特許第5740482号(P5740482)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5740482タンデムマスタシリンダのプライマリピストンと、このようなプライマリピストンを備えたタンデムマスタシリンダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740482
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】タンデムマスタシリンダのプライマリピストンと、このようなプライマリピストンを備えたタンデムマスタシリンダ
(51)【国際特許分類】
   B60T 11/20 20060101AFI20150604BHJP
   F16J 1/09 20060101ALI20150604BHJP
   F16J 1/01 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   B60T11/20
   F16J1/09
   F16J1/01
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-545152(P2013-545152)
(86)(22)【出願日】2011年12月1日
(65)【公表番号】特表2014-500192(P2014-500192A)
(43)【公表日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】EP2011071508
(87)【国際公開番号】WO2012084450
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2013年8月7日
(31)【優先権主張番号】1005013
(32)【優先日】2010年12月21日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ・ベルナダ
(72)【発明者】
【氏名】ロラン・リュイリエー
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ノブレ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・ガトー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・グレシュ
(72)【発明者】
【氏名】キャロル・シャルパンティエ
【審査官】 莊司 英史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−028339(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/126619(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 11/20
F16J 1/01
F16J 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンデムマスタシリンダのプライマリピストンであって、スカートからなり、このスカートの端部の間の中間位置に底部を備え、この底部の片面が、倍力装置のプランジャを支持する役割を果たし、反対面が、セカンダリピストンに作用する伸縮式ロッドと圧縮コイルスプリングとを収容し、
スカートが、供給室と協働する通路を備えた前端を有して、プライマリピストンの前方部分によりマスタシリンダの本体内に画定される圧力室に供給室を接続し、また、
マスタシリンダ本体の溝に収容される再供給シールと協働して横滑り防止制御モードでの作動液を通過可能にする、プライマリピストン(130)において、
スカート(132)と、中間位置にある底部(131)とからなり、双方がプラスチック製であり、スカートの前端が、後方で閉じられて前方で開通している溝(137)を画定するリブ(138)を含んでおり、プライマリピストン(130)が供給位置にあるとき、供給室(150)と圧力室(140)との間の通過を保証し、プライマリピストン(130)が休止位置にあってブレーキシステムが横滑り防止制御モードで動作するとき、作動液が再供給シール(153)の下を通過できるようにし
リブ(138A)は、円筒形の前端部分(138−1A)が円錐形の移行部(138−2A)によって延長されて円筒形の後端部分(138−3A)に結合していることを特徴とするプライマリピストン。
【請求項2】
溝(137)の開放されていない後端(137b)が、直角で横方向にあることを特徴とする請求項1に記載のタンデムマスタシリンダのプライマリピストン。
【請求項3】
後端(137b)が平面であり、プライマリピストンの軸線(xx)に垂直であることを特徴とする請求項2に記載のタンデムマスタシリンダのプライマリピストン。
【請求項4】
溝が、ヘリカル状であることを特徴とする請求項1に記載のタンデムマスタシリンダのプライマリピストン。
【請求項5】
少なくとも1つの溝がスリットであることを特徴とする請求項1に記載のタンデムマスタシリンダのプライマリピストン。
【請求項6】
