウム)ジブロミド、1,1’−ビス(2,4−ジニトロフェニル)−4,4’−ビピリジニウムジクロリド、ビス(2,4,6−トリメチルピリジン)ブロモニウムヘキサフルオロホスファート、テトラフルオロほう酸2−ブロモ−1−エチルピリジニウム、臭化水素酸4−ブロモピリジン、4−ブロモピリジン塩酸塩、1−ブチル−4−メチルピリジニウムブロミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムブロミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムクロリド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムクロリド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファート、1−ブチルピリジニウムブロミド、1−ブチルピリジニウムクロリド、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスファート、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボラート、4−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウムクロリド、1−(カルバモイルメチル)ピリジニウムクロリド、3−カルバミル−1−メチルピリジニウムクロリド、4−ピコリルクロリド塩酸塩、2−(クロロメチル)ピリジン塩酸塩、3−(クロロメチル)ピリジン塩酸塩、
【0044】
2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨージド、2−クロロ−1−メチルピリジニウムp−トルエンスルホナート、4−クロロピリジン塩酸塩、セチルピリジニウムクロリド、1−シアノ−4−(ジメチルアミノ)ピリジニウムテトラフルオロボラート、1−(シアノメチル)ピリジニウムクロリド、シクロビス(パラクアット−1,4−フェニレン)テトラキス(ヘキサフルオロホスファート)、1,1’−ジベンジル−4,4’−ビピリジニウムジクロリド水和物、2,6−ジクロロ−1−フルオロピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、1,1’−ジフルオロ−2,2’−ビピリジニウムビス(テトラフルオロボラート)、1,1’−ジヘプチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド、2,6−ピリジンジオール塩酸塩、4−ジメチルアミノ−1−ネオペンチルピリジニウムクロリド、4−ジメチルアミノピリジニウムブロミドペルブロミド、4−(ジメチルアミノ)−1−(トリフェニルメチル)ピリジニウムクロリド、1,1’−ジメチル−4,4’−ビピリジニウムジクロリド水和物、1,1’−ジメチル−4,4’−ビピリジニウムジクロリド、1−(ジメチルカルバモイル)−4−(2−スルホエチル)ピリジニウムヒドロキシド分子内塩、2,6−ジメチルピリジニウムp−トルエンスルホナート、1,1’−ジ−n−オクチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド、1,1’−ジフェニル−4,4’−ビピリジニウムジクロリド、1−ドデシルピリジニウムクロリド、
【0045】
1−エチル−3−(ヒドロキシメチル)ピリジニウムエチルスルファート、1−エチル−4−(メトキシカルボニル)ピリジニウムヨージド、1−エチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルピリジニウムエチルスルファート、1−エチルピリジニウムブロミド、1−エチルピリジニウムクロリド、1−フルオロ−2,6−ジクロロピリジニウムテトラフルオロボラート、2−フルオロ−1−メチルピリジニウムp−トルエンスルホナート、1−フルオロピリジニウムピリジン ヘプタフルオロジボラート、1−フルオロピリジニウムテトラフルオロボラート、1−フルオロピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、1−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムテトラフルオロボラート、1−フルオロ−2,4,6−トリ
メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジラール試薬P、1−ヘキサデシル−4−メチルピリジニウムクロリド水和物、ヘキサデシルピリジニウムブロミド水和物、ヘキサデシルピリジニウムクロリド一水和物、イソニコチノイルクロリド塩酸塩、MDEPAP、1−メチルピリジニウム−2−アルドキシムクロリド、1−メチルピリジニウムクロリド、NDEPAP、1−オクタデシル−4−(4−フェニル−1,3−ブタジエニル)ピリジニウムブロミド、
【0046】
N−オクタデシル−4−スチルバゾールブロミド、1−(10,12−ペンタコサジイニル)ピリジニウムブロミド、1−フェナシルピリジニウムブロミド、1,1’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ビス(4,4’−ビピリジニウム)ビス(ヘキサフルオロホスファート)、1,1’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ビス(4,4’−ビピリジニウム)ジブロミド、N−フェニルニコチンアミド塩酸塩、1−プロピルピリジニウムクロリド、ピリジン−2−カルボニルクロリド塩酸塩、ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩、ピリジン臭化水素酸塩、ピリジン塩酸塩、ピリジニウムブロミドペルブロミド、クロロクロム酸ピリジニウム、重クロム酸ピリジニウム、フルオロクロム酸ピリジニウム、ピリジニウム3−ニトロベンゼンスルホナート、ピリジニウムポリ(ヒドロゲンフルオリド)、ピリジニウムp−トルエンスルホナート、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、ピリドスチグミンブロミド、ピリドキサミン二塩酸塩一水和物、ピリドキシン塩酸塩、3−ピリジル酢酸塩酸塩、2−ピリジル酢酸塩酸塩、1−(4−ピリジル)ピリジニウムクロリド塩酸塩水和物、1−(3−スルホプロピル)ピリジニウムヒドロキシド分子内塩、α,β,γ,δ−テトラキス(1−メチルピリジニウム−4−イル)ポルフィリンp−トルエンスルホナート、1−(トリフルオロアセチル)−4−(ジメチルアミノ)ピリジニウムトリフルオロアセタート、1−メチルピリジニウム−3−カルボン酸塩酸塩、2,4,6−トリメチルピリジニウムp−トルエンスルホナートなどを挙げることができる。
【0047】
ピロリジニウム化合物の具体例としては、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムブロミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムクロリド、1−ブチル−1−プロピルピロリジニウムブロミド、1−ブチル−1−プロピルピロリジニウムクロリドなどを挙げることができる。
