【実施例1】
【0011】
〔ガス供給装置の構成〕
図1は本発明になるガス供給装置の一実施例を示す概略構成図である。
図1に示されるように、ガス供給装置10は、例えば自動車11の燃料タンク(被充填タンク)12に圧縮したガス(例えば、水素ガス)を供給するガス供給ステーションなどに設置されている。尚、供給されるガスとしては、水素に限らず、高圧に圧縮されて使用される他のガスを含む。
【0012】
ガス供給装置10は、大略、高圧に圧縮されたガスを貯蔵するガス貯蔵部14と、ガス貯蔵部14からのガスを燃料タンク12に供給するためのディスペンサユニット15と、ガス貯蔵部14及びディスペンサユニット15に配された各弁の開閉または弁開度を制御する制御装置16とよりなる。
【0013】
ガス貯蔵部14は、コンプレッサ70より供給された高圧のガスが貯蔵される可変ガス蓄圧器62と高圧ガス蓄圧器64とを有する。また、可変ガス蓄圧器62及び高圧ガス蓄圧器64は、燃料タンク12の目標圧力よりも高い圧力のガスが蓄圧されており、直充填モード(コンプレッサ70からの圧縮ガスを直接的に充填するモード)が選択されていない場合、燃料タンク12への充填を行うガス供給源であり、直充填モードが選択された場合には圧力調整タンクとして機能する。
【0014】
直充填モードが選択されない場合は、変ガス蓄圧器62及び高圧ガス蓄圧器64による通常方式のガス充填が行われる。通常方式の充填開始当初は、可変ガス蓄圧器62の元弁66が開弁されて燃料タンク12へのガス充填が行われる(第1工程)。そして、燃料タンク12の充填圧力が目標圧力に達する直前に可変ガス蓄圧器62の元弁66が閉弁されると共に、高圧ガス蓄圧器64の元弁68を開弁して燃料タンク12の充填圧力を目標圧力まで充填する(第2工程)。
【0015】
このように、燃料タンク12へのガスの供給元を可変ガス蓄圧器62から高圧ガス蓄圧器64に切り替えることにより、可変ガス蓄圧器62のガスのみを用いて目標圧力に達するまでガス充填を行う方法に比べてその充填時間を短縮することができるようになっている。
【0016】
ディスペンサユニット15には、ガス貯蔵部14に連通されたガス供給経路18が設けられており、ガス供給経路18には、1次圧力計20、流量計22、ガス供給開閉弁24、制御弁26、温度センサ28、圧力センサ30(圧力検出器)、2次圧力計32、安全弁34が配設されている。圧力センサ30は、制御弁26から吐出されたガスの圧力を検出し、その圧力検出信号を制御装置16に出力する。
【0017】
さらに、ガス供給経路18の下流には、緊急離脱カップリング42を介して充填ホース44が接続されている。そして、充填ホース44の先端には、燃料タンク12の充填口12aに連結される充填ノズル46が設けられている。また、燃料タンク12と充填口12aとの間には、逆流を防止する逆止弁13が設けられている。
【0018】
流量計22は、コリオリ式質量流量計からなり、供給されたガスの質量に応じた信号を制御装置16に出力する。
【0019】
ガス供給開閉弁24は、電磁弁からなり、制御装置16からの開弁信号のオン、オフにより開弁または閉弁する。
【0020】
制御弁26は、充填開始と共に、制御装置16の指令により任意の弁開度に調整され、予め設定された制御則に基づいてガスの圧力または流量を制御するように動作する。尚、制御弁26は、制御装置16からの制御信号が入力されても構造上の動作遅れがあるため、弁開度を変更して流量計測値が所定流量に達するのに所定の時間がかかり、燃料タンク12に充填されるガスの流量を徐々に変化させる。
【0021】
また、ディスペンサユニット15には、充填ノズル46が燃料タンク12の充填口12aに結合されて操作される充填開始スイッチ50と、充填を停止する充填停止スイッチ52と、直充填モード選択スイッチ54が設けられている。