プラスチック材料からなる一体部品から構成されることを特徴とする請求項1に記載のタンデムマスタシリンダのプライマリピストン。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のプライマリピストンを含む、タンデムマスタシリンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンデムマスタシリンダのプライマリピストンに関し、このプライマリピストンは、スカートからなり、スカートの端部の間の中間位置に底部を備 え、底部の片面が、倍力装置のプランジャを支持する役割を果たし、反対面が、セカンダリピストンに作用する伸縮式ロッドと圧縮コイルスプリングとを収容 し、
−スカートが、供給室と協働する通路を備えた前端を有して、プライマリピストンの前方部分によりマスタシリンダの本体内に画定される圧力室に供給室を接続し、また、
−マスタシリンダ本体の溝に収容される再供給シールと協働して、横滑り防止制御モードでの作動液を通過可能にする。
【0002】
本発明は、また、このようなプライマリピストンを備えたタンデムマスタシリンダに関する。
【背景技術】
【0003】
図5、5A、6は、タンデムマスタシリンダの公知の1つの実施形態を示している。これらの図は、プライマリピストンの位置の限られた断面を示す図である。
【0004】
公知のマスタシリンダ300は、軸線xxを有するボア320によって貫通された本体310からなり、このボアがプライマリピストン330を収容し、プライマリピストンは、倍力装置(図示せず)によって制御され、または、ブレーキペダルに及ぼされる作用によって直接制御される。プライマリピストン330は、第1のブレーキ回路に接続される圧力室340を画定する。圧力室340は、本体310の周辺溝から構成された供給室350から隔てられている。前方側で、供給室350は、再供給シール353を収容する周辺溝351により縁取られ、後方外側で、供給室350は、密封シール380または隔離シールを収容する後方溝352により縁取られている。プライマリピストン330は、中空の前方部分を同様に中空の後方部分から隔てる中間底部331を含むスカート332から形成されている。底部331は、その背面331bで倍力装置のプランジャを受容し、底部331は、その前面331aで、セカンダリピストン(図5、5A、6では図示せず)に協働する2個の部分371、372とスプリング373とからなる伸縮式ロッド370に当接する。
【0005】
前方側すなわち、マスタシリンダのボア320内でプライマリピストン330により画定される圧力室340の側で、スカート332は、リング状に配置された 穴333を設けられており、この穴は、圧力室340を画定するプライマリピストンの内部で供給室350と前方部分とを連通させる。リング状に配置された穴 333は、スカート332の前方の円錐台形の溝334に設けられており、プライマリピストン330が休止位置にあってブレーキシステムが横滑り防止制御モードで動作するとき、作動液の通過を容易にする。その場合、リング状に配置された穴333は、再供給シール353の真下にきて、作動液が供給室350から圧力室340に流れるようにすることができる。
【0006】
図5は、タンデムマスタシリンダ300内に取り付けられた公知のプライマリピストン330の軸方向部分断面図である。この部分断面図は、倍力装置のプランジャを収容する背面331bと、スプリング373をセンタリングする役割を果たすボス335を備えた前面331aとを有する底部331の特定の形態をその空洞部とともに明確に示している。図5Aは、この図5Aの部分断面図に示されているようにテーパがプライマリピストン330の前方に向けられて、シール353に及ぼされる応力を軽減するようにされた、円錐台形の溝334を明確に示している。
【0007】
プライマリピストン330は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製であり、大がかりな加工を必要とする。しかも、加工時の鋳バリを取り除くように、穴333に対して特別な注意を払わなければならない。そのため、プライマリピストンの加工は比較的複雑で価格が高いものとなり、その結果、タンデムマスタシリンダの価格が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】仏国特許第2916405号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、簡易構造で経済的に製造されるタンデムマスタシリンダのプライマリピストン、ならびにタンデムマスタシリンダを開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため、本発明は、上記のタイプのプライマリピストンを目的とし、このプライマリピストンは、スカートと、中間位置にある底部とからなり、双方がプラス チック製であり、スカートの前端が、後方で閉じられて前方で開通している溝を画定する環状リブを含んでおり、プライマリピストンが供給位置にあるとき、供 給室と圧力室との間の通過を保証し、1つの変形実施形態によれば、少なくとも1つのこれらの溝がピストンの内部空洞まで貫通することによってスリットを形 成し、また、プライマリピストンが休止位置にあってブレーキシステムが横滑り防止制御モードで動作するとき、作動液が再供給シールの下を通過できるようにしたことを特徴とする。
【0011】