ピペリジニウム化合物の具体例としては、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムブロミドなどを挙げることができる。
モルホリニウム化合物の具体例としては、4−プロピル−4−メチルモルホリニウムクロリド、4−(2−メトキシエチル)−4−メチルモルホリニウムクロリド、4−プロピル−4−メチルモルホリニウムブロミド、4−(2−メトキシエチル)−4−メチルモルホリニウムブロミド、4−プロピル−4−メチルモルホリニウムヒドロキシド、4−(2−メトキシエチル)−4−メチルモルホリニウムヒドロキシドなどを挙げることができる。
【0048】
4級アンモニウム化合物の具体例としては、プロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジエチル−2−メトキシエチルメチルアンモニウムフルオリド、メチルトリオクチルアンモニウムフルオリド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムフルオリド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムフルオリドなどのフッ化物; プロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジエチル−2−メトキシエチルメチルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドなどの塩化物; プロピルトリメチルアンモニウムブロミド、ジエチル−2−メトキシエチルメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムブロミド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムブロミドなどの臭化物; プロピルトリメチルアンモニウムヨージド、ジエチル−2−メトキシエチルメチルアンモニウムヨージド、メチルトリオクチルアンモニウムヨージド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムヨージド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヨージドなどのヨウ化物; プロピルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエチル−2−メトキシエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリオクチルアンモニウムヒドロキシド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの水酸化物; プロピルトリメチルアンモニウムアセテート、ジエチル−2−メトキシエチルメチルアンモニウムアセテート、メチルトリオクチルアンモニウムアセテート、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムアセテート、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムアセテートなどのアセテート; 硫酸水素プロピルトリメチルアンモニウム、硫酸水素ジエチル−2−メトキシエチルメチルアンモニウム、硫酸水素メチルトリオクチルアンモニウム、硫酸水素シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、硫酸水素2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムなどの硫酸水素塩を挙げることができる。
【0049】
ホスホニウム化合物の具体例としては、アセトニルトリフェニルホスホニウムクロリド、アリルトリフェニルホスホニウムブロミド、アリルトリフェニルホスホニウムクロリド、アミルトリフェニルホスホニウムブロミド、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、(ブロモメチル)トリフェニルホスホニウムブロミド、3−ブロモプロピルトリフェニルホスホニウムブロミド、trans−2−ブテン−1,4−ビス(トリフェニルホスホニウムクロリド)、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、(4−カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウムブロミド、(3−カルボキシプロピル)トリフェニルホスホニウムブロミド、(4−クロロベンジル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(2−クロロベンジル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(クロロメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、シンナミルトリフェニルホスホニウムブロミド、(シアノメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、シクロプロピルトリフェニルホスホニウムブロミド、ジ−tert−ブチルメチルホスホニウムテトラフェニルボラート、(2,4−ジクロロベンジル)トリフェニルホスホニウムクロリド、2−ジメチルアミノエチルトリフェニルホスホニウムブロミド、2−(1,3−ジオキサン−2−イル)エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、
【0050】
(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、4−エトキシベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、エトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド、(ホルミルメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、ヘプチルトリフェニルホスホニウムブロミド、ヘキシルトリフェニルホスホニウムブロミド、(2−ヒドロキシベンジル)トリフェニルホスホニウムブロミド、イソプロピルトリフェニルホスホニウムヨージド、メトキシカルボニルメチル(トリフェニル)ホスホニウムブロミド、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(N−メチル−N−フェニルアミノ)トリフェニルホスホニウムヨージド、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、メチルトリフェニルホスホニウム