特許第5740478号(P5740478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5740478ポリイソシアネート官能性接着剤の接着性を改善するために修飾された1種以上の表面を有するポリオレフィン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740478
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】ポリイソシアネート官能性接着剤の接着性を改善するために修飾された1種以上の表面を有するポリオレフィン
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20150604BHJP
   B32B 27/38 20060101ALI20150604BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20150604BHJP
   B32B 5/28 20060101ALI20150604BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20150604BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   B32B27/32 C
   B32B27/38
   C09J201/00
   B32B5/28 Z
   B05D7/24 302U
   C09D201/00
【請求項の数】12
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2013-535210(P2013-535210)
(86)(22)【出願日】2011年10月7日
(65)【公表番号】特表2014-501635(P2014-501635A)
(43)【公表日】2014年1月23日
(86)【国際出願番号】BR2011000365
(87)【国際公開番号】WO2012058735
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2013年7月2日
(31)【優先権主張番号】61/408,681
(32)【優先日】2010年11月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512171629
【氏名又は名称】ダウ ブラジル インダストリア エ コメルシオ デ プロダトス クイミコス エルティーディーエイ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ボルバ,エディバルド ビビアーノ デ
【審査官】 横島 隆裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−063768(JP,A)
【文献】 特開平04−258643(JP,A)
【文献】 特開平07−304913(JP,A)
【文献】 特表2003−525958(JP,A)
【文献】 特開2000−287860(JP,A)
【文献】 特開平05−320536(JP,A)
【文献】 特開平06−172565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B05D 1/00−7/26
C09D 201/00
C09J 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン基材を含む物品であって、
前記ポリオレフィン基材の1つ以上の表面上に配置されているのは、約1μm〜約20μmの乾燥厚さを有し、1より大きな平均官能価を有する1種以上のエポキシ樹脂から形成される別個の層であり;前記エポキシ樹脂の層上に配置されているのは、約10μm〜約25μmの乾燥厚さを有し、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーおよび1種以上の充填剤から形成される別個の層である
物品。
【請求項2】
前記ポリオレフィン基材は、1種以上の強化用繊維、1種以上の充填剤、1種以上のエラストマーまたはそれらの混合物をさらに含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層上に配置された、極性官能基を有する接着剤を有する、請求項1または2に記載の物品。
【請求項4】
第2の基材が、極性官能基を有する接着剤と接触している請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記1種以上のエポキシ樹脂は、1分子当り1.5個より多いエポキシ基を含有し、150〜10,000の数平均分子量を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーは、各々平均して2個以上のイソシアネート基を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
その上に前記1種以上のエポキシ樹脂から形成される別個の層および前記反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーから形成される別個の層が被着された前記ポリオレフィン基材の1つ以上の表面上に、SAE J1529に基づいて試験し、23℃で168時間硬化させた後の重ね剪断強度が2.0MPa以上である極性官能基を有する接着剤との間の結合を形成する、請求項3または4に記載の物品。
【請求項8】
ポリオレフィン基材の表面を修飾する方法であって、
ポリオレフィン基材を準備することと、
前記ポリオレフィン基材の1つ以上の表面を、1より大きな平均官能価を有する1種以上のエポキシ樹脂および1種以上の揮発性溶媒または分散剤を含む組成物と接触させ、前記エポキシ樹脂を被着させたポリオレフィン基材の表面から揮発性溶媒または分散剤を揮発させ、それによって、約1μm〜約20μmの乾燥厚さを有する、1種以上のエポキシ樹脂から形成される別個の層を前記ポリオレフィン基材の表面上に被着させることと、
前記エポキシ樹脂から形成される層に、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマー、1種以上のフィルム形成樹脂および1種以上の揮発性溶媒または分散剤を含む組成物を塗布し、前記揮発性溶媒または分散剤を揮発させ、それによって、約10μm〜約25μmの乾燥厚さを有する、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーから形成される別個の層を前記エポキシ樹脂の層上に被着させることと
を含む、方法。
【請求項9】
極性官能基を有する接着剤を、前記ポリオレフィン基材または第2の基材の一方または両方の表面に塗布することと、前記接着剤を硬化させることとをさらに含む請求項に記載の方法であって、
記接着剤は、その上に前記エポキシ樹脂の別個の層および前記反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの別個の層を被着させた前記ポリオレフィン基材の表面と接触している方法。
【請求項10】
前記エポキシ樹脂を含有する組成物は、約10μm〜約90μmの湿潤厚さで塗布される、請求項またはに記載の方法。
【請求項11】
前記反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーおよび1種以上の揮発性溶媒を含む組成物は、約20μm〜約150μmの湿潤厚さで塗布される、請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記接着剤を、その上に前記エポキシ樹脂の別個の層および前記反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの別個の層を被着させた前記ポリオレフィン基材の表面または第2の基材と接触させ、前記2つの基材を、前記接着剤を硬化させる前に、前記接着剤が前記2つの表面の間に配置されるように接触させる、請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、ポリイソシアネート官能性接着剤への表面の接着性を改善するために修飾された1つ以上の表面を有するポリオレフィン基材、かかる修飾ポリオレフィン基材を作製する方法およびイソシアネート官能性接着剤を利用してポリオレフィン基材を他の基材と結合させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンは、その特性のバランス、それらの熱可塑性による組み立ての容易さ、比較的低価格であることおよび所定の用途のためにそれらの特性の調整を可能にするポリオレフィン配合技術のために、種々の組立製品に使用する成形部品に好ましい材料になっている。ポリオレフィンは、自動車、家具、電子機器、玩具、器具などの多種多様な産業で使用されている。異なる材料の組立てにポリオレフィンを使用した場合の欠点は、ポリオレフィンはそれらの表面上の極性が低いことであり、それはポリイソシアネート官能性樹脂(ポリウレタン)に基づく産業で使用するのに好ましい塗料および接着剤がポリオレフィンに容易に結合しないことを意味する。かかる材料をポリオレフィンと結合させるためには、結合を促進するためにポリオレフィン表面を修飾する必要がある。極性基を有する接着剤への接着性を向上させるためにポリオレフィン部品の表面を修飾することがよく知られている。これは、火炎処理、コロナ放電処理、物理的なまたは薬品を用いたまたはプライマーの使用によるエッチングによって達成される。ポリオレフィンに使用する一般的なプライマーは、塩素化したポリマーまたは化合物、例えば非極性溶媒中に溶解させた塩素化ポリオレフィンなどを利用する(Ryntz "Coating Adhesion to Low Surface Energy Substrates" Progress in Organic Coatings 25(1994)pp73-83)。これらの方法は、高い設備投資、かなり大きい生産床面積または現在の環境への関心を必要とする。
【0003】
最近、ポリオレフィンなどの低表面エネルギーポリマーと十分に結合するアクリル系接着剤系が開発されており、例えばSkoultchi、US 5,106,928;US 5,143,884;US 5,286,821;US 5,310,835およびUS 5,376,746;Zharovら、US 5,539,070;US 5,690,780およびUS 5,691,065;Pocius US 5,616,796;US 5,621,143;USP 5,681,910;US 5,686,544;US 5,718,977およびUS 5,795,657;およびSonnenscheinら US 6,806,330;US 6,730,759;USP 6,706,831;USP 6,713,578;USP 6,713,579およびUSP 6,710,145(全て参照により本明細書に組み込む)を参照されたい。これらの系は、ポリオレフィンと十分に結合し、商業的に利用されている。商用環境では、紫外光源を使用してこれらの系を硬化させるのが最も効率的である。これらの系の使用は、商用のエポキシ樹脂およびポリイソシアネート官能基含有(ポリウレタン)系ほど安価ではない。したがって、ポリオレフィン系部品の多くの使用者は、商用のポリイソシアネート官能性接着剤系を使用することを好むだろう。
【0004】
ポリオレフィン基材に関して他のプライマー系を開発する試みがなされており、Nakataら USP 6,348,123およびIida JP,2003213055Aを参照のこと。これらの系が商業的成功を達成したようではない。
【0005】
ポリオレフィンから製造された構成要素または部品は、構成要素を部分組立品および最終組立品に組立てる相手先商標製品製造業者に構成要素および部品を販売および輸送する構成要素供給業者によってしばしば製造される。しばしば相手先商標製品製造業者は、受け取ったときに部品が組立準備完了であることを求める。これは、ポリオレフィン部品の表面が、構成要素製造業者によってその工場内で修飾され、その後相手先商標製品製造業者に輸送される必要があることを意味する。したがって、表面修飾プロセスは、最終組立工場から時間および場所が遠い工場内での修飾が可能であることが重要である。これは、部品が組立てのために異なる場所に輸送された場合に、一度修飾した表面が、極性官能基を有する一般的な塗料または接着剤に結合するその能力を保持することが必要である。
【発明の概要】
【0006】
必要なのは、ポリオレフィン基材表面への極性接着剤系の結合を促進する系である。さらに必要なのは、ある場所で表面の修飾を促進し、その表面が、塗布した時間から離れた時間に別の場所で極性基を含有する接着剤に接着するその能力を保持する系である。
【0007】