本発明によるプライマリピストンは、プラスチック材料の射出成形により容易に製造され、成形により得られる部品は組立準備ができており、仕上げ作業をする必要はない。このように構成されるプライマリピストンは、プライマリピストンが対応すべきあらゆる条件を満たし、特にその正面の面積は、トラブルがあった場合にセカンダリピストンを直接押すために十分に広くされている。
【0012】
一般に、本発明は、ピストンが被る可能性のある機械的な応力に対して十分に強度のあるプラスチック製のプライマリピストンを構成することができる。そのシンプルな形状により、特にプラスチック材料の射出成形による製造が可能である。これらの機能的な特徴はまた、ピストンが、水撃現象に対して減衰効果を発揮しながら作動液を妨げることができるので、同様に有利である。
【0013】
さらに、本発明によるピストンは、製造コストを著しく削減することができる。
【0014】
1つの変形実施形態によれば、リブは、円筒形の部分に合流するために円錐形の移行部により延長された円筒形の前端によって、前方に続いている。
【0015】
別の特徴によれば、リブは、円錐形の前方部分に続いている。
【0016】
別の有利な特徴によれば、溝の開放されていない後端が、直角で横方向にある。
【0017】
別の有利な特徴によれば、溝がヘリカル状である。
【0018】
別の有利な特徴によれば、少なくとも1つの溝がスリットである。
【0019】
したがって、再供給モードまたは横滑り防止制御システムの動作モードにおいて、溝の直角の後縁が、再供給シールとプライマリピストンとの協働を促す。
【0020】
本発明は、また、上記のタイプのタンデムマスタシリンダに関し、プラスチック製のプライマリピストンを含み、その前方が、供給室と圧力室との間の作動液の通路を形成する溝を備えており、すなわち、この溝は、プライマリピストンが休止位置にあってブレーキシステムが横滑り防止制御モードで作動されるとき、作動液が再供給シールの下を通過しやすくするものである。
以下、添付図面により、本発明について、より詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明によるプライマリピストンを備えたタンデムマスタシリンダを示す概略図である。
図2】本発明によるプライマリピストンの軸方向断面図である。
図2A】本発明によるプライマリピストンの等角図である。
図3】プライマリピストンの前部の変形実施形態を示す軸方向断面図である。
図4】本発明の別の変形実施形態を示す部分断面図である。
図5】公知のマスタシリンダの部分断面図である。
図5A】ブレーキ回路がESPモードで動作するときの公知のプライマリピストンの動作を示す概略図である。
図6】公知のプライマリピストンの軸方向断面図である。
図7】本発明によるピストンの1つの実施例を示す等角図である。
図7A】本発明によるピストンの1つの実施例を示す等角図である。
図7B】本発明によるピストンの1つの実施例を示す等角図である。
図7C】本発明によるピストンの1つの実施例を示す等角図である。
図7D】本発明によるピストンの1つの実施例を示す等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明によるブレーキシステムのタンデムマスタシリンダ100を示す。
【0023】
以下、マスタシリンダのプライマリピストンに関する部分について説明するが、この説明は、実質的にはセカンダリピストンにも適用され、また、タンデムマスタシリンダの環境において、2つに分けて2個の独立したブレーキ回路を制御可能なあらゆる部材に適用されることを前提とする。
【0024】
マスタシリンダは、軸線(xx)を有するボア120によって貫通される本体110から構成され、このボアにプライマリピストン130が収容され、プライマリピストンは、倍力装置(図示せず)によって制御され、あるいはピストンに対してブレーキペダルが及ぼす作用によって直接制御される。プライマリピストン130の移動方向は、図1では右側から左側にかかるブレーキ作用に対応する矢印AFにより示されている。
【0025】
マスタシリンダの上部には、アウトラインで簡単に示したブレーキ液リザーバ190の送出口の端部品のための2個のインレットポート101、201が備えられている。
【0026】
プライマリピストン130は、穴141によりブレーキ回路C1に接続される圧力室140をボア120内で画定する。圧力室140は、マスタシリンダ100の本体110内で周辺溝により形成された供給室150から、中空のプライマリピストン130により隔てられている。前方側および後方側で、供給室150は、ボア120に通じる周辺溝151、152によって縁取られている。前方の溝151は、周辺部の再供給シール153を収容し、後方の溝152は、隔離シールとも呼ばれる周辺部の密封シール180を収容している。
【0027】
再供給シール153は、ブレーキ液の不足時またはブレーキが急作動した場合に、圧力室140にブレーキ液を供給することができる。再供給シール153の開放および閉鎖運動については、特許文献1に記載されている。密封シール180は、マスタシリンダ100の外部から供給室150を隔てる。
【0028】
2個のピストン130、230は、スプリング173により離隔保持された2個の部分171、172からなる伸縮式のロッド170により接続されており、このロッドは、その両端のうちの一方が、プライマリピストン130の底部131に当接し、他方が、セカンダリピストン230の底部231に当接している。
【0029】