ヨージド、(1−ナフチルメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(4−ニトロベンジル)トリフェニルホスホニウムブロミド、ビス(テトラフルオロほう酸)μ−オキソビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム]、フェナシルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾラート、テトラブチルホスホニウムビス(1,3−ジチオール−2−チオン−4,5−ジチオラト)ニッケル(III) コンプレックス、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムヘキサフルオロホスファート、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボラート、テトラエチルホスホニウムブロミド、テトラエチルホスホニウムヘキサフルオロホスファート、テトラエチルホスホニウムテトラフルオロボラート、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムスルファート、テトラ−n−オクチルホスホニウムブロミド、
【0051】
テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムヨージド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボラート、トリブチル(シアノメチル)ホスホニウムクロリド、トリブチル(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)ホスホニウムブロミド、トリブチルドデシルホスホニウムブロミド、トリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミド、トリブチルメチルホスホニウムヨージド、トリブチル−n−オクチルホスホニウムブロミド、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフェニルボラート、トリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロリド、(2−トリメチルシリルエチル)トリフェニルホスホニウムヨージド、(3−トリメチルシリル−2−プロピニル)トリフェニルホスホニウムブロミド、トリフェニルプロパルギルホスホニウムブロミド、トリフェニルプロピルホスホニウムブロミド、トリフェニル(テトラデシル)ホスホニウムブロミド、トリフェニルビニルホスホニウムブロミドなどを挙げることができる。
また、ホスホニウムカチオンを誘導できる、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン化合物などを挙げることができる。
【0052】
スルホニウム化合物の具体例としては、ジメチルスルホニオプロピオナート、トリメチルスルホニルクロリド、トリメチルスルホニルブロミド、トリメチルスルホニルヨージドなどを挙げることができる。
【0053】
グアニジニウム化合物の具体例としては、グアニジニウムクロリド、2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジニウムクロリド、グアニジニウムブロミド、2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジニウムブロミド、グアニジニウムヒドロキシド、2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジニウムヒドロキシドなどを挙げることができる。
【0054】
イソウロニウム化合物の具体例としては、2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソウロニウムクロリド、2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソウロニウムブロミド、2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソウロニウムヒドロキシドなどを挙げることができる。
【0055】
イソチオウロニウム化合物の具体例としては、2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソチオウロニウムクロリド、2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソチオウロニウムブロミド、2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソチオウロニウムヒドロキシドなどを挙げることができる。
【0056】
これらのうち、水酸化オニウム化合物が好ましい。水酸化オニウム化合物を用いるとカチオン交換反応ではアンモニアが副生するので、このアンモニアを減圧除去することによって平衡をカチオン交換反応が促進させる状態にすることができる。オニウム化合物を用いると副生する無機塩を濾過や水洗で除去できるので容易に精製することができる。
【0057】
オニウム化合物の使用量は、化合物〔II〕1モルに対して、好ましくは0.3モル〜10モル、より好ましくは0.3モル〜5モルである。
【0058】
カチオン交換反応に用いられる有機アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの三級アミンや、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどの環状アミンや、トリメチルアミン塩酸塩、トリエチルアミン塩酸塩、トリブチルアミン塩酸塩、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン塩酸塩や、トリメチルアミン臭化水素酸塩、トリエチルアミン臭化水素酸塩、トリブチルアミン臭化水素酸塩などの三級アミン塩や、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン臭化水素酸塩などの環状アミン塩を挙げることができる。
これらのうち、三級アミン、環状アミンが好ましい。三級アミン、環状アミンを用いると、カチオン交換反応ではアンモニアが副生するので、このアンモニアを減圧除去することによって平衡を反応が促進させる状態にすることができる。三級アミン塩、環状アミン塩を用いると副生する無機塩を濾過や水洗で除去できるので容易に精製することができる。
【0059】
有機アミン化合物の使用量は、化合物〔II〕1モルに対して、好ましくは0.3モル〜10モル、より好ましくは0.3モル〜5モルである。
【0060】
