特許第5740672号(P5740672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740672
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】電気通信システム及び電気通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/26 20090101AFI20150604BHJP
   H04W 72/10 20090101ALI20150604BHJP
   H04W 28/16 20090101ALI20150604BHJP
【FI】
   H04W36/26
   H04W72/10
   H04W28/16
【請求項の数】22
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-3893(P2013-3893)
(22)【出願日】2013年1月11日
(62)【分割の表示】特願2009-502186(P2009-502186)の分割
【原出願日】2007年3月19日
(65)【公開番号】特開2013-123243(P2013-123243A)
(43)【公開日】2013年6月20日
【審査請求日】2013年2月12日
(31)【優先権主張番号】06290516.1
(32)【優先日】2006年3月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504179613
【氏名又は名称】オランジュ エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シャオバオ
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス、フィリップ
【審査官】 青木 健
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/084061(WO,A1)
【文献】 特開2000−308117(JP,A)
【文献】 特開平08−265825(JP,A)
【文献】 特開2000−278736(JP,A)
【文献】 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects;,End-to-end Quality of Service (QoS) concept and architecture,3GPP TS 23.207 V6.4.0,2004年 9月,P. 1-31
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/24 − 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信の機能を移動ノードに提供する電気通信システムにおいて、
コアネットワークと無線ネットワークとを含むパケット無線ネットワークを備え、
上記コアネットワークは、インターネットパケットを、上記パケット無線ネットワーク内の上記移動ノードの位置に基づいて、上記無線ネットワークに/から通信し、
上記無線ネットワークは、上記コアネットワークによって受信されたインターネットパケット及び無線アクセスインタフェースに送信するインターネットパケットを、上記移動ノードに/から通信し、
上記コアネットワーク及び上記無線ネットワークは、
上記移動ノードの位置に基づいて確立された当該コアネットワーク及び当該無線ネットワークのうちの少なくとも1つの現在のルーティング構成及び通信リソースに基づいて、上記インターネットパケットを通信し、
上記移動ノードは、
上記インターネットパケットを上記無線ネットワークに亘って通信する通信ベアラを確立するパケット接続手順に基づいて、他の移動ノードから受信されるインターネットパケットに対する優先度であって、当該移動ノードに/から通信するインターネットパケットに与える該優先度を表すサービスレベル識別子を含むパケットデータ接続起動要求を生成し、
上記パケットデータ接続起動要求を、上記パケット無線ネットワークの上記コアネットワークに通信し、
上記コアネットワークは、
上記パケットデータ接続起動要求に基づいて、当該コアネットワーク及び上記無線ネットワークを介する上記移動ノードへの/からの通信ベアラを確立し、
上記移動ノードの位置が変化した後の当該コアネットワーク及び上記無線ネットワークのうちの少なくとも1つの上記現在のルーティング構成及び通信リソースを、上記優先度を表す上記サービスレベル識別子に基づいて適応化することを特徴とする電気通信システム。
【請求項2】
上記ルーティング構成及び通信リソースは、上記インターネットパケットを上記移動ノードに通信し及び該移動ノードから受信できるように、インターネットパケットがルーティングされ及び受信されるルーティングエリアを上記コアネットワークに提供することを含み、
上記コアネットワークは、上記移動ノードから受信されるルーティングエリア更新要求に応じて、該ルーティングエリア更新要求を、上記サービスレベル識別子によって表される要求優先度に基づいて処理することを特徴とする請求項1記載の電気通信システム。
【請求項3】
上記コアネットワークは、少なくとも1つのサービングパケット無線システムサポートノードと、パケット無線システムゲートウェイサポートノードとを含み、
上記移動ノードから受信されるルーティングエリア更新要求は、サービングパケット無線システムサポートノード内ルーティングエリア更新を含むことを特徴とする請求項2記載の電気通信システム。
【請求項4】
上記コアネットワークは、少なくとも1つのサービングパケット無線システムサポートノードと、パケット無線システムゲートウェイサポートノードとを含み、
上記移動ノードから受信されるルーティングエリア更新要求は、サービングパケット無線システムサポートノード間ルーティングエリア更新を含むことを特徴とする請求項2記載の電気通信システム。
【請求項5】
上記ルーティング構成及び通信リソースは、上記無線ネットワークの複数の無線通信ノードのうちの第1の無線通信ノードに対する上記移動ノードの接続に基づいて、上記インターネットパケットを該移動ノードに/からルーティングし、