本発明は、ポリオレフィン基材を含む物品であって;ポリオレフィン基材の1つ以上の表面上に配置されているのは、反応性エポキシ基を含有する樹脂を含む層であり;エポキシ樹脂層上に配置されているのは、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含有する組成物の層である物品である。好ましくは、ポリオレフィン基材は、1種以上の強化用繊維、1種以上の充填剤、1種以上のエラストマーまたはその混合物をさらに含む。好ましくは、ポリオレフィンは、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはその混合物であり、ポリプロピレンがより好ましい。
【0008】
別の実施形態では、本発明は:ポリオレフィン基材を準備することと;ポリオレフィン基材の1つ以上の表面を、1種以上のエポキシ樹脂および1種以上の揮発性溶媒または分散剤を含む組成物と接触させ、エポキシ樹脂組成物を被着させたポリオレフィン基材の表面から揮発性溶媒または分散剤を揮発させ、それによって1種以上のエポキシ樹脂を含む層をポリオレフィン基材の表面上に被着することと;1種以上のエポキシ樹脂の層に、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーおよび1種以上の揮発性溶媒または分散剤を含む組成物を塗布し、揮発性溶媒または分散剤を揮発させ、それによって反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含む層をエポキシ樹脂層上に被着させることとを含む、ポリオレフィン基材の表面を修飾する方法である。
【0009】
別の実施形態では、本発明は:極性官能基を有する塗料または接着剤を、エポキシ樹脂層上に被着させた反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含む層を有するポリオレフィン基材または第2の基材の一方または両方の表面に塗布することと;塗料または接着剤を硬化させることとをさらに含み;塗料または接着剤を、その上にエポキシ樹脂の層および反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層を被着させたポリオレフィン基材の表面と接触させる方法である。
【0010】
さらに別の実施形態では、本発明は:エポキシ樹脂層上に被着させた反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含む層を有するポリオレフィン基材を作製することと;極性官能基を有する接着剤を、ポリオレフィン基材または第2の基材の一方または両方の表面に塗布することと;ポリオレフィン基材および第2の基材を、基材の間に配置した接着剤と接触させることと;接着剤を硬化させることとを含み;接着剤を、エポキシ樹脂の層および反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層を被着させたポリオレフィン基材の表面と接触させる、ポリオレフィン基材を第2の基材に結合させる方法である。
【0011】
本発明の基材ならびにそれらを作製および使用する方法は、イソシアネートなどの極性基をもつ反応性部分および活性水素含有基を含有する一般に使用される組成物の利用を可能にする。基材および方法は、1つの場所で定着剤を塗布することならびに別の場所で接着剤および塗料と接触させることを可能にする。処理されたポリオレフィン表面と極性反応性部分を有する塗料または接着剤との間の結合は、試験手順SAE J1529に基づいて、かつ23℃および相対湿度50%で168時間硬化させた後の重ね剪断試験で優れた強度、好ましくは約2.0MPa以上、より好ましくは約3.0MPa以上および最も好ましくは約4.0MPaを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、極性接着剤の、ポリオレフィン構造物の1つ以上の表面への結合を向上させるための、組立品で使用するポリオレフィン構造物、部品または構成要素の修飾に関する。本明細書に開示しているのは、本発明に基づいて修飾された1つ以上の表面を有するポリオレフィン構造物を含む新規な物品である。ポリオレフィン構造物は、1つ以上の表面を有しており、表面上に直接配置された1種以上のエポキシ樹脂を含む層を含み、次いでエポキシ樹脂層上に配置したのが、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層である。本発明はまた、表面に1種以上のエポキシ樹脂を含む層および反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層を連続して被着させることによって、ポリオレフィン構造物の1つ以上の表面を修飾するための方法である。また開示しているのは、修飾されたポリオレフィン構造物と、1種以上の極性反応性基を有する接着剤または塗料とのキットである。さらに開示しているのは、極性反応性基を有する接着剤をその間に配置して、接着剤を1つ以上の修飾された表面および/または他の基材と接触させることによって、修飾されたポリオレフィン構造物を互いにおよび/または他の基材に結合する方法である。また開示しているのは、極性反応性基を含む1種以上の塗料をポリオレフィン構造物の修飾表面に接触させることを含む塗装法である。
【0013】
上に記載されている本発明の物品は、任意の組合せで1つ以上の以下の特徴をさらに含んでいてもよい:ポリオレフィン基材は、1種以上の強化用繊維、1種以上の充填剤または1種以上のエラストマーまたはその混合物をさらに含み;エポキシ樹脂層は、乾燥厚さが約1μm〜約20μmであり;反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層は、乾燥厚さが約10μm〜約25μmであり;反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層は、フィルム形成樹脂をさらに含み;エポキシ樹脂は、ビスフェノール系エポキシ樹脂を含み;エポキシ樹脂は、ビスフェノールA系エポキシ樹脂を含み;反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーは、ジイソシアネートジフェニルメタンを含む。上に記載されている本発明のキットは、イソシアネート官能性接着剤のためのプライマーをさらに含んでいてもよい。本発明の方法は、任意の組合せで多くの以下の特徴の1つをさらに含んでいてもよい:その上にエポキシ樹脂の層および反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層を被着させたポリオレフィン基材の表面を、接着剤と接触させ;接着剤を、その上にエポキシ樹脂の層および反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーもしくはプレポリマーの層を被着させたポリオレフィン基材の表面または第2の基材と接触させ;2つの基材を、接着剤を硬化させる前に、接着剤が2つの表面の間に配置されるように接触させ;エポキシ樹脂含有組成物の塗布と、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーおよび1種以上の揮発性溶媒を含む組成物の塗布との間の時間は、約15分および820分であり;反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーおよび1種以上の揮発性溶媒を含む組成物を塗布することと、塗料または接着剤をポリオレフィン基材の表面と接触させることとの間の時間は、約30分〜約110時間であり;エポキシ樹脂組成物は、約10μm〜約90μmの湿潤厚さで塗布され;反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーおよび1種以上の揮発性溶媒を含む組成物は、約20μm〜約150μmの湿潤厚さで塗布され;ポリオレフィン基材は、1種以上の強化用繊維、1種以上の充填剤または1種以上のエラストマーまたはその混合物をさらに含み;反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層は、フィルム形成樹脂をさらに含み;エポキシ樹脂は、ビスフェノール系エポキシ樹脂を含み;エポキシ樹脂は、ビスフェノールA系エポキシ樹脂を含み;反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーは、ジイソシアネートジフェニルメタンを含み;基材は、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーおよび1種以上の揮発性溶媒または分散剤を含む組成物の塗布と、ポリオレフィン基材と接着剤の接触との間に、1つの場所から別の場所へ輸送され;接着剤は、イソシアネート基、エポキシ基またはその組合せを含む極性基を含有し;ここで接着剤は、イソシアネート基を含む極性基を含有する。
【0014】
本明細書では「1種(1つ)以上」は、列挙した構成要素のうちの少なくとも1種(1つ)、または2種(2つ)以上を開示したように使用できることを表す。官能価に関して使用した「名目上(nominal)」は、理論的な官能価を表し、一般にこれは、使用した成分の化学量論から計算することができる。一般に、実際の官能価は、原料の不備、反応体の不完全な転化、および副生成物の形成によって異なる。「連結(link up)」は、特定の材料に隣接する表面に結合することを表す。本明細書では「オープンタイム」は、イソシアネート官能性接着剤と連結できるプライマー系の塗布からの時間を意味する。好ましい実施形態では、オープンタイムは、プライマー系の溶媒が基材に塗布した後に揮発して消えていく時に始まり、基材の表面に残っている組成物の一部が接着剤系にもはや連結できない時に終わる。接着剤とプライマー系の連結の失敗の証明は、以下に記載した性能試験における下塗りした表面の接着破壊である。本明細書では、連結は、接着剤または塗料系と化学的に反応して化学結合を形成するプライマー系の能力を意味する。連結の証明は、以下に記載した性能試験における凝集破壊によって実証される。低表面エネルギープラスチックに対して使用した表面処理は、プラスチックの表面に追加の極性基を作るために表面を酸化するための表面の処理を表す。これは、化学エッチング、火炎処理、コロナ放電などによる表面の処理によって達成することができる。低表面エネルギー基材(プラスチック)とは、表面エネルギーが約45mJ/m以下、より好ましくは約40mJ/m以下および最も好ましくは約35mJ/m以下の材料を表す。かかる材料の中に含まれるのは、表面エネルギーが約20mJ/m未満のブロックコポリマーを含有するポリエチレン、ポリプロピレン、およびオレフィンである。(「表面エネルギー」という表現は、しばしば他の人によって「臨界湿潤張力」と同義的に使用される。)高いまたはより高いエネルギー表面は、その表面が、接着剤系を表面に結合(表面に連結)させるために、表面に相当数の極性基を有することを表す。
【0015】
ポリオレフィンは、α−オレフィンのホモポリマーまたはα−オレフィンと1種以上の不飽和基を含有する別の化合物とのコポリマー(例えば2つのα−オレフィンのコポリマー)である。α−オレフィンは、鎖の一端に不飽和基を有する直鎖または分枝鎖化合物である。好ましいα−オレフィンの中には、C1〜12アルキレンがあり、より好ましいα−オレフィンには、エチレン、プロピレンおよびブチレンが含まれ、エチレンおよびプロピレンが最も好ましい。例えばポリオレフィンは、ポリマーまたはコポリマーを含有するエチレンまたはプロピレンであってよい。コポリマーは、どんなタイプのコポリマーであってよく、例えばそれだけには限らないが、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、または代わりのコポリマーであってもよい。有用なポリオレフィンの中には、1種以上のポリオレフィン、例えばポリプロピレンとポリエチレンのブレンド、1種以上のポリオレフィンと1種以上の他の既知の熱可塑性ポリマー、例えばポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、スチレンブロックコポリマー、スチレンとアクリルニトリルのコポリマー、スチレン、アクリルニトリルおよびブタジエンのターポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリアセタール、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、またはその混合物などのブレンドがある。1種以上のポリオレフィンと他の既知の熱可塑性ポリマーとのブレンドは、好ましくは約50重量パーセント以上、より好ましくは75重量パーセント以上および最も好ましくは約90重量パーセント以上のポリオレフィンを含有する。好ましいエチレンコポリマーの例には、エチレンモノマーおよび約3〜約12個の炭素原子を有する第2のα−オレフィンを含有するコポリマーが含まれる。好ましいプロピレンコポリマーの例には、プロピレンモノマーおよび約2〜約12個の炭素原子を有する第2の異なるα−オレフィンを含有するコポリマーが含まれる。本発明の一態様では、ポリオレフィンは、ポリオレフィンの全重量に対して、約2〜約30重量パーセントのエチレン、より好ましくは約10〜25重量パーセントのエチレンを含有するプロピレンコポリマー(例えばランダムコポリマー)で占められる、または本質的に構成される。ポリオレフィンは、重量平均分子量によって特徴づけることができる。ポリオレフィンの重量平均分子量は、約5,000超、好ましくは約20,000超およびより好ましくは約100,000超であってよい。ポリオレフィンの重量平均分子量は、約5,000,000未満、好ましくは約1,000,000未満およびより好ましくは約500,000未満であってよい。最も好ましいポリオレフィンは、ポリプロピレンである。