【0022】
可変ガス蓄圧器62及び高圧ガス蓄圧器64は、コンプレッサ70により圧縮されたガスを蓄圧する容器であり、通常モードが選択された場合、コンプレッサ70の吐出口に連通されたガス供給経路71,75を介して圧縮されたガスが供給される。ガス供給経路71,75には、夫々電磁弁からなる開閉弁72,76と、逆流を防止する逆止弁74,78とが設けられている。また、コンプレッサ70は、従来のものよりも高圧のガスを生成することが可能な多段圧縮方式の圧縮機であり、吸い込み口が吸い込み経路79を介して都市ガスの中圧配管80に連通されている。
【0023】
可変ガス蓄圧器62の下流側に配されたガス供給経路67には、電磁弁からなる元弁66と、逆流を防止する逆止弁69とが設けられている。また、高圧ガス蓄圧器64の下流側に配されたガス供給経路77には、電磁弁からなる元弁68と、逆流を防止する逆止弁78とが設けられている。
【0024】
さらに、コンプレッサ70の吐出側から分岐された第1分岐経路81には、絞り82と、電磁弁からなる開閉弁83とが設けられている。また、第1分岐経路81の下流側端部は、可変ガス蓄圧器62に連通されている。
【0025】
さらに、コンプレッサ70の吐出側から分岐された第2分岐経路85には、絞り86と、電磁弁からなる開閉弁87とが設けられている。第2分岐経路85の下流側端部は、高圧ガス蓄圧器64に連通されている。
【0026】
直充填モード選択スイッチ54のオン操作により、コンプレッサ70からの圧縮ガスを直接的に充填する直充填モードが選択された場合、制御弁26の弁開度を段階的に制御して燃料タンク12へのガス供給流量を制御する。燃料タンク12の圧力が目標圧力に近づくと、先ず第1段階として、開閉弁87が開弁されて、コンプレッサ70からのガスの一部が絞り86により流量が絞られながら第2分岐経路85を介して高圧ガス蓄圧器64に逃がされる。さらに、第2段階として、開閉弁83が開弁されて、コンプレッサ70からのガスの一部が絞り82により流量が絞られながら第1分岐経路81を介して可変ガス蓄圧器62に逃がされる。
【0027】
これにより、コンプレッサ70から制御弁26に供給されるガスの圧力が減圧されるため、制御弁26の弁開度による微小流量調整が可能になる。すなわち、本実施例における可変ガス蓄圧器62及び高圧ガス蓄圧器64は、制御弁26による微小流量調整時の圧力調整タンクとして機能する。
【0028】
また、コンプレッサ70の吐出口から分岐された第3分岐経路91には、電磁弁からなる直充填用の開閉弁92が設けられている。第3分岐経路91の下流側端部は、ガス供給経路18に連通されている。そのため、直充填モードが選択された場合、コンプレッサ70で生成された圧縮されたガスは、開閉弁92が開弁されると共に、第2分岐経路91及びガス供給経路18を介して燃料タンク12に直接的に充填される。
【0029】
コンプレッサ70から吐出されたガスは、従来のものよりも高圧であるので、開閉弁92の開弁により、直接的に燃料タンク12に充填することができる。また、直充填モードが選択されていない場合は、通常モードが実行されて開閉弁72,76の開弁により可変ガス蓄圧器62及び高圧ガス蓄圧器64に供給され、可変ガス蓄圧器62及び高圧ガス蓄圧器64に蓄圧されたガスが燃料タンク12に充填される。
【0030】
制御装置16のメモリ48には、例えばコンプレッサ70により圧縮されたガスが燃料タンク12に直充填される直充填モードが選択された場合、圧力センサ32により検出された圧力値が目標圧力に近い所定値以上に昇圧したか否かを判断する判断手段と、直充填中にガス供給経路18の圧力が目標圧力に近い所定圧力値に昇圧したと判断された場合、コンプレッサ70により圧縮されたガスの一部を圧力調整タンクとしての可変ガス蓄圧器62及び高圧ガス蓄圧器64に逃がすように開閉弁83、87を開弁させる圧力調整手段等の各制御プログラムが格納されている。