上記コアネットワークは、上記移動ノードが上記無線ネットワークの上記第1の無線通信ノードから第2の無線通信ノードに加入した後の該移動ノードの該第1の無線通信ノードと該第2の無線通信ノード間のハンドオーバ手順を、上記サービスレベル識別子によって表される要求優先度に基づいて、処理することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の電気通信システム。
【請求項6】
上記パケットデータ接続起動要求は、パケットデータプロトコル起動要求であり、上記サービスレベル識別子は、該パケットデータプロトコル起動要求のプロトコル設定オプションパートによって提供されることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の電気通信システム。
【請求項7】
上記コアネットワークは、上記サービスレベル識別子が、上記移動ノードに割り当てられたパケットデータプロトコルアドレスに関連して記憶されるプロファイルキャッシュを維持することを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の電気通信システム。
【請求項8】
上記コアネットワークは、
上記サービスレベル識別子によって表される要求優先度を、上記パケットデータプロトコルアドレスに関連して予め設定されたプリセット優先度と比較し、
上記要求優先度が上記プリセット優先度を超えていない場合、上記サービスレベル識別子によって表される要求優先度に基づいて、上記インターネットパケットを通信することを特徴とする請求項7記載の電気通信システム。
【請求項9】
上記パケット無線ネットワークは、汎用パケット無線システム(General Packet Radio System:GPRS)であることを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載の電気通信システム。
【請求項10】
コアネットワーク及び無線ネットワークを含むパケット無線ネットワークを用いて、移動ノードと移動通信を行う電気通信方法において、
インターネットパケットを、上記パケット無線ネットワーク内の上記移動ノードの位置に基づいて、該パケット無線ネットワークの上記無線ネットワークに/から通信するステップと、
上記移動ノードの位置に基づいて確立された上記コアネットワーク及び上記無線ネットワークのうちの少なくとも1つの現在のルーティング構成及び通信リソースに基づいて、該コアネットから該無線ネットワークによって受信される又は該無線ネットワークから該コアネットワークに送信するインターネットパケットを、無線アクセスインタフェースを介して、上記移動ノードに/から通信するステップとを有し、
上記移動ノードの位置に基づいて現在のルーティング構成及び通信リソースを確立する処理は、
上記移動ノードを用いて、上記インターネットパケットを上記無線ネットワークに亘って通信する通信ベアラを確立するパケット接続手順に基づいて、パケットデータ接続起動要求を生成するステップと、
上記パケットデータ接続起動要求を、他の移動ノードから受信されるインターネットパケットに対する優先度であって、上記移動ノードに/から通信するインターネットパケットに与える該優先度を表すサービスレベル識別子を含むように適応化するステップと、
上記パケットデータ接続起動要求を、上記パケット無線ネットワークの上記コアネットワークに通信するステップと、
上記コアネットワーク及び上記無線ネットワークを介する上記移動ノードへの/からの通信ベアラを、上記パケットデータ接続起動要求に基づいて確立するステップと、
上記移動ノードの位置が変化した後の上記コアネットワーク及び上記無線ネットワークのうちの少なくとも1つの上記現在のルーティング構成及び通信リソースを、上記優先度を表す上記サービスレベル識別子に基づいて適応化するステップとを有することを特徴とする電気通信方法。
【請求項11】
上記ルーティング構成及び通信リソースは、上記インターネットパケットを上記移動ノードに通信し及び該移動ノードから受信できるように、インターネットパケットがルーティングされ及び受信されるルーティングエリアを上記コアネットワークに提供することを含み、
上記移動ノードから受信されるルーティングエリア更新要求に応じて、該ルーティングエリア更新要求を、上記サービスレベル識別子によって表される要求優先度に基づいて処理するステップを更に有する請求項10記載の電気通信方法。
【請求項12】
上記コアネットワークは、少なくとも1つのサービングパケット無線システムサポートノードと、パケット無線システムゲートウェイサポートノードとを含み、
上記移動ノードから受信されるルーティングエリア更新要求は、サービングパケット無線システムサポートノード内ルーティングエリア更新を含むことを特徴とする請求項11記載の電気通信方法。
【請求項13】
上記コアネットワークは、少なくとも1つのサービングパケット無線システムサポートノードと、パケット無線システムゲートウェイサポートノードとを含み、
上記移動ノードから受信されるルーティングエリア更新要求は、サービングパケット無線システムサポートノード間ルーティングエリア更新を含むことを特徴とする請求項11記載の電気通信方法。
【請求項14】
上記ルーティング構成及び通信リソースは、上記無線ネットワークの複数の無線通信ノードのうちの第1の無線通信ノードに対する上記移動ノードの接続に基づいて、上記インターネットパケットを該移動ノードに/から通信するように決定され、
上記移動ノードが上記無線ネットワークの上記第1の無線通信ノードから第2の無線通信ノードに加入した後に、上記コアネットワークにおいて、該移動ノードの該第1の無線通信ノードと該第2の無線通信ノード間のハンドオーバ手順を、上記サービスレベル識別子によって表される要求優先度に基づいて、処理するステップを更に有することを特徴とする請求項10乃至13いずれか1項記載の電気通信方法。
【請求項15】
上記パケットデータ接続起動要求は、パケットデータプロトコル起動要求であり、上記サービスレベル識別子は、該パケットデータプロトコル起動要求のプロトコル設定オプションパートによって提供されることを特徴とする請求項10乃至14いずれか1項記載の電気通信方法。