【0016】
本発明の構造に有用なポリオレフィンは、多くの強化材、例えば強化用繊維、充填剤または耐衝撃性改良剤の1つをさらに含んでいてもよい。これらの材料は、ポリオレフィンの基本特性が特定の顧客の特性要求または構造の使用を満たすように調整するために通常利用する。構造の所望の特性をもたらすために、選択した特定の材料およびかかる材料の量を選択する。強化材は、ポリオレフィン構造物の強度を改善するために通常利用する。ポリオレフィン構造物の強度を改善する任意の強化材および強化材の任意の量は、本発明のポリオレフィン構造物に利用してもよい。強化材料には、粒子、細断された材料、ストランド、その組合せなどが含まれていてよい。好ましくは、強化材料には、繊維が含まれ、より好ましくはガラス、炭素、ナイロン、グラファイト、ポリエステル、ポリアミド(例えばアラミド)およびその混合物の繊維が含まれる。ポリオレフィン構造物の所望の特性を与えるために繊維の量を選択する。繊維の量は、一般にポリオレフィンの構造の100重量部毎に約50重量部以下、望ましくは約10〜約30重量部である。
【0017】
ポリオレフィン構造物は、充填剤をさらに含有してもよい。充填剤は、特性を調整するため、および/またはポリオレフィン構造物のコストを下げるために利用する。所望の特性およびコストをもたらし、ポリオレフィン基材中に分散可能な当技術分野で既知の任意の充填剤を使用することができる。充填剤は、ポリオレフィン基材の全体にわたって均一に分散していることが好ましい。充填剤材料は、複数の異なる充填剤または1つだけの充填剤材料を含むことができる。好ましい充填剤には、粉体、板状体の形態または他の形態を取ることができる1種以上の粘土、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、雲母、珪灰石、中空ガラスビーズ、酸化チタン、シリカ、カーボンブラック、チタン酸カリウム、ケイ酸塩材料、ナノコンポジット、その組合せなどが含まれる。好ましい一実施形態では、充填剤が実質的に完全にミネラル充填剤、特にタルクからなることが企図される。1つの好ましいタルクは、Mistron(登録商標)の商標で販売されている粉末状タルクであり、Luzenacから市販されている。1つの好ましいクラスのタルク充填ポリプロピレン化合物は、INSPIRE(DTF3800、TF1500SC、DTF1600S、またはDTF2502.02ESU)の商標で販売されており、Dow Chemical Company、ミシガン州Midlandから市販されている。耐着火性充填剤を使用してもよく、酸化アンチモン、デカブロモビフェニルオキシド、酸化アルミニウム三水和物、水酸化マグネシウム、ホウ酸塩、およびハロゲン化化合物が含まれる。これらの耐着火性充填剤のうち、酸化アルミニウム三水和物および水酸化マグネシウムが好ましい。ポリオレフィン構造物は、約0.10重量パーセント以上、より好ましくは約0.50重量パーセント以上および約1.0重量パーセント以上の量の充填剤を充填することが好ましい。ポリオレフィン構造物は、約35.0重量パーセント以下;より好ましくは約30.0重量パーセント以下まで;最も好ましくは約25.0重量パーセント以下までの量のタルクを充填することが好ましい。
【0018】
ポリオレフィン構造物は、耐衝撃性改良剤をさらに含んでいてもよい。所望の特性をもたらし、ポリオレフィン構造物中に分散可能な任意の耐衝撃性改良剤を、本明細書で利用することができる。耐衝撃性改良剤は、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、亜硝酸塩ゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレン、エチレン−ヘキセン、およびエチレン−オクテンコポリマー、および当技術分野で既知の他のエラストマーなどの通常エラストマーである。少量の耐衝撃性改良剤は、ポリオレフィン構造物の衝撃強度を変化させることができる。かかるエラストマーの非限定的な例は、Bayer、Dow Chemical、Uniroyal Chemical、ExxonMobilなどの多国籍企業から市販されているものである。ENGAGE(商標)8180、ENGAGE(商標)8842、および他のENGAGE(商標)ポリオレフィンエラストマーは、ミシガン州MidlandのDow Chemical Companyから入手可能な特に好ましいエチレン−オクテンコポリマーである。耐衝撃性改良剤は、所望の特性をもたらすための量で利用することができる。耐衝撃性改良剤は、ポリオレフィン構造物の重量に対して約60重量パーセント以下、より詳細には約50重量パーセント以下、より具体的には約25重量パーセント以下の量で存在することが好ましい。耐衝撃性改良剤は、ポリオレフィン構造物の重量に対してポリマー材料の約1重量パーセント以上、より一般的には約7重量パーセント以上、さらにより一般的には約10重量パーセント以上で存在することが好ましい。
【0019】
ポリオレフィン構造物は、界面活性剤、柔軟剤、耐着火性添加剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ助剤(すなわち、耐スリップ助剤)、流動促進剤、清澄剤を含めた核剤など種々の他の添加剤を含んでいてもよい。利用することもあるかかる添加剤の量は、当業者によく知られている。例えば、部品または構成要素は「材料着色(molded-in-color)」なので、1種以上の顔料または着色剤をポリマー組成物に加えてもよいことを理解されよう。添加剤の好ましい例は、それだけには限らないが、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化炭酸塩オリゴマー、ハロゲン化ジグリシジルエーテル、有機リン化合物、フッ素化オレフィン、酸化アンチモン、および芳香族硫黄の金属塩などの耐着火性添加剤であり、またはその混合物を使用してもよい。さらに、それだけには限らないが、熱、光、および酸素が原因の劣化に対して熱可塑性組成物を安定化する化合物、またはその混合物を用いてもよい。1つのクラスの添加剤は、酸化防止剤であり、これはポリマー組成物の比較的少ない重量パーセントで含められる(例えば、約1または2重量パーセント未満)。好ましい1つの酸化防止剤は、1部のIrganox 1010酸化防止剤(テトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート))メタン)と1部のIrgafos 168 トリス(2,4−t−ブチルフェニル)ホスフィットのブレンドである、Ciba Specialy Chemicals Corporationから市販されているIRGANOX B225酸化防止剤である。別の添加剤は、脱型剤(例えば、蝋、離型剤またはスリップ助剤)である。例示的な脱型剤は、Chemtura Corporation、コネチカット州Middleburyから市販されている、KENAMIDE ULTRA Eの商標名で販売されているエチレンビス−ステアラミド(EBS)およびエルカミド(蝋)など、アミンまたはアミドなどの窒素またはアンモニア基含有化合物である。例示的な離型剤には、Atmerという商標名でDaniscoまたはCiba Specialy Chemicalsから市販されている、グリセロールモノステアレートなどの「ステアレート」が含まれる。
【0020】
ポリオレフィンは、熱可塑性材料から構造を形成するための任意の既知の手段によって所望の構造に形成することができる。本発明のポリオレフィン構造物を形成する好ましい方法の中で、射出成型、シート成形、押出成型、真空成型、異形成型、発泡成型、射出加圧成形、ブロー成型、熱成形、圧縮成型、回転成型、押出成形などとして含まれる。本発明のポリオレフィン構造物は、ポリオレフィン構造物が組立品の構成要素である用途を含めた、ポリオレフィン構成要素が使用されている任意の用途に使用することができる。それらは、他のポリオレフィン部品または異なる材料の部品と一緒に使用することができる。ポリオレフィン構造物は、特に反応性極性基材を有する塗料と一緒にそれらを塗装する用途に使用することができる。ポリオレフィン構造物は、玩具、器具、家具、電子機器、運搬用車両などに使用することができる。好ましい用途は、陸上車、船または航空機などの輸送分野にあり、自動車両(例えば車、トラック、バスなど)が最も好ましい適用分野である。自動車両の範囲内では、本発明の材料は、車両トリム構成要素、バンパーフェイシア、車体パネル、脚室、車両床下パネル、インテリアトリム構成要素、デッキリッド、シート構成要素、ハンドル、カーゴライナー、計器パネル、エンジン室構成要素などとして使用することが可能である。本発明の材料を異なる材料と層状に組み合わせることよって、可能なハイブリッド物品を作ることができる可能性もある。他の材料には、金属、プラスチック、セラミックス、ガラス、木材、その組合せなどが含まれていてもよい。かかる他の材料は、塗装してもよく、または塗装しなくてもよい。
【0021】
ポリオレフィン構造物の1つ以上の表面に被着しているのは、2つの層である。ポリオレフィン構造物の1つ以上の表面に直接被着しているのは、1種以上のエポキシ樹脂を含む層である。エポキシ樹脂層に被着しているのは、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層である。2つの層は、極性反応性基を含有する多くの組成物の1つが接着していてもよいポリオレフィン構造物の任意の表面に被着している。
【0022】
エポキシ樹脂層は、以下に記載されている1種以上のエポキシ樹脂を含んでいてもよい。エポキシ樹脂は、定着剤または改質剤、フィルム形成樹脂、充填剤、安定剤、酸化防止剤および触媒など当業者に既知の1種以上の成分をエポキシ組成物中にさらに含有していてもよい。
【0023】
反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層は、膜を形成でき、極性反応性基と反応できる1種以上の化合物、オリゴマー、プレポリマーまたはその混合物を含む。かかる化合物、オリゴマー、プレポリマーまたはその混合物は、以下に記載されたポリイソシアネート、それから調製されたオリゴマーまたはそれから調製されたプレポリマーを一般に含む。反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層は、1種以上のフィルム形成樹脂、1種以上の充填剤、安定剤、酸化防止剤、安定剤、触媒などをさらに含んでいてもよい。反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層は、エポキシ樹脂層に被着している。層は、エポキシ樹脂層および反応性極性基を含有する材料と結合するのに十分な厚さを有している。反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層はまた、反応性極性基を有する材料に所望の強度のポリオレフィン基材表面の接着性をもたらすのに十分な厚さを有している。
【0024】