カチオン交換反応に用いられる有機溶媒は、特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、メチルホルメート、メチルアセテート、メチルプロピオネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、3−メチルスルホラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルオキサゾリジノン、アセトニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどの非プロトン性溶媒を好適なものとして挙げることができる。これらの中で、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸イソプロピルまたは酢酸ブチルは、化合物〔I〕とフッ化水素との反応および化合物〔II〕のカチオン交換反応のいずれにも用いることができるので、溶媒の入れ替えを要せず、同一の溶媒で上記反応を続けて行うことができるので、好ましい。
【0061】
カチオン交換反応時の温度は、特に限定されないが、好ましくは0℃〜200℃、より好ましくは10℃〜100℃である。反応に要する時間は、反応規模によって異なるが、好ましくは0.1時間〜48時間、より好ましくは0.5時間〜24時間である。
反応は、常圧下でも実施可能であるが、カチオン交換時に水酸化物イオンを有する化合物を使用する場合、減圧下で実施すると副生するアンモニアが除去され、平衡が偏り、目的物が合成しやすい。減圧する場合、反応圧力は特に限定されないが、大気圧〜0.01torr、が好ましく、0℃〜100℃で溶媒が還流する程度の減圧度がより好ましい。
反応容器はガラスでもフッ素樹脂やポリエチレン製等の樹脂製でも問題ないが、式〔III〕で表されるフッ素化剤のpが1以上の場合、ガラス製であると収率低下するため、樹脂製が好ましく、フッ素樹脂製がより好ましい。
【0062】
上記のカチオン交換反応によって化合物〔IV〕を得ることができる。化合物〔IV〕は、式〔IV〕で表されるフルオロスルホニルイミド塩である。
【0063】
【化8】
【0064】
式〔IV〕中、Mn+は金属カチオン、オニウムカチオン(NH4+を除く。)を示し、nは金属カチオンまたはオニウムカチオン(NH4+を除く。)の価数に相当し且つ1〜4のいずれかの整数(好ましくは1〜3のいずれかの整数)を示し、R2は式〔II〕におけるものと同じものを示す。
【0065】
金属カチオンとしては、特に制限されないが、アルカリ金属カチオンであるのが好ましい。アルカリ金属カチオンとしては、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、ルビジウムカチオン、セシウムカチオンを挙げることができる。これらのうちリチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンが好ましい。
【0066】
オニウムカチオン(NH4+カチオンを除く。)としては、ホスホニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、フルオロニウムカチオン、クロロニウムカチオン、ブロモニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、セレノニウムカチオン、テルロニウムカチオン、アルソニウムカチオン、スチボニウムカチオン、ビスムトニウムカチオン; イミニウムカチオン、ジアゼニウムカチオン、ニトロニウムカチオン、ジアゾニウムカチオン、ニトロソニウムカチオン、ヒドラゾニウムジカチオン、ジアゼニウムジカチオン、ジアゾニウムジカチオン; イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、4級アンモニウムカチオン、3級アンモニウムカチオン、2級アンモニウムカチオン、1級アンモニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、グアニジニウムカチオン、イソウロニウムカチオン、イソチオウロニウムカチオンなどを挙げることができる。
【0067】
オニウムカチオンは、有機基を有するオニウムカチオン、すなわち有機オニウムカチオンが好ましい。有機基としては、飽和または不飽和炭化水素基などを挙げることができる。飽和または不飽和炭化水素基は、直鎖、分岐鎖または環状のものであってもよい。飽和または不飽和炭化水素基は、それを構成する炭素原子の数が、好ましくは1〜18個、より好ましくは1〜8個である。有機基は、それを構成する原子または原子団として、好ましくは、水素原子、フッ素原子、アミノ基、イミノ基、アミド基、エーテル基、水酸基、エステル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、スルホン基、スルフィド基、 窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を; より好ましくは、水素原子、フッ素原子、エーテル基、水酸基、シアノ基またはスルホン基を有するものである。これら原子若しくは原子団は1個だけ有してもよいし、2個以上有してもよい。なお、2個以上の有機基が結合している場合は、当該結合は、有機基の主骨格間に形成されたものでも、また、有機基の主骨格と上述の原子団との間、あるいは、上記原子団間に形成されたものであっても良い。
【0068】
有機基を有するオニウムカチオンとしては、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ペンチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクタデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−ブチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジアリルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−2,3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキサデシル−2,3−メチルイミダゾリウムカチオンなどのイミダゾリウムカチオン;
【0069】
1−エチルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシルピリジニウムカチオン、1−オクチルピリジニウムカチオン、1−エチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−エチル−3−ヒドロキシメチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−オクチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,5−ジメチルピリジニウムカチオンなどのピリジニウムカチオン;
【0070】
テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラプロピルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラヘプチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、テトラオクチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、プロピルトリメチルアンモニウムカチオン、ジエチル−2−メトキシエチルメチルアンモニウムカチオン、メチルトリオクチルアンモニウムカチオン、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムカチオン、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムカチオン、トリメチルフェニルアンモニウムカチオン、ベンジルトリメチルアンモニウムカチオン、ベンジルトリブチルアンモニウムカチオン、ベンジルトリエチルアンモニウムカチオン、ジメチルジステアリルアンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、2−メトキシエトキシメチルトリメチルアンモニウムカチオン、テトラキス(ペンタフルオロエチル)アンモニウムカチオンなどの4級アンモニウムカチオン;
【0071】
トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、ジエチルメチルアンモニウムカチオン、ジメチルエチルアンモニウムカチオン、ジブチルメチルアンモニウムカチオン、4−アザ−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンカチオンなどの3級アンモニウムカチオン;
ジメチルアンモニウムカチオン、ジエチルアンモニウムカチオン、ジブチルアンモニウムカチオンなどの2級アンモニウムカチオン;
メチルアンモニウムカチオン、エチルアンモニウムカチオン、ブチルアンモニウムカチオン、ヘキシルアンモニウムカチオン、オクチルアンモニウムカチオンなどの1級アンモニウムカチオン;
【0072】
N−メトキシトリメチルアンモニウムカチオン、N−エトキシトリメチルアンモニウムカチオン、N−プロポキシトリメチルアンモニウムなどの有機アンモニウムカチオン;
1−プロピル−1−メチルピペリジニウムカチオン、1−(2−メトキシエチル)−1−メチルピペリジニウムカチオンなどのピペリジニウムカチオン;
1−プロピル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−オクチル−1−メチルピロリジニウムカチオンなどのピロリジニウムカチオン;
4−プロピル−4−メチルモルホリニウムカチオン、4−(2−メトキシエチル)−4−メチルモルホリニウムカチオンなどのモルホリニウムカチオン;
2−エチル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムカチオン、2−プロピル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムカチオン、2−ブチル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムカチオン、2−ヘキシル−1,3,5−トリメチルピラゾリウムカチオンなどのピラゾリウムカチオン;
【0073】
グアニジニウム、2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジニウムカチオンなどのグアニジウムカチオン;
トリメチルスルホニウムカチオンなどのスルホニウムカチオン;
トリヘキシルテトラデシルホスホニウムカチオンなどのホスホニウムカチオン;
2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソウロニウムカチオンなどのイソウロニウムカチオン;および
2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソチオウロニウムカチオンなどのイソチオウロニウムカチオン;を挙げることができる。
【0074】
これらのうち、オニウムカチオンは、電解質特性などを低下させる金属元素を含まないものであることが好ましい。具体的には、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−ブチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジアリルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオンなどのイミダゾリウムカチオン; プロピルトリメチルアンモニウムカチオン、ジエチル−2−メトキシエチルメチルアンモニウムカチオン、メチルトリオクチルアンモニウムカチオン、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムカチオン、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムカチオン、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、4−アザ−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンカチオンなどの有機アンモニウムカチオンが好ましい。
【0075】
化合物〔IV〕の具体例としては、ジ(フルオロスルホニル)イミドリチウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミドリチウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドリチウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドリチウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミドカリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミドカリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドカリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドカリウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミドナトリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミドナトリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドナトリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドナトリウム塩;
【0076】
ジ(フルオロスルホニル)イミド1,3−ジメチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1,3−ジメチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1,3−ジメチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1,3−ジメチルイミダゾリウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミド1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミド1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミド1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム塩;
