(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記半田接合部に、その半田接合部の上面方向に上記一対の支持部よりも少なく変位して連接され、その半田接合部が上記プリント配線基板に半田接合されて上記一対の支持部の間に上記導電性部材が挿入された際に、その導電性部材に上記プリント配線基板の側から当接する補助接触部を、
更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の表面実装クリップ。
上記半田接合部に、その半田接合部の上面方向に上記一対の支持部よりも少なく変位して連接され、その半田接合部が上記プリント配線基板に半田接合されて上記一対の支持部の間に上記導電性部材が挿入された際に、その導電性部材に上記プリント配線基板の側から当接する補助接触部を、
更に備えたことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の表面実装クリップ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のように表面実装クリップをプリント配線基板に埋設した場合、シールドケースに舌片を設ける必要が生じて製造コストが上昇する。加えて、プリント配線基板に埋設された弾性接触部の間にシールドケースの舌片を挿入する作業は困難であり、作業コストが上昇する。ここで、全く分野は異なるが、中心に開口が設けられた嵌合面をプリント配線基板から浮き上がった位置に支持し、上記開口部の内側に連接された弾性を有する一対の接触片によって、上記開口部に挿入された雄端子を挟み付ける基板取付型コネクタも提案されている(例えば特開平11−339906号公報)。
【0007】
しかしながら、このような構成をシールドケースの固定に利用するためには、シールドケースの端縁に突起を設けて各コネクタの開口部に挿入する必要があり、上記課題は一層顕著になる。また、上記各公報に開示された発明では、舌片または突起を導電性部材に設ける必要があり、電線等の導電性部材に適用する(舌片または突起を設ける)のは困難である。そこで、本発明は、弾性接触部の永久変形が抑制でき、シールドケースや電線等の導電性部材の装着も容易な表面実装クリップを提供することを目的としてなされた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達するためになされた本発明は、金属の薄板を折り曲げて形成された表面実装クリップであって、プリント配線基板の取り付け対象面に表面実装して使用されるときに、下面が上記プリント配線基板の導体パターンに半田接合される半田接合面となる
複数の半田接合部と、上記
各半田接合部に、その半田接合部の上面方向に変位して連接され、その半田接合部が上記プリント配線基板に半田接合された際に上記プリント配線基板とは別の導電性部材を挿入可能な間隔を開けて上記プリント配線基板から浮き上がった位置に支持される一対の支持部と、上記一対の支持部の少なくとも一方に、上記半田接合部方向に傾斜して連接され、上記一対の支持部の間に上記導電性部材が挿入されたとき、弾性変形して上記導電性部材に圧接され、上記導電性部材を上記一対の支持部の間に固定することにより、上記導体パターンと上記導電性部材とを電気的に接続する弾性接触部と、を備え
、上記一対の支持部は、上記半田接合部と平行な平行支持部をそれぞれ有し、上記各支持部は、上記弾性接触部の圧接方向に直交する方向の一端が上記半田接合部の1つに、他端が上記半田接合部の他の1つに、それぞれ連接されたことを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明の表面実装クリップでは、半田接合部の下面をプリント配線基板の導体パターンに半田接合すると、その半田接合部の上面方向に変位して連接された一対の支持部は、導電性部材を挿入可能な間隔を開けて上記プリント配線基板から浮き上がった位置に支持される。この一対の支持部の少なくとも一方には、弾性接触部が上記半田接合部方向に傾斜して連接されている。そして、この弾性接触部は、上記一対の支持部の間に上記導電性部材が挿入されたとき、弾性変形して上記導電性部材に圧接され、上記導電性部材を上記一対の支持部の間に固定する。
【0010】
このため、本発明の表面実装クリップを使用すれば、プリント配線基板から浮き上がった位置に支持された一対の支持部の間に導電性部材を挿入するだけで、その導電性部材を上記プリント配線基板に容易に固定することができる。しかも、上記導電性部材には、舌片等を設ける必要もない。更に、上記導電性部材を固定する弾性接触部は、上記支持部に、上記半田接合部方向(プリント配線基板方向)に傾斜して連接されている。このため、上記導電性部材に外部から力が加わったときでもその導電性部材等が上記弾性接触部に横から当たるのを上記一対の支持部によって抑制でき、ひいては、上記弾性接触部が永久変形するのも良好に抑制することができる。