本明細書で開示されているのは、ポリオレフィン構造物の表面の反応性極性基を有する材料に結合する能力を向上させるために、ポリオレフィン構造物の1つ以上の表面を修飾する方法である。一般にこの方法は、1種以上のエポキシ樹脂を含む層をポリオレフィン構造物の表面上に被着させ、その後反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含む層を、ポリオレフィン構造物の表面上に被着させた1種以上のエポキシ樹脂を含む組成物の層上に被着させることを含む。好ましくは、このプロセスは、1種以上の揮発性溶媒中に1種以上のエポキシ樹脂を含む組成物をポリオレフィン構造物の表面上に塗布すること;1種以上のエポキシ樹脂を含む層を形成するために、揮発性溶媒をポリオレフィン基材の表面から揮発させること;ポリオレフィン基材に被着させた1種以上のエポキシ樹脂を含む層に、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーおよび1種以上の揮発性溶媒または分散剤を含む組成物を塗布すること;反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含む層を形成するために、1種以上の揮発性溶媒をポリオレフィン構造物の表面から揮発させることを含む。1種以上の溶媒または分散剤の除去は、ポリオレフィン構造物の周辺からの溶媒または分散剤の揮発および/または溶媒または分散剤の除去を向上させる任意の既知の操作または条件によって向上させることができる。かかる操作は、1つ以上の以下の操作:真空を適用すること;ポリオレフィン基材の上またはそばに流体(好ましくは気体)を流すこと;ポリオレフィン基材を加熱すること;換気した場所で操作を行なうこと;などを含んでいてもよい。層は、噴霧、ブラッシング、塗装、流し込みなどを含む所望の厚さの層をポリオレフィン構造物の表面に被着させることが可能な任意の手段によって塗布することができる。表面に被着させた後、所望の厚さの層を形成するために任意の過剰な被着組成物を除去してもよい。過剰塗料を除去する方法は、当技術分野でよく知られている。エポキシ樹脂層は、ポリオレフィン基材および反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層への接着性を向上させるのに十分な厚さを有している。エポキシ樹脂層はまた、反応性極性基を有する材料に所望の強度のポリオレフィン基材表面の接着性をもたらすのに十分な厚さを有している。好ましくはエポキシ樹脂層の湿潤厚さは、約10μm以上であり、より好ましくは約40μm以上であり、最も好ましくは約60μm以上である。好ましくはエポキシ樹脂層の湿潤厚さが約150μm以下であり、より好ましくは約90μm以下であり、最も好ましくは約70μm以下である。好ましくは塗布された1種以上のエポキシ樹脂および1種以上の溶媒および分散剤を含む組成物の乾燥厚さは、約1μm以上であり、より好ましくは約4μm以上であり、最も好ましくは約8μm以上である。好ましくは塗布された1種以上のエポキシ樹脂および1種以上の溶媒および分散剤を含む組成物の乾燥厚さは、約20μm以下であり、より好ましくは約15μm以下であり、最も好ましくは約10μm以下である。ポリオレフィン構造物の表面に塗布したエポキシ樹脂組成物は、1種以上のエポキシ樹脂および1種以上の揮発性溶媒または分散剤を含む。組成物に有用なエポキシ樹脂には、ポリオレフィン基材の表面に別々の層を形成でき、かつポリオレフィン構造物表面に接着でき、イソシアネート基を含有する層に結合できる任意のエポキシ樹脂が含まれる。本発明の接着剤組成物に有用なエポキシ樹脂は、開環によって重合可能なエポキシ環を少なくとも1個有する任意の有機化合物であってよい。好ましいエポキシ樹脂は、平均エポキシ官能価が1より大きく、好ましくは少なくとも2である有機化合物である。エポキシ樹脂は、低分子量または高分子量、および脂肪族、脂環式、複素環、芳香族、またはその混合物であってよい。より好ましいエポキシ樹脂は、芳香族であり、1分子当り1.5個より多いエポキシ基を含有し、最も好ましくは1分子当り2個より多いエポキシ基を含有する。好ましいエポキシ樹脂は、分子量が約150〜10,000、好ましくは約300〜1,000である。好ましいエポキシ樹脂には、末端エポキシ基を有する直鎖状高分子量エポキシ樹脂(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格エポキシ基を有する高分子量エポキシ樹脂(例えば、ポリブタジエンポリエポキシ)、ペンダントエポキシ基を有する高分子量エポキシ樹脂(例えば、グリシジルメタクリレートポリマーまたはコポリマー)、およびその混合物が含まれる。多価フェノールと過剰なエピクロロヒドリンを反応させることによって調製したものなどの芳香族グリシジルエーテルが好ましい。有用なフェノールの例には、レソルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ならびにp,p’−ジヒドロキシジベンジル、p,p’−ジヒドロキシジフェニル、p,p’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、p,p’−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−1,1−ジナフチルメタンとジヒドロキシジフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン、ジヒドロキシジフェニル−エチルメチルメタン、ジヒドロキシジフェニルメチルプロピルメタン、ジヒドロキシジフェニル−エチルフェニル−メタン、ジヒドロキシジフェニルプロピルフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルブチル−フェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルトリルメタン、ジヒドロキシジフェニルトリルメチルメタン、ジヒドロキシジフェニル−ジシクロヘキシルメタン、およびジヒドロキシジフェニルシクロヘキサンの2,2’、2,3’、2,4’、3,3’、3,4’および4,4’異性体を含む多環フェノールが含まれる。多価フェノールホルムアルデヒド縮合生成物ならびに反応性基としてエポキシ基またはヒドロキシ基だけを含有するポリグリシジルエーテルも好ましい。有用な材料には、参照により本明細書に組み込む"Handbook of Epoxy Resins" by Lee and Neville, McGraw-Hill Book Co., New York(1967)に記載されているようにビスフェノールAおよびノボラック樹脂のジグリシジルエーテルが含まれる。柔軟化した主鎖をもつエポキシ樹脂も有用である。好ましいエポキシ樹脂は、ビスフェノール系エポキシ樹脂である。好ましい材料には、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびビスフェノールFのジグリシジルエーテルなどのビスフェノールのジグリシジルエーテルが含まれ、これらの材料が硬化後に得る望ましい特性のために、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルが最も好ましい。本発明に有用な市販されているエポキシ樹脂の例には、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(例えば、Shell Chemical CompanyからEPON 828、EPON 1001、およびEPONEX 1510の商標に基づいて入手可能なもの、ならびにDow Chemical Companyから入手可能なDER−331、DER−332、およびDER−334);ビスフェノールFのジグリシジルエーテル(例えば、Dai Nippon Ink and Chemicals Inc.から入手可能なEPICLON(商標)830);ジグリシジルエポキシ官能価を含有するシリコーン樹脂;難燃性エポキシ樹脂(例えば、DER(商標)580、Dow Chemical Companyから入手可能な臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂;および1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルが含まれる。塗布した組成物中のエポキシ樹脂の量は、エポキシ樹脂の層がポリオレフィン構造物の表面に適度に効果的に被着させることができるように選択される。好ましくはポリオレフィン構造物の表面に塗布した組成物中のエポキシ樹脂の量は、約1重量パーセント以上であり、より好ましくは約2重量パーセント以上、最も好ましくは約2.5重量パーセント以上である。好ましくはポリオレフィン構造物の表面に塗布した組成物中のエポキシ樹脂の量は、約10重量パーセント以下であり、最も好ましくは約4.5重量パーセント以下である。
【0025】
1種以上のエポキシ樹脂は、1種以上の揮発性溶媒または分散剤に溶解または分散させる。本明細書では、揮発は、エポキシ樹脂を含有する組成物をポリオレフィン構造物の表面に塗布した後に溶媒または分散剤が適度に速い態様で揮発することを表す。溶媒または分散剤は、1種以上のエポキシ樹脂を溶解させ、または1種以上のエポキシ樹脂の安定な分散液を形成し、塗布条件下で適度に速い態様で揮発し、かつポリオレフィン基材の表面および反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含む層への1種以上のエポキシ樹脂の接着性を妨げない任意の液体であってよい。1種以上の溶媒または分散剤は、有機物であることが好ましい。好ましい有機溶媒または分散剤には、芳香族化合物、アルキル置換芳香族化合物、(例えばトルエン、キシレン)、ケトン、酢酸エステルなどが含まれる。より好ましい有機溶媒には、ベンゼン、トルエンおよびエチルベンゼンが含まれる。溶媒または分散剤は、1種以上のエポキシ樹脂を溶解または分散させるのに十分な量で存在する。溶媒または分散剤は、塗布後に適度に速い態様で揮発し、ポリオレフィン構造物の表面に1種以上のエポキシ樹脂の別々の層を残すことが可能な量で存在する。溶液または分散液中に存在する溶媒または分散剤の量は、約90重量パーセント以上、最も好ましくは約95重量パーセント以上である。溶液または分散液中に存在する溶媒または分散剤の量は、約99重量パーセント以下、より好ましくは約98重量パーセント以下、最も好ましくは約96重量パーセント以下である。
【0026】
1種以上のエポキシ樹脂の層上に被着させた反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含有する組成物は、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーおよび1種以上の揮発性溶媒または分散剤を含む。この組成物に有用な反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーは、1種以上のエポキシ樹脂の層のエポキシ基および極性反応性基とよく反応する反応性イソシアネート基を有する化合物、オリゴマー、またはプレポリマーである。単独でまたは1種以上のフィルム形成樹脂と併せてこの組成物に有用な反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーは、別々の層を形成する能力がある。反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーは、イソシアネー官能性プレポリマーの形または平均して1個より多いイソシアネート基、好ましくは2個以上のイソシアネート基を有するモノマーまたはオリゴマーの形であってよい。イソシアネート官能性プレポリマーは、調製したプレポリマーが1分子当り平均して1個より多いイソシアネート部分(基)を有するような条件下で、イソシアネート官能性化合物と、平均して1個より多いイソシアネート反応性官能基(活性水素含有基)、例えばヒドロキシル、アミン、チオール、カルボキシルなどを有する1種以上の化合物との反応によって調製した任意のプレポリマーを含む。本発明で使用するのにより好ましいポリイソシアネートには、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、複素環または芳香族ポリイソシアネート、またはその混合物が含まれる。使用したポリイソシアネートは、平均イソシアネート官能価が少なくとも約2.0であり、かつ等量少なくとも約80であることが好ましい。好ましくは、ポリイソシアネートのイソシアネート官能価は、少なくとも約2.0、より好ましくは少なくとも約2.2であり、最も好ましくは少なくとも約2.4であり;かつ好ましくは約4.0以下、より好ましくは約3.5以下であり、最も好ましくは約3.0以下である。より高い官能価を使用してもよいが、それは過剰な架橋を引き起こし、容易な取扱いおよび塗布には粘性が高すぎる組成物をもたらすこともあり、被着層を脆くしてしまう可能性がある。好ましくは、ポリイソシアネートの等量は、少なくとも約100、より好ましくは少なくとも約110であり、最も好ましくは少なくとも約120であり;かつ好ましくは約300以下、より好ましくは約250以下であり、最も好ましくは約200以下である。より好ましいポリイソシアネートの例には、参照により本明細書に組み込む、WuによるU.S.P.6,512,033の3段目、3行目〜49行目に開示されているものが含まれる。より好ましいイソシアネートは、芳香族イソシアネート、脂環式イソシアネートおよびその誘導体である。さらにより好ましいポリイソシアネートには、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびそのポリマー誘導体、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよびそのポリマー誘導体、ビス(4−イソシアナト−シクロヘキシル)メタン、およびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートが含まれる。最も好ましいイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネートである。塗布した組成物中の反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの量は、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層を1種以上のエポキシ樹脂の層に適度に効果的に被着させることができるように選択される。好ましくは、1種以上のエポキシ樹脂の層に塗布した組成物中の反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの量は、約10重量パーセント以上、最も好ましくは約15重量パーセント以上である。好ましくは、1種以上のエポキシ樹脂の表面に塗布した組成物中の反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの量は、約30重量パーセント以下、最も好ましくは約25重量パーセント以下である。