【請求項16】
上記コアネットワークによって、上記サービスレベル識別子が、上記移動ノードに割り当てられたパケットデータプロトコルアドレスに関連して記憶されるプロファイルキャッシュを維持するステップを更に有する請求項10乃至14いずれか1項記載の電気通信方法。
【請求項17】
上記サービスレベル識別子によって表される要求優先度を、上記パケットデータプロトコルアドレスに関連して予め設定されたプリセット優先度と比較するステップと、
上記要求優先度が上記プリセット優先度を超えていない場合、上記サービスレベル識別子によって表される要求優先度に基づいて、上記インターネットパケットを通信するステップとを更に有する請求項16記載の電気通信方法。
【請求項18】
コアネットワーク及び無線ネットワークを含むパケット無線ネットワークに/からインターネットパケットを通信することによって、移動通信の機能を有する移動ノードにおいて、
当該移動ノードは、
上記インターネットパケットを、無線アクセスインタフェースを介して、上記パケット無線ネットワークの上記無線ネットワークに/から通信し、該無線ネットワークは、上記コアネットワークから受信される又は該コアネットワークに送信するインターネットパケットを、該無線アクセスインタフェースを介して、当該移動ノードに/から通信し、該コアネットワーク及び該無線ネットワークは、当該移動ノードの位置に基づいて確立された該コアネットワーク及び該無線ネットワークのうちの少なくとも1つの現在のルーティング構成及び通信リソースに基づいて、上記インターネットパケットを通信し、
当該移動ノードは、
上記インターネットパケットを上記無線ネットワークに亘って通信する通信ベアラを確立するパケット接続手順に基づいて、他の移動ノードによって通信されるインターネットパケットに対する優先度であって、当該移動ノードに受信される及び当該移動ノードから送信するインターネットパケットに与える該優先度を表すサービスレベル識別子を含むパケットデータ接続起動要求を生成し、
上記パケットデータ接続起動要求を、上記パケット無線ネットワークの上記コアネットワークに通信する移動ノード。
【請求項19】
コアネットワーク及び無線ネットワークを含むパケット無線ネットワークを用いる移動ノードを用いて、インターネットパケットを通信する電気通信方法において、
上記無線ネットワークは、上記コアネットワークを介して受信される又は送信するインターネットパケットを、無線アクセスインタフェースを介して、上記移動ノードに/から通信するように配置されており、上記コアネットワーク及び上記無線ネットワークは、上記移動ノードの位置に基づいて確立された該コアネットワーク及び該無線ネットワークのうちの少なくとも1つの現在のルーティング構成及び通信リソースに基づいて、上記インターネットパケットを通信するように配置されており、上記インターネットパケットを、上記無線アクセスインタフェースを介して、上記パケット無線ネットワークの上記無線ネットワークに/から通信するステップと、
上記インターネットパケットを上記無線ネットワークに亘って通信する通信ベアラを確立するパケット接続手順に基づいて、他の移動ノードによって通信されるインターネットパケットに対する優先度であって、上記移動ノードによって受信される及び該移動ノードから送信するインターネットパケットに与える該優先度を表すサービスレベル識別子を含むパケットデータ接続起動要求を生成するステップと、
上記パケットデータ接続起動要求を、上記パケット無線ネットワークの上記コアネットワークに通信するステップとを有する電気通信方法。
【請求項20】
コアネットワーク及び無線ネットワークを含むパケット無線ネットワークを用いて、移動ノードと移動通信を行う電気通信方法において、
インターネットパケットを、上記パケット無線ネットワーク内の上記移動ノードの位置に基づいて、該パケット無線ネットワークの上記無線ネットワークに/から通信するステップと、
上記移動ノードの位置に基づいて確立された上記コアネットワーク及び上記無線ネットワークのうちの少なくとも1つの現在のルーティング構成及び通信リソースに基づいて、該コアネットワークから該無線ネットワークによって受信される又は該無線ネットワークから該コアネットワークに送信するインターネットパケットを、無線アクセスインタフェースを介して、上記移動ノードに/から通信するステップと、
上記インターネットパケットを上記無線ネットワークに亘って通信する通信ベアラを確立するパケット接続手順に基づいて、他の移動ノードから受信されるインターネットパケットに対する優先度であって、上記移動ノードに/から通信するインターネットパケットに与える該優先度を表すサービスレベル識別子を含むパケットデータ接続起動要求を、該移動ノードから受信するステップと、
上記コアネットワーク及び上記無線ネットワークを介する上記移動ノードへの/からの通信ベアラを、上記パケットデータ接続起動要求に基づいて確立するステップと、
上記移動ノードの位置が変化した後の上記コアネットワーク及び上記無線ネットワークのうちの少なくとも1つの上記現在のルーティング構成及び通信リソースを、上記優先度を表す上記サービスレベル識別子に基づいて適応化するステップとを有する電気通信方法。
【請求項21】
コアネットワーク及び無線ネットワークを含むパケット無線ネットワークを用いる移動ノードを用いて、インターネットパケットを通信する通信装置において、
上記無線ネットワークは、上記コアネットワークを介して受信される又は送信するインターネットパケットを、無線アクセスインタフェースを介して、上記移動ノードに/から通信するように配置されており、上記コアネットワーク及び上記無線ネットワークは、上記移動ノードの位置に基づいて確立された該コアネットワーク及び該無線ネットワークのうちの少なくとも1つの現在のルーティング構成及び通信リソースに基づいて、インターネットパケットを通信するように配置されており、上記インターネットパケットを、上記無線アクセスインタフェースを介して、上記パケット無線ネットワークの上記無線ネットワークに/から通信する手段と、