【0031】
制御装置16は、メモリ48に格納された各制御プログラムにしたがって燃料タンク12へのガス充填制御を行う。
〔制御弁の弁開度制御による流量変化について〕
図2は制御弁26の弁開度の制御による流量変化パターンを示すグラフである。尚、
図2において、横軸が時間(sec)で、縦軸が質量流量(kg/sec)をあらわしており、グラフIで囲まれた領域の面積が燃料タンク12に充填された充填量V(kg)に相当する。
【0032】
図2のグラフIに示されるように、燃料タンク12に充填されるガスの流量は、制御装置16による制御弁26の弁開度制御により、時間T0〜T8の経過と共に制御される。
(a)時間T0〜T1は、充填開始スイッチ50がオンに操作されて制御弁26が開弁(例えば弁開度が20%)され、流量計22により計測された流量計測値が所定微小流量F2に達する。
(b)時間T1〜T2は、安定した微小流量F2のガスが燃料タンク12に供給されることにより、ガス供給経路18の圧力が燃料タンク12の圧力と同一になる。そして、制御装置16において、微小流量F2を供給するのに伴う燃料タンク12の圧力を圧力センサ30により検出し、当該検出圧力の変化率に基づいて燃料タンク12の充填可能容量(体積)を演算する。
(c)時間T2〜T3は、制御弁26の弁開度を全開(80%〜100%)にして燃料タンク12へ供給されるガスの流量を増大させる。
(d)時間T3〜T4は、制御弁16の全開により最大流量F3でガスを燃料タンク12に充填し、充填時間を短縮する。このガス充填により燃料タンク12の圧力が昇圧して目標圧力に近づく。
(e)時間T4〜T5は、制御弁26の弁開度を絞り(例えば20%)、燃料タンク12へ供給される流量を微小流量F2に減少させる。
(f)時間T5〜T6は、圧力センサ30により検出された圧力値を読み込み、燃料タンク12の圧力が目標圧力Peに近づいたことを確認する。
(g)時間T6〜T7は、制御弁26の弁開度をさらに絞り(例えば10%)、燃料タンク12へ供給される流量を微小流量F1に減少させる。
(h)時間T7〜T8は、圧力センサ30により検出された圧力値が充填圧力に達した時点で、制御弁16及び各開閉弁を閉弁させる。このように、段階的に流量を減少させることにより、燃料タンク12に充填される目標圧力Pe及び充填量V(質量流量)の充填精度が高められる。
〔ガス充填制御処理〕
ここで、制御装置16が実行するガス充填制御処理について
図3のフローチャートを参照して説明する。作業員は、ガス充填を受ける自動車11が到着すると、充填ノズル46を燃料タンク12の充填口12aに連結させた後、充填開始スイッチ50をオンに操作する。
【0033】
制御装置16は、S11で充填開始スイッチ50がオンに操作されたか否かをチェックしており、充填開始スイッチ50がオンに操作されると、S12に進み、直充填モードスイッチ54の操作により直充填モードが選択されたか否かをチェックする。
【0034】
S12において、直充填モードが選択されていない場合、S13に進み、各蓄圧器62、64による充填が行われる(特開2006−214564号公報を参照)。
【0035】
また、S12において、直充填モードスイッチ54の操作により直充填モードが選択された場合、S14に進み、第3分岐経路91に配された直充填用の開閉弁92、及びガス供給開閉弁24を開弁させる。尚、S14において、詳細には、ガス供給開閉弁24を先に開弁し、数秒後に直充填用の開閉弁92を開弁させる。続いて、S15では、コンプレッサ70を駆動する。
【0036】
次のS16において、制御弁26の弁開度を所定弁開度(例えば弁開度20%)に制御する(