【0011】
また、本発明の表面実装クリップは、上記半田接合部を複数備え、上記各支持部は、上記弾性接触部の圧接方向に直交する方向の一端が上記半田接合部の1つに、他端が上記半田接合部の他の1つに、それぞれ連接されて
いる。この
ため、導電性部材が間に挿入される一対の支持部は、弾性接触部の圧接方向に直交する方向の一端が半田接合部の1つに、他端が半田接合部の他の1つに、それぞれ連接されるため、一層安定してプリント配線基板から浮き上がった位置に支持される。従って、導電性部材をプリント配線基板に一層容易に固定することができ、かつ、弾性接触部が永久変形するのも一層良好に抑制することができる。
【0012】
そして、その場合、上記一対の支持部は、上記半田接合部の下面からの距離が離れるに従って互いの間隙が広がるように構成されてもよい。その場合、導電性部材を一対の支持部の間に挿入するのが一層容易になる。
【0013】
また、本発明の
他の形態の表面実装クリップでは、上記一対の支持部は
、半田接合部の対向する一対の辺から上記半田接合部の上面方向に屈曲して更に上記半田接合部の下面方向に折り返された形状を有して、その折り返された先端が上記半田接合部の延長線上に配設され、上記弾性接触部は上記一対の辺に直交する方向から上記導電性部材に圧接されてもよい。この場合、半田接合部の上面方向に屈曲して更に半田接合部の下面方向に折り返された形状を有する一対の支持部は、一端が半田接合部に連接され、他端(上記先端)がプリント配線基板に半田接合される。このため、上記一対の支持部を一層安定してプリント配線基板から浮き上がった位置に支持することができる。従って、導電性部材をプリント配線基板に一層容易に固定することができ、かつ、弾性接触部が永久変形するのも一層良好に抑制することができる。
【0014】
また、本発明の表面実装クリップは、上記半田接合部に、その半田接合部の上面方向に上記一対の支持部よりも少なく変位して連接され、その半田接合部が上記プリント配線基板に半田接合されて上記一対の支持部の間に上記導電性部材が挿入された際に、その導電性部材に上記プリント配線基板の側から当接する補助接触部を更に備えてもよい。この場合、半田接合部がプリント配線基板に半田接合されると、補助接触部は上記プリント配線基板から浮き上がった位置に支持され、ある程度のバネ特性(弾性)を有している。そして、その状態で一対の支持部の間に導電性部材が挿入されると、上記補助接触部はその導電性部材に上記プリント配線基板の側から当接する。このため、上記導電性部材を上記一対の支持部の間に強く挿入したとしても、その負荷がプリント配線基板に加わるのを抑制することができる。また、上記導電性部材の固定後も上記補助接触部がその導電性部材にプリント配線基板側から当接するので、上記導電性部材と上記プリント配線基板の導体パターンとの導通を一層良好に確保することができる。
【0015】
また、上記一対の支持部は、上記半田接合部と平行な平行支持部をそれぞれ有しても良い。上記弾性接触部は、上記各支持部の上記各平行支持部における互いに対向する側の端縁にそれぞれ連接されてもよい。
【0016】
この場合、各弾性接触部は、それぞれが連接された上記各平行支持部、すなわち、一対の支持部のうちの半田接合部と平行な部分の上記薄板を、半田接合部方向に折り曲げて構成される。このため、一対の支持部の間に導電性部材が挿入されると、その挿入によって、各弾性接触部には上記折り曲げを増加させる方向に力が加わる。導電性部材の挿入により上記折り曲げを減少させる方向、すなわち、本発明の表面実装クリップを元の薄板形状に戻す方向に力が加わると、弾性接触部が導電性部材から離れる方向に永久変形する可能性が高まるのに対して、この場合はその逆方向に力が加わるので、弾性接触部の永久変形を良好に抑制することができる。また、この場合、一対の支持部の間の上記薄板も、その少なくとも一部を弾性接触部の材料として利用することができ、表面実装クリップの製造に要する材料を低減することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態を、実施例を挙げて図面と共に説明する。なお、本発明は以下の実施例等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【0020】
[第1実施例]
図1A〜