上記のタンデムマスタシリンダ100のプライマリ部分の説明は、セカンダリピストン230を含むセカンダリ部分と、2個のブレーキ回路C1、C2の加圧手段のそれぞれにも同様に適用される。上記の説明は、本発明が関与する部材に同じ条件で適用され、これらの部材には、100を足した同じ参照符号が付されている。
【0030】
図1と2では、本発明によるタンデムマスタシリンダのプライマリピストン130が、プラスチック材料からなる一体部品から構成されており、このプライマリピストンは、開放された両端の間の中間位置にある底部131を備えたスカート132から構成されている。底部131は、倍力装置(図示せず)のプランジャを収容する円錐台形の背面131aを有し、また、中央ボス135を備えた前面131bを有して、プライマリピストン130をセカンダリピストン230に結合する伸縮式のロッド170と圧縮コイルスプリング173とを収容する。
【0031】
スカート132の前方側の外面(セカンダリピストンに向いた側)は、溝137を画定するリブ138の集合を含み、リブの前方137aは開放され、後方137bは閉鎖されている。これらの溝137は、スカート132の外装面に通じている。溝137の下で溝の間にあるスカートの厚み132aは、大きな前方面積132Sを形成し、プライマリピストン130とセカンダリピストン230との間の正常な結合が故障した場合、プライマリピストン130がセカンダリピストン230を直接押すことができるようにされている。
【0032】
図2Aによるプライマリピストン130の等角図は、プライマリピストン130のスカート132の前方にある溝137の構成を示している。この実施形態では、溝が、プライマリピストン130の軸線xxに平行であり、溝の長さは、プライマリピストン130の休止位置で後縁137bが供給室150と再供給シール153の溝151との間にくるようにされている。
【0033】
溝137は、好適にはプライマリピストン130の軸線xxに平行であるが、この溝137をヘリカル状にすることも同様に検討可能である。
【0034】
溝137の閉鎖された後端137bは、直角で横方向であり、すなわち、軸線(xx)に特に垂直な、平らな横面から構成される。これにより、公知のプライマリピストン330のスカートに、穴333の位置で必要であった円錐台形の形状を回避することができる(図5A)。
【0035】
図3は、プライマリピストン130Aの変形実施形態を示す軸方向断面図であり、このピストンのスカート132Aの前部が、リブ138Aの間に画定される溝137Aを有し、リブの前端138−1Aが、1つの円筒内に組み込まれ、円錐形の移行部138−2Aによって後方に続いて円筒部分138−3Aに合流し、すなわち、円錐台形の外装と円筒形の外装とにそれぞれ組み込まれている。
【0036】
図4は、スカート132Bの端部の別の変形実施形態130Bを示す部分断面図であり、そのリブ138Bが、円錐形の前方部分138−1Bに続く溝137Bを画定している。溝137A、137Bの他の部分は、溝137の部分と同じである。
【0037】
プラスチック材料からなるプライマリピストン130の成形は、特に困難ではない。回転対称な円筒形の形状によって、可動部品のない単純な金型でピストン130を製造することができる。その理由は、圧力室を画定するスカートの前方空洞部、スカートの後方空洞部、底部131の各両側、ならびにスカート132と、スカートの溝137が、軸線xxの方向に容易に型抜きされる形状を有するからである。
【0038】
ヘリカル状で軸線xxに平行な溝137の場合、型から外すには、射出用の金型またはこの金型の一部に対してプライマリピストンを回転運動させることが必要である。
【0039】
プライマリピストンは、好適には、プラスチック製の一体部品から構成される。プライマリピストン330を実現するためのプラスチック材料の好ましい実施例は、熱硬化性のプラスチック材料である。
【符号の説明】
【0040】
100 本発明によるタンデムマスタシリンダ
101、201 マスタシリンダのインレットポート
110 本体
120 ボア
130 プライマリピストン
131 プライマリピストンの底部
131a 底部の面
131b 底部の面
132 スカート
132a 溝の下のスカートの厚み
132S スカートの前方面積
131 穴
135 ボス
137 溝
137A 溝
137B 溝
138 リブ
138B リブ
138−1 円筒形の前端
138−2 円錐形の移行部
138−3 円筒形の部分
140、240 圧力室
141、241 穴
150、250 供給室
151、152;251、252 溝
153、253 再供給シール
170 伸縮式ロッド
171、172 ロッド部分
173 スプリング
180、280 密封シール
190 リザーバ
230 セカンダリピストン
231 セカンダリピストンの底部
300 公知のタンデムマスタシリンダ
310 本体
320 ボア
330 プライマリピストン
331 プライマリピストンの底部
331a 前面
331b 背面
332 スカート
333 穴
334 円錐台形の表面
335 ボス
340 圧力室
350 供給室
351、352 溝
353 再供給シール
370 伸縮式ロッド
371、372 ロッド部分
373 スプリング
380 密封シール
C1、C2 ブレーキ回路
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図5a
図6
図7
図7A
図7C
図7D
図7GB