上記インターネットパケットを上記無線ネットワークに亘って通信する通信ベアラを確立するパケット接続手順に基づいて、他の移動ノードによって通信されるインターネットパケットに対する優先度であって、上記移動ノードによって受信される及び該移動ノードから送信するインターネットパケットに与える該優先度を表すサービスレベル識別子を含むパケットデータ接続起動要求を生成する手段と、
上記パケットデータ接続起動要求を、上記パケット無線ネットワークの上記コアネットワークに通信する手段とを備える通信装置。
【請求項22】
コアネットワーク及び無線ネットワークを含むパケット無線ネットワークを用いて、移動ノードと移動通信を行う通信装置において、
インターネットパケットを、上記パケット無線ネットワーク内の上記移動ノードの位置に基づいて、該パケット無線ネットワークの上記無線ネットワークに/から通信する第1の通信手段と、
上記移動ノードの位置に基づいて確立された上記コアネットワーク及び上記無線ネットワークのうちの少なくとも1つの現在のルーティング構成及び通信リソースに基づいて、該コアネットワークから該無線ネットワークによって受信される又は該無線ネットワークから該コアネットワークに送信するインターネットパケットを、無線アクセスインタフェースを介して、上記移動ノードに/から通信する第2の通信手段と、
上記インターネットパケットを上記無線ネットワークに亘って通信する通信ベアラを確立するパケット接続手順に基づいて、他の移動ノードから受信されるインターネットパケットに対する優先度であって、上記移動ノードに/から通信するインターネットパケットに与える該優先度を表すサービスレベル識別子を含むパケットデータ接続起動要求を、該移動ノードから受信する受信手段と、
上記コアネットワーク及び上記無線ネットワークを介する上記移動ノードへの/からの通信ベアラを、上記パケットデータ接続起動要求に基づいて確立する確立手段と、
上記移動ノードの位置が変化した後の上記コアネットワーク及び上記無線ネットワークのうちの少なくとも1つの上記現在のルーティング構成及び通信リソースを、上記優先度を表す上記サービスレベル識別子に基づいて適応化する適応化手段とを備える通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワーク及びコアネットワークを含むパケット無線ネットワークを用いて、移動ノードに移動通信の機能を提供する電気通信システム及び電気通信方法に関し、移動ノードに/からインターネットパケットを通信する通信ベアラがパケット接続手順を用いて確立される電気通信システム及び電気通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パケット無線ネットワーク、例えば汎用パケット無線システム(General Packet Radio Service:GPRS)では、無線インタフェース及びコアネットワークによって、パケットデータを通信する機能が移動ノードに与えられる。パケット無線ネットワークによって、移動ノードは、パケット無線ネットワークによって提供されるカバレッジエリア内で、通信セッションを維持しながら、移動することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
あるシナリオ、例えばピーク使用時間帯、又は混雑した領域、例えば都心をカバーするパケット無線ネットワークの一部では、パケット無線ネットワークは、様々なネットワークサービスための移動ノードからの大量の要求を処理する必要がある。例えば、移動性、すなわちハンドオーバ要求に起因する移動ノードからの要求は、移動無線ネットワークの無線ネットワーク及びコアネットワークとの両方に影響を与える場合がある。これらのネットワークサービスは、シグナリング、例えばルーティング更新メッセージに関連している場合があり、ルーティング更新メッセージは、実際の音声及び/又はデータセッション、例えば電話、ウェブブラウジング又は電子メールに関連していることもあり、あるいは、ルーティング更新メッセージは、パケット無線ネットワークの構成又は移動性、例えば基地局間のハンドオーバをサポートするために必要な通信リソースの割当に関連していることもある。パケット無線ネットワークがこのような大量の要求を処理する必要があるとき、他の移動ノードからの大量のデータパケットの通信に割り当てことができる通信リソースは限られるので、パケット無線ネットワークを介するデータパケットの通信に遅延又は中断が増える可能性がある。データパケットの通信におけるこのような遅延又は中断の増加によって、特に、リアルタイム又はリアルタイムに近いサービス品質、例えば音声サービス又はビデオ会議を必要とするサービスをサポートすることに携わっている移動ノードのサービス品質が低下する。したがって、特に、リアルタイム又はリアルタイムに近いサービス品質を必要とするサービスをサポートすることに携わっている移動ノードに提供されるサービス品質に影響する可能性を低減させるために、パケット無線ネットワークに亘るデータパケットの通信におけるこのような遅延又は中断を軽減又は少なくとも削減することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施の形態においては、移動通信の機能を移動ノードに提供する電気通信システムは、コアネットワークと無線ネットワークとを含むパケット無線ネットワークを備える。コアネットワークは、インターネットパケットを、パケット無線ネットワーク内の移動ノードの位置に基づいて、無線ネットワークに/から通信し、無線ネットワークは、コアネットワークによって受信された及び無線アクセスインタフェースに送信するインターネットパケットを、移動ノードに/から通信する。コアネットワーク及び無線ネットワークは、移動ノードの位置に基づいて確立されたコアネットワーク及び無線ネットワークのうちの少なくとも1つの現在のルーティング構成及び通信リソースに基づいて、インターネットパケットを通信する。移動ノードは、インターネットパケットを無線ネットワークに亘って通信する通信ベアラを確立するパケット接続手順に基づいて、パケットデータ接続起動要求を生成する。パケットデータ接続起動要求は、他の移動ノードから受信されるインターネットパケットに対する優先度であって、移動ノードに/から通信するインターネットパケットに与える優先度を表すサービスレベル識別子を含む。移動ノードは、パケットデータ接続起動要求を、パケット無線ネットワークのコアネットワークに通信する。コアネットワークは、パケットデータ接続起動要求に基づいて、コアネットワーク及び無線ネットワークを介する移動ノードへの/からの通信ベアラを確立する。コアネットワークは、移動ノードの位置が変化した後のコアネットワーク及び無線ネットワークのうちの少なくとも1つの現在のルーティング構成及び通信リソースを、優先度を表すサービスレベル識別子に基づいて適応化する。