図1Jは、本発明が適用された第1実施例の表面実装クリップ1の構成を表す図である。表面実装クリップ1は、バネ特性を発揮し得る金属(例えばリン青銅,ベリリウム銅,SUS等)からなる1枚の薄板を、所定形状に打ち抜くと共に折り曲げて形成されている。また、表面実装クリップ1は、その表面実装クリップ1が装着されるプリント配線基板90(
図2A〜
図2E参照)等の姿勢に応じて種々の姿勢で使用される。以下の説明では便宜上、
図1Cにおける手前側を前方、図面右側を右、図面上側を上という場合がある。
【0021】
図1A〜
図1Jに示すように、この表面実装クリップ1は、2つの略矩形の半田接合部2,3を備えている。半田接合部2,3における下面2A,3Aは、後述の半田接合面に相当する。半田接合部2は半田接合部3よりも前後方向(半田接合部2の長手方向)に大きい。半田接合部2,3の左右方向(半田接合部3の長手方向)の寸法はほぼ同じである。そして、半田接合部2の上面2Bは、自動実装時に吸着ノズル(図示せず)に吸着される吸着面となっている。
【0022】
半田接合部2と半田接合部3との間には、一対の支持部4,5が掛け渡されている。この支持部4,5は、平行支持部4A,5Aと、連接部4B,5Bと、連接部4C,5Cと、を含む。連接部4B,5Bは、半田接合部2の前後方向(半田接合部2の長手方向)の両端のうち半田接合部3側の一端側と接続し、前後方向にやや傾斜して延在している(例えば
図1B,
図1D参照)。連接部4C,5Cは、半田接合部3の前後方向の両端のうち半田接合部2側の一端側と接続し、略鉛直方向に延在している(例えば
図1B,
図1D参照)。平行支持部4A,5Aは、連接部4B,5Bの上端と連接部4C,5Cの上端との間に延在している。連接部4B,5Bの上端の高さと連接部4C,5Cの上端の高さとは同一であり、平行支持部4A,5Aは、その平行支持部4A,5Aの上面及び下面が下面2A,3Aと平行となるように設けられている。
【0023】
平行支持部4Aの外側の辺(平行支持部5Aと反対側の辺)には弾性接触部6が連接されている。弾性接触部6は、平行支持部4Aから突出しつつ円弧状に折り返されたような形状を有し、また、斜め下方に向かって傾斜して延在する部分を有する。弾性接触部6の先端6Aは支持部4,5の間の空間に突出している。
【0024】
平行支持部5Aの外側の辺(平行支持部4Aと反対側の辺)には弾性接触部7が連接されている。弾性接触部7は、平行支持部5Aから突出しつつ円弧状に折り返されたような形状を有し、また、斜め下方に傾斜して延在する部分を有する。弾性接触部7の先端7Aは支持部4,5の間の空間に突出している。
【0025】
なお、弾性接触部7は弾性接触部6よりも大きい。そして、弾性接触部7の先端7Aは弾性接触部6の先端6Aの下方に位置している。先端6Aと先端7Aとは、垂直方向において一部重畳している(
図1C,
図1J参照)。
【0026】
このように構成された表面実装クリップ1では、半田接合部2,3の下面2A,3Aがプリント配線基板90の導体パターン(図示省略)に半田接合される。すると、その半田接合部2,3と連接された一対の支持部4,5は、プリント配線基板90から浮き上がった位置に支持される。
【0027】
図2A〜
図2Eは、表面実装クリップ1の使用例を表す図である。
図2A〜
図2Eでは、金属製のシールドケース91(導電性部材の一例)を、プリント配線基板90に固定する場合が示されている。シールドケース91は、略正方形の天板91Aの周囲に側壁91Bが立設された構成を有している。
【0028】
図2Eに示すように、上記のようにプリント配線基板90に表面実装クリップ1を半田接合すると、一対の支持部4,5は、側壁91Bを挿入可能な間隔を開けてプリント配線基板90から浮き上がった位置に支持される。
【0029】
前述のように、弾性接触部6,7の先端6A,7Aは支持部4,5の間の空間に突出して一部重畳している。このため、支持部4,5の間に側壁91Bが挿入されると、その側壁91Bに弾性接触部6,7が圧接され、シールドケース91がプリント配線基板90に固定される。しかも、弾性接触部6,7は平行支持部4A,5Aの外側から回り込むようにして支持部4,5の間の空間に突出しているので、使用中に上記圧接力が低下することが良好に抑制され得る。
【0030】
このように、本第1実施例の表面実装クリップ1を使用すれば、プリント配線基板90から浮き上がった位置に支持された一対の支持部4,5の間に側壁91B等の導電性部材を挿入するだけで、その導電性部材をプリント配線基板90に容易に固定することができる。しかも、上記導電性部材には、特許文献1に記載されたような舌片等を設ける必要がない。更に、弾性接触部6,7は、支持部4,5の平行支持部4A,5Aに、半田接合部2,3方向(プリント配線基板90方向)に傾斜して連接されている。このため、上記導電性部材に外部から力が加わったときでもその導電性部材等が弾性接触部6,7に横から当たることを上記一対の支持部4,5によって抑制でき、ひいては、弾性接触部6,7が永久変形するのを抑制し得る。これにより、シールドケース91等の導電性部材のプリント配線基板90への取付強度を高めることができる。