【0077】
ジ(フルオロスルホニル)イミド1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミド1−アリル−3−エチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−アリル−3−エチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−アリル−3−エチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−アリル−3−エチルイミダゾリウム塩;
【0078】
ジ(フルオロスルホニル)イミド1−アリル−3−ブチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−アリル−3−ブチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−アリル−3−ブチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−アリル−3−ブチルイミダゾリウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミド1,3−ジアリルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1,3−ジアリルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1,3−ジアリルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1,3−ジアリルイミダゾリウム塩;
ジ(フルオロスルホニル)イミド1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩;
【0079】
ジ(フルオロスルホニル)イミド1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミド1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩;
【0080】
ジ(フルオロスルホニル)イミド1−ブチルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−ブチルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−ブチルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−ブチルピリジニウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミド1−ヘキシルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−ヘキシルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−ヘキシルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−ヘキシルピリジニウム塩;
ジ(フルオロスルホニル)イミド1−オクチルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−オクチルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−オクチルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−オクチルピリジニウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミド1−エチル−3−メチルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−エチル−3−メチルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−エチル−3−メチルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−エチル−3−メチルピリジニウム塩;
【0081】
ジ(フルオロスルホニル)イミド1−ブチル−3−メチルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−ブチル−3−メチルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−ブチル−3−メチルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−ブチル−3−メチルピリジニウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミド1−ブチル−4−メチルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−ブチル−4−メチルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−ブチル−4−メチルピリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−ブチル−4−メチルピリジニウム塩;
【0082】
ジ(フルオロスルホニル)イミドジエチル−2−メトキシエチルメチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミドジエチル−2−メトキシエチルメチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドジエチル−2−メトキシエチルメチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドジエチル−2−メトキシエチルメチルアンモニウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミドメチルトリオクチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミドメチルトリオクチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドメチルトリオクチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドメチルトリオクチルアンモニウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミドシクロヘキシルトリメチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミドシクロヘキシルトリメチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドシクロヘキシルトリメチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドシクロヘキシルトリメチルアンモニウム塩;