【0005】
パケットデータ接続起動要求にサービスレベル識別子を含ませることによって、パケットデータ接続の処理を優先させることができる。また、パケットデータ接続起動要求にサービスレベル識別子を含ませることによって、コアネットワークは、コアネットワーク及び無線ネットワーク内のルーティング構成又は通信リソースの処理を優先させることができ、したがって、要求されたサービスレベルに応じて、移動ノードにネットワークリソースを割り当てることができる。したがって、優先度が高いデータ伝送のアプリケーションを携わっている移動ノードが、通信ベアラの確立、あるいはルーティング構成又は通信リソースに関連したサービスの要求の何れかで中断又は遅延が生じないように、電気通信システムは、通信リソースの使用を、このような通信ベアラの確立又はこのようなリソースの処理が優先されるように最適化することができる。したがって、例えば、リアルタイムサービスのサポートに携わっている移動ノードには、非リアルタイム又はベストエフォート型のサービス品質、例えば電子メールよりも高い優先度を与えることができ、この移動ノードは、インターネットパケットの通信において遅延又は中断による悪い影響を受けない。
【0006】
リアルタイム又はリアルタイムに近いデータ伝送を必要とする移動ノードのユーザが経験するデータ伝送の遅延及び中断の問題を軽減するために、移動ノードは、パケットデータ起動要求を、サービスレベル識別子を含むように適応化する。サービスレベル識別子は、無線パケットネットワーク内で動作する他の移動ノードから受信されるインターネットパケットに対する優先度であって、移動ノードに/から通信するインターネットパケットに与える優先度を表す。また、コアネットワークは、サービスレベル識別子に基づいて、コアネットワーク及び無線ネットワークにおけるルーティング構成及び通信リソースを適応化する。したがって、移動ノードに/から通信されるインターネットパケット、及び移動ノードに影響を与えるルーティング構成及び通信リソースを、コアネットワークによって優先させることができる。リアルタイム又はリアルタイムに近いデータ伝送を必要とする移動ノードのユーザがより高い優先度で待遇されるので、ネットワークリソースの使用を向上させることができる。
【0007】
一実施の形態においては、コアネットワークは、移動ノードからのルーティングエリア更新要求を、サービスレベル識別子によって表される要求優先度(requested priority)に基づいて処理する。このように、優先度が高いデータ伝送を必要とするアプリケーションを実行している移動ノードは、1つのルーティングエリアから他のルーティングエリアに移動した場合、優先度が低いデータ伝送よりも優先され、優先度が高いサービスは、サービス品質が低下する可能性が少ない。
【0008】
幾つかの実施の形態では、コアネットワークは、移動ノードが無線ネットワーク内の複数の無線通信ノードのうちの第1の無線通信ノードから第2の無線通信ノードに加入を変更するハンドオーバ手順を処理する。このように、コアネットワークは、サービスレベル識別子によって表される要求優先度に基づいて、第1の無線通信ノードと第2の無線通信ノード間の移動ノードの加入を変更する手順を処理する。要求優先度に基づいて加入を変更することによって、優先度が高いデータ伝送を必要とするアプリケーションを実行している移動ノードは、加入を変更したとき、加入を変更するこのような手順の処理が優先されるので、サービス品質が低下する可能性が低減され、一方、遅延及び中断に影響されないアプリケーションを実行している、データ伝送の優先度が低い移動ノードの加入の変更は、低い優先度によって実行される。
【0009】
本発明の様々な更なる実施の形態及び特徴は、添付の特許請求の範囲に定義されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】GPRS/UMTSパケット無線ネットワークのブロック図である。
図2】GPRS/UMTSパケット無線ネットワークのブロック図である。
図3】GPRS/GSM規格に基づいて動作するパケット無線ネットワークのブロック図である。
図4】移動ノードからコアネットワークに送信されるPDPコンテキスト起動要求メッセージを説明する図である。
図5】パケット設定オプション情報要素のフォーマットを示す図である。
図6】移動ノードからコアネットワークに送信される、サービスレベル識別子(SID)を含むように適応化されたPDPコンテキスト起動要求メッセージを示す図である。
図7】移動ノードから、サービスレベル識別子キャッシュを含むコアネットワークに送信される、サービスレベル識別子を含むように適応化されたPDPコンテキスト起動要求メッセージを示す図である。
図8】移動ノードから、サービスレベル識別子キャッシュ及びHLRを含むコアネットワークに送信される、サービスレベル識別子を含むように適応化されたPDPコンテキスト起動要求メッセージを示す図である。
図9】SGSN内ルーティングエリア変更を行う移動ノードを示すブロック図である。
図10】SGSN間ルーティングエリア変更を行う移動ノードを示すブロック図である。
図11】SGSN内ルーティングエリア更新を実行する手順を示す図である。
図12】サービスレベル識別子によって優先度が付されたSGSN内ルーティングエリア更新を実行する処理を示す図である。
図13】SGSN間ルーティングエリア更新を実行する処理を示す図である。
図14】サービスレベル識別子によって優先度が付されたSGSN間ルーティングエリア更新を実行する処理を示す図である。
図15】イントラSGSN RNCハンドオーバを実行する処理を示す図である。