【0027】
反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含有する組成物は、1種以上の揮発性溶媒または分散剤をさらに含む。溶媒または分散剤は、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを溶解させ、またはその安定な分散液を形成し、塗布条件下で適度に速い態様で揮発し、かつ1種以上のエポキシ樹脂を含む層および極性反応性基を含有する材料への1種以上の反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの接着性を妨げない任意の液体であってよい。1種以上の溶媒または分散剤は、有機物であることが好ましい。好ましい有機溶媒または分散剤には、ケトン、好ましくはメチルエチルケトンが含まれる。溶媒または分散剤は、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを溶解または分散させるのに十分な量で存在する。溶媒または分散剤は、塗布後に適度に速い態様で揮発し、1種以上のエポキシ樹脂の層の上に、1種以上の反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの別々の層、および任意にフィルム形成樹脂を残すことが可能な量で存在する。分散液または溶液中に存在する溶媒または分散剤の量は、約50重量パーセント以上、より好ましくは約60重量パーセント以上、最も好ましくは約65重量パーセント以上である。溶液または分散液中に存在する溶媒または分散剤の量は、約75重量パーセント以下、最も好ましくは約70重量パーセント以下である。
【0028】
反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含有する組成物は、1種以上のフィルム形成樹脂をさらに含んでいてもよい。フィルム形成樹脂は、高分子量樹脂であることが好ましい。フィルム形成樹脂は、基材の表面に被着させた場合に本発明の組成物に強度をもたらす膜を形成するために存在する。溶媒の蒸発後に膜を形成する任意の高分子量樹脂を使用することができる。高分子量樹脂は、接着剤系または塗料系と反応する、あるいは基材の表面と反応する官能基を持っていてよい。あるいは、反応性官能基は、高分子量樹脂が本発明の組成物で機能するのに必要ではない。好ましいフィルム形成樹脂の例は、ビニル、アクリレート、スチレン、ジエン、メタクリレート、アリル、チオレン、ビニルエーテル、不飽和エステル、イミド、N−ビニル、アクリルアミド含有基、その混合物などを含む1種以上の官能基を含有する樹脂である。好ましい官能基は、アクリレート官能基である。樹脂は、溶媒の蒸発後に強い膜の形成を促進する分子量を有していることが好ましい。好ましくは、フィルム形成樹脂は、重量平均分子量が約5,000以上、より好ましくは約10,000以上、最も好ましくは約15,000以上である。好ましくは、フィルム形成樹脂は、重量平均分子量が約200,000以下、より好ましくは約150,000以下、最も好ましくは約100,000以下である。フィルム形成樹脂は、基材の上に膜を形成するのに十分な量で存在する。好ましくは、フィルム形成樹脂は、約0重量パーセント以上、最も好ましくは約1重量パーセント以上の量で存在する。好ましくは、フィルム形成樹脂は、約8重量パーセント以下、最も好ましくは約3重量パーセント以下の量で存在する。
【0029】
反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含有する組成物は、被着層の強度を向上させるために1種以上の補強充填剤をさらに含んでいてもよい。層の強度を向上させる任意の補強充填剤を利用してもよい。例示的な補強充填剤には、1種以上のカーボンブラックが含まれる。カーボンブラックは、特別に処理して非導電性にされていない、すなわち特に表面処理または酸化されていない標準的なカーボンブラックであってよい。1種以上の非導電性カーボンブラックは、標準的なカーボンブラックと併用してもよいが、このような包含は、不必要なコストを追加し得る。組成物中の補強充填剤の量は、所望の強度をもたらす量である。補強充填剤は、好ましくは組成物の重量に対して約0重量パーセント以上、より好ましくは約2重量パーセント以上、最も好ましくは約4重量パーセント以上の量で使用する。カーボンブラックは、好ましくは組成物の重量に対して約20重量パーセント以下、より好ましくは約15重量パーセント以下、最も好ましくは約12重量パーセント以下である。標準的なカーボンブラックは、当技術分野でよく知られており、Colombianから入手可能なRAVEN(商標)790、450、500、430、420および410カーボンブラック、およびCabotから入手可能なCSX(商標)カーボンブラック、およびDegussaから入手可能なPrintex(商標)30カーボンブラックが含まれる。非導電性カーボンブラックは、当技術分野でよく知られており、Colombianから入手可能なRaven(商標)1040および1060 カーボンブラックが含まれる。
【0030】
反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含有する組成物は、1種以上の充填剤をさらに含んでいてもよい。本発明に有用な充填剤の1つの好ましいグループは、コストと粘性のバランスを組成物に付与する充填剤である。充填剤の中でこの目的に有用なものは、タルク、炭酸カルシウム、およびカオリンである。かかる充填剤は、好ましくは非着色充填剤であり、粘性とコストの許容できるバランスを調合物に付与し、かつ組成物の所望の特性を獲得するのに十分な量で使用する。好ましい充填剤には、タルクが含まれる。好ましくは、充填剤は、組成物のレオロジーを塗布に適したものにするのに十分な量で存在する。好ましくは、充填剤は、組成物の重量に対して約1重量部以上、最も好ましくは約5重量部以上の量で存在する。好ましくは、非着色充填剤は、組成物の重量に対して約20重量部以下、最も好ましくは約15重量部以下の量で存在する。
【0031】
被着させた組成物のいずれかは、紫外線光に照らされたときに蛍光を発する構成要素をさらに含有していてもよい。蛍光を発する構成要素は、多くの供給源、例えばAldrich Chemical Co.、ウィスコンシン州Milwaukeeから容易に入手可能である。具体例として、蛍光を発する構成要素は、Ciba Specialy Chemicals、米国ニューヨーク州Tarrytownから入手可能なUvitex OBブランドの蛍光剤であってよい。組成物に加える蛍光剤の量は、組成物で処理したプラスチック基材の部位が紫外線光で照らされたときに明らかになるように十分でなければならない。
【0032】
ポリオレフィン基材の表面上に層を被着させるための組成物は、成分を接触させ、ブレンドすることによって調製することができる。これを達成するためのプロセスおよび機器は、当業者によく知られている。材料は、安定な溶液または分散液が調製されるような条件下で接触させる。この結果をもたらす任意の機器およびプロセスを使用することができる。材料は、およそ周囲温度(約20〜25℃)〜約60℃、好ましくは周囲温度で接触させてもよい。構成要素は、空気中でブレンドしてもよく、好ましくは組成物の加水分解安定度を改善するために乾燥環境でブレンドする。材料は、安定な溶液または分散液を調製するのに十分な時間ブレンドする。ポリオレフィン基材の表面上に層を被着させるための組成物は、当業者に既知の任意の手段によってポリオレフィン基材に塗布することができる。それは、従来の手段で、例えばブラシ、ローラー、表面への噴霧、インクジェット印刷、スクリーン印刷などを用いて塗布してもよい。好ましくは、組成物は、当業者によく知られているロボット塗布装置を用いて塗布することができる。
【0033】
1種以上のエポキシ樹脂を含有する組成物をポリオレフィン構造物に塗布した後、溶媒または分散剤を、ポリオレフィン基材の表面上に被着させた1種以上のエポキシ樹脂の層から揮発させる。ポリオレフィン構造物への1種以上のエポキシ樹脂を含有する組成物の塗布と、1種以上のエポキシ樹脂の層への反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含有する組成物の塗布との間の時間であるフラッシュオフタイムは、溶媒または分散剤を揮発させるのに十分である。好ましくは、フラッシュオフタイムは、約15分以上、より好ましくは60分以上、最も好ましくは約90分以上である。好ましくは、フラッシュオフタイムは、約820分以下、より好ましくは360分以下、最も好ましくは約120分以下である。
【0034】
反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含有する組成物を1種以上のエポキシ樹脂を含む層に塗布した後、溶媒または分散剤を、1種以上のエポキシ樹脂の層上に被着させた反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含む層から揮発させる。層への反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含有する組成物の塗布と、極性反応性基を含有する材料との接触など任意の他の操作との間の時間、すなわちオープンタイムは、溶媒または分散剤を揮発させるのに十分である。好ましくは、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーおよび1種以上の揮発性溶媒を含む溶媒または分散剤組成物は、エポキシ樹脂含有層への塗布後約30〜約90分フラッシュオフさせる。好ましくは、オープンタイムは約30分以上、より好ましくは48時間以上、最も好ましくは約72時間以上である。好ましくは、オープンタイムは、約110時間以下、より好ましくは90時間以下、最も好ましくは約48時間以下である。
【0035】
別の実施形態では、本発明は、1つ以上の表面上に1種以上のエポキシ樹脂を含む層を被着させており、かつ1種以上のエポキシ樹脂を含む層上に、1種以上の反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーおよび極性反応性基を含有する1種以上の材料を含む層を被着させた、1種以上のポリオレフィン構造物を含む系またはキットである。極性反応性基を含有する材料は、接着剤または塗料であることが好ましい。本明細書では、極性反応性基は、イソシアネート基と反応する任意の基を表す。極性反応性基に含まれているのは、イソシアネート基、および活性水素含有基である。本発明において、活性水素含有部分は、分子中のその位置のために、WohlerによってJournal of the American Chemical Society, Vol. 49, p. 3181(1927)に記載されているツェレビチノフ試験に基づいて著しい活性を示す水素原子を含有する部分を意味する。かかる活性水素部分の例示には、カルボン酸(−COOH)、ヒドロキシル(−OH)、第一級アミノ(−NH)、第二級アミン(−NH−)、第一級アミド(−CONH)、チオール(−SH)、および第二級アミド(−CONH−)基がある。より好ましい活性水素含有基には、ヒドロキシル、第一級アミノ、第二級アミノおよびチオール基が含まれる。好ましい極性反応性基は、イソシアネートおよび活性水素含有基であり、イソシアネート基が最も好ましい。
【0036】
一実施形態では、極性反応性基を含有する材料は、塗料である。極性反応性基を含有し、所望の特性をポリオレフィン基材にもたらす任意の塗料は、本発明の系、またはキットで使用することができる。かかる塗料は、顔料または染料を含有していてもよい。かかる塗料は、透明または不透明であってもよい。塗料は、当技術分野でよく知られている成分を含んでいてもよい。