図2中、時間T0〜T1)。この制御弁26の弁開度が所定弁開度(例えば弁開度20%)に制御されると共に、コンプレッサ70で生成された圧縮ガスが第3分岐経路91及びガス供給経路18、充填ノズル46などを介して燃料タンク12に供給される。続いて、S17に進み、燃料タンク12に供給された際の流量計22により計測された流量計測値(瞬時流量Fx)を読み込み、流量計22により計測された瞬時流量Fxが予め設定された所定の微小流量F1以上か否かをチェックする。
【0037】
S17において、瞬時流量Fxが予め設定された所定の微小流量F1未満の場合(NOの場合)、S18に進み、燃料タンク12への充填量Vxが予め設定された所定充填量V1以上か否かをチェックする。
【0038】
S18において、燃料タンク12への充填量Vxが予め設定された所定充填量V1未満の場合(NOの場合)、S19に進み、充填時間Tx(充填開始スイッチ50がオンに操作されてからの経過時間)が予め設定された所定充填時間T1に達したか否かをチェックする。
【0039】
S19において、充填時間Txが予め設定された所定充填時間T1に達していないときは(NOの場合)、S16の処理に戻り、S16〜S19の処理を繰り返す。
【0040】
制御弁26は、構造上の動作遅れがあるため、上記S16〜S19の処理を繰り返すことにより、弁開度を変更する制御信号が出力されてから流量計測値が所定流量に達するのを待つ。従って、S17において、瞬時流量Fxが予め設定された所定流量F1未満の場合(Fx<F1の場合)、制御弁26の弁開度制御によるガス供給量が安定するまでの間は、充填量V1、または充填時間T1に達するまで、待機状態となる。
【0041】
また、上記S17において、瞬時流量Fxが予め設定された所定の微小流量F1以上の場合(YESの場合)、あるいはS18において、燃料タンク12への充填量Vxが予め設定された所定充填量V1以上の場合(YESの場合)、あるいはS19において、充填時間Txが予め設定された所定充填時間T1に達したときは(YESの場合)、制御弁26から供給されるガス流量が安定したため、S20に進む。
【0042】
S20では、瞬時流量Fxが予め設定された所定微小流量F2となるように制御弁26の弁開度を制御する(
図2中、時間T1〜T2)。すなわち、S17においては、瞬時流量Fxが予め設定された所定流量F1以上の場合には、Fx≧F2である可能性があるので、S20では制御弁16の弁開度を絞り、燃料タンク12に供給される流量を減少させる。また、S17においては、瞬時流量Fxが予め設定された所定の微小流量F1未満の場合には、Fx<F2であるので、S21では制御弁16の弁開度を開き、燃料タンク2に供給される流量を増大させる。これにより、燃料タンク12には、安定した微小流量F2のガスが供給されるため、ガス供給経路18と燃料タンク12の圧力が同一圧力になり、圧力センサ30による燃料タンク12の圧力検出が可能になる。
【0043】
次のS21では、燃料タンク12への充填量Vxが予め設定された所定充填量V2以上か否かをチェックする。尚、所定充填量V2は、所定充填量V1よりも多い充填量である(V2>V1)。
【0044】
S21において、燃料タンク12への充填量Vxが予め設定された所定充填量V2未満の場合(NOの場合)、S22に進み、充填時間Tx(充填開始スイッチ50がオンに操作されてからの経過時間)が予め設定された所定充填時間T2に達したか否かをチェックする。S22において、充填時間Txが予め設定された所定充填時間T2に達していないときは(NOの場合)、S21の処理に戻り、S21〜S22の処理を繰り返す。
【0045】
また、S21において、燃料タンク12への充填量Vxが予め設定された所定充填量V2以上の場合(YESの場合)、あるいはS22において充填時間Txが予め設定された所定充填時間T2に達したときは(YESの場合)、S23に進む。
【0046】