図16】サービスレベル識別子によって優先度が付されたSGSN間RNCハンドオーバを実行する処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を例示的に説明する。ここで、同様の部分には、対応する参照符号を付している。
【0012】
以下、汎用パケット無線システム(General Packet Radio System:GPRS)に関して、本発明の例示的な実施の形態について説明する。図1は、移動ノード(mobile node:MN)4に/からインターネットパケットを通信するGPRS/UMTSパケット無線ネットワークのブロック図である。図1では、移動ノード4は、パケットデータ通信セッション、例えばウェブブラウジング又は電子メールを行うように構成されている。図1は、GPRSネットワークの構成要素を示しており、GPRSネットワークは、GPRSゲートウェイサービスノード(GPRS gateway service node:GGSN)2と、サービングGPRSサポートノード(serving GPRS support node:SGSN)1と、無線ネットワーク制御装置(radio network controller:RNC)7と、ノードb6とを備える。一般的に、GGSN2及びSGSN1は、コアネットワーク(core network:CN)の一部を構成し、一方、無線ネットワーク制御装置(RNC)7及びノードb6は、無線ネットワーク(radio network:RN)の一部を構成している。
【0013】
図2は、移動ノード4、ノードb6及びRNC7間の無線通信リンクを介して、移動ノード4に/から通信されるデータパケットの流れを示すブロック図である。そして、インターネットパケットは、SGSN1及びGGSN2を介して通信される。インターネットパケットが外部のIPネットワーク8に/から通信される場合、GGSN2は、GPRS/UMTSパケット無線ネットワークからのリンクを提供する。
【0014】
後述するように、実施の形態は、GPRS/UMTSパケット無線システムに限定されない。例えば、図3は、移動ノード24に/からインターネットパケットを通信するGPRS/GSMパケット無線ネットワークのブロック図である。GPRS/UMTSパケット無線ネットワークと同様に、GGSN及びSGSNは、コアネットワークの一部を構成しているが、無線ネットワークは、GPRS/UMTSパケット無線システムとは異なり、基地局/基地局制御装置(base station/base station controller:BS/BSC)、又はノードB及びRNCによって構成されている。
【0015】
既知のGPRS規格では、移動ノードがインターネットパケットをGPRSネットワークを介して通信する通信ベアラを確立するためには、移動ノードは、パケットデータプロトコルコンテキスト手順を用いる。以下、この手順を説明する。
【0016】
[PDPコンテキスト]
図4は、GPRS/UMTSパケット無線ネットワークにおいて、パケットデータ接続を確立する手順の具体例を示している。GPRS/UMTSパケット無線ネットワークでは、移動ノードとコアネットワーク間のパケットデータ接続は、コアネットワークに保持されている通信ベアラプロファイルによって管理される。これは、パケットデータプロトコル(Packet Data Protocol:PDP)コンテキストとして知られている。PDPコンテキストは、通信を管理するために必要な情報を、ルーティングデータと、外部のパケット網にアクセスできるようにするネットワークノードのアドレスと、PDPコンテキストの要求に応じて移動ノードに割り当てられたIPアドレスとを含む情報として、含んでいる。移動ノードは、PDPコンテキストが起動されたときに、パケットデータ接続を確立することができるだけである。図4に示すように、通信セッションを開始するために、移動ノード51は、PDPコンテキスト53の設定を要求するPDPコンテキスト起動要求メッセージ52を、SGSN56に送信する。SGSN56がこの要求を受理した場合、SGSN56は、PDPコンテキスト確立要求メッセージ601をGGSN59に送信する。GGSN59は、PDPコンテキストを設定、例えば移動ノード51に割り当てられたIPアドレスを確立するために必要な幾つかのタスクを実行する。GGSN59は、PDPコンテキストを設定するために必要な全てのタスクを完了したとき、PDPコンテキスト確立済メッセージ602をSGSN56に送信する。そして、PDPコンテキスト53が起動され、パケットデータ接続57が確立される。
【0017】
[サービスレベル識別子]
図6に示すように、リアルタイム又はリアルタイムに近いデータ伝送を必要とする移動ノードのユーザが経験するデータ伝送の遅延及び中断を低減するために、移動ノードは、サービスレベル識別子(service level identifier:SID)40を含むようにPDPコンテキスト起動要求42を適応化する。サービスレベル識別子40は、移動性及びハンドオーバの制御及び管理に与える優先度を表す。例えば、これは、位置更新と、ルーティング更新と、リソース割当と、GPRS/UMTSパケット無線ネットワーク内で動作する他の移動ノードから受信されるインターネットパケットを移動ノードに/から通信するために設定されたベアラとを含んでいる。SGSN46は、GGSN49と協働し、優先度を表すサービスレベル識別子40に基づいて、コアネットワーク及び無線ネットワーク45の現在のルーティング構成及び通信リソースを適応化する。したがって、移動ノードに/から通信されるインターネットパケット、及び移動ノードに影響を与えるルーティング及びリソース割当は、コアネットワーク46によって優先させることができる。この優先順位によって、ネットワークリソースの使用を向上させることができ、そして、例えばリアルタイム又はリアルタイムに近いデータ伝送を必要とする移動ノードのユーザの場合、より高い優先度で処理することができる。図6に示すように、移動ノードは、サービスレベル識別子40を、PDPコンテキスト起動要求メッセージ42のプロトコル設定オプション(Protocol Configuration Option:PCO)情報要素41の未使用ビットに挿入する。図5に示すパケット設定オプション情報要素(Packet Configuration Option Information Element:PCO)は、PDPコンテキスト起動要求メッセージ42に含まれている情報要素である。これは、技術仕様24.008(10.5.63)に定義されている。図5に示すように、PCOは、第3バイトに未定義の4ビットを含んでいる。これらの予備ビットをサービスレベル識別子40として定義することによって、移動ノードは、これらを用いて、要求優先度(requested priority)を表すことができる。あるいは、プロトコルID/プロトコルIDコンテンツパートを用いて、サービスレベル識別子を搬送することもできる。