【0037】
別の実施形態では、極性反応性基をもつ材料は、接着剤であってもよい。イソシアネート基と反応する極性反応性基を含有する任意の接着剤は、本発明の系またはキットで使用することができる。より好ましい接着剤は、イソシアネートまたは活性水素含有基を含有する。キットは、かかる接着剤に有用なプライマーをさらに含んでいてもよい。一般に、かかるプライマーは、ポリプロピレン基材が結合している他の基材の表面を下塗りするようになされている。
【0038】
イソシアネート系(ポリウレタンまたはポリ尿素形成)接着剤系は、イソシアネート官能性構成要素を含む。イソシアネート官能性構成要素は、1分子当り平均して2個以上のイソシアネート官能基を有する1種以上の化合物を含有する。イソシアネート官能性化合物は、平均して2個以上のイソシアネート部分を含有する任意の化合物であってよい。イソシアネート官能性化合物は、イソシアネート官能性プレポリマーの形または平均して1個より多いイソシアネート基、好ましくは2個以上のイソシアネート基を有するモノマーまたはオリゴマーの形であってよい。イソシアネートプレポリマーは、調製したプレポリマーが1分子当り平均して1個より多いイソシアネート部分(基)を有するような条件下で、イソシアネート官能性化合物と、平均して1個より多いイソシアネート反応性官能基、例えばヒドロキシル、アミン、チオール、カルボキシルなどを有する1種以上の化合物との反応によって調製した任意のプレポリマーであってよい。ポリイソシアネート系は、1パート(one part)または2パート(two-part)系であってよい。1パート系では、イソシアネート官能性構成要素は、以下に記載したように触媒および他の構成要素をさらに含む。1つの構成要素系は、通常湿分硬化によって硬化する。配合した後、1パート接着剤は、適用前の硬化を防ぐために気密防湿容器中で包装する。別の実施形態では、本発明で使用する接着剤系は、2パートポリイソシアネート含有接着剤系である。2つのパートは、お互い反応性であり、接触したとき接着剤特性を有しており、硬化反応を起こし、その組成物は、基材を一緒に結合することができる。組成物の1つのパートは、イソシアネート官能性構成要素を含む、または含有する。これは、通常樹脂サイドまたはAサイドと呼ばれる。組成物の他の構成要素は、本明細書に記載のようにイソシアネート部分と反応する基を平均して2個以上有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含有するイソシアネート反応性構成要素である。第2のパートは、一般に硬化剤またはBサイドとして知られている。平均して1個以上のイソシアネート反応性基を有する化合物は、当技術分野で既知の二官能価鎖延長剤または多官能価架橋剤などのプレポリマーまたは短鎖化合物であってよい。鎖延長剤および架橋剤は、分子量が約250ダルトン以下である。硬化剤サイドで触媒を利用してもよい。反応生成物は、いくつかの基材を一緒に結合することができる硬化生成物である。かかるプレポリマーで使用するのにより好ましいポリ−イソシアネートは、先に記載されている。より好ましいイソシアネートは、芳香族イソシアネート、脂環式イソシアネートおよびその誘導体である。さらにより好ましいポリイソシアネートには、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびそのポリマー誘導体、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよびそのポリマー誘導体、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、およびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートが含まれる。最も好ましいイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネートである。プレポリマーの調製に有用なより好ましいポリオールには、参照により本明細書に組み込む、Wu、米国特許第6,512,033の第4欄、10行目から64行目に開示されているものが含まれ、かつポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ(炭酸アルキレン)ポリオール、ヒドロキシル含有ポリチオエーテル、ポリマーポリオール(かかるポリオール中にビニルポリマーを分散させ、一般にコポリマーポリオールと呼ばれる)およびその混合物が含まれる。好ましくは、イソシアネート−反応性化合物は、官能価が少なくとも約1.5、より好ましくは少なくとも約1.8であり、最も好ましくは少なくとも約2.0であり;かつ好ましくは約4.0以下、より好ましくは約3.5以下であり、最も好ましくは約3.0以下である。好ましくは、イソシアネート−反応性化合物の当量は、少なくとも約200、より好ましくは少なくとも約500であり、より好ましくは少なくとも約1,000であり;かつ好ましくは約5,000以下、より好ましくは約3,000以下であり、最も好ましくは約2,500以下である。イソシアネート官能性接着剤系で使用するイソシアネート官能性プレポリマーは、好ましくは少なくとも約2.0の平均イソシアネート官能価、および少なくとも約500、より好ましくは約1,000の分子量を示す。好ましくは、プレポリマーの平均イソシアネート官能価は、少なくとも約2.0であり、より好ましくは少なくとも約2.2である。好ましくは、イソシアネート官能価は、約4.0以下、より好ましくは、約3.5以下であり、最も好ましくは、約3.0以下である。好ましくは、プレポリマーの重量平均分子量は、少なくとも約2,500であり、より好ましくは少なくとも約3,000であり;かつ好ましくは約40,000以下、さらにより好ましくは、約20,000以下であり、最も好ましくは約10,000以下である。対応するプレポリマーを形成するのに十分な反応条件下でポリイソシアネートの化学量論量と比べて過剰な、ポリオールまたはポリアミンなどイソシアネート基と反応する2個以上の基を有する化合物を反応させることによって、塊状重合および溶液重合などの任意の適当な方法によってプレポリマーを調製することができる。プレポリマーを調製するための反応は、大気水分によるイソシアネート基の架橋を防ぐために、無水条件下、好ましくは不活性雰囲気、例えば窒素ブランケット下で実施する。反応は、イソシアネート基とイソシアネート反応性基の反応のための触媒によって触媒する。そのようなものの例には、カルボン酸の第一スズ塩、例えばオクタン酸第一スズ、オレイン酸第一スズ、酢酸第一スズ、およびラウリン酸第一スズ;ジアルキルスズジカルボキシレート、例えばジブチルスズジラウレートおよびジブチルスズジアセテート、第三級アミンおよびスズメルカプチドが含まれる。プレポリマーを調製するための反応は、オクタン酸第一スズによって触媒することが好ましい。使用した触媒の量は、イソシアネートの性質に応じて、触媒した混合物の約0.005〜約5重量パーセントである。反応は、試料の滴定によって決定した残留イソシアネート含有量が所望の理論値に極めて近くなるまで、好ましくは約0℃〜約150℃、より好ましくは約25℃〜約80℃の温度で実施する。有用なイソシアネート官能性接着剤系の例は、関連のある部分を参照により本明細書に組み込む、US 4,374,237、US.4,687,533、US 4,780,520、US 5,063,269、US 5,623,044、US 5,603,798,US 5,852,137、US 5,976,305、US 5,852,137、US 6,512,033に開示されている。本明細書に使用できる商用の接着剤の例は、Dow Chemical Companyから入手可能なBETASEAL(商標)15626、57302、1712、1756接着剤、Eftecから入手可能なEFBOND(商標)フロントガラス接着剤、Yokohama Rubber Companyから入手可能なWS 151(商標)、WS212(商標)接着剤、およびSika Corporationから入手可能なSIKAFLEX(商標)接着剤である。
【0039】
2パートイソシアネート系接着剤系では、プレポリマー中のイソシアネート含有量が、好ましくは約6パーセント〜約35重量パーセントの範囲、より好ましくは約8パーセント〜約30重量パーセントの範囲および最も好ましくは約10パーセント〜約25重量パーセントの範囲である。1パート湿分硬化性系では、プレポリマー中のイソシアネート含有量が、好ましくは約0.1パーセント〜約10パーセントの範囲、より好ましくは約1.5パーセント〜約5.0パーセントの範囲および最も好ましくは約1.8パーセント〜約3.0パーセントの範囲である。本発明に有用なイソシアネート官能性接着剤組成物は、硬化形態の弾性率(modulus)を改善するために多官能価イソシアネートをさらに含んでいてもよい。イソシアネートにおいて使用されているように「多官能価」は、官能価が2.2以上のイソシアネートを意味する。ポリイソシアネートは、名目上の官能価が約2.2以上の任意の低分子量、オリゴマーまたは高分子量イソシアネートであってよい。イソシアネート官能性接着剤系は、イソシアネート官能基とイソシアネート反応性基の反応のために1種以上の触媒をさらに含み、触媒は、構成要素またはイソシアネート反応性構成要素を含有するイソシアネート官能基に配置していてもよい。好ましくは、2パート接着剤系では、触媒は、2つの構成要素系の安定性を改善するためにイソシアネート反応性構成要素に配置している。触媒は、イソシアネート基と活性水素含有化合物の反応では、当業者に既知の任意の触媒であってよい。好ましい触媒の中には、有機スズ化合物、金属アルカノエート、第三級アミンおよびジアザビシクロ化合物がある。触媒は、妥当な速度でイソシアネート基をイソシアネート反応性基と反応させるのに十分な量で利用する。利用した触媒の量は、触媒の選択および所望の反応速度によって決まる。イソシアネート官能性接着剤組成物は、2個以上のイソシアネート反応性基および炭化水素主鎖を有する1種以上の低分子量化合物をさらに含んでいてもよく、主鎖は、1種以上のヘテロ原子をさらに含んでいてもよい。かかる低分子量化合物を使用するのは有利であり、例えば二官能価鎖延長剤および架橋剤は、2パート組成物では、化合物1個当たり平均して、3個以上の活性水素基を有する。2パートイソシアネート官能性接着剤系では、硬化剤パートは、ポリアミン1個当り2個以上のアミンを有するポリオキシアルキレンポリアミンをさらに含んでいてもよい。好ましくは、ポリオキシアルキレンポリアミンは、ポリアミン1個当り2〜4個のアミン、最も好ましくはポリアミン1個当り2〜3個のアミンを有している。好ましくは、ポリオキシアルキレンポリアミンは、重量平均分子量が約200以上および最も好ましくは約400以上である。好ましくは、ポリオキシアルキレンポリアミンは、重量平均分子量が約5,000以下および最も好ましくは約3,000以下である。好ましいポリオキシアルキレンポリアミンの中では、分子量が約400のJEFFAMINE(商標)D−T−403ポリプロピレンオキシドトリアミンおよび分子量が約400のJEFFAMINE(商標)D−400ポリプロピレンオキシドジアミンがある。接着剤系の2つのパートは、イソシアネート基の当量がイソシアネート反応性基の当量よりも大きくなるように組み合わせることが好ましい。より好ましくは、イソシアネート基の、イソシアネート反応性基の当量に対する当量比は、約1.0:1.0より大きく、さらにより好ましくは約1.05:1.0より大きく、最も好ましくは約1.10:1.0より大きい。より好ましくは、イソシアネート基とイソシアネート反応性基の当量比は、約2.0:1.0以下、最も好ましくは約1.40:1.0以下である。
【0040】