【0083】
ジ(フルオロスルホニル)イミドトリメチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミドトリメチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドトリメチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドトリメチルアンモニウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミドトリエチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミドトリエチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドトリエチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドトリエチルアンモニウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミドトリブチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミドトリブチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドトリブチルアンモニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドトリブチルアンモニウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミド4−アザ−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド4−アザ−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド4−アザ−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド4−アザ−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン塩;
【0084】
ジ(フルオロスルホニル)イミド1−プロピル−1−メチルピペリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−プロピル−1−メチルピペリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−プロピル−1−メチルピペリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−プロピル−1−メチルピペリジニウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミド1−プロピル−1−メチルピロリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−プロピル−1−メチルピロリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド1−プロピル−1−メチルピロリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−プロピル−1−メチルピロリジニウム塩や、ジ(フルオロスルホニル)イミド1−ブチル−1−メチルピロリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−ブチル−1−メチルピロリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド 1−ブチル−1−メチルピロリジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド1−ブチル−1−メチルピロリジニウム塩;
【0085】
ジ(フルオロスルホニル)イミド4−プロピル−4−メチルモルホリニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド4−プロピル−4−メチルモルホリニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド4−プロピル−4−メチルモルホリニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド4−プロピル−4−メチルモルホリニウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミド2−ブチル−1,3,5−トリメチルピラゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド2−ブチル−1,3,5−トリメチルピラゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド2−ブチル−1,3,5−トリメチルピラゾリウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド2−ブチル−1,3,5−トリメチルピラゾリウム塩;
【0086】
ジ(フルオロスルホニル)イミド2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド 2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジニウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミドトリメチルスルホニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミドトリメチルスルホニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドトリメチルスルホニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドトリメチルスルホニウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミドトリヘキシルテトラデシルホスホニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミドトリヘキシルテトラデシルホスホニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドトリヘキシルテトラデシルホスホニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドトリヘキシルテトラデシルホスホニウム塩;