【0018】
SGSN46は、移動ノードからPDPコンテキスト起動要求メッセージ42を受信すると、PCO情報要素41のサービスレベル識別子40のビットを検査し、移動ノードから要求されている優先レベルを判定する。
【0019】
[サービスレベル識別子キャッシュ]
図7に示すように、コアネットワークは、サービスレベル識別子キャッシュ43を維持している。SGSN46は、PDPコンテキスト起動要求メッセージ42を受信すると、サービスレベル識別子40を検査し、サービスレベル識別子40を、移動ノードに割り当てられたPDPアドレスに関連付けて、サービスレベル識別子キャッシュ43に記憶する。
【0020】
図8に示すように、SGSN46は、要求優先度を表すサービスレベル識別子40を、移動ノードの識別子、例えば国際移動体加入者識別番号(International Mobile Subscriber Identification:IMSI)44に関連したプロファイルに、移動ノードに関連して記憶されている許可サービスレベル(permitted service level)と比較することができる。この記憶されているプロファイルは、ホームロケーションレジスタ(home location register:HLR)47に保持してもよく、移動ノードが申し込まれた、したがって、与えることが許された優先度を表している。要求優先度が、許可された優先度を超えていない場合、コアネットワークは、移動ノードに要求優先度を与える。比較は、コアネットワークのSGSN46によって行われる。サービスレベル識別子40を表すこの終了データ49は、HLR47に送信される。そして、HLR47は、SGSN46に、移動ノードに与えることができる優先度を確認する応答50を送信する。
【0021】
[ルーティングエリア更新]
無線ネットワークは、図1に示すように、幾つかのルーティングエリア、すなわちルーティングエリア1(RA1)、ルーティングエリア2(RA2)、ルーティングエリア3(RA3)、ルーティングエリア4(RA4)に分割されている。図1に示すように、SGSN1は、幾つかのルーティングエリア、例えばルーティングエリア3、ルーティングエリア4を制御することできる。GPRS/UMTSパケット無線ネットワークは、ルーティング及び移動ノードの移動性をサポートする目的で、パケット無線ネットワークを論理エリアに分離するために、異なるルーティングエリアに分割される。移動ノードは、1つのルーティングエリアから他のルーティングエリアに移動したとき、ルーティングエリア更新メッセージをコアネットワークに送信する。また、移動ノードは、移動したかどうかにかかわらず、定期的にコアネットワークにルーティングエリア更新を送信することが要求される。移動ノードが1つのルーティングエリアから他のルーティングエリアに移動したときに促されるルーティングエリア更新には、SGSN内ルーティングエリア更新(intra SGSN routing area update)と、SGSN間ルーティングエリア更新(inter SGSN routing area update)との2つの種類がある。図9は、SGSN内ルーティングエリア更新の場合を示している。移動ノードは、あるルーティングエリア、ここでは、SGSN32によって制御されているルーティングエリア33から、他のルーティングエリア、ここでは、同じSGSN32によって制御されているルーティングエリア34に移動する。図10は、SGSN間ルーティングエリア更新の場合を示している。移動ノードは、あるルーティングエリア、ここでは、1つのSGSN32によって制御されているルーティングエリア33から、他のルーティングエリア、ここでは、別のSGSN31によって制御されているルーティングエリア35に移動する。何れの場合も、ルーティングエリア更新の処理は、ネットワークリソース、例えば帯域幅及び処理時間を消費する。図9に示すように、SGSN内ルーティングエリア更新は、関連するSGSN32だけで実行することができる。しかしながら、図10に示すSGSN間ルーティングエリア更新は、SGSN31、32の両方及びGGSN36による処理と、移動ノードのPDPコンテキストの更新とを含むので、更にネットワークリソースを消費する。コアネットワークが多数のデータ接続をサポートしている場合には、ルーティングエリア更新を処理する速度が低下する可能性がある。この結果、パケットデータ接続の起動に携わっている移動ノードでは、インターネットパケットの通信において遅延及び中断が生じる可能性がある。
【0022】
一実施の形態においては、コアネットワークは、サービスレベル識別子に基づくルーティングエリア更新を処理する優先レベルを移動ノードに与える。したがって、ルーティングエリア間を移動する移動ノードが多くあるシナリオ、例えば、混雑したセル又は移動交通システム、例えば電車では、コアネットワークは、どの移動ノードがリアルタイム又はリアルタイムに近いデータ伝送を必要とする通信セッションに携わっているかを判定し、これに応じて、ルーティングエリア更新の処理を優先させることができる。これは、SGSN又はGGSNのどちらかで行うことができる。
【0023】
[SGSN内ルーティングエリア更新]