1パートポリイソシアネート官能性接着剤系ならびに2パートイソシアネート官能性系の樹脂パートおよび硬化剤パートのいずれかまたは両方は、可塑剤、充填剤、顔料、安定剤および硬化性ポリウレタン形成接着剤中に一般に存在する他の添加剤を含有していてもよい。かかる材料の添加によって、レオロジー、流量などの物理的特性を修飾することができる。しかし、イソシアネート官能性構成要素の感湿性基の早期加水分解を防ぐために、それと共に混合する前に充填剤を完全に乾燥させるべきである。本発明の組成物は、紫外線安定剤および抗酸化剤などを含んでいてもよい。有用な充填剤の中に含まれるのは、粘土、アルミナ、石灰石、タルク、炭酸カルシウムおよび発泡パーライトである。本発明に有用な好ましい粘土には、カオリン、表面処理カオリン、か焼カオリン、ケイ酸アルミニウムおよび表面処理無水ケイ酸アルミニウムが含まれる。充填剤は、ポンプ圧送可能な接着剤の配合を促進する任意の形態で使用することができる。充填剤は、粉砕粉、噴霧乾燥ビーズまたは微粉砕した粒子の形で混合することが好ましい。充填剤は、接着剤系の約0重量パーセント以上、より好ましくは約5重量パーセント以上、さらにより好ましくは約10重量パーセント以上の量で使用することができる。好ましくは、充填剤は、接着剤系の約70重量パーセント以下、より好ましくは約60重量パーセント以下の量で使用する。流動学的特性を所望の粘稠度に変えるために可塑剤を含んでいる。かかる材料は、水を含まず、イソシアネート基に対して不活性であり、存在するポリマーに適合しなければならない。適当な可塑剤は、当技術分野でよく知られており、より好ましい可塑剤には、ジイソノニルフタレートまたはジイソデシルフタレートなどのフタル酸アルキル、部分水素化テルペン、リン酸トリオクチル、トルエン−スルファミド、アルキルスルホン酸のエステル、アジピン酸エステル、ヒマシ油、トルエンおよびアルキルナフタレンが含まれる。硬化性組成物の各パート中の可塑剤の量は、所望の流動学的特性が得られる量である。本明細書に開示された量には、イソシアネート含有プレポリマーの調製中、および硬化性組成物の配合中に加えた量が含まれている。好ましくは、可塑剤は、接着剤系の重量に対して約0重量パーセント以上、より好ましくは約5重量パーセント以上、最も好ましくは約10重量パーセント以上の量で接着剤系に使用する。可塑剤は、好ましくは接着剤系の重量に対して約45重量パーセント以下、より好ましくは約40重量パーセント以下の量で使用する。本発明で使用した接着剤は、安定剤をさらに含むことができ、それは接着剤組成物を湿気から守るために機能し、それによって進行が抑制され、硬化性調合物中のイソシアネートの早期架橋が妨げられる。イソシアネート官能性接着剤系に関して当業者に既知の安定剤を本明細書で使用することができる。かかる安定剤の中で含まれているのは、ジエチルマロネート、アルキルフェノールアルキレート、パラトルエンスルホン酸イソシアネート、塩化ベンゾイルおよびギ酸オルトアルキルである。かかる安定剤は、好ましくは接着剤系の全重量に対して約0.1重量パーセント以上、好ましくは約0.5重量パーセント以上、より好ましくは約0.8重量パーセント以上の量で使用する。かかる安定剤は、接着剤系の全重量に対して約5.0重量パーセント以下、より好ましくは約2.0重量パーセント以下、最も好ましくは約1.4重量パーセント以下の量で使用する。本発明に有用な接着剤は、参照により本明細書に組み込む、Mahdi、米国特許公開2002/0100550号、段落0055〜0065およびHsieh、U.S.6,015,475、第5欄、27行目〜第6欄、41行目に開示されているものなどの、定着剤をさらに含むことができる。有用なかかる定着剤の量も、これらの参考文献に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、接着剤系は、イソシアネート官能基およびアルコキシシロキサン基の両方を含んでいてもよい。かかる接着剤系は、参照により本明細書に組み込む、Zhu、U.S.P 7,345,130に開示されているように、イソシアネート官能基を有するプレポリマーとアルコキシシロキサン官能基を含有するプレポリマーをブレンドすることによって、あるいはHsieh、米国特許第6,015,475号の前掲の引用部分に開示されているように、イソシアネートおよびアルコキシシロキサン官能基の両方を有するプレポリマーを形成することによって調製することができる。本発明に有用な1パートイソシアネート官能性接着剤は、組成物中に大気水分を引き込む機能を果たす親水性材料をさらに含むことができる。場合によっては、硬化性組成物は、チキソトロープ(流動学的添加剤)をさらに含むことができる。かかるチキソトロープは、当業者によく知られており、ヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、カーボンブラックなどが含まれる。チキソトロープは、所望の流動学的特性を与えるのに十分な量で組成物に加えることができる。好ましくは、チキソトロープは、接着剤系の重量に対して約0重量パーセント以上、好ましくは約1重量部以上の量で存在する。好ましくは、任意のチキソトロープは、接着剤系の重量に対して約10重量パーセント以下、より好ましくは約2重量パーセント以下の量で存在する。調合物は、当業者に既知の熱安定剤および抗酸化剤などの既知の添加剤をさらに含むことができる。
【0041】
本発明に有用な接着剤は、当技術分野でよく知られている手段を使用して、例えば適当なミキサー中で構成要素を一緒にブレンドすることによって配合することができる。かかるブレンドは、早期反応を防ぐために酸素および大気水分の不在下の不活性雰囲気中で実施することが好ましい。かかる混合物が容易に混合でき、かつ取り扱えるように、イソシアネート含有構成要素を調製するために可塑剤を反応混合物に加えることは、有利であろう。あるいは、可塑剤は、全ての構成要素をブレンドしている間に加えることができる。構成要素は、約20℃〜約100℃、より好ましくは約25℃〜約70℃の温度でブレンドすることが好ましい。材料は、真空または窒素もしくはアルゴンなどの不活性ガス下でブレンドすることが好ましい。成分は、よくブレンドされた混合物を調製するのに十分な時間、好ましくは約10〜約60分ブレンドする。接着剤組成物のパートを調合した後、大気水分および酸素から守られるように適当な容器中で包装する。大気水分との接触は、イソシアネート含有構成要素の早期架橋をもたらし得る。
【0042】
使用の際、2パート接着剤組成物の構成要素を、このような材料で作業する場合に通常行なうようにブレンドする。2パート接着剤が商業および産業環境で最も容易に使用されるためには、2つのパートを合わせた容積比が好都合には整数でなければならない。これは、静的および動的混合を含む従来の市販されているディスペンサーへの硬化性組成物の適用を促進する。静的混合を含むこのようなディスペンサーは、US 4,538,920および5,082,147(参照により本明細書に組み込む)に示されており、Conprotec、Inc.(ニュージャージー州Salem)からMIXPACの商標名で、またはSulzer Ltd.、スイスのSULZER(商標)QUADROが入手可能である。通常、これらのディスペンサーは、各チューブが2つのパートのうちの一方の重合可能組成物を受け取ることになる、並んで配置された一組の管状容器を使用する。2つのプランジャー、各チューブにつき1つは、同時進行して(例えば、手動でまたは手で操作するラチェッティングメカニズムによって)、2つのパートのブレンドを促進するために静的ミキサーも含有していてもよい、一般的な空洞の細長い混合チャンバーに、チューブの内容物をくみ出す。ブレンドした重合可能な組成物は、混合チャンバーから基材上に押し出される。電動機器を使用する場合、動的混合を使用することができる。チューブが空になると、新しいチューブと交換でき、塗布プロセスを継続する。重合可能組成物の2つのパートを合わせた容積比は、チューブの直径によって制御している。(各プランジャーは、固定された直径のチューブ内に受け入れられるサイズに合わせ、プランジャーはチューブ内を同じ速度で進む。)シングルディスペンサーは、しばしば、種々の異なる2パート重合可能組成物を使用するものであり、プランジャーは、好都合な混合比で重合可能組成物の2つのパートを送るためのサイズに合わせる。いくつかの一般的な混合比は、1:1、2:1、4:1および10:1であり;約1:1の混合比が好ましい。
【0043】
接着剤組成物は、2層がすでに塗布されている場所でポリオレフィン構造物に塗布され、第1の基材上の接着剤組成物をその後、第2の基材と接触させる。各基材に接着剤を塗布する時間の前に、2層をポリオレフィン構造物の多くの表面の1つに塗布することができる。一般に、接着剤は、接着剤がポンプで送れる温度で塗布する。好ましくは、接着剤は、塗布のために約10℃以上の温度、より好ましくは約18℃以上の温度で塗布する。好ましくは、接着剤系は、40℃以下の温度、より好ましくは約35℃以下の温度で塗布する。2パート接着剤組成物は、2つのパートを混合すると硬化を始める。1パート湿分硬化性組成物は、周囲湿度に曝すと硬化を始める。硬化は、誘導加熱、対流熱、マイクロ波加熱などを用いて硬化接着剤に熱を加えることによって加速させることができる。湿分硬化性接着剤の場合、空気中に湿気を加えることによって、または湿度チャンバー中で硬化を行なうことによって硬化の速度を向上させることができる。好ましくは、硬化性接着剤系は、少なくとも約3分以上、より好ましくは約5分以上の作業時間が与えられるように配合する。「作業時間」とは、2つのパートを接触させた後または1パート湿分硬化接着剤を塗布した後から、接着剤が高粘性ペーストに変わり始め、組立て中に変形しないで第2の基材の形状に適合してそれに接着するまでの時間を表す。
【0044】
一部の実施形態では、塗料または接着剤などの極性基を含有する材料は、エポキシ樹脂含有層およびイソシアネート官能基を含有する組成物の層を塗布した直後に、ポリオレフィン構造物の1つ以上の表面に塗布する。2層の塗布と極性基を含有する材料の塗布の間の最短時間は、イソシアネート官能基を含有する組成物の層から溶媒を揮発させるのに必要な時間である。一部の実施形態では、極性官能基を含有する材料は、エポキシ樹脂含有層およびイソシアネート官能基を含有する組成物の層を塗布する場所とは異なる場所、例えば工場の異なる部分または異なる工場で塗布してもよい。さらに、工場は、何マイルも離れて、例えば何百または何千マイルも離れていてよい。極性反応性基を含有する材料は、エポキシ樹脂含有層およびイソシアネート官能基を含有する組成物の層の塗布からかなり遅い時間に塗布してもよい。開示した材料の塗布の間の期間は、極性基を含有する材料がイソシアネート官能基を含有する組成物の層と丈夫な結合を形成できる任意の期間であってもよい。一部の実施形態では、エポキシ樹脂含有層とイソシアネート官能基を含有する組成物の層と極性基を含有する材料の塗布の間の時間は、約5日以上またはさらに30日以上であってもよい。エポキシ樹脂含有層とイソシアネート官能基を含有する組成物の層と極性基を含有する材料(接着剤組成物)の塗布の間の時間の塗布の間の期間は、約90日以下および好ましくは60日以下であってよい。本明細書では、「丈夫な結合」という用語は、構造の寿命のかなりの部分、または寿命全体の間持続する、ポリオレフィン構造物の表面上のイソシアネート官能基を含有する組成物の層への極性基を含有する材料の結合を意味する。
【0045】
(発明の具体的な実施形態)
以下の実施例は、例示的な目的で含めているにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。特に記載がない限り、全ての部およびパーセントは重量による。
【0046】
試料調製
ポリプロピレン試料(25.4×101.6mm(1×4インチ))の表面を、乾いた紙を用いてイソプロピルアルコールで清潔にした。エポキシ樹脂溶媒組成物(エポキシ樹脂組成物)および反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含む組成物(イソシアネート組成物)および溶媒を、開口部にフェルトをあてたスクィーズボトルアプリケーターを用いて塗布し、ここで組成物は、フェルトを通って流れ、フェルトを用いて表面に塗布される。エポキシ樹脂溶媒組成物を、ポリプロピレン構造の表面に約25マイクロメートルの湿潤厚さで塗布し、それによって約7マイクロメートルの乾燥厚さが得られる。反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含む組成物および溶媒を、約90マイクロメートルの湿潤厚さで塗布し、それは20マイクロメートルの乾燥層をもたらす。乾燥層は、溶媒が除去されたことを表す。組成物は、一方向に塗布して、均一で滑らかな膜を得る。エポキシ樹脂組成物とイソシアネート組成物の塗布の間のオープンタイムは15分である。ポリプロピレン試料と一緒に重ね剪断試験で使用した塗装した金属基材は、イソプロピルアルコールで拭いて、表面を清潔にした。
【0047】
ポリプロピレン試料および塗装した金属試料(25.4×101.6mm(1×4インチ))から重ね剪断試験の試験片を調製する。幅約6.3mm×高さ8mmの接着剤ビーズを、ポリプロピレン試料(25mm×75mm)の幅に沿って、かつ端から約6mm〜12mmに塗布する。塗装した金属を、接着剤の厚さが約3mmになるようにすぐに接着剤(湿分硬化イソシアネート官能性1パート接着剤)の上に置く。試料は、23℃および50パーセント相対湿度で72時間の条件で硬化させる。
【0048】
曝露条件
初めの72時間硬化後、一部の試料をさらに別の条件に曝露する。以下で使用したように、初期硬化後に試料を試験する場合、これだけが初期(Initial)と呼ばれる。利用した曝露条件を表1に記載する。
【0049】
【表1】
【0050】
試験方法−カタプラズマ
試料を、70℃、100パーセント相対湿度で7日間気候室に保管し、あるいは脱脂綿で包み、十分な水で湿らせ、ポリエチレンバッグ中に密封して、その後70℃で7日間乾燥器中に保持する。次に、試料を−20℃で16時間冷凍庫内に置き、その後試料を室温で2時間置いておく。このサイクルを複数回繰り返し、その後試料をバッグから取り出す。