【0031】
また、本第1実施例の表面実装クリップ1では、支持部4,5の両端が一対の半田接合部2,3にそれぞれ連接されているため、支持部4,5は一層安定してプリント配線基板90から浮き上がった位置に支持される。更に、支持部4,5は、弾性接触部6,7よりも高い剛性を有するように設計されている。従って、上記導電性部材をプリント配線基板90に一層容易に固定することができ、かつ、弾性接触部6,7が永久変形するのも一層良好に抑制することができる。
【0032】
しかも、支持部4,5の間隔は、従来品の表面実装クリップの間隔(間口)よりも広くなるようにされており、導電性部材の挿入が一層容易になる。このため、表面実装クリップ1は従来品よりも小型化が可能である。よって、表面実装クリップ1が占有する面積を削減することができる。また、機器の軽量化が可能となる。更に、表面実装クリップ1の製造コストを低減することができる。
【0033】
また、支持部4,5は、左右方向に比較して前後方向の方に変形し易い構成となっているが、シールドケース91に外力が加わった場合は側壁91Bが支持部4,5の間を前後方向にある程度横滑りすることができ、これにより上記外力が吸収され得るため、支持部4,5の変形も良好に抑制することができる。
【0034】
また更に、本第1実施例では、上記特許文献1と異なり、シールドケース91の側壁91Bに舌片を設ける必要がないので、単に電子装置の製造コストを低減することができるばかりでなく、次のような効果も生じる。すなわち、特許文献1のように、側壁91Bの端縁に舌片を設けると、その隙間から高周波が漏れる可能性があるが、本第1実施例では、側壁91Bの端縁は直線状のままでよいので、高周波が漏れるのを一層良好に抑制することができる。
【0035】
[第2実施例]
次に、
図3A〜
図3Jは、本発明が適用された第2実施例の表面実装クリップ21の構成を表す図である。表面実装クリップ21は、2個の第1実施例の表面実装クリップ1を、半田接合部2を共有するように連接したような構成を有する。
図3A〜
図3Jでは、表面実装クリップ1と同様に構成された箇所には
図1A〜
図1Jと同様の符号を付して構成の詳細な説明は省略する。
【0036】
このように構成された表面実装クリップ21では、支持部4,5及び弾性接触部6,7が2組存在するのに対して半田接合部2は1個で済むこととなる。つまり、支持部4,5及び弾性接触部6,7の数を確保できる一方で部品の大きさ、或いは部品の構成を削減することができる。例えば、より少ない数の表面実装クリップ21によって一層強固にシールドケース91等を固定することができる。
【0037】
[第3実施例]
図4A〜
図4Jは、本発明が適用された第3実施例の表面実装クリップ31の構成を表す図である。表面実装クリップ31は、半田接合部2の部分が次のように変更された点において表面実装クリップ1と異なり、他の部分は表面実装クリップ1と同様に構成されている。
図4A〜
図4Jでは、表面実装クリップ1と同様に構成された箇所には
図1A〜
図1Jと同様の符号を付して構成の詳細な説明は省略する。
【0038】
図4A〜
図4Jに示すように、連接部4B,5Bが半田接合部32Bに連接されている。半田接合部32Bの下面32Aは半田接合面として構成される。半田接合部32Bには、補助接触部32Cが、連接部32Dを介して連接されている。補助接触部32Cは、半田接合部32B,3よりも上方に浮き上がった位置に配設されている。この構成は、連接部32Dが傾斜して延在していることにより達成される。また、補助接触部32Cは、半田接合部32B,3と平行に配設されている。
【0039】
なお、第1実施形態の表面実装クリップ1では、半田接合部3の左右方向(半田接合部3の長手方向)の幅よりも半田接合部2の左右方向(半田接合部2の短辺方向)の幅の方が若干大きくなるように設計されていたが、本第3実施例の表面実装クリップ31では、半田接合部32B,連接部32D,補助接触部32Cの左右方向(補助接触部32Cの短辺方向)の幅は半田接合部3の左右方向(半田接合部3の長手方向)の幅と同じになるように設計されている。
【0040】