S23では、燃料タンク12に残っている残量を予測し、燃料タンク12の容量(容積)から残量を差し引いた充填可能量を演算する。この演算方法は、周知の技術であり、一定のガス充填量V2を燃料タンク12に充填したときの初期圧力と、充填開始から現時点までの圧力上昇値と、流量計測値との関係から残充填量を演算し、当該燃料タンク12の容積(容量)から演算した残充填量を差し引いて充填可能量を推測する。
【0047】
次のS24では、制御弁26の弁開度をほぼ全開(弁開度90%〜100%)に制御する(
図2中、時間T2〜T4)。これにより、燃料タンク12へ充填される瞬時流量Fxが最大流量F3となる。
【0048】
続いて、S25に進み、圧力センサ30により検出された燃料タンク12の圧力値Pxが予め設定された所定圧力値P1(目標圧力値Peより若干小さい圧力値)以上か否かをチェックする。S25において、圧力センサ30により検出された燃料タンク12の圧力値Pxが予め設定された所定圧力値P1以上になった場合(YESの場合)、S26に進み、制御弁26の弁開度を例えば20%に制御する(
図2中、時間T4〜T5)。これにより、制御弁26の弁開度が絞られて燃料タンク12に充填される流量が所定流量F2に調整される。
【0049】
次のS27では、第2分岐経路85の開閉弁87を開弁する(圧力調整手段)。これにより、コンプレッサ70から吐出された圧縮ガスの一部が絞り86及び開閉弁87により流量を絞られて高圧ガス蓄圧器64にも供給されるため、制御弁26に供給される圧力が減圧され、制御弁26による微小流量制御が可能になる(
図2中、時間T5〜T6)。
【0050】
続いて、S28では、圧力センサ30により検出された燃料タンク12の圧力値Pxが予め設定された所定圧力値P2以上か否かをチェックする(判断手段)。尚、所定圧力値P2は、燃料タンク12の目標圧力値Peに近い値である(Pe>P2>P1)。
【0051】
S28において、圧力センサ30により検出された燃料タンク12の圧力値Pxが予め設定された所定圧力値P2以上になった場合(YESの場合)、S29に進み、制御弁26の弁開度を例えば10%に制御する(
図2中、時間T6〜T7)。これにより、制御弁26の弁開度がさらに絞られて燃料タンク12に充填される流量が微小流量F1に調整される。
【0052】
次のS30では、第1分岐経路81の開閉弁83を開弁する(圧力調整手段)。これにより、コンプレッサ70から吐出された圧縮ガスの一部が絞り82、開閉弁83を介して可変ガス蓄圧器62に供給され、制御弁26に供給されるガスの圧力がさらに減圧される。尚、可変ガス蓄圧器62の圧力は、高圧ガス蓄圧器64よりも低い圧力に蓄圧されている。
【0053】
次のS31では、圧力センサ30により検出された燃料タンク12の圧力値Pxが予め設定された目標圧力値Pe以上か否かをチェックする(判断手段)。
【0054】
S31において、圧力センサ30により検出された燃料タンク12の圧力値Pxが予め設定された目標圧力値Peに達した場合(YESの場合)、S32に進み、ガス供給開閉弁24及び制御弁26閉弁してガス充填を停止する(
図2中、時間T8)。続いて、S33で開閉弁83、87,92を閉弁し、S34において、コンプレッサ70を停止させる。
【0055】
このように、充填終了直前の制御弁26による流量制御において、コンプレッサ70からの吐出された圧縮ガスの一部を高圧ガス蓄圧器64、可変ガス蓄圧器62に逃がすことにより、制御弁26に供給されるガスの圧力を低下させることできる。そのため、制御弁26による微小流量の制御が可能になり、燃料タンク12の圧力が目標圧力値Peに達した時点で精度良くガス充填を終了させることができる。
〔変形例〕
図4は変形例の概略構成図である。
図4において、前述した