【0087】
ジ(フルオロスルホニル)イミド2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソウロニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソウロニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソウロニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソウロニウム塩; ジ(フルオロスルホニル)イミド2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソチオウロニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(トリフルオロメチルスルホニル)イミド2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソチオウロニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソチオウロニウム塩、N−(フルオロスルホニル)−N−(ペルフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミド2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルイソチオウロニウム塩を挙げることができる。
【0088】
本発明の製造方法に従って得られる化合物〔IV〕は、電解質特性などを低下させる金属不純物の混入量が従来法で得られるものに比べて少ないので、一次電池、リチウムイオン二次電池などの二次電池、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、燃料電池、太陽電池、エレクトロクロミック素子などの電気化学デバイスを構成するイオン伝導体の材料として好適に用いることができる。
【実施例】
【0089】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜に変更を加えて実施することが勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0090】
合成例1
(ジ(クロロスルホニル)イミドの合成)
攪拌器、温度計および還流管を取り付けた500mlの反応容器に、クロロスルホン酸(ClSO3H)123.9g(1.10mol)、クロロスルホニルイソシアネート98.1g(0.70mol)を仕込んだ。この混合液を撹拌下で2.5時間かけて130℃まで昇温し、同温度で9時間反応させた。反応終了後、減圧蒸留を行って98.5℃〜101℃/4.2torrの留分を分取した。ジ(クロロスルホニル)イミドが無色透明な液状物として77.9g(0.36mol)得られた。
【0091】
実施例1
(ジ(フルオロスルホニル)イミドアンモニウム塩の合成)
フッ素樹脂製反応容器に、合成例1で得られたジ(クロロスルホニル)イミド1.07g(5.0mmol)を仕込んだ。これにアセトニトリル10mlおよびNH4F0.89g(24.0mmol)を添加し、80〜84℃で4時間還流して反応させた。反応終了後、室温に冷却し、不溶物を濾過し、アセトニトリル10mlで洗浄した。次いで、溶媒を減圧下で留去した。得られた物質を19F−NMRで定量分析したところ、ジ(フルオロスルホニル)イミドアンモニウム塩0.95g(4.8mmol)を含有していることを確認した。
【0092】
実施例2
(ジ(フルオロスルホニル)イミドアンモニウム塩の合成)
フッ素樹脂製反応容器に、合成例1で得られたジ(クロロスルホニル)イミド1.07g(5.0mmol)を仕込んだ。これにアセトニトリル10mlおよびNH4F HF1.37g(24.0mmol)を添加し、80〜84℃で4時間還流して反応させた。反応終了後、室温に冷却し、不溶物を濾過し、アセトニトリル10mlで洗浄した。次いで、溶媒を減圧下で留去した。得られた物質を19F−NMRで定量分析したところ、ジ(フルオロスルホニル)イミドアンモニウム塩0.94g(4.8mmol)を含有していることを確認した。
【0093】
実施例3
(ジ(フルオロスルホニル)イミドカリウム塩の合成)
反応容器に、ジ(フルオロスルホニル)イミドアンモニウム塩1.98g(10.0mmol)、酢酸ブチル10ml、および水酸化カリウム1.40g(25.0mmol)の20%水溶液を仕込み、65torr、37℃で1時間還流した。反応液を25℃に冷却した。その後、分液し、水相を酢酸ブチル10mlで3回抽出した。各抽出操作において得られた有機相を混ぜ合わせ、減圧下で溶媒を留去した。ジ(フルオロスルホニル)イミドカリウム塩1.93gが得られた。陽イオンクロマトで定量分析した結果、生成物のすべては、カリウム塩であり、アンモニウムイオンを含まないものであった。
【0094】
実施例4
(ジ(フルオロスルホニル)イミドリチウム塩の合成)
ジ(フルオロスルホニル)イミドアンモニウム塩3.8g(18.9mmol)に、酢酸ブチル38ml、水酸化リチウム・1水和物2.4g(56.7mmol)および水14.3mlを添加し、75torr、40℃で1時間加熱還流した。反応液を25℃に冷却した。その後、分液し、水相を酢酸ブチル19mlで3回抽出した。各抽出操作において得られた有機相を混ぜ合わせ、水1.5mlで洗浄した。その後、減圧下で溶媒を留去した。ジ(フルオロスルホニル)イミドリチウム塩3.4gが得られた。陽イオンクロマトで定量分析した結果、生成物のすべてがリチウム塩であり、アンモニウムイオンを含まないものであった。
【0095】
実施例5
(ジ(フルオロスルホニル)イミドナトリウム塩の合成)
ジ(フルオロスルホニル)イミドアンモニウム塩15.8g(79.8mmol)に、酢酸ブチル160ml、および水酸化ナトリウム40.0g(200.0mmol)の20%水溶液を添加し、65torr、37℃で1時間加熱還流した。反応液を25℃に冷却した。その後、分液し、水相を酢酸ブチル80mlで3回抽出した。各抽出操作において得られた有機相を混ぜ合わせ、減圧下で溶媒を留去した。これに塩化メチレン80mlを添加し、室温で15分間撹拌した。その後、結晶を濾別した。得られた結晶を塩化メチレン80mlで洗浄し、室温で減圧乾燥させた。ジ(フルオロスルホニル)イミドナトリウム塩13.4gが得られた。陽イオンクロマトで定量分析した結果、生成物のすべてがナトリウム塩であり、アンモニウムイオンを含まないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば、フルオロスルホニルイミドアンモニウム塩を工業的に効率よく製造することができる。また、このようにして得られたフルオロスルホニルイミドアンモニウム塩をカチオン交換反応させることによって電解質特性などを低下させる金属不純物を含まない他のフルオロスルホニルイミド塩を製造することができる。