このような補助接触部32Cを備えた場合、半田接合部32B,3がプリント配線基板90に半田接合されると、補助接触部32Cはプリント配線基板90から浮き上がった位置に支持される。このとき、連接部32D及び補助接触部32C全体がある程度のバネ特性(弾性)を有することとなる。
【0041】
一対の支持部4,5の間にシールドケース91等の導電性部材が挿入されると、シールドケース91の下端が補助接触部32Cに当接する。換言すれば、補助接触部32Cはシールドケース91(導電性部材)にプリント配線基板90の側から当接する。
【0042】
この場合、シールドケース91(導電性部材)を一対の支持部4,5の間に強く挿入したとしても、その負荷がプリント配線基板90に加わるのを抑制することができる。また、シールドケース91(導電性部材)の固定後も補助接触部32Cがそのシールドケース91(導電性部材)にプリント配線基板90側から当接するので、シールドケース91(導電性部材)とプリント配線基板90の導体パターンとの導通を一層良好に確保することができる。
【0043】
[第4実施例]
図5A〜
図5Jは、本発明が適用された第4実施例の表面実装クリップ41の構成を表す図である。表面実装クリップ41は、弾性接触部6が省略された点と支持部4,5の構成が次のように変更された点とにおいて第1実施例の表面実装クリップ1と異なり、他の部分は表面実装クリップ1とほぼ同様に構成されている。そこで、
図5A〜
図5Jでは、表面実装クリップ1と同様に構成された箇所には
図1A〜
図1Jと同様の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0044】
図5Jに示すように、弾性接触部6が省略されても、シールドケース91の側壁91B等(
図2A〜
図2E参照)の導電性部材を弾性接触部7によって支持部4に圧接することで、その導電性部材を固定することができる。また、本第4実施例では、一対の支持部4,5は、半田接合部2,3からの距離が離れるに従って互いの間隙が広がるように、平行支持部4A,5Aの近傍で面取りが施されている。このため、上記導電性部材を一対の支持部4,5の間に挿入するのが一層容易になる。なお、本第4実施例でも、第3実施例と同様に、半田接合部2,3の左右方向の幅が同じになるように設計されている。
【0045】
[第5実施例]
図6A〜
図6Iは、本発明が適用された第5実施例の表面実装クリップ51の構成を表す図である。
図6A〜
図6Iに示すように、本第5実施例の表面実装クリップ51では、半田接合部52は、吸着部52Cと、基部52Dとに分かれている。
【0046】
下面52Aは半田接合面として構成される。上面52Bは図示しない吸着ノズルによって吸着される吸着面として構成される。基部52Dには支持部54,55が連接される。なお、吸着部52Cと基部52Dとは連接されているが、その連接部は左右方向に括れている。
【0047】
本第5実施例における一対の支持部54,55は、
図6Cに示すように、正面視ループ状の形状を有している。支持部54,55は、基部52Dの対向する一対の辺から半田接合部52の上方に向かって斜めに延在する部分と、折り返されるように円弧状に湾曲した部分と、略鉛直方向に延在する部分と、を有する。支持部54,55における先端54A,55Aは、半田接合部52とほぼ同一の高さの位置に位置している(半田接合部52の延長線上に配設されている)。
【0048】
支持部54,55の内側側面には矩形の穴部54C,55Cが穿設され、弾性接触部56,57が、その穴部54C,55Cを通過している。弾性接触部56,57は、支持部54,55の外側側面に先端54A,55A側から切り込みを入れることで形成されたものである。
【0049】
なお、支持部54,55は、正面視で、上方へ行くほど左右方向に膨らむようなループ形状を有している(
図6C参照)。弾性接触部56,57は、例えば
図6Cに示されるように、支持部54,55の上端近傍から切り起こされて内側下向きに傾斜し、その先端56A,57Aが支持部54,55の間の空間に突出するように構成されている。
【0050】
図7は、表面実装クリップ51のプリント配線基板90への装着状態を表す正面図である。前述のように、支持部54,55の先端54A,55Aは半田接合部52とほぼ同一の高さの位置に位置しているので(半田接合部52の延長線上に配設されているので)、下面52Aを半田93によってプリント配線基板90に半田接合した場合、半田93が半田接合部52と先端54A,55Aとの隙間(換言すれば先端54A,55Aの外周部)等にも形成され、支持部54,55は強固な壁として機能する。このため、本第5実施例でも、上記各実施例と同様に、弾性接触部56,57が永久変形するのを良好に抑制することができ、シールドケース91等の導電性部材のプリント配線基板90への取付強度を高めることができる。しかも、支持部54,55の間隔は、従来品の表面実装クリップにおける間隔(間口)よりも広くなっており、導電性部材の挿入が一層容易になる。このため、表面実装クリップ51は従来品よりも小型化することが可能である。よって、表面実装クリップ51が占有する面積を削減することができる。また、機器の軽量化が可能となる。更に、表面実装クリップ51の製造コストを低減することができる。