図1と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0056】
図4に示されるように、変形例のガス供給装置10Aでは、ガス貯蔵部14Aに比較的容量の小さい圧力調整タンク100が設けられている。圧力調整タンク100は、目標圧力値Peに達する直前の流量制御時にコンプレッサ70から吐出されたガスを供給されて制御弁26へ供給される圧力を減圧し、燃料タンク12へのガス充填開始時には、貯留されたガスを燃料タンク12に供給するガス蓄圧器として機能する。
【0057】
尚、変形例のガス供給装置10Aは、直充填専用であるので、直充填選択スイッチ54は設けられていない。また、変形例のガス供給装置10Aにおける作業員の操作手順は、上記実施例と同様であり、異なる点は直充填選択スイッチ54を操作しなくても直充填モードが実行される点である。
【0058】
図5は変形例の制御装置が実行する制御処理を説明するためのフローチャートである。
図5において、制御装置16は、S41で充填開始スイッチ50がオンに操作されたか否かをチェックしており、充填開始スイッチ50がオンに操作されると、S42に進み、圧力調整タンク100の開閉弁66及びガス供給開閉弁24を開弁させる。尚、S42において、詳細には、ガス供給開閉弁24を先に開弁し、数秒後に圧力調整タンク100の開閉弁66を開弁させる。
【0059】
次のS43では、瞬時流量Fxが予め設定された所定微小流量F1となるように制御弁26の弁開度を制御する(
図2中、時間T1〜T2)。これにより、圧力調整タンク100に貯留されたガスが燃料タンク12に供給される。
【0060】
続いて、S44に進み、燃料タンク12に供給された際の流量計22により計測された流量計測値(瞬時流量Fx)を読み込み、流量計22により計測された瞬時流量Fxが予め設定された所定流量以上か否かをチェックする。
【0061】
S44において、流量計22により計測された瞬時流量Fxが予め設定された所定流量以上である場合(YESの場合)、S45に進み、圧力センサ30により検出された圧力値Pxが目標圧力値Peに達したか否かをチェックする。S45において、圧力センサ30により検出された圧力値Pxが目標圧力値Peに達している場合(YESの場合)、燃料タンク12が既に満充填状態であるので、S46に進み、開閉弁66及び制御弁26を閉弁させて、今回のガス充填処理を終了する。
【0062】
また、S45において、圧力センサ30により検出された圧力値Pxが目標圧力値Pe未満(NOの場合)、燃料タンク12がガス充填可能な状態であるので、上記S43〜S45の処理を繰り返す。そして、S44において、流量計22により計測された瞬時流量Fxが予め設定された所定流量未満になった場合(NOの場合)、S47に進み、開閉弁66を閉弁させて圧力調整タンク100からのガス供給を停止させる。このガス供給処理により圧力調整タンク100の圧力が減圧される。
【0063】
次のS48では、直充填用の開閉弁92を開弁させ、S49ではコンプレッサ70を駆動させてコンプレッサ70で生成された圧縮ガスを直接的に燃料タンク12に充填する(切替制御手段)。
【0064】
続いて実行されるS50〜S59、S60〜S65は、前述したS16〜S25、S29〜S34の制御処理と同様であるので、その説明を省略する。尚、S64では、開閉弁83、92を閉弁させる点が上記実施例と異なる。
【0065】
このように、変形例のガス供給装置10Aの場合も、充填終了直前の制御弁26による流量制御において、コンプレッサ70からの吐出された圧縮ガスの一部を圧力調整タンク100に逃がすことにより、制御弁26に供給されるガスの圧力を低下させることできる。そのため、変形例においても、制御弁26による微小流量の制御が可能になり、燃料タンク12の圧力が目標圧力値Peに達した時点で精度良くガス充填を終了させることができる。