【0051】
クイックナイフ接着試験:
クイックナイフ接着試験は、後述のように基材の上に組成物を塗布し、その後10mm(高さ)×幅10〜15mm×長さ200mmの明確な形状をもつ接着剤のビーズを塗布することによって行なう。接着剤を約6mmの高さに圧縮する。この構造を、以下に詳述する条件に曝露する。接着性能を評価するために、接着剤ストリップの端を基材と平行に約10mm切断し、90度の角度に剥がす。それぞれ約10mm、基材に対して剥がしたビーズをナイフで切断し、剥離を続ける。剥がした試料は、接着剤の硬化したバルク内の破壊を意味する、凝集破壊の割合にしたがって、スケール1=約0パーセント凝集破壊、2=約25パーセント凝集破壊、=約50パーセント凝集破壊、4=約75パーセント凝集破壊、5=約100パーセント凝集破壊を用いて、評価する。最も一般に使用される記号は、a=接着剤が基材から層間剥離を示す、b=接着剤がプライマーから層間剥離を示す、z=接着剤ビーズの両端(左および右側)で接着破壊およびe=接着剤/プライマーまたは接着剤/基材のいずれかの間の粘着性界面である。約4以上(75パーセント凝集破壊またはそれ以上)の剥離接着性評価が許容できると考えられている。
【0052】
重ね剪断試験
インストロン万能試験機(Universal Machine Instron Tester)を用いて試料を1インチ/分(2.5cm/min)の速度で引っ張る。試料破壊時の負荷を記録し、3回の試験の平均を報告する。
【0053】
試験結果の凡例
観察した結果を記載した凡例を表2にまとめた。
【0054】
【表2】
【0055】
材料
エポキシ樹脂組成物 − ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの反応生成物、数平均分子量約700、約3.5パーセント(±1パーセント)、トルエン約55パーセント(±5パーセント)、キシレン約35パーセント(±5パーセント)、エチルベンゼン約5パーセント、アセトンまたはプロパノン約2パーセントおよび酢酸n−ブチル約2.5パーセント。
【0056】
イソシアネート官能基を含有する組成物 − 約20重量パーセント(±5重量パーセント)のジフェニルメタンジイソシアネート、異性体および同族体;約5パーセント未満の4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート、約5重量パーセント未満のカーボンブラック、約10重量パーセントのポリエステル(±5重量パーセント);メチルエチルケトン45重量パーセント(±5重量パーセント);アセトン10〜20重量パーセントおよびタルク約10重量パーセント(±5重量パーセント)。
【0057】
BEATSEAL(商標)57302接着剤 − Dow Chemical Company、ミシガン州Midlandから入手可能なイソシアネート反応性基を有するポリウレタンプレポリマーを含有する一液型イソシアネート官能性接着剤。
【0058】
BEATSEAL(商標)1712BN接着剤 − Dow Chemical Company、ミシガン州Midlandから入手可能なイソシアネート反応性基を有するポリウレタンプレポリマーを含有する一液型イソシアネート官能性接着剤。
【0059】
BEATSEAL(商標)1756BN接着剤 Dow Chemical Company、ミシガン州Midlandから入手可能な、加温塗布し、一時しのぎの特性を示すイソシアネート反応性基を有するポリウレタンプレポリマーを含有する一液型イソシアネート官能性接着剤。
【0060】
(実施例1および2)
重ね剪断クーポンの形の2つのポリプロピレン基材は、上記のようにエポキシ樹脂組成物の層およびイソシアネート官能基を含有する組成物を基材の一表面に被着させることによって処理する。次いでポリプロピレンクーポンを、異なる条件に様々な回数曝露する。その後ポリプロピレンクーポンを、上記のようなBEATSEAL(商標)57302接着剤を用いて白色DuPont Gen IIIペイントで塗装した金属重ね剪断クーポンに結合させる。クーポンは、72時間23℃および50パーセントの湿度で硬化させる。試料も、BEATSEAL(商標)57302接着剤を用いてクイックナイフ接着試験に基づいて調製する。その後いくつかの試料をクイックナイフ接着試験に基づいて試験し、いくつかを重ね剪断試験に基づいて試験する。条件および結果を表2にまとめる。クイックナイフ結果は、破壊モードのパーセントで示し、重ね剪断結果は、破壊時の強度および破壊モードのパーセントで示す。好ましい破壊のモードは、接着剤の凝集破壊である。RTは、室温23℃および50相対湿度を表す。それぞれの実施例は、基材に異なるポリプロピレンを使用している。
【0061】
【表3】
【0062】
(実施例3および4)
2つの異なるポリプロピレン組成物のポリプロピレンクーポンを調製し、実施例1および2に記載のように試験する。
【0063】
【表4】
【0064】
(実施例5〜12)
重ね剪断クーポンの形の8個のポリプロピレン基材は、上記のようにエポキシ樹脂組成物の層およびイソシアネート官能基を含有する組成物を基材の一表面に被着させることによって処理する。その後、上記のようにBEATSEAL(商標)57302接着剤のビーズを塗布して、クイックナイフ接着性試料を調製する。クーポンは、72時間23℃および50パーセントの湿度で硬化させる。その後クイックナイフ接着試験に基づいて試料を試験する。開放曝露期間および結果を表4にまとめる。
【0065】
【表5】
【0066】
実施例5〜12に基づく試料を、500時間の湿度、500時間の熱老化またはカタプラズマに曝露する。上記のように試料を試験し、結果を表5にまとめる。
【0067】
【表6】
【0068】
(実施例13〜15)
重ね剪断試料を、3個の異なるポリプロピレン材料および3種の異なる塗料で塗装した金属クーポンから調製する。異なる重ね剪断試料を異なる条件に曝露し、次いで重ね剪断試験にかける。使用したペイントおよび重ね剪断結果を表6にまとめる。
【0069】
【表7】
【0070】
(実施例16〜27)
これらの実施例では、10重量パーセントのタルクを含有するポリプロピレンを使用する。試験したポリプロピレン構造は、上記のように調製し、印が付いた試料は研磨しない。イソプロパノールで拭いた後、いくつかの試料は、光沢の証拠がないことが明らかになるまで180グリット紙を用いて手で研磨する。ポリプロピレン構造は、エポキシ樹脂組成物の層を基材の一表面の上に被着させることによって処理する。いくつかの試料は、エポキシ樹脂組成物の層およびイソシアネート官能基を含有する組成物を、上記のような構造の一表面の上に被着させることによって処理する。その後ポリプロピレンクーポンを、上記のようなBEATSEAL(商標)57302接着剤、BEATSEAL(商標)1712BN接着剤、またはBEATSEAL(商標)1756BN接着剤を用いて白色DuPont 1K白色ペイントで塗装した金属重ね剪断クーポンに結合させる。クーポンは、72時間23℃および50パーセントの湿度で硬化させる。これらの試料を、重ね剪断試験に基づいて試験する。試料も、上記のようなBEATSEAL(商標)57302接着剤、BEATSEAL(商標)1712BN接着剤またはBEATSEAL(商標)1756BN接着剤を用いてクイックナイフ接着試験に基づいて調製し、クイックナイフ接着試験に基づいて試験する。条件および結果を表7にまとめる。クイックナイフ結果は、破壊モードのパーセントで示し、重ね剪断結果は、破壊時の強度および破壊モードのパーセントで示す。
【0071】
【表8】
【0072】
(実施例28〜30)
重ね剪断試料を、リストに記載された3種の接着剤を用いて上記のように調製し、熱老化およびカタプラズマ条件に曝露する。その後、重ね剪断試料を試験する。ポリプロピレンの結合した表面を、エポキシ層およびイソシアネート反応性基を含有する組成物の層で処理する。結果を表8にまとめる。
【0073】
【表9】

以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] ポリオレフィン基材を含む物品であって、
前記ポリオレフィン基材の1つ以上の表面上に配置されているのは、反応性エポキシ基を含有する樹脂を含む層であり;前記エポキシ樹脂層上に配置されているのは、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含有する組成物の層である
物品。
[2] 前記エポキシ樹脂層の乾燥厚さが約1μm〜約20μmである、[1]に記載の物品。
[3] 前記反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層の乾燥厚さが約10μm〜約25μmである、[1]または[2]に記載の物品。
[4] [1]〜[3]のいずれか一に記載の物品と、1種以上のイソシアネート官能性接着剤とを含むキット。
[5] イソシアネート官能性接着剤のためのプライマーをさらに含む、[4]に記載のキット。
[6] ポリオレフィン基材の表面を修飾する方法であって、
ポリオレフィン基材を準備するステップと、
前記ポリオレフィン基材の1つ以上の表面を、1種以上のエポキシ樹脂および1種以上の揮発性溶媒または分散剤を含む組成物と接触させ、前記エポキシ樹脂を被着させたポリオレフィン基材の表面から揮発性溶媒または分散剤を揮発させ、それによって1種以上のエポキシ樹脂を含む層を前記ポリオレフィン基材の表面上に被着させるステップと、
前記エポキシ樹脂の層に、反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーおよび1種以上の揮発性溶媒または分散剤を含む組成物を塗布し、前記揮発性溶媒または分散剤を揮発させ、それによって反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーを含む層を前記エポキシ樹脂層上に被着させるステップと
を含む、方法。
[7] 極性官能基を有する塗料または接着剤を、前記ポリオレフィン基材または第2の基材の一方または両方の表面に塗布するステップと、前記塗料または接着剤を硬化させるステップとをさらに含む[6]に記載の方法であって、
前記塗料または接着剤は、その上に前記エポキシ樹脂の層および前記反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層を被着させた前記ポリオレフィン基材の表面と接触している方法。
[8] 前記エポキシ樹脂含有組成物の塗布と、前記反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーおよび1種以上の揮発性溶媒を含む組成物の塗布との間の時間が、約15分および820分である、[6]または[7]に記載の方法。
[9] 前記反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーもしくはプレポリマーおよび1種以上の揮発性溶媒を含む溶媒または分散剤組成物を、約30〜約90分フラッシュオフさせる、[6]〜[8]のいずれか一に記載の方法。
[10] 前記エポキシ樹脂組成物は、約10μm〜約90μmの湿潤厚さで塗布される、[6]〜[9]のいずれか一に記載の方法。
[11] 前記反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーおよび1種以上の揮発性溶媒を含む組成物は、約20μm〜約150μmの湿潤厚さで塗布される、[6]〜[10]のいずれか一に記載の方法。
[12] その上に前記エポキシ樹脂の層および前記反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層を被着させた前記ポリオレフィン基材の表面を、接着剤と接触させる、[6]〜[11]のいずれか一に記載の方法。
[13] 前記接着剤を、その上に前記エポキシ樹脂の層および前記反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーの層を被着させた前記ポリオレフィン基材の表面または第2の基材と接触させ、前記2つの基材を、前記接着剤を硬化させる前に、前記接着剤が前記2つの表面の間に配置されるように接触させる、[6]または[12]のいずれか一に記載の方法。
[14] 前記反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーおよび1種以上の揮発性溶媒を含む組成物を塗布することと、前記塗料または接着剤を前記ポリオレフィン基材の表面と接触させることとの間の時間が、約30分〜約110時間である、[6]〜[13]のいずれか一に記載の方法。
[15] 前記基材は、前記反応性イソシアネート基を有する1種以上の化合物、オリゴマーまたはプレポリマーおよび1種以上の揮発性溶媒または分散剤を含む組成物の塗布と、前記ポリオレフィン基材を前記塗料または接着剤と接触させることとの間に、1つの場所から別の場所へ輸送される、[6]〜[14]のいずれか一に記載の方法。