【0051】
また、本第5実施例の表面実装クリップ51は、前述のように支持部54,55の上端近傍が半田接合部52の上方に膨れた形状となっているので、
図8Aの平面図,
図8Bの左上斜視図,
図8Cの右上斜視図,
図8Dの8D−8D線断面図に示すように、その膨れた部分と弾性接触部56,57との間に電線97等の導電性部材も挿入して固定することができる。
【0052】
[第6実施例]
図9A〜
図9Jは、本発明が適用された第6実施例の表面実装クリップ61の構成を表す図である。表面実装クリップ61は、弾性接触部6,7と支持部4,5との構成が次のように変更された点において第1実施例の表面実装クリップ1と異なり、他の部分は表面実装クリップ1とほぼ同様に構成されている。そこで、
図9A〜
図9Jでは、表面実装クリップ1と同様に構成された箇所には
図1A〜
図1Jと同様の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0053】
本第6実施例では、第4実施例と同様に、一対の支持部4,5は、半田接合部2,3からの距離が離れるに従って互いの間隙が広がるように、平行支持部4A,5Aの近傍で面取りが施されている。このため、導電性部材を一対の支持部4,5の間に挿入するのが一層容易になる。また、本第6実施例でも、第3,第4実施例と同様に、半田接合部2,3の左右方向の幅が同じになるように設計されている。
【0054】
また、本第6実施例では、支持部4,5を合わせた左右方向の幅が半田接合部2,3の左右方向の幅よりも若干大きくなるように設計されている。支持部4の平行支持部4Aにおいて、平行支持部5Aに対向する側には、弾性接触部66及び切欠部4Dが形成されている。支持部5の平行支持部5Aにおいて、平行支持部4Aに対向する側には、弾性接触部67及び切欠部5Dが形成されている。弾性接触部66と切欠部5Dとが向かい合うように対応しており、弾性接触部67と切欠部4Dとが向かい合うように対応している。この結果、弾性接触部66,67は、
図9Aに示すように、前後方向にずれた位置に配設されている。
【0055】
このため、本第6実施例の表面実装クリップ61は、弾性接触部66,67の長さ(平行支持部4A,5Aに対する付け根から先端66A,67Aに至る長さ)を、平行支持部4A,5Aの間隔にさらに切欠部4D,5Dの切欠深さを合わせた長さまで確保することができる。従って、本第6実施例の表面実装クリップ61は、前述のように1枚の薄板を打ち抜いて形成する際に、支持部4,5の間の上記薄板も弾性接触部66,67の材料として利用することができ、その表面実装クリップ61の製造に要する材料を低減することもできる。
【0056】
そして、弾性接触部66,67は平行支持部4A,5Aの下方に屈曲されて下向きに傾斜し、先端66A,67Aが支持部4,5の間の空間に突出して、前後方向に一部重畳している(
図9A,
図9E参照)。このため、本第6実施例でも、シールドケース91の側壁91B等(
図2A〜
図2E参照)の導電性部材に弾性接触部66,67を圧接してその導電性部材を固定することができる。
【0057】
ここで、本第6実施例では、各弾性接触部66,67は、平行支持部4A,5Aを構成する上記薄板を、下方(半田接合部2,3方向)に折り曲げて構成される。このため、支持部4,5の間に側壁91B等の導電性部材が挿入されると、その挿入によって、各弾性接触部66,67には上記折り曲げを増加させる方向に力が加わる。導電性部材の挿入により上記折り曲げを減少させる方向、すなわち、表面実装クリップを元の薄板形状に戻す方向に力が加わると、弾性接触部が導電性部材から離れる方向に永久変形する可能性が高まるが、本第6実施例ではその逆方向に力が加わるので、弾性接触部66,67の永久変形を良好に抑制することができる。
【0058】
しかも、本第6実施例では、弾性接触部66は平行支持部4Aの切欠部4Dの支持部5側端縁に連接され、弾性接触部67は平行支持部5Aの切欠部5Dの支持部4側端縁に連接されている。このため、上記導電性部材が弾性接触部66,67に横から当たってその弾性接触部66,67が永久変形するのを、支持部4,5によって極めて良好に抑制することができる。