図11は、GPRS/GSMパケット無線ネットワークで用いられるSGSN内ルーティングエリア更新のための手順を示している。移動ノード65は、ルーティングエリア更新要求61をSGSN67に送信する。そして、SGSN67は、要求を有効にする幾つかのセキュリティ機能62を開始することができる。そして、SGSN67は、ルーティングエリア更新受理メッセージ63を移動ノード65に送信する。そして、SGSN67は、ルーティングエリア更新68を実行する。移動ノード65は、SGSN67にルーティングエリア更新完了メッセージ64を送ることによって、ルーティングエリア更新受理メッセージ63に肯定応答する。これらのメッセージは、全て、無線ネットワーク66を介して通信される。
【0024】
図12は、GPRS/GSMパケット無線ネットワークで用いられるSGSN内ルーティングエリア更新によって、サービスレベル識別子に基づくルーティングエリア更新を処理する優先レベルを移動ノードに与える実施の形態を示している。この具体例では、SGSN67は、移動ノード65からルーティングエリア更新要求61を受信したとき、サービスレベル識別子に基づくルーティングエリア更新69を優先させる。
【0025】
[SGSN間ルーティングエリア更新]
図13は、GPRS/UMTSパケット無線ネットワークで用いられるSGSN間ルーティングエリア更新のための簡略手順を示している。この簡略手順は、ルーティングエリア更新の一部としてPDPコンテキストを更新するメカニズムに関する。新サービング無線ネットワーク装置(serving radio network system:SRNS)82及び旧SRSN81は、それぞれノードb及びRNCである。新SRNS82は、ルーティングエリア更新要求71を、移動ノード81が移動したルーティングエリアを制御する新SGSN84に送信する。新SGSN84は、SGSNコンテキスト要求72を、旧SGSN85(移動ノード81が以前に接続されていたルーティングエリアを制御するSGSN)に送信する。SGSNコンテキスト要求72は、移動ノード81のPDPコンテキストの詳細を要求する。メッセージ73、74は、移動ノード81のPDPコンテキストに関する情報を読み出すメッセージであって、旧SGSN85と旧SRNS83間で送受信されるメッセージである。そして、旧SGSN85は、移動ノード81のPDPコンテキスト情報を詳述したSGSNコンテキスト応答メッセージ76を、新SGSN84に送信する。新SGSN84は、PDPコンテキスト更新要求80を、GGSN86に送信する。GGSN86は、PDPコンテキスト更新要求80を受信すると、PDPコンテキストを更新する。
【0026】
図14は、GPRS/GSMパケット無線ネットワークで用いられるSGSN内ルーティングエリア更新によって、サービスレベル識別子に基づくルーティングエリア更新を処理する優先レベルを移動ノードに与える実施の形態を示している。新SGSN84は、移動ノード81からルーティングエリア更新要求71を受信した後、ルーティングエリア更新要求を、サービスレベル識別子キャッシュに記憶されている移動ノード81に関連したサービスレベル識別子に基づく優先度で処理する。GGSN86は、新SGSN84からPDPコンテキスト更新要求80を受信したとき、PDPコンテキスト更新要求80を、サービスレベル識別子キャッシュに記憶されている移動ノード81に関連したサービスレベル識別子に基づく優先度で処理する。
【0027】
一実施の形態において、コアネットワークは、無線ネットワークノード間のハンドオーバを実行する優先レベルを、サービスレベル識別子に基づいて移動ノードに与える。図15は、GPRS/UMTSパケット無線ネットワーク内の1つのRNCから他のRNCへの移動ノードのSGSN内ハンドオーバのための簡略手順を示している。移動ノード91をソースRNC92からターゲットRNC93にハンドオーバする決定が到着したとき、ソースRNC92は、要求再配置メッセージ95をSGSN94に送信する。そして、SGSN94は、再配置要求メッセージ96をターゲットRNC93に送信し、再配置コマンド97をソースRNC92に送信する。そして、ソースRNC92は、再配置コミットメッセージ98をターゲットRNC93に送信する。そして、ソースRNC92は、データ99をターゲットRNC93に転送する。この転送データには、移動ノード91用の新たな無線ベアラを確立するために必要なデータが含まれている。そして、ターゲットRNC93は、UMTS地上無線アクセスネットワーク(UMTS terrestrial radio access network:UTRAN)モビリティ情報100を移動ノード91に送信する。移動ノード91は、UTRANモビリティ情報確認メッセージ101をターゲットRNC93に送信することによって、UTRANモビリティ情報100を確認する。図16は、GPRS/UMTSパケット無線ネットワーク内の1つRNCから他のRNCへの移動ノードのSGSN内ハンドオーバ手順において、サービスレベル識別子に基づくルーティングエリア更新を処理する優先レベルを移動ノードに与える実施の形態を示している。SGSN94は、ソースRNC92から要求再配置メッセージ95を受信したとき、サービスレベル識別子情報を、ターゲットRNC93に送信する再配置要求メッセージ102に入れる。ターゲットRNC93は、再配置要求メッセージ102を受信すると、サービスレベル識別子情報によって表される優先度に基づいて、ハンドオーバ手順の更なる処理103を優先させる。
【0028】
本発明の様々な更なる実施の形態及び特徴は、添付の特許請求の範囲において定義されている。本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施の形態を様々に変更することができる。例えば、GPRS/UMTS及びGPRS/GSMに関連する本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、他のパケット無線システム及び移動無線規格、例えばWiMAX及びCDMA2000にも適用できることは明らかである。更に、以上では、サービスレベル識別子は、PDPコンテキストのPCOシールド内で搬送しているが、他の具体例として、通信ベアラ確立手順内の他のフィールド又は他の形式でサービスレベル識別子を搬送してもよいことは明らかである。